学園物語★KOVA17歳8〜サヨとポチとコヴァと呪われし担任
とある土曜の夜。
秋子はNHKの韓国ドラマ『オールイン』を見ていた。
テレビ音声「スヨン…もうお前を離したりしない。」
秋子「(やっぱりイ・ボンヒョンさんは素敵だわ。
パ・ヤンビョンさんも素敵だけど、また別の魅力があるわね)」
と、その時。
「うおおおおおおおおおおおお」と、いつもの叫び声が聞こえてきた。
秋子「(ヒロシちゃんたらまた部屋でパソコンを見て興奮しているのかしら)」
が、その叫び声はだんだん大声となって秋子の耳へと届いた。
同時にドスドスという足音も響いてきたので秋子はとっさにテレビのリモコンを
手に取り、電源を消した。その瞬間。
コヴァが部屋に入ってきて、「うおおおお!!ババア!!これを見ろ!!!!」と
叫んで秋子に紙を手渡した。
何だか事情がよく分からないまま、手渡された紙を見る秋子。そこには…
「ロッテ・ブルボン・トヨタ・ソニー・ゼロックス………」などの企業が延々と並んでいた。
ついさっきまで見ていた「NHK」も「毎日新聞・朝日新聞」の横にしっかりと載っている。
「これは?」 とまどう秋子。コヴァは待ってましたとばかりに
「これはですね、反日・売国企業一覧です。これからは一切、この企業と関わってはいけませんし
製品を買うなどという事はもってのほかであり、正義の不買運動を広げていくのですにょ。」
「ハァ」ため息をつくと同時に秋子は肩を落とした。
そして、パラレルワールドとはいえ「アメリカのコヴァ」での息子の成長に感動した自分を心から恥じた。
秋子「ヒロシちゃん…。こんなバカな事をするヒマがあったら英単語の一つでも覚えたらどう?
そもそも『反日・売国企業』と言っても勝手にヒロシちゃんがそう思っているだけじゃないの?
お母さんはこれらの会社をそうやって叩く人をヒロシちゃん以外には知らないわ。」
秋子の常識的な発言に一気にファビョるコヴァ。
「うおおおぽっぽpっぽおおお!!なんだと!!これは立派な愛国活動だ!!」
秋子「…そう。だったら一人でやっていたらいいわ。でもね、それをお母さんとか他の人に
押しつけてはいけないのよ。どこの企業の製品を買うか・買わないかは一人一人が自分で選ぶ事だから。」
コヴァ「うおおっぽお!!ブサヨ!!ババア!!そうやってチョンとチャンの肩を持つ気だな!!」
秋子「そういえば不買運動ってあなたが嫌いな韓国や中国の人がやってるのと同じ事よね。
もちろん、あの人達の日本製品叩きもお母さんはいいとは思わないけど。」
コヴァ「あんな反日連中と一緒にするな!!いいか!!ネットには真実がある!!『2ちゃんねる』を見ろ!!
『ハングル板』を見ろ!!そこに全てこいつらが反日・売国企業である訳が書いてあるからな!!」
秋子「でも、反日だろうとそうでなかろうと、その企業に勤めている人達とその家族はそこから
出たお給料で生活しているんでしょう? 同じ日本人なのに、その扱いはまるで犯罪者みたいだわ。」
コヴァ「当たり前ですにょ!!反日企業だけでなく、反日団体に関わっている人間と、その家族は
犯罪者であり非国民ですにょ!!今すぐ腹を切って死ぬべきですにょ!!」
秋子「あら。だったらお母さんもヒロシちゃんももう生きていてはいけないのね。」
予期せぬ秋子の答えに後ずさりするコヴァ。
秋子「だって、お父さんは『反日団体』の日教組に加入しているのだから。この家の食事代も、
ヒロシちゃんがお小遣いで買う変なゲームソフトも、みんな元はお父さんのお金から出ているのよ。」