質問なんだけど
エタノールのヨードホルム反応式の係数ってどうやって合わせるの?
アセトンの方は分かるんだけど
>>390 アルコールの場合は最初にI2によって酸化されて-CH(OH)CH3が-COCH3に変わると考えるのがわかり
やすいと思います。酸化還元反応ですから半反応式をつくります。
RCH(OH)CH3 → RCOCH3 + 2H+ + 2e-
I2 + 2e- → 2I-
これらを足すと同時に,溶液がアルカリ性であることを考慮して,
RCH(OH)CH3 + I2 + 2OH- → RCOCH3 + 2I- + 2H2O
というイオン反応式ができます。アルカリはNaOHによるものですから,両辺に2Na+を加えておきます。
これと,
>>386で示した反応式
RCOCH3 + 4NaOH + 3I2 → RCOONa + CHI3 + 3NaI + 3H2O
を足すと,アルコールのヨードホルム反応の式が得られます。
RCH(OH)CH3 + 6NaOH + 4I2 → RCOONa + CHI3 + 5NaI + 5H2O
エタノールはRをHとした場合になります。
●●●テーマ33の解答●●● 芳香族化合物1
(1) @ ベンゼンの6本の炭素原子間の結合の長さは二重結合と単結合の中間にあり,すべて
等しい。
A ベンゼンでは炭素間二重結合に対して起こりやすい付加反応を受けにくく,置換反応を
受けやすい。
B 単結合と二重結合が固定されているなら置換基がつくオルトの2つの炭素原子が単結合
をはさむ異性体と二重結合をはさむ異性体の2種あるはずだが,実際は1種しかない。
高校の化学では分子において電子がどのように存在するかということは扱いませんから,
ベンゼンの6本の炭素間結合および6個の炭素原子の化学的性質が等しいという事実のみ
を習い,特に理屈付けはされません。
粗く言うと学問の進歩には,事実の積み重ねから背景にある理論を構築する場合と,理論
を予測してから支持する事実を見つけて証明する場合があります(実際には両方一緒に
行われます)。前者のパターンが多いと思われますが,後者の例には,ドルトンの原子説
(原子説から予想される倍数比例の法則をあとから確かめた)やメンデレーエフの周期律
(予想した未知の元素があとから発見された)があります。私たちはそういった先人の
成果を享受しているわけですが,学習の方法もやはり2パターン,すなわち事実から入る
方法と理屈から入る方法があると思います。理屈というのは多くの事実を凝縮したもの
ですから,少ない理屈を覚えて多くの事実を説明できるようにすると効率の良い学習が
できます。しかし高校で習う事実はそれほど多くないため,理屈から入っても効果的で
ないということもしばしばあります。
話が逸れましたが言いたかったことは,有機の反応のパターンを覚える際,その背景に
ある電子のふるまいを学ぶことは,興味をそそることではあるが学習の効率を高めること
にはならないということです。ただ,頭の柔軟な時期に興味を満たすことは良いことです。
興味があるなら勉強すればよいが,そこまですべきかどうかと考えているならしなくても
よいと思います。
(2) @ ナフタレンの分子式はC10H8である。 A 立体異性体ではなく構造異性体である。
B ○ C ○ D 置換反応ではなく付加反応である。 E ○
F 無水フマル酸ではなく無水マレイン酸である。
ナフタレンとアントラセンの分子式と構造式は少し注意してください。六角形がくっつ
いた形の頂点の数だけ炭素原子はありますが,六角形の継ぎ目にあたる炭素原子は炭素
間結合に4本の手を使うため水素原子は結合していません。その分だけ水素原子の数は
炭素原子より少なくなり,ナフタレンでC10H8,アントラセンでC14H10となります。
多くの試験ではベンゼン環の表記に正六角形に3本の線を足したものを使いますが,
ナフタレンの構造式を書くとき六角形の継ぎ目の頂点から線を5本出さないようにして
ください。うっかり2つのベンゼン環をそのまま左右から合体させるとそのような誤りを
犯してしまいます。二重結合が局在していないといえども,この表記上は炭素の手が
4本だという原則に従う必要があります。アントラセンも同様です。
オルト,メタ,パラ異性体は原子の結合順序が異なるので構造異性体です。
ベンゼンのハロゲン化の触媒はハロゲン化鉄(V)です。鉄粉を用いた場合も鉄とハロゲン
単体が反応してハロゲン化鉄(V)を生じ,これが触媒として作用します。よって,鉄は
反応の前後で変化を受けていますが,触媒という表現が用いられます。
ベンゼンスルホン酸は硫酸と同様の構造をもっているので強酸です。芳香族化合物は
分子の状態では水に溶けにくいですが,ベンゼンスルホン酸は電離しやすくイオンの
状態になれるので水によく溶けます。初学者はニトロベンゼンが酸であるように錯覚する
ことがあるので注意が必要です。
ベンゼンは置換反応を受けやすく,加熱するといっても数十℃程度でわざわざ書いてない
こともあります。それに対し付加反応は,水素なら触媒,高温,高圧,塩素なら紫外線
(光)という条件が必要で,置換反応よりずっと大きいエネルギーを外部から与える必要
があります。付加反応ではベンゼン1分子に対して水素または塩素3分子が付加します。
芳香族炭化水素の反応は,置換,付加,酸化の3つに大別し,置換はハロゲン化,ニトロ化,
スルホン化,(アルキル化)の4つ,付加は水素と塩素の2つを覚えます。そして酸化は
置換基である炭化水素基の酸化とベンゼン環の酸化に分けます。トルエンやエチルベンゼン
のようにベンゼン環に炭化水素基がついている場合,KMnO4で酸化するとベンゼン環に
