SS統合スレ#6

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119甘えん坊将軍@DEATH
 私には、何も残されていない。
 心を無くした耕一さんの身体以外には。
 私はあの日まで…耕一さんの心が失われた日まで…耕一さんの中に棲む鬼が覚醒しないよう、話し掛ける事はおろか近寄らないでいることを余儀なくされていた。
 別にそれで構わなかった。
 なぜなら私が耕一さんに接触しない事で、鬼の覚醒を遅らせる…ひょっとしたら覚醒そのものを止められるのではないかという一縷の望みがあったから。
 大好きな耕一さんに私の想いの丈を伝えるという我がままを通すよりも、耕一さんに人間らしく生きていてほしかったから。
 耕一さんに近寄る事すら出来なかったのは確かに辛かったが、その一方でほんのささやかな幸福感を得ていたのも事実だった。
『私の辛さが、耕一さんが柏木の忌まわしく、呪われた血とは遠ざかったところで生きてゆく幸福に繋がっている』と思っていたから。
 いや、私は『耕一さんと接することは出来なくとも幸せだ』と自分で自分に言い聞かせていたのかもしれない。
 耕一さんを恋しく思う自分の気持ちを紛らわせる為に。
 しかし、耕一さんが鬼化した為なのか、鬼の血に関係する『何か』があったのかどうかは知らないが、千鶴姉さんは亡くなり、耕一さんも心を無くしてしまった。
 結局私のしてきたことは泡沫の夢のように無に帰してしまったのだ。
 だから私はこれからずっと耕一さんの身体を求め続ける。
 もう二度と心が通い合わないのだから、せめて身体を重ねることで耕一さんと一つになろうとして。
「あっ! あっ! いや…嫌ですッ! あはあっ!」
 身体を動かす事のない耕一さんから必死に快感を得ようとして激しく腰を動かす。
 尤も、世の中にこんな奇妙な性行為はないだろうし、第一、自分から一方的に求めておいて『嫌です』と叫ぶ事自体間違っているだろうが。
120届かない想い(仮題):01/10/14 14:49 ID:yT56uLHR
 私は耕一さんの腰に背中に手を廻したまま、何度も何度も耕一さんの屹立した肉棒をアソコで貪る。
 半開きになった耕一さんの唇に自分の唇を合わせ、上下の歯列の間から下を侵入させて耕一さんの温かく柔らかい口腔内を蹂躙する。
「んぐうぅん…。ちゅぱっ…、じゅっ…」
 唾液と唾液が、そして私と耕一さんの繋がっているところから溢れ出しているエッチな汁が混じり合っていやらしい音を立てているが、別に誰にも聞かれているわけではないので以前ほど気にならない。
 むしろその音が私を更なる高みへと導く。
 私は狂った快楽を覚えてしまったから。
 先ほど私の膣内で熱い精液を破裂させて一度は柔らかくなった耕一さん自身だが、今ではその硬さを取り戻しており、私の膣壁に余さず密着して快感を与えてくれている。
 私の腰が沈むたびに膣奥にゴツゴツ当たる耕一さん自身が更にその硬さを増す。
 一度絶頂を迎えた私の身体も先ほどに比べてすっかりほぐれているため、普段なら激痛でしかないであろう下半身を引き裂く刺激も今では身体と心を融かすものでしかない。
 コンプレックスの原因でしかない私の小さな胸だが、耕一さんの大きな手で優しく愛撫されるのをイメージしつつ、自分の手で何度も揉む。
 時折、先端の乳首を指でつまんだり、押し込んだりすると全身が震えるくらい気持ちいい。
 胸を覆う甘美な感覚を求める一方で、硬く、熱い耕一さん自身に貫かれ、激しく身体の内側を何度も何度も犯されると頭の中がとろりとたゆたったモノに満たされてしまう。
 欺瞞に満ちつつも快楽に溺れていられる耕一さんとのSEXの最中だが、私の心の中ではドス黒い感情が渦巻いていた。
 耕一さんの身体を愛する事によって得られる快楽を以ってしても紛らわせる事の出来ない感情が。
121届かない想い(仮題):01/10/14 14:50 ID:yT56uLHR
 私は、千鶴姉さんに嫉妬していた。
 今もしている、といった方が正しいかもしれない。
 私の前世…エディフェルは耕一さんの前世である次郎衛門と恋に落ちたが、それは同時に異端の者との繋がりを意味しており、結局エディフェルは実の姉であるリズエルとアズエルの手によってその命を奪われ、次郎衛門とも引き裂かれてしまった。
 いくらエディフェルの記憶が後世の私…楓に残されているからといっても私自身がエディフェルであるというわけではないし、私の耕一さんに対する想いを培ったわけでもない。
 私は自分の意思で耕一さんを好きになったのだから。
 だが、今では千鶴姉さんが私と耕一さんとの絆を断ってしまった。
 耕一さんの心を奪うことで。
 もしかしたら私はエディフェルの代わりに殺された彼女の恨みを晴らしているのではないだろうか?
