さまざまなテーマで教科書の内容を掘り下げていくことを目的として
このスレを立てました。
ここで「掘り下げる」というのは,教科書を読み込むということと,
記載されていない部分に踏み込むということの両方を想定しています。
後者の方法は議論が発散する危険があることを各人ご承知下さい。
このスレが最終的に目指すのは,化学の大学受験に寄与することです。
勝手ながらテーマは私が決めます。私のレスは不定期です。
◆◆◆テーマ01◆◆◆ 混合物と純物質
合金が化合物ではなく混合物であるとされるのはなぜか?
3 :
3:04/05/28 17:37 ID:Hh0hczse
get
4 :
大学への名無しさん:04/05/28 17:38 ID:p1BGhxd4
3
5 :
大学への名無しさん:04/05/28 17:38 ID:d7te/TFb
亀田の身長は
186cm
6 :
大学への名無しさん:04/05/28 17:38 ID:ZlAXjvRl
和田氏が化学に限って教科書は使えないって言ってた
7 :
大学への名無しさん:04/05/28 17:41 ID:ON31i+mx
>>2 あたりまえだろ。
合金は化学反応で電子軌道的に結合している訳じゃなく
イオン化傾向などで補い合っているようなものだし。
8 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/05/28 22:59 ID:W8WpJ1u4
>>6 だから,このスレです。一人で,または教科書単独で使える人はまずいないでしょう。
また,最初に書いたように教科書に明記されていない内容にも触れざるを得なくなると思います。
>>7 あたりまえのことを質問しています。しかし,理由を問われて解答欄に「あたりまえ」と
書く人はいません。自分が理解している内容を正確に文章に表現することが求められます。
「化学反応で電子軌道的に結合している」のでないとして,例えば黄銅中のZn原子とCu原子の
間に働く相互作用は何なのでしょうか? もしかすると「電子軌道」という語自体を
何となく使われた可能性もあります。
「イオン化傾向などで補い合い」とありますが,ここで「イオン化傾向」が出てくるとは
思いませんでした。合金中の金属原子はイオンになる,もしくはイオンになる可能性が
あるのでしょうか? あと,「など」は曖昧です。
9 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/05/28 23:01 ID:W8WpJ1u4
>>6 だから,このスレです。一人で,または教科書単独で使える人はまずいないでしょう。
また,最初に書いたように教科書に明記されていない内容にも触れざるを得なくなると思います。
>>7 あたりまえのことを質問しています。しかし,理由を問われて解答欄に「あたりまえ」と
書く人はいません。自分が理解している内容を正確に文章に表現することが求められます。
「化学反応で電子軌道的に結合している」のでないとして,例えば黄銅中のZn原子とCu原子の
間に働く相互作用は何なのでしょうか? もしかすると「電子軌道」という語自体を
何となく使われた可能性もあります。
「イオン化傾向などで補い合い」とありますが,ここで「イオン化傾向」が出てくるとは
思いませんでした。合金中の金属原子はイオンになる,もしくはイオンになる可能性が
あるのでしょうか? あと,「など」は曖昧です。
10 :
大学への名無しさん:04/05/28 23:07 ID:W8WpJ1u4
↑
重複してすみません。
11 :
大学への名無しさん:04/05/28 23:26 ID:gpfWeMEW
とりあえず、ルートヴィヒさんは修士課程と博士課程のどっち?
12 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/05/29 00:07 ID:+3JNr0aA
>>11 申し訳ありませんが,個人情報については回答しません。
13 :
大学への名無しさん:04/05/29 00:18 ID:sIk9KpdI
>>7 馬鹿か?圧力でくっついてんだよ
イオン結合なんてしてねぇよ。
14 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/05/29 14:35 ID:Fojz/bll
おそらく合金中の原子間に働く相互作用(「結合」や「力」)が何か
考えたことのある人は少ないのではないでしょうか。
化学結合や分子間の引力は,ここでの本題ではありませんが,混合物かどうかを
判断する上で,それらを考えることはほとんど意味がありません。
「混合は化学反応ではない」というのはいいのですが,必ずしも結合状態が
不変であるというわけではありません。例えば,水と塩化水素を混合した場合,
塩化水素のHとCl間の共有結合は切れ,電離が起こります。
よって,合金中の原子間に働く相互作用が何かということは,混合物かどうかを
考えるのに重要ではないのですが,せっかくですから考えてみてください。
15 :
大学への名無しさん:04/05/29 14:44 ID:qDVp7tkQ
金属原子は一つ一つが単体として振る舞っているため。
それらがくっついているのは自由電子が互いの原子核をくっつける役割を果たしているため。
イオン結合してる物質は分子と呼ばないのですか?
17 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/05/29 21:58 ID:2hk96oFx
>>15 「自由電子が互いの原子核をくっつける」は,合金中の原子間に働く相互作用のことですね。
つまり,ひとことで言うと「金属結合」ということで,これが正しいでしょう。
現象から見ると,合金は良導体で金属光沢をもつなどの金属としての性質を備えています。
理論からいうと,金属元素の電気陰性度の小さく,異なる元素の原子間の場合にも
金属結合を形成すると推測されます。
塩酸の例とともにこの例からも,化学結合の点から混合物かどうかを議論するのは
困難であると私は考えます。
「原子が単体としてふるまう」は,おそらく合金が混合物である理由として書かれたものと
思いますが,少し奇異な表現に感じます。もう少し具体的に表現できるでしょうか。
18 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/05/29 21:59 ID:2hk96oFx
>>16 「分子は,有限個の原子からなる粒子である」と理解するのがよいと思います。
イオン結合や金属結合は本質的には(理論的には)無限に原子を結合させていくことが
できるので,分子をつくるための結合ではありません。よって,上の文を言い換えると,
「分子は,有限個の原子が共有結合のみでつながった粒子」となります。
テーマから離れた質問なら理科の質問スレが最適かと思いますが,可能な場合には回答します。
おそらく,このスレはこのまま落ちていきそうなので,
テーマに関する見解を書いておくことにします。
純物質や混合物を定義から区別することは,困難です。
というのも,多くの教科書や参考書では厳密に定義することを
避けていますし,定義より例を示すほうがわかりやすいからです。
そこで,性質から区別するということを考えてみましょう。
@ 混合物は物理変化を利用して純物質に分離することができる。
A 純物質は一定の融点および沸点を示す。混合物は示さない。
B 定比例の法則(化合物の元素組成は一定である)。混合物は一定でない。
一般に合金は@〜Bの性質を示します。ただし,@の具体例は教科書の
内容を越えており,詳しく問われることはまずありません。
A,Bは容易に想像できると思います。もしも,大学入試の設問だったら,
このあたりから論じるのが現実的でしょう。
例1 合金が化合物であれば,定比例の法則より,その元素組成は一定で
あるはずだが,合金の組成は任意であり,よって合金は混合物である。
例2 合金はその組成により融点が異なり,一定の融点を示さない。
よって,合金は純物質ではなく混合物である。
このような感じで,教科書の記載内容以上の知識・理解を身につけることを
否定するためのスレではなく,むしろ十分な知識・理解を前提としたうえで,
入試において解答用紙に残してくる内容の根拠をなるべく教科書に求めよう
というつもりで「教科書を極める」ではなく「教科書から極める」という
試みでスレを立てたのでした。
20 :
大学への名無しさん:04/06/02 20:00 ID:cxloGkR+
>>19 合金(ごうきん、Alloy)は2種類以上の金属によって構成される物質。金属の混晶や、
「金属間化合物」などもこれの範疇に含まれる。
金属間化合物 (きんぞくかんかごうぶつ, Intermetallic compound) は、2種類以上の金
属(非金属の場合あり)によって構成される化合物(構成元素の原子数比は整数である)。
つまらないところをついて悪いが、合金には化合物もあるんでないかい?
>例2 合金はその組成により融点が異なり,一定の融点を示さない。
> よって,合金は純物質ではなく混合物である。
合金の共融点については金属の種類だけによって決まり、組成には無関係なはず。
だから、合金の融点は一定になる。
>>20 あえて触れなかったところに触れられてしまいました。
勝手な判断と言われるかもしれませんが,金属間化合物は「教科書から」
大きく離れてしまうと考えたので踏み込みませんでした。
ご指摘の通り,複数の金属元素からなる物質で,
>>19のAやBの化合物の
性質を示すものが存在します。例えば,金属AおよびBからなる物質について,
AB2という化合物が存在するとします。この場合,A:B=1:2という組成の物質は,
液相はもちろん固相においても完全に均一で,かつ,ただ一つの温度において
固液平衡が成り立ち,その組成に変化がないという意味において「化合物」です。
A:B=1:2以外の組成においてはAとAB2,またはBとAB2の混合物となります。
このように,まず合金によって化合物が存在するものとしないものがある
ということと,化合物が存在する合金でも全組成にわたって化合物の性質を
示すのではないということを考え合わせると,合金は「一般に」混合物です。
少し補足しますと,共融点の存在する合金においても,共融点で液相と
共存する固相が完全に均一でない場合があり,そのような場合には化合物
とは言えません。
のように,知ったようなことを書きましたが,これがいっぱいいっぱいで,
これ以上突っ込まれても答えられませんし,またスレの主旨から相当
外れてしまいますので,ご容赦ください。
あと,金属間化合物という語は材料の分野でよく使われるようですが,
おそらく分野によって用語法は異なるのではないかと邪推しています。
相当に教科書および大学入試から遠くなりました。申し訳ありません。
今回のテーマで目指したことは,化学の初歩を習えば当然すぎる事実を,
これまた化学の基本事項(化合物と混合物の性質,化学の基本法則)を
用いて説明するということでした。今回の問題が,過去に頻出の問題ならば
いたって簡単でしょう。
テーマ01は終了します。レスも少ないことですし,落ちるなら
落としましょう。いちおう,落ちるまでは見させてもらいます。
もしも次に上がるようなことがあれば,テーマ02に行きましょうか。
23 :
20:04/06/03 01:07 ID:tb6AkFam
こまかいツッコミをいれてすみません。そういえばスレタイは「教科書から
極める」でしたね。大学受験からは大分離れてしまいました。私自信として
はこのスレにはかなり興味があるんですが、いかんせん最初のテーマは、受
験生にはちょっと書き込みにくいテーマだったような気がします。合金とい
うものを高校化学ではほとんど扱っておらず、合金が化合物か混合物かとい
う論述問題が大学入試で問われることはかなりマレかと。これからのテーマ
もう少し受験生にも親しみがわくようなテーマを選んでみては?例えば、高
校化学ではある種の「ウソ」を教えている、その辺をついてみればおもしろ
いテーマが見つかるかと思います。
>>23 ご意見ありがとうございます。続くようなら参考にさせていただきます。
議論の内容が受験の化学から少しそれてしまいましたが,このような
ツッコミは私にとっては刺激となるので歓迎したいものです。
もし議論が活発になっていれば,このようなツッコミが時にはいい
スパイスを利かすことになるのですが。
25 :
大学への名無しさん:04/06/04 03:29 ID:FElB027Y
あげ
26 :
大学への名無しさん:04/06/04 04:47 ID:FElB027Y
電子はあんな風に回ってはいない。
27 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/04 16:37 ID:GiW8nnJt
上がっているので,もう少し続けていきます。
また,大学受験に寄与するという所期の目的のため,より即効性のある
内容について,「おまけ」の問いを設けていこうと考えています。
28 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/04 16:38 ID:GiW8nnJt
◇◇◇おまけ01◇◇◇ 混合物と純物質
@ 蒸留装置に含まれるガラス器具の名称をすべて挙げよ。
A 蒸留装置およびその操作で注意する点を5つ挙げよ。
B 蒸留と分留の違いを説明せよ。
C 身近な天然資源で分留によって精製されるものを2つ挙げよ。
(@基本,A5つに整理しておく,B要は分留とは何か,Cおまけ)
29 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/04 16:39 ID:GiW8nnJt
◆◆◆テーマ02◆◆◆ 周期表
金は11族第6周期の元素である。金の原子番号はいくらか。
30 :
大学への名無しさん:04/06/04 16:40 ID:z/oVNch+
とりあえず最外殻の電子は最大で8だ!!
高校では電子軌道を詳しくやらない所もある
まちがいない
31 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/04 16:40 ID:GiW8nnJt
テーマ02のねらい
手元にある周期表を見ればすぐにわかりますが,もちろん見ないで考えて下さい。
入試で出されれば悪問ですが,「考えて」わかることなので問題にしてみました。
ただし,3族第6周期にはランタノイドとよばれる一群の元素がはまり込んでいた
ということだけは,前提となる知識として必要です。ランタノイドに含まれる
元素の数が「考えて」わかれば,金の原子番号が求まります。
そのあたりの考え方も含めて解答して下さい。
32 :
大学への名無しさん:04/06/04 21:37 ID:Btzrdtu/
一応、テーマ02は何も見ずに正解できたけど、参考書で各軌道への電子の
つまり方見たら、考え方に間違いがあることに気づいた。f軌道に単純に電子
が埋まっていくわけじゃないんだね。
これって本当に高校までの知識で解けるの?
33 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/04 21:52 ID:AStDR5Ts
>>32 s,p,d,fなどの軌道の話はしないつもりです。
しかし,十分に正しい過程を経て正解されたことと推測します。
34 :
大学への名無しさん:04/06/04 22:48 ID:Btzrdtu/
>>33 ふーん、軌道の知識なしで、これできるのか・・・さっぱりわからん。
しかし、大学受験でこんな問題が出たら、最悪だな。出題者の常識を疑う。
大学の無機化学のテストでは似たような問題が出たことはあったけど。
35 :
大学への名無しさん:04/06/07 00:39 ID:xsUC+TTD
落ちそう。
とりあえずテーマ02の解答は教えてくれ。非常に気になる。
36 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/07 01:13 ID:mses590F
○○○おまけ01の解答○○○ 混合物と純物質
@ 枝付きフラスコ,リービッヒ冷却器,アダプター,(三角フラスコ)
A 1.沸騰石を枝付きフラスコに入れる。
2.枝付きフラスコ内の液面は球部の三分の一程度にする。
3.温度計の液だめは枝付きフラスコの枝の高さに合わせる。
4.リービッヒ冷却器には下側から水を流す。
5.アダプターと三角フラスコの接続部は密に栓をしない。
B 分留は2種以上の液体(揮発性物質)を沸点の違いを利用して分離する操作であり,
蒸留は1種の液体を他の物質との沸点の違いを利用して分離する操作である。
C 石油(原油),空気
37 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/07 01:14 ID:mses590F
テーマ02の考え方
@ 元素の性質の周期性に基づいて作られたのが周期表である。
元素の性質はその原子の電子配置と大きく関わっている。
A 各電子殻に入る電子の最大数はいくらか?
B 典型元素と遷移元素は電子配置に関してどのように異なるか?
C AやBのことは,第5周期までの周期表にどのように反映されているか?
D Cまでのことから類推して,ランタノイドはどのような元素の一群か?
E ランタノイドの元素数はいくらか? (ここまでの「過程」がテーマである)
ねらい
周期表の成り立ちについて理解する。第4周期以降の元素についても
その電子配置について,概要を理解する。
38 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/07 01:14 ID:mses590F
この板について全体的に言えることですが,元受験生が多く,このスレを
見ている人についてもやはり受験生は少ないように感じます。
目指した方向へのもっていき方が悪かったのだろうと反省しています。
落ちるのもよし,ぎりぎりで細々と行くもよし,と考えています。
元受験生の人には,納得しがたい説明をすることも多々あるかと思いますが,
上ってきた道を高みから見下ろすのみの立場をとっていないと理解して下さい。
39 :
大学への名無しさん:04/06/07 01:30 ID:xsUC+TTD
テーマの設定に難ありだと思う。合金とか金の原子番号とか
大学受験で問われるような知識じゃないから。思考力を鍛え
るにはいい問題だとは思うけどね。
神スレの予感・・・・
keep
42 :
大学への名無しさん:04/06/08 03:50 ID:9wh7l3ek
お気に入りに入れておいたよ。
今年受験するんだけど、2次で化学が必要だし、詳しく知ることで定着も図れるし。
レスはしないけど頑張ってage
43 :
大学への名無しさん:04/06/08 16:54 ID:AMNaz+cX
書き込まないだけで、見てる人はいるみたいだね。
同じくルートヴィヒさん頑張れage
44 :
大学への名無しさん:04/06/08 17:01 ID:7coh+336
良いスレっぽいそうなので、お気に入りにいれておいて後から見ます。
ルートヴィッヒさん よろしく
45 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/09 01:49 ID:BlyaBwto
良心的なレスをしていただき感謝しております。
応援をいただいたことに勇気付けられ,もう少し続けていこうと思います。
●●●テーマ02の解答●●● 周期表
元素の性質はその原子の電子配置と大きく関わっているので,
周期表は原子の電子配置に基づいて組み立てられていることになります。
各電子殻に入る電子の最大数は,K殻より順に,2,8,18,32,50,…であり,
2n^2という一般式で表されます。ところが,内側より順に電子が満たされていく
わけではないことは,Ar(K2L8M8),K(K2L8M8N1),Ca(K2L8M8N2)の例から,
よく知られた事実です(教科書でもCaまでの電子配置は載せています)。
Caの次の元素はScという遷移元素ですが,この電子配置はSc(K2L8M9N2)です。
このように遷移元素では最外殻でなく内側の電子殻に電子が満たされていくため,
内側の電子殻が安定でない(希ガス型でない)状態になります。このように,
典型元素は内殻が安定である電子配置をとるのに対し,遷移元素は内殻が
不安定な電子配置をとる点で異なると言えます。
(Sc以降の電子配置もたいていの教科書では後ろの資料に載せています。)
46 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/09 01:50 ID:BlyaBwto
ScからZnまで10元素はM殻に9個目から18個目までの電子が入っていく過程に
対応し,このような入り方は第3周期までにはなかった入り方なの,
第4周期から突然これらの元素が2族と13族の間に挟まれているのです。
ちなみに18個入れ終わったZnは内殻が安定になるので典型元素に分類されます。
次のGa〜KrでN殻が埋まっていきKr(K2L8M18N8),次の周期のRb,SrでO殻に
入ってSr(K2L8M18N8O2),そして遷移元素が再び現れCd(K2L8M18N18O2)のように
内殻のN殻が満たされていき,XeではXe(K2L8M18N18O8)となるのです。
このように第1周期の元素が2個であるのは,K殻の最大電子数2に,
第2,3周期の元素が8個であるのは,L殻の最大電子数8に,
第4,5周期の元素が18個であるのは,M殻の最大電子数18に対応してるのです。
47 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/09 01:51 ID:BlyaBwto
第6周期の最初はやはり最外殻に2個入り,Ba(K2L8M18N18O8P2)となり,
この次の元素からランタノイドになります。すでに説明したように,
3族から12族は電子殻に9〜18個目の電子が入る元素でした。では,N殻以降の
19個以上電子が入る殻はいつ満たされるのかということが疑問になりますが,
もはや話の流れからわかるようにランタノイドがそれにあたります。
つまり,ランタノイドはN殻に19〜32個目の電子が入る一群と考えられます。
よって,第6周期では2族と3族の間に14個の元素が挟まれていることになります。
しかし,そのような周期表を作るとあまりにも横長すぎて実用的ではありません。
よって,3族に入るべき元素1個とともに計15個の元素を欄外に配置したのです。
簡単に書き直すと,N殻の最大電子数32に対応して第6周期の元素は32個であり,
18の族に収まらない14個ととばっちりを食った1個が欄外にはみ出したということです。
よって,金の原子番号は次のように計算されます。
2(第1周期)+8×2(第2,3周期)+18×2(第4,5周期)+11(11族)
+14(ランタノイドとして余分に入る数)=79
以上の話は正確な電子配置表を見てもらえばわかるように,必ずしもきれいに
成り立つ話ではありませんが,ここでは概要をつかむことのみに主眼を置きました。
48 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/09 01:52 ID:BlyaBwto
テーマ02の要点
・電子殻に入る最大電子数は,K殻より順に2n^2(n=1,2,…)である。
・遷移元素は内殻が不安定な電子配置をとる。
・1,2,13〜18族では最外殻に1〜8個目の電子が入っていく。
・3〜12族では最外殻の1つ内側の殻に9〜18個目の電子が入っていく。
・ランタノイド,アクチノイドでは最外殻の2つ内側の殻に19〜32個目の電子が入っていく。
電子の軌道はオービタルorbitalといって、太陽の周りを回る地球みたいに
定まった軌道を持っていない。原子核の周りを「わたがし」のような存在確率で存在している
50 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/09 09:52 ID:2szIV/+d
テーマ02の解説はこのように文字にしてみるとかなり長ったらしく,
あまり読む気のしないものになってしまいました。この話は直に話すと
それほど面倒な話でもなく「3〜12族の凹みやランタノイドのはみ出しは
そういうことか」と理解してもらえるのですが。
◇◇◇おまけ02◇◇◇ 周期表→電子配置,遷移元素
@ 閉殻とはどのような電子殻か。
A 「典型元素の最外殻電子は価電子である」は正しいか。
B 典型元素の金属に比べて遷移金属は一般に融点が高く,密度も大きい。
このことを遷移元素の電子配置の特徴に基づいて説明せよ。
C 元素の周期律とは何か。
(@教科書で確認する,A頻出,Bテーマ02を踏まえて,Cただの確認)
51 :
大学への名無しさん:04/06/09 19:16 ID:rW2vIzWe
52 :
大学への名無しさん:04/06/09 21:11 ID:XPJPTiqd
ふ〜、長いね。周期表の構成を理解するには良問だね。ただ、各原子の電子配置を
見ながらじゃないと、上の説明で理解するのは大変かもね。
53 :
大学への名無しさん:04/06/09 21:19 ID:LCuvTRgw
コレ授業で少し触れたなぁ。アクチノイドもこの考え方なのかな?
検索してみると、少しややこしそうだけど。
hosyu
◆◆◆テーマ03◆◆◆ 化学結合
(1) @〜Eを2つに大別せよ。
(2) @〜Eをそれぞれ説明せよ。
@イオン結合 A共有結合 B金属結合 C水素結合 D配位結合 E分子間力
テーマ03のねらい
今回はひねりはなしです。(1)は化学結合かそうでないかで分けるということを
求めているのですが,「化学結合」は高校化学の正式な用語ではありません。
(2)ではわかっていても説明しにくい語もあると思いますが,レスをしなくても
是非自分で文をつくってみてください。記述問題の練習です。
(理系にも国語力は大切です。すべての成果は最終的には論文という「文」で
発表されます。式や図表は補助的なものです。よって,論理的な文章の読み書きの
能力が要求されます。受験より先の話ですが。)
テーマ03
(1)化学結合:@ABD 化学結合ではない:CE
(2)@非金属原子−金属原子間の結合のような電気陰性度の差が大きい分子
での結合をイオン結合という。結合間での電荷の偏りが大きく、水溶
液中で容易に解離して、プラス電荷を持った陽イオンとマイナス電荷
を持った陰イオンを生じる。
A非金属原子−非金属原子間の結合のような電気陰性度の差が小さい分
子での結合を共有結合という。共有結合では原子が安定な状態になる
ために、電子を互いに出し合い、オクテット則を満たしている。
B金属原子間での結合を金属結合という。金属結合では金属中を自由に
動き回る自由電子が原子同士ををくっつける働きをしている。この自
由電子の存在のために、金属結合をもつものは導電性、伝熱性、金属
光沢などの特性もつ。
(2)の続き
C水素結合は水やアルコールなどの極性分子間でおこる結合である。酸素や
窒素、フッ素のような電気陰性度が大きい原子と水素が結合していると、
電荷の偏りが生じ、電気陰性度が大きい原子にマイナス、水素原子にプラ
スの電荷が生じる。そのために極性分子間には静電気的な引力あり、これ
を水素結合という。また、水素結合を生じるアルコールは、同程度の分子
量を持つアルカンに較べて、高い沸点をもつ。
D普通の共有結合では、原子は互いに不対電子を出し合うが、配位結合では
片方の原子が一方的に結合にあずかる電子を提供する。オキソニウムイオ
ンやアンモニウムイオンでは電子を持たない水素イオンが配位結合をして
いる。また一度、配位結合をしてしまうと、共有結合と配位結合を区別を
することは出来ない。
E無極性分子であっても、瞬間的には分子間での相互作用により電荷の偏り
を生じており、分子間では弱い静電気的な引力が働いている、これを分子
間力という。分子間力は分子量が増えるにつれて、大きくなる。したがっ
て、分子量が大きくなればなるほど融点、沸点は高くなる。
59 :
大学への名無しさん:04/06/11 13:09 ID:zn+lHC1f
>ルートヴィヒさん
57,58の採点よろしくです。あと、問題出すときはageようよ。
>>57 (1) その通りです。
(2) @ 部分的に正しいですが,点数をつけるなら0です。
AB 理解としてはおおよそ良さそうです。
@〜Bとも,まず最初に説明すべきは,どのように「原子と原子」がくっついて
いるのかということです。電気陰性度は解答に含める必要はないですが,理解の
上ではとても重要なので評価します。結合についての問いですから,結合の結果
生じる分子や結晶に関する性質は今回については蛇足です。
>>58 C かなり良い解答です。「そのために〜」の文は極性分子一般のことに読めます。
「また、〜」は一般的な表現にすべきです(アルコールの例でなく)。
D これは完璧です。中間の具体例はなくても十分です。
E 分子間力はもう少し広い概念です。
CとEを読むと,極性分子と無極性分子について少し混乱があるように感じられます。
詳細に関しては,のちにレスします。
>>59 意外と労力を使うので,ひっそりと進めていこうかと思って下げました。
私自身は,落ちてしまわない程度でいいと考えています。
しかし,節目ぐらいでは自分でも上げるようにします。
62 :
大学への名無しさん:04/06/11 21:16 ID:zn+lHC1f
>>60 61
採点ありがとうございました。
確かにCとEを読み返してみるとおかしいですね。分子間力は
別に極性、無極性に関係なく、全ての分子間で起こるのですよね?