直結する炭素原子が酸化されてカルボキシル基になります。これは炭化水素基の炭素原子
数がいくつでも必ず根元の(ベンゼン環の隣の)炭素原子の酸化です。
ベンゼン環はV2O5触媒により空気酸化されます。ベンゼンは無水マレイン酸になります。
これはベンゼンのC=Cが1組残り,その隣の2つのCがカルボキシル基になり,あと2つの
Cはとれてしまったと考えればよいです。これをナフタレンにもあてはめると,ベンゼンの
C=C1組が残る代わりにベンゼン環1個が残ったと見ることができます。問題自体は
シスのマレイン酸とトランスのフマル酸による単なるひっかけです。
(3) @ A, B, D, G A A, C, E, G
フェノール性ヒドロキシル基とアルコール性ヒドロキシル基の性質に関する問題です。
-OHのみが関与して,-OHがついているCまでは関与しない反応は両者共通の反応です。
つまり,金属Naとの反応とエステル化はフェノールでもエタノールでも起こります(ただ
起こりやすさに違いはありますが)。
それに対し,フェノールでは-OHがベンゼン環に直結していることにより-OHが電離
しやすいことに特徴があります。よって酸の性質としてNaOHと中和反応を起こしますが,
その酸性はリトマス紙を赤変しない程度に弱いものです。また,電離して生じたイオンが
Fe3+と錯イオンを形成することでフェノール類は紫系の色を呈します。
酸化については,アルコール性OH基は第何級かによって反応が決まっていて,エタノール
のような第一級アルコールはアルデヒドに酸化されます。フェノールは実は酸化され
やすいのですが,その変化が複雑なため教科書では触れられていません。フェノールは
空気中でも徐々に酸化され,生じた物質により赤みを帯びてきます。
水溶性は主に炭素原子数とヒドロキシル基の数の関係で決まります。だいたいは-OH1個
に対して炭素3個までは溶けやすく,炭素がそれ以上多いと溶けにくいと言えます。
フェノール類でも-OHを複数もつものは水に溶けやすくなります。
(4) ・ ベンゼン→クロロベンゼン→ナトリウムフェノキシド→フェノール
・ ベンゼン→ベンゼンスルホン酸→ベンゼンスルホン酸ナトリウム→ナトリウムフェノキシド
→フェノール
・ ベンゼン→クメン→クメンヒドロペルオキシド→フェノール
・ ベンゼン→ニトロベンゼン→アニリン塩酸塩→アニリン→塩化ベンゼンジアゾニウム
→フェノール
上3つは工業的製法です。下1つは実験室で可能な反応ですが,わざわざこの方法で
フェノールをつくることはないでしょう。塩化ベンゼンジアゾニウムの分解によって
フェノールが生じることを思い出せるようにしておく意味で4つ目にとりあげました。
もちろん,この流れに構造式,試薬,条件を加えて覚える必要があります。
◆◆◆テーマ34◆◆◆ 芳香族化合物2
(1) つぎの操作による変化を化学反応式でそれぞれ記せ。
@ ナトリウムフェノキシド水溶液に二酸化炭素を吹き込む。
A 加圧下でナトリウムフェノキシドと二酸化炭素とを加熱する。
(2) 分子式C8H6O4で表される芳香族ジカルボン酸A,B,Cがある。Aは加熱で容易に脱水する。
Bは合成繊維の製造に用いられる。A,B,Cの名称をそれぞれ記せ。
(3) サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸のうち,一方は常温で固体,他方は液体である。
常温で固体であるのはどちらか。
(4) つぎの操作による変化を化学反応式でそれぞれ記せ。
@ ニトロベンゼンをスズと濃塩酸で還元する。
A アニリンと無水酢酸を反応させる。
B アニリン塩酸塩水溶液に5℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液を加える。
C 塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液を温める。
D 冷却した塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液にナトリウムフェノキシドを反応させる。
(5) つぎの文の中から誤ったものを1つ選べ。
@ トルエンに濃硝酸と濃硫酸を反応させると黄色の固体を得る。
A ベンズアルデヒドとフェーリング液を加熱すると赤色沈殿を生じる。
B 2-ナフトールに塩化鉄(V)水溶液を加えると緑色を呈する。
C アニリンにさらし粉を加えると赤紫色を呈する。
D アニリンと硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液を加熱すると黒色の物質を得る。
保守
399 :
大学への名無しさん:04/10/04 05:15:42 ID:7YDBzgDA
ルートヴィヒさんへ質問状
突然ですが、あなたのような知識人にどうしても聞きたいことあるんよ。
ルートヴィヒさんは化学に自信を持っていそうだし、私はあなたの大ファンだからどうしても聞きたい。
それは…
化学の問題集ってのはあれこれ、いろいろと手を出すべきなのか?ということです。
しっかりと何度も繰り返しやるべきか、手当たり次第いろいろな問題集をこなすべきか…
そしてルートヴィヒさんオススメ問題集を教えて下さい。
あれこれすいませんでした
>>399 受験勉強の計画を立てるには次のことを考えます。
@現在の化学の力 ──────────────────→ C受験に必要な化学の力
A自分の潜在能力,B使える時間
BCでは必ず他の教科・科目とのバランスを考えてください。化学は伸ばしやすい科目ですが,当然
完成に近づくほど効率よく伸ばすのは難しくなります。化学が最も苦手という人はあまり聞きません。
