学習法テンプレ案
1.問題は自力で解けなくてもよい
数学の学習の初期段階においては、参考書や問題集の問題を自力で解けなくても大丈夫です。
むしろ、解答や解説をしっかり読んで「考え方」「解き方」を理解することが学習の中心です。
解けなかった問題は、まず解答・解説を熟読して、「どうすれば解けるのか」を理解しましょう。
解答が理解できたら、その場で、解答を見ないようにして、ノートに自分で解き直してみます。
ノートに解いていて、途中で詰まってしまったら、解答をもう一度ちらっと見てみて、
「理解できていなかったポイント」「忘れてしまっていたこと」をはっきりさせた上で、さらに続きを解きます。
それで最後まで解答がたどりつけたら、次の問題に移る前に以下のような復習をしましょう。
まず問題だけを見て、
「この問題は〜〜の○○が△△の場合の、□□を求める問題である」
「第一手としてすべきことは□□を文字で表すことである」
「その後、○○を式に代入して文字を消去し、××の形にして計算すればよい」
「計算の注意点は○○を代入する時に3乗の公式が出てくるのでプラスマイナスに気をつけること」
「最後の答えは有理化した形で答えるようにすること」
といったような、問題の解き方のポイント・流れ・注意点を、言葉で復唱します。
次に、解答をざっと流し読みして、
「自分はここが分からなかった。このポイントを覚えておけば次からは解ける」
「ここの部分が計算のややこしいところだ。3乗の公式は2番目と4番目がマイナスになる。」
といったように、解答の中で自分が詰まったところの反省をするようにします。
そのポイントの部分をノートに赤線で印をつけておいてもいいでしょう。
とにかく、「自分はなぜ解けなかったのか」「どうすれば解けるのか」「何を覚えておくべきなのか」
といった事柄を、"意識"に上らせることが大事です。
ただ何となく「ふーん、そうすれば解けるんだ〜」と感心しているだけでは、次に出された時はまた解けません。
特に数学の苦手な人はこの作業をきっちりやりましょう。
これをやらずにどんどん先に進めるだけでは、やったそばから忘れていき、非効率的な勉強となります。
(理系で、数学の得意な人はこういうことを無意識にできる人もいます。)
また、解答をノートに書く際には、「よって」「ゆえに」「したがって」「すなわち」「ここで」「また」
などのような接続詞に注意を払って、話のつながりがはっきりと分かるようにしましょう。
さらに、「〜〜を○○とおく。」とか「よって、〜〜は△△であるから、(1)の結果を用いて、…」
などのような言葉づかいも、模範解答の真似をして、正確に書きましょう。
計算だけ並べて数値が出たからそれでよし、というのでは力はつきません。
最初にそういう「解答の型」を徹底的に身につけることが、後で底力となって効いてきます。
また、言葉による説明をきちんと書いて解くことは、自分の理解を深め、内容を記憶しやすくします。
「やり方さえ覚えておけば、解答くらい何とかなる」という考えは、初心者は厳に慎むべきです。
2.学習の流れは「解法習得」→「演習」→「解法習得」→「演習」
例題を理解して頭に入れたら、次は練習問題・類題を解いてみます。
ここでは、できるだけ自分の頭で考えて解いてみましょう。
「例題とどこが似ていてどこが違うのか」
「同じ考え方が使えそうなところはどこか」
といったことを意識しながら、さっきやった例題の真似をして、自分なりに解いてみます。
そうやって自力で答えを出すことができたら、答え合わせをして、あとは例題の時にやったのと同じような復習・反省をします。
また、自分で考えて解き方が分からなかった場合も解答を読んで、同じような復習・反省をしましょう。
正解できなかった場合、解けなかった場合は、例題の時にやった反省に加えて、
「例題と同じ解法で解ける問題のはずなのに、なぜ解けなかったのか」
「例題と同じ考え方をしている部分はどこで、例題にはなかった考え方をしているのはどの部分か」
「例題は理解したつもりだったのに、実はよく分かっていなかった部分はないか」
「例題の解法は、問題のどこをいじられると、どのように変化するのか」
といった反省も加えましょう。
また、参考書は復習をしないといけません。復習をする際には、もう一度問題をノートに解き直すのではなくて、
上で述べたような感じで「この問題は○○を聞かれているから、〜〜のようにすればよい」「注意すべきポイントは△△の部分だ」
という風に、解答の「ポイント・流れ・注意点」を頭の中で復唱するようにします。
もし忘れていたら、もう一度模範解答をざっと見直して、何がポイントだったのかを思い出しましょう。
そして再び解答を隠して、自分で「ポイント・流れ・注意点」を唱えてみます。
このようにすれば、1問30秒ほどで復習ができます。できるだけ頻繁に復習をする方がいいですが、
最低限、「その日の学習を終える時」「次の日の学習を始める時」「その単元が終わる時」「その参考書が終わる時」
というペースでの復習をするといいでしょう。
(ただし、あまり頻繁に復習しすぎると、「今はただ目に焼きついているから覚えているけど、半年ほどしたら忘れてしまう」
ということもあり得ます。常に「自分は本当にこれを理解しているのか。模試や入試で出されてきちんと解けるか」ということを
問いかけながら復習するように心がけましょう。)
ここで、「この参考書をマスターした」と言える目安を以下に示しておきます。
1.ページをペラペラとめくって、どのページのどの問題も見覚えがある。
2.例題は見た瞬間に解答の「ポイント・流れ・注意点」を説明できる。
3.練習問題もちょっと思い出せば解答の「ポイント・流れ・注意点」を説明できる。
4.全体的に、自分がどの単元のどの分野のどの問題で苦労したのかを覚えていて、何が難しくて何が簡単なのかを説明できる。
5.自分がやや苦手な項目、理解不足だと思われる項目を挙げることができて、それが参考書のどのへんに載っているかを知っている。
これを達成するためにも、日頃から、問題を解く以外に「これまでやったところをパラパラと見返す」という行為をすると有効です。