自分では分かっていても、いざ文章にしてみるといろいろとボロ
が出てきてしまいました。国語力をつける必要があるみたいです。
このスレは国立二次対策に役立ちそうです。
あと、高校では分子間力=ファンデルワールス力みたいに教えていますが
厳密には違うんですよね?自分もついこないだまで、分子間力は万有引力に
よって起こるものだと勘違いしていました。できれば、ファンデルワールス
力と分子間力はどう違うのか、分子間力は他にどんなものがあるのか教えて
下さい。
63 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/13 04:12 ID:YL6i64Qm
○○○おまけ02の解答○○○ 周期表→電子配置,遷移元素
@ 希ガス元素の原子の電子配置をもつ電子殻。
(最大電子数に満たなくても閉殻というが,本によって説明が多少異なる。)
A 希ガス元素の原子の最外殻電子は価電子ではないので誤り。
B 遷移元素は最外殻だけでなく内殻も不安定な電子配置をしており,内殻の電子も
結合に関与するため,典型元素に比べて強い金属結合を形成することができる。
よって,遷移元素は融点が高く,密度が大きい金属となる。
C 元素を原子番号の順に配列するとその性質が規則的に変化すること。
(律はlawの訳語。周期的に変化するという「法則」を意味する語である。)
●●●テーマ03の解答●●● 化学結合
(1) 化学結合は,結合の切断と生成が化学反応に伴いうる結合であり,@イオン結合,
A共有結合,B金属結合の3種がある。D配位結合は共有結合の一種なので,
化学結合に含まれる。
これに対して,分子間に働く力は状態変化に関係するものであり,化学結合には
含まれない。ここでは,C水素結合とE分子間力である。
(2) なるべく端的に表現すると次のようになる。
@イオン結合:陽イオンと陰イオンの間で働く静電気力による結合
A共有結合 :2個の原子間で電子対をつくり,それを共有してつくる結合
B金属結合 :自由電子による原子間の結合
C水素結合 :N, O, F原子と共有結合したH原子と他のN, O, F原子との間に生じる結合
D配位結合 :共有電子対を一方の原子から出す共有結合
E分子間力 :分子間に働く弱い力
化学結合の種類を判断するのは重要な技術です。そこでその原則をイメージで説明します。
原子には電子の大好きなものとそれほど好きでないものがいます。それを評価する尺度が
電気陰性度です。これが大きいものほど電子が好きな原子です。電気陰性度はおおまかに
言うと周期表の右上で大きく,左下で小さくなります。希ガスには電気陰性度はありません。
この値をすべて覚えるわけにいきませんが,大きいグループと小さいグループに分けられます。
大きいグループを非金属元素,小さいグループを金属元素といい,周期表では斜めに
境界線が引かれます。原子は結合により安定な電子配置をとろうとします。そのために
非金属元素は最外殻によそから電子を入れようとし,金属元素は価電子を出そうとします。
非金属元素どうしが結合するとき,相手の価電子をもらって自分の最外殻を安定にしようと
しますが,どちらも電子大好きなので完全に自分の電子を手放しはしません。そこで自分の
電子を貸すが相手の電子も借りることにより「共有電子対」をつくり,共有結合を生じます。
非金属元素と金属元素が結合するとき,電子に関して利害が一致します。電子を出してもよい
という金属元素から電子が大好きな非金属元素に完全に電子が移動します。その結果,前者は
陽イオンになり,後者は陰イオンになり,両者は+と−の電気の引き合い「静電気力」によって
イオン結合を生じます。
金属元素どうしが結合するとき,すべての原子は価電子を出そうとしますが,ここでは受け取る
原子はありません。そこで,価電子を出して陽イオンになると同時に,出された電子は自由に
原子間を移動する「自由電子」となります。その結果,数多くの陽イオンが自由電子を介した
金属結合を生じます。(陽イオン(+)―自由電子(-)―陽イオン(+)で引き合います。)
ただし,アンモニウムイオンのように非金属元素のみでできた陽イオンもあるので,例えば
NH4Clは非金属元素どうしであってもNH4+とCl-の間にイオン結合を生じるます。このように,
例外はどうしても存在しますが,原則は必ず知っておきたいものです。
>>57 原則の理解に問題はないです。@が良くない最大の理由は,イオン結合の説明に「分子」という
語が使われているからです。分子は共有結合のみで構成される粒子です。もしかすると,
共有結合における「イオン結合性」について勉強したことで不適切な解答になったのでしょうか。
ここではその話はしません。@では,水溶液中で電離することで初めてイオンを生じるように
読めますが,イオン結合はあくまでもイオン間の結合です。
NH4Clのような例外もありますので,Aのような書き出しは避け,結合のしくみを説明するのが
よいでしょう。オクテットになるのは共有結合がいくつか生じた結果ですから,共有結合自体の
説明にはなくてもいいです。Bも書き出しの一文は不要です。Bの3文目は金属結晶の特性
ですから,金属結合の説明ではありません。
問題自体があまりよい問い方をしてませんでしたが,入試では字数制限の中で最低限書き残して
こないといけないことがあります。記述では,簡潔かつ十分を心がけてください。
68 :
57,58:04/06/13 14:57 ID:wlG13fmf
詳しい説明ありがとうございます。自分の中であやふやだったところが
少しイメージできるようになってきました。
ところで、このスレは私以外に見てる人いるんですかね?なんだか私の
ためだけの専属家庭教師みたいになってて申し訳ないです。これだけの
レスをするにはかなり労力を使うと思うので、もし負担なら無理に続け
なくてもいいと思います。
>>68 (57,58)
解説については見てるであろうすべての受験生向けに書いています。
どのぐらいの人が見ているかは気になりますが,私が勝手に始めた
ことなので,見ている人すべてにレスを期待するわけにはいきません。
今のところ解答する人はほとんどいないので解答をレスしにくい
雰囲気があるのかもしれません。しかし,その分解答していただいた
場合には個別にレスを返すようにしたいと思います。確かに労力を
費すので、解答者が増えると丁寧にレスできないかもしれませんが。
良スレ保守age
テーマ03の解説の続きです。
分子間力は広義には分子間に働くすべての力(引力としてよいです)を含みます。
まず,希ガス元素の単原子分子のような完全な無極性分子の分子間にも引力が
働きます。(これは電子が瞬間瞬間では偏って分布するために電荷の偏りが生じ,
その電荷に起因する引力によるのですが,これは理解しなくてもかまいません。)
このように極性と関係なく働く力をファンデルワールス力といいます。
この力は分子の大きさ(分子量で評価できる)によって決まりますので,
分子量が大きいほどファンデルワールス力は大きいと言えます。
一方,塩化水素HClのような極性分子では,常に分子内に正電荷と負電荷が存在し,
その電荷に起因する引力が働きます。この引力は一定の電荷の偏りで生じるので,
瞬間的な偏りによるファンデルワールス力より大きくなります。統一された
名称がないので,ここでは「極性による引力」とよぶことにします。
このように分子間力にはファンデルワールス力と極性による引力の2つがあります。
では,水素結合はどのような位置づけになるのでしょうか。
解答にも書きましたように,水素結合が生じるための大前提は,N, O, Fのいずれかが
Hと共有結合していることです。この結合間に電気陰性度に基づき大きな極性が生じる
ことなど(敢えて「など」とします)により,このHと他のN, O, Fとの間に極性による
引力が生じます。ところが,この極性による引力は先ほど例示したHClにおけるもの
より格段に強い引力であるため,別に扱うのが適当であるとされ,水素結合という
特別な名称が与えられたのです。どのぐらい強いかというと,「水素結合はふつうの
分子間力の約10倍,共有結合の約10分の1倍の強さ」とされています。
ここからの1段落は少し余談に入ります。
さらに水素結合の特別な点を挙げるとすると,「指向性」です。原子のどの方向に
でも結合が生じるのではなく,決まった方向にしか生じないということです。
化学結合では,イオン結合と金属結合は(結晶をつくるときの制約はありますが)
どの方向にも結合は生じます。共有結合は電子対が原子の決まった方向にしか
存在できないので指向性を示します。(だから分子の形が問題にされるのです。)
分子間に働く力では,ファンデルワールス力はどの方向にも生じます。極性による
引力は電荷の関係で向きに制約は出てきますが,指向性は小さいです。それに対し,
水素結合によりHが他のNなどに結合するときは,配位結合とよく似た感じで,
Nなどの非共有電子対へ結合します。そのため水素結合は指向性を示します。
このように水素結合は,分子間に働く引力でありながら,強さや指向性の点で
特殊性が大きいため,別格に扱われることが多くなります。つまり,入試では,
「分子間力」に水素結合を含めるかどうかは状況で解釈を変えればよいのですが,
「水素結合」が適当である場合に「分子間力」や「極性による引力」という語を
用いることは不可とされます。
◇◇◇おまけ03◇◇◇ 化学結合,分子間力
@ 「非金属元素と金属元素の原子間の結合はイオン結合である」とは必ずしも
言い切れないことを具体例を挙げて説明せよ。
A 一酸化炭素COについて,CとOの間の共有結合の種類を説明せよ。
ただし,C, Oとも最外殻電子を8にするように結合しているものとする。
+ -
B 塩化ベンゼンジアゾニウムでC6H5-N≡N Cl のように左側のNに正電荷をつける
理由を左側のN原子の共有結合のみに注目して推測せよ。
C 次の分子が無極性分子である理由をそれぞれ説明せよ。(a)水素H2 (b)二酸化炭素CO2
D 次の各組のうち沸点が高いほうの物質を理由とともに答えよ。
(a)メタンCH4 と エタンC2H6 (b)アセトアルデヒドCH3CHO と プロパンC3H8
(c)アセトアルデヒドCH3CHO と エタノールC2H5OH
(今回はテーマが素直でしたが,おまけ@〜Bは変な問題になりました。
CとDは入試でも頻出なので解答できるようにしておきたいです。)
タメになるスレだね
1 電気陰性度の高い金属と非金属の結合は、分極が激しいのでファンデルワースル力的
結合になるため。 かな。。
>>76 まずファンデルワールス力は分子間力の一種です。
その詳細は
>>71で確認してください。
有機のアルコールだかなんだかの水素結合の仕方がよく分からん
例えばCH3OHの極性+δの位置がOとCの間?で水素がどこにつく?ワカンネ
>>78 水素結合については
>>64や
>>72を参照してください。そこにも書きましたように,
水素結合とは,N, O, F原子と共有結合したH原子と他のN, O, F原子との間に生じる結合
メタノールの場合,ヒドロキシル基-O-HにおいてOに-δ,Hに+δという強い極性があるため
ある分子の-O-HのHと他の分子のOの間に水素結合が生じる。
CH3−O CH3
\ /
H … O
\
H
おまけ03
@分かんね。
ACが価電子2個、Oは価電子4個をそれぞれ出し合って、三重結合を形成している。
このときCはマイナスに、Oはプラスにそれぞれ電気的に偏っている。
B正電荷をもったNは、孤立電子対をもたず、それぞれCと単結合、Nとは三重結合
をしている。共有結合をになっている電子のうち、半分は正電荷をもったNのそば
にあると考えられる。したがって、正電荷をもったN原子付近には4個の電子があ
ると考えられる。一方、Nは本来は価電子5個をもっているときに中性であるので、
4個しかない場合はプラスの電荷を帯びることになる。
81 :
大学への名無しさん:04/06/16 17:36 ID:IGeV1Jn8
C
(a)水素H2
同一原子同士の結合のため、原子が電子を引きつける力が同じだから。
(b)二酸化炭素CO2
分子の形が直線形のため、O原子が電子を引きつける力が互いに打ち消し合うから。
D
(a)メタンCH4 と エタンC2H6
エタンの方が分子量が大きいので、分子間力はメタンよりも大きい。したがって
メタンよりもエタンの方が沸点が高い。
(b)アセトアルデヒドCH3CHO と プロパンC3H8
アセトアルデヒドは分子間で弱い水素結合をしているので、アセトアルデヒトの
方が沸点が高い。
(c)アセトアルデヒドCH3CHO と エタノールC2H5OH
エタノールはアセトアルデヒドよりも強い水素結合を形成しているので、エタノー
ルの方が沸点が高い。
>>80 A,Bは良いです。実は@〜Bには共通のキーワードがあります。
>>81 Cも良いです。分子の極性について整理して理解されていると思います。
それをもう少し明確に(正確に)解答に表すこともできると思います。
Dについては(b)と(c)は0点です。
>>71,
>>72あたりを参照してください。
(有機化合物の構造式をご存じなければ,調べてください。)
○○○おまけ03の解答○○○ 化学結合,分子間力
@ 錯イオンにおける金属原子と配位子の間の結合,例えばテトラアンミン銅(U)イオンに
おける銅と窒素の間の結合は,配位結合,すなわち共有結合でありイオン結合でない。
(思いつくかどうかだけの問題でした。)
A COにおけるCとOの間は三重結合であり,そのうちの一つは配位結合である。
(CとOの価電子は合計10個。ともに最外殻を8個にするには16個の電子が必要なので
足りない6個は共有せざるをえない。そしてCとOはともに1対(2個)の非共有電子対を
もつことになるので,3対の共有電子対のうち1対はOに由来するはずである。)
B 窒素が通常の共有結合により最外殻を安定にする場合,不足する3個の電子を補うように
3対の共有電子対をつくり,1対の非共有電子対をもつことになる。ジアゾニウム塩の
窒素は4対の共有電子対をもつので,そのうち1対は窒素の非共有電子対が共有されたもの,
すなわち配位結合である。配位結合において窒素は一方的に電子対を提供するため,
窒素原子は正電荷を帯びることになる。
(硬く書きましたが,ふつうの手の数(Cなら4本,Nなら3本など)以上の手を
出している原子は,無理やり配位結合によって手を増やしているわけですが,
配位結合は本来1個ずつ出すべき電子を2個とも出したほうの原子が差し引き
1個の電子を存したことになり,+1の電荷を帯びるという考え方です。)
C (a)水素原子間には電気陰性度の差がないため結合に極性を生じず,よって分子全体と
しても極性を持たない。
(b)二酸化炭素において,酸素と炭素の原子間では電気陰性度の差により結合に極性を
生じるが,分子の形が直線形であるため結合の極性が打ち消されて分子全体としては
極性を持たない。
(結合の極性(2原子間の電気陰性度の差)⇒分子の極性(分子の形)のように
整理しておき,解答にも反映させます。この種の問題はほとんど代表的な分子に
ついて問うているので,分子の形を表現する語も覚えておいてください。)
D (a)メタンとエタンはともに無極性分子であるが,エタンのほうが分子量が大きく,
分子間力が大きいため,沸点が高い。
(b)アセトアルデヒドとプロパンの分子量はほぼ同じであるが,アセトアルデヒドは
極性分子でプロパンは無極性分子であるため,アセトアルデヒドの沸点ほうが高い。
(c)アセトアルデヒドとエタノールはともに分子量の似た極性分子であるが,
エタノールのほうは分子間に水素結合を生じるため,沸点が高い。
(分子性物質に関する沸点の基本は,「分子量」「極性」「水素結合」です。
応用編もありますが,まずはこの3つのどれかで説明できると考えてください。
アルデヒド基においてはO-Hがありませんから,アルデヒドどうしで水素結合は
つくれません。)
85 :
大学への名無しさん:04/06/20 07:11 ID:nhi+FvIB
良スレ保守
86 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/21 00:46 ID:+dR5ZJFl
◆◆◆テーマ04◆◆◆ 結晶
(1) 結晶とは何か説明せよ。
(2) 単位格子とは何か説明せよ。
(3) 六方最密構造の単位格子の概形を説明せよ。
(結晶については図が自由に使えないので,言葉ですむ範囲に留めます。)
87 :
大学への名無しさん:04/06/22 00:15 ID:8mYwLrTo
ほしゅ
テーマ04のねらい
うっとうしいですが,また用語の確認からです。用語の理解があやふやだと
思わぬところで足をすくわれることがあります。
(1)固体には,結晶と結晶でないものがあります。対立するものを意識すると
容易に説明できます。(2)結晶格子と単位格子という用語が出てきます。
簡単な定義でよいので確認してください。(3)単位格子の形を言葉で説明して
みてください。前にも書いたように「記述する」練習にもなります。六方最密
構造では(2)に注意してください。
単位格子に関して最低限できるようにすべきことは,
1.単位格子の形を覚える。(体心,面心,(六方),NaCl,(CsCl,ダイヤモンド))
2.単位格子中の粒子数を数えられる。
3.ある粒子がいくつの粒子と接するか(配位数)を数えられる。
4.粒子の半径rと格子の一辺の長さaの関係を求められる。
5.格子に占める粒子の体積の割合(充填率)を求められる。
6.密度を計算できる。
(特に,2〜5は結晶格子の種類ごとに決まった答えになるので,十分練習する)
●●●テーマ04の解答●●● 結晶
(1) 原子・分子・イオンが規則正しく配列した固体。
(不規則に配列した固体には別の用語があてられています。)
(2) 結晶格子の最小の繰り返し単位。
(結晶格子とは,結晶中で構成粒子がつくる三次元の配列のことです。)
(3) 単位格子は,内角が60度と120度の菱形の底面をもつ四角柱の形をとり,
その8つの頂点と内部の1点に原子が位置する。内部の1点は,2つの底面と
等距離で,かつ底面の3頂点とともに正四面体をなす点に位置する。
(よく図示される正六角柱の1/3を切り取った形です。(2)で確認した
ように,並べることで全体を再現できる立体のうち最小のものを
単位格子とする約束ですから,正六角柱は最小でないので単位格子とは
なりません。(単位格子はふつう六面体となります。))
◇◇◇おまけ04◇◇◇ 結晶
@ 原子・分子・イオンが不規則に配列した固体を何というか。
A H2O, CO2, Arなどの分子性物質は固体になると分子結晶をつくる。
CO2およびArは面心立方格子をとり,配位数は12である。一方,H2Oは
配位数4の結晶格子をとる。H2Oの配位数がCO2やArのそれより小さい
理由を説明せよ。
B 共有結合結晶をなす物質を3種挙げよ(黒鉛を除く)。
C 黒鉛は共有結合結晶に分類されることがあるが,Bに挙げられる他の
物質とは異なる性質をもつ。その理由を説明せよ。
(@とBは基本です。Aはテーマ03の復習でもあります。Cは黒鉛の
構造に基づいて説明することになります。)
92 :
大学への名無しさん:04/06/25 21:29 ID:irUpvJvf
@アモルファス
A一つの水分子は他の4つの水分子と水素結合をしているから。
Bダイヤモンド、水晶(二酸化珪素)、珪素
C黒鉛は炭素原子が六角形の蜂の巣状に結合していて、層状構造をなしている。
そのため各炭素原子では価電子が1個余っており、この電子の働きにより黒
鉛は電気伝導性を有する。
>>92 @,Bはその通りです。Aも十分でしょう。
Cでは,問題文の「異なる性質」は電気伝導性以外のものも含んでいると
考えて,補足してください。
94 :
japan ◆L1aDZignNE :04/06/27 12:52 ID:2J+r2It3
こんにちは。地方新学校1年生の傍観者です。
授業の進度が早くて、化学の基本的な部分が質問できずにとうとう「mol」まで来てしまったんですが、
やっぱりその部分が気になってしまったんで ここで尋ねさせていただきます。
(ホントに雰囲気読んでない内容でスイマセン)
T・分子って一体なんですか?
中学校までの授業で「原子が2つ組み合わさったものが分子である。」としか習わなかったので、
なぜH2Oが分子なのかがよくわかりません。
U・分子式・組成式・イオン式の意味と違いとその見分け方
イオン結合によってできたものが組成式?イオン式?
共有結合によってできたものが分子式?
さっぱり整理できずにいます。
もしよければ(できれば丁寧に)答えてください。お願いします。。。
>>94 なんつーか教科書・参考書読めといいたい。人に質問するときは
自分で調べられるところまで努力して、それでも分からなかった
ときに聞くもの。何も調べもせずに簡単に質問する奴多すぎ。だ
いたいそのくらいのことはネットで検索すれば簡単に出てくる。
>>94 まず,質問から少し離れてレスさせていただきます。
>>1で書いたように,
このスレが最終的に目指すのは,化学の大学受験に寄与することです。
その観点から言うと,ここでの質問はあまり効果的ではありません。
せっかく進学校に行っているのなら,まずは先生を有効に利用することを
考えるべきです。中には頼りない先生もいますが,まだ基本的な部分なら
大丈夫でしょう。質問したうえで先生の回答が不十分なのならまだしも,
質問をしていないのならしてみるべきです。
次に,
>>95氏が言うように,活字媒体を上手に利用することも重要な
勉強方法です。浪人することを考えれば参考書や問題集はずっと安価です。
持っていないなら何か購入するのがよいでしょう。化学に限って言えば,
それほど酷いサイトはないですが,情報源としてウェブサイトを利用する
場合,誰でも情報を得られる反面,情報の取捨選択こそが利用者の能力を
反映するということを忘れないでください。
>>94 前置きが長くなりましたが,最近扱ったテーマとの関連もあるので説明します。
T 分子とは
日本語で「〜子」とよばれるものは全て「粒子」の概念をもつものです。
つまり,他との連続性がなく,はっきりとここからここまでがそのツブである
と言えるようなものを表す語です。
イオン結合からなる物質では,陽イオンと陰イオンが引き合っていますが,
一次元で表現すると,…+−+−+−+−+−…のように結合が無限に連続
していくため,ここからここまでが一粒だというまとまりがありません。
金属結合からなる物質でも,原子が陽イオンとなり,放出された電子が自由
電子としてふるまうため,結合は無限に連続していきます。よって,イオン
結合や金属結合の物質ではいくつかの原子からなるツブがないので,「分子」
という粒子の概念はあてはまりません。
一方,共有結合からなる物質では,手(結合手)という考え方ができ,
手が1本のHと2本のOがH−O−Hのように結合すると,もはやこれ以上結合を
連続させることができず,有限のまとまり(ツブ)ができます。これを
称して「分子」といいます。ある教科書では,「いくつかの原子が結合した粒子」
と定義されていますが,「粒子」と定義した時点で事実上「共有結合した」と
考えてよいわけです。
ところで,ダイヤモンドは共有結合のみでできていますが,共有結合が
無限に連続していくため通常の「分子」という概念に当てはまりません。
しかし,無限といっても現実にはどこかで端っこが生じるので,ダイヤモンドの
結晶1つ(もちろん肉眼サイズのものもある)を「共有結合でできた1つの粒子」
と見ることもできます。そこで,共有結合結晶には「巨大分子」という別名が
与えられています。(あくまでも通常の分子とは一線を画す概念です。)
U 分子式・組成式・イオン式について
イオン式は,Na(+)とかCa(2+)のように,イオンそのものを表す表現で,
右肩に小さい字で(ここでは括弧書きした)電荷を付したものです。
それに対し,分子式や組成式は物質を表す表現です(イオンは物質の
一部分です)。上述のように,イオン結合や金属結合からなる物質は結合が
無限に連続するので,「Naが1億個とClが1億個からできている」のような
表現は無意味です。そこで「NaとClが1:1で含まれる」のように構成する
原子数の比で表現して「NaCl」と表します。鉄の場合でも,鉄の原子が
いくつ連続していようとも「Fe」と表します。このように,原子数の比で
表された式を組成式といいます。
一方,分子は明らかなまとまりがありますから,その分子に含まれる
原子の数を数えることができます。水分子1個は,H2個とO1個を含むので
「H2O」と表しますが,このときの数は比ではなく絶対的な数なのです。
例えば,グルコース(ブドウ糖)の分子式はC6H12O6です。これをあえて
比を用いて書き直すと「CH2O」となりますが,これは組成式です。
グルコースの例からわかるように,分子からなる物質は分子式で表されるが,
組成式で表すこともできるということです。「H2O」も組成式と見ることも
できますが,特に断りがなければ分子式と見るのが普通です。
共有結合結晶は結合が無限に連続するので,やはり比でしか表現できません。
よって,ダイヤモンドは「C」と表されます。
見分け方ですが,ここに説明したように,結合の種類が区別できれば
見分けがつきます。結合の種類を区別するのはテーマ03で扱いました。
共有結合のみからなる物質のうち共有結合結晶をつくるものを除いたもの
全てが分子性物質で,分子式で表現されます。他は組成式です。
99 :
大学への名無しさん:04/06/28 22:55 ID:9OxO4n3G
薬学目指してます、お勧めの問題集、参考書ありますか?化学はほぼ無勉ですがやる気はあります!!
100 :
japan ◆L1aDZignNE :04/06/28 23:34 ID:Abj3LWLp
>>97-98 丁寧にこんな長く分かりやすい文を打っていただいて、ホントにありがとうございます!
レスを見ているうち 自然に「あ〜、あ〜」と声が出てしまうほど理解できました(笑)
僕のために。。。ホントにありがとうございます。今度からは
>>95さんの言うとおり 自分で調べて理解していこうと思います。
化学は好きな科目の1つで、将来はそれ関係の仕事に就くのもいいなぁとか思ったりしています。(学者とか???
とりあえずこれからはまた傍観者に戻って、ルートヴィヒさんのレスで勉強させていただきます。頑張ってください
>>99 化学の勉強法のスレがありますので,そちらが詳しいかと思います。
私は自分が教えるという前提でしか問題集を見てこなかったので,
あまり多くの問題集を知りませんし,参考書もほぼ同様です。
そのような事情に加え,学年や現在の状況に関する情報がないので
適切なレスにならないと思いますが,私の好みは次のようなものです。
まず,最低限の力をつけるのに,旺文社『わかる&とける化学基礎
問題集』を使います。「これのどの問題も必ずすぐに正解を出せる」
という程度まで完璧にします。あとは同シリーズの『標準問題集』,
数研の『重要問題集』などを使って,入試における標準レベルまでの
問題を解けるようにします。それより先は志望によります。
参考書は,他をよく知らないのですが,私自身は駿台文庫のものを
ベースにしていました。
102 :
99:04/06/29 00:40 ID:g+YDLMCh
参考にします。あいtがとう
>>100 受験までの2年半,よい高校生活を送り,よい受験勉強をしてください。
化学の素養は,化学系はもちろん,他の分野に進んでも役立つ場合が
多いので,しっかり勉強しておいて損はないです。
○○○おまけ04の解答○○○ 結晶
@ アモルファス
A CO2やArは無極性分子であり,分子間力に指向性を持たず,できるだけ
多くの分子どうしが引き合って安定になろうとするので配位数が大きい。
一方,H2Oは分子間に水素結合を形成するが,水素結合には指向性があり,
限られた数の分子としか引き合うことがでないので配位数が小さい。
(補足的に触れましたが,水素結合の特徴の一つは指向性があることです。)
B ダイヤモンド,ケイ素,二酸化ケイ素,(炭化ケイ素)
(非金属のみからなる物質は原則として分子性物質ですが,これらはその
例外にあたります。もう一つの例外はアンモニウム塩で,イオン性物質
になります。)
C 黒鉛において炭素原子は1つあたり3本の単結合を形成し,正六角形を基本と
する平面構造をつくる。このとき結合に寄与しない1個の価電子が自由電子
のようにふるまうため,黒鉛は電気伝導性を有する。また,平面構造どうしは
分子間力によって層状に積み重なるため,黒鉛はうすくはがれやすいという
性質を有する。
(電導性と硬くないことが,他の共有結合結晶との違いです。)
105 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/06/29 23:59 ID:oGDgm09J
◆◆◆テーマ05◆◆◆ 蒸気圧1
(1) 気体から液体への状態変化を何というか。
(2) 蒸気圧とは何か説明せよ。
(3) 水のみが入った容器で内部が次の条件にあるとき水の状態を答えよ。
@ 0.8atm, 100℃ A 1.0atm, 100℃ B 1.2atm, 100℃
(4) 水のみが入った容器で100℃において水が次の状態にあるとき内部の圧力は何atmか。
@ 液体のみ A 液体と気体 B 気体のみ
(まず,蒸気圧の基本的な考え方を確認します。100℃における水の蒸気圧が1atmという
のは問題文に書かれていないのが普通です。)
■訂正■
テーマ05の(4)
「圧力は何atmか。」⇒「圧力はどの範囲にあるか。」
107 :
大学への名無しさん:04/07/01 20:55 ID:70YogZk2
(1)凝縮
(2)気液平衡の状態での気体の圧力を蒸気圧という。
(3)@気体 A気体と液体が共存 B液体
>>107 (1)と(2)は良いです。
(3)のAは厳密には不十分です。
keep thread
110 :
大学への名無しさん:04/07/04 22:11 ID:xlL94bB4
良スレ保守
●●●テーマ05の解答●●● 蒸気圧1
(1) 凝縮
(状態変化の名称は正しく覚えます。「液化」は不可です。)
(2) ある温度においてある物質が気液平衡にあるときの圧力。
(「蒸気圧」と「飽和蒸気圧」は同じ意味です。)
(3) @気体 A気体,または液体,または気体と液体 B液体
(4) @1atm以上 A1atm B1atm以下
今回は蒸気圧曲線の意味することを確認するのが目的です。
その意味は「飽和蒸気圧」という言葉から十分理解できます。
ピストンつきの容器に水蒸気が入っており,(水蒸気の圧力)<(飽和蒸気圧)
である状態を考えます。もしこのときに容器内に液体の水を少し入れたとしても,
水蒸気が飽和していない状態なのでより多くの水蒸気をつくろうとする変化,
すなわち蒸発が起こり,水はすべて水蒸気に変わるはずです。つまり,温度圧力
条件が蒸気圧曲線より下にあるとき,「液体は存在できず気体のみ」であるという
ことになります。
次はピストンを押して,圧力を上げていきます。やがて(水蒸気の圧力)=
(飽和蒸気圧)となります。ここで水蒸気が飽和したということですから,
これ以上大きい圧力の水蒸気は存在できないはずです。それでもピストンを
押し込もうとすると,圧力を上げる代わりに凝縮が起こります。ここで初めて
液体の水が生じ,気液共存の状態になります。水蒸気が残っている限り,
圧力はこれ以上上がりませんが,ピストンを押していくと凝縮が進みます。
やがてはすべての水蒸気が水に凝縮します。つまり,温度圧力条件が蒸気圧
曲線上にあるとき,「気液が共存しうる」と言えます。共存が可能ですが,
その比率は任意であり,気体が100%,すなわち気体のみという状態も
許されるのです。
すべてが液体の水になると,ピストンは液面と接した状態ですきまはありません。
このままピストンを押していくと,見た目には変化はありませんが,水にかかる
圧力は上がっていきます。(水の圧力)>(飽和蒸気圧)ということです。
つまり,温度圧力条件が蒸気圧曲線より上にあるとき,「気体は存在できず
液体のみ」であるということになります。そして,実は大事なことですが,
「水面の上にすきまがあるとき,必ず水蒸気が存在し,その圧力(分圧)が
蒸気圧を超えることはない」ということを覚えておいてください。これは,
他の気体が入っているためにすきまが生じる場合にもあてはまります。
(蒸気圧を超えるときは液体と容器のすきまがないときだけです。)
簡単にまとめると,蒸気圧曲線の図は,「線」のみを理解するのではなく,
「領域」として理解するほうが,意味がはっきりするということです。
P
↑ /←気液共存可能
| /
| 液体のみ /
| /
| /
| /
| _ ・ 1atm
| _-
| _-
| _- 気体のみ
|____-- ̄
└───────┬──→ T
100℃
水の蒸気圧曲線
◇◇◇おまけ05◇◇◇ 蒸気圧1
@ バケツに入れて放置しておいた水がなくなる理由を説明せよ。
A 沸騰とはどのような現象か説明せよ。
B 1atmのもと,水が90℃ではなく100℃で沸騰する理由を説明せよ。
(Aのように「どのような現象?」という問いに対しては,原理などではなく,
観察しうる特徴を解答するのが原則です。)
up
◆◆◆テーマ06◆◆◆ 蒸気圧2
(1) ピストン容器に水と窒素を同じ物質量ずつ入れて放置すると,気体の体積は1.0g,
圧力は1.0atmとなった。温度は一定とし,この温度における水の蒸気圧を0.20atmと
する。また,窒素の水への溶解は無視する。
@ 圧力を2.0atmにすると気体の体積は何gになるか。
A 圧力を0.20atmにすると気体の体積は何gになるか。
(蒸気圧の使い方を,実践的な問題で見ていきます。)
117 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/06 18:15 ID:gYMDyUvf
118 :
大学への名無しさん:04/07/06 19:19 ID:JOS7uhSf
教科書を使うくらいなら
代わりに「理解しやすい化学」を教科書として使ったほうがいい
ていうか教科書もあながち捨てたもんじゃないけどな
○○○おまけ05の解答○○○ 蒸気圧1
@ 大気中の水蒸気の分圧は通常蒸気圧より小さい。この条件では安定して気体と液体が
共存することはできず,水蒸気の分圧が蒸気圧に一致するように蒸発が進む。しかし,
開放系であるために気液平衡に達することがなく,水がなくなるまで蒸発が起こる。
(もちろん入試にはなさそうな問いですが,ここでも基本をあてはめてみると,
蒸気圧曲線より下の領域は気体のみが存在できる領域なので,その方向に変化が
起こると考えられます。外界と物質のやり取りがない閉鎖系では平衡に達する
可能性がありますが,開放系では水分子が拡散していくため蒸気圧に達することは
事実上ありません。)
A (液面だけでなく)液体の内部からも蒸発が起こる現象。
(蒸発は状態変化の名称ですが,沸騰は上記の現象の名称です。)
B 沸騰,すなわち液体内部で蒸発が起こると,その気泡内は気液平衡の状態にあるため
圧力は蒸気圧に一致する。仮に90℃で沸騰が起こると,気泡の圧力は90℃における
蒸気圧に一致するが,これは1atmより小さいため,この気泡は外気の圧力によって
押しつぶされて結局は存在できないということになる。これに対して100℃においては
気泡の圧力は1atmとなって外気の圧力と釣り合うために押しつぶされることはない。
よって,100℃において沸騰という現象が見られる。
(100℃未満で沸騰が起こらないことの説明にはよく「仮に気泡ができてもつぶされる」
という説明のしかたが用いられます。)
122 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/09 15:52 ID:LcA7vJkZ
◆テーマ06のつづき◆
(2) ともに体積Vgの容器AとBが細い管でつながれており,物質Xのみが入っている。
両容器を227℃に保つとXは全て気体となり,圧力は1.8atmであった。ここで容器A
を127℃に,容器Bを27℃に保つと圧力は何atmとなるか。また,Xの何%が液体と
なっているか。ただし,Xの蒸気圧は127℃では1.0atm,27℃では0.40atmとする。
蒸気圧キター
124 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 19:48 ID:YLYk8t1C
そうだ選挙に行こう!
