鳥取大学 地域学部
「地域」という言葉は,人々が生活している空間のひろがりと,
その広がりの中で展開されている社会関係を意味します。ですから,
内容も規模も様々な地域が存在し,その全体が世界を形成していること
になります。今日,私たちが生きていくうえで解決を迫られている多く
の問題は,この地域をベースとして考えられるべきです。
私たちの現実の生活は,かならずこの意味での特定の地域において営まれて
います。その営みは,そこにしかない自然条件やそこにしかない生活の伝統
や歴史と切り離せませんから,どの地域にもかけがえのない個性があります。
地域の問題を解決し,現実の生活人としての人々を幸せにするためには,
地域の個性をただしく理解することが不可欠です。人類は,すでに数十万年
におよぶ歴史と経験をもっているにもかかわらず,その智恵を生かすことが
できずに相変わらず世界各地で悲惨な紛争を繰り返しています。これも,
地域の個性が正しく理解されていないことが,原因の一つになっている問題
でしょう。
それぞれの地域に暮らす人々は,平等に幸せを求める権利があります。
どこかの地域を中央,他を地方と位置づけて,前者の規範を後者に強いることは,
その権利の軽視を意味します。このことに世界中で人々が気づき始めたからこそ,
「地域」という言葉がいま,世界中でキーワードとして用いられているのです。
このように,地域を理解し問題を解決するために,「地域学」という教育・研究
分野が社会的にも学問的にも強く求められています。しかしながら,地域学はいまだに
一般に認められる体系化がなされておらず,各学問領域の協力によるテーマ研究的な
段階に止まっているといわざるを得ません。地域における人々の生活のあり方は,
自助・協同・市場および公共という四つの領域からなっています。本学部は,
このうち地域の公共性を教育・研究の対象として従来の学問領域に蓄積された
知の再編成をおこない,「地域学」の体系化を実現することを目標の一つ
としています。
http://www.rstu.jp/index.cgi?osirase=gakubusyoukai.html