しっかり化学以外を伸ばすことが大切です。
そう考えると「何度も」繰り返すことも「いろいろと」手をつけることも,非効率的であるおそれが
あります。理想は「1〜2冊」を「必要なだけ」繰り返すことです。ポイントは,
・ 初習分野でなければ,問題数を絞ってでもテンポ良く進める。
・ 不正解の問題は3日〜1週間後に解きなおし,解けるようになるまで繰り返す。
・ 正解したが自信がなかった問題もできればもう1度解く。
ということです。一度見た問題が解けないのに初見の問題は解けません。消化不良のままいろいろと
手を出すのは無意味です。逆に余裕で解けるものを繰り返しても面白くありません(何もしないより
はずっといいですが)。モチベーションを保つためにも次に進んだほうがよいでしょう。
通常は基礎固めの問題集と入試標準レベルまでの問題集の2冊で十分で,あとは過去問に進みます。
ごく一部の大学・学部ではもう一つ上の問題集をやってもいいでしょう。具体的には
>>101で
紹介した問題集が私のお勧めです。化学に費やせる時間が十分あれば,駿台文庫の『原点からの化学
シリーズ』がお勧めです。
●●●テーマ34の解答●●● 芳香族化合物2
(1) @ C6H5ONa + H2O + CO2 → C6H5OH + NaHCO3
A C6H5ONa + CO2 → o-C6H4(OH)(COONa)
(構造式を書けないので「o-」のような表現をここでは用います。)
試薬が共通でも条件によって反応が異なる一例を取り上げました。@では弱酸の遊離が
起こります。酸の強弱については,
カルボキシル基>炭酸(第1電離)>フェノール性ヒドロキシル基
という関係があるため,フェノールの塩に炭酸を加えるとフェノールが遊離します。
Aでは置換反応が起こります。-ONaに対してオルトの位置にある-HがCO2によって置換
されるのですが,−H + CO2 → −COO- + H+ により結局は-COOHが生じます。ところが,
C6H4(ONa)(COOH)は最終生成物ではありません。ここでも-ONaは-COOHの存在によって弱酸
の遊離を起こし,C6H4(OH)(COONa)となります。
(3) アセチルサリチル酸
サリチル酸はしばしば「医薬品の原料」と表現されます。サリチル酸を無水酢酸でアセチル
化する(エステル化によりアセチル基を導入する)とアセチルサリチル酸が生じます。これ
はアスピリンとして知られる解熱鎮痛薬です。また,サリチル酸をメタノールでエステル化
するとサリチル酸メチルが生じます。これは消炎鎮痛薬として外用塗布に用いられます。
さてこのような問題が出されるとすると,答えは十分予測可能なものであるということです。
アセチルサリチル酸にはカルボキシル基が残っており,サリチル酸メチルにはヒドロキシル
基が残っています。カルボキシル基は水素結合により二量体をつくるので融点や沸点が高く
なる傾向にあります。(分子間力については
>>84付近を参照)
(4) @ 2C6H5NO2 + 3Sn + 14HCl → 2C6H5NH3Cl + 3SnCl4 + 4H2O
酸化還元反応ですから,C6H5NO2→C6H5NH3+とSn→Sn4+より半反応式をつくるところから
始めればつくれます。塩酸酸性下なので,アニリンはアニリン塩酸塩の形になります。
Snは+2より+4が安定であったことを思い出してください(
>>324)。
A C6H5NH2 + (CH3CO)2O → C6H5NHCOCH3 + CH3COOH
アミド生成反応によりアセチル基が導入されるのでアセチル化とよぶことができます。
生成物はアセトアニリドと酢酸です。無水酢酸を用いたアセチル化では酢酸が生じます。
B C6H5NH2 + NaNO2 + 2HCl → C6H5N2Cl + NaCl + 2H2O
ジアゾ化が起こります。生成する塩化ベンゼンジアゾニウムが熱に不安定であるため冷却
して反応させます。係数が単純なので,物質を並べて係数合わせをすればよいでしょう。
C C6H5N2Cl + H2O → C6H5OH + HCl + N2
塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液の温度が上がると,窒素を発生し,フェノールが生じます。
このことを覚えていれば反応式自体は難しくありません。
D C6H5N2Cl + C6H5ONa → C6H5−N=N−C6H4−OH + NaCl
カップリングが起こり,アゾ化合物の一種p-ヒドロキシアゾベンゼン(p-フェニルアゾ
フェノール)が生じます。多くの試験では反応式中でも芳香族化合物を構造式(ベンゼン環
だけでも)で表記するようになっていますので,その目で以上の解答を見てください。
(5) A
ニトロ化合物には淡黄色から黄色のものが多いです。トルエンを十分ニトロ化すると,
2,4,6-トリニトロトルエンが生じます。ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド
はフェーリング反応を起こしません。フェノール類のFeCl3aqによる呈色は紫系ですが,
2-ナフトールでは緑色を呈します。アニリンの呈色反応は問題の通りです。この問題自体は
悪問ですが,丁寧に勉強している人には少し刺激を与えるものとして出しました。
◆◆◆テーマ35◆◆◆ 油脂
(1) 次の語句をそれぞれ説明せよ。
@ 油脂 A 脂肪 B 脂肪油 C 硬化油 D 乾性油 E セッケン
(2) 次の空欄に適切な語句を入れよ。
油脂の性質は油脂を構成するステアリン酸やオレイン酸など[ イ ]の種類によって決まる。
具体的には油脂の性質は1分子中の[ ロ ]の数と[ ハ ]の数に左右される。[ ロ ]