125 :
大学への名無しさん:04/07/11 21:26 ID:UcFZ0C37
オレ有機なら完璧だよ
ためしてくれ
難すぎてわかわん・・・・・・・・
>>125 教科書や多くの参考書の構成順序どおり進めている。
申し訳ないが,現時点ではまだ有機をテーマする予定はない。
★★★蒸気圧の使い方★★★
気体に関する計算問題では,理想気体の状態方程式(以下,状態方程式)を中心として,
分圧の法則,蒸気圧,反応の量関係,ヘンリーの法則を組み合わせて解く問題がほとんどです。
ここでは,蒸気圧の使い方を整理しておきます。
蒸気圧を使うのは,ある物質がその問題の条件下で液体と気体の状態をとりうる場合
ですが,問題文に蒸気圧が与えられているのでその判断は容易です。
使い方の基本はすでにテーマ05で確認しましたが,それを含めて見ていきます。
まず,「液体のみ」の状態は「液面より上に空間がない」ときにしかとれないという
ことを覚えておきます。この特殊な場合でない限り,「液体のみ」は考えなくてよいです。
具体的には「ピストン容器」で「他の気体がない」場合で,「圧力が蒸気圧を上回る」
ようなときに「液体のみ」になり,それ以外では「液体のみ」にならないとしても構いません。
そこで,「気体のみ」と「気液共存」の状態を考えていくことにします。また,簡単のため
ある物質として水を例に話を進めます。実際の問題ではテーマ05の(3)と(4)の2パターン,
すなわち「状態」が先にわかっている場合と「圧力(分圧)」が先にわかっている場合に
大きく分けられます。そして,問題が求めるのは,P,V,n,Tといった状態方程式に
現れるような量で,Pやnを求めさせることが多いです。
A 「状態」が先にわかっている場合
(1) 気液共存
「気液共存」ということがわかればすぐに水の分圧が蒸気圧に等しいことが決まります。
もし,このときちょうど「気体のみ」との変わり目だったら,水蒸気のモル数は容器内の
水の全モル数に一致します。それでなければ,水の液体と気体の割合は未知数になります。
圧力を状態方程式に代入して水蒸気のモル数を求めるなどします。
(※物質量が正しい表現ですが,読みやすいよう「モル数」を用います。)
(2) 気体のみ
「気体のみ」の場合は水の分圧は蒸気圧以下ということしかわかりません。しかし,
水蒸気のモル数が容器内の水の全モル数に等しいということがすぐにわかります。
モル数圧力を状態方程式に代入して水蒸気の分圧を求めるなどします。
B 「圧力」が先にわかっている場合
つまり「状態」がわかっていない場合です。状態は方程式の中に未知数として入れる
わけにはいきませんから,結局は状態を先に決める必要があります。しかし,わからない
ものを強引に決めることはできないので,「状態を仮定する」に留まります。
上述のように,「液体のみ」を除外できれば状態は2択になります。
(1) 気液共存と「仮定」
Aの(1)の方法を用いて,水蒸気のモル数を求めます。この求めたモル数が容器内の
水の全モル数を超えてしまうなどの「矛盾」を生じるかどうかを確認して,矛盾が
なければ仮定は正しかったと,矛盾があれば仮定が誤りで「気体のみ」が正しいと
判断できます。誤りの場合はAの(2)でやり直します。
(2) 気体のみと「仮定」
Aの(2)の方法を用いて,水蒸気の分圧を求めます。この求めた分圧が蒸気圧を超えて
しまうような「矛盾」の有無で仮定の正しさを検証します。仮定が誤りなら「気液共存」
が正しいと判断して,Aの(1)でやり直します。
この(1)と(2)は両方する必要はなく,どちらかだけで済みます。ならばどちらが良いか
というと,勘や経験から正しいと思う状態を仮定したり,仮定のあとの計算が簡単な
ほうを選んだりと,一概には言えません。また,状態方程式で計算すると書いた部分
でも,分圧の法則を用いたほうが速い場合もあるので適宜使い分けてください。
131 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/12 12:57 ID:WxZvr6ba
テーマ06のヒント
(1) 初期状態,@,A全てにおいて状態は不明です。Bの(1)または(2)を用いて状態を
判断してください。(1)と(2)のどちらによって一瞬にして判断できます。水蒸気は
状態変化によってモル数が変化しますが,窒素のモル数は不変です。これに注意して
状態判断した後は状態方程式と分圧の法則で計算していきます。
(2) 連結された温度の異なる容器に関する問題はときどき出題されますが,このような
場合は両容器における圧力(各気体の分圧)が等しいという条件を用います。
(両容器に圧力差があれば,高気圧から低気圧に風が吹くように,物質の移動が
止まっておらず,まだ変化の最中だということになってしまいます。)
このことに気をつけて,各容器の状態を判断し,後は計算です。
132 :
The Democratic Party ◆JnKx94lI.w :04/07/12 13:17 ID:TzzRho/v
有機電子論について簡単に教えてくれ
>>132 有機電子論は「有機化合物の反応を電子のふるまいから説明する方法」
という意味でよろしいでしょうか。
・簡単に説明するのは難しい。
・現在進行中のテーマと大きく離れてしまう。
・一概には言えないが,大学受験にあまり寄与しない。
などの理由で,申し訳ありませんが現時点では扱いませんし,
将来的に扱うかどうかも未定です。
134 :
神名綾人 ◆JnKx94lI.w :04/07/12 14:58 ID:TzzRho/v
俺の為に教えてくれ。必要なんだ
神 ス レ
このスレ見てるのって、ほとんどが大学生のような気がする。
現役生は化学の勉強をまだ始めてないだろうし、浪人生でもちと
難しいかもしれないね。大学1・2年くらいだと一番おもしろい。
なんつーか、中途半端な理解が深まるって感じ。
>>134 駿台文庫の『新理系の化学(下)』や受験レクチャーシリーズ『有機化学』
あたりをお薦めします。
>>136 実際のところ,そうかもしれません。あくまでも受験生を対象としていますが,
大学生の方が見ていただいても再確認されることが中にはあるでしょう。
ちなみに,高1,2あたりから化学を始めた国立上位校志望の高3生向けに
夏までに教えていたような内容を再構成して書いています。
●●●テーマ06の解答●●● 蒸気圧2
(1) 水と窒素の物質量をそれぞれNmolとする。
<初期状態>
水が「気体のみ」と仮定すると,水蒸気と窒素は同モルであり,分圧も等しいので,
全圧1.0atmより水蒸気の分圧は0.50atmとなるが,これは水の蒸気圧0.20atmを超える
ので仮定は誤りである。よって,水は「気液共存」であり,水の分圧は0.20atm,
窒素の分圧は0.80atmである。
水の状態方程式 : 0.20×1.0=nRT …(A) (nは水蒸気のモル数)
窒素の状態方程式: 0.80×1.0=NRT …(B)
@
上と同様に仮定すると,水の分圧は1.0atmとなるので仮定は誤りで,水は「気液共存」。
水の分圧は0.20atm,窒素の分圧は1.8atmである。
水の状態方程式 : 0.20×V=n'RT …(C) (n'は水蒸気のモル数)
窒素の状態方程式: 1.8×V=NRT …(D)
(B)と(D)より,V=0.80×1.0/1.8≒0.44g
A
上と同様に仮定すると,水の分圧は0.10atmとなるので仮定は正しく,水は「気体のみ」。
窒素の分圧も0.10atmである。
水の状態方程式 : 0.10×V=NRT …(E)
窒素の状態方程式: 0.10×V=NRT …(F)
(B)と(F)より,V=0.80×1.0/0.10=8.0g
状態の判断→分圧の法則→状態方程式という流れで解いています。今回はモル数を求める
必要がなかったので,(A),(C),(E)は用いていません。また,@,Aとも結局はボイルの
法則で解いていることになります。このように機械的に状態方程式を立てることには
無駄が含まれることがありますが,複雑な問題ほど最初から方針を立てにくくなるので
全てを書いていくことにも利点があります。
(2) 物質Xの全モル数をNmolとする。
<初期状態>
A,Bの各状態方程式: 1.8×2V=N×R×500 …(a)
<最終状態>
「気体のみ」と仮定すると初期状態からモル数と体積は変わらない。絶対温度が
容器Aで4/5,Bで3/5に小さくなったことに対応して,圧力も小さく見積もって3/5に
なったとしても1.8×3/5=1.08atmとなるが,これは蒸気圧より大きいので「気体のみ」
ではなく「気液共存」と判断できる。
仮に容器Aにおいて「気液共存」だとすると,圧力は蒸気圧に等しく1.0atmとなるが,
両容器の圧力は等しいので容器Bの圧力も1.0atmということになる。しかし,27℃の
容器Bでは蒸気圧を超えてしまうので,このようなことは起こらない。
逆を仮定して,容器Bにおいて「気液共存」で,両容器の圧力が0.40atmとすると,
容器Aでは圧力が蒸気圧を超えず,状態は「気体のみ」となり,矛盾はない。
Aの状態方程式: 0.4×V=n×R×400 …(b) (nはA内の気体Xのモル数)
Bの状態方程式: 0.4×V=n'×R×300 …(c) (n'はB内の気体Xのモル数)
(a),(b),(c)より,全Xのうち気体の占める割合は,
(n+n')/N={(0.4V/400R)+(0.4V/300R)}/(3.6V/500R)=35/108
よって,液体の占める割合は,
(73/108)×100≒0.68%
◇◇◇おまけ06◇◇◇ 蒸気圧2
@ 容積不変の容器に100℃,0.8atmの水蒸気を入れて温度を10℃まで下げた。
温度,圧力,状態はどのように変化するか。
A ピストン容器に100℃,0.8atm,5gの水蒸気を入れ,圧力一定のまま温度を
10℃まで下げた。温度,体積,状態はどのように変化するか。
B ピストン容器に100℃,0.8atm,5gの水蒸気を入れ,温度一定のまま圧力を
1.2atmまで上げた。圧力,体積,状態はどのように変化するか。
(具体的な数値が不明の場合もありますので,わかる範囲のことを記述して下さい。)
masterpiece
○○○おまけ06の解答○○○ 蒸気圧2
@ 最初,圧力は絶対温度に比例して減少し,この間は水蒸気のみが存在する。ある温度に
達すると圧力が水の蒸気圧に一致し,この時点から液体の水が生じ始める。さらに温度を
下げていくと,圧力はその温度における水の蒸気圧に一致して減少する。このとき状態は
気液共存だが,液体の割合が次第に増す。10℃までこの変化が起こる。
まずVは一定です。そして,(T, P)が蒸気圧曲線より下の領域にある間はすべての水が
気体ですから,この間はnも一定です。よって,PV=nRTよりP=(nR/V)×Tですから,
PはTに比例します。この直線は(100℃,0.8atm)と(-273℃,0atm)を通る直線ですから
蒸気圧曲線に比べてずっと小さい傾きをもっています。したがって,10℃までの間に
直線と蒸気圧曲線が交わることは確かです。
交点より低温側ではもはや直線に従って(T, P)が変化することはできません。なぜなら
蒸気圧曲線より上の領域では「液体のみ」にならなければいけませんが,容積一定の
容器では液面の上に必ず空間がありますので不可能です。また,直線に従えないと
なると,nが一定(すなわち「気体のみ」)も成り立たなくなります。つまり,これより
低温では「気液共存」でしかありえません。気液共存なら必ず(T, P)は蒸気圧曲線上
に乗ることになりますから,この曲線に沿って変化していくことになります。
このようにP-T図上で考えるのが基本になります。AとBもまずはP-T図上で状態を
考えるようにして,そのあとVの変化を考えるとわかりやすいです。
age
145 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/16 12:39 ID:AsDCJPV0
A 最初,体積は絶対温度に比例して減少し,この間は水蒸気のみが存在する。水の蒸気圧が
0.8atmとなる温度に達すると,この時点から液体の水が生じ始める。気液共存である間は
温度は変化せず,凝縮が進むことによって体積のみが減少する。すべての水が液体と
なった後,温度は10℃まで低下し,この間に水の体積はわずかに減少する。
まずPは一定です。だから,P-T図上では横軸に平行な直線P=0.8上にしか条件は乗り
ません。水の蒸気圧曲線は(100℃, 1atm)を通り,わりと急な傾きをもっているので,
10℃<T<100℃の範囲で直線と交わると考えてよいでしょう。
まず100℃→交点では,条件は「気体のみ」の領域にあります。気体のみならnは一定
ですから,V=(nR/P)×TのようにVはTに比例します。
次に交点は蒸気圧曲線上ですから「気液共存可能」であり,またこの点以外で「気液
共存」は不可能です。よって,この交点上に条件が留まったまま凝縮が起こります。
気体のモル数が減少するとともに気体の体積も減少します(V=(RT/P)×n)。
最後に交点→10℃では,条件は「液体のみ」の領域にあります。ピストン容器で他の
気体は存在しませんから,すべてが液体になることが可能です。この間は単に水が
冷えていくだけで,体積はほぼ不変ですが,厳密には4℃までは減少します。
今回「液体の体積を無視する」という但し書きがないので(書き忘れました),
液体の水の体積を考慮しましたが,無視できるときは交点→10℃で体積0です。
146 :
大学への名無しさん:04/07/16 18:37 ID:GYcL4geu
教科書を買いたいんですが、普通の書店では購入できないと聞きました。
どうすれば教科書を帰るのか教えてください。
147 :
大学への名無しさん:04/07/16 18:38 ID:GYcL4geu
すいません誤爆しました!すいません!
B 最初,圧力が1atmになるまで体積は圧力に反比例して4gまで減少し,この間は水蒸気
のみが存在する。圧力が1atmになると,この時点から液体の水が生じ始める。気液共存
である間は圧力は変化せず,凝縮が進むことによって体積のみが減少する。すべての
水が液体となった後,圧力は1.2atmまで上昇し,この間に水の体積はわずかに減少する。
まずTは一定です。だから,P-T図上では縦軸に平行な直線T=100℃上にしか条件は乗り
ません。水の蒸気圧曲線とは(100℃, 1atm)で交わることが今回は明らかです。
まず0.8→1atmでは,条件は「気体のみ」の領域にあります。気体のみならnは一定
ですから,PV=nRTのようにVはPに反比例します。
次に交点は蒸気圧曲線上ですから「気液共存可能」であり,またこの点以外で「気液
共存」は不可能です。よって,この交点上に条件が留まったまま凝縮が起こります。
気体のモル数が減少するとともに気体の体積も減少します(V=(RT/P)×n)。
最後に1→1.2atmでは,条件は「液体のみ」の領域にあります。ピストン容器で他の
気体は存在しませんから,すべてが液体になることが可能です。この間は圧力が増加
しますが事実上体積は事実上不変ですが,厳密には微小量減少します。
(水の体積の圧力による変化を考慮させるのは問題として不適当です。Aと同様に
但し書きを忘れてなければ体積0でよいのですが。)
149 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/19 01:50 ID:nZVpePlE
◆◆◆テーマ07◆◆◆ 気体の計算
(1) 気体の状態方程式に含まれる3つの法則をそれぞれ説明せよ。
(2) 気体AおよびBをそれぞれnA(mol),nB(mol)混合したところ全圧がPとなった。
このときAおよびBそれぞれの分圧をpA(atm),pB(atm)とする。これらの量の間に
成り立つ関係式を3種類挙げよ。
(3) 化学反応式の係数は何を表しているか。
(4) 「メタンと酸素の分圧がそれぞれ1atm,9atmである混合気体に点火してメタンを
完全燃焼させたとき,全圧は何atmか。生じた水はすべて液体とみなせるとする。」
という問題で,メタン1atm,酸素2atmが減り,二酸化炭素1atmを生じた,よって,
全圧は8atmだ,というような解き方ができるのはどのような条件のときか。
(ここでは,状態方程式,分圧の法則,反応の量関係を扱います。(1)2つまではすぐに
思いつくでしょう。(2)自由に使えるようにしておく「公式」です。(3)基本。(4)気体
が反応する問題の解法で最も多いパターンです。)
ほしゅ
●●●テーマ07の解答●●● 気体の計算
(1) ボイルの法則:温度が一定のとき,一定物質量の気体の体積は圧力に反比例する。
シャルルの法則:圧力一定のとき,一定物質量の気体の体積は絶対温度に比例する。
アボガドロの法則:同温,同圧,同体積の気体には,気体の種類に関係なく,
同数の分子が含まれている。
まず,ボイル・シャルルの法則よりVはTに比例し,Pに反比例するので,V=kT/Pが
成り立ちます。またモル数が2倍になれば体積も2倍になるのは当然なので,
Vはnにも比例し,V=k'nT/Pが成り立ちます。これですでに状態方程式が完成した
ように見えますが,状態方程式ではこの比例定数k'が気体定数Rとなっています。
重要なのはこの比例定数が「気体の種類に無関係である」ということなのです。
比例定数k'が,水素でも,窒素でも同じ値だということがアボガドロの法則から
言えるので,気体の種類によらない気体定数Rが存在するのです。
(2) P=pA+pB, pA:pB=nA:nB, pA=P×{nA/(nA+nB)} (pB=P×{nB/(nA+nB)})
最初は,分圧の和=全圧,次は,分圧比=モル比,という式です。3つ目はこの
2つから導かれますが,分圧=全圧×モル分率,という式です。混合気体を
扱うときにはどの関係もすぐに使えるようにしておくべきです。
(3) 反応に伴って変化する物質量の比
反応式の係数比は反応するモル比です。(4)は係数比=分圧比として解いています
から,何らかの前提条件があるはずです。
(4) 反応の前後で状態を測定したときに混合気体の体積と温度が変わらないとき
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O の反応が起こりますが,この反応式の係数に従って分圧の増減を
考える解き方があります。基本は「係数比=モル比」ですから,「モル比=分圧比」が
成り立つならば「係数比=分圧比」とできます。状態方程式よりP=(RT/P)×nですから,
TとVが一定なら,Pとnの間に比例関係が成立し,「モル比=分圧比」が保証されます。
そうすると,メタン1atmすべてが反応したとき,係数比にしたがって,酸素は2atm減り,
二酸化炭素は1atm増えます。水も2atm増えますが,水については蒸気圧が関係してきて,
この問題では0atmとみなすことになっているので無視します。その結果,容器内には
酸素9−2=7atmと二酸化炭素1atmが存在し,合計して全圧は8atmと求められます。
◇◇◇おまけ07◇◇◇ 気体の計算
エタンC2H6,プロパンC3H8,酸素が密閉容器に入っており,全圧は0.80atmであった。点火して
エタンとプロパンを完全燃焼させ,もとの温度に戻したところ水はすべて水蒸気として存在し,
全圧は0.89atmであった。また水蒸気の分圧は0.46atmであった。最初に入っていたエタンおよび
プロパンはそれぞれ何atmか。
>>152の訂正
解説3行目 P=(RT/P)×n ⇒ P=(RT/V)×n
156 :
大学への名無しさん:04/07/24 21:35 ID:FMJ5Mp1L
age
状態方程式の
PV^γ=一定とPV^(γ-1)=一定はどーなの?
>>157 スレ違いです。(式自体にも誤りがありますが。)
○○○おまけ07の解答○○○ 気体の計算
気体に関する計算問題だということは見てすぐにわかります。だから,「状態方程式」はおそらく
使うことになります。あと,複数種類の気体があるので「分圧の法則」,反応が起こっているので
「反応の量関係」を使いますが,水はすべて気体となっているので「蒸気圧」は使いませんし,
気体の溶解も起こらないので「ヘンリーの法則」も使いません。
このような問題においては,「反応の量関係」を用いてきっちりと反応前後における物質の量を
求めることが中心になります。「状態方程式」や「分圧の法則」はできるだけ補助的に使うように
したほうが煩雑になりません。そこで,P, V, n, Tに関する情報に注目します。密閉容器と表現
された場合,容積が変わらない容器を指しますから,Vは一定です。また,反応前後で圧力の測定を
行っているときは温度も同じで,Tは一定です。分圧Pやモル数nは反応によって変化します。
よって,P=(RT/V)×nにおいて(RT/V)が一定なので,Pとnは常に比例します。テーマ07の(4)で
確認したように,この場合は「係数比」=「モル比」=「分圧比」が成り立つので,反応による
分圧の変化量の比は係数の比に従うことになります。
ここまでは問題を見て数秒で判断することです。ここからが実際の解く作業です。まず,未知数を
設定します。上述のように分圧で変化を表していく方針なので,分圧を未知数におくのが楽です。
最初のエタンとプロパンの分圧をそれぞれa(atm),b(atm)とおきます。この問題のように2種類
以上の反応が起こる場合には,それぞれの反応における変化量を別々に求めておきます。
まず,エタンの燃焼により,エタンはa(atm)すべて減少しますから,それに合わせて
C2H6 + (7/2)O2 → 2CO2 + 3H2O
-a -3.5a +2a +3a (atm)
のように各物質の分圧が変化します。プロパンでも同様に,
C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O
-b -5b +3b +4b (atm)
のように変化します。このように分圧の変化量を係数を利用して求めるのがポイントです。
これらをまとめて次のような表をつくります。単位はatmです。
C2H6 C3H8 O2 CO2 H2O 計
反応前 a b 0.8-a-b 0 0 0.8
変化量 -a -b -3.5a-5b +2a+3b +3a+4b +0.5a+b
反応後 0 0 0.8-4.5a-6b 2a+3b 3a+4b 0.8+0.5a+b
このあとは中学校の数学です。「反応後の全圧は0.89atm,水蒸気の分圧は0.46atm」を用いて,
0.8 + 0.5a + b = 0.89
3a + 4b = 0.46
という式が成り立つので,解くと,a=0.10(atm),b=0.040(atm)となります。
161 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/26 10:25 ID:gXaUTwmE
◆◆◆テーマ08◆◆◆ 実在気体
(1) 実在気体が理想気体と比べて異なることを2点挙げよ。
(2) 実在気体を理想気体に近づけるには温度と圧力をどのようにすればよいか。
(3) 実在気体が(1)の解答の2つの性質を持つことにより,実在気体の体積は
理想気体の体積と比べてどのようになるか。2つの性質それぞれについて答えよ。
(4) 1molの気体についてZ-Pグラフ(Z=PV/RT,Zが縦軸)が示されることがあるが,
理想気体ではどのような線が描かれるか。
(5) Z-Pグラフにおいて,実在気体の線は理想気体の線と一致しない。実在気体の線が
理想気体の線より下にある場合,(1)の2つの性質のうちどちらの影響が強いか。
(テーマが進むにつれだんだんと問題が素直になってきたような気もしますが,今回は
特に試験と直結する内容です。これだけで十分2次にも対応できます。もちろん
この基本をどう問題に適用するかが問われるのですが。)
夏なので少しペースアップしたいとは思っていますが,どうなることやら。
今回は簡単だね。
(1) 分子の大きさ(体積)と分子間力がある。
(2) 高温定圧
(3) 圧力を上げていくと分子間力により体積は小さくなり(理想気体より小さくなる)、
さらに圧力を上げると分子の体積分よりは体積は小さくならない。(理想気体より大きくなる)
(4) 理想気体はPV=一定なので直線。 AA略。
(5) 下にずれる場合は分子間力による影響でPVが理想気体の時よりも小さくなる。
上にずれる場合は分子の大きさによる影響でPVが理想気体より大きくなる。
>>162にほぼ正答が出ましたので早速解答に移ります。
●●●テーマ08の解答●●● 実在気体
(1) 分子自身の占める体積がゼロでない。分子間に引力が働く。
(2) 温度を高く,圧力を小さくする。
理想気体は「分子の体積」と「分子間力」をなしとして理想化された気体です。
実在気体では分子が広い空間を(=低圧)高速で(=高温)とび回るようなときに
理想気体の状態方程式(PV=nRT)が成り立つのです。補足すると,P=(n/V)RTです
から,Tを固定すると,圧力Pはモル濃度n/Vに比例します。よって,分子が広々と
した空間をとぶというのは,込み合ってないということですから,モル濃度が
小さいときであり,ひいては圧力が小さいときのことだと言えます。込み合って
ない場合,分子自身の体積が空間の体積より十分小さくて無視でき,また平均の
分子間距離も大きく分子間力も働きにくくなり,理想に近づきます。高速で
とび回ると分子間力が働きにくくなることはイメージできるでしょう。(逆に,
低温で実在気体が凝縮することを考えるとよいです。)
(3) 分子自身の体積がゼロでないことにより大きくなり,分子間に引力が働くことにより
小さくなる。
理想気体で0だったはずの分子の体積が実在気体では0でなくなるので,その分
だけ,実在気体の体積は大きくなります。(ここでは,分子を除く空間の体積は
変わらないとして,全体の体積=分子の体積+空間の体積という考え方をします。)
分子間力は分子間距離を小さくするように作用するので,これによって体積が
小さくなることは明白です。(引き付けあって,縮こまろうとするのです。)
(4) Z=1のP軸(横軸)に平行な直線 (P≧0 ←数学じゃないからここまで要らないが)
理想気体では厳密にPV=nRTが成り立つので,1molの場合,常にPV/RT=n=1が成り
立ちます。よって,Z=PV/RT=1がPの値に関係なく成り立ちます。
(5) 分子間に引力が働くことの影響が大きい。
Z-PグラフのZは複数の変数から成り立っていて,よくわからん変数という印象を
受けます。しかし,気体について比較という作業をするとき,PやTの条件を
揃えたり変えたりしながら比較することが多いので,結局のところ,このZは
「(理想気体で1になるように補正した)体積」ぐらいに思い込むのがよいです。
つまり,グラフの上下を比較するのは体積の大小を比較しているということです。
そこで,問題文にあるように実在気体の線が理想気体の線(Z=1)より下にある
ということは,理想気体より体積が小さくなっていることを意味します。ここに
(3)の内容を加味すると,体積を小さくするのは分子間力ですから,こちらの
影響が大きいということになります。(いつでも分子の体積と分子間力の両方が
影響を及ぼしますが,体積の大小からどちらの影響が大きいかを判断します。)
ちなみにZ-Pグラフは「100℃の水素の線」というように,温度と気体ごとに
線が描かれます。同じ気体でも温度が異なれば違う線になります。
◇◇◇おまけ08◇◇◇ 実在気体
アンモニア(分子量17,沸点-33℃),窒素(分子量28,沸点-196℃),メタン
(分子量16,沸点-161℃)について,標準状態における1molの気体の体積が大きい
ものから順に並べよ。ただし,分子自身の体積が気体の体積に及ぼす影響は無視
できるものとする。
今度は難しいな
bpは N2<CH4<NH3
分子量で見ると CH4<NH3<N2
NH3は水素結合してるから液体の状態での体積は小さくなっているだろうが
気体ではどうなるかわかんねええええええええ
N2<NH3<CH4でいいのか?
167 :
早急にお願いします!:04/07/26 20:32 ID:a7DMsjwZ
すいません!!
高校1年で習う中和滴定について教えて下さい(><)!!
問1)ホールピペットとビュレットは何故共洗いをするのか?
また、コニカルビーカーがぬれても良い理由を書きなさい
問2)正確な濃度の水酸化ナトリウム水溶液はつくることができない
それはなぜか?
168 :
さむらい(´ー`)y-~~ ◆0dFSAMURAI :04/07/26 20:38 ID:4blW2cIO
>>167 1
aイオンの濃度を変えないように(濃度が変わらなければ、落とした液体の総量から落としたイオンの数が分かる。)
bイオンの数が問題だから
だと思うよ。
2
なんでやろ。
計量自体に誤差があるからかな?
水酸化ナトリウムが潮解性をもってるからとか。
てこれ理科質問スレじゃなかった。。わり。
170 :
◆AYATOY844M :04/07/26 20:42 ID:Vmm2nriv
ナニコレオナニー?
171 :
大学への名無しさん:04/07/26 20:47 ID:a7DMsjwZ
>>168 マジでありがとうございます!m(__)m
レポ提出明日なんで助かりました〜(^^)v
まちがってたらごめんね。
>>169 適切な対処,ありがとうございます。
○○○おまけ07の解答○○○ 気体の計算
窒素,メタン,アンモニア
但し書きより,この問題では「分子の体積」は考慮しなくてよいので,
「分子間力」の比較の問題であることがわかります。分子間力の大小を判断
するには,分子量や極性から考える方法がありますが,窒素とメタンに
ついては,同じ無極性分子でも分子の形が異なるので単純に分子量で比較
することはできません。そこで,わざわざ書かれている沸点に注目します。
沸点が高いほど分子間力が大きいという原則を使えという出題の意図が
そこに込められているのです。(自分でつくっておいて言うのも何ですが…。)
よって,沸点が高いほど,分子間力が大きいので,気体の体積は小さくなると
考えると,答えは沸点の低いものから順に並べればよいことになります。
174 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/27 10:34 ID:jtLPzmJT
◆◆◆テーマ09◆◆◆ 溶解,溶液の濃度,固体の溶解度,ヘンリーの法則
(1) 次の固体物質についてあとの@〜Bに答えよ。
塩化ナトリウム,スクロース,ベンゼンスルホン酸,ヨウ素
@ 分子からなる物質とイオンからなる物質に分けよ。
A 水に溶けやすい物質と水に溶けにくい物質に分けよ。
B 水に溶けやすい物質を電解質と非電解質に分けよ。
C 水に溶けやすい物質について,それぞれが水に溶解する過程を説明せよ。
(2) 1.00mol/gの物質A(分子量60.0)の水溶液の密度は1.2g/cm^3である。
この溶液の質量パーセント濃度および質量モル濃度を求めよ。
(3) つぎの条件で物質Aと物質Bの混合物を再結晶により精製することを考える。
このときAを精製できるのは混合物におけるAが何%の範囲にあるときか。
また,Bを精製できるのは混合物におけるAが何%の範囲にあるときか。
(a) 用いる溶媒(水)の量は必要最小限とする。
(b) 混合物は80℃で溶解させ,このときに溶け残りはないものとする。
(c) 溶液は20℃まで冷却する。
(d) Aの溶解度は80℃で85,20℃で10,Bの溶解度は80℃で40,20℃で15とする。
(4) ヘンリーの法則とは何か説明せよ。
(5) 60℃において水1gに溶ける水素(分圧1atm)の体積を0℃,1atmのときの体積に
換算した値は0.0160gである。60℃において分圧p(atm)の水素が水Vgに溶けるとき,
溶けた水素の物質量nを表す式を書け。
(今回もかなり基本的です。(1)のCは起こることを順序だてて説明してください。
(2)は濃度の定義の確認程度のつもりです。(3)は再結晶を理解できているかどうかを
問うています。(4)(5)はヘンリーの法則の基本です。)
175 :
大学への名無しさん:04/07/27 14:49 ID:p7aJoV0/
ルードヴィヒ先生は、某S台の有名講師ではありませんか?
