●●要求。青紫(竹林明秀)はLeafを辞めろ5●●

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952950:01/11/26 06:07 ID:AsXSUtMV
あう 踏んじまったようなので立てます
953950:01/11/26 06:09 ID:AsXSUtMV
次スレ
●●要求。青紫(竹林明秀)はLeafを辞めろ6●●
http://game.2ch.net/test/read.cgi/leaf/1006722477/

あんまり立てた事ないんだけどね…
関連スレと前スレのテンプレ一緒にさせてもらいました
さて、今日で苦行も終わりか
長かったような…短かったような

さぁ、気を取り直して
>930の続きから 「竜狩人」ラストまで、行きます!
     3

   ナイト
 2:00N──深夜、キャスリーンは一人、丘の上に打ち込まれた十字架にくくられ

ていた。麗しきバスターが最初に竜を見た、あの丘である。

 周囲には鮮血にまみれた人工臓器が無造作にばら撒かれている。竜は人を食らう

という伝承に倣ってのものだ。

 時折、血の匂いに誘われた妖物どもが張り巡らされたプラズマフェンスに焼かれ、

逃げ惑う。

 月が低く、赤く染まっていた。

「──リサさん」

 足元に寄り掛かるリサにキャスリーンは呼び掛けた。

「なに?」

 明るい口調でリサが応じる。

「竜は現れるの?」
「来るわ……きっと」

 その答えに少女は少し黙り、

「あたし……、決心がつきました。

 もし……そんな事はないと思うけど、リサさんが負けたら……、あたし素直

に──」

「そんなこと言っちゃダメよ」

 そう言ってリサは彼女の言葉を遮った。

「まったくだ……」

 その声に、キャスリーンはハッとなり、

「本当はもう一人いるのね」

「いかにも」

 少女の問いに、姿無き声はようよう言った。

「あなたは誰?」
「ワシは、アルスレイ。不肖娘の父親をやっている……」

「こらこら……」

 左手を持ち上げ、苦笑混じりのリサ。その手の先には愛用の長剣が揺れている。

「リサさんのお父さん? どうして剣の中に?」

「話せば長くなる」

 そのとき、リサの超感覚に何かが触れた。

「──シッ、何か来るわ」

 草原をかき分けて、何者かがやってくる。大きな何かが──

 やがて、その者の正体をリサは看破した。

「王子様のご登場よ、キャスリーン」
                                  ツ ケ
 程なくその言葉を証すように、エキゾーストを響かせて水素車がライトも点灯ず