の数は分子量に反映されるので,それが多いほど融点が[ ニ ]なる。[ ハ ]は炭素鎖
を曲げるので,それが多いほど融点が[ ホ ]なる。また[ ハ ]は反応性に富み,空気
中の[ ヘ ]と反応するので,[ ハ ]が多いほど油脂は[ ト ]しやすくなる。
(3) ステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)のみからなる油脂を水酸化ナトリウムでけん化する
ときの変化を化学反応式で記せ。
(4) セッケンの作用を2つ挙げ,それぞれ説明せよ。
(5) 硫酸ドデシルナトリウムの示性式を記せ。
(6) 合成洗剤と比較したときのセッケンの短所2つと長所1つをそれぞれ説明せよ。
■追加■ テーマ34の解答で(2)が飛んでしまいましたのでここに追加します。
(2) A フタル酸 B テレフタル酸 C イソフタル酸
ジカルボン酸ですからC8H6O4は示性式C6H4(COOH)2に書き換えられます。そして芳香族です
からC6H4はベンゼン環に決まります。ベンゼンの二置換体ですから,異性体はオルト,
メタ,パラの3種です。「加熱で容易に脱水」できるカルボン酸は,分子内の近い位置に
2つのカルボキシル基をもつものです(さらに言うと脱水により五員環か六員環をつくれる
ものです)。教科書ではマレイン酸とフタル酸o-C6H4(COOH)2が紹介されています。テレ
フタル酸p-C6H4(COOH)2を導くための手掛かりとして「合成繊維の原料」であることが
書かれていることがあります。
sage保守
408 :
大学への名無しさん:04/10/09 01:22:03 ID:q9OLXhG6
ルートヴィヒさんお返事ありがとうございました。理系標準問題集を私はやってますからそれを適度にやりたっていきたいと思います
ルート(以下省略)さんのアドバイスはかなりためになりました。
もう時間はありませんがまた悩んだ時は相談に乗って下さい。
ってか失礼かもしれないけど2ちゃんねるなんかでやるよりルートさんがホームページを作られた方がいいのではないでしょうか(笑)
絶対に良いホームページになると思いますよ
409 :
大学への名無しさん:04/10/12 00:09:18 ID:HdHdM53I
糞つきパンツ
ここまで内容詰まり過ぎなスレも珍しいな
2chのこと貶す奴もいるが、情報の取捨とかうまくやれば
これほど使えるツールはないのにな
>>408 アドバイスがお役に立ったようなら幸いです。ホームページにするほどの余力はありません。
このようにあまり期待をもたれずに,好き勝手なペースで更新するには2chぐらいが丁度です。
>>410 私も「情報の取捨」が非常に大切だと思います。高等学校まで検定教科書とそれに準ずる参考書類
を使っているせいか,情報を取捨選択する能力というか習慣が育っていない気がします。
●●●テーマ35の解答●●● 油脂
(1) @ 高級脂肪酸とグリセリンのトリエステル。
A 常温で固体の油脂。 B 常温で液体の油脂。
C 脂肪油に触媒を用いて水素を付加させて得られる固体の油脂。
D 空気中に放置したとき固化しやすい脂肪油。
E 高級脂肪酸のナトリウム塩。
語句の確認です。グリセリンC3H5(OH)3は3価アルコールで3個の炭素原子に1個ずつ
ヒドロキシル基がついています。高級脂肪酸は炭素数の多い脂肪酸(
>>385)です。グリセリン
1分子と高級脂肪酸3分子がエステル結合を形成したものが油脂です。高級脂肪酸3分子は
同一とは限りません。
高級脂肪酸としてはパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸が
よく出てきますが示性式を覚えている必要はまずないでしょう。念のため覚えるとすれば,
炭素数とC=Cの数を覚えておきます。これらは(2)で説明するように油脂の性質に影響します。
パルミチン酸のみ炭素数16で,他は18です。パルミチン酸とステアリン酸は飽和脂肪酸
(C=C数が0)で,他は不飽和脂肪酸(C=C数は上記の順に1,2,3)です。
(2) イ…(高級)脂肪酸 ロ…炭素原子 ハ…炭素間二重結合 ニ…高く ホ…低く
ヘ…酸素 ト…固化
問題文の説明の通り,油脂の融点は炭素原子数(分子量)とC=C数(分子の形)に影響され
ます。天然の油脂に含まれるC=Cはシス型ですが,炭素鎖をできるだけ真っ直ぐ伸ばそうと
してもそこで必ず折れ曲がりができます。分子の形が整っているほうが規則正しく並び
やすいですから,結晶が安定となり,融点が高くなります。よって,C=C数が多いほど融点
が低くなります。
脂肪油の融点が低い理由は炭素数が少ないか,C=C数が多いか,またはその両方です。
そこでC=C数が多い脂肪油ではそれを減らせば融点が高くなるはずです。具体的にはNi触媒
を用いて水素付加を行います。そうしてできた融点が高い固体の油脂を硬化油とよびます。
身近な例では,植物油からつくられるマーガリンが硬化油です。
油脂にC=Cがあるとその部分が反応性に富むため,空気中の酸素と反応が起こります。酸素
との反応ですから酸化ということができますが,さらにこのとき油脂の分子と分子が新たな
結合によりつながってしまいます。この反応を重合とよびます。分子どうしがつながると
互いに位置を換えられないので脂肪油は流動性を失います。見た目にはカピカピに乾いた
ような感じになり,「固化した」と表現されます。C=C数の多い脂肪油ではこの現象が
起こりやすいため乾性油とよばれます。逆にC=Cに乏しい脂肪油は不乾性油,そして中間的
な脂肪油を半乾性油とよびます。