あたりまえのことを質問しています。しかし,理由を問われて解答欄に「あたりまえ」と
書く人はいません。自分が理解している内容を正確に文章に表現することが求められます。
「化学反応で電子軌道的に結合している」のでないとして,例えば黄銅中のZn原子とCu原子の
間に働く相互作用は何なのでしょうか? もしかすると「電子軌道」という語自体を
何となく使われた可能性もあります。
「イオン化傾向などで補い合い」とありますが,ここで「イオン化傾向」が出てくるとは
思いませんでした。合金中の金属原子はイオンになる,もしくはイオンになる可能性が
あるのでしょうか? あと,「など」は曖昧です。
>>175 申し訳ありませんが,個人情報については回答しません。
ただ某S台の有名講師はこの時期にこのようなことをされないと思います。
その辺の私大生だと思ってた
●●●テーマ09の解答●●● 溶解,溶液の濃度,固体の溶解度,ヘンリーの法則
(1) @ 分子:スクロース,ベンゼンスルホン酸,ヨウ素 イオン:塩化ナトリウム
A 易溶:塩化ナトリウム,スクロース,ベンゼンスルホン酸 難溶:ヨウ素
B 電解質:塩化ナトリウム,ベンゼンスルホン酸 非電解質:スクロース
C 塩化ナトリウムはイオンからなるため,水に溶けるときにイオン結合が切れて
陽イオンと陰イオンに分かれる。分かれたイオンは水分子と引き合い,水分子に
よってとり囲まれる。
スクロースは分子からなるため,水に溶けるときに分子間力が切れて分子に
分かれる。親水基をもつスクロース分子は水分子と引き合い,水分子によって
取り囲まれる。
ベンゼンスルホン酸は分子からなるため,水に溶けるときに分子間力が切れて
分子に分かれる。さらに,ベンゼンスルホン酸は強酸であるために電離して
陽イオンと陰イオンに分かれる。別れたイオンは水分子と引き合い,水分子に
よって取り囲まれる。
★★★ 溶解について ★★★
┌無極性分子───→@ 分子間力切断⇒溶媒和. (無極性溶媒に溶け
る)
│
┌.分 子.─┤ ┌─→A 分子間力切断⇒水和.. (水に溶ける)
│ └極性分子 ─┤
┤ .└─→B 分子間力切断⇒電離⇒水和. (水に溶ける)
│
│.. ┌────────→C イオン結合切断(=電離)⇒水和 (水に溶ける)
└イオン.─┤
└────────→D (溶媒に溶けない)
@ 無極性分子は水には溶けにくく,無極性溶媒に溶けやすいです。(ヨウ素など)
A 極性分子は水(極性溶媒)に溶けやすく,無極性溶媒に溶けにくいです。エタノールの
ように@とAの中間的な分子も多くあります。(スクロースなど)
B 電離する分子は酸とアンモニア(アミン類)と考えても差し支えありません。すべての
分子が電離するわけではないので,Aの要素ももっています。(ベンゼンスルホン酸など)
C イオン性物質は溶解に際して電離が起こります。(塩化ナトリウムなど)
D イオン性物質の中には水に難溶性のものもあります。
・ 溶媒分子が溶質粒子のまわりを取り囲むことを溶媒和といい,特に水においては水和と
いいます。溶けやすい物質の溶解に際しては必ず溶媒和が起こります。
・ 溶解に際してイオンに分かれることを電離といいます。電離する物質を電解質,電離
しない物質を非電解質といいます。
・ 物理変化として,金属や共有結合結晶の物質は溶媒に溶けません。
(2) 質量パーセント濃度:5.00% 質量モル濃度:0.877mol/kg
(モル濃度)=(溶質mol)/(溶液g),(質量%濃度)={(溶質g)/(溶液g)}×100,
(質量モル濃度)=(溶質mol)/(溶媒kg)という定義に従って,分子と分母に分けて
計算します。まず1.00mol/gは,溶質1molと溶液1gと考えます。
質量%濃度に直すには,溶質・溶液ともgに変換すればよいので,溶質1molは
1(mol)×60(g/mol)=60g,溶液1gは1(g)×1000×1.2(g/cm^3)=1200gとします。
そして,(60/1200)×100=5%と計算します。
質量モル濃度に直すには,溶質はmolのままでよいのですが,溶質と溶液から
溶媒のkgを求める必要があります。溶媒は1200−60=1140g=1.14kgと求まります
から,1(mol)/1.14(kg)=0.8771…≒0.877mol/kgとなります。
(3) Aを精製:40%<Aの%≦85% Bを精製:20%≦Aの%<40%
まず,再結晶は高温で溶かした2物質のうち,低温にしたとき一方のみが析出し,
他方は析出しないような場合に成り立ちます。通常,精製したい物質Xと少量の
不純物Yを含む混合物で,温度低下によってXの溶解度が大きく減少するような
場合に精製の効率が良くなります。このときXは溶解度の減少に応じて析出し,
Yは高温から低温を通じて溶解度を上回らず,析出しません。
Aを精製したい場合,Bは析出させてはいけませんが,水の量はできるだけ少ない
ほうが多くのAを析出させることができるので最小限に留めます。そうすると,
Bが析出しないぎりぎりの条件を考えればよいことになるので,混合物中のBの
質量を15g,水の質量を100gに固定し,このときAの質量の許される範囲を求めれば
いいことになります。80℃で溶けきるためにはAは85g以下でなければなりません。
また20℃でいくらか析出するためには10gを超えている必要があります。よって,
Aの割合の範囲は10/(10+15)より大きく85/(85+15)以下で解答のようになります。
Bを精製する場合にも,AとBを入れ替えて考えれば同様に求まります。
(問題の条件がなければ,Aが85%を超える混合物でもAの精製は可能です。)
(4) 溶解度の小さい気体では,温度が一定ならば,一定量の溶媒に溶ける気体の質量は,
その気体の圧力(混合気体の場合は分圧)に比例する。
ヘンリーの法則は塩化水素やアンモニアのように溶解度の大きい気体では成り立ち
ません。溶ける量が圧力に比例するという法則ですが,溶ける量は「質量」で
表します。しかし,質量に比例する量なら何でもいいので「物質量」と覚えるのが
よいでしょう。物質量に22.4をかければ「標準状態における体積」になるので,
この表し方でも圧力に比例します。
ところが,体積で表示すると混乱しやすくなります。なぜなら,溶けた気体を
取り出して容器に入れて測って初めて体積がわかるのですが,気体の体積は測る
条件によって変わるからです。測る温度・圧力条件を固定すると(例えば標準状態),
V=(RT/P)×nのように体積はモル数に比例するので,このようにして測った体積は
溶かしたときの圧力に比例します。しかし,測るときの温度を固定しても,測る
ときの圧力を溶かしたときの圧力と同じにすると,V=(RT)×(n/P)において溶けた
モル数が増えても測るときの圧力も同じ割合で増えることによりn/Pは不変となり,
このようにして測った体積は溶かしたときの圧力と無関係に一定となります。
これはヘンリーの法則の別表現としてよく使われ,うまく使えれば速く解ける
問題もありますが,「溶けるモル数は圧力に比例」を基本にするのが無難でしょう。
(5) n = 7.14×10^-4 × p × V
まず,水1gに分圧1atmで溶ける水素の量は,標準状態の体積にして0.016gです
から,モル数に直して0.016/22.4=7.14×10^-4(mol)です。そして,溶けるモル数は
水素の分圧に比例し,当然水の体積にも比例します。この関係を式にすると解答の
ようになります。ヘンリーの法則はわざわざ公式などで表さないのが普通ですが,
法則を文でなく式にしておくと問題が複雑になっても対応しやすくなります。
◇◇◇おまけ09◇◇◇ 固体の溶解度,ヘンリーの法則
(1) 60℃の硫酸銅(U)飽和水溶液210gを加熱して水をいくらか蒸発させ,20℃まで冷却
すると析出した硫酸銅(U)結晶を除いた溶液の質量は72gであった。蒸発した水の質量と
析出した結晶の質量をそれぞれ求めよ。硫酸銅(U)無水物の溶解度は60℃で40,20℃で
20とし,式量はCuSO4・5H2O=250,CuSO4=160とする。
(2) ある気体は27℃,1atmにおいて水1gに0.0500g溶ける。5.00gの容器にこの気体を
0.620atm入れた後,水をいくらか入れると気体の圧力は1.00atmとなった。次の問いに
答えよ。ただし,ヘンリーの法則が成り立ち,水の蒸気圧は無視できるものとする。
@ 入れた水の体積は何gか。
A さらに水を1.00g追加すると気体の圧力は何atmになるか。
(「標準状態に換算して」など測定条件を表す表現がない場合は,気体を溶解させた
条件と同じ条件で測定した体積で表されているということです。)
■補足■ ↑の(2)は終始27℃に保たれているとします。
(1)
60℃の飽和水溶液210gに含まれているCuSO4,H2Oのgを求める。
100gの水に40g溶けるので飽和水溶液は140gになる。
210は140の1.5倍なので,H2O,CuSO4はそれぞれ150g,60g含まれる。
20度に冷却後の飽和水溶液は72gなので同様に計算すると0.6倍になる。
H2O,CuSO4はそれぞれ60g,12g含まれる。
沈殿したCuSO4は60-12=48g
これがCuSO4・5H2OのCuSO4部分,すなわち16/25になっている
CuSO4・5H2Oがx g析出したと考えると
48=16x/25 ∴x=75 g
蒸発した分は210-72-75=63 g
(2)もやろうと思ったが、↑書いて疲れたんでやめ。
>>187に正解が出ていますので,(1)だけ解答を載せます。
○○○おまけ09の解答○○○ 固体の溶解度,ヘンリーの法則
(1) 蒸発した水:63g 析出した結晶:75g
溶解度の問題は,溶質(CuSO4),溶媒(H2O),溶液をきっちり区別して考えれば必ず
式をつくれます。まず,60℃の飽和溶液の内容は,質:媒:液=40:100:140ですから,
溶液210gの内訳は溶質210×(40/140)=60g,溶液210×(100/140)=150gです。
ここで水をx(g)蒸発させると,溶媒がx(g)減少し,溶液もx(g)減少します。次に結晶が
y(g)析出したとします。結晶の内容は,CuSO4:H2O:全体=160:90:250ですから,
結晶y(g)の内訳はCuSO4がy×(160/250)(g),H2Oがy×(90/250)(g)であり,それぞれが
溶質,溶媒から減少する質量となります。そして最後に残った20℃の飽和溶液の内容は,
質:媒:液=20:100:120ですから,溶液72gの内訳は溶質72×(20/120)=12g,溶液
72×(100/120)=60gです。以上より,
溶質. 60 −y×(16/25) = 12
溶媒 150 −x −y×( 9/25) .= 60
溶液 210 −x −y = 72
となり,これを解くと,x=63,y=75を得ます。
(この解法はこの型の問題すべてにほとんど何も考えずに当てはめることができます。
最後の72gのような絶対的な数値がないときは,比を用いて立式します。)
189 :
大学への名無しさん:04/07/30 17:18 ID:hsqbwiQq
dat落ちしそうなのであげます。
ここはルートヴィヒさんしか問題だしてはいけないんですか?
>>190 スレのルールはスレを立てた者が決めたり,多くの書き込みがある中で決まったり
していくのが一般的でしょうが,このスレではどちらもほとんどありません。
私が明記したルールは次のことだけです(主に
>>1をもとに書き直しました)。
1.このスレが最終的に目指すのは,大学受験の化学に寄与することである。
2.1を達成する手段として,教科書の内容を掘り下げていく。
1) 教科書は事実上(ときに建前上)の出題基準であり,完璧に習得すべき最低限の
内容を示したものであるので,十分に読み込む必要がある。
2) 入試問題の中には教科書の内容から一見大きく離れたものがあるが,その隔たりを
埋めるべく,教科書に記載されていない部分にも踏み込む。ただし,あくまでも
1の目的に合致する範囲に限る。
3.2にあたって,立スレ者がテーマを提示し,それに沿ってスレを進行する。
4.質問は原則として質問スレに誘導するが,直近のテーマに関する質問はその限りでない。
私以外の人のレスが少ないということもあり,これまでにこのルールはおよそ順守されて
きました。ご質問の件は上記3とどのように折り合いをつけるかということ,および,
2の2)に関して踏み込む範囲についての合意をどうするかということの2点を考慮する
必要がありますが,私以外の人が出題すること自体は可能だと考えます。
この何人が見ているかわからないようなスレに積極的に参加されることを阻む理由は
ありません。まず上記2点について良い案を提示していただいてはどうでしょうか。
またこの機に
>>190氏以外の人でも,この件や,ルール,スレの進め方についてご意見して
いただくのもいいのではないでしょうか。
○おまけ09の解答のつづき○
(2) @ 2.00g A 1.44atm
この問題は3つの状態からなっています。まず気体のみを入れた状態(状態0とする),
次に水を入れた状態(状態1),最後に水を1g追加した状態(状態2)の3つです。
この各状態について状態方程式およびヘンリーの法則の式をつくっていけばいいはず
です。他に注意することは,各状態を通じて気体物質の総モル数が一定であることと,
気体と水を合わせた体積も一定(5g)であることです。
まずヘンリー則の式をつくっておきます。水1gに1atmで溶けるモル数をk(mol)と
すると,1×0.05=k×R×T (T=300Kですが文字でおいておきます)となるので,
k=0.05/RTです。よって,ヘンリー則の式は,N=(0.05/RT)×p×Vとなります。ただし,
Nは溶けるモル数,pは気体の分圧,Vは水の体積です。
最初に入れた水の体積をVgとして,状態0と状態1についての式を立てます。
0の状態方程式: 0.62×5=n0×RT (n0は気体の総モル)
1の状態方程式: 1×(5-V)=n1×RT (n1は残った気体のモル)
1のヘンリー則 : N1=(0.05/RT)×1×V (N1は溶けた気体のモル)
n0=n1+N1より,3.1/RT=(5-V)/RT+0.05V/RTとなり,これを解くとV=2となります。
水を1g追加すると気体が2g,水が3gとなることに注意して,圧力をp(atm)として
状態2の式をつくります。
2の状態方程式: p×2=n2×RT (n2は残った気体のモル)
2のヘンリー則 : N2=(0.05/RT)×p×3 (N2は溶けた気体のモル)
n0=n2+N2より,3.1/RT=2p/RT+0.15p/RTとなり,これを解くとp=3.1/2.15≒1.44と
なります。
193 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/07/31 22:29 ID:YeVakbmy
◆◆◆テーマ10◆◆◆ 溶液の性質
沸点上昇,凝固点降下,浸透の3つの現象は次の点で類似している。
(a) いずれも溶液相と純溶媒相の間の平衡に関する現象である。
(純溶媒相がそれぞれ気体,固体,液体という違いがある。)
(b) 2相の境界において各分子が移動できるかどうかが共通である。
(c) 溶液相に純溶媒を用いた場合を基準として,それからどれほど「ずれたか」を
示す尺度(沸点上昇度など)は,希薄溶液ではその「濃度」に比例する。
@ 3つの現象をそれぞれ説明せよ。
A (b)について,溶媒分子と溶質分子が境界を越えて移動できるかそれぞれ答えよ。
B Aにおいて移動できない分子が移動できない理由を3つの現象それぞれについて
説明せよ。
C Aの性質のために,溶液相が純溶媒である場合と比べて,移動できる分子は
どちらの相からどちらの相へ移動しやすくなるか。
D (c)について,比例関係にある「ずれの尺度」と「濃度」は何か。3つの現象
それぞれについて答えよ。
(3つの現象を包括的に説明するために,抽象的な表現が多くなりました。日本語自体の
正確性は期しましたが,少し意味をとりにくい人がいるかもしれません。そのような
場合は解説を待ってください。)
194 :
大学への名無しさん:04/07/31 22:30 ID:XEzLURma
化学は一番独学すると損な科目、教わると一番楽な科目
るーとびッひ= くそつきパンツ だろw
good thread
●●●テーマ10の解答●●● 溶液の性質
まず(a)について確認しますが,今回の解説では水で溶媒を代表させることにします。
あと,今回は溶質分子という語を用いていますが,イオン性物質も考慮すると溶質粒子
のほうが適切な表現です。
沸点とは常圧において水と水蒸気が共存する(つまり気液平衡となる)温度ですから,
それと比べて水溶液と水蒸気が共存する温度が高くなる現象が沸点上昇です。このとき,
水溶液が溶液相,水蒸気が純溶媒相(溶媒である水分子のみからなる相)となります。
同様に,融点とは常圧において水と氷が共存する(固液平衡となる)温度ですから,
それと比べて水溶液と氷が共存する温度が低くなる現象が凝固点降下です(現象名と
しては融点を凝固点と読み替えます)。もちろん氷が水分子のみからなる純溶媒相です。
浸透という現象は,典型的には,半透膜で隔てられた水溶液と水の間で起こる現象です
(もちろん濃度の異なる水溶液間でも起こります)。水溶液ではなく水と水が隔てられて
いても見かけ上何も起こりませんが,水溶液と水では水溶液側へ水の移動が起こります。
この現象が浸透であり,この移動を阻止するために水溶液側から加えるべき圧力を
浸透圧といいます。この場合は液体の水が純溶媒相ということになります。
@ 沸点上昇とは,溶媒に不揮発性物質を溶かすことにより溶液の沸点が溶媒の沸点より
高くなる現象である。凝固点降下とは,溶液の凝固点が溶媒の凝固点より低くなる
現象である。浸透とは,高濃度の溶液と低濃度の溶液または純溶媒を半透膜で隔てた
とき溶媒が半透膜を透過して高濃度の溶液へ移動する現象である。
(b)については浸透が直接に答えを示していますが,溶質分子は境界を越えられず,
水分子(溶媒分子)は越えられるということです。これが沸点上昇と凝固点降下に
おいても共通しています。なぜ溶質分子が越えられないのかは次の通りです。
水溶液と水蒸気の境界において溶質分子が水蒸気側へ移動するということは,溶質分子が
気体になるということです。しかし,沸点上昇が起こるための条件として,溶質が
不揮発性物質であるという条件がありました。この前提があるために溶質分子が気体に
なれないのは当然のことです。
水溶液と氷の境界において溶質分子が氷側へ移動するということは,溶質分子が氷の結晶
構造中に取り込まれるということです。しかし,規則正しい配列をした氷の結晶に水分子
とは異なる粒子が入るというのは不安定なことです。よって,溶質分子が固体に入ることは
ありません(条件によってはこの限りではありませんが,ここでは割愛します)。
半透膜とは小さな分子は自由に透過させるが大きな分子は透過させない膜です。これは
半透膜に分子レベルのサイズの隙間が多数あるためで,その隙間のサイズは半透膜によって
ことなります。しかし,そのサイズは「問題の主旨に沿った」サイズという解釈で十分で,
セロハン膜は何を通して何を通さないなど覚える必要はありません(まず無理です)。
浸透を扱う場合は,溶媒分子を透過させて溶質分子を透過させない半透膜を想定している
のです。よって,溶質分子が境界を越えられないのは当然です。
A 溶媒分子:移動できる 溶質分子:移動できない
B 沸点上昇:溶質が不揮発性の物質だから。
凝固点降下:溶媒の結晶構造に溶質分子が入れないから。
浸透:溶質分子が半透膜を透過できないから。
さて,(b)の性質がどのようにして現象に結びつくのかを考えます。水と水蒸気が100℃で
共存して見かけ上蒸発も凝縮も起こっていないとき(気液平衡のとき),水から気相へ
飛び出す水分子と水蒸気から液相に飛び込む水分子は同数であるはずです。これはこの
条件下で水分子が飛び出す確率と飛び込む確率が同じだということですが,水ではなく
水溶液では液面に飛び出せない溶質分子がある分だけ水分子が飛び出す確率が小さくなって
しまいます。そうするともはやこの条件下では釣り合いがとれなくなり,飛び込む確率が
同じでも飛び出す確率が減った分,飛び込む分子のほうが多くなります。Cの解答になり
ますが,水の場合と比べて水溶液の場合,境界を越えられる水分子は水蒸気側から水溶液
側へ移動しやすいということです。
そこで,飛び出す勢いをよくするように条件を変えると再び釣り合いがとれるようになる
はずです。飛び出す勢いは温度が高いほどよくなりますから,圧力はそのままで温度を
上げると気液平衡が回復します。このような理由で沸点上昇が起こります。また,飛び込む
勢いを抑えても再び釣り合いがとれるはずです。飛び込む勢いは気体として飛んでいる
水分子の数を減らせばよいので,温度はそのままで圧力を下げると気液平衡が回復します
(気体では圧力とモル濃度が比例関係にありました)。こちらの現象は蒸気圧降下と
よばれます。このように沸点上昇と蒸気圧降下は表裏一体の関係にあると言えます。
凝固点降下でも同様で,水分子が氷から水へ溶け出しやすくなる分,温度を下げることで
平衡を回復します。浸透も水分子が水から溶液へ移動しやすくなるということで起こる
現象であり,半透膜付近にある水分子と溶質分子の割合を考えると濃度の異なる溶液どうし
でも濃いほうの溶液へ水分子が移動しやすくなると理解できます。
C 純溶媒相から溶液相へ
希薄溶液では,境界付近にあって境界を越えられない粒子の割合に応じて平衡からのずれが
決まるので,このずれの尺度と溶質の濃度は比例します。言わば邪魔をする溶質粒子は
その種類を問わないことが知られており,大きい分子でも小さい分子でもイオンでも同じ
1個とカウントされます。よって,ここでの濃度は電離や会合を考慮した濃度です。
それで具体的にずれの尺度と濃度が何かというのも実験的に知られており,理屈抜きに
(ない訳ではないが)覚えることになっています。
D 沸点上昇:沸点上昇度,質量モル濃度 凝固点降下:凝固点降下度,質量モル濃度
浸透:浸透圧,モル濃度
現課程では教科書から式は除かれたものの,これらが比例するという記述はあり,入試に
おいても多少の補足とともに計算問題が出題されます。比例を表す式を確認しておきます。
冲 = Kb × m (冲:沸点上昇度,m:質量モル濃度,Kb:比例定数)
冲 = Kf × m (冲:凝固点降下度,m:質量モル濃度,Kf:比例定数)
Π = RT × c (Π:浸透圧,c:モル濃度,R:気体定数,T:絶対温度)
比例定数KbとKfにはそれぞれ「モル沸点上昇」,「モル凝固点降下」という名称がありますが,
現課程では載せられていないと思います。Π(πの大文字)でしばしば浸透圧を表します。
モル濃度cをn/Vで書き換えると,状態方程式と同じ形ΠV=nRTになります。
◇◇◇おまけ10◇◇◇ 溶液の性質
(1) 溶液の蒸気圧曲線は純溶媒の蒸気圧曲線と比べてどのように変化するか。
(2) 水を冷却していく(直線a)と0℃を超えて冷却された(点b)のち速やかに0℃に戻り(点c),
しばらく0℃を保ち(直線d),再び温度が低下する(直線e)。ただし,カッコ内はこの様子を
グラフ化したときの線や点を示す。水溶液を冷却していくと凝固点降下のため0℃より
低温でほぼ同様の変化をたどるが,水における直線dの部分が水溶液では温度低下により
右下がりの直線d'となる。ただし,水溶液のグラフでは対応する水のグラフの記号に
「'」をつけて表すものとする。
@ 次の区間における水の状態を答えよ。
(イ) 直線a〜点b (ロ) 点b〜点c (ハ) 直線d (ニ) 直線e
A 直線dにおいて温度が変化しない理由を説明せよ。
B 直線d'において温度が低下する理由を説明せよ。
C グラフより冷却開始時の水溶液の凝固点を求める方法を説明せよ。
D 直線aの0℃の点から点bまでの状態を何というか。また,この状態をできるだけ
少なくするには実験においてどのような工夫をすればよいか一つ挙げよ。
(3) 分子量Mの電解質Xは水溶液中で2種のイオンに電離する。凝固点降下を用いた分子量
測定によりXの見かけ上の分子量がM'と求まるとき,電離度αをMとM'を用いて表せ。
((2)のCやDは教科書にない知識を必要とされますが,網羅的な問題集には必ず載っており,
入試でも出される可能性があります。)
202 :
大学への名無しさん:04/08/04 00:33 ID:NRsKIe6V
良スレあげ♪
203 :
大学への名無しさん:04/08/04 05:45 ID:VOHgeWGJ
このスレって入試までに全範囲終わるんですか?
無機化学苦手なんで早くそっちに移って欲しい・・・
(理論苦手な人にはいい迷惑だろうけど)
>>203 このペースなら入試までに全範囲は終わるでしょうが,ぎりぎりに終わっても
役に立たないので,早いこと終わるようにしたいと思っています。
無機化学は理論化学を使って丸暗記の量を減らすことにより,暗記の労力を
軽減できる上に応用性のある知識が身につきます。もう少し待ってください。
○○○おまけ10の解答○○○ 溶液の性質
(1) 高温低圧側へ移動する。
沸点上昇は常圧における気液平衡の温度が高くなる現象ですが,常圧に限らずどの
圧力でも起こる現象だということはこれまでの説明で明らかです。よって,蒸気圧
曲線は高温側(右側)へ移動します。このことは見方を変えれば曲線が低圧側
(下側)へ移動したと見ることもできます。これは蒸気圧降下という視点から見て
いるのと同じことです。解答としては「右へ」でも「下へ」でも「右下へ」でも
よいのですが,解答例は右下すなわち高温低圧側と表現しました。
(2) @ (イ) 液体 (ロ) 液体と固体 (ハ) 液体と固体 (ニ) 固体
A 凝固点は純物質では一定であり,この間に冷却によって失われる熱と同じだけの
凝固熱が放出されるから。
B 凝固が進むとともに水溶液は水を失って濃度が大きくなり,これに伴って凝固点
降下度が大きくなり凝固点が低下していくから。
C 直線a'と直線d'(の延長線)との交点の温度を凝固点とする。
D 過冷却, ゆっくり冷却する。
水を冷却していくとほぼ直線的に温度が低下します。0℃に達すると凝固が始まる
温度のはずですが,凝固が起こらずにそのまま温度低下が続きます。この部分は
液体が凝固点以下に「冷やされ過ぎた」状態なので「過冷却」とよばれます。
過冷却が起こる原因は平たく言えば,水から最初の一粒の氷(=核)をつくるのが
困難なためです。この核ができるより速く冷やすと固体を生じないまま冷えるのです。
そこで過冷却の状態を少なくするには,核ができるのを待ってやるようにゆっくり
冷却したり,あらかじめ少し核を入れておいたりすればよいのです。いったん核が
生じると凝固点以下になっているため一気に凝固が進み,この凝固熱によって温度が
上がって0℃に戻ります。これ以降は,固液共存の間は温度が凝固点に保たれ,すべて
固体になった時点で再び温度が低下します。
水溶液が水と異なるのは,凝固が始まる温度が低くなることと,固液共存の間に温度が
低下することです。前者は凝固点降下が「起こる」ため,後者は凝固点降下が「進む」
ためです。まず凝固点降下が「進む」理由です。凝固の際に溶質は氷の結晶に入る
ことができませんでした。そうすると水はどんどん氷になって失われるのに溶質は
溶液に残るため,溶液の濃度はどんどん濃くなっていきます。そうすると凝固点降下度
は濃度とともに大きくなりますから,凝固点(固液共存の温度)が低下していきます。
次に最初に起こった凝固点降下によって凝固点が何℃かを求める方法です。凝固点が
下がっていきますが,水溶液の凝固点は通常初期濃度の水溶液で考えます。しかし,
凝固が始まったときには過冷却の状態にありますからそのまま凝固点を読み取ることは
できません。そこで過冷却がなかったらと考えます。もしそうなら直線a'から直線d'へ
直接つながるでしょう。そこで直線d'を直線a'のほうへ延長して交わった点を過冷却が
ない場合の凝固開始点とみなして,その温度を読み取るという約束になっています。
(数学でないので直線という語を厳密な意味で使っていませんが大目に見てください。)
(3) α = M/M´ − 1
分子量を求める方法としてしばしば凝固点降下度や浸透圧の測定が用いられます。
溶質の質量をw(g),分子量をM,溶媒の質量をW(g)とすると,w/M(mol)の溶質がW/1000
(kg)の溶媒に溶けているので,質量モル濃度は(w/M)×(1000/W)(mol/kg)となります。
凝固点降下度を冲とすると,
冲=Kf×(w/M)×(1000/W) ∴ M=(1000Kfw)/(W冲)
のように,Kfを調べておいて,w,W,冲を測定することによりMを求められます。
ところが溶質のうちα(0<α<1)だけ2種のイオンに電離すると,溶質のモル数はその
分だけ増えて1+α倍になります。そうすると式は,
冲=Kf×(1+α)×(w/M)×(1000/W) ∴ M/(1+α)=(1000Kfw)/(W冲)
のようになります。αも実験においては未知数ですから,電離していないときと同様の
計算をすると,M/(1+α)が求まります。もし電離していることを知らなければこれを
分子量と思ってしまうので,これを「見かけ上の」分子量M´とよぶことがあります。
以上よりM´=M/(1+α)の関係が得られますから,解答を導くことができます。
208 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/08/04 08:46 ID:xTEd46iG
◆◆◆テーマ11◆◆◆ コロイド
(1) コロイド粒子の大きさはおよそどの範囲にあるか。
(2) 次のコロイドに関する次の語句についてあとの問いに答えよ。
(a) 塩析 (b) 凝析 (c) 透析 (d) 電気泳動 (e) チンダル現象
(f) ブラウン運動 (g) 保護コロイド (h) ゾル (i) ゲル
@ コロイド粒子の大きさと関連が大きいものを3つ選べ。
A コロイド粒子の分散のしくみと関連が大きいものを2つ選べ。
B 「コロイド溶液」と同じ意味を持つ語句を選べ。
C コロイド粒子の帯びる電荷の正負と関連が大きいものを選べ。
D (g)と(i)をそれぞれ簡単に説明せよ。
●●●テーマ11の解答●●● コロイド
(1) 直径1〜100nm (10^-7〜10^-5cm,10^-9〜10^-7m)
教科書においてコロイド粒子は大きさで定義されていますからこの数字は覚えておいた
ほうがよいでしょう。一般に,気体,液体,固体が互いに混合するとき,一方が他の
物質中にコロイド粒子となって分散した状態をコロイドといいます。このとき粒子を
分散させる物質を分散媒,粒子として分散している物質を分散質といいます。
分散媒が液体の場合を特にコロイド溶液といいます。分散媒と分散質の組み合わせは
気体どうしを除くすべての状態の組み合わせが存在しえます。
(2) @ (c) (e) (f) A (a) (b) B (h) C (d)
D (g) 疎水コロイドを取り囲んで凝析しにくくさせる働きを持つ親水コロイド。
(i) コロイド溶液が流動性を失って固まった状態のコロイド。
(1)で述べたようにコロイド粒子はその「大きさ」の粒子がその大きさを保って沈殿
せずに「分散」していることに特徴があります。よって粗く言えば,コロイドの性質は
「大きさ」と「分散」をキーワードにして理解できるということです。以下では,
主として水を分散媒とするコロイド溶液を想定します。
まずコロイド粒子がなぜその大きさになっているかという分類があります。
分散コロイド…本来溶けにくい物質が何らかの方法でコロイド粒子となったもの
会合コロイド…いくつかの分子が弱い力で結びついてコロイド粒子となったもの
分子コロイド…高分子化合物が分子1個でコロイド粒子となったもの
分子コロイドと会合コロイド(=ミセル)は覚えます。分類はもう一種類あって,
コロイド粒子どうしがくっつかずになぜ分散していられるのかという分類です。
疎水コロイド…同種の電荷を帯びたコロイド粒子が互いに反発するのでくっつかない
親水コロイド…コロイド粒子が水分子に取り囲まれているのでくっつかない
そしてコロイドをつくる物質でだいたいは分類が決まってきます。
無機物質 ⇒ 疎水コロイド , 分散コロイド
有機物質 ⇒ 親水コロイド , 会合コロイド or 分子コロイド
さて大きさに関連した現象・操作は3つ覚えます。
チンダル現象は,コロイド溶液に強い光を当てると光の進路が明るく見える現象です。
これは通常の溶質粒子より大きいコロイド粒子によって光が強く「散乱」されるために
起こります。光の進路を横から見ると,散乱されずに直進した光は目に届きませんから
その進路は見えません。散乱されて進路から横へ出てきた光が目に届くと進路が見えます。
ブラウン運動とはコロイド粒子の行う不規則な運動です。これを観察するには横から
光を入れる顕微鏡(限外顕微鏡)を用いて,チンダル現象を利用します。コロイド粒子に
散乱された光の点が「ジグザグに」動くのが観察されます。これは,周囲の水分子が
不規則にコロイド粒子に衝突しているためで,しばしば「水分子の熱運動を間接的に
示す」現象と表現されます。衝突されては向きを変えて直進するので「ジグザグ」です。
透析とは半透膜を利用してコロイド溶液中に含まれる不純物を除く操作です。ここで言う
半透膜は,コロイド粒子を透過させず,水分子や不純物である小さな粒子を透過させる
ような大きさの隙間をもった膜です。半透膜の袋にコロイド溶液を入れて水中につるして
おくと,隙間から不純物は出て行きますがコロイド粒子は出て行けません。ところが,
単に隙間が開いているだけですから,不純物を選んで外に捨ててくれるわけではあり
ません。隙間を通して拡散するだけなので袋の内外で不純物の濃度が等しくなるとそれ
以上不純物は外へ出て行けません。そこで精製するために重要なのは「流水中」につるす
ということです。袋の外の水を絶えず入れ替えることによって不純物が隙間を通って
袋の外へ拡散し続けられるようにすれば,不純物をほぼ全量取り除くことができます。
次に分散に関連した現象は2つです。
凝析はコロイド溶液に少量の電解質を加えると沈殿する現象です。凝析を起こすコロイド
が疎水コロイドです。疎水コロイドはその表面の電荷の反発により互いにくっつかない
のですが,反対符号の電荷をもつイオンがその電荷を打ち消すと反発力が失われ,互いに
くっついて沈殿します。このときこの反対符号の電荷をもつイオンの価数が大きいほど,
少量で沈殿させることができます。例えば+1のイオンが3mol必要な場合でも,+3のイオン
は1molも要らないということです。
塩析はコロイド溶液に多量の電解質を加えると沈殿する現象です。塩析を起こすコロイド
が親水コロイドです。親水コロイドは水分子に囲まれていて互いにくっつかないので,
その水分子(水和水)を取り除かないと沈殿しません。そこで多量の電解質を加えると
イオンのほうが強く水分子を引き寄せるため,水和水がコロイドから奪われます。(この
背景には,水分子は多量にあっても水和に使える水分子の割合は限られているという
ようなことがあります。) 水和水を奪われるとそれまで守っていたクッションのような
ものが無くなるので,コロイド粒子どうしがじかに接するようになり,くっついて沈殿
するのです。
ここでもう一つ関連する語句が保護コロイドです。疎水コロイドに親水コロイドを加える
と,疎水コロイドに親水コロイドが付着して凝析しにくくなります。このような働きを
している親水コロイドを保護コロイドと言います。付着したかたまり全体を指す語句では
なく,あくまでも保護者役の親水コロイドだけを指す語句です。
あとは補足的な事項になります。
電気泳動は,コロイド溶液に直流電圧をかけるとコロイド粒子が一方の極へ移動する現象
です。電荷を帯びたコロイド粒子が反対符号の電極に引き寄せられるために起こります。
疎水コロイドで顕著ですが,親水コロイドでも起こります。
コロイド溶液とゾルはほぼ同義です(ゾルは流動性をもっているという意味合いが強い
表現です)。そしてゾルと対義的に使われる語がゲルです。ゾルが温度の変化や他の
操作によって流動性を失って半固体状になったものをゲルといいます。
◇◇◇おまけ11◇◇◇ コロイド
水酸化鉄(V)コロイドについて次の問いに答えよ。
@ 水酸化鉄(V)コロイドのつくり方を簡単に説明せよ。
A @において起こる変化を化学反応式で記せ。
B @で得た液を半透膜の袋に入れて純水中につるすと,純水はどのようになるか。
C このコロイド溶液は電気泳動により陰極側で赤みが増した。このコロイド溶液を凝析
させるのに最も効果的な電解質は次のうちどれか。
(a) NaCl (b) AlCl3 (c) MgSO4 (d) K3PO4
215 :
大学への名無しさん:04/08/06 05:15 ID:/OAVtzcw
@沸騰した水に塩化鉄Vを加える。
AFeCl3+3H2O=Fe<OH>3+3HCl
B酸性になる
C4
>>215 Aは=ではなく→に,Cは4ではなく(d)にしましょう。Cは試験でも犯しやすいミスです。
@は,塩化鉄(V)「水溶液」と明記したほうがいいです。
○○○おまけ11の解答○○○ コロイド
@ 沸騰水に塩化鉄(V)水溶液を加えてよくかき混ぜる。
A FeCl3 + 3H2O → Fe(OH)3 + 3HCl
B 塩酸になる。
C (d)
コロイドは身の回りの物質や現象とからめた問題も多いですが,実験としては水酸化鉄(V)
コロイドの問題が頻出です。だいたいのつくり方と反応式を覚えておきましょう。この
反応は中和の逆反応の形をしていて特殊なので,覚えておくしかありません。この式の
右辺を見てわかるように,Fe(OH)3コロイドが生じて溶液が赤くなるとともにHClが生じて
います。これを不純物と見て透析を行うと袋の外にH+とCl-が出て行くので,外の純水は
塩酸になります。電気泳動で陰極へ移動するコロイドは正電荷を帯びていますから,凝析に
効果的な電解質は価数の大きい陰イオンを含むものです。
217 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/08/06 12:59 ID:bnC78j/I
◆◆◆テーマ12◆◆◆ 化学反応と熱
(1) 「発熱反応は熱を発生する化学反応であるから,生成物のエネルギーは反応物のエネルギー
より大きくなる。」 この文章の正誤を判断し,説明せよ。
(2) 「エタンの燃焼熱は1560kJ/molである。これを熱化学方程式で表せ。」という問いに対し,
「2C2H6 + 7O2 → 4CO2 + 6H2O + 1560kJ/mol」と解答した。この解答の誤りを全て
指摘し,訂正せよ。
(3) 次の語句を説明せよ。
(a) 燃焼熱 (b) 中和熱 (c) 溶解熱 (d) 蒸発熱 (e) 凝固熱
(f) 生成熱 (g) 結合エネルギー (h) (第一)イオン化エネルギー
(i) 電子親和力 (j) ヘスの法則
(基本事項の確認に留めます。よってここは完全に答えられる必要があります。計算問題に
ついては,エネルギー図を用いた方法をお勧めしますが,ここで扱うのは困難なので
計算問題は扱いません。)
(1)誤
エネルギー
↑
| 反応物
|――――――
| |⇒反応熱Q
| |
| ↓ 生成物
| ―――――――
|
反応物からエネルギーが反応熱(発熱)という形で出て行ってしまうので、
生成物のエネルギーは反応物のエネルギーより小さくなる。つまり、
「発熱反応は熱を発生する化学反応であるから、
生成物のエネルギーは反応物のエネルギーよ小さくなる。」
(2)まず、熱化学方程式の各化学式は、その物質の表示された状態における1molあたりのエネルギーを
表している。そして、熱化学方程式の係数は、物質量(mol)を表しているので、
特に、数値に単位を付ける場合にはkJ/molではなくてkJにする。
つまり、mol×kJ/mol=kJということである。
また、熱化学方程式はエネルギー保存則を表しているともいえるので、
両辺は矢印「→」ではなくイコール「=」で結ばれなくてはならない。
それから、燃焼熱の定義は、「反応物1molが燃焼して発生する反応熱」であるから、
この熱化学方程式のエタンの係数は1(表記せず)としなければならず、それに伴って、係数は
酸素で7/2、二酸化炭素で2、水で3、反応熱で1(1×1560=1560より1560と表記)としなければならない。
そして、物質の状態を明記しなければならない。なぜならば、状態によってエネルギーが違うからである。
したがって、訂正すると、
C2H6(気体)+7/2O2(気体)=2CO2(気体)+3H2O(液体)+1560kJ
となる。
>>218の最後の部分の訂正。
「発熱反応は熱を発生する化学反応であるから、
生成物のエネルギーは反応物のエネルギーより小さくなる。」
>>218-220 解答というよりもう解説ですね。図まで示していただいて。
●●●テーマ12の解答●●● 化学反応と熱
(1) 発熱反応は物質のエネルギーを熱に変える反応であるから,発生する熱の分だけ物質の
エネルギーは小さくなる。よって「大きくなる」は誤りで「小さくなる」が正しい。
たわいない問題ですが,この分野の大前提となることから確認します。化学では
エネルギーという語をあまり説明しないまま使っていくことが多いですが,物理を
勉強している人はご存知のようにエネルギーには種々のものがあります。ところが
エネルギー図の縦軸には「エネルギー」としか書かれません。このエネルギーは
「化学エネルギー」とよべるもので,物質の結合状態で決まっており,その変化に
伴って他のエネルギーと互いに変換されます。そして他のエネルギーの代表が
熱エネルギーということです。
一般に,物質が燃焼するとその辺りにあるものが熱くなります。これはその場に
熱エネルギーが生じたことを意味します。そしてこの熱エネルギーは物質がもって
いた化学エネルギーが変換されて生じたもので,その分だけ物質は化学エネルギーを
失ったはずです。このように熱が発生する反応,すなわち発熱反応とは,物質のもつ
化学エネルギーを減少させ,その分の熱エネルギーを放出する反応です。よって,
エネルギー図に表現すると,反応物が上に,生成物が下に描かれ,変化の矢印は
下向きになります。「発熱だからエネルギーが増える」という初学者の誤解は,
化学エネルギーを熱エネルギーと混同することによるものです。
化学エネルギーと互いに変換される他のエネルギーは熱エネルギーだけではあり
ません。化学エネルギーは蛍の光のように光エネルギーになったり,電池のように
電気エネルギーになったりします。よって,発熱反応は化学エネルギーを他の
エネルギーに変える反応といえますが,大半は熱なので,解答例のような説明で
十分でしょう。吸熱反応は他のエネルギーを化学エネルギーに変える反応ですが,
やはり光合成のように光エネルギーからであったり,電気分解のように電気
エネルギーからであったりします。
(2) 1560kJ/molはエタン1molあたり1560kJ発熱することを表しているので,エタンの係数を
1にしたうえで,熱量の単位をkJにしなければならない。各物質には状態を付記し,
両辺は等号で結ばなければならない。
C2H6(g) + 7/2 O2(g) = 2CO2(g) + 3H2O(l) + 1560kJ
熱化学方程式にはいくつかの約束があります。
@化学式の係数はモル数を表し,分数も許される。
A物質の状態を( )で示す。(断りがなければ常温常圧での状態)
B左辺と右辺は等号で結ぶ。
C反応熱は右辺の最後に書き,発熱なら+,吸熱なら−の符号をつける。
DkJ/molは不可。「/mol」は「ある物質1molあたり」の意味だから係数で表現する。
まず,@とDを合わせて訂正すると,燃焼熱は燃焼する物質1molあたりの発熱量で
表されるので,エタンの係数を1にして,反応熱を+1560kJとし,他の物質の係数も
それに合わせます。そしてAに従って状態を示し,→を=に直せば完成です。
(3) (a) 物質1molが完全燃焼するときに発生する熱量
(b) 酸,塩基の水溶液が中和して水1molを生じるときに発生する熱量
(c) 溶質1molを多量の溶媒に溶かしたときに出入りする熱量
(d) 物質1molが蒸発するときに吸収する熱量
(e) 物質1molが凝固するときに発生する熱量
(f) 化合物1molをその成分元素の単体からつくるときに出入りする熱量
(g) 分子内のある共有結合1molを切断するのに必要なエネルギー
(h) 原子1molについて原子から電子1個を取り去って陽イオンにするのに必要なエネルギー
(i) 原子1molについて原子が電子1個を得て陰イオンになるときに出入りする熱量
(j) 反応熱は,反応の経路によらず,反応の最初の状態と最終の状態で決まるという法則
反応熱の定義は,定義を知っていれば熱化学方程式を書けるように決められています。
「○○の××熱」と言われれば,○○が1molあって,どのような物質が反応に関与して,
その反応熱は発熱なのか吸熱なのか,といったことが全て決まります。よって,これら
の定義は細かいところまで確実に覚える必要があるのです。
発熱と吸熱に関しては少しヒントがあります。「××エネルギー」は定義が「〜する
のに必要なエネルギー」なので必ず吸熱です。他は発熱であったり,発熱と吸熱の
どちらもあったりしますが,どちらもある場合の吸熱には負号がつくので,基本的に
発熱と思っていても不都合はありません。あと,状態変化については,エネルギー図
において,上から気,液,固と覚えておけば,上への変化が吸熱,下への変化が発熱
なのですぐにわかります。融解や蒸発には熱が必要なので常識的にも吸熱であること
がわかります。
物質の状態は原則として常温常圧の状態としますが,結合エネルギー,イオン化
エネルギー,電子親和力のように粒子の一部分の切断や結合を扱う場合には,粒子
どうしの相互作用の影響が含まれないよう,すべての粒子の状態を気体として
扱います(電子には状態をつけません)。
ヘスの法則は,反応熱の計算で,方程式を使って解くにしろ,エネルギー図を使って
解くにしろ,その根拠となる法則ですから,名称と内容は覚えておきます。
◇◇◇おまけ12◇◇◇ 化学反応と熱
1mol/g塩酸1gに水酸化ナトリウム1molを溶かした場合と,1mol/g水酸化ナトリウム
水溶液に塩化水素1molを溶かした場合では,発生する熱量は等しいか異なるか。
補足として炭素はダイヤモンドなのか黒鉛なのか書かなきゃいけないと書いておいた方がいいんじゃない?