丘に乗り込んできた。プラズマフェンスに横付けするや、降り立ったドライバーは

ボンネットを蹴ってフェンスを飛び越えた。
「ディード!?」

 キャスリーンの驚きもむべなるかな、白馬の王子はディード・ブライアンだった。

「我慢しきれずに家を飛び出してきたよ」
       ニュートロンガン
 フレアガンと中性子銃で武装したディードは、はにかんだ笑みを浮かべて言った。

「ディード……」

 瞳に涙を溜めてキャスリーンが答える。

「勇ましい若者だな……、近ごろ珍しい」

「あたしたちはお邪魔ね」リサはディードに歩み寄ると、

「彼女は任せたわよ」

 と肩に手を置くリサに、ディードは、

「え、リサさんは?」

「あたしは竜の城に直接乗り込むわ……。もう待ちくたびれちゃった」

 ディードは呆気にとられた表情を見せていたが、すぐに力強くうなずき、
「わかったよ。頑張って、リサさん」

「それはこっちの台詞。任せたわよ」
                     フモト
 苦笑しつつリサはフェンスを飛び越え、丘の 麓に停めたMCに跨った。

「今降ろすよ、キャスリーン」

 MCが走り出すのを見守り、ディードは思い人に駆け寄った。


     §   §   §


 辺境横断道路を行くMC。

「いいのか?」

 愛刀──アルスレイが問うた。竜の城までMCで一時間は必要だ。その間に竜と

すれ違う可能性を含めた問いであろう。

「いいのよ。あいつはあたしを始末したがってるようだけど、今夜くらいはおとな

しく仕事するわよ」
         ・・・・・・・・
「気付いていたか、もう一人の王子に」
オンギョウ
「穏形の術は合格点ね」

「なるほど、彼奴ならば立派な護衛になりうるか……、我が娘といえど侮れん」

 滅多に聞けぬ父の誉め言葉に、ヘルメットの奥でリサは目を細めた。

「ふふっ、ありがと」

 親子の会話は、あの丘に現れたディードに在らぬもう一人の存在についてであっ

た。

「しかしあの女竜、お前を警戒してか姿を見せなかったな」

「そうね……」
「あんた、誰だい!?」

 突如姿を現した存在に、ディードは驚きの声を上げた。背後のキャスリーンが脅

えを伝える。

「おれか、……おれはインテンション兄弟」
 ライトアーマー
 軽量鎧に身を固めた野生味あふれる男、ゲック・ブレードが答えた。リサを負傷

させた弟である。また、親子の指す『もう一人の存在』でもあった。

「あんたが村長の雇った……」

「あの女、おれに気付いてまんまと利用しやがった。大したタマだぜ」と吐き捨て

たゲックは、未だ警戒を解かぬ二人に、

「おれもプロだ。こうなった以上、ちゃんと護ってやるよ」

 そう言って腰を下ろしたゲックに、二人はようやく安堵のため息を漏らした。

 だが、五分と経たず、二人は恐怖に身を震わせるのであった。

「ほほ、もう安心じゃ、あやつは戻ってはこぬ……」
 天空より白い影が舞い降りた。

 無機質な美の結晶、流れる蒼い髪、白のロングドレス──

「娘よ、参ろうぞ」

 竜はゆっくりと手招きした。

 彼女はリサが動くのを待っていたのだった。さしもの竜狩人も、女竜の穏形を看

破することはできなかったのだ。

「──てめえが竜か。……覚悟しな」

 薄笑いを浮かべ、ゲックは連射式ボウガンを構えて言った。

 対する竜は汚物を眺めるような視線を送り、

「……何と言った?」

 と訊いた。

「お前はたった今滅ぶ。覚悟しろと言ったんだ」

「愚かな。人間風情が私を滅ぼすとな……」
「そうだ……」

 バネが弾け、黒い奔流が迸った。必殺のボウガンである。

 軽く身を逸らせてやり過ごす竜の肩口に、二本目の矢が深々と突き刺さった。

 ディードが「殺った」と呟く。

 初発の矢を回避する相手の思考を読み、次の矢で追い詰める──インテンション

弟の秘技、『読み矢』である。

「ほお……面白い技じゃな。しかも、毒を盛ってある」

 事実のみを告げるような竜の言葉であった。

「いちころさ……」

 静かに言い渡す。

 未だボウガンは竜を睨んでいる。すなわち、とどめの一撃はいつでも放てると。

辺境に名だたるバスター故の抜かりのなさだ。

「きさま、今まで何人の同族を滅ぼした……」
 動かず、竜は訊いた。

「両手じゃ足りねえな」

 冥土の土産、どんな問いにも彼は答えるつもりだった。

「両手に足りぬほど、幼き者どもを殺めたか……」

「なにィ!?」

 ゲックの瞳が驚愕に見開いた。

 見よ、竜の手が優雅な弧を描き、肩口から延びる矢を掴み──抜いた。

「くそっ!」

 竜が何か言う前に、ゲックは引き金を引いた。死の宣告を封ずがごとく。
    オノノ
 恐怖に戦きながらも、必殺の読み矢は正確であった。

 かわされた──

 竜の動きは白い残像さえ伴っていた。

 相手の思考が次々と流れ込んでくる。そうである限り、彼は無敵の筈だった。
 右──、左──、右──