(3) C3H5(OCOC17H35)3 + 3NaOH → C3H5(OH)3 + 3C17H35COONa
ステアリン酸は炭素数18の飽和脂肪酸ですから,炭素数17のアルキル基(鎖式飽和炭化水素
基)とカルボキシル基からなります。アルキル基は一般にC(n)H(2n+1)で表現されますから,
ステアリン酸はC17H35COOHという示性式をもちます。グリセリンは示性式C3H5(OH)3をもち
ますから,ステアリン酸とエステルをつくると-OHが-OCOC17H35に変化して,
C3H5(OCOC17H35)3という式で油脂が表されます。けん化の化学反応式ですから,エステル+
塩基→アルコール+カルボン酸塩という形で係数に注意して完成させます。
(4) 界面活性作用:水の表面張力を低下させるはたらき。
乳化作用:油を取り囲んで小さい粒にし,水に混じり合うようにするはたらき。
水分子どうしは水素結合で強く引き合っていますから,お互いできるだけかたまって存在
しようとします。表面にある水分子は外側に水素結合をつくることができませんから,同量
の水であれば表面積が小さいほど多くの水素結合をつくることができます。そこで水は
できるだけ表面積の小さい形,すなわち球形になろうとします。この表面を縮めようとする
力を表面張力といいます。セッケン分子は水分子間の水素結合を断ち切ることにより,この
性質を弱めます。このように少量でも表面張力を低下させるはたらきをもつ物質を界面活性
剤,その作用を界面活性作用といいます。洗濯ではこれにより繊維の間に水がしみこみ
やすくなります。
セッケン水溶液においてセッケン分子(正確には高級脂肪酸イオン)は,疎水性の炭化水素
基を内側に,親水性のカルボキシル基のイオンの部分を外側に向けて,球形の粒子をつくっ
ています。これは分子が集合してコロイドの大きさになったものですから,会合コロイド
(ミセル)です。セッケン水溶液に少量の油を入れて振ると,疎水性の部分で油を取り囲み,
親水性の部分を水側に向けることによって,油を小さな粒子にして水に混ざり合うように
します。この現象を乳化,このはたらきを乳化作用,得られた液を乳濁液といいます。洗濯
ではこれにより油汚れを落とします。
(5) CH3(CH2)11OSO3Na
1-ドデカノールは炭素数12で直鎖状の1価アルコールです。カルボン酸とアルコールが縮合
したものをエステルといいますが,一般にオキソ酸とアルコールが縮合したものも広義に
エステルといいます。1-ドデカノールと硫酸が縮合すると硫酸ドデシルというエステルが
生じます(カルボン酸のエステルと同様,アルコールのHと硫酸のOHがとれます)。
CH3(CH2)11-OH + HO-SO3H → CH3(CH2)11OSO3H
これのナトリウム塩が硫酸ドデシルナトリウムです。これはセッケンと同様に,アルキル基
による疎水性の部分と,−OSO3-という親水性の部分からなるので,セッケンと同様に
界面活性作用および乳化作用を示します。よってセッケンに対しこのような物質を合成洗剤
とよびます。代表例として硫酸ドデシルナトリウムのほかにドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムCH3(CH2)11C6H4SO3Naがあります。ドデシル基は他のアルキル基でもかまいません。
(6) 短所1:合成洗剤の水溶液は中性であるが,セッケンの水溶液は弱塩基性であるため動物性繊維
をいためる。
短所2:合成洗剤は硬水でも使えるが,セッケンを硬水に溶かすとMg2+やCa2+の脂肪酸塩が
沈殿してしまい,洗浄能力を失う。
長所 :合成洗剤と比べて,セッケンは微生物によって分解されやすく,環境への負荷が少ない。
セッケンの短所はカルボン酸の塩であるところに由来します。まず弱酸の塩であるために
水溶液がアルカリ性を示します。動物からとれる繊維はタンパク質が主成分ですが,タンパク
質はpHの変化により変性します。二番目は沈殿の話ですから理屈抜きに違いを覚えてください。
Mg2+やCa2+を含む水を硬水といいますが,これらの陽イオンをセッケンの陰イオンは沈殿を
つくりますが,合成洗剤の陰イオンは沈殿をつくりません。
セッケンの長所は原料に由来します。油脂および高級脂肪酸はもともと天然に存在する物質
ですから,微生物はこれを容易に分解します。それに対して合成洗剤は天然にはなかった
化学構造をもっていますから,微生物にとってこれを分解するのは困難なことです。
◆◆◆テーマ36◆◆◆ 糖類
(1) 次の文に誤りがある場合には指摘して訂正せよ。ただし,単糖類の6個の炭素原子に
カルボニル基に近い方の末端から1〜6の番号をつけて「1位」のように表すものとする。
@ 鎖状構造においてグルコースとフルクトースは互いに立体異性体である。
A 鎖状構造においてグルコースとガラクトースは互いに立体異性体である。
B グルコースは水溶液中で3種の異性体の平衡混合物となる。
C グルコースが六員環構造をとる場合,1位と5位の炭素がエーテル結合をつくる。
D フルクトースが六員環構造をとる場合,1位と5位の炭素がエーテル結合をつくる。
E α-グルコースの1位のヒドロキシル基は鎖状構造に変化するために不可欠である。
F グルコースはアルデヒド基をもつので還元性を示す。
G フルクトースは通常のケトンより反応性の高いケトン基をもつので還元性を示す。
H 糖類の2つのヒドロキシル基から生じたエーテル結合をグリコシド結合という。
I 同じ物質量のマルトースとグルコースでそれぞれフェーリング反応を行うと,マルトース
ではグルコースから得られる量の2倍の酸化銅(T)が沈殿する。
J グルコースと同様にマルトースにもα型とβ型がある。