ルーとびひ おまえ 糞付きパンツだろ?
突っ込みに答えられず逃亡してコテ変えたか?
ngワードにでも登録してあるんじゃないかな。
そんなことはともかくルートヴィヒさん、これからもよろしくお願いします。
>>227 補足ありがとうございます。状態に限らず常温常圧で安定な相ということです。
○○○おまけ12の解答○○○ 化学反応と熱
塩化水素と水酸化ナトリウムの溶解熱が異なるので,発生する熱量は異なる。
塩酸に水酸化ナトリウムを溶かしたときの熱化学方程式は,
HCl(aq) + NaOH(s) = NaCl(aq) + H2O(l) + Q1kJ
水酸化ナトリウム水溶液に塩化水素を溶かしたときの熱化学方程式は,
HCl(g) + NaOH(aq) = NaCl(aq) + H2O(l) + Q2kJ
と表されますが,これらには溶解と中和の2つの過程が含まれています。
HCl(g) + aq = HCl(aq) + Q3kJ
NaOH(s)+ aq = NaOH(aq) + Q4kJ
HCl(aq) + NaOH(aq) = NaCl(aq) + H2O(l) + Q5kJ
と表すと,Q1=Q4+Q5,Q2=Q3+Q5となるので,中和熱Q5は共通であっても,塩化水素と
水酸化ナトリウムの溶解熱Q3とQ4が異なり,よってQ1とQ2は異なることになります。
231 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/08/09 00:20 ID:vh4Aq47n
◆◆◆テーマ13◆◆◆ 酸・塩基
(1) 酸と塩基についてアレーニウスの定義とブレンステッドの定義をそれぞれ説明せよ。
(2) @ 水素酸を5つ化学式で記せ。
A 次の元素を含むオキソ酸を( )内に示す数だけ化学式で記せ。
C(2), N(2), Si(1), P(1), S(2), Cl(4), Mn(1), Cr(2)
B 強塩基である水酸化物,弱塩基である水酸化物,弱塩基である分子性物質を
それぞれ1例ずつ化学式で記せ。
(3) @ 強酸と弱酸の違いを説明せよ。
A 水酸化物について強塩基と弱塩基の違いを説明せよ。
(4) リン酸の3段階の電離をそれぞれイオン反応式で記せ。
(ここからは無機化学と関連が深い内容になります。概念の理解とともに具体的にモノを
覚えていくことも必要になります。そのあたりも整理していきます。)
232 :
臭い糞付きパンツ男:04/08/09 03:24 ID:88HWmFKM
ぬるぽ
●●●テーマ13の解答●●● 酸・塩基
(1) アレーニウスの定義では,酸は水に溶けて水素イオンを生じる物質であり,塩基は水に
溶けて水酸化物イオンを生じる物質である。ブレンステッドの定義では,酸は水素イオンを
与える物質であり,塩基は水素イオンを受け取る物質である。
アレーニウスはH+を出すかOH-を出すかで,ブレンステッドはH+を出すかもらうかだと
いうのはいいでしょう。大切なことは,どんなときに出したりもらったりするのかと
いうことです。アレーニウスは「水に溶けて」という普遍的な条件がついています。
ブレンステッドは条件がついておらず,つまり「反応ごとに」出すかもらうかで決める
のです。よって,物質を分類するにはアレーニウスのほうが便利なのは言うまでもない
でしょう。酸か塩基が反応ごとに決まるのでは物質を分類できません。だから多くの
状況で酸・塩基という語はアレーニウスの定義に基づいて使われていると思っても
かまいません。ブレンステッドの定義は必ず反応を確定させないと酸か塩基かが決まり
ませんから,この定義に従う問題では反応が与えられていますし,しかも多くの場合は
ブレンステッドの定義を用いるという断りが添えられています。
(2) @ H2S, HF, HCl, HBr, HI
A H2CO3, CH3COOH, HNO3, HNO2, H2SiO3, H3PO4, H2SO4, H2SO3,
HClO4, HClO3, HClO2, HClO, HMnO4, H2CrO4, H2Cr2O7
B NaOHなど,Fe(OH)3など,NH3
酸は原則として非金属元素からなる分子性物質であり,かならず水素を含んでいます。
酸を2種に大別すると,酸素を含む「オキソ酸」と含まない「水素酸」になります。
水素酸はHと非金属元素Xで構成されますが,例は限られており,Xは硫黄とハロゲンのみ
です。16族の硫黄は2価,17族のハロゲンは1価の陰イオンになりやすいことを考えると
それぞれの化学式は明らかです。名称も硫化水素などのように単純です。
オキソ酸はHとOと非金属元素Xで構成されます。それぞれの原子数は覚えるに限ります。
Cを含む化合物の多くは有機化合物に分類されますが,炭酸H2CO3などは無機化合物と
されます。この分類はここでは詳述しませんが,有機化合物のカルボン酸やフェノール
類もオキソ酸なので,Cを含むオキソ酸は無数にあります。ただし,酸・塩基の分野で
頻出なのは,炭酸,酢酸CH3COOH,シュウ酸(COOH)2ぐらいです。理論や無機の分野では
シュウ酸の酸という面を強調するH2C2O4の表記を使うこともあります。
Nを含む酸は硝酸HNO3と亜硝酸HNO2を覚えます。Siではケイ酸H2SiO3,Pではリン酸H3PO4
を覚えます。Sには硫酸H2SO4と亜硫酸H2SO3があります。Clのオキソ酸は4つあります。
過塩素酸HClO4,塩素酸HClO3,亜塩素酸HClO2,次亜塩素酸HClOです。
オキソ酸には酸化数の大きい金属元素を含むものもありますが,酸としての扱いをする
ことはあまりありませんが,塩としては頻出です。過マンガン酸HMnO4と二クロム酸
H2Cr2O7の塩は酸化剤として有名です。クロム酸H2CrO4の塩は沈殿で出てきます。
塩基のほとんどは金属の水酸化物です。主な金属イオンの価数を知っていれば化学式と
名称はすぐにわかります。例えば,水酸化ナトリウムNaOHや水酸化銅(U)Cu(OH)2など
です。複数の酸化数をとる金属では名称に「(U)」などを忘れずにつけてください。
金属の水酸化物は金属元素と非金属元素からなるのでイオン性物質ですが,塩基には
非金属元素からなる分子性物質があり,その代表がアンモニアNH3です。アンモニアは
NH3 + H2O → NH4+ + OH-
のように電離してOH-を生じ,塩基性を示します。アンモニアのほかに有機化合物に
分類されるアミン(-NH2をもつ化合物)も塩基性の分子性物質です。
(3) @ 薄い水溶液中で強酸はほぼ完全に電離するが,弱酸は一部分だけが電離する。
A 水酸化物のうち強塩基は水に溶けやすいが,弱塩基は水に溶けにくい。
水に溶けた分子のうち電離した分子の割合を「電離度」といいます。つまり,この
考え方は原則として分子からなる電解質に用いる考え方です。イオン性物質は溶ける
時点でイオンを生じますから,この考え方がなじみにくい物質です。
酸はHとOと非金属元素からなり,すべて分子性物質です(MnやCrを含むオキソ酸も
例外的でありますが,分子からなります)。よって,酸の強弱を評価するのに電離度を
用いるのは自然なことで,通常の濃度(0.1mol/gぐらい)で電離度が1に近い酸を
強酸,1よりずっと小さい酸を弱酸と分類します。
酸・塩基の分野では,「塩酸,硝酸,硫酸」の3つが強酸で,残りは弱酸と思っても
十分対応可能です。これに無機の知識を少し加えます。まずは「同一元素のオキソ酸は
酸素数の多いほうが強い」という知識で,HNO3>HNO2,H2SO4>H2SO3,HClO4>HClO3>
HClO2>HClOが成り立ちます。よって亜硝酸や亜硫酸は弱酸です。Clは4つも並んで
いるので境界を引きにくいので,HClO4は強酸,HClOは弱酸として,間の2つはあえて
強・弱に分類する必要はありません。もう一つは「第3周期元素の最高酸化数のオキソ
酸は周期表の右ほど強い」という知識で,H2SiO3<H3PO4<H2SO4<HClO4という関係が
あります。最後に「ハロゲン化水素は周期表の下ほど酸として強い」という知識で,
HF<HCl<HBr<HIです。HClが強酸なので,HBrとHIは当然に強酸です。HFのみが弱酸
です。無機ではよく問われます。
塩基のうち,分子性物質であるアンモニアは電離度が1よりずっと小さいので弱塩基に
分類されます。金属水酸化物はイオン性物質ですから溶けさえすればOH-が生じます。
そこでOH-が多いか少ないかは溶けやすいか溶けにくいかで決まります。溶解度の大きい
水酸化物は,水に溶けて多くのOH-を生じるので強塩基です。その逆が弱塩基です。
強塩基は「アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物」と覚え,残りの水酸化物
は弱塩基とします。よって,強塩基の代表はNaOH,KOH,Ca(OH)2,Sr(OH)2,Ba(OH)2
です(Li,Rb,Csはあまり出てきません)。この知識は溶解度と結びついているので,
沈殿を扱うときにも使えます。
(4) H3PO4 → H2PO4<-> + H<+> (イオン価数を< >で表しています。)
H2PO4<-> → HPO4<2-> + H<+>
HPO4<2-> → PO4<3-> + H<+>
多価(2価以上)の酸が段階的な電離反応をすることの確認だけです。イオンの名称は
大丈夫でしょうか。H2PO4<->はリン酸二水素イオン,HPO4<2->はリン酸水素イオンです。
段階的に電離する場合,2段目,3段目になるとともに電離度がずっと小さくなります。
◇◇◇おまけ13◇◇◇ 酸・塩基
正しい文をすべて選べ。
@ 酸の濃度が大きいほど電離度は大きい。
A 酸の濃度が大きいほど電離度は小さい。
B 酸の濃度と電離度は無関係である。
C アレーニウスの定義における水素イオンはオキソニウムイオンに置き換えられる。
D ブレンステッドの定義における水素イオンはオキソニウムイオンに置き換えられる。
E ある弱酸の0.1mol/g水溶液の電離度が0.01であるときpHは3である。
F 0.001mol/g塩酸を10万倍に薄めるとpHは8になる。
240 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/08/10 11:37 ID:ZG7QwdGB
◆◆◆テーマ14◆◆◆ 中和と塩
(1) 次の酸性物質と塩基性物質の中和反応を化学反応式で記せ。
@ 硝酸HNO3 と 水酸化カリウムKOH
A 塩酸HCl と 酸化カルシウムCaO
B 二酸化炭素CO2 と 水酸化ナトリウムNaOH
C 二酸化炭素CO2 と 酸化カルシウムCaO
(2) 次の塩についてあとの問いに答えよ。
(a) CH3COOH (b) NaHCO3 (c) NaHSO4 (d) NaCl (e) NH4Cl (f) MgCl(OH)
@ (a)〜(f)をそれぞれ正塩,酸性塩,塩基性塩に分類せよ。
A (a)〜(e)の水溶液はそれぞれ中性,酸性,塩基性のいずれか。
B (a),(c),(e)がAの液性を示す理由を説明せよ。必要なら反応式を用いてもよい。
>>233 アレニウスの方で水中ではH3O+になっているというのも入れておいた方が親切かと。
実際は省略してH+でかくとか。
ついでに質問なんですがシュウ酸の陰イオンはどうやって書くんですか?
(COO-)2とかは書かないですよね?
出てくることほとんど無いから1回も書いたこと無いな・・・
>>241 C2O4^(2−)と書くことが多いみたい。
シュウ酸が(COOH)2だから、(COO)2^(2−)でも良さそうに思えるがどうだろう?
>>241 補足ありがとうございます。オキソニウムイオンについては
>>239で扱っています。
もとよりこのスレは網羅性をもたすつもりはないので不十分に感じられる部分もあると思います。
その部分を補足していただくことは歓迎します。
>>241-242 シュウ酸イオンのイオン式については,どれが正式なのかはっきりとした確証を得ていません。
そこで個人的見解では,(COO<->)2は価数が明示されないので,(COO)2<2->のほうを好みます。
シュウ酸自体をH2C2O4と表記するときは,C2O4<2->で問題はありません。(< >は上付です)
○○○おまけ13の解答○○○ 酸・塩基
A,C,E (Eは「1価弱酸」の「1価」を書き忘れました)
いずれも頻出事項です。酸の濃度と電離度の関係は電離平衡で扱うほうが簡単です。
化学IBの範囲では「混んでない(薄い)ほうが,のびのびと散らばれる(電離できる)」
ぐらいに思っておけばいいです。水素イオンは「水溶液中」では水分子と結合して
オキソニウムイオンH3O+のかたちで存在します。よってアレーニウスの定義の水素イオン
は実際にはオキソニウムイオンです。ブレンステッドの定義は水素イオンそのものの
授受に基づいています。
pH(ピーエイチ)はペーハーとも読まれますが,水素イオン濃度の逆数の常用対数です。
pH = -log[H+] ( [H+] = 10^-pH ) ([H+]は水素イオン濃度)
弱酸では[H+]=cα(cは酸の濃度,αは電離度)が成り立ちますからEは正しいです。
Fでは10^-8mol/gの塩酸ができますが,これからpH=8と計算すると,pH>7ですから,
アルカリ性になってしまうことになります。酸を薄めてアルカリ性になるのは常識的に
変です。酸を薄めれば限りなく中性に近づいていくはずです。よって,計算上pH>7に
なるぐらい薄めた場合は,中性でpH=7になるということにしておきます。厳密には
薄くても酸ですからpH<7ですが,pHの詳細な計算も電離平衡で扱います。
pHは水素イオン濃度指数あるいは水素イオン指数あるいは水素指数のことです。
ん? 寄生虫??? 禿げ
247 :
大学への名無しさん:04/08/13 22:57 ID:mBajGYg0
再挙げ
●●●テーマ14の解答●●● 中和と塩
(1) @ HNO3 + KOH → KNO3 + H2O
A 2HCl + CaO → CaCl2 + H2O
B CO2 + 2NaOH → Na2CO3 + H2O
C CO2 + CaO → CaCO3
中和は酸から生じるH+と塩基から生じるOH-とが結合してH2Oとなる反応です。中和反応
において酸の陰イオンと塩基の陽イオンとから生成する化合物を塩といいます。
酸化物は酸や塩基と密接に関係するものがあります。金属酸化物は塩基性酸化物であり,
水と反応して塩基になったり,逆に塩基から水が抜けて塩基性酸化物を生じたりします。
Na2O + H2O → 2NaOH
Cu(OH)2 → CuO + H2O
アルカリ金属,アルカリ土類金属の酸化物は水に溶けやすく,水酸化物を生じます。
逆にイオン化傾向の小さい金属の水酸化物(塩基)は加熱により容易に脱水して酸化物
を生じます。これらの変化において金属の酸化数は変わらないので,塩基性酸化物と
塩基の対応関係は容易に理解できます。
非金属元素の酸化物の多くは酸性酸化物であり,やはり酸との対応関係があります。
SO3 + H2O → H2SO4
H2SiO3 → SiO2 + H2O
酸性酸化物と酸の対応関係は一見してわかりにくいものもありますが,原則として
酸化数は変わりません。NO2は水と反応してHNO3を生じますが,このように酸化数が
変わるのは少数です。
酸性酸化物や塩基性酸化物も酸や塩基と同様に反応により塩を生じます。Aは酸と
塩基性酸化物,Bは酸性酸化物と塩基,Cは酸性酸化物と塩基性酸化物の反応です。
(2) @ 正塩(a),(d),(e) 酸性塩(b),(c) 塩基性塩(f)
A (a)塩基性 (b)塩基性 (c)酸性 (d)中性 (e)酸性
B (a)酢酸ナトリウムが電離して生じた酢酸イオンの一部が塩の加水分解を起こして
水酸化物イオンを生じるため。
(c)硫酸水素ナトリウムが電離して生じた硫酸水素イオンは2価強酸の1段目の電離で
生じるイオンなので,さらに電離して水素イオンを出すため。
(e)塩化アンモニウムが電離して生じたアンモニウムイオンの一部が塩の加水分解を
起こしてオキソニウムイオンを生じるため
塩の分類は形式的なもので,酸の電離可能なHが残っていれば酸性塩,塩基の電離可能な
OHが残っていれば塩基性塩,どちらも残っていなければ正塩に分類されます。
塩の水溶液の液性は,塩をつくるもとの酸と塩基から判断します。強酸と強塩基の塩は
中性,強酸と弱塩基の塩は酸性,弱酸と強塩基の塩は塩基性となります。弱酸と弱塩基
の塩は判断できません(問われません)。例外として硫酸水素塩は強酸と強塩基の塩
でも酸性を示します。以上は判断方法で,その液性を示す理由を問われたときの答え
にはなりません。
Bの(a)と(e)のように,弱酸の塩や弱塩基の塩は「塩の加水分解」という反応を起こし
ます。酢酸ナトリウムは溶けた時点で完全に電離します。
CH3COONa → CH3COO- + Na+
生じた酢酸イオンの「一部」は次のように水と反応します。
CH3COO- + H2O ⇔ CH3COOH + OH- (⇔は可逆反応の矢印の代わりとします)
この反応が「弱酸の塩の加水分解」です。塩基性になることを説明するのですから,
このように反応によって水酸化物イオンを生じることを説明しなければなりません。
塩化アンモニウムなら,
NH4Cl → NH4+ + Cl-
NH4+ + H2O → NH3 + H3O+
という反応式になります。
硫酸水素塩が酸性を示すのは,HSO4- → H+ + SO4<2->という硫酸の2段目の電離に
よるものです。
◆◆◆テーマ15◆◆◆ 中和滴定
(1) ホールピペット,メスフラスコ,ビュレット,コニカルビーカーについて答えよ。
@ それぞれの器具のおおよその形を描け。
A それぞれの器具の使用目的を簡単に説明せよ。
B それぞれの器具の濡れた状態からの使用上の注意を書け。
(2) @ 指示薬とはどのような物質か説明せよ。
A 指示薬を用いずに中和点を知る方法を一つ説明せよ。
(3) 炭酸ナトリウム水溶液に塩酸を加えたときに起こる変化を化学反応式2つで表せ。
(早く進めるために,おまけは必ずしもつけない方針で行こうと思います。)
252 :
大学への名無しさん:04/08/16 05:53 ID:NzNh+HQ3
おちちゃうよ
253 :
大学への名無しさん:04/08/16 10:41 ID:FBxOLnw+
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254 :
大学への名無しさん:04/08/16 10:42 ID:FBxOLnw+
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255 :
大学への名無しさん:04/08/16 10:43 ID:FBxOLnw+
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 ̄
>>253-255 私は図を省略する予定だったので感謝します。AAの限界がありますが,たたき台(失礼!)に
させていただきます。まずホールピペットの標線の位置は左側の細い部分にあります。体積を
定める線が太い部分にあるとわずかな読みの差によって誤差が大きくなります。次にメスフラスコ
は栓がセットになっています。ビュレットには目盛りがあります(AAではきつい要求ですが)。
コニカルビーカーも贅沢を言うともう少し口が広いです。
●●●テーマ15の解答●●● 中和滴定
(1) @ 図略
A ホールピペットは液体を一定量だけ測り取るために用いる。
メスフラスコは溶液を調整したり希釈するために用いる。
ビュレットは滴下した液体の量を測定するために用いる。
コニカルビーカーは滴定における反応容器として用いる。
B メスフラスコとコニカルビーカーは純水で濡れたまま用いる。
ホールピペットとビュレットは入れる溶液で数回すすいでから用いる。
器具に関しては名称,形状,使用目的,使用法が問われます。詳細な使用法を問われる
こともありますが,器具の形状を知るのはその大前提です。器具の形状は教科書などを
見てもらえばよいのですが,ポイントを書きます。ホールピペットとメスフラスコには
標線とよばれる線があります。ビュレットには目盛りがあります。メスフラスコには
栓があります。ビュレットにはコック(活栓)があります。
(2) @ 水素イオンの授受により分子構造が変化し,それにより色が変化する物質。
A 水溶液の電気伝導度を測定し,最小点を中和点とする。
指示薬がpHの変化を反映するということは,指示薬自身が酸・塩基として働いていると
いうことです。よって指示薬の使用量はなるべく少量にしなければなりません。
(3) Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
よく2段階滴定の問題でとりあげられる反応です。この反応は「弱酸の遊離」とよばれる
反応です。弱酸の遊離について説明します。
2種の酸HAとHBがあり,HAがHBより強い酸であるとします。つまりHAは多くがH+とA-に
電離することができ,HBはあまり多くはH+とB-に電離できないということです。B-の
溶液にHAを加えるとHAは電離して多くのH+が生じますが,このH+の量はB-にとっては
HBの電離で出せるより多い量となります。そこでH+とB-が結合してHBが生じます。
このように弱酸の塩(B-を含む)に強酸(HA)を加えて弱酸(HB)を生じる反応が弱酸の遊離
です。この反応における酸の強弱は相対的な強弱だということは上述の通りです。
少し異なる説明をします。つぎの反応を考えます。
HA + B- ⇔ A- + HB
この反応はAとBの間でH+をキャッチボールするような反応です。最初にどちらがH+を
もっていてもこのキャッチボールは始まります。しかしHAはH+を出す力が強いので,
H+を受け取ってもすぐに投げ返します。HBはH+を出す力が弱いのでH+を受け取ると
なかなか投げ返せません。結果的に,BがH+をもっている確率が高くなります。よって
全体的に見ると,反応は左から右には進みますが,逆には進まないことになります。
強酸 + 弱酸の塩 → 強酸の塩 + 弱酸
さて炭酸ナトリウムと塩酸の反応に戻って考えます。炭酸と塩酸では塩酸のほうが強い
酸ですから,強酸(HCl)と弱酸の塩(Na2CO3)というパターンにあてはまり,弱酸の遊離が
起こります。炭酸は2価の酸ですから,CO3<2->は2段階でH+を受け取りますので,解答
のような反応式で表されます。炭酸は水溶液中のみで存在する形で,生じた炭酸の多くが
二酸化炭素と水になるため,反応式を書くとき原則として炭酸はCO2+H2Oに分けます。
滴定の終点のpHは,その時点で存在する物質から判断します。NaClは強酸と強塩基の塩
なのでpHに影響を与えません(単独なら中性です)。NaHCO3は弱酸と強塩基の塩ですから,
溶液は弱塩基性を示します。CO2は一部は気体となりますが一部は溶解したままで弱酸性
を示します。よって1段目の終点はフェノールフタレインで,2段目の終点はメチル
オレンジで判定できます。ちなみにNa2CO3も弱酸と強塩基の塩ですが,もともと出し
にくい炭酸の第2電離で生じた塩なので,第1電離で生じたNaHCO3と比べて「弱酸の塩の
加水分解」の程度も大きく,より強い塩基性を示すことになります。
◇◇◇おまけ15◇◇◇ 酸塩基反応
HClとH2SO4はともに強酸であるが,塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱すると次の反応が
起こる。この反応が起こる理由を簡単に説明せよ。
NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl
◆◆◆テーマ16◆◆◆ 酸化還元
(1) 酸化と還元をそれぞれ説明せよ。
(2) 酸化還元が電子の授受で定義されるため,酸化数は原子の支配する電子数を反映した
数値でなければならない。共有結合においては共有されている電子についてもどちらの
原子に所属するかを決める必要がある。そこで共有電子対が偏っているほうの原子に
所属するとして電子の所属を決定する。偏りがない場合は均等に割り振る。そのうえで
原子が帯びる電荷を酸化数とする。
@ 過酸化水素中の酸素原子の酸化数を決定し,その過程を説明せよ。
A 酢酸中の2個の炭素元素の酸化数をそれぞれ答えよ。
(3) 硫酸鉄(U)に硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液を加えたときの変化を化学反応式で
記せ。
(4) 酸化還元反応を用いた滴定において終点を判定する方法を2つ説明せよ。
______
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>259 NaClの電離で生じるCl-が一部H+と結びつき、HClが水溶液中で形成。
加熱すると揮発性のHClは飛んでいく。
NaCl → Na+ + Cl- …@
H2SO4 → H+ + HSO4- …A
Cl- + H+ → HCl …B
__________________
NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl
加熱すると揮発性のHClは反応系外に出て行きABの平衡が右にずれる。
これは揮発性の酸の製法だね。
揮発性の酸の塩に不揮発性の酸(硫酸)を加えて加熱すると揮発性の酸が発生。
追加すると
HFやHNO3もこの方法で作れるね。
CaF2 + H2SO4 → 2HF + CaSO4
KNO3 + H2SO4 → HNO3 + KHSO4
>>263 それでは、なぜ、NaとKはNaHSO4、KHSO4なのに、
CaはCaSO4となったか?