 それゆえに耕一さんの心を奪った千鶴姉さんに嫉妬しているのではないだろうか?
 それはない。
 何故ならエディフェルはその命を終える寸前、次郎衛門に『リズエルを…恨まないで…』と言い残したから。
 耕一さんを好きになったのも私なら、前世に於いてエディフェルの命を絶ったリズエルを恨んでいるのも私だし、耕一さんの心を奪い私の手の届かないところへ連れ去っていった千鶴姉さんに嫉妬しているのも他ならぬ私。
 私が…楓がエディフェルではないのと同様に、耕一さんも次郎衛門ではない。
 だから耕一さんが千鶴姉さんに心を奪われてもそれは仕方のない事だ。
 だったら私は耕一さんの身体を奪う。
 この世にはいない千鶴姉さんから。
122届かない想い(仮題):01/10/14 14:52 ID:yT56uLHR
 私の思考は耕一さん自身の先端から滲み出したモノによって中断させられた。
 今までの体験から、男性が達する寸前には少量の精液が出るということは知っている。
 あと少しで耕一さんが絶頂に達する。
 私は耕一さんと繋がったまま身体を上げ、今度は背中を海老のように思い切り反らした。
 手の平を畳の上につけて身体を安定させると、先ほどとは違う快感が私を襲う。
 耕一さんの身体の正面から愛していた時とは態勢が変わったせいで、私のアソコを犯している肉棒の入ってくる角度が変わったためなのだろう。
「耕一さん…耕一さん…耕一さん…耕一さんっ!!」
 足を思い切り開いて耕一さんの硬い肉棒を迎え入れ、腰を浮かせたり沈めたりする一方で時折左右に揺らす。
 もう、今の私は本能のままオスを求めるメスだった。
「あっ! あんっ! あはぁっ! あぁぁぁぁ…っ!!」
 耕一さんの名を呼ぶ声が喘ぎ声に変わったその時。
「!!」
 私の全身にとてつもなく甘美な感覚が走る。
 耕一さん自身から熱い精液がほとばしって私の子宮口を叩き、余さず焦がす。
 耕一さんの精液を膣内で存分に味わいながら、私は再び耕一さんの胸に顔を埋めた。
「はぁぁ…」
 互いの汗と体温、そして愛液と精液といった互いの全てがが混じり合う。
 心以外は。
 私は耕一さんに優しい言葉を掛けてくれるのを期待しているが、決してそんな事はありえないだろう。
 だが、私は激しく求めた後の緩やかに流れるこの時間も好きだと思っている。
 私は耕一さんの唇に、先ほどとは違って軽く口付けた。
『この何も考えないですむ時間が…ずっと続いてくれれば…』
 だが、いくら快楽に溺れようと耕一さんと二度と心を通じ合わせることはできないのを忘れる事は不可能だろう。
 私は深いため息を一つついた。
 現実に戻された瞬間、私は初めて背後からの視線を感じた。
「…!?」
 耕一さんと繋がったまま振り向くと、ぺたんと尻餅をついている女の子がいた。