そうやって何気なしに見返していて「あ、この問題、どうするんだったっけ?」というページが発見されれば、
そこをピンポイントで復習することができます。そうやって、知識を忘れても忘れても繰り返し塗り重ね、
修復していく作業を習慣づけましょう。
3.標準的な学習プラン
数学の入試問題を解けるようになるために必要な過程と、使用参考書例は以下の通りです。
(1)教科書レベル
A.「教科書」
B.「これでわかる」(文英堂)
C.「理解しやすい」(文英堂)
D.「白チャート」(数研出版)
Bは教科書が分かりづらい人、または、これまでサボっていて、慌てて教科書レベルをやり直そうとしている人向け。
Cは将来難関大学を狙っている1、2年生の先取り学習に適しています。
この他、いわゆる「講義系」と呼ばれる各種シリーズもあります。
(2)入試基礎固めレベル
A.「チャート」シリーズ(数研出版)
B.「ニューアクション」シリーズ(東京書籍)
C.「1対1対応の演習」(東京出版)
D.「標準問題精講」(旺文社)
いわゆる「網羅系」と呼ばれる類の本をやります。
基礎から入試に向けてじっくり実力養成したい人はAかBをやればよろしい。チャートの色別評価などは別項を参照。
学校の授業を真面目に取り組み、「4STEP」や「クリアー」などの教科書傍用問題集を定期テストに合わせて真面目に
隅々までやってきた人は、CかDをやるといいでしょう。その場合、傍用問題集の中で忘れている部分がないように復習してから
取りかかると効果的。
これらの本は1シリーズだけやれば十分であって、「黄チャート→青チャート」のように"ステップアップ"していく類のものではないので、注意。
(3)入試標準演習(おおむね下に行くほどレベルが高い)
A.「チェック&リピート」(Z会出版)
B.「チョイス新標準問題集」(河合出版)
C.「良問プラチカ」(河合出版)
D.「新数学スタンダード演習」(東京出版)
E.「理系数学入試の核心・標準編」(Z会出版)
F.「月刊『大学への数学』スタンダード演習」(東京出版)
G.「入試頻出これだけ70」(数研出版)
H.「新こだわって!国公立ニ次対策問題集」(河合出版)
I.「数学1A2B問題総演習」(学研)
J.「数学実戦演習」(駿台文庫)
入試標準レベルの問題を「自力で解く」という練習をします。
AとBは比較的易しいので、あまり自信のない人の復習用に。
網羅系参考書をしっかりやった人ならCかDかEをやればよろしい。
網羅系参考書で学んだ知識をフルに使って、できる限り自分で解き進めましょう。
ただし、10分〜15分程度粘っても解き方を思いつかない場合は、解答を読んでかまいません。
もちろん、できなかった問題は復習と反省を忘れずに。
もしこのレベルの本をやっていて、ちっとも自分で解けない、というようだと、網羅系参考書の解法知識が身についていないので、
そっちに戻ってやり直した方が得策でしょう。
(別の言い方をすれば、チャートが身についていない人がプラチカをやっても、やっぱり身につかないまま終わるということです。
頭の使い方を修正するのが先です。)
中堅私立・地方国公立くらいまでなら、このレベルを徹底的にやりこむことが最も重要です。
上位大学でも文系であれば、このレベルが最終目標です。
したがって、この段階では1冊に絞らなくとも、必要に応じて複数の本を選んでやってもいいでしょう。
(4)上級解法集
A.「微積分基礎の極意」(東京出版)
B.「解法の探求2」(東京出版)
C.「マスターオブ整数」(東京出版)
D.「数学ショートプログラム」(東京出版)
E.「解法の探求確率」(東京出版)
F.「解法の突破口」(東京出版)
難関大理系志望者や、医学部志望者などは、これらの本で高度な知識やテクニックを学ぶといいでしょう。
一般的な基準からすれば極めてレベルが高い本ばかりなので、(3)までのプロセスをおろそかにしてこれらの本だけをやっても
実力はつかないので注意しましょう。
(5)入試発展演習
A.「やさしい理系数学」(河合出版)
B.「月刊『大学への数学』日日の演習など」(東京出版)
C.「理系標準問題集・数学」(駿台文庫)
D.「大学入試攻略数学問題集」(河合出版)
E.「ハイレベル理系数学」(河合出版)
F.「新数学演習」(東京出版)
G.「理系数学入試の核心・難関大編」(Z会出版)
H.「チャート式数学難問集100」(数研出版)
I.「最高峰の数学へチャレンジ」(駿台文庫)
難関大理系志望者・医学部志望者などで、数学の実力に磨きをかけたい人向けの本です。
A.「やさ理」E.「ハイ理」F.「新数演」あたりは、上級解法集としての色彩も強いので、
「演習」というよりは「高度な解法を身につける」という用途にも適しています。
C.「理標」G.「核心」も重要解法をひと通り学べます。
BやDは最新の入試問題のみで構成されているので、自分の力を試しながら磨いていく演習に最適です。
よくある質問
Q.「早く1対1をやりたいのですが」
Q.「早くやさ理をやりたいのですが」
別に無理してやらなくても大丈夫です。それをやらないと大学に受からないなんてことはまったくないし、
それをやったら大学に受かるなんてこともありません。
難関大学の合格者がその本を高く評価している事実はありますが、その人たちはきちんと下積みをして、
基礎的な問題集をしっかりやりこんだ上でその本をやったに違いありません。
あなたがこれまで学校の勉強をしっかりやってきて、4STEP等の問題集を隅々までやりこんだというのであれば、
1対1から受験勉強を始めるのもいいでしょう。
あなたがこれまでチャートなどを終え、プラチカやスタ演などをしっかりやりこんできたのなら、やさ理に挑戦するのもいいでしょう。
そうでないなら、しっかり下積みをしてください。1対1ややさ理があなたを救う魔法の杖になることはありません。
有名な参考書をやれば自分が変われると思うのはやめましょう。
有名な参考書をやらなければ自分は変われないと思うのはやめましょう。