 ゲックの矢はしかし、すべて過去の位置を貫いた。

「それが最後かえ?」

 ゲックの眼前で竜が訊いた。

 震える銃口が竜の眉間を仰いだ。もはや避けようのない距離であった。

「撃ってみよ……」

 言葉どおり彼は引き金を引いた。笑いとも泣き顔ともつかぬ表情で──

 秒速六百メートルで撃ち出されたそれは、空中で止まった。

 ゲックは、黒い花びらを撃ち抜いた気がした──が、現実にそれは射貫けなかっ

た。

「私に傷を負わせた手腕、見事であったぞ……」

 竜は微笑み、賛嘆の言葉を送った。その天上の笑みに隠れた思考を読み、ゲック

は悲鳴を上げた。
 ──死すべし……

 それが宣告だった。ゲックの頭部は秋風にそよぐ果実のように揺れ、地に落ちた。

眼も覚めるほど美しい切断面を残して。

 惨劇に耐えかね、キャスリーンが小さな悲鳴を上げる。

 竜がこちらを向いたとき、ディードは覚悟を決めていた。恐怖に震えながらも、

右手のフレアガン、左手のニュートロンガンを持ち上げる勇気はあった。

「さあ娘、行こうぞ」

 ゲックの死体をまたぎ、竜は歩みを進める。

「動くなッ!」

 ディードが叫び、両手の銃を突き出した。その手はまだ震えている。

 竜は歩みを止め、

「……また邪魔をするか。あの男の最期を見たであろう? まだ私に歯向かうか」

 諭すように言う。
「キャスリーンは渡せねえ! 闇に帰れッ!!」

 『歴史の闇へ帰れ』──竜に対し最大級の侮辱である。

「言うな……少年」竜は苦笑し、

「お前は死ぬ。命を捨ててまでその娘を救う価値はあるのか……」

「あるさッ!」

 ディードが言う。キャスリーンはその背にすがり、頭を振って何か言おうとした。

しかし恐怖のあまり声にはならなかった。

 ──もういいの。やめて、ディード!

「ほほ、では覚悟はいいな」

 竜は再び踏み出した。

 ダン! ダン!

 銃口が火を噴く。

 六千度のフレアと、五千シーベルトを超える放射線が白い美女に殺到した。
 標的の直前でそれらは、黒い三辺形の障壁に阻まれた。フレアは運動エネルギー

を失い、位置エネルギーのすべてを大地に叩き付ける。中性子もまた、それに続く。

 ダン! ダン! ダン!

 発射音だけが淡々と続く。──他に音はない。黒い壁に阻まれ、膨大な運動エネ

ルギーが次々と、音も無く消去される。

「……もう終わりかえ?」

 弾切れだ。その声にディードはようやく、対抗手段を失っている事に気付いた。

冷たい汗が頬を伝う。

「そこをどくのじゃ」

 次の言葉で、彼は竜が一メートルと離れぬ位置に立つのを知った。

「い、いやだッ」

 それが精一杯の抵抗であった。
 竜の右手が上がり、ディードは耳元で何かが弾けるような微かな音を聞いた。程

なく、汗とは違う生暖かいものが頬を下る。
             クビ
 自分もゲックと同じように頚を断たれるのであろうか? 痛みはあるのだろうか?

 そんな疑問だけが浮かんだ。

「その娘が好きか?」

 竜の手が血みどろの頬を撫で、ディードはビクンと脈打つ。白い死神は眼も眩まん

ばかりの優しい微笑みを見せた。その笑みは麗しき竜狩人のものと似ている。

 必死で彼はうなずいた。何度も何度も。

「そなたも参ろうぞ……」

 頬の傷が癒えたことにディードは気がつかなかった。浮揚感が身を包んだために。

 ディードは、キャスリーンと竜と共に、空に昇った。

「……なぜ?」

 人の男女は同時に問うた。
 竜の城は色を放っていた。白い光、それらは窓という窓すべてから溢れ出してい

る。

 鉄柵は開かれていた。リサはひたひたと石畳を行く。

 その先に待つ者の気配を彼女は知っていた。

「竜狩人リサ・アルテイシアだな」

 石畳の上で男が訊く。この時期この時刻に竜屋敷を訪れる者など、正気の沙汰と

は思えない。そうでなければ、よほどの実力者であろう。

「あなたは?」

 リサが問うた。

「インテンション兄、ゲイル・ブレード。

 ──お前が現れるとは……、弟は敗れたな」

 しみじみ言った。詩人のようでもあった。

「竜が現れたの!?」
 一歩踏み出し、驚きの声を上げたのはリサだ。その一言で、ゲイルはすべてを悟っ

た。弟を葬った者の正体を。

「二人の子供は無事だ。五分も前に竜と戻った……」

 言いようのない凄愴な鬼気がリサに吹き付け始めた。

「一人になって儲けが増えたって顔ね」

 彼女は剣を抜いた。

「察しがいいな……」

 ゲイルは口元を歪めた。──笑いの形に。二人で竜を斃そうとは言わない。あく

まで報酬に対する醜悪な思想が反映された笑みであった。

 対するリサは無言。

「言っとくが、おれは弟より強いぞ」

「そお……」

 そっけなく言い渡した。
 ゲイルはゆっくり歩き始める。男の接近を人形のように、リサは身動きひとつせ

ず迎えた。
     ・・・・・・
 否──。できないのだ!

