「あんたは――いったい何なんだ?」
「"リーフの敵"をこの業界から消し去る者だよ。そして――」
「――君が、まさに"それ"というわけだね、今回は」
冗談みたいに軽薄な、それは紛れもなく死刑宣告だった。
「そ――そんなことはない! 違うんだ!」
「ほう、何故だい?」
「お、俺にはもう、"そういう危険なもの"は何もないんだよ!」
「危険なもの? 具体的には何のことだい」
「だから――人の"作品"をパクるとか、そういう悪質な能力の事だよ!
俺はもう、そんな前科は何もない、ただの竹林明秀なんだ!」
「だから?」
「いや、だから俺はそんな、リーフの敵とかそういう大層なものでは――」
言いかけた彼を無視して、ブギーポップは唐突に口を挟んできた。
「君には、能力も何もなく、もうこれ以上リーフに何もすることはない、と、そう言いたいのかい?」
「そ、そうだよ!」
「それは、"嘘"だよ」
「え……?」
「リーフに対して、何もすることがないスタッフなんて存在していないのさ。
君がそういう"何も出来ない"君である事が、それ自体が既にリーフに"枯葉"という可能性を作っているんだよ」
「……? ? 何を言っているんだ……?」
「問題なのは能力の有無なんかじゃない――そんなことは些細な事だ。
問題なのは、君という存在が"そういう奴"であるということ――それだけだ」
「――――」
「能力が消えた、と言ったね。あるいは、それこそが君にとって最後のチャンスだったのかも知れない。
だが結局、君はパクリをしようとするまいと……君でしかなかったようだ。君は自分が何なのか知っているかな」
「…………」
「君は"無為"なんだよ。何のためでもない存在なんだ。君というものがいることが、他のものにも、そして君自身にすらなんの意味もない――パクリの有無など、その事に比べればどうでもいいことなんだ」
ブギーポップは彼から視線を逸らさない。
「君にはライバルが多いだろう。これまでも圧倒的なまでの才能に何度も対峙してきただろう。
その度に君は生き残ってきた。君は従順で使いやすい、とか判断されて――だがそれは違う。
君は従順なんじゃない。君は最初から"傑作"なんか作れないと、自ら作品を破壊してるんだ。
そして……リーフに君という可能性を広げていく。
先に何も残さないで、ただ雲散霧消していくだけの未来を――だから」
ブギーポップはここで、彼の事を哀れんでいるような、憎んでいるような、左右非対称の奇妙な表情を浮かべた。
「だから――君は、"リーフの敵なんだよ」
131 :
名無しさんだよもん:01/10/17 01:11 ID:vUm0WbGv
>129-130
上手い。フェイルセーフ=超先生はマジはまりかも。
>>129-130 ワラタよ、傷赤ならほぼそのままで置き換えて使えるね。
「ぼ、僕はまだリーフの役に立てる!
べ、別に裏切った訳じゃないんだ!
害になるようなことは何もしていないだろう?
"うたわれるもの"の完成まで待ってくれ!」
「もう"待って"いたのよ、ずうっとね――
そしていま――時は尽きたのよ」