あせらず、先走らず、あなたが今やるべきことをやらないと、落ちますよ。
Q.「〜〜は網羅度が低いのでは」
入試に出現するあらゆる問題パターンを網羅することはどの本にも不可能です。
重要な解法、典型的な頻出問題は、黄チャートあたりに載っているもので十分です。
それ以上の問題については、「知っておかないと、出たら困る」と考えるのはもうやめにしましょう。
知らない知識は、演習をしていく中で出てきたものから覚えていけばいいのです。
そしてできるだけ、「知っている知識の範囲内で何とか解く」という練習を積みましょう。
その方が入試突破のためには実戦的です。
知っている問題が出ることを期待しない方が点数は上がります。
ただし、難関大理系や単科医科大などの志望者は、とりわけ数3分野において、高度な知識が要求される場合もあります。
(あるいは、知らなくても解けるが、知識があると有利になる問題が出ます。)
これらの大学の志望者は(4)上級解法集のところで挙げた本や、「やさ理」「ハイ理」などをやるとよいでしょう。
Q.「〜〜の部分を○○で代用できますか」
Q.「〜〜から○○に直接つなげられますか」
好きなようにしてください。
示された通りのやり方でやらないとうまくいかないというわけではありません。
あなたが一番いいと思う方法でやればいいのです。
やってみてうまくいかなかったら別の方法を考えればいいのです。
一度も失敗も挫折もせずに、楽して成功を勝ち取ろうとばかりするのはやめましょう。
自分で色々と試してみて初めて、うまいやり方が分かってくるのです。
最終的には「教材なんてどれでも大差ない。要は、どういう風にやるかが問題」ですから、
「どの本をやるか」で悩むよりも「どのように頭を働かせるべきか」に集中してください。
1対1をやらなかったら落ちるなんてことはないし、やさ理をやれば受かるなんてこともありません。
評判の良さそうな本を何種類かチェックしておいて、本屋で実際に見比べてみて、
「自分が気に入った本」「続けられそうな本」が一番です。
マイナーな本でも、自分が気に入った本があればそれをやりこめば実力はつきます。
あるいは、「みんなが使ってる本じゃないと不安だ」というのなら、みんなが使ってる本を使えばいいことです。
それがあなたにとって一番やる気の起きる本であるなら、それが一番です。
「理解しやすいじゃなくてシグマトライでもいいですか」→「いいです」
「チャートじゃなくて黒大数でもいいですか?」→「いいです」
「ニューアクじゃなくて解法のテクニックでもいいですか?」→「いいです」
「4STEPじゃなくてサクシードでもいいですか?」→「いいです」
何でもいいので、早く勉強してください。
その他の質問フォロー。
Q.「入試標準演習のところで、月刊のスタ演は下の方にあるが、そんなに難しくないのでは?」
厳密な難易度順の配列ではありません。メジャーなもの、オススメできるものを上の方にまとめた結果です。
Q.「1対1と標準問題精講のどちらを選ぶか悩んでいるのですが」
標準問題精講の方が基礎から載っているので、基礎を復習しながら入試にも対応していきたいという人にお勧めです。
一方、1対1は基礎がほとんど載っていないので、レベルは高めだと思ってください。
4STEP等の教科書傍用問題集を隅々までマスターしたという人でなければ、ついていけない可能性が高いです。
解答・解説も、標問精講の方は丁寧、1対1はハイレベル、と言えます。
Q.「数Aの平面幾何が難しいのですが、時間をかけてでもしっかりやっておくべきですか?」
今後、入試での出題が増える可能性がありますから、基本的な問題は確実に解けるようにしておくべきです。
しかし図形問題は座標やベクトルを使って解くこともできますから、平面幾何のところがどうしても難しく感じるのなら、
とりあえず基本問題だけで済ませておいてもいいでしょう。
Q.「参考書をレベルアップさせる際、たとえば、これでわかる1A・2B・3C→赤チャート1A・2B・3Cとやるのか、
これでわかる1A→赤チャート1A→これでわかる2B→赤チャート2B→・・・のようにやるのか、
どちらの方がいいですか」
前者です。まずは全範囲の基礎をやり、その後全範囲の標準をやる、という順序でやるのが賢明です。
高校数学の全体像をまずつかむことを目指しましょう。
特に理系の人は、3Cまでをできるだけ早い時期に終わらせておくことが必須です。
のんびりやっていると、十分な練習時間が取れないまま時間切れになってしまいますよ。
Q.「白チャートは教科書レベル、その他のチャートは網羅系のところに分類されていますが、『白』→『赤』のようにやるのはかまわないのでしょうか?」
かまいません。やるなら、『白』→『青』または『白』→『赤』がいいでしょう。
あるいは、『白』をマスターした後なら、1対1か標準問題精講に進むのも可能です。
チャートシリーズの色別特徴。
『赤』
基礎をさらっとおさらいしつつ、入試上級レベルの知識まで学べる。
例題と練習だけならそれほど難しくはないので、教科書の後に始めることも可能。
関連事項の解説が充実しているので、『青』よりも本質がつかみやすいといえる。
収録問題のパターンは『青』より絞られていて、網羅度は『青』よりもやや低い。
なお、先輩や先生の「赤はやめとけ。青で十分」という発言は、新課程版の現状を知らずになされている可能性が高いので、
「新課程版の赤チャート・青チャートをよく調べられた上でおっしゃっているのですか?」と確認した方がいいかも。
『青』
旧課程からの定評があるため学校や塾で採用されることが多いが、新課程版は問題選定と配列が雑で旧課程版より
出来が悪くなっているという意見が多い。
例題や練習に突如として難しい(or 解答の理解しがたい)問題が出てくることがあるので、
途中でどうしようもなく行き詰まる可能性がある。
網羅度は高く、多種多様な問題パターンが載っているので、解法事典的な価値はある。
『黄』
教科書の復習レベルから入試標準レベルまでカバー。
掲載問題は典型的かつ標準的なものばかりで、全問題完璧に覚える価値がある。
東大・京大・一橋を除く文系志望者に最適なレベル。
