SS統合スレ#6

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223七瀬留美羞恥SS――中編――
「これで………これでいいんでしょ」
文字通り、一糸まとわぬ素っ裸となった七瀬留美。
左腕で健康的に膨らんでいる乳房を、右腕で自身の女の源泉を庇いながら、目指すもの
をハッキリと見据えた、雫で膜が出来つつも光溢れる瞳で、氷上を見据えて言い放つ。
つとめて声を抑え。内に激情を潜ませた声音で。
「ふーん……」
そんな七瀬を目の前に、氷上の口元が薄く笑みを形どる。
その彼に、視線をそらさず見据えていた七瀬であったが、途端にその面差しを、沸騰し
たかのように上気立たせ。
視線だけはそらすまいと必死に睨み付けるが、あまりの辱めに視線を逸らしかける。
氷上の視線は先程とは異なり、まるで爬虫類の舌がそうするかのように、一糸まとわぬ
七瀬の裸身を、その肌を、ジワリジワリと這い回っている。
かつて剣道で鍛えられしも、女の丸みはいささかも失っていないその肢体。
思ったより小さく、か細い肩にも。
彼女の最大の泣き所でありながら、それをおくびにも見せずくびれる腰にも。
そのやや上部に、ひっそりと潜んでいる臍にも。
鍛え上げられしカモシカのような、しなやかに伸びる双の脚にも。
そして、両の腕で懸命に護りし乳房と股間にさえ、潜り込むように、視線と言う名の
見えざる蛇舌は、七瀬の桃に染まりし肌を蹂躪してゆく。
224七瀬留美羞恥SS――中編――:01/11/01 19:17 ID:IcSGkF9Q
「そうだね……」
視姦と言う名の鑑賞をひとまず中断し、氷上が七瀬に向き合い言う。
「な……」
そして、無造作に一歩一歩、無防備そのものの七瀬に近づいていく。
一歩一歩、裸の自分に男が近づいてくる。
そんな状況に知らず知らず膝が震える七瀬。
それでも。それでも一歩も引かず、男を気丈に睨み付ける。
そんな七瀬に触れるところまで氷上はついに近づいて。
無造作に伸ばされた男の腕に、庇いし両腕に力を込めて七瀬は縮こまる。
「え? や、やだ…っ?」
伸びた氷上の指は、何故か七瀬の髪にかかり。
浩平がいなくなってから後の髪型、ポニーテールを解いてしまう。
「……どういうつもりよ?」
訝しげに七瀬が問う。
解かれし七瀬の髪が裸の肌に優しくかかり、なんともいえぬ眺めとなる。
好き勝手に髪をいじられるも、両腕は乳房と股間を庇っている為に、彼女にはどうする
こともできない。
そういう無防備な七瀬に、氷上はさらりと言い放ち。
その言葉を聞いた瞬間、その指が動いた瞬間。
気丈な七瀬が真っ青に、その表情を凍りつかせた。
「やっぱり君は、ツインテールが一番だね♪」
225七瀬留美羞恥SS――中編――:01/11/01 19:19 ID:IcSGkF9Q
「――やめてええぇっ!!」

ガシッ!
彼女の女を主張し乳房を庇う左手を、引き剥がしてまでも七瀬は氷上の腕をつかみ、彼
の行為を阻止しようと、必死の形相で押さえつけようとする。
「おや、どうしたの? 胸を丸出しにしてまで」
「うるさいっ!やめて!やめなさいよ!!」
あらん限りの声を振り絞り、氷上の行為を止めんとする。
股間を庇いし右腕さえも使い、氷上の腕にぶら下がるかのように、必死に食い止めんと
七瀬は力を両腕にこめる。

(嫌だ! 嫌だっ! “あたしの裸”を見ていいのは、アイツだけなんだから!!)
打ち込んでいたものを、断念せざるを得なくなった時。
そんな時、尊敬する先輩が教えてくれた、自分のもう一つの道。
そして、その道を。いや、その自分自身を、受け止めてくれた男。
その男にだけは見せられた。一番自分らしい自分。
だから、耐えられた。
裸になれと言われても、裸を他の男に見られても。
今の自分は、かつて彼に見せた、唯一の自分ではないのだから。
でも。
でも、例え形だけといえども、あの時の自分を。
一番好きな、一番の自分の裸を、アイツ以外に見られるなんて。
――――耐えられない!
226七瀬留美羞恥SS――中編――:01/11/01 19:21 ID:IcSGkF9Q
「嫌あっ!やめてっ!やめてよバカ!!」
自分の裸身を晒してまで、そこまでしても、髪をいじる手を止めんと七瀬は叫ぶ。
嫌だ。
絶対嫌だ。
あの髪型での自分の裸を、アイツ以外に見られるなんて。
それだけを、ただそれだけを思いながら、必死に七瀬は抵抗する。
そんな努力も、何故ここまでの力を出せるかという氷上の腕力に、全然効を奏せず。
ガチャ!
「あぁっ!」
絶望的な状況に七瀬が喉震わせる。
暴れる七瀬の両腕が、後ろに回され、冷たい手錠をかけられる。
これで七瀬は身体を隠すことも、反撃することも、抵抗することすらできなくなった。
両腕を後ろ手に拘束されながら、それでもなお身を捩り抗う全裸の七瀬。
しかしそんな彼女の努力は、男の一言で撃ち砕かれた。
「ほぉら、キミの大好きな髪型だ!」

美術室にか細い鳴咽が響く。
ここまで堪えに堪えていた涙が、次から次へと溢れ落ちる。
後ろ手に縛られた両の手は、泣き顔を隠すことすら叶わない。
絶対に、アイツ以外に見られたくなかった、ツインテールの自分の裸。
乱れた髪を垂れさせて、七瀬はただ、一糸まとわぬ身体を震わせて。
ただ、泣きじゃくっていた。