 頬に伸びるゲイルの手を、無表情に彼女は見守った。頬の感触をゆっくりと楽し

み、

「こうして近くで見ると、筆舌に尽くしがたい美しさだな」
                 ス
 言いながら、男はリサの髪を優しく梳いた。

 動けないリサ。

「ほお……珍しい。お前、リザームだな。人間離れしたその美しさ、うなずける」

 リサ──動けず。

 ゲイルは邪悪な笑みを浮かべ、
                      ・・・・・
「ひとつ教えよう。弟は意志を読むが、おれは、意志を詠む」

 リサの長剣がゆっくりと持ち上げる。ゲイルは一歩退いた。
 ああ、インテンション兄は相手の意志を操るのか……。

 彼女の胸の高さで切っ先は転じ、主の喉元を向いた。

「殺すには惜しい」ゲイルは背を向けた。彼女の死に様を見るに耐えないという風

に……、

「──死ね!」

 ブシュッ!

 血飛沫が舞った。
 地下の一室。あの、『炉』の正面で三人の男女がたたずんでいた。

「まだですか?」

「まだじゃ。……待つのじゃ」ディードの問いに竜が答える。続けて、

「もうじき、忌まわしきバスターが現れる……。決着を付けねばならない」

 と、呟いた。


     §   §   §


「な、何故だ……」

 ゲイルは愕然と訊いた。見下ろす胸元から、鮮血と共に切っ先が覗いている。

「娘の意志はうまく書き直したが、ワシの方は手が回らなかったようだな……」

 声が言う。

「誰……だ……」

 この場に存在せぬ筈の者の存在を、初めて彼は意識した。
「ワシだよ」

「!?」

 ゲイルは見た。刀身に浮き出た眼を、鼻を、口を──

「ふう……」

 剣を収め、リサは駆け出した。目指すはあの地下室。

「インテンション兄弟……、あれほどの技量を持ちながら、哀れな……」

 地下への入り口は開かれたままであった。

「歓迎……ってわけね」

 風をまいて階段を駆け降り、部屋に飛び込んだリサは、三人の姿を見た。

「リサさん!」

「ディード、キャスリーン!」

 二人の呼び掛けにリサは応えた。そして、残る一人に眼が行く。

「待ちかねたぞ……竜狩人」
「どーも」

 乗り合い馬車の発車を引き止め、遅れて乗り込んだ際の──そんな風な挨拶であっ

た。

「来るぞ、『黒斬華』」


     §   §   §


「──コクザンカ?」

「そうだ。当時はそう呼ばれていた」

 キャスリーンの安否を気遣い、村へ向けて疾走中のMCでアルスレイが言う。

「あれは精神力で空間を切り取る技だ……。切り口は決まって、三角か六角。向こ

う側の光線を遮断するため、一様に黒い」

「へえ……」

「切り口は完全な二次元体で厚みはないが、その向こうへは何者も通さない……。
 通るべき空間がそこで終わっているのだからな」

 彼は淡々と語る。

「空間を切るってことは、何でも切れるの?」

 空間を断つ──それはすなわち防御不可能を謳うのではなかろうか。当然の問い

だ。

「そうもいかん。空間を切るということは、空間に存在する物質も切るということ

だ。

 例えば、地上には空気がある。空気分子以上に堅固な物体を断つのは、竜族の精

神力を以ってしても容易ではない。無理に断とうとすれば痛い目に遭う。せいぜい

