「最っ悪」
漸く辿り着いた我が家の玄関で、七瀬は辟易した顔で呟く。
俺も無言で同意した。
話は十分ほど前に遡る。
俺と七瀬はいつもの如く例の十字路までは一緒に帰っていた。
日によってはお互いの家に寄る事も有るのだが、今日はどちらとも行くとも来いとも言わないのでそのまま帰宅の運びの筈だった。
が、十字路の一個手前の丁字路に差し掛かった頃、正に桶をひっくり返した様な大雨。
たちまちのうちに二人は濡鼠と化し、溜まらず走って俺の家まで逃げて来た訳だ。
「風呂使っていいぞ、そのままだと風邪ひくだろ」
大き目のタオルを調達してガシガシと頭を拭きながら七瀬に言った。
未だ十一月頭とは言え、雨に濡れて大丈夫な季節ではない。
「うん、そうさせてもらう」
同じくタオルで解いた髪を拭いてた七瀬は頷いた。
「ねぇ〜何か着る物貸してくれない〜?」
少し経った頃、浴室の方から七瀬の声が聞こえた。
「なんだ〜?」
浴室のドアの前まで歩いて応える。
流石の俺もここでドアをあけて踏み込みはしない。
「制服が全部濡れちゃってて着れないのよ」
「残念だったな七瀬。生憎俺の服は全部洗濯中だ」
「えぇ〜」
えぇ〜と言われてもなぁ。
「ここの所由紀子さんは出張ってたし、丁度今日の朝一念発起して溜まってた洗濯物を全部洗ったんだよ」
「へぇ、それで今日は珍しく起きてたのか。でも洗濯しても未だストックがあるんじゃないの?」
「ふっ、甘いな、俺は使える服が全部洗濯籠に溜まってから洗濯する主義でな。お陰で俺も学校の夏服だ」
「威張るな、ど阿呆」
がしん、とドアに何かが当った。
多分洗面器か何かだろう。
「うぅ、こまったなぁ」
「そうだ、今日体育があったから体操着持ってるんじゃないのか?」
「あ、そっか」
「鞄と体操着袋の二重コーティングだ。多少は濡れてるかもしれんが着れる事は着れるだろ」
「そうね。鞄取ってきてくれないかな」
「あぁ、待ってろ」
そうして七瀬に鞄ごと体操服を渡した。
渡す時少し七瀬の裸体が見えたが、既に関係を持っているのだからそれくらいでは向こうも怒りはしない。
いや、怒ったり恥ずかしがったりしてくれてもそれはそれで可愛いのだが………
「ん〜お待たせ。折原もお風呂入りなさいよ」
髪を結わきながら、体操服姿の七瀬が出てきた。
「ううむ、やっぱり体操服はえぇのう」
風呂を勧める台詞を無視しして『ブルマ万歳〜』と内心喝采。
「変態………」
そう冷ややかな目で見るなって。
「ぬ?」
体操服をまじまじと見詰めていた俺の瞳にある物陰が映る。
「どうしたの?」
「乳首がうっすらと………」
ニヤリ、としながら言ってやる。
「きゃぁっ。見ないでよ。ノーブラなんだから仕方ないでしょ」
胸元をとっさに腕で隠すとは何たる横暴。
この抵抗勢力め!
さては胸だけにムネオちゃんの手先だな。
「隠すなって、減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃないでしょうが」
ううむ、こういう恥らってる七瀬もかなり可愛いのだが………惚れた弱みか?
「時に七瀬」
「何よ?」
「上も下着を着けてないと言う事は、下も着けてないのか?」
「!!」
返事も無く顔を赤らめる。
ま、それが何よりの返事だな。
「いやぁ、素晴らしい。ノーパンブルマは人間の作り出した服装の極みだね」
「素晴らしくないっ!」
「男としては憧れの格好だぞ。いやぁ、協力的になったな、七瀬」
正面からぎゅっと抱く。
「あ、あんたっ…んぐ」
怒鳴る七瀬の唇を自分の唇で無理やり塞いだ。
数秒たって七瀬が腕の中でもがかなくなってから舌を入れる。
最初は前歯をなぞるように、段々七瀬もとろんとしてきた所で、あいつの舌に絡める。
「ん………」
鼻で息継ぎをする七瀬の声が妙に色っぽい。
既にあいつの体が俺に預けられているのを確認して、OKの意思表示と受け取る。
あいつを抱いてた片方の手を下に回し、ブルマの上からあそこをなぞった。
ビクン、と素直に反応する辺りが可愛らしい。
「可愛いぞ、七瀬」
唇を離して近くのソファーに横にさせる。
「卑怯者っ」
聞こえない聞こえない。
あいつの股間に顔を埋めて、ブルマをついばむ様に布の向こうに刺激を与える。
「ひゃん」
しつこく責めていると、俺の唾液と『そうでないもの』でかなり濡れてきた。
ブルマに覆われて匂いがこもっているのか、汗と女性の匂いが俺を襲い理性を奪おうとする。
どうしょうも無く襲う挿入欲を何とか抑えて顔を擡げた。
ならぬ、折角のノーパンブルマだ、しっかり堪能せねばならんのだ。
何とか理性を取り戻しつつ、今度はブルマを少し掴んで七瀬の恥部にこすり付けた。
「どうだ、気持ち良いだろ〜〜」
言葉に返事もせず、七瀬は力なく顔を振ってヤダヤダしている。
七瀬よ、そのリアクションは余計に苛めたくなるぞ………
