134 :
なんてったって名無しさん:
雨上がりのサンジェルマン
岡村有希子
名曲。だが薄幸の曲だ。
この曲を歌う彼女をみたのは、KBS新人歌謡音楽祭を映すテレビの中。こぎれいで、
澱むことを知らずに流れるが、心を引き止める曲ではないとおもった。
レコードを手に入れたとき、印象がかわった。
濁らないのは、空虚だからではない。澱まないのは、心も、いっしょに流れてい
こうとずるから。
新しい才能 が、清水のように湧きだしてくる。
新川博のアレンジの無機質。そして、秋元康の詞は無国籍。ことばひとつで景色
はパリの色に染まる。彼が横文字を使うことが、めずらしいゆえになおさら。
さらに岸正之。初めて一見る名前、だが異才だった。
節度をもった曲は、接し方次第で、熱くもなってくれるし、ないてもくれる。
そんなことを教えてくれた。
そしてぼくは、この後、岸正之の作品を追い続けることになる。