弱酸の遊離。
HFは水素結合しているので弱酸。
>>261 訂正版,ありがとうございます。
>>262-263 問題ありません。(もちろん解答用紙では「飛んでいく」「ずれる」は書き言葉に直しますが)
○○○おまけ15の解答○○○ 酸塩基反応
加熱することにより揮発性物質である塩化水素が気体となって反応の場よりなくなり,
次々と塩化水素を生じる方向に反応が進むから。
2種の酸HAとHBがあり,HAは不揮発性(気体になりにくい)の酸,HBは揮発性(気体になり
やすい)の酸とします。ここでもキャッチボールの考え方をします。
HA + B- ⇔ A- + HB
この場合H+を出す力に多少の差があることは影響しません。キャッチボールをしている間に
HB分子が気体となってその場から出て行ってしまうことが重要です。Bはイオンの状態では
気体にはなりませんが,HBという分子の状態になると気体になります。よってH+を出す力が
同程度であっても,HBはH+を受け取って退場していくので,結果的に左向きの反応が起こらず
右向きの反応が一方的に起こることになります。このパターンの反応は「揮発性酸の遊離」
とよばれます。ここで不揮発性の酸は濃硫酸が用いられ,気体を追い出すために必ず加熱を
必要とします。
揮発性酸の塩+不揮発性酸→不揮発性酸の塩+揮発性酸
実際に出てくる反応は次の3種になります。
NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl
NaNO3 + H2SO4 → NaHSO4 + HNO3
CaF2 + H2SO4 → CaSO4 + 2HF
上の2つはNaHSO4という酸性塩が生じることに注意が必要です。
>>264-265 生じる塩に違いが生じる理由については言及しないつもりでしたが,話題として出されたので
説明します。硫酸,硝酸,塩酸はいずれも強酸ですからH+を出す力に大差はありません。しかし
硫酸は2価の酸ですから,2つ目のH+を出す力は1つ目を出す力には劣ります。そこで2つ目の
H+をも硝酸や塩化水素に渡す確率は小さくなりますが,温度を上げてH+を受け取った硝酸や塩化
水素をどんどん追い出すとH+を投げ返されずにすみます。つまり温度を上げさえすれば硫酸水素塩
でなく硫酸塩を生じます。しかし,温度を上げると望まない反応が起こったり,硫酸が不揮発性で
ある利点を損なったりするので,通常の実験では硫酸水素塩を生じる条件に留めます。
一方,フッ化水素は確かに弱酸ですが,CaF2に強酸を加えるだけでは反応は起こりません(ちなみ
にCaF2は水に難溶性です)。上記のように「濃硫酸」と「加熱」しないと反応しないので,
揮発性酸の遊離です。では弱酸の遊離の要素は全くないのかというと,これは少し難問です。
>>265にも書かれたようにHFが水溶液中で電離度が小さいのは,水溶液中でいくつかのHFが水素
結合しており,水素結合に関与したHが電離できないためです。よって,HFのH+の出しやすさ
(裏返せば受け取りやすさ)が本来的にどの程度なのかはわかりません。それよりも注目すべき
ことはカルシウム塩が用いていることです。ナトリウム塩(カリウム塩でもよい)はすべて水に
溶けやすいですが,カルシウム塩には難溶性のものがあり,CaSO4もその一つです。よってこの
反応では揮発性酸だけでなく,生じるCaSO4が沈殿することで反応の場(「系」とよばれることも
あります),この場合は水溶液から除かれることで反応が右に進みやすくなるのです(平衡の
考え方ですが,一般に反応は気体発生や沈殿生成の方向へ進みやすいという性質があります)。
このように詳細を考えることは異なる単元の知識を連関させるのにはいい練習になりますが,
揮発性酸の遊離に限ると事実上3つしかこのパターンの反応式は出てこないので,最初は深入り
せずに解答解説ぐらいの理解に留めるのが効率的です。
●●●テーマ16の解答●●● 酸化還元
(1) 酸化は原子が電子を失う変化であり,還元は原子が電子を得る変化である。
酸化還元や電池,電気分解では解答が2択であることがしばしばありますが,それだけに
正確に言葉を使えるようにしておきたいところです。2Cu+O2→2CuOを例にとると,
Cuは電子を失い,酸化され,酸化数は増加し,このCuの変化を酸化といいます。また
相手(O2)を還元し,Cuは還元剤とよばれます。Cuを主語としても酸化,還元という語が
両方使われるので区別しておく必要があります。
(2) @ 過酸化水素中の酸素原子は最外殻に非共有電子対2対と共有電子対2対をもつ。共有
電子対2対のうち,水素と共有するほうは電気陰性度の大きい酸素側に偏っており,2個
の電子が酸素に所属するが,もう一つの酸素と共有するほうは偏りがなく,1個の電子が
注目する酸素に所属することになる。よって,酸素原子は最外殻に7個の電子を所有する
とみなすことができ,中性の原子より電子が1個多いので,酸化数は−1である。
A メチル基の炭素原子:−3 カルボキシル基の炭素原子:+3
本来酸化数は問題文のような考え方で決められています。しかし常に考えていたのでは
効率が悪いので,4,5個のルールで計算するのが普通です。ここでは,原則に戻って
酸化数とは何かを理解し直すことを目的としています。実際の問題では断りなくこの
考え方を必要とすることはまずありません。
イオンの酸化数は価数そのものなので明らかです。分子となると電子を共有しているので
イオンのように単純にいきません。そこで分子中の原子を「イオンとみなせたら」と
考えるのです。イオンと見るには共有される電子をどちらかの原子のものにしてしまわ
なければなりません。そのために共有電子対の偏りを考えるわけです。
多くの分子ではHが電気陰性度最小,Oが電気陰性度最大となるので,Hは常に+1,Oは常に
-2とできるのです。OとFが同一化合物に入る例は出てこないので問題は生じません。
ただし,過酸化物ではO-Oという酸素原子間の単結合が存在するためOの酸化数が-1になり,
金属の水素化物(NaHなど)では水素はH-となっているためHの酸化数は-1となります。
酢酸でC-Cは対等ですが,メチル基における3つのC-Hで3つ電子対がCに偏るため,この
C原子は電子を余分に3つもつことになり,-3となります。カルボキシル基ではCとOの間
に3つの電子対があり,Oに偏るため,このC原子は電子を3つ失ったことになり,+3と
なります。
(3) 2KMnO4 + 10FeSO4 + 8H2SO4 → 2MnSO4 + 5Fe2(SO4)3 + K2SO4 + 8H2O
酸化還元の反応式を書くには,酸化剤と還元剤の@半反応式を足して,Aイオン反応式を
つくり,適切なイオンを補ってB化学反応式をつくるという手順を踏みます。
@半反応式(「e-を用いたイオン反応式」と表現されることが多い)
教科書に載っているものはすべて覚えます。H+,H2O,e-以外の部分を覚えておけば,
この3つは覚えたものから補えます。つまり酸化剤または還元剤が何になるかということ
だけを覚えます。そこからのつくり方はたいていの参考書に載っています。
酸化剤:MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O
還元剤:Fe2+ → Fe3+ + e-
Aイオン反応式
酸化剤と還元剤の半反応式から電子を消去すると得られます。
MnO4- + 5Fe2+ + 8H+ → Mn2+ + 5Fe3+ + 4H2O
B化学反応式
まず左辺を完成させます。過マンガン酸カリウムだからMnO4-にK+を,硫酸鉄(U)だから
Fe2+にSO42-を5つ,硫酸だからH+にSO42-を4つ合わせます。
KMnO4 + 5FeSO4 + 4H2SO4 →
同じものを右辺にも足し合わせて,陽イオンと陰イオンは塩にします。複塩にはしません。
→ MnSO4 + 5/2 Fe2(SO4)3 + 1/2 K2SO4 + 4H2O
今回は係数が分数となったため全体を2倍して完成です。
(4) 還元剤の硫酸酸性溶液に過マンガン酸カリウム水溶液を滴下し,その赤紫色がわずかに残る
点を終点とする。または,デンプンを加えたヨウ素溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下し,
ヨウ素デンプン反応の青紫色が消える点を終点とする。
中和滴定と異なる点は指示薬がないということです。中和はどのような酸と塩基の組み
合わせでも,事実上反応としては一種類です。しかし,酸化還元反応はそれぞれが異なり,
また授受される電子は水素イオンのように水溶液中には出てきません。よって,その
水素イオン濃度に応じて色が変わる指示薬と同様な物質で終点を知ることはできません。
そこで反応そのものが色の変化を伴う反応が選ばれます。他の酸化剤や還元剤の濃度を
知りたい場合は複数の酸化還元反応を利用して滴定可能な酸化還元反応に持ち込みます。
過マンガン酸カリウムを用いる場合,還元剤が残っている間は反応によってMnO4-はなく
なってほぼ無色のMn2+(濃いと淡赤色)に変わりますが,還元剤がなくなった次の1滴に
よってMnO4-の赤紫色がわずかに残って消えなくなることで終点と判断できます。
ヨウ素I2とチオ硫酸ナトリウムNa2S2O3の反応もよく用いられますが,I2の色の変化のみ
では観察しづらいのでヨウ素デンプン反応を利用します。チオ硫酸イオンの反応は
教科書に載っていないので,問題中に反応式が与えられているのが普通です。
計算に関しては中和滴定と同様に,酸化剤の得た電子のモル数が還元剤の失った電子の
モル数に等しいという式をつくることができます。複数の酸化還元反応を扱う問題で
そのような式を利用すると便利です。
272 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/08/17 16:43 ID:cwLjGGFS
◆◆◆テーマ17◆◆◆ イオン化傾向
(1) 「金属のイオン化列は金属を第一イオン化エネルギーの小さいほうから順に並べたもので
ある。」 この文の正誤を判断し,説明せよ。
(2) 金属と酸との反応の違いに基づいて,塩酸,希硝酸,濃硝酸,希硫酸,濃硫酸を3つに
分け,金属との反応の違いを説明せよ。
●●●テーマ17の解答●●● イオン化傾向
(1) 第一イオン化エネルギーは気体状の金属原子が気体状のイオンになるのに必要なエネルギー
であるのに対し,金属のイオン化列はイオン化傾向すなわち金属単体が水の中でイオンになる
性質の大きさの順であり,異なる現象を対象としているため問題の文は誤りである。
イオン化傾向が対象としている現象を分解すると,金属単体が金属原子(気)となり,それ
が金属イオン(気)となり,それが水和するということになりますが,第一イオン化
エネルギーはその2段階目のみに注目したものです。よって全く無関係ではありません
が,異なる概念です。
(2) 塩酸と希硫酸はイオン化傾向が水素より大きい金属を溶かすことができるが,鉛は不溶性の
塩を生じて溶けない。希硝酸はイオン化傾向が銀以上の金属を溶かすことができる。濃硝酸と
濃硫酸はイオン化傾向が銀以上の金属を溶かすことができるが,Al,Fe,Niは不動態となって
溶けない。ただし,濃硫酸は熱濃硫酸として用いる。
イオン化列に沿って,金属単体と,空気(酸素),水,酸との反応を覚えます。酸との
反応は解答に示したように,酸全体としての酸化力のない塩酸と希硫酸,酸化力のある
希硝酸,濃硝酸,濃硫酸に分け,さらに後者を薄いのと濃いのに分けて覚えます。
不動態は,Al,Cr,Fe,Co,Ni(+3をとりうる金属と覚える)に濃硝酸(または
熱濃硫酸)を加えたとき,金属表面に「緻密な酸化被膜」を生じて内部まで反応が進行
しない(つまり溶けない)状態になることです。鉛が塩酸と希硫酸に溶けないのも
表面をPbCl2やPbSO4のような不溶性の塩が覆って内部まで反応が進行しないためですが,
不動態とは言いません。
◆◆◆テーマ18◆◆◆ 電池
ダニエル電池について次の問いに答えよ。
@ ダニエル電池の構成を例にならって記せ。 例 (-)Pb|H2SO4(aq)|PbO2(+)
A 酸化剤と還元剤をそれぞれ化学式で記せ。
B 負極と正極で起こる変化をそれぞれe-を用いたイオン反応式で記せ。
C 素焼き板を透過する主なイオン2つをそれぞれイオン式で記せ。また透過する方向を
「負極→正極」のようにそれぞれについて記せ。
D 素焼き板によって2種の溶液が混合するのを防ぐのはなぜか説明せよ。
275 :
大学への名無しさん:04/08/19 18:06 ID:H0LEkO+y
今教科書読み直してるんですけど教科書に載ってる反応式って全部覚える(或いは作れるようにする)んですか?
三省堂のなんですけど反応式全部に番号が振ってあって気になってるんですが
教科書レベルの反応式ぐらいは全部覚えておいたほうがいいよ。
>>275 教科書に載っている反応はすべて書けるようにします。「多くは」つくることができます。十分に
つくる練習を重ねれば短時間で(瞬間的に)書けるようになります。丸覚えするのと比べて,
忘れにくく忘れてもつくれる,初見の反応にも対応できるという利点があります。
●●●テーマ18の解答●●● 電池
@ (-)Zn|ZnSO4(aq)‖CuSO4(aq)|Cu(+)
A 酸化剤:CuSO4 還元剤:Zn
B 負極:Zn → Zn2+ + 2e- 正極:Cu2+ + 2e- → Cu
C Zn2+ (負極→正極), SO42- (正極→負極)
D 溶液が混合すると銅板上で起こるべき銅の析出が亜鉛板上で起こるようになるから。
電池とは自発的に起こる酸化還元反応を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに
変える装置です。まずはそれをどのように実現するのかを確認します。
酸化還元反応では還元剤から酸化剤へ電子が渡されます。酸化剤と還元剤を混合して
反応させると電子はそこらじゅうで受け渡されるのですが,両者を分離して反応させると
電子が決まった方向に移動することになります。しかし電子だけが移動すると電荷の
偏りが生じてしまうので,電荷のバランスをとる必要があります。それはイオンの移動に
よって実現されます。これが電池の基本的な原理です。整理すると次の通りです。
(1) 自発的に酸化還元反応を起こす酸化剤と還元剤を用意する。
(2) 酸化剤と還元剤が直接反応しないよう分離する。
(3) 還元剤から酸化剤へ電子が移動できるよう導線でつなぐ。
(4) 電荷のバランスをとってイオンが移動できるよう電解質溶液を間におく。
このように装置を組み立てると,還元剤が酸化されて電子を失い,酸化剤が還元されて
電子を得ますが,その電子が導線を流れます。電子が流れ出す還元剤側の極を負極,
電子が流れ込む酸化剤側の極を正極とします。電流の向きは電子の流れと逆の方向と定義
されています。負極側は電子を出すだけでは正電荷を帯びてしまい,同様に正極側は
負電荷を帯びてしまいますから,陽イオンが正極側へ,陰イオンが負極側へ移動する
ことで電荷のバランスを回復します。負電荷を帯びた粒子(電子と陰イオン)が一定方向
に回るイメージをもっておけば忘れません。電子は負極→正極,陰イオンは正極→負極,
というように「−」がぐるぐる回る感じです。
次は各種の電池をどのように見るかです。そのポイントは次の通りです。
(1) 装置の構成を覚える(確かめる)。
(2) 酸化剤と還元剤を決定し,それぞれの半反応式を(必要なら全体の反応式も)書く。
(3) 酸化剤と還元剤の分離方法,電子やイオンの移動方向を確認する。
(4) 各電池の特徴に注目する。
ダニエル電池を例にとると,解答例のようになります。一番の特徴としては素焼き板を
用いて酸化剤と還元剤を分離することです。素焼き板の役割は溶液の混合を防ぐことと,
必要なイオンの移動を可能にすることの2点です。その他の特徴は,他の金属の組み
合わせでも同様の電池を組み立てられること,その場合は2種の金属のイオン化傾向の
差で起電力の大小が決まること,2種の溶液の濃度を変えることで起電力が増減すること
です。
教科書に必ず載っている4種の電池(ダニエル電池,ボルタ電池,マンガン乾電池,鉛
蓄電池)は上記のポイントに即答できるようにします。最近の傾向としては燃料電池も
知っておくとよいでしょう。初見の電池でも上記のポイントに沿って捉えるとよいです。
他の電池の特徴も簡単に触れておきます。ボルタ電池は分離が不完全なこと,分極が
起こること,減極剤のことに注意します。マンガン乾電池は反応式を覚えなくてよく,
物質のだいたいの変化とNH4+の役割を押さえておきます。鉛蓄電池は充電に関することが
重要です。燃料電池は電解液の液性と半反応式の書き方に注意します。
◆◆◆テーマ19◆◆◆ 電気分解
(1) 電気分解とはどのような操作か説明せよ。
(2) ( )に適語を入れよ。
電気分解において,陰極または陽極で変化する物質量は,流した(A)に(B)する。
また,一定量の電気を流したとき,電極で変化するイオンの物質量は,イオンの種類に
よらずイオンの(C)に(D)する。これを(E)の電気分解の法則という。
(3) 隔膜法による塩化ナトリウム水溶液の電気分解において,隔膜を用いる理由を説明せよ。
(4) 銅の電解精錬において不純物の金属が取り除かれる仕組みを説明せよ。
(5) 酸化アルミニウムの融解塩電解には氷晶石が用いられるが,氷晶石が電気分解を受ける
可能性について説明せよ。
281 :
大学への名無しさん:04/08/21 23:15 ID:zTVlKu3Q
久しぶりに来た。まだあってよかった。
●●●テーマ19の解答●●● 電気分解
(1) 電解質の水溶液や融解塩に外部から直流電流をかけて電流を流し,酸化還元反応を
起こさせること。
電池とは自発的に起こる酸化還元反応を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに
変えたのに対し,電気分解では外部から電気エネルギーを与えることにより自然には
起こらない酸化還元反応を強制的に起こします。
電池などの直流電源の正極につないだ電極を陽極,負極につないだ電極を陰極といいます。
よって陽極からは電子が出て行き,陰極からは電子が入ってきます。そして電子が出て行く
陽極では酸化反応が,入ってくる陰極では還元反応が起こります。強制的に反応を起こす
ので,その場で最も酸化されやすかったり還元されやすかったりするものが反応する物質と
なります。陽極では次の順に酸化されやすいと考えてください。
@電極の金属(C, Pt, Auを除く) AI-,Br-,Cl- BOH-,H2O
まず電極が黒鉛や白金,金でなければ電極が溶けて陽イオンとなります。そうでない場合,
電解液中にハロゲン化物イオンがあればハロゲン単体を生じます。それもなければ水酸化物
イオン(または水)から酸素を生じます。たいていは水溶液の電気分解なので,ここまでで
反応が決まります。陰極では次の順に還元されやすいと考えてください。
@Ag+,Cu2+ Aイオン化列Zn〜Pbのイオン BH+,H2O
還元されやすい順,つまり陽イオンが単体になりやすい順ですから,イオン化列の逆順
だと理解すればよいのですが,AとBは微妙な関係です。イオン化傾向から言えば,H+の
ほうが還元されやすいはずですが,金属と比べてH+はH2分子をつくらなければならない分,
手間がかかります。そこでAのイオンがH+に比べて豊富な場合はAが優先的に還元される
ことになります。このことで判断に迷わすような問題は出ないはずなので,この程度に
理解しておけば十分です。たいていは水溶液の電気分解なのでBまでで反応が決まります。
水がなければ(融解塩電解),イオン化列K〜Alのイオンが還元されます。
(2) (A) 電気量 (B) 比例 (C) 価数 (D) 反比例 (E) ファラデー
反応を決定できれば,次は計算です。これに関してはファラデーの電気分解の法則という
ものがありますから一応確認しておきました。実際の計算問題は,反応式が書けて,通常の
モル計算ができて,次の式が使えれば解けます。
(電気量[C])=(電子の物質量[mol])× 96500[C/mol]
(電気量[C])=(電流[A])×(時間[s])
96500[C/mol]はファラデー定数とよばれます。たいていはこの数値ですが問題に与えられた
数値を用いてください。
(4) 陽極の粗銅に含まれる銅よりイオン化傾向の小さい金属は酸化されずに単体のまま電極の下に
陽極泥として沈殿し,取り除かれる。銅よりイオン化傾向の大きい金属は陽極で酸化されて
陽イオンとなるが,陰極では銅よりイオン化傾向が大きいため析出せず陽イオンのまま水溶液
中に残り,取り除かれる。
陽極に不純物を含む「粗銅」,陰極に「純銅」を用いて,硫酸銅(U)水溶液を電気分解
すると,主に,
陽極: Cu → Cu2+ + 2e-
陰極: Cu2+ + 2e- → Cu
のような変化が起こります。粗銅中の不純物は解答に書いたような理由で陰極に析出しない
ので,陰極には次々と純銅が析出していきます。
(3) 陽極で生じた塩素と陰極で生じた水酸化ナトリウムが混合して反応するのを防ぐため。
陽極に炭素,陰極に鉄を用いて塩化ナトリウム水溶液を電気分解すると,
陽極: 2Cl- → Cl2 + 2e-
陰極: 2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
全体: 2NaCl + 2H2O → 2NaOH + H2 + Cl2
のような変化が起こります。全体の反応式の右辺にある3物質が製品となるのですが,
NaOHは陰極の反応によって生じたOH-と最初からあるNa+を合わせたものです。ところが,
OH-は陰イオンですから陽極側へ移動していきやすく,陽極付近には塩素が溶け込んで
HClとHClOを生じています(Cl2 + H2O → HCl + HClO)から中和反応が起こってしまい,
製品である塩素と水酸化ナトリウムにロスが生じてしまいます。
Cl2 + 2NaOH → NaCl + NaClO + H2O
そこで両極の液が混合するのが,正確に言えばOH-が陽極の方へ行くからダメだということ
で,それを防ぐために隔膜を用いて,かつ陽極から陰極へ流れができるようにするのが
隔膜法です。現在ではより純度の高い水酸化ナトリウムを得るために陽イオン交換膜を
用いて,主にNa+の移動によって両極の電荷バランスをとるようにしてOH-の移動を防ぐ
イオン交換膜法が主流です。
(5) 氷晶石はNa3AlF6の組成式をもつが,Na+はAl3+よりイオン化傾向が大きいため陰極に析出
しない。Fは化合物中で酸化数-1をとっているが,陰性が非常に強い元素であるため陽極で
酸化されない。よって氷晶石が電気分解を受ける可能性はほとんどない。
Al2O3は約2000℃の融点をもちますが,約1000℃の融点をもつ氷晶石を融解させたところに
加えると2000℃よりずっと低い温度でも融解します。これは一種の凝固点降下であると
理解できます。ただ通常の凝固点降下のイメージとは少し異なり,多量の氷晶石に対して
少量ずつAl2O3を加えていくのが実際の方法です。氷晶石は解答に書いたように,Na3AlF6
の組成式をもちますが,これはNa3[AlF6]とも書かれます。このようにNaはNa+として存在
しますが,Fは[AlF6]3-という状態ですから解答のような表現をとりました。
陽極に炭素,陰極に鉄または炭素を用いてAl2O3の融解塩電解を行うと,
陽極: C + O2- → CO + 2e- , C + 2O2- → CO2 + 4e-
陰極: Al3+ + 3e- → Al
のように変化が起こります。1000℃もの高温で反応させているため陽極の炭素が反応に
関与していること,陽極ではCOとCO2が同時に発生することに注意してください。
287 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/08/22 14:15 ID:fKCiLSj2
◆◆◆テーマ20◆◆◆ 無機物質の反応
次の変化を化学反応式で表せ。
(1) 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混合して加熱すると気体が発生した。
(2) 銅に濃硝酸を加えると気体が発生した。
(3) 塩化亜鉛水溶液にアンモニアを吹き込むと沈殿が生じた。
(4) (3)でさらにアンモニアを吹き込むと沈殿は溶解した。
(5) 二酸化窒素を温水に溶解させた。
(6) アンモニアと空気を混合し高温で白金触媒を用いて反応させた。
(ここから無機化学に入ります。今回の問題は反応の種類を意識して見てください。)
288 :
通り人:04/08/22 14:29 ID:zgIWWQOg
>>287 (1) 2NH4Cl + Ca(OH)2 → 2NH3 + 2H2O + CaCl2
289 :
通り人:04/08/22 14:52 ID:zgIWWQOg
>>287 (2) はそれぞれの半反応式から作れそうだな
Cu → Cu2+ + 2e- . . (1)
HNO3 + (H+) + e- → NO2 + H2O . .(2)
(1)+2×(2)
Cu + 2HNO3 + 2(H+) → Cu2+ + 2NO2 + 2H2O
両辺に 2NO3-を加えて
Cu + 2HNO3 + 2HNO3 → Cu(NO3)2+ + 2NO2 + 2H2O
Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2+ + 2NO2 + 2H2O . . (答え)
(3)ZnCl2+2NH3+2H2O→Zn(OH)2+2NH4Cl
(4)Zn(OH)2+4NH3→[Zn(NH3)4](OH)2
(5)3NO2+H2O→2HNO3+NO
(6)4NH3+5O2→4NO+6H2O
>>288-290 その通りです。
●●●テーマ20の解答●●● 無機物質の反応
(1) 2NH4Cl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2O + 2NH3
(2) Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2
(3) ZnCl2 + 2NH3 + 2H2O → 2NH4Cl + Zn(OH)2
(4) Zn(OH)2 + 4NH3 → [Zn(NH3)4](OH)2
(5) 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO
(6) 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
無機分野では無機物質の性質を勉強します。物質の性質には物理的性質と化学的性質が
あります。前者は化学変化を伴わない性質で,状態,融点,沸点,溶解性,色などを
含みます。色だけは理屈抜きに丸暗記をする必要がありますが,他の性質は理論分野の
知識があればある程度まで理屈とともに覚えることができます。色だけは無から推測
できないので,単語カードを使ってでも頭に入れてください。
化学的性質は化学反応に関する性質です。反応にはいくつかの種類がありますが,最も
重要なのは,わざわざ独立した単元で扱われる酸塩基反応(中和反応,弱酸(弱塩基)の
遊離,揮発性酸の遊離)と酸化還元反応です。この2つ以外では,沈殿生成反応と
錯イオン生成反応が重要です。これら4種の特徴は反応させる物質の組み合わせを
見ればどの反応が起こるのか判断でき,反応式をつくれるということです。
(1)は弱塩基の遊離です。物質はまず酸・塩基の観点から見ます。酸か塩基か,酸性
酸化物か塩基性酸化物か,塩か,酸・塩基なら強弱は,塩ならどのような酸・塩基に
由来するかということです。それが判断できれば,中和するのか,弱酸の遊離をするのか
といったことも判断できます。(1)は弱塩基の塩NH4Clと強塩基Ca(OH)2の組み合わせです
から,弱塩基の遊離が起こると判断でき,パターンに従って反応式がかけます。
(2)は酸化還元反応です。教科書に一覧で載っている酸化剤・還元剤は見た瞬間にわかる
ようにしておきます。金属と酸の組み合わせではイオン化列で覚えたことも使えます。
(2)は酸化剤である濃硝酸があり,イオン化列とともに覚えたように「濃硝酸は銀までの
金属を酸化」しますから,この場合銅は還元剤となります。反応式は半反応式から
つくります。
(3)は沈殿生成反応です。反応式は簡単なので書かされることは少ないですが,沈殿が
生じるかどうかの判断が重要です。まず,沈殿をつくらないイオンは,Na+,K+,NH4+,
NO3-,CH3COO-などです。あとは陰イオンを中心に整理します。
@Cl-(,Br-,I-)は,Ag+,Pb2+(,Hg2<2+>)と沈殿します。
ASO42-は,アルカリ土類金属イオン(Ca2+,Sr2+,Ba2+),Pb2+と沈殿します。
BOH-は,アルカリ金属イオン,アルカリ土類金属とは沈殿しません。
CCO32-(弱酸多価イオン)は,アルカリ金属イオンとは沈殿しません。
DS2-は,イオン化列K〜Alのイオンとは沈殿しません。Sn以降とは沈殿します。
Zn〜Niとは中・アルカリ性下では沈殿し,酸性下では沈殿しません。
(3)はアンモニアの電離によって生じたOH-がZn2+と沈殿すると判断できます。
(4)は錯イオン生成反応です。錯イオンについてはテーマを改めて解説します。
(5)は「酸化物+水⇔水酸化物(オキソ酸)」の反応です。この反応は例えば,
CaO + H2O → Ca(OH)2 SO3 + H2O → H2SO4
のように単純な反応が多いです。NO2については解答のように例外的な反応になります。
このような例外は例外として覚えます。
(6)は酸化還元反応ですが,工業的に硝酸をつくる方法(オストワルト法)の一過程
であり,実験室的な反応ではありません。このように工業的な反応を一から推測する
のは困難ですから,このような反応もそのまま覚えます。
◆◆◆テーマ21◆◆◆ 錯イオン
(1) 次の変化を化学反応式で表せ。
@ 亜鉛に水酸化ナトリウム水溶液を加えると溶けた。
A 酸化亜鉛に水酸化ナトリウム水溶液を加えると溶けた。
B 水酸化亜鉛に水酸化ナトリウム水溶液を加えると溶けた。
C 塩化銀にアンモニア水を加えると溶けた。
(2) 次のイオンの名称と形をそれぞれ答えよ。
@ [Fe(CN)6]4- A [Zn(OH)4]2- B [Cu(NH3)4]2+
●●●テーマ21の解答●●● 錯イオン
(1) @ Zn + 2NaOH + 2H2O → Na2[Zn(OH)4] + H2
A ZnO + 2NaOH + H2O → Na2[Zn(OH)4]
B Zn(OH)2 + 2NaOH → Na2[Zn(OH)4]
C AgCl + 2NH3 → [Ag(NH3)2]Cl
(2) @ ヘキサシアノ鉄(U)酸イオン,正八面体
A テトラヒドロキソ亜鉛(V)酸イオン,正四面体
B テトラアンミン銅(U)イオン,正方形
金属イオンに分子や陰イオンが配位結合で結合したイオンを錯イオンといいます。この
とき配位結合する分子や陰イオンを配位子,その数を配位数といいます。配位結合する
ためには非共有電子対が必要ですから,分子や陰イオンが非共有電子対をもつことは
配位子となる必要条件です。錯イオンについては,金属イオンと配位子の相性,金属
イオンによって決まる配位数・構造,イオン式,命名法,反応式を覚えておきます。
まず相性で重要なのはNH3とOH-で,NH3やOH-が水溶液中に豊富にあるとき錯イオンを
つくれる金属イオンは何かということは頻出です。どちらの場合も水溶液はアルカリ性に
なりますから,アルカリ金属とアルカリ土類金属以外のイオンが錯イオンをつくれない場合
には沈殿が生じることになります。NH3が豊富にあるとき(よく「過剰のNH3」と表現され
ます)錯イオンを生じるのは,Ag+,Cu2+,Zn2+(,Ni2+)です。NH3が十分にない場合には
溶液がアルカリ性になるだけなので沈殿してしまいますが,一旦沈殿しても十分な量の
NH3を加えていけば沈殿は溶けて錯イオンをつくります。OH-が豊富にあるというのは溶液が
強アルカリ性のときですが,OH-と錯イオンを生じるのは,Al3+,Zn2+,Sn2+,Sn4+,Pb2+
(,Cr3+)です。これらもやはり弱アルカリ性でOH-が十分量ないときには沈殿しますが,
過剰のOH-により沈殿は溶けて錯イオンを生じます。