と、言うわけで俺は次の行動に入る。
ブルマでごしごし作戦は右手に任せ、我が左手君の任務は右手の担当地域よりも数センチ奥、あいつの菊穴だ。
指でその辺りを軽く撫でた後、人差し指をブルマ毎菊穴の中に侵入させる。
「いやぁ、そこは違っ」
「ほうら、どうだ。ブルマが中に入っていく感触は?」
「そんなの聞かないでよ」
上ずって叫ぶ。
流石に深く入れるのは可哀想なので、人差し指関節一つ分だけ入れて後は中でぐりぐりする。
勿論、右手君も休まず作戦に従事している。
既に七瀬の息遣いも荒く、恍惚とした表情だ。
そろそろかな、と思い七瀬の耳を口で軽く愛撫してから聞く。
「そろそろ入れてもいいか?」
「うん」
意識が定かだか怪しい顔で必死に返事かえす。
ううむ、こいつのこういう顔の方が卑怯だと思うのだが………
「ふぁ、そうだ。今日危ない日だった」
「なぬ!ここまで来てそれかよ。ゴムの買い置き無いぞ」
このままでは生殺しもいいところだ。
「ご、ご免」
「参ったなぁ」
自分の股間を見詰める。
おぉ息子よ、こんなに立派に育ってくれてお父さんは嬉しいぞ。
「お、折原がしたいならこのままでも私は………いいよ?」
ぐ、やめろ七瀬。
その表情と台詞はまずい。
幾ら俺でも……いや、しかし………
「そ、その………口でするとかでもいいし」
ううむ、申し出はこの上なく嬉しい。
若し俺が昨日抜いておかなかったら間違えなくノックダウンだったろう。
それくらいに今日の七瀬は積極的な上に言動が可愛い。
然しそれにしても、どうしたもんか。
このまま放置じゃ息子が余りに不憫だ。
いや、待てよ。
折角ブルマなんだから―――
「こうしよう、七瀬」
「へ?」
俺は突然七瀬を抱えて床にうつ伏せにさせた。
「ちょっと腰上げてくれ」
「う、うん」
腰を上げさせると、下半身と床に幾分かスペースが出来る。
俺はそのまま七瀬に後ろから密着し、息子を七瀬の又にはさんだ。
柔らかい恥丘と太ももに挟まれてなんともいえない感触だ。
「動くぞ」
一応断ってから腰を前後に振る。
既に色々な体液でぬめっている七瀬の秘部一帯は滑りよい。
更にブルマのザラザラ感と今までに無い触り心地が俺を責める。
上向いた亀頭がブルマにめり込んで前後する度に先端に七瀬の淫部を感じた。
先走汁をブルマに擦り付けつつ、前屈んで胸を揉みしだく。
「七瀬って……結構……くっ……胸大きいよな」
「ふうぅんっ………」
俺もしっかり喋れてないが、七瀬のは既に言葉になってない。
前屈みになると、今まで股間に埋まる形だった息子が太ももの方に少し移動した。
七瀬の太ももは元々運動をしてせいか肉付きがよく、俺の息子をキュンと締め付ける。
ブルマと違いスベスベの肌の上にヌルヌルした液体があるそこは、先ほどとは違った快感を与えてきた。
耐え切れずに、段々と腰の後ろの方から射精欲が俺を襲いだす。
そろそろかな、と自覚しつつ体勢を元に戻す。
矢張りブルマ様がおわします以上、果てる時はその御身の上に果てたい。
上体を起こすと、再び亀頭がブルマをなぞる。
さっきよりもその部分のがシットリ――――いやグッチョリと濡れていたので、感触としては既に布ではなかった。
生暖かくヌメリ気の多い又別な何か、それが俺を包み込む。
「七瀬っ」
名前を叫んで亀頭をブルマに押し付けたまま果てた。
ブルマの布地の中に俺の精液を流し込み、昼下がりの常時は終わりを告げたのだった。
「で、私は何を着て帰れば良いのかしら?」
事が終わり後に残ったのは相変わらず乾かない二人の制服と、体液に塗れた七瀬の体操服。
「仕方ない、責任を取ろう。七瀬、この服を着てゆけ」
俺は潔く自分の制服を脱ぎにかかった。
「あほかっ!」
ゴス、と快音を響かせ七瀬のこぶしが俺を打つ。
「どこの乙女が男の制服を着て往来を闊歩するのよ。しかも夏服を十一月に!」
「大丈夫だ、別の策は考えてある」
「何よ?又変なのだったらもう二発殴るわよ」
目が本気だ。
握ったこぶしも震えている。
さっきの可愛らしい七瀬はどこに……
「詐欺だ」
「へ?」
「いや、なんでもない。気にするな」
「今更折原の変な言動に驚きもしないわ。で、その別の策ってのは?」
「由紀子さんの服を借りる。下着も探せば新品のがあるだろし」
何せ出張が多い由紀子さんは買いだめする性質だからな。
多分たんす探せば買い溜めした下着もあるだろう。
「あのさ………」
「どうした?不満があるか」
「不満は無いけど………体操服なんて着ないでその方法を最初から使えばよかったんじゃないの?」
「………気にするな」
「するわっ。綺麗に洗わないと使えないじゃない!」
「まぁ、そういうことも有るさ。と俺は自分の迂闊さを鼻で笑いながら、今日もウィスキーのグラスを傾けるのだった。FIN」
「勝手に終わらすな!!!…………はぁ、何でこんな男に惚れちゃったんだろう」