>>147 優雅に幸福に暮らしていたからといって、母親に申し訳なく思う気持ちが無かったとは言い切れない。
生活のために苦闘しているのであれば、母親のことを忘れがちになるかもしれないが、
都に帰ることができなくて、しかし、幸せに暮らせている中では、むしろ、しばしば、
母親のことを想っていたであろう。見捨てるようにして出てきたのだから、なおさらである。
そして、死につつある中で、中将がその母親に対する心情をほとばしらせ、
「としごろの心ざし」と表現したのも十分理解できる。
よって、Dにキズがあるとは言えない。