H2Oも多くの金属イオンに配位します。生じる錯イオンはアクア錯イオンとよばれます。
例えば水溶液中のCu2+は[Cu(H2O)4]2+のようになっており,この錯イオンが青色を呈する
のですが,通常はH2Oは省略して扱うので,単に「Cu2+は青色」のように覚えます。
CN-も多くの金属イオンに配位しますが,相性を覚える必要はありません。S2O3<2->(チオ
硫酸イオン)はAg+と,SCN-(チオシアン酸イオン)はFe3+と特に相性がいいということは
覚えます。特に後者は血赤色を呈する錯イオン(イオン式は不定)を生じるので,Fe3+の
検出反応としてたまに出てきます。
次に配位数と構造です。原則として配位数はイオン価数の2倍と思えばよいのですが,例外
もあるので覚えるしかありません。Ag+,Cu2+,Zn2+,Fe3+,Al3+は原則どおりです。Fe2+
はFe3+と同じ6配位です。Al3+は6配位でよいのですが,実用的には「4」です。これは
Al3+がOH-と錯イオンをつくるときOH-は4つしか結合しないためです。構造は配位子を
バランスよく配置した構造で,配位子を頂点とする立体で表現します。2配位なら180°の
方向に2つがくるので「直線型」に,6配位なら上下左右前後に配置されて「正八面体」
になります。4配位は「正方形」と「正四面体」があるので区別が大切です。Cu2+は
正方形,Zn2+は正四面体をとります。
以上がわかればイオン式は[金属イオン(配位子)配位数]価数のように書けます。価数
は構成するイオンの価数を合計したものです。名称は配位数+配位子名+金属名+(金属の
酸化数)+「酸」+「イオン」となります。配位数は2なら「ジ」,4なら「テトラ」,
6なら「ヘキサ」です。配位子名はNH3は「アンミン」,OH-は「ヒドロキソ」,CN-は
「シアノ」です。「酸」は錯イオンが陰イオンである場合のみつけます。[Al(OH)4]-は
テトラヒドロキソアルミン酸イオンのように金属名以降が例外的です。
反応式は金属イオンと配位子をくっつけるというのが原則です。(1)@のように単体が
反応する場合は,まず金属イオンを生じる反応が起こります。
Zn + 2H+ → Zn2+ + H2 ⇒ Zn + 2H2O → Zn2+ + 2OH- + H2
ZnはH2O中のHと酸化還元反応を起こしてZn2+となります。ここで生じたOH-とNaOHのOH-を
利用して錯イオンをつくります。
Zn2+ + 4OH- → [Zn(OH)4]2-
2つの反応式を足し合わせてNa+を補うと解答のようになります。
AのZnOのO2-はそのまま水溶液中に出ずにO2-+H2O→2OH-のように変化するので,
ZnO + H2O → Zn(OH)2
のように考えて(あくまでも形式的に),これとBを足せばAの解答になります。
◆◆◆テーマ22◆◆◆ 17族
次のことに関してフッ素と塩素の差異を説明せよ。
@ とりうる酸化数
A 単体と水素との反応
B 単体と水との反応
C ハロゲン化水素の水溶液の名称
D ハロゲン化水素の水溶液の保存方法
299 :
大学への名無しさん:04/08/25 22:45 ID:ZOYYrpbw
age
300 :
大学への名無しさん:04/08/26 22:40 ID:H/sGs21I
じゃーんじぇーんわかりましぇーん
●●●テーマ22の解答●●● 17族
@ フッ素は−1から0までの酸化数をとるのに対し,塩素は−1から+7までの酸化数をとる。
酸化数は
>>260,
>>269で説明したように,化学結合により満たされた最外殻にある8個の
電子のうち,その原子にいくつ所属するかを電気的中性の原子と比較して決めます。塩素
の場合,この8個すべてが非共有電子対であるか塩素より電気陰性度の小さい元素との
共有電子対ならば8個すべてが塩素に所属することになり,塩素の価電子数7より1多い
ので酸化数−1となります。逆に8個すべてが塩素より電気陰性度の大きい元素との共有
電子対ならば塩素に所属する電子は全くなく,7個の電子を失った状態なので酸化数+7
となります。
ところで電気陰性度は
>>65で説明したように,周期表で右に行くほど,また上に行くほど
大きくなりますから,F>Oであり,F>Cl>Br>Iですが,全元素中Fが1位,Oが2位と
いうことは必要な知識です。つまりF>O>Clとなりますから,HClO4のように塩素が酸素
4原子に囲まれた場合にはClは酸化数+7をとることができます。しかし,フッ素の場合
にはフッ素より電気陰性度の大きい元素はありませんから,最外殻の電子が他の原子に
所属するということはなく,よって正の酸化数をとることはありえません。
ハロゲン(F, Cl, Br, I)は互いに性質が似ているのと同時に,性質が少しずつ変わって
いきますが,Fだけが特別という場合が少々あります。まずは,電気陰性度に起因する
Fの特殊性の一つとして酸化数の範囲をとりあげました。
塩素のオキソ酸にはHClO(酸化数+1),HClO2(+3),HClO3(+5),HClO4(+7)があり,それぞれ
の名称(
>>235),酸性の強弱(
>>237),HClOの酸化力は必要な知識です。
A フッ素は冷暗所でも爆発的に反応するが,塩素は光により爆発的に反応する。
B フッ素は水を酸化して酸素を生じるが,塩素は自身で酸化還元反応を起こして塩化水素と
次亜塩素酸を生じる。
ハロゲン単体についてはたいてい性質が表にして紹介されています。色,状態,酸化力,
水素との反応,水との反応などが載せられています。色は覚えるしかありませんが,F2
からI2にいくほど濃くなるイメージです。状態は分子量を反映しています。酸化力は
相手を酸化して自分が陰イオンになる力ですから電気陰性度に従ってF2のほうがI2より
大きくなります。そのためH2との反応も,F2は容易に反応し,I2にいくほど反応しにくく
なり,F2とCl2でもAの解答のような差があります。水に対する溶けやすさもI2にいく
ほど溶けにくくなりますが,F2とCl2では反応に決定的な差があります。@でも触れた
ように電気陰性度はF>O>Clですから,F2は水分子中の酸化数-2の酸素を酸化数0のO2に
酸化することができます。Cl2は酸素を酸化することはできませんが,水と反応して
酸化数0の単体から酸化数-1の塩化水素と酸化数+1の次亜塩素酸になります。
2F2 + 2H2O → 4HF + O2 Cl2 + H2O → HCl + HClO
水に溶ける話のついでに,I2が水にはほとんど溶けないがKI水溶液には溶けて褐色の溶液
になることも必要な知識です。(I2 + I<-> → I3<->の反応が起こります。)
単体の実験室的製法は,塩素については2つ覚えます。発生装置もよく問題になります。
C フッ化水素の水溶液はフッ化水素酸とよばれ,塩化水素の水溶液は塩酸と呼ばれる。
D 塩酸はガラスびんに保存できるが,フッ化水素酸はガラスを溶かすのでポリエチレン容器に
保存する。
ハロゲン化水素はすべて水素酸で,強さはHI>HBr>HCl>HFの順です。ただし,HClとHF
の差は大きくHFは唯一弱酸となります。これはHFを水に溶かしても水溶液中で水素結合を
しているためです。H−F…H−Fのようになっていると右のHFのHは電離できないからです。
それに加えてHFが特殊な点は,気体でも水溶液でもガラスの主成分SiO2と反応すること
です。状態によって反応が変わりますが,問題の誘導にも注意して反応式を決めます。
SiO2 + 4HF → SiF4 + 2H2O (気体の場合)
SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O (水溶液の場合)
ハロゲン化水素の水溶液は,フッ化水素酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸のようによばれ
ますが,塩化水素の水溶液だけは塩酸とよばれます。
ハロゲン化銀の水溶性でもFが例外となります。AgFは水に溶けやすいですが,AgCl(白色),
AgBr(淡黄色),AgI(黄色)は水に溶けにくく沈殿を生じます。
ハロゲン化水素の実験室的製法は,フッ化水素と塩化水素について覚えます。どちらも
揮発性酸の遊離(
>>266-267)によって発生します。
◆◆◆テーマ23◆◆◆ 16族
(1) 次の操作によって起こる変化を化学反応式で記せ。
@ 酸化マンガン(W)に過酸化水素水を加えた。
A ヨウ化カリウム水溶液に過酸化水素水を加えた。
B 硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液に過酸化水素水を加えた。
(2) 硫黄の同素体を3つ挙げ,構造上の違いを説明せよ。
(3) 次の文章の硫酸のうち濃硫酸を用いるのが適当なものをすべて選べ。
@ エタノールと硫酸を加熱してエチレンを発生させた。
A 石灰水に硫酸を加えると白色沈殿を生じた。
B 亜硫酸ナトリウムに硫酸を加えると二酸化硫黄が発生した。
C 銅と硫酸を加熱すると二酸化硫黄が発生した。
D 塩化ナトリウムと硫酸を加熱して塩化水素を発生させた。
E 実験室で発生させた塩素を水と硫酸に通じて不純物を取り除いた。
(4) 次の( )に適語を入れよ。
硫酸の工業的製法は(@)とよばれる。硫黄などを燃焼して得られた二酸化硫黄を(A)を
触媒として空気中の酸素で酸化すると三酸化硫黄を得る。三酸化硫黄を(B)に吸収させ,
これを薄めることにより目的のものを得る。
305 :
ひまひと:04/08/28 22:37 ID:qCxbOZGa
(1)@2H2O2→2H2O+O2
A2KI+H2O2→2KOH+I2
B2KMnO4+3H2SO4+5H2O2→2MnSO4+5O2+8H2O+K2SO4
(2)斜方硫黄 単斜硫黄 ゴム状硫黄
前二つはS8で表せられ環状(王冠みたいな)構造をとる
ゴムはSxで表され(言葉が思いつかない)ギザギザな構造
もっとも安定は斜方
(3)@CE順に脱水作用強酸化剤乾燥剤
(4)接触法 酸化バナジウム(X) 濃硫酸
約一つ自信なし
306 :
大学への名無しさん:04/08/29 12:44 ID:Ij5J/KHx
ここが自己満スレか。
まぁ頑張ってくれ(´Д`)
>>305 だいたい良いです。(2)の構造は分子構造と結晶構造の両方を含んでいます。自信がないのは(3)でしょうか。解答を見てください。
●●●テーマ23の解答●●● 16族
(1) @ 2H2O2 → 2H2O + O2
A H2O2 + 2KI → 2KOH + I2
B 2KMnO4 + 5H2O2 + 3H2SO4 → 2MnSO4 + K2SO4 + 8H2O + 5O2
16族元素は価電子を6個もちますから,2個の電子を得た状態から6個の電子を失った
状態まで,つまり−2から+6までの酸化数をとりえます。しかし,酸素は電気陰性度が
全元素中2番目に大きく,しかも1番大きいフッ素との化合物は高校の範囲では出て
こないので,正の酸化数をとることはなく,−2から0の酸化数をとります。
酸素は陰性の大きい元素なので−2を最もとりやすいですが,次に0をとりやすく,−1
は最も不安定な酸化数といえます。よって,過酸化水素はなるべくなら−2になろうと,
そうでなくても0になろうとします。そこでAのように酸化剤として働くのが基本ですが,
Bのように強い酸化剤とは還元剤として働きます。さらに@のように,反応する酸化剤や
還元剤がない場合には,自身で酸化還元反応を起こして−2と0になります。酸化
マンガン(W)は中性・アルカリ性では酸化剤として働かず,@では触媒として働きます。
その他,酸素についてはO2の実験室的製法2つ,O3の実験室的製法1つ,O2とO3の性質は
大切です。
(2) 斜方硫黄,単斜硫黄,ゴム状硫黄のうち前2者は分子式S8で表される分子からなるが,ゴム状
硫黄は鎖状に多くの原子が結合した分子からなる。斜方硫黄と単斜硫黄は同じ分子からなるが
結晶構造が異なる。
同素体には酸素のO2とO3のように分子が異なる場合もあれば,炭素のダイヤモンドと黒鉛
のように結晶構造が異なる場合もあります。硫黄については解答のとおりです。硫黄の
同素体について性質の違いを問われることはほとんどありません。
(3) @CDE
硫酸は希硫酸か濃硫酸かを区別しておく必要があります。希硫酸は水が豊富にあるため
H+を出す力の強い硫酸は多くが電離します。よって希硫酸の性質はH+とSO42-の性質,
すなわち「強酸性」と「硫酸イオンによる沈殿をつくること」にあります。AではCa2+と
SO42-で沈殿をつくる役割を,Bでは弱酸の遊離における強酸としての役割をするので
希硫酸を用いるのが適当です。
一方,濃硫酸はほとんど電離していませんが,硫酸分子全体としての性質,すなわち
「不揮発性」,「酸化性」,「脱水性」,「吸湿性」の4つを覚えます。前3者はすべて
原則として加熱したときに発揮される性質です。Dは揮発性酸の遊離で硫酸は不揮発性の
酸として働きます。Cは酸化還元反応で硫酸は酸化剤として働いて二酸化硫黄を生じます。
@においては硫酸は脱水反応の触媒として用いられています(この働きを「脱水性」と
表現しました)。Eは塩素発生の実験において塩素と混合している水蒸気を取り除くため
の乾燥剤として濃硫酸が用いられる例です。
硫黄の化合物は,H2S(酸化数-2)とその塩,SO2(+4),H2SO3(+4)とその塩,SO3(+6),
H2SO4(+6)とその塩が頻出です(あと,Na2S2O3ぐらい)。無機化合物の化学的性質を
捉えるコツは整理して頭に入れていくことです。例としてH2Sをとると,H2Sをどうやって
つくるかと,H2Sは何になるか,つまり前者は製法,後者は反応です。
H2Sの実験室的製法ですが,H2Sが弱酸であることを考えると弱酸の遊離によってつくれる
はずで,実際にFeS+H2SO4→FeSO4+H2Sのようにつくられます。H2Sの反応ですが,反応
は基本的に4種類(
>>291)の反応を考えます。1つ目は酸塩基反応で,当然中和反応を
起こしますし,弱酸の遊離の右辺にも出てきます。2つ目は酸化還元反応で,H2Sは
教科書の還元剤リストに出てきます。3つ目は沈殿反応で詳細は
>>292に書きました。
4つ目は錯イオン生成反応ですが,これには関係しません。このようにして他の物質も
整理していってください。
(4) @ 接触法 A 酸化バナジウム(X) B 濃硫酸
接触法については反応式はとても簡単です。SO2を酸化するときの触媒V2O5は覚えます。
最終段階の反応SO3+H2O→H2SO4は反応式上は水と反応していますが,実際には濃硫酸に
SO3を加えます。SO3は濃硫酸に含まれる水と反応します。そうすると濃硫酸よりもさらに
濃い硫酸(発煙硫酸)になり,これを希硫酸で薄めることで濃硫酸を得ます。
工業においては実験室と反応が異なったり,条件が異なったりして,理屈で説明するのに
向かないこともあります。それはそれできちんと覚えていきます。
◆◆◆テーマ24◆◆◆ 15族
(1) 硝酸に関する次の問いに答えよ。
@ アンモニアから始まって硝酸ができるまでのオストワルト法の反応を,1つの化学反応式
で記せ。
A 古くなった硝酸が淡黄色を帯びるのはなぜか説明せよ。
B 濃硝酸は単体のリンを酸化してリン酸を生じる。この変化を化学反応式で記せ。
(2) 黄リンについて次の問いに答えよ。
@ 赤リンとの分子構造の違いを説明せよ。 A 自然発火するか。
B 毒性はあるか。 C CS2へ溶解するか。 D 保存方法を説明せよ。
311 :
マジでしりたい:04/08/30 10:07 ID:B0cZFgrf
7月から化学を真剣に勉強し始めて、教科書レベルの問題は理解して解けるようにまで
なったのですが、模試の成績がまったくあがりません。。
いつも10点台です。これからの伸びは期待してもいいのでしょうか?
312 :
大学への名無しさん:04/08/30 10:16 ID:qS/+lBDW
>>311 模試の種類によるが
東大模試とかで10点ならまぁ
マークなら、無理
313 :
マジでしりたい:04/08/30 10:19 ID:B0cZFgrf
>>312
マークでは100点中30点です。
314 :
大学への名無しさん:04/08/30 13:34 ID:fOnB5VFY
クロモトピズムってやっといた方がいい?あとATPとかの構造式は覚えてる人いる?
315 :
大学への名無しさん:04/08/30 13:37 ID:Z4OR8ZnY
>>310 アンモニア+酸素→硝酸+水+一膣
あとは係数あわせ
>>311 化学はそこそこ良い教師,良い教材があれば伸びる科目です。教科書は出発点と思ってください。
教科書の「問題」自体は簡単なので,解けても教科書の「内容」を十分に理解したかどうかの目安
にはなりません。05年度入試までにどこまで伸びるかは本人しだいとしか言いようがありません。
あなた自身の能力と実行力,環境によりますし,志望との兼ね合いもあります。ある程度意味の
ある助言をするには情報不足です。勉強法のスレがあったと思いますが,この種の質問はあまり為に
なる回答を期待できないでしょう。
>>314 「クロモトピズム」はchromismかchromotropismのことでしょうか。いずれにせよ不要です。ATPの
構造式を覚えている受験生はいるでしょうが,入試においてそれを役立てる機会はまずないでしょう。
>>315 オストワルト法の反応式でしょうか。係数を合わせてみてください。
●●●テーマ24の解答●●● 15族
(1) @ NH3 + 2O2 → HNO3 + H2O
A 光によって硝酸が分解して二酸化窒素を生じるため。
B P + 5HNO3 → H3PO4 + 5NO2 + H2O
無機物質の性質は主に(A)酸塩基,(B)酸化還元,(C)沈殿,(D)錯イオンの4点で整理して
(E)その他のことを補足するという方法をこのスレでは用います。硝酸は,(A)強酸,(B)
酸化剤であり,(C)硝酸イオンは沈殿を生じず,(D)配位子にならない物質です。また(E)
二酸化窒素と水の反応で生じ,光や熱で分解しやすい性質をもっています。
実験室では市販の試薬を用いますが,あえてつくるときは揮発性酸の遊離(
>>266)を利用
します。工業的にはオストワルト法で製造されます。工業原料の基本は大量・安価です。
窒素は当然空気に求められます。窒素単体はハーバー法によりアンモニアになります。
オストワルト法ではNH3からNO,NO2を経てHNO3を得ます。
4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O (Pt触媒) (i)
2NO + O2 → 2NO2 (ii)
3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO (iii)
NH3からHNO3を得るのが目的ですから,NOとNO2は中間生成物です。よって,3つの式から
NOとNO2を消去すれば全体の反応式が得られます。(ii)×3+(iii)×2によってNO2を
消し,得られた式と(i)を足すと@の解答のようになります。
硝酸は光や熱で分解しやすいので,褐色びんに入れて保存されます。分解するとNO2が
生じて,これが溶け込むために淡黄色を呈します。どのような反応になるのかを考えて
みましょう。分解反応ですから,左辺はHNO3のみで,他にあったとしても水ぐらいです。
そこからNO2を生じるとNの酸化数が減りますから,代わりに酸化数が増える原子がある
はずです。Hは+1より,Nは+5より大きくはなりませんから,-2のOしか酸化数が増えうる
原子はありません。Hが入る物質は最も単純にH2Oと考えればいいでしょう。よって,
左辺にHNO3,右辺にNO2,O2,H2Oを書いて係数を合わせると次のようになります。
4HNO3 → 4NO2 + 2H2O + O2
硝酸は酸化剤として働き,濃硝酸のときはNO2,希硝酸のときはNOを生じます。Bでは,
濃硝酸を用いているのでNO2を生じます。PはH3PO4に酸化されることが問題文に書かれて
います。よって,2つの半反応式を書いてから化学反応式をつくっていきます。
HNO3 + H+ + e- → NO2 + H2O
P + 4H2O → H3PO4 + 5H+ + 5e-
窒素を含む物質として,NH3とその塩,N2,NO,HNO2とその塩,NO2,N2O4,HNO3と
その塩が重要です。
(2) @ 赤リンは多くのリン原子からなる巨大分子であり,黄リンは正四面体の4つの頂点に
リン原子が配置されたP4で表される分子である。
A する B ある C する D 水中に保存する。
黄リンと赤リンの性質の違いは分子構造からだいたい説明ができます。構造の違いの一つ
は分子の大きさで,もう一つは共有結合の手の角度です。黄リンは正四面体の頂点に原子
があって,1原子あたり3本の手を正四面体の辺に一致して出しています。そうすると手
と手の角度は60度になります。通常その角度は90〜120度ぐらいですから,黄リンの場合
はかなり小さく,そのため結合が不安定で,反応性に富むことになります。自然発火や
毒性はこれで理解できます。空気中の酸素との接触を断つために水中に保存されます。
無極性溶媒に対する溶けやすさは分子の大きさからわかります。
リンを含む物質として,黄リン,赤リン,十酸化四リン,リン酸とその塩が重要です。
320 :
ルートヴィヒ ◆KFYDMT3Ngc :04/09/01 08:17 ID:5zgSkCpV
◆◆◆テーマ25◆◆◆ 14族
(1) ケイ素,スズ,鉛は周期表において金属元素と非金属元素の境界付近に位置するが,性質
においても両者の中間的な性質を示すことが知られている。ケイ素の場合,およびスズと
鉛の場合に分けてそれぞれどのような中間的性質を示すのか説明せよ。
(2) 次の変化のうち化学反応式で表せるもののみ化学反応式を記せ。
@ ケイ砂とコークスを高温で反応させる。
A 二酸化ケイ素と炭酸ナトリウムを高温で反応させる。
B ケイ酸ナトリウムと水を加熱して水ガラスを得る。
C 水ガラスに塩酸を加えるとゲル状沈殿を生じる。
D Cのゲル状沈殿を加熱してシリカゲルを得る。
(3) 地殻に含まれる元素を多い順に2つ挙げよ。
(4) スズと鉛のとる酸化数について比較して説明せよ。
321 :
大学への名無しさん:04/09/03 02:21 ID:w0YLY/fj
あげ
●●●テーマ25の解答●●● 14族
(1) ケイ素の単体は半導体としての性質を示す。スズと鉛は両性元素であり,その単体,酸化物,
水酸化物は酸にも強アルカリにも溶ける。
(2) @ SiO2 + 2C → Si + 2CO
A SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2
C Na2SiO3 + 2HCl → 2NaCl + H2SiO3
(3) 酸素,ケイ素
(4) スズと鉛はともに0,+2,+4の酸化数をとりうるが,スズは+2より+4が,鉛は+4より+2が
安定である。
14族元素には非金属元素である炭素,ケイ素,金属元素であるゲルマニウム,スズ,鉛が
あります。炭素化合物の多くは有機化学で扱うので,無機化学では主に単体,一酸化炭素,
二酸化炭素,炭酸とその塩を扱います。
ケイ素は地殻(固体地球の表層)中で酸素の次に多い元素です。SiとOは多くの岩石の
主成分といえます。岩石は中学の理科でならうようにいくつかの鉱物からできています。
その鉱物のうちSiO2の組成をもつのが石英です。石英でも特に大きく結晶が成長すると
水晶とよばれます。そして岩石の風化により生じた石英を多く含む砂をケイ砂といいます。
ケイ砂をコークスで還元するとケイ素の単体が得られます。一般にコークスで還元する
反応では一酸化炭素が生じます。ケイ素の単体はダイヤモンド型の結晶構造をとり,
非金属元素に分類されますが,少し電気伝導性があります。
SiO2とNa2CO3はAのように反応します。この反応式の両辺はともに酸性酸化物と塩の組み
合わせで,ちょうどSiとCが入れ替わるような反応になっています。分子性物質である
CO2が出て行くことで反応が進みます。Na2SiO3をつくる反応には,
SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O
もあります。これも高温での反応ですが,酸性酸化物と塩基による中和反応です。Na2SiO3
はケイ酸イオンSiO32-が鎖状の大きなイオンなので水に溶けにくいですが,加熱すること
により粘性の大きな溶液になり,水ガラスとよばれます。水ガラスに塩酸を加えると,C
のように弱酸の遊離が起こり,ケイ酸H2SiO3のゲル状沈殿が生じます。
ケイ酸は鎖状高分子ですが-OH間で脱水がいくらか起こります。よって実際の組成式は
H2SiO3とSiO2の中間になります。このゲル状のケイ酸を加熱するとさらに脱水が進むと
ともに乾燥してシリカゲルとなります。
ゲルマニウムは金属元素ですが,その単体は半導体の性質をもちます。
スズの単体には金属スズと灰色スズの同素体が存在します。スズはめっきとしてブリキに,
合金として青銅やはんだに用いられます。酸化数は+2より+4のほうが安定であるために
SnCl2は還元剤として用いられます。
鉛はスズとともにはんだの成分です。酸化数は+4より+2のほうが安定であるために,鉛
蓄電池では鉛が還元剤,酸化鉛(W)が酸化剤となり,ともに硫酸鉛(U)を生じる変化が
利用されています。スズと鉛はともに両性元素ですが,それに関する反応式を書くことは
まず求められません。
◆◆◆テーマ26◆◆◆ 1族
(1) ナトリウムとカリウムはどちらが融点が高いか。
(2) 潮解を起こす物質と風解を起こす物質をそれぞれ1例ずつ化学式で記せ。
(3) 濃水酸化ナトリウム水溶液を試薬びんで保存するときに注意すべきことは何か説明せよ。
(4) ソルベー法の反応を,1つの化学反応式で記せ。
(1)ナトリウム
(2)水酸化ナトリウムを空気中に放置したものでいいかな。
潮解
NaOH(固)→NaOHaq
CO2
→Na2CO3aq
蒸発
→Na2CO3・10H2O(固)
風解
→Na2CO3・H2O(固)
加熱
→Na2CO3
(3)ガラス容器に入れない,不活性ガスを入れる(二酸化炭素なし)。
(4)CaCO3 + 2NaCl → Na2CO3 + CaCl2
>>326 だいたい良いようですが,(2)は題意を取り違えていないでしょうか。「それぞれ1例ずつ」です。
(3)は試薬びん(ガラス容器)に入れるという前提です。ガラスはまずいという感覚は良いのですが,
具体的にどこでどのような不都合が生じるのかを確認してください。
●●●テーマ26の解答●●● 1族
(1) ナトリウム
アルカリ金属元素の単体はすべて体心立方格子を有し,価電子1個が自由電子となって
1価陽イオンの間を動き回っています。金属結合は陽イオンと自由電子の間に働く電気的
な引力の強さで評価できます。結晶格子や電荷の条件が同じですから,アルカリ金属
どうしの金属結合の強さは電荷の距離で比べられます。正電荷は陽イオンの中心にあって
負電荷を帯びた自由電子は原子の最外殻付近に存在しますから,電荷間の距離は原子の
半径で決まります。原子番号が大きくなるほど最外殻が外側になり,電荷間の距離は
大きくなります。静電気力の大きさは距離の2乗に反比例しますから,電荷間の距離が
大きくなるほど引力は小さくなります。よって,アルカリ金属は原子番号が大きくなる
ほど金属結合が弱くなり,融点は低くなります。分子量が大きいほど融点が高くなる
分子性物質と混同しないようにしてください。
アルカリ金属元素の単体は自由電子数と陽イオンの価数からして金属としては金属結合が
弱いというイメージで捉えられます。そして周期表で最も左にありますから,非常に陽性
が強いということもわかります。このことを基本として物理的性質と化学的性質を理解
しておきます。
(2) 潮解を起こす物質:NaOH 風解を起こす物質:Na2CO3・10H2O
アルカリ金属元素の化合物は,塩基または塩であり,水に易溶性のイオン性物質です。
アルカリ金属の陽イオンは単体に還元されにくく,沈殿をつくったり錯イオンを
つくったりしませんから,酸塩基に関する性質に注意すればよいことになります。
そしてそれ以外の性質は覚えます。潮解と風解は解答に示した物質に限りませんが,
教科書などで紹介されている代表例ということでこの1例ずつを覚えておきます。
(3) 試薬びんの栓にガラス栓でなくゴム栓を用いる。
入試ではたまに扱われる程度のことですが,NaOHの塩基としての性質で理解できる内容
です。塩基であるNaOHは周囲にある酸性物質と反応します。どのような酸性物質があるか
というと,空気中のCO2とガラスの主成分SiO2があります。NaOHは固体でも水溶液でも
容易にCO2を吸収して,中和により塩Na2CO3を生じます。また長い時間の間にSiO2と中和
反応を起こしてNa2SiO3を生じます。ガラス栓を用いると栓が開かなくなるという不具合
が生じるのですが,その原因としてNa2CO3が取り上げられることも見受けられますが,
やはりガラスとガラスの接触部が固着するという現象の説明としてはNa2SiO3が原因で
あると考えたほうがいいでしょう。
(4) CaCO3 + 2NaCl → Na2CO3 + CaCl2
ソルベー法(アンモニアソーダ法)はNa2CO3の製造法です。自然界で大量に比較的高い
純度で存在する原料として,Na+はNaClに,CO32-はCaCO3(石灰岩)に求めることが
できます。しかし,この解答の反応自体はCaCO3のみが難溶性物質ですから逆反応のほう
が起こりやすく,そのまま右向きに反応を進めることはできません。そこで5つの反応
に分けて目的を達成するのがソルベー法です。
5つの反応式はNaCl→Na2CO3のNaの流れとCaCO3→CaCl2のCaの流れに分けると整理し
やすいでしょう。
NaCl ─(@沈殿)→ NaHCO3 ─(A熱分解)→ Na2CO3
CaCO3 ─(B熱分解)→ CaO ─(C+水)→ Ca(OH)2 ─(D弱塩基の遊離)→ CaCl2
@ではNaCl飽和溶液にNH3とCO2を飽和させると最も沈殿しやすいイオンの組み合わせで
NaHCO3が沈殿します。Na+は沈殿しないイオンと覚えますが,ここは例外で極端に濃厚な
溶液での反応です。Aは加熱により気体になりやすい分子が出て行くような分解が起こる
反応です。NaHCO3は熱分解によりNa2CO3,H2O,CO2が生じますが,CO2は@の反応に
再利用します。
Bでは熱分解によりCaCO3からCaOとCO2が生じます。このCO2を@に利用します。Cは
「酸化物+水→水酸化物」の反応です。アルカリ金属とアルカリ土類金属ではこの反応が
起こりやすいです。Dでは@で溶液に残ったNH4Clに対してCa(OH)2を反応させることに
より弱塩基の遊離が起こり,CaCl2とともにH2O,NH3が生じます。このNH3は@に再利用
されます。
5つの反応にはNH3,CO2,H2Oが登場しますが,1つの反応式にまとめると消えてしまい
ます。その中でCO2はすべてCO32-に由来するもので,一部再利用される過程はありますが,
最終的にはすべて原料から製品へ移行します。それに対してNH3とH2Oは全く全体の反応式
には登場しません。よってNH3は@とDの反応で完全に再利用され,理論的には消費
されません。H2OもNH3と同じ位置づけですが,水をわざわざ回収して再利用はしません。
◆◆◆テーマ27◆◆◆ 2族
(1) マグネシウムとカルシウムの性質の違い(単体・化合物を問わない)を4つ挙げよ。
(2) 石灰水に二酸化炭素を吹き込んだときの変化を2つの化学反応式で表せ。
(3) 胃のX線造影に用いられる「バリウム」はBaSO4である。BaCl2やBaCO3ではなくBaSO4が
用いられる理由を説明せよ。
●●●テーマ27の解答●●● 2族
(1) ・マグネシウムは炎色反応を示さないが,カルシウムは示す。
・マグネシウムの単体は冷水とは反応しないが,カルシウムの単体は反応する。
・水酸化マグネシウムは水にほとんど溶けないが,水酸化カルシウムは溶ける。
・硫酸マグネシウムは水によく溶けるが,硫酸カルシウムは溶けにくい。
2族の金属元素にはアルカリ土類金属に含まれるものと含まれないものがありますが,
どのような性質の差異によって区別されるのかまとめておきましょう。BeとMgがアルカリ
土類金属に含まれないのですが,Beは高校では扱われないので通常はMgとCaなどとの比較