K スクロースには還元性がない。
(2) デンプンはアミロースとアミロペクチンの混合物である。アミロースはα-グルコースが1位
と4位でグリコシド結合してできた鎖がらせん構造をとる。ヨウ素デンプン反応はこのらせん
構造にヨウ素分子が入り込むことにより起こる。ヨウ素デンプン反応によりアミロースは濃青
色を呈するが,希塩酸で加水分解していくと,順に,紫色,赤色,褐色,無色へと変化する。
@ ヨウ素デンプン反応によりアミロペクチンは赤紫色を呈する。このことと上記の文より
アミロースとアミロペクチンのらせん構造についてわかることを説明せよ。
A アミロースの分子量は4万から5万であるが,アミロペクチンの分子量は数十万に達する。
このことと@の解答の関係を,アミロースとアミロペクチンの分子構造の違いから説明
せよ。
(3) セルロース[C6H7O2(OH)3]に無水酢酸を反応させるとアセチルセルロースが得られる。
@ 生成物がトリアセチルセルロースである場合の変化を化学反応式で記せ。
A セルロース1.00×10^2gからアセチルセルロース1.50×10^2gが得られた場合,グルコース
単位1個あたりアセチル化されたヒドロキシル基は何個か。有効数字2桁で求めよ。
原子量は,H=1.0,C=12,O=16とする。
■訂正■
テーマ36の(3)で,セルロースの示性式にnが抜けていました。
誤 [C6H7O2(OH)3] → 正 [C6H7O2(OH)3]n
(1) 次の文に誤りがある場合には指摘して訂正せよ。ただし,単糖類の6個の炭素原子に
カルボニル基に近い方の末端から1〜6の番号をつけて「1位」のように表すものとする。
×@ 鎖状構造においてグルコースとフルクトースは互いに 構造 異性体である。
○A 鎖状構造においてグルコースとガラクトースは互いに立体異性体である。
○B グルコースは水溶液中で3種の異性体の平衡混合物となる。
○C グルコースが六員環構造をとる場合,1位と5位の炭素がエーテル結合をつくる。
×D フルクトースが六員環構造をとる場合, 2 位と 6 位の炭素がエーテル結合をつくる。
○E α-グルコースの1位のヒドロキシル基は鎖状構造に変化するために不可欠である。
○F グルコースはアルデヒド基をもつので還元性を示す。
○G フルクトースは通常のケトンより反応性の高いケトン基をもつので還元性を示す。(結局はアルデヒドになる。)
○H 糖類の2つのヒドロキシル基から生じたエーテル結合をグリコシド結合という。
×I 同じ物質量のマルトースとグルコースでそれぞれフェーリング反応を行うと,マルトース
ではグルコースから得られる量の 1 倍の酸化銅(T)が沈殿する。
○J グルコースと同様にマルトースにもα型とβ型がある。
○K スクロースには還元性がない。
422 :
大学への名無しさん:04/10/16 21:47:39 ID:jYtk4IGt
age
>>419 (2)
@ アミロペクチン分子のらせん構造の部分は
アミロース分子のらせん構造の長さに比べるとより格段に短いことがわかる。
A アミロース分子は、一本のらせん構造を持った分子である。一方、
アミロースの数倍の分子量あるいは構成単位を持つにもかかわらず、
アミロペクチン分子はその分子の中のらせん構造の部分はアミロース分子に比べ
格段に短い。ということは、アミロペクチン分子は短いらせん構造部分が、
アミロースのように一本ではなく、木の枝のような形状で、いくつも組み合わさって
できていることがわかる。
(3)
@ [C6H7O2(OH)3]n+3nCH3COOH→[C6H7O2(OCOCH3)3]n+3nH2O
A グルコース単位1個当たりアセチル化されたヒドロキシル基をm(0≦m≦3)個とする。
分子量は、
[C6H7O2(OH)3]n=162n
[C6H7O2(OCOCH3)m]n=(59m+111)n
[C6H7O2(OH)3]n+mnCH3COOH→[C6H7O2(OCOCH3)m]n+mnH2O
1.00×10^2 g 1.50×10^2 g
――――――――― ――――――――――――
162n g/mol (59m+111)n g/mol
ゆえに、
1.00×10^2 g 1.50×10^2 g
―――――――――=――――――――――――
162n g/mol (59m+111)n g/mol
⇔ m=2.23
=2.2 (確かに、0≦m≦3 を満たす。)
したがって、グルコース単位1個当たりアセチル化されたヒドロキシル基は2.2個である。…(答)
>>421 正解です。
>>423 減点なく○になるでしょう。
>>424 @は本文に「無水酢酸」を用いたとありますから注意してください。
Aは方針としては正しいですが,最初の示性式の段階で誤りがあります。アセチル化された
ヒドロキシル基がm個あるなら,されていないヒドロキシル基が(3-m)個残っているので,
[C6H7O2(OH)(3-m)(OCOCH3)m]nとして分子量は(162+42m)nとしなければなりません。これを
用いてあとは同様に計算すれば,mの値は解答に一致します。
●●●テーマ36の解答●●● 糖類
(1) @ 立体異性体を構造異性体に訂正する。 A ○
高校で扱う単糖類はグルコース,フルクトース,ガラクトースの3種で,いずれもC6H12O6の
分子式をもちます(炭素原子を6個もつ単糖類をヘキソース(六炭糖)といいますが,新課程
ではリボースのようなペントース(五炭糖)も扱うのかもしれません)。鎖状構造において,
グルコースとガラクトースはアルデヒド基をもち,このような単糖類をアルドースといいます。
フルクトースはケトン基をもち,ケトースに分類されます。このことから,フルクトースは