理系でも苦手な人は下手に『青』に手を出さずに『黄』を確実にこなした方がよい。
『白』
教科書レベルで解説も丁寧。
用語の定義や基本事項の解説から載っているので、まったくの初学者でも使用可能。
例題をすべてやれば教科書の章末問題レベルまでカバーできる。
EXERCISESには入試頻出パターンが多少入っているため、突然難しくなることもあるので
注意。
Q.「大数の日日演は最新の入試問題ばかりが載っている。最新の問題に限定するということは、
そのジャンルの最良の問題を選んでいるとは言えず、学習にとって効率が悪いのではないか」
過去の大量の問題の中から選びぬかれた良問中の良問というのは、
ポイントがはっきりしていて、1つのアイデア、1つの技法を学ぶのに
効果的ではありますが、その分、いい意味での「泥臭さ」がありません。
実際に入試で出される問題は、1つの解法を学ぶために作られているわけではなくて、
色んな事柄が混ざって出されます。
たとえば、見た目は数列の問題なのに、因数分解や分数計算などの式変形の部分が
妙に大変だったり、ベクトルの問題なのに相加相乗をうまく使わないと解けなかったりします。
そういう問題を演習できるのが、「最新の入試問題」の利点なのです。
入試で出される問題は、どれもエレガントにすっきり解ける問題ばかりではありません。
むしろ、ちまちまとした計算や場合分けが必要だったり、答えの数値が汚かったり、
そういう問題の方が多いです。
ですからそういう問題を練習しておかないと、対処できないわけです。
日日の演習が最新の問題から選ばれているということの意義はそこにあるし、
本来「演習」とはそうあるべきなのです。
ですから、『1対1』や『やさ理』のように精選された「すっきり美しい問題」で"演習"するのは間違っていて、
色々な要素が混ざって出てくる、ある種「美しくない問題」で"演習"するのが効果的です。
そういう問題を解き切れる"解答体力"を身につけないと、最終的な実力は上がらないのです。
学習法・上級編
解法の習得ではなく「実際に自力で解いてみる実戦練習」という目的のためには、
「月刊『大学への数学』日日の演習など」や「大学入試攻略数学問題集」、または「入試問題集」(数研出版)が適しています。
これらの教材の問題を、すぐ答えを見てやり方を覚えようとするのではなくて、
何とか答えが出るまで自力で頭を使って、時間(最低でも20〜30分)をかけて解いてみるのです。
その後、自分がその問題を見てから解答を書き上げるまでにどのような苦労があったかを思い出し、
試行錯誤のデータとして脳にインプットしましょう。
これを繰り返すことで、問題を見てから解答を書き上げるまでの脳の働きのプロセスのパターンが蓄積され、
試行錯誤の処理が高速化すると同時に洗練されていき、徐々に解答能力が上がっていくのを感じるでしょう。
そうするうちに、だんだんと「数学の問題はどのように頭を働かせれば解けるのか」という方法が、
実体験として分かってきます。
いわば、参考書や問題集には書かれていない、自分なりの「解法パターン」ができてきます。
そうなると、「本で覚えた解法を検索して解く」という段階から脱皮して、
「数学の道具を使って自分の頭で解く」ということができるようになってきます。
結局はこの方法も、基礎の学習法のところで書いたことと同じで、
決め手となるのは、試行錯誤の過程をすべて脳の中にリストアップし、体験として意識的に記憶しておくことです。
そして、こういった訓練をするためには、「解法を知っていれば(思いつけば)解ける単問型の問題」よりは、
「基本的な知識を柔軟に運用することが求められる応用問題・複合問題」の方が適しています。
その手の問題は最新の入試問題の中にあふれているというわけです。
(そしておそらくは、本番でもその手の問題に出会うでしょう。)
問題集を色々やってきたけれども、模試や過去問があまり解けない(手はつけられるが完答できない)という人は、
この点を意識して勉強してみるといいでしょう。
Q.「頑張って数学やってきたのに、模試の偏差値が上がりません。参考書を替えた方がいいのでしょうか」
「勉強してきたはずなのになぜ解けないのか」は、あなたにしか分かりません。
「この参考書をやれば、偏差値いくつ取れる」とか、そんなこと、決まっているわけはありません。
解けないのは何かあなたの内部に原因があるはずです。まずそれを追求してください。
以下のことをチェックするといいでしょう。
1.模試で解けなかった問題の模範解答をよく読んで、理解します。
その過程で、
「自分はなぜ解けなかったのか」
「何に気づけば解けたのか」
「どこに注目すれば解けたのか」
「何を知っていれば解けたのか」
ということを考えて、「つまづきのポイント」を探ってください。それを全問題についてやります。
2.その結果、自分に足りないものを考えます。
「模範解答が何をしているのかは理解できるんだけど、ここの式変形は思いつかないなあ。計算テクニックが未熟なのかなあ」
「ああ、これってあれなのか。参考書で似た問題を見たことあるけど、応用がきかなかった。類題の練習が足りないか」
「模範解答が難しくて何しているのかよく分からない。こりゃ自分で解けるはずないわ。完全な実力不足」
「自分はここで詰まってしまったけど、ああ、そう考えればいいのか。そりゃ発想の転換が必要だなあ。頭を柔らかくしなきゃ」
「なにこれ?これって公式?これって有名なのかなあ?ちょっと解法の知識が足りないか?」
みたいな感じ。
3.その反省を踏まえて、自分が何をすべきかを考えます。
「やったはずのことが思い出せていないから、これまでの参考書の問題をひと通り解きなおそう」
「解答を読めば理解できるんだけど、参考書で学んだ知識の応用のしかたのコツがつかめていない。
類題のたくさん載っている標準問題集を1冊こなそう」
「解答が難しくて理解できない。普段からちゃんと模範解答を熟読して、理解して再現できるように練習しよう。
答えがあっていればいいという態度を改めよう」
