グローバリズムという妄想
http://1000ya.isis.ne.jp/1357.html ジョン・グレイ (ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス名誉教授)
(1)グローバル自由市場は普遍的文明を強要する啓蒙思想である。その強要はコミュニズムやファシズムに匹敵する。
民主的資本主義とか自由資本主義の名を借りてはいるが、その正体は単一的普遍主義なのだ。
それゆえ、その作用は国家を弱体化させ、社会をばらばらにする。とくに伝統的な社会制度と慣習をひどく弱体化させる。
そして、そのかわりに「新たな不平等」か、もしくは「新たな自由放任」(ネオ・レッセフェール)を助長する。
IMF(国際通貨基金)、WTO(世界貿易機関)、OECD(経済協力解発機構)はそのための機関だった。
(2)グローバル資本主義はたしかに理性的ではあるが、決して自己制御的ではない。投機的であり、
内在的な不安定をつねにかかえる。自由市場主義を方針とした各国政府がかかげた目標は、その多くが失敗した。
これからも失敗するだろう。
だから、グローバル資本主義が「小さな政府」と「規制緩和」と「民営化」を促進したからといって、
自由主義だとか新自由主義だとかの「自由」を標榜する権利はない。
もしもリベラルな国際経済秩序というものがあるとしたら、そんなものは1914年の開放経済までのことか、
もしくは1930年代に非業の死を遂げたのだ。