グルコースやガラクトースに対して構造異性体の関係にあることがわかります。グルコースと
ガラクトースは直鎖状の炭素鎖の末端がアルデヒド基で,残りの5個の炭素原子に1個ずつの
ヒドロキシル基をもっているので,構造異性体の関係にはありません。この分子は2位から
5位の4個の炭素原子が不斉炭素原子になりますから,2^4=16個の立体異性体が存在します。
グルコースとガラクトースは4位の炭素原子につく-Hと-OHの向きが異なる立体異性体です。
グルコースとフルクトースの構造は覚えなければなりませんが,このことを知っていれば
ガラクトースもついでに覚えられます(不要ですが)。
B ○ C ○ D 「1位と5位」を「2位と6位」に訂正する。 E ○
グルコースは鎖状構造以外に2種の環状構造をとります。そして水溶液中ではこれら3種の
異性体が平衡状態にあります。鎖状構造と環状構造との変化には4つの原子が関与します。
| |
−C−O−H −C−O H
/ ⇔ / | |
C=O C−O
/ \ / \ ←☆と-OHの立体配置は逆にもなる
☆ ☆
グルコースでは1位のカルボニル基と5位のヒドロキシル基の間で変化が起こり,エーテル
結合を含む環をつくります。この図からわかるように,環をつくるためには必ずカルボニル
基が必要で,ヒドロキシル基はいくつかあるうちのどれかでよいはずです。どのヒドロキシル
基を使うかは生じる構造の安定性で決まり,通常六員環か五員環構造となります。グルコース
の場合は,もっぱら六員環構造です。逆に環を開いて鎖状構造にするためにも,図において
変化に関わる4つの原子が揃っていなくてはなりません。グルコースでは1位の-OHがその
ままの形で残っていないと開環できません。
フルクトースの場合,五員環,六員環ともに安定です。どちらも必ず2位のカルボニル基が
反応します。五員環をつくるには5位,六員環をつくるには6位のヒドロキシル基と反応
すればよいわけです。
F ○ G ○
アルドースであるグルコースはもちろん,ケトースであるフルクトースも還元性を示します。
フルクトースのケトン基が還元性をもつのは隣のヒドロキシル基の影響だとかいうのは高校
の段階ではさておき,フルクトースではケトン基を含む-CO-CH2OHの構造によって還元性を
示すということが大切です。つまり,アルドースと同様に,鎖状構造においてのみ還元性を
示すということです。つまり,
環状のグルコース(ガラクトース)1位,フルクトース2位の-OHが残っている
⇔ 鎖状構造に変化(開環)できる
⇔ 還元性を示す構造(アルデヒド基,-CO-CH2OH)に変化できる
という関係が成り立ちます。還元性に関する記述問題はこれを意識して答えをつくります。
H ○ I 「得られる量の2倍」を「得られる量と等量」に訂正する。 J ○ K ○
単糖類2分子が縮合した構造をもつ物質を二糖類といいます。この縮合により生じるエーテル
結合はグリコシド結合とよばれます。単糖類は環状構造においても5つのヒドロキシル基を
もちますが,この中でも環とともに生じたヒドロキシル基(グルコースの1位,フルクトース
の2位)は他より反応性に富みます。そこで通常のグリコシド結合はこのヒドロキシル基を
少なくとも1つ利用してつくられます。
マルトース α-グルコース 1位 − 4位 (α-)グルコース
セロビオース β-グルコース 1位 − 4位 (β-)グルコース
ラクトース β-ガラクトース 1位 − 4位 (α-)グルコース
スクロース α-グルコース 1位 − 2位 β-フルクトース(五員環構造)
まずマルトースに注目します。「2つのα-グルコースからなる」とされますが,ここでは
右のグルコースのαには括弧をつけています。もうおわかりのように,右側のグルコースは
4位の-OHに変化を受けていますが,1位の-OHはそのまま残っています。ということは,
鎖状構造に変化することが可能ですから,水溶液中ではαとβと鎖状構造の平衡混合物に
なるはずです。この意味においては右側のグルコースはαに限定できません(覚え方として
αと覚えるのは勧められます)。一方,左側のグルコースは1位の-OHがグリコシド結合に
使われているため開環できません。よって,マルトースはグルコースと同様に1分子中に
1か所だけ還元性を示す構造(アルデヒド基)をもつことになります。
次にスクロースを見ましょう。グルコースもフルクトースも開環するのに必要な-OHを
グリコシド結合に使っています。よって,どちらも開環できないので,α,βは固定されて
います。当然,鎖状構造になって還元性を示すこともできません。
(2) @ ヨウ素デンプン反応でアミロペクチンが呈する赤紫色は,いくらか加水分解されてらせん
構造が短くなったアミロースが呈する色と同じである。よって,アミロペクチンのらせん
構造の長さはアミロースのそれより短いことがわかる。
A アミロペクチンがアミロースより大きい分子量をもつにもかかわらずアミロースより短い
らせん構造をもつのは,α-グルコースが直鎖状に縮合した構造をもつアミロースと異なり
枝分かれ構造をもつアミロペクチンが数多くのらせん構造をもつためである。
デンプンはα-グルコースがグリコシド結合によって多数つながった構造をもちます。
アミロースは1位と4位で結合してグルコース単位が直鎖状につながりますが,
アミロペクチンは1,4-グリコシド結合以外に1,6-グリコシド結合を含みます。つまり,1位,
4位,6位の3か所で他のグルコース単位と結合するグルコース単位があるということです。
このように3方向につながっていくということは,そこで枝分かれが生じているということ
