「前に、広島の前田だと思うんだけど、高い軌道の(ホームラン)を打って、
凄く嫌そうな顔して回ってるんですよ。ウチのローテーションから打って何が
不満なんだ、あの野郎と落合に毒づいたら、オチが「あれは酔っ払いだから、
そりゃあ気分悪いよ」って言うんですよ。
「酔っ払い」っていう のは隠語みたいなもんなんですよ。東京ドームのバック
スクリーンの右あたり、気温とかで冷房も違うからいつも同じ場所じゃないけど、
丁度セカンドの頭の上あたりの高いところから一番大きい「道」が出来ているん
ですよ。フラフラッと上がったのが千鳥足のまま柵を越えるので「酔っ払い」って
言うんですけど、最初に見たときに(ボールが)酔っ払いに当たったからという
のも命名の理由の一つらしいです(場内笑い)。
場所は、同じじゃないのだけど、「今日はこことそことあそこに 酔っ払いが居る」
って表現します。「酔っ払い」が多い日、蒸し暑い日なんか(空調効かせるから)
「酔っ払い」が多くて投手コーチとしてはやってられないんですよ(場内笑い)。
投手コーチとしては頭が痛い話でね、勘弁して欲しいですよ本当に(場内笑い)。
むかし日本ハムの外人はそこ狙って。高さが出ると乗せやすいから、日本人より
高いのが出るのも当然。嫌な話です。前田なみにバットに拘る選手なら、そりゃ
気分悪いだろう。なんとも思わない方がおかしい。オチも、あれはホームランじゃ
ないって言ってましたけど、風に乗るとか、球場が狭いとか、アレはそういうもんじゃ
ないから。打ち取った当たりですから、風に乗せる当たりとは、似てるようでいても
比べられるもんじゃないんです。
(空調が作る風の「道」に載せて運ぶホームランは)狙って出来るような
もんじゃないからまだ我慢出来ますけど。ピンポイントという奴です。
練習すれば確率も上がるのでしょうけど、普通の打撃を無視してあんな
馬鹿げた球を上げる…流石にそんな馬鹿はいないと思っていたんですが、
甘かった。
元木の馬鹿が「酔っ払い」に当て(てホームランにす)る練習始めて、
もう呆れた(場内笑い)。 その挙句ね「左中間右、スクリーン右、右中間
右の(風が吹いている)三箇所を制覇した」とか自慢して、「ああ、
こいつは駄目だな」とあきらめました(場内笑い)。
今年も清原と二人で練習中に「酔っ払い」ばかり上げてゲラゲラ笑って
るんですよ。清原も付き合う人間考えた方が良い。それにね、清原が
足りない部分がそこなんじゃないかと。フザケ半分とはいえ、酔っ払いで
喜ぶプライドってのはな。今からでも遅くない、真面目にやって欲しい
けど、私が言っても説得力ないんですよ。打者じゃないから管轄外だし、
私は恥ずかしいからと人前で練習 しなかったのがこんなところで自分に
還ってくるとは思いませんでしたが、身から出た錆です。
それでね、週刊誌の記者がそれを見て「清原アーチ連発、今年は本塁打王
確実」なんて書いて。もう何も言う気がなくなるほど脱力しましたよ。
今の選手はそれでいいんですかね。
愚痴ったら「あれも一本だから仕方ないよ」ってオチに慰められましたけど、
「本心じゃないだろう」って聞いたら、「そんな奴は終わるのも早いんだから
放っておけば」って突き放してましたよ。
プロは甘い世界じゃないものな。ちょっと不条理を感じてましたけど、プロ
野球の世界はね、生半可な人間を置いておくほど甘い世界じゃないんです。
元木も先は遠くない。自分の安易な道が自分を殺すんです。自業自得ですよ。