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怒るでななし:
出版業界の売上高万年2位といわれてきた小学館が常勝・講談社をついに抜いた。
しかし、これは副業の伸びに支えられた歪(いびつ)な勝利。
出版業界はいま、「総負け」の氷河期に喘いでいる。
小学館の2006年度の売上高は1470億円と、ライバル・講談社(1456億円)を初めて上回った。
だが、東京・一ツ橋の小学館本社から凱歌は聞こえず、
創業以来の2位に転落した東京・音羽の講談社からも、反転攻勢の狼煙は上がらない。
小学館にしても売上高が前年度比0.8%落ちており、勝ち取った首位ではなく、
同5.8%減の講談社よりも落ち幅が小さかったにすぎないからだ。
小学館のある幹部は
「06年度は05年度並みの1480億円を目指したのに、結果は10億円下回った」と浮かない表情だ。
首位奪取は敵失によるもので、役員報酬も減額を余儀なくされた。
一方の講談社の幹部も「ウチはここ数年、新雑誌創刊、書籍発刊を絞り込む縮小均衡が続いており、
首位奪回を目指す意欲を失っている」とぼやく。同社の屋台骨を長く支えた雑誌は『週刊少年マガジン』だが、
「この10年間に部数が300万部減った。一冊200円として1週間に6億円、年間では300億円の減収になる。
この大きな穴はさすがに簡単には埋められない」と諦め顔だ。
講談社のある中堅幹部は若手編集者のチャレンジ精神の低下を憂え、
「社内に『俺は絶対こんな雑誌がつくりたい』という気骨のある編集者が少なくなった」と、
編集者のサラリーマン化を嘆く。