学習法・上級編
解法の習得ではなく「実際に自力で解いてみる実戦練習」という目的のためには、
「月刊『大学への数学』日日の演習など」や「大学入試攻略数学問題集」、または「入試問題集」(数研出版)が適しています。
これらの教材の問題を、すぐ答えを見てやり方を覚えようとするのではなくて、
何とか答えが出るまで自力で頭を使って、時間(最低でも20〜30分)をかけて解いてみるのです。
その後、自分がその問題を見てから解答を書き上げるまでにどのような苦労があったかを思い出し、
試行錯誤のデータとして脳にインプットしましょう。
これを繰り返すことで、問題を見てから解答を書き上げるまでの脳の働きのプロセスのパターンが蓄積され、
試行錯誤の処理が高速化すると同時に洗練されていき、徐々に解答能力が上がっていくのを感じるでしょう。
そうするうちに、だんだんと「数学の問題はどのように頭を働かせれば解けるのか」という方法が、
実体験として分かってきます。
いわば、参考書や問題集には書かれていない、自分なりの「解法パターン」ができてきます。
そうなると、「本で覚えた解法を検索して解く」という段階から脱皮して、
「数学の道具を使って自分の頭で解く」ということができるようになってきます。
結局はこの方法も、基礎の学習法のところで書いたことと同じで、
決め手となるのは、試行錯誤の過程をすべて脳の中にリストアップし、体験として意識的に記憶しておくことです。
そして、こういった訓練をするためには、「解法を知っていれば(思いつけば)解ける単問型の問題」よりは、
「基本的な知識を柔軟に運用することが求められる応用問題・複合問題」の方が適しています。
その手の問題は最新の入試問題の中にあふれているというわけです。
(そしておそらくは、本番でもその手の問題に出会うでしょう。)
問題集を色々やってきたけれども、模試や過去問があまり解けない(手はつけられるが完答できない)という人は、
この点を意識して勉強してみるといいでしょう。