「自分の知っている範囲内のことは全部できている。解けていない問題は全然自分の力が及んでいない。
ハイレベル問題集に取り組もう」
「見たことある問題だったら解けるんだけど、見た目が新しい問題で思考が停止する。
頭を柔らかくするために、典型問題よりも最新の入試問題を練習してみよう」
といったように。
そういう「自分で自分を観察する」ことを「メタ認知」と言ったりしますが、このメタ認知の作業が重要です。
「解けない。参考書がダメなのかなあ」ではなくて、「解けない。なぜだ。自分の脳に何が足りないのだ。
何を補えば解けるようになるのだ」を探ってください。
この作業は普段の勉強中も重要ですよ。「解けなかった。また明日やりなおそう」ではなくて、
「なぜ解けなかったのか。どこに気づけば解けたのか。次から自力で解けるためには何を覚えておけばいいのか。」
というメタ認知を延々と繰り返しましょう。そうすれば進むべき道が見えてきます。
それを日ごろからやっていれば、「自分は何が分かっていて、何が分かっていないのか。自分の今の実力はどの程度で、
どのレベルの模試ならどのくらい取れるはずなのか」といったことが把握できるようになります。
そういう力を身につけましょう。
その他のよくある質問(暫定版)
Q.「整数問題を扱った問題集でお勧めは何ですか?」
「佐々木隆宏の整数問題が面白いほどとける本」(中経出版)
「細野真宏の数と式[整数問題]が本当によくわかる本」(小学館)
「マスターオブ整数」(東京出版)
Q.「確率が全然分からないんですけど、お勧めの問題集はありますか?」
「坂田アキラの確率が面白いほどわかる本」(中経出版)
「ハッとめざめる確率」(東京出版)
「細野真宏の確率が本当によくわかる本」(小学館)
Q.「プラチカの1A2Bと3Cの難易度が全然違う(3Cが難しい)のでどうすればいいんでしょうか?」
プラチカ3Cは確かに難しいです。東大・東工大・早慶や単科医大などの志望者以外には適していません。
代わりに「新こだわって!微分・積分[入試基本編]」と「新こだわって!行列・1次変換」(いずれも河合出版)
などを使用するといいでしょう。
Q.「○○大学志望なのですが、何チャートが良いですか?」
受験勉強をチャートだけで完成させるわけではありませんから、
難関大を志望しているからといって、難しい本をやらなければならないというわけではありません。
どこを志望するにしても、基本的なことから積み上げていく必要があります。
したがって、志望校よりも、現在の学力・到達度を基準にして選んだ方がいいといえます。
一般には「黄チャート」が最も標準的で万人向けです。
Q.「数学はセンター試験のみで必要なのですが、何チャートが良いですか?」
センター試験対策は 白チャ→過去問演習 または 白チャ→センター対策チャート→過去問演習 で十分です。
センター試験対策のために黄チャ・青チャ・赤チャをやるのはオーバーワークです。
難易度ランク
【SSS】(目安偏差値東大系模試80〜)
最高峰の数学へチャレンジ(駿台文庫)
【SS 】(目安偏差値東大系模試75〜)
チャート式難問100(数研出版)
【S】 (目安偏差値東大系模試70〜)
新数学演習(東京出版)/ハイレベル理系数学(河合出版)/お医者さんになろう医学部への数学(駿台文庫)/西岡超対策国公立医学部(栄光)/入試数学伝説の良問100(講談社ブルーバックス)
【A】 (目安偏差値東大系模試65〜)
解法の突破口(東京出版)/数学ショートプログラム(東京出版)/解法の探求U(東京出版)
【B】 (目安偏差値東大系模試60〜)
数学ブリーフィング3C(代々木ライブラリー)/湯浅の理系数学マスマビクス(代々木ライブラリー)/小島難関大(栄光)/マセマハイレベル(マセマ)
【C】 (目安偏差値東大系模試55〜)
数学ブリーフィング1A2B(代々木ライブラリー)/天空への理系数学(代々木ライブラリー)/壁を越える数学(代々木ライブラリー)
やさしい理系数学(河合出版)/大学入試攻略数学問題集(河合出版)/駿台実戦演習(駿台文庫)/数学1A2B問題総演習419(学研)/難関大理・医系入試の完全攻略―合格へのサマリー(文英堂)
【D】 (目安偏差値東大系模試50〜)
チャート式入試頻出これだけ70(数研出版)/新数学スタンダード演習(東京出版)/センター必勝トレーニング(東京出版)/湯浅の受験数学1A2Bトレーニング(代々木ライブラリー)/点とりトレーニング(代々木ライブラリー)/飛躍への100問(代々木ライブラリー)
理系数学の良問プラチカ3C(河合出版)/文系数学の良問プラチカ(河合出版)/こだわってシリーズ(河合出版)
西岡超対策センター(栄光)/マセマ頻出(マセマ)理系数学入試の核心標準編(Z会出版)/数学頻出問題総演習(桐原書店)
【E】 (目安偏差値河合全統記述65〜)
チャート式入試必携168(数研出版)/1対1対応の演習(東京出版)/解法の探求T(東京出版)/理系数学の良問プラチカ1A2B(河合出版)/チョイス(河合出版)
勇者を育てる数学3C(代々木ライブラリー)/湯浅の見える新数学1A2B(栄光)
駿台基本演習(駿台文庫)/マセマ合格プラス(マセマ)/標準問題精講(旺文社)/10日あればいいシリーズ(実教出版)/理系入試の最速攻略数学―合格へのサマリー(文英堂)
【F】 (目安偏差値河合全統記述60〜)
Z会数学基礎問題演習チェックアンドリピート(Z会出版)/基礎問題精講(旺文社)/力を伸ばす数学演習(代々木ライブラリー)
【G】 (目安偏差値河合全統記述60未満)
カルキュール(駿台文庫)/湯浅の数学110番(代々木ライブラリー)/ドラゴン桜式数学ドリル(モーニング編集部)
目標ランク(文系)
【A】 文系最高峰
【B】 東大文一、京都法
【C】 東大文二、文三、京都非法
【D】 一橋、大阪、早慶上智上位学部
【E】 地方旧帝、地方上位国公立、早慶上智下位学部
【F】 地方国公立、MARCH
目標ランク(理系)
【SSS】理系最高峰
【SS】 東大理三上位、京都医上位
【S】 東大理三、京都医
【A】 大阪医、国公立単科医大医学部、慶応医