になります。1,4-結合によってできる鎖はアミロースと同様にらせん構造をつくります。
6位のCはグルコースの環より上に突き出ていますが,らせん構造ではこの6位のCがらせん
の外側に突き出るようになっています。よって,1,6-結合によってらせんの途中から別の
らせんが伸びていくような立体構造になります。
(3) @ [C6H7O2(OH)3]n + 3n(CH3CO)2O → [C6H7O2(OCOCH3)3]n + 3nCH3COOH
A 1.9個
無水酢酸によるアセチル化をアルコール一般について考えると,
ROH + (CH3CO)2O → ROCOCH3 + CH3COOH
のような変化になりますから,セルロースのグルコース単位に存在する3個のヒドロキシル基
も同様の変化を受けます。セルロースの示性式中に-OHが3n個あることに注意すると解答の
ような化学反応式が書けます。
グルコース単位[C6H7O2(OH)3](=162)が完全にアセチル化されると[C6H7O2(OCOCH3)3]
(=288)になり,式量は126増加します。よって,100gのセルロースを完全にアセチル化
すると,
100 × (126/162) = 700/9 (g)
増加するはずです。しかし,問題では50gの質量増加ですから,アセチル化された割合は,
50 ÷ (700/9) = 45/70
です。これをヒドロキシル基に換算すると,100%アセチル化された場合が3個のヒドロキシル
基がアセチル化されることに相当しますから,
3 × (45/70) = 135/70 = 1.92… ≒ 1.9
より1.9個と求まります。
◆◆◆テーマ37◆◆◆ アミノ酸とタンパク質
(1) グルタミン酸,グリシン,リシンについてグリシンの等電点において電気泳動を行うことに
ついて考える。次の問いに答えよ。
@ 等電点とは何か説明せよ。
A グルタミン酸,グリシン,リシンの分子構造上の相違点を簡単に説明せよ。
B グルタミン酸,グリシン,リシンの等電点を比較せよ。
C グリシンの等電点においてグルタミン酸,グリシン,リシンそれぞれの帯びる電荷について
説明せよ。
D 予想される電気泳動の結果を簡単に説明せよ。
(2) 次の文を読み,あとの問いに答えよ。
タンパク質が本来の機能を示すには,アミノ酸の配列順序だけでなく,立体構造が重要である。
この立体構造を維持するために,ポリペプチド鎖の離れた位置にあるアミノ酸残基を結びつける
水素結合やジスルフィド結合が重要なはたらきをする。この立体構造を破壊するとポリペプチド
鎖が切断されなくてもタンパク質の性質が変化する。これをタンパク質の変性という。
@ タンパク質の立体構造のうち,規則正しいらせん構造を特に何というか。
A 離れた位置にあるペプチド結合間に生じる水素結合の様子を図示せよ。水素結合は…で表す
ものとする。
B ジスルフィド結合とは何か,この結合に関与するアミノ酸を含めて説明せよ。
C タンパク質の変性の原因を4つ挙げよ(対立する原因は1つに数えるものとする)。
D Cの原因を取り除いた場合,タンパク質の性質は回復するかどうか答えよ。
(3) 次の文に誤りがある場合には,その理由とともに訂正せよ。
@ ビウレット反応によってペプチドとアミノ酸は区別できる。
A ニンヒドリン反応によってペプチドとアミノ酸は区別できる。
B キサントプロテイン反応によってペプチドとアミノ酸は区別できる。
C キサントプロテイン反応において塩基を加える操作は呈色を濃くするという意義がある。
D 硫黄を含むタンパク質の検出には通常酢酸ナトリウムと硫酸鉛(U)が用いられる。
(4) 酵素の触媒作用の特徴を表す語を3つ挙げ,それぞれについて説明せよ。
435 :
大学への名無しさん:04/10/21 01:23:57 ID:npewPnqE
(1) @ 水にアミノ酸が溶けている時、アミノ酸全体の電荷が0である状態のpH
A グリシン → 光学異性体を有しない。
グルタミン酸 → カルボキシル基を2つ、アミノ基を1つ有するため、水溶液は酸性。
リシン → カルボキシル基を1つ、アミノ基を2つ有するため、水溶液は塩基性。
B 等電点はグルタミン酸、グリシン、リシンの順に高くなる。
C グルタミン酸 → -
グリシン → 0(定義そのもの)
リシン → +
D 陽極にリシン、陰極にグルタミン酸が集まる。
(2)@ α-ヘリックス
| |
A N-H …O=C
| |
B タンパク質の構成にシステインなど成分に硫黄が含まれるアミノ酸が
複数存在するときに見られる硫黄同士の結合で、立体構造を支える。
C アルコール、熱、酸(塩基)、重金属イオン
D しない。
(3) 次の文に誤りがある場合には,その理由とともに訂正せよ。
@ ○
A ペプチドとアミノ酸は両方ともニンヒドリン反応を起こす。
B ○
C ○
D 硫酸鉛(U)だけで判別が可能。
(4) 酵素の種類によって作用させる物質が限定される。
酵素の種類によってそれぞれ作用に最適なpH,温度の値域を持ち、その範囲外では働きが鈍る。
極端な酸性,.塩基,高温条件では酵素が変性する。
436 :
453:04/10/21 01:25:40 ID:npewPnqE
む、(2)Aの図がズレてる orz
437 :
大学への名無しさん:04/10/22 22:40:17 ID:OZjx2uNl
はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ
神すれ
>>435 (3)
Bベンゼン環の検出反応なのでペプチドとアミノ酸の区別は出来ない。
D水酸化ナトリウムの固体を加えSをイオン化後、酢酸鉛(II)にて検出可能。
じゃないか?