相手の肉体が限度だ」

 その技がキャスリーンの父、クライアン・クロードの右腕を断ったのだ。
 ・・・・・・・
「堅い物で防げるんだ……。射程距離は?」

「あの技は当人からの距離、切断する物質の硬度、面積、断面を維持する時間……

の四要素にエネルギーを費やす。
 相手を切るには剣の間合い以上に近ければならんな……」

「ふ〜ん。詳しいのね」

 言葉どおりの感嘆をリサはこぼした。

「お前の母の技だ……」

「あたしの、ママの……」


     §   §   §


 火蓋を切ったのはリサだった。

「おのれッ!」

 神速で乱れ飛ぶリサの鋲は、竜族の眼を以ってしても黒い奔流としか見ることが

出来なかった。必要以上に大きく空間を裂くほかはない。

 辛うじて鋲をしのぐが、既にリサは目前に迫っている。

「やめてぇッ!」
 銀光が薙いだ。だが、その叫びがリサの太刀筋を鈍らせた。

 竜が飛び退り、リサもまた数メートルを飛び退いた。

「キャスリーン!?」

 リサの一撃を妨げたのは、他ならぬ少女キャスリーンの叫びであったのだ。

「見逃して……、彼女を見逃してあげてッ!」

「え……?」

 救おうとする者の意外な発言に、リサは愕然とした。

「奴め、『炉』の秘密を打ち明けたか……」

 声はリサには届かなかった。ディードもキャスリーンと同じことを言ったのだ。

「ほほ、彼らもそう言っておる。立ち去ったらどうじゃ?」

 嘲るように竜は言った。

「──イヤよ」

 リサは首を横に振った。
「リサさん……」

「ほほ、愚かな娘よ」竜の眼が赤光を放つ。

「ならば死ね!」

 光圧に押されリサの身体は壁に叩き付けられた。四肢の自由も奪われる。

「くっ、さすがは本家の『邪眼』」

 本来の力を発揮した竜はゆっくりとリサに迫る。光圧は更に勢いを増す。

「竜狩人を名乗る『忌み子』め、その剣で何人殺めた? 十か二十か?」

 射程距離に入った。いかな竜族の血を引くリサといえど、頚を断たれては無事で

は済むまい。
    ホゾ
 リサは臍を噛んだ。

「さらばじゃ……」
              アオ
 更に赤い光が辺りを包んだ。煽りを食ったように、竜はよろめいた。

「おのれ……」
 竜は憎悪の視線を向ける。

 リサの首筋には、寸前、己の白刃が添えられていた。刃もろとも、彼女の頚を断

つことは出来なかったのだ。竜は、断てぬもの断とうとし、精神波の逆流という報

いを受けたのだ。

 それ以前に、リサの瞳の放つ赤の強さはどうだ。それは明らかに竜のものを超え

ていた。

 リサはゆっくりと太刀を振り上げる。

「リサさん!!」

 ディードが叫ぶ。

「やれ、リサ!」

 竜を護るように、巨大な黒い六辺形が出現した。──必死の防御。

 一刀はうなりを上げて振り降ろされ、あろうことか、黒斬華の向こうで竜は袈裟

がけに切り裂かれた。
 鮮血が舞い、黒い花びらを濡らす。

「そんな……私の『黒薔薇』が……」

 黒薔薇は散り、竜は膝をついた。

「『超光速の剣』……覚えておけ」

 もはや勝負あった。秀麗な竜狩人は遠く宇宙を想うような、そんな仕草を見せた。
   オモ            マン・リアクター
「いま憶い出したわ……。あれは 『人間炉』……『LS計画』の落とし子ね」

 リサの言葉に、竜は愕然と、

「何故、計画の名を……。その力、その美貌……もしや、あなた様は……!!」

 果たして彼女はリサの面影に何を見たのか。無言でリサは剣を収めた。鞘鳴りが

後を引く。

「リサさ〜ん!!」

 闘いの終わりを知り、二人が駆け寄った。

「死んじゃうの?」
 キャスリーンの問いにリサ答えず、

「炉は完成したの?」

 と訊く。

 竜は息絶え絶えに、

「判らぬ……。恐らくは……その二人が燃料になれば……」

 ──人間炉。人間を燃料とし、莫大なエネルギーを生み出す機関。特に、『増殖

炉』と呼ばれるものは一定期間の作動後、増殖した無限のエネルギーを元に永久に

活動する究極のエネルギー機関である。

「あたしたち、喜んで実験台になるつもりだった……。なのに──」

「……心配するな、私は……まだ死なぬ……」
 炉の真上、炉心へと続く昇降機の前でディードが訊く。

「おれたち、大丈夫だよね」

「心配無用じゃ──」

 下方の操作パネルに身をもたせ、竜が言い、

「大丈夫。うまく行けば百年後、二人は今のままの姿で出られるわ」

 後に続く言葉をリサが加えた。

「うまく行かなかったら……?」

 キャスリーンが訊く。

「そんな心配しないの。──村の平和はあなたたちが守のよ」

 とリサは肩を叩く。彼女は少し考え、

「解りました。あたし、なにを心配してるんだろ」

 と舌を出した。

「その意気よ」
 リサは明るく微笑んだ。

「──お願いします」

 ディードの声で扉が閉まり、二人の姿は炉心へと消えていった。


     §   §   §

             モクトウ
 ──次の朝。盛り土の前で黙祷を捧げたリサは、一言呟いた。

「あの増殖炉なら、村の土地を永久に清める能力があるわね」

 二人の愛を燃料に、邪悪な魔物からは永久に村は護られるであろう。炉のエネル

ギーは平和のために使われるのだ。

「無論だ。……この土地の不自然な霊的安定さを知ったときに気付くべきだったか

もな」

 身を翻し、リサは紅いMCに跨った。
「しかし、口の中を噛み切り、自分の──人間の血を食らって竜族の本性を現すと

は……。血は争えんな」

 その呟きはリサには届かなかった。

「次はどこへ行こうかなぁ」
              フモト
 MCは滑るように走り出し、麓へ向けて加速を始めた。

 親子の旅はまだ続く。空は高く、秋の訪れを告げていた──

                            『黒薔薇使い』 完
     あとがき

 新しい個性の誕生である。いや、今回はノリにノった。
                      ・・・・・
 竜狩人は、今から四年も前に長篇を前提として描きかけた作品であった。その設

定をサルベージし再構成したのが、今回の『竜狩人─黒薔薇使い』である。

 短篇であるが、はっきり言って『バンパイアハンターD』である。内容は更に『D

─想秋譜』をベースにしているので、シチュエーションが酷似している(笑)。
                                   カモク
 しかしながら、『D』とはまるで違うキャラクターになってしまった。彼は寡黙
              ジョウゼツ
で男臭く、そのくせ同年代には 饒 舌 なキャラだが、リサは同世代にお喋りである

点を除けばまるきり正反対のキャラとなってしまった。それが功を奏したのだと思

う。

 お話の方はリサ初登場となるので、彼女の主な能力はすべて登場するという贅沢

さ。
 面白さは、読んでみての通り……。

 機会があれば、彼女の活躍の舞台を与えたいと思っています。


    一九九六年 七月二八日早朝

           工藤静香「蝶」を聴きながら
                                青紫
     今、読み返すと

 最近の作品なので、文体などは今見てもそこそこいけてるかな、と思います。

 問題なのは、味が薄いということでしょうか。展開にも盛り上がりにも欠

けます。

 まあ、私が吸血鬼ハンターDを書くとこうなるでしょうけど。


 主人公リサについてですが、彼女は私の作品にいろいろ登場しています。

多くは別人なのですが、名前はちゃんとリサです。

 実はこのリサもオリジナルではありません。

 ドラゴンバスターリサはオリジナルから派生したキャラクターで、性格も

かなり違います。今回、更にCVにある人をイメージしたので少しキャラの

口調が変わりました。
 多分みなさんお判かりでしょうけど……。


 美麗の竜狩人リサ。機会があれば本当にまた活躍させてあげたいです。

                           1997/11/9 青紫
以上である、とにかく今回上げるだけでも苦行であった
「誰彼」で分かっていたとはいえ、無修正の超先生作品が
こんなにも危険だとは…

応援&スレ独占を黙認してくれた住人の方々に感謝を
そして、我々に多大なネタを提供してくれる超先生に敵意を表して

    2001年 11月26日深夜

           井上喜久子「がんばって負けないで」を聴きながら
                      高橋・水無月原理主義者穏健派 ◆lleaf5PQ
992名無しさんだよもん:01/11/27 01:30 ID:KAvDXQC2
うぇんでにゃん、
チョキの神様がやって来るよ!
993名無しさんだよもん:01/11/27 02:08 ID:Twxzzp47
お疲れあるよ・・・
994名無しさんだよもん:01/11/27 02:23 ID:eCAyx4TV
誰も埋め立てないの?
995名無しさんだよもん:01/11/27 02:23 ID:eCAyx4TV
1000狙っちゃうよ?
996名無しさんだよもん:01/11/27 02:24 ID:eCAyx4TV
朝鮮製まんせー
997名無しさんだよもん:01/11/27 02:24 ID:4ZC4gUSy
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│             | 盗作中  ,,|/             | 
│                                    |
│             Now pakuring. ...              |
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│         そのままの青紫でお待ちください。.        |
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998名無しさんだよもん:01/11/27 02:24 ID:eCAyx4TV
偉い人にはわからんのです!
999名無しさんだよもん:01/11/27 02:24 ID:4ZC4gUSy
1000
1000名無しさんだよもん:01/11/27 02:25 ID:eCAyx4TV
ぬ?らいばるか?とりあえず1000!
10011001
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