【B】 地方旧帝医学部
【C】 東大理一、理二、京都非医学部、大阪非医学部、東京工業、地方上位国公立医学部、早慶理工、中堅私立医学部
【D】 地方国公立医学部、上智、東京理科
【E】 地方上位国公立非医学部
【F】 地方国公立非医学部、MARCH
新課程版の難易度表は以下の通りです。
←80←←←←←←←←70←←←←←←←←60←←←←←←←←50←←←←←←←←←40←
□□□発展□□□■■■応用■■■□□□標準□□□■■■基本■■■□□□基礎□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■ これでわかる
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■ 白茶
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□ 理解しやすい
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□ 黄茶
□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□ 青茶
□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□ 赤茶(例題のみ)
□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□ 赤茶(練・演習含)
□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□ 黒大数
□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□ ニューアクションβ
□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□ ニューアクションα
□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ ニューアクションω
□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□ チェクリピ
□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ 河合入試攻略
□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ 1対1
□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 大数増刊 スタ演
□□□■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 新数学演習
□□□□□■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 月刊大数 日々演
□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□ 月刊大数 スタンダード
←80←←←←←←←←70←←←←←←←←60←←←←←←←←50←←←←←←←←←40←
□□□発展□□□■■■応用■■■□□□標準□□□■■■基本■■■□□□基礎□□□
□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□ スタンダード12AB受験編
□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□ オリジナル12AB受験編
□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□ オリジスタン3C受験編
□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□ 本質の研究
□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□ 小島難関大
□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ 実戦演習
□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□ 受験数学の理論
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■ マセマ元気
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■□□□□□□□ マセマ合格
□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□ 合格プラス
□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□ マセマ頻出
□□□□□□□□■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ マセマハイ
□□□□□□□□■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ やさ理
□□□■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ハイ理
←80←←←←←←←←70←←←←←←←←60←←←←←←←←50←←←←←←←←←40←
□□□発展□□□■■■応用■■■□□□標準□□□■■■基本■■■□□□基礎□□□
□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□ 理系プラチカ1A2B
□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 理系プラチカ3C
□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□ 文系プラチカ
□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 細野本
□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ 標準問題精講
□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□ チョイス
□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□ 入試の核心
・新数学スタンダード演習(東京出版)
東大理科1類2類文科1類2類3類受験生に人気の問題集。問題はいいが奇妙な解法多し。
偏差値70向けの解法。普通に解けばいいものを・・・。
・河合ハイレベル理系(河合出版)
別解が豊富なのがなによりの魅力。問題は2次試験で有名・典型的なのが多い。
・新数学演習(東京出版)
東大理3向け。挫折率高し。もはや市販の問題集じゃ満足できない人向け。これを全てやれば6冠も夢じゃない(!?)
・微積分基礎の極意(東京出版)
これをやれば微積分に絶対的な自信がつくでしょう。
・ショートプログラム(東京出版)
解けば解くほど偏差値があがります。
・マスターオブ整数(東京出版)
整数の参考書が少ないので対策しづらい整数ですがこれをやれば自信つきます。
◎大学への数学・一対一対応の演習 55弱程度〜
記述対策としてはじめる(レベル的に)最初の参考書、って感じです。
「基本例題⇒詳しい解説⇒演習」の繰り返しの流れです。
当然頻出問題がベースですが、解説には単に解法のみにとどまらずどのように考え方をしているのか、
ということをきちんと書いています。例題と演習が一対一になっている、
すなわち例題と同じような考え方をする演習題になっているので、例題で学んだことがきちんと身に付いたかしっかり確認できます。
まずは基本的な定理公式をしっかりと理解、暗記しある程度スラスラ使えるようになった上で取り組むべきです。
そういうことで、教科書準拠問題集のB問題程度くらいまで解けるようになってから取り組むのがいいかと思います。
「例題を自分で解いてみる(分からなくてもちょっとは考える)⇒ 解説を見る ⇒ 演習をやる」の繰り返しでいいと思います。
2周はしないと、定着しないと思いますのでそのつもりで。
◎青チャート
難易度的には敷居自体はそんなに高くない。特に例題は教科書汎用問題集のA〜B問レベル。公式をしっかり覚えてれば取り組める。
偏差は53,4くらいからでしょう。(偏差値50でも、きちんと公式とか覚えられてないものとしました)
どれも「絶対に抑えておかなくてはいけないパターン問題」ってかんじです。
演習問題のほうですが、こちらはもそこまでレベルは高くないです。
旧帝大などの問題も多少入っていますが、それでも「本番で解けるべき問題」なので難易度評価はそこまで高くしません。
ちょこちょこ難しそうな問題もありましたが、それはイレギュラー的なものだとおもいます。
平均的に〜65くらいだと思います。多分totalで8割がたスラスラ解けるいくと思います。
演習問題と例題の難易度の差が多少大きいと思いました。例題やってから演習がスムーズに進むかな、というのは疑問です。
「新数学演習」
むずい。何がむずいって、「見たことのないタイプの問題」が多いのがむずい。
「典型的な問題ならなんでも来いなんだけど、東大とかの問題って見たことないようなのばかりだし、
そういう問題に対して、どう手をつけていけばいいのか分からない」という受験生が「未知の問題に対する取り組み方」と堅固な論理展開力を鍛えるのによい。
「高いレベルでの有名問題・有名手法」もかなり載っているので、知識としても有用なものが多い。ちなみにいたずらな難問も散見される。
「ハイレベル理系数学」
むずい。しかし載っている問題はほとんどが「有名」。
自分で解き進めても、あまり実力には結びつかない気がする。過去の「名作問題」は必ずしも「普遍的」ではないという点が重要。
「問題事典」として確保する価値はあり。
「天空への理系数学」
そこそこむずい。
けど、これまた載っている問題は「ありがちなパターンに抜けがないように、順次解説」しているだけなので
(というか、それが目的だろうし)、ハイレベルな受験生には物足りないと思う。
数学に自信はあるんだけど、まだ東大京大受験生としては未熟かなあ、という段階の受験生には効果ありそう。
(というか、予備校系の本はそういうのが多い。)
「高いレベルでの有名手法」を紹介するタイプ。(それが予備校に通う人のニーズってもんだろうし。)
「解法の探求」
「解法の探求1」は、問題集としてはあまり使えないが、「自称数学マニア」が目から鱗を落としそうな解説。
とりあえず読む価値はあり。
「解法の探求2」は、「原則編」だけでも読めば、「自称数学マニア」は目から鱗を落とす。読む価値あり。
「実戦編」以降に載っている問題のレベルは極めて高い。
「解法の探求確率」は、同様に、チャートなどで数学を極めたつもりになっている「自称数学マニア」の受験生が読むと、目から鱗を落とす。
この本に載っている解法をマスターできれば、確率は極めたも同然。
解探シリーズに共通の事項として、数学に自信のない人が読むと、頭が混乱するだけだと思うので、手を出さない方がよい。
「自称数学マニア」が、1つ壁を越えるためには必読と思える。
「月刊大学への数学」
標準的。数学に自信のある受験生が「数をこなす」目的で使用するには最適。
自分で解けたと思っても、解説を読んでみれば目から鱗が落ちること間違いなし。
数学に自信があると自分で思い込んでいるだけの受験生が手を出すと、時間の無駄遣いになること請け合い
(わけが分からないまま「テクニックの丸暗記」に走ってしまい、実力が下がる危険あり)。
ちなみに学コンはハイレベル。しかしいわゆる「難問」ではない。
「入試数学伝説の良問100」
受験生・大学入試関係者、必読の書!
数学の勉強で一番大切なのは、良い問題で良い解法を学ぶこと。
本書は、過去30年の大学入試問題を精査し、傑出した良問だけを100題収録。
解説は「考え方」に重点を置き、多くの「別解」を掲載。ぐんぐん力がつくうえに、数学の本当の面白さまでわかってくる。
「新数学演習」と「数学ショートプログラム」はマニア向けなので、数学に相当自信がある人が、東大京大で高得点を狙う場合にやる。
「解法の探求1」は特に必要なし。マニアの余興。マニアなら読むべき。
「解法の探求2」は、知っておいた方がいい知識が満載だが、「微積分基礎の極意」に見やすく収録されているので、そっちを使えばよい。
読んで損はないが。(読むのはともかく、全部やるのはほぼ無理。多すぎるし、難しすぎる。)
「マスターオブ整数」は、東大や京大や一橋で整数問題を確実に正解したい人向け。
「マスターオブ場合の数」は、なぜ確率を入れていないのか、理解に苦しむ。数学大好きな中学生向け。
「解法の探求確率」は、マニア以外が読むと頭が混乱するだけ。
「新数学スタンダード演習」と「1対1対応の演習」は、ある程度のレベル以上の大学を目指す人なら、
基礎段階を終えた後でやるとちょうどいいレベル。
しかし書かれていることは大数色出まくりなので、大数の世界に突入したい人向けの大数入門と考えた方がよい。
数学の苦手な人は手を出してはいけない。
【学習おすすめプラン】
河合全統偏差値50未満の人や独学未習の人→1へ
河合全統偏差値50〜60の人→2へ
河合全統偏差値60〜の人→3へ
1、まず教科書の公式、例題をほぼ完璧にしよう。
教科書がわかりにくい場合や教科書がないなら、
これでわかる(文英堂) や マセマはじはじ→マセマ元気(マセマ)などを代用しよう。終わったら2へ。
2、白チャ(数研)例題をほぼ完璧にしよう。
終わったらチョイス(河合出版)かチェクリピ(乙会)で演習しよう。(できればチェクリピがおすすめです。)
MARCHまでならここまでで後は過去問にいきましょう。
地方上位国公立以上、上智・理科大・同志社・立命館以上志望者4へ。
3、赤チャ(数研)例題をほぼ完璧にしよう。
MARCHまでならチョイスかチェクリピで演習後過去問にいきましょう。
地方上位国公立以上・上智・理科大・同志社・立命館以上志望者は4へ。
4、1対1をほぼ完璧にしよう。
大数が合わないと感じる人は標準問題精講で代用しよう。
地方旧帝(医学部除く)、地方上位国公立(医学部除く)、早稲田(理工除く)、慶応(医、理工除く)、
上智・理科大・同志社・立命館志望者はこの後過去問にいきましょう。
文系で東京・京都・一橋・大阪志望者は5へ。
理系で東京・京都・東工・大阪・地方旧帝(医学部)、早稲田(理工)、慶応(医、理工)志望者は6へ。
5、過去問にいきましょう。余裕がある人は過去問にいく前に新スタ演をほぼ完璧にしよう。
さらに余裕があるなら文系プラチカ(河合出版)をこなしましょう。
6、やさ理(河合出版)、プラチカ3C(河合出版)をほぼ完璧にしよう。東大理三、京大医(医)志望者以外はこの後過去問にいきましょう。
微積分基礎の極意(東京出版)もおすすめです。(特に東工志望者に。)東大理三、京大医(医)志望者は7へ。
7、新数学演習(東京出版)かハイ理(河合出版)をこなしましょう。この後過去問にいきましょう。
これらはあくまで一例です。迷ったら参考にしてくだされば幸いです。