になります。単体と水の反応はイオン化列とともに覚えた内容です。水酸化物と硫酸塩の
水溶性は沈殿のところで覚えました(
>>292)。
炎色反応は元素と炎色の組み合わせを覚えれば十分です。語呂合わせでは色名を一文字で
覚えることが多いですが,色の表現は微妙なこともあります。黄色とくればNaというのは
安全ですが,緑色と書かれている場合には他の条件も考えてBaなのかCuなのか判断する
必要があります(Baは黄緑色,Cuは青緑色の炎色反応を示します)。もう一つ注意して
おきたいのは,炎色反応は化合物の水溶液を白金線につけてガスの外側の炎に入れて見る
のですが,化合物として通常は塩化物を用いるということです。このことは実は有機化学
で重要になります。有機化合物の成分元素の検出で,焼いた銅線に試料をつけて炎に
入れると青緑色の炎色反応が見られるというのがありますが,これは有機化合物中に
塩素が含まれているかどうかを調べる方法です。
マグネシウムについては単体とO2との反応,CO2との反応も見ておいてください。
(2) Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
試験でCaが題材になったときには頻出の反応式です。沈殿のところでは触れなかったの
ですが,HCO3-のように弱酸由来の1価陰イオンは沈殿をつくりにくい傾向があります。
石灰水に二酸化炭素を吹き込むと最初のうちは完全中和が起こって,正塩CaCO3が生じ,
これが沈殿します。しかし,この反応が終わるころ(Ca(OH)2がほとんどなくなって,
CO2濃度が大きくなるころ),水溶液中にはわずかながらCO32-が増えてきます。さらに
二酸化炭素を吹き込むとCO32-があるところにH2CO3がどんどん入ってくることになり
ます。H2CO3とCO32-では同じCO32-がH+を2個もつか0個もつかという不公平があります
から,1個ずつ分け合おうという変化が起こります。
H2CO3 + CO32- → 2HCO3-
これに伴って水溶液中のCO32-が減ると,沈殿していたCaCO3はCO32-を補うように溶け
出してきます(平衡の移動の考え方です)。このようにして沈殿の再溶解が起こるのが
2つ目の反応です。Ca(HCO3)2は固体として取り出すことはできません。なぜなら,水分
を除いていくと2つ目の反応式の逆反応が起こるからです。
ちなみにH2CO3とCO32-の変化に似ているのがH2OとO2-の変化です。
H2O + O2- → 2OH-
H+を公平に分けるような変化が起こるため,水溶液中にO2-は存在できません。
カルシウムについては,Ca,CaO,Ca(OH)2,CaCO3,CaCl2,CaSO4,CaC2が重要です。
化合物の性質は酸塩基と沈殿の観点から見ればよいです。日常面との関係で,生石灰,
消石灰,石灰水,石灰石(岩),セッコウ,焼きセッコウといった語も確認しておきます。
(3) BaCl2は水に溶け,BaCO3は強酸によって溶けるが,BaSO4は水に難溶性で強酸にも溶けず,
有害なBa2+が溶け出さないから。
Ba2+が有害かどうかはさておき,塩どうしの比較を求められたときには溶解性に注目する
のが最初です。つまり,沈殿と酸塩基の観点から水に溶けるかどうか,弱酸の遊離を
起こすかどうかといったことを考えます。合わせて錯イオンをつくって溶けるかどうか
にも注意します。そして酸化剤か還元剤になりうるかどうかも見ていきます。まず,沈殿
の点では,CO32-とSO42-はBa2+と沈殿をつくりますが,Cl-はつくりません。次に,BaCO3
は弱酸の塩ですから弱酸の遊離によって溶けますが,BaSO4は強酸と強塩基の塩ですから
通常は溶かす手段がありません。
バリウムについてはカルシウムとほとんど同様に性質を考えることができます。
◇◇◇おまけ27◇◇◇ 2族
塩化カルシウムは水を吸収しやすく,水に溶け込みやすい。
(1) このことを利用して実験室では何に利用されているか。
(2) 日常生活においては冬季に道路に散布されることがあるが,その目的は何か。また,
どのようにしてその目的を達するのか説明せよ。
(1)有機化合物の成分分析において、塩化カルシウム管の質量増加を元に試料中のH原子の量を求めている
(2)道路上の水分が凍結するのを防ぐため。
容易に水に溶け込むので、塩化カルシウムが溶け込んだ水は
凝固点降下が起こり、凍結しにくくすることができる。
>>335 どちらも○です。
○○○おまけ27の解答○○○ 2族
(1) 乾燥剤
(2) 凍結防止。塩化カルシウムが水に溶けると凝固点降下が起こり,凍結しにくくなる。
CaCl2は実験室において乾燥剤として用いられます。強酸と強塩基の塩ですから,捕集
すべき気体と酸塩基反応を起こすことはありません。しかし,NH3はCaCl2の結晶構造に
ちょうど取り込まれてしまうためNH3の乾燥には用いられません。乾燥剤としての性質を
利用してCaCl2は有機化合物の元素分析においても水の吸収管に用いられます。上述の
ように酸性酸化物であるCO2を反応によって吸収しません。
道路が凍結するようなときには道路表面に水分があるはずですから,CaCl2を撒いて
おけばCaCl2が容易に水に溶け込んで水溶液をつくります。水溶液は凝固点降下のため
凝固し始める温度が低くなり,凍結しにくくなります。
ところで,「水を吸収しやすく,水に溶け込みやすい」ということは潮解性があると
いうことです。潮解性をもつ物質として覚えるのはNaOHで十分ですが,CaCl2も潮解性が
あります。
◆◆◆テーマ28◆◆◆ 12族,13族
(1) 複塩とは「複数の塩からつくられ,水に溶けたときもとの塩と同じイオンを生じる化合物」
と定義される。その一例にミョウバンがある。
@ ミョウバンの化学式を書け。
A ミョウバンをつくる複数の塩の化学式をすべて書け。
B ミョウバンが水に溶けたときに生じるイオンのイオン式を全て書け。
C なぜ定義に「水に溶けたときもとの塩と同じイオンを生じる」というのが必要なのか
説明せよ。
(2) トタンとブリキそれぞれに傷がついた場合の鉄の腐食されやすさを説明せよ。
(3) 塩化水銀(U)水溶液に塩化スズ(U)水溶液を少量ずつ変化が見られなくなるまで加えて
いった。このときのどのような変化が見られるか説明せよ。
保守
>>337 (2)
トタンは鉄に亜鉛をメッキしたものであり、鉄よりも亜鉛のほうが
イオン化傾向が大きいので、傷がついても鉄は腐食されにくい。
一方ブリキは鉄にスズをメッキしたものであり、スズよりも鉄のほうが
イオン化傾向が大きいので、傷がつくと鉄が腐食されやすい。
>>339 ○です。
●●●テーマ28の解答●●● 12族,13族
(1) @ AlK(SO4)2・12H2O A Al2(SO4)3,K2SO4 B Al3+,K+,SO42-
C 錯イオンが形成される場合にはもとの塩と同じイオンを生じないから
入試では複塩とミョウバンがほぼ1対1対応で出てきますが,応用できるように教科書の
定義を問題に絡めてみました。ミョウバンの化学式は解答@の通りで,命名法に従うと
硫酸カリウムアルミニウム十二水和物となります(AlとKは化学式でアルファベット順に,
名称では陰イオン側から並べます)。ミョウバンはAの2つの塩の混合溶液を濃縮する
ことで結晶が得られ,水溶液にするとBのようなもとの塩と同じイオンを生じますから,
複塩の定義にあてはまります。
私自身が化学を初めて勉強していたとき,教科書の複塩の定義を冗長に感じました。前半
の「複数の塩からつくられる」だけで十分である気がしたのです。そのときは錯塩と
いうものに考えが及びませんでした。錯塩は錯イオンを含む塩です。例えばK3[Fe(CN)6]
がそうです。この塩はFe(CN)3とKCNという複数の塩からなりますが,水溶液にしても
K+,Fe3+,CN-ではなくK+,[Fe(CN)6]3-というもとの塩とは異なるイオンを生じます。
複塩の定義の後半は錯塩との区別に必要な部分だったのです。
アルミニウムについては,ボーキサイトから融解塩電解によって単体を得るまでの過程,
イオン化傾向やや大,不動態,両性元素,両性酸化物,両性水酸化物,ミョウバン,
ジュラルミン,アルマイトが重要です。
(2) 鉄よりイオン化傾向の大きい亜鉛が酸化されやすいためトタンでは鉄の腐食が進みにくい。
スズよりイオン化傾向の大きい鉄が酸化されやすいためブリキでは鉄の腐食が進みやすい。
電気分解などを利用して金属の表面を異種の金属で被覆するのがめっきです。トタンは
鋼に亜鉛を,ブリキはスズをめっきしたものです。亜鉛はイオン化傾向が大きいため空気
中で表面が酸化されますが,それが緻密な膜となって内部を保護します。スズはイオン化
傾向が小さいため,やはり内部を酸化から守ります。ところが,一旦表面に傷がつくと
トタンとブリキでは解答のように鉄の腐食の進み方が異なります。入試ではこの腐食に
電池の原理が働くことを題材にしたものがありますので,そのような問題を一度は見て
おくべきです。
12族元素は典型元素で,Zn,Cd,Hgが含まれます。Hgは常温で唯一液体の金属であり,
このことから12族の単体の融点は比較的(2族と比較して)低いことも覚えられます。
亜鉛については,イオン化傾向中程度,両性元素,両性酸化物,両性水酸化物,
アンモニアによる錯イオン,トタンが重要です。
カドミウムはあまり出てきませんが,Cd2+が液性によらずS2-と沈殿をつくり,そのCdS
が黄色であることが特徴的です。
(3) まず塩化水銀(T)の白色沈殿が生じ,のちに水銀の単体を生じて沈殿が黒色に変化する。
最初に「どのような現象が見られるか」という型の問いに対する答え方ですが,基本的に
目に見えることを書きます。「無色の気体が発生する」,「溶液が濃青色に変化する」,
「青白色沈殿が生じる」というように状態と色を書いてください。そしてその原因となる
物質が表現可能な場合には物質名を添えて,「水酸化銅(U)の青白色沈殿を生じる」の
ようにします。色の表現で無色と白色の使い方ですが,白色は無色不透明のことですから
無色は白色を含む表現です。ただ慣例として,無色は無色透明の意味で使われることが
多いので,気体や液体に対しては無色を用いますが,透明でない固体には白色を用いる
のが普通です。
この問題に対し,全く無機化学の各論的な知識がなくても,Sn2+が還元剤であることは
理論化学で覚えたはずですからHg2+が還元され,おそらくHgになるのではないか,ぐらい
の予想はつくでしょう。実際にはHg2+はSn2+により酸化数+1を経て単体に還元されます。
酸化数+1の水銀はHg+の形ではなく,Hg2<2+>のようにHg+が2つ合わさった形になり
ます。そして沈殿のところ(
>>292)で補足的に書いたように,このイオンはCl-と沈殿を
つくります。よって,最初の変化はHg2Cl2の沈殿が生じる変化です。典型元素の化合物は
原則として無色ですから,Hg2Cl2も白色沈殿です。
2HgCl2 + SnCl2 → Hg2Cl2 + SnCl4
さらに還元されると単体が生じるのですが,微粒子として生じるために黒色に見えます。
Hg2Cl2 + SnCl2 → 2Hg + SnCl4
水銀については,イオン化傾向小,HgCl2,Hg2Cl2,アマルガムが重要です。
◆◆◆テーマ29◆◆◆ 遷移元素(Cr,Mn,Fe)
(1) クロム酸イオンと二クロム酸イオンについて次の問いに答えよ。
@ 両者と水溶液の液性の関係について説明せよ。
A 両者の代表的な反応についてそれぞれ説明せよ。
(2) 酸化マンガン(W)は酸素および塩素の実験室的製法に利用される。それぞれの反応における
酸化マンガン(W)の役割の違いを説明せよ。
(3) 次の操作によってどのような変化が見られるか,それぞれ説明せよ。
@ 鉄の小片を希硫酸に浸した。
A @の変化が終了した後,水溶液を放置しておいた。
B Aの水溶液にヘキサシアノ鉄(U)酸カリウム水溶液を加えた。
●●●テーマ29の解答●●● 遷移元素(Cr,Mn,Fe)
(1) @ 酸性下では二クロム酸イオンに,塩基性下ではクロム酸イオンに互いに変化する。
A クロム酸イオンは,鉛(U)イオン,バリウムイオン,銀イオンと沈殿を生じる。
二クロム酸イオンは酸性溶液中で強い酸化力をもち,種々の酸化還元反応を起こす。
クロムは酸化数+3と+6の化合物が扱われますが,特に+6の化合物が重要です。
CrO42-(黄色)とCr2O72-(赤橙色)は液性によって互いに変換されます。前者は沈殿生成
反応に利用され,PbCrO4(黄色),BaCrO4(黄色),Ag2CrO4(暗赤色)を生じます。
後者は硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液として酸化剤に利用されます。このとき自身は
Cr3+(緑色)に還元されます。単体はニクロムやステンレス鋼の成分です。
(2) 酸素は過酸化水素または塩素酸カリウムの分解によって発生させるが,どちらの反応に
おいても酸化マンガン(W)は触媒として働く。塩素は塩化水素の酸化により発生させるが,
酸化マンガン(W)は酸化剤として働く。
マンガンは酸化数+2,+4,+7の化合物が扱われます。酸化数+7の過マンガン酸
イオンMnO4-(赤紫色)は酸化作用を示します。自身は酸性下ではMn2+(淡赤色)まで還元
されますが,中性・塩基性下ではMnO2に還元されます。酸化数+4の酸化マンガン(W)
MnO2(黒色)は酸性下では酸化作用を示し,自身はMn2+に還元されます。また触媒として
利用されることもあります。酸素の実験室的製法では,過酸化水素は水溶液として用い
られるので酸化マンガン(W)を入れるだけで反応が起こりますが,塩素酸カリウムKClO3は
固体として用いますから,固体どうしを混合した上で加熱が必要となります。Mn2+の色は
淡赤色ですが,濃度があまり大きくないときにはほぼ無色に見えます。
(3) @ 鉄が溶けて溶液が淡緑色となり,水素が発生する。
A 溶液がしだいに黄褐色に変化する。
B 濃青色沈殿を生じる。
鉄は+2と+3の化合物が扱われます。Fe2+(淡緑色)はFe3+(黄褐色)に酸化されやすい です。いずれも塩基性下で沈殿し,Fe(OH)2(淡緑色),Fe(OH)3(赤褐色)となります。
Fe2+は中性・塩基性下でS2-と黒色沈殿を生じます。Fe3+はH2S(またはS2-)によってFe2+
に還元された上で沈殿します。Fe2+の溶液にK3[Fe(CN)6]水溶液を,Fe3+の溶液に
K4[Fe(CN)6]水溶液をそれぞれ加えると,濃青色沈殿を生じます。この沈殿は同一の化合物
で,KFe[Fe(CN)6]の化学式で表されます。
鉄の単体については,鉄鉱石から銑鉄を経て鋼を得る過程,イオン化傾向中程度,不動態,
ステンレス鋼が重要です。
コバルトとニッケルは鉄と類似した面があります。周期表でも並んでいることを確認して
ください。3者とも単体は強い磁性を示し(磁石にくっつき),+2と+3の酸化数を
とります。ただし,コバルトとニッケルは+2をとりやすいです。
◆◆◆テーマ30◆◆◆ 遷移元素(Cu,Ag)
次の操作によってどのような変化が見られるか,それぞれ説明せよ。
@ 硫酸銅(U)水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加える。
A @の反応容器をそのまま穏やかに加熱する。
B 硝酸銀水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加える。
C Bの水溶液に濃アンモニア水を加える。
347 :
大学への名無しさん:04/09/13 12:32:26 ID:UBUgoP2d
>>346 @水酸化銅(U)が沈殿する。青白色沈殿。
CuSO4+2NaOH→Na2SO4+Cu(OH)2↓
A酸化銅(U)(黒色)になる。脱水かな?
Cu(OH)2→CuO+H2O
B酸化銀(黒褐色)が沈殿する。
2AgNO3+2NaOH→2NaNO3+2AgOH
瞬時に脱水して、
2AgOH→Ag2O↓+H2O
Cジアンミン銀(T)イオン(無色)となって、水に溶ける。
Ag(+)+2NH3→[Ag(NH3)2](+)
348 :
大学への名無しさん:04/09/13 13:30:33 ID:45TtDla4
なんだこの板…、消去依頼だれか出せよ…
349 :
大学への名無しさん:04/09/14 01:02:41 ID:oGAsl0MN
>>349 化学を知らないかわいそうな人に声をかけちゃだめですよ。
>>347 いいです。もし反応式を書くことを要求されている問題ならCの反応式はAg2Oから書いてください。
(その場合にはBも一つの反応式にまとめます。)
●●●テーマ30の解答●●● 遷移元素(Cu,Ag)
@ 水酸化銅(U)の青白色沈殿が生じる。
A 沈殿が酸化銅(U)に変化して黒色になる。
B 酸化銀の褐色沈殿が生じる。
C 沈殿が溶解して無色のジアンミン銀(T)イオンを生じる。
銅や銀は遷移元素に属しますが,多くの酸化数をとりません。単体以外では銀はもっぱら
+1の酸化数をとります。銅は+1と+2をとりますが,ほとんどが+2です。単体から
イオンに,もしくはイオンから単体になる反応はイオン化列とともに覚えたとおりです。
それ以外の酸化還元反応は銅が+1と+2の間で変化するぐらいですが,これも2パターン
ぐらいしか出てきません。一つは酸化銅(T)と酸化銅(U)の変化です。
4CuO ⇔ 2Cu2O + O2
高温で起こる変化ですが,気体が発生する右辺が高温側で安定です。もう一つは有機化学
で登場するフェーリング反応です。この反応はアルカリ性下でCu2+がCu+に還元される
反応ですが,Cu+はすぐにOH-と沈殿をつくります。この沈殿も後述するようにすぐに脱水
されてCuOHではなくCu2Oとして沈殿します。
以上の酸化還元反応を除けば,あとは沈殿生成反応と錯イオン生成反応でだいたいは整理
できます。Ag+がCl-と沈殿をつくること,Ag+とCu2+ともにOH-やS2-によって沈殿をつくる
こと,Cl-やOH-による沈殿はアンミン錯イオンをつくって再溶解することあたりから
確認しておいてください。
一般に,イオン化傾向の小さい金属の水酸化物は容易に脱水されて酸化物に変化します。
銀では常温でもこの変化が起こりますから,銀イオンを含む溶液をアルカリ性にすると,
AgOHではなく,Ag2Oが沈殿します。Cu(OH)2は水中で加熱した程度(高々100℃)でCuOに
変化します。これはイオン化傾向の大きい金属の水酸化物が脱水されにくかったことと
対照的です。Na2OやCaOは容易に水と反応して水酸化物となる反面,Ca(OH)2はかなり高温
にしないと脱水しませんし,NaOHは脱水より先に融解が起こります。
ハロゲン化銀の再溶解は,アンモニア水のほか,チオ硫酸ナトリウム水溶液やシアン化
カリウム水溶液でも起こります。ただし,AgCl,AgBr,AgIの順に溶けにくくなり,
AgIとアンモニア水の組み合わせでは再溶解が起こりません。
◆◆◆テーマ31◆◆◆ 脂肪族炭化水素
次の文に誤りがある場合には指摘して訂正せよ。
@ 脂肪族炭化水素には,メタン,エチレン,シクロヘキサンなどが含まれ,芳香族炭化水素
には,ベンゼン,トルエンなどが含まれる。
A メタンは塩素と置換反応を起こす。完全に置換が起こるとCH4+2Cl2→CCl4+2H2のように
反応してテトラクロロメタンを生じる。
B ある物質が常温で触媒もない条件で臭素水と反応したならば,その物質はC=CまたはC≡C
を有する物質と断定してよい。
C 光学異性体を有する脂肪族炭化水素で最も分子量の小さいものは,3-メチルヘキサン
および2,3-ジメチルペンタンである。
D アセチレンに水を付加させるとアセトアルデヒドが得られる。
無機で気体,陽イオン,陰イオンもテーマにしてもよかったのですが,とりあえず先に進むため
今回から有機に入ります。高校の化学の範囲で考えてもらうことを前提としていますが,テーマ
の題名となっている単元には収まっていないことを断っておきます。
354 :
大学への名無しさん:04/09/17 15:55:49 ID:R+8f5Y8r
>>351 B 2AgNO3+2NaOH→2NaNO3+Ag2O↓+H2O
C Ag2O+H2O+4NH3→2[Ag(NH3)2]OH
でしょうか。
355 :
大学への名無しさん:04/09/17 17:07:09 ID:R+8f5Y8r
>>353 @ ○
A ×
CH4+Cl2→CH3Cl+HCl …@
CH3Cl+Cl2→CH2Cl2+HCl …A
CH2Cl2+Cl2→CHCl3+HCl …B
CHCl3+Cl2→CCl4+HCl …C
@+A+B+Cをして、
CH4+4Cl2→CCl4+4HCl
B ×
反例1 Br2+2KI→2KBr+I2
反例2 2Na+2H2O→2NaOH+H2
C ×
反例 3‐メチルペンタ‐1‐エン‐4‐イン (名前の付け方があっているかどうか・・。)
D ○
>>354 そうです。
>>355 Bは出題ミスで,有機化合物を想定していました。
次のように訂正します。すみません。
■訂正■
テーマ31のB
「ある物質」⇒「炭素,水素,酸素のみからなるある物質」
357 :
大学への名無しさん:04/09/18 15:36:15 ID:oy2jeiQt
>>348 ワラタ(´Д`)
俺も消去してほちい(ケラケラ
そもそも重複してるしな
この良スレに、何て事を
359 :
大学への名無しさん:04/09/18 23:11:41 ID:oy2jeiQt
>>358 ケラケラ(´Д`)
あまりものチンカススレッドだから笑いが止まらなくてカッカッカ(ノ><)ノ
まだ消去されてないのね(残念)それも時間の問題ですなハッハッハ!!笑える、笑えるwww
くはっはっは!!!!止まらね〜☆
>>356 B ×だと思う。
光
CH4+4Br2→CBr4+4HBr
のような反応が、メタノールやエタノール、エーテルなどでも
起こるのではないかと考えられなくもない。
362 :
大学への名無しさん:04/09/20 13:21:11 ID:WNLtzyAu
小五の俺でもここは糞スレだと思う。
363 :
大学への名無しさん:04/09/20 21:03:04 ID:5vMnapfW
悪くないね
364 :
大学への名無しさん:04/09/22 00:12:04 ID:QhBdBXEd
マジ消去依頼してくるわ(ケラケラ
>>355,
>>361 @は教科書の分類に従うと×になります。Aは全くその通りです。Bの反例はもっと確信をもてる
ものを探します。Cの名称は厳しいですが,想定された化合物自体は正しいです。
●●●テーマ31の解答●●● 脂肪族炭化水素
@ × シクロヘキサンは脂肪族炭化水素に含まれないので削除する。
教科書では,炭化水素はまず鎖式と環式に分類されます。そして環式炭化水素はさらに
脂環式炭化水素と芳香族炭化水素に分けられます。そして脂肪族炭化水素は鎖式炭化水素
と同義に用いられます。よって,シクロヘキサンは脂肪族炭化水素でも芳香族炭化水素
でもなく,脂環式炭化水素に分類されます。
分類は歴史的な変遷をたどっており,その名称が表す概念が変わったり,名称本来の意味
を失ったりすることがあります。ですから,「脂肪」や「芳香」の意味は深く考えず,
脂肪族は鎖式のもの,芳香族は環式のうちベンゼン環をもつもの,脂環式は環式のうち
ベンゼン環をもたないもの,と割り切って覚えます。
A × この置換反応では水素ではなく塩化水素が生じるので,反応式をCH4+4Cl2→CCl4+4HCl
に訂正する。
有機分野を勉強するときに陥りやすいのが,反応式ではなく反応の流れ図ばかりを見て
中心となる有機化合物にしか注目しないという失敗です。流れをしっかりつかむことを
優先してよいと思いますが,各反応の反応式も書けるようにもしなければなりません。
もちろん反応式に現れない触媒や反応の条件も流れ図や反応式に書き添えて常に意識する
必要があります。
置換反応は文字通り,アルカンの水素原子と塩素分子の塩素原子を置き換える反応です。
そうするとCl2のClが1個Hに置き換わってHClとなります。この反応はC−Hに対して次々
と起こります。すでにいくつ置換されたかに関わらず起こるので,メタンが残っていても
ジクロロメタンがトリクロロメタンになることもあります。よって,塩素が十分量で
なかった場合には,反応終了後の容器にはメタンからテトラクロロメタンまでが混在する
ことになります。
B × 同様の条件で臭素と反応を起こす例としてフェノールがあるので,断定はできないと訂正
する。
問題文中に「常温で触媒もない条件で臭素水と反応」という手がかりが与えられた場合,
多くはC=Cの存在を,ときにC≡Cの存在を示唆します。そしてもう一つの可能性として
フェノールを忘れてはいけません。
ハロゲンの単体が試薬になる反応は,ヨードホルム反応のような特別なものを除けば,
置換反応か付加反応になります(ヨードホルム反応も置換反応を含んでいますが)。
付加反応はC=CおよびC≡Cに対して常温,触媒なしの条件で起こります。一方,置換反応
はアルカンのC−Hおよびベンゼン環のC−Hに対して起こります。アルカンの置換反応は
上述のように塩素による置換反応が常温,光の存在下で起こることは必須の知識です。
臭素ではどうでしょうか。置換反応の起こりやすい順は,F2>Cl2>Br2>(I2)であること
が知られています。臭素による置換反応は400K,光の存在下で起こります(臭素水では
なく気体状態です)。しかし,このように知らないこと(教科書にないこと)は解答には
最初から使わないに越したことはありません。
ベンゼン環の臭素による置換反応については,ベンゼンが鉄触媒によって,フェノールが
触媒なしで置換反応を受けることが知識としてあります。ベンゼン環に対する置換反応が
既存の置換基の影響を受けることについては詳述した参考書もありますが,フェノールに
関しては教科書の知識です。フェノールは容易に臭素化されて,2,4,6-トリブロモ
フェノールとなります。これは白色沈殿として観察されます。
その他では,シクロプロパンは反応性に富む化合物で臭素と常温で反応し,1,3-ジブロモ
プロパンとなります。これはシクロプロパンの結合角が炭素の単結合が通常なす結合角
よりも極端に小さいためであると説明されます。教科書ではシクロアルカンがアルカンに
性質が類似していることを優先的に紹介するために,シクロアルカンの代表的化合物と
してシクロペンタンやシクロヘキサンを挙げているのが普通です。
C × 問題文中の化合物は飽和炭化水素の範囲に限っては正しいが,不飽和炭化水素を含めて
考えるべきであり,3-メチル-1-ペンテン-4-インに訂正する。
正解の化合物は高校で習う命名法の範囲を越えているので,この問題においては示性式で
表記してもかまいません(もちろん元の文に合わせて名称で訂正するほうが可能な場合は
望ましいです)。不斉炭素原子に-H,-CH3,-CH=CH2,-C≡CHがついた化合物です。
D ○
アセチレンに水を付加させるとビニルアルコールを経てアセトアルデヒドになります。
これはビニルアルコールの構造が不安定なため,より安定な構造に変化するためです。
同様に | の構造をもつ化合物はすぐに | に変わります。
−C=C− −C−C−
| | ‖
OH H O
◆◆◆テーマ32◆◆◆ 酸素を含む鎖式化合物
(1) 次の問いに答えよ。
@ 2つの分子から水のような小さな分子がとれて結合する反応を何というか。
A 1つの分子から水などの小さい分子がとれて二重結合を生じる反応を何というか。
B 鎖式炭化水素基または水素原子にカルボキシル基1個が結合したカルボン酸を何というか。
C ヒドロキシル基をもつカルボン酸を何というか。
D アミノ基をもつカルボン酸を何というか
E 2つのカルボキシル基から水1分子がとれた構造をもつ化合物を何というか。
(2) アセトンのヨードホルム反応を化学反応式で記せ。
(3) 酢酸とエタノールから酢酸エチルを合成する反応は完全に進まず,平衡の状態になる。
同様に,酢酸エチルは加水分解によって完全に分解することはできない。
@ 酢酸とエタノールから酢酸エチルを合成する場合,酢酸に対する酢酸エチルの収率を
増やすにはどうすればよいか説明せよ。
A 酢酸とエタノールの組み合わせとは異なる反応物を用いることにより,酢酸エチルの合成
反応をほぼ完全に進ませることができる。そのような反応物の組み合わせを2通り記せ。
B 酢酸エチルを完全に分解する方法を説明せよ。
いやー、かなりの良スレですねー
ケラケラw糞スレ発見!!アホっぽい名前のルートビッヒ??とかいう身障が必死に喚いている模様(´〜`;)
アントニオ猪木(AGO)のようなアホっぽさをAchを通じて全世界にアピールしている模様(;´・`)
自分の世界に閉じこもりアホの頂点を目指すルートビッヒ?!とかいう少年は今もなおパソコンに釘づけの状態であります(´Д`)
キモい、アホっぽい、童貞、チンカス、全てのステータスにおいて極めたこのルートビッヒ少年に一言☆
『♪終了♪』
ではそのチンカスの出すような糞な問題を「こんな問題しか出せないルートヴィヒはチンカスレベルの知能しかないという証明である証明」として完答してください
どうせ無理なんでしょ?自分が出来なかったからって出題者に当たり散らすのは小学生のすることだ。かえれかえれ
バカ、スルーを覚えろ
374 :
化学初心者:04/09/23 18:37:29 ID:kt0LdkW6
「視覚でとらえるフォトサイエンス 化学図録(数研出版)」のP22に「D同じ電子配置のイオンでは、原子番号が大きいほどイオンは小さい。(例:O2->F->Na+>Mg2+>Al3+)」とあります。
これの「F->Na+」の説明ができる方、よろしくお願いします。F、Na+は電子配列は同じではないですよね。
透明あぼんしる
このペースだと11月の京大模試までに教科書全部間に合うかな?
>>374 F-もNa+もNe型の電子配置じゃないの?O F Ne Na Mgだし。
確かにFとNa+は電子配置違うけど・・・
376 :
化学初心者:04/09/23 20:11:23 ID:kt0LdkW6
>>374 「F、Na+は電子配列は同じではないですよね。」
↓
「F-、Na+は電子配列は同じではないですよね。」
に訂正させていただきます。
>>375 失礼しました。勘違いしていました。確かに電子配列は同じです。
>>374 原子やイオンの大きさの比較についてはだいたい次のパターンです。
・同族元素の原子,イオン → 最外電子殻で説明
・同周期元素の原子,同一希ガス型電子配置のイオン → 原子核の正電荷で説明
周期表で縦に比べるときは明らかに最外殻によって大きさの説明がつきます。それに対して横に
比べるときは最外殻は同じですから,最外殻電子と原子核の引き合う強さで大小を考えます。
原子核の正電荷が大きいほど最外殻電子を強くひきつけるので,それだけ電子が内側に存在する
ことになり,粒子の大きさが小さくなるということです。F-とNa+の例でも電子配置は同じですが
原子核の正電荷が大きいNa+のほうが小さいイオン半径をもつことになります。(ここで言う
原子核の正電荷は,厳密には内殻の電子の負電荷と相殺したものです。)
ちなみにこの板には理科の質問スレや化学の勉強法スレがありますので,そちらで質問された
ほうが迅速に返答が得られるかと思います。
>>375 京大模試ぐらいまでには全範囲を終わらそうと思っていますが,私自身9〜11月が忙しくて確約は
できません。まだここでは済んでいない有機,平衡,高分子が大切になってきますね。
378 :
化学初心者:04/09/24 01:49:47 ID:NsxjaukL
>>377 ご指摘有難うございました。理解が深まりました。
ちなみに、ご指摘の「原子核の正電荷が大きいほど最外殻電子を強くひきつけるので」というようなところまで載っている参考書や書籍など、いいものがありましたら教えてください。
あと、質問スレとは、「[生物化学物理地学]質問スレ5」のことでしょうか。化学専門の質問スレが、これ以外に、自分では見つけられません。
>>377 す、すいません急かせてしまったみたいで。お暇なときに更新してください。
>>378 現在手元に参考書の類がほとんどないので内容は確認できませんが,卜部という高校の先生が
書いた『新研究』は通読はともかく調べ物にはいいでしょう。駿台の石川正明先生が書いている