ブギーポップは藁わない

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160誰彼(゚д゚)ウマー!
他の五人が寝静まったことを確認すると、麻枝は青紫の傍らに立った。
その愛らしい寝顔にかまわず、じろじろと、無表情に観察する。
と、突然彼は青紫の上に覆い被さって、自らの唇を彼のそれに重ねた。
それだけではなく、舌で青紫の口の中を乱暴に掻き乱した。
眠っている青紫の体が、反射的に唾液を分泌すると、麻枝はその味を確かめるべく
舌をさらに二、三度うごめかせた。味はすなわち、成分のデータである。
「.....!」
顔色がかわる。
蒼白になる。
「......」
彼は青紫からゆっくりと体を起こすと、その唇を手の甲でぬぐった。
そして呟いた。
「知っていて、造ったのか・・・?いや、そうじゃないだろう。自分たちでも何を造ったか
知らなかったんだ。おそらくは、今でも本当の威力には気づいていまい。」
それは絞り出すような声で、自分に確認しているというよりも、
言わずに胸にしまっておくことに耐えられない、そんな感じの独り言だった。
「なんてことだ・・・・・・失敗作だ。それもとんでもない代物だ。」
その奥歯が、抑えきれないでかたかたと鳴っていた。
むろん、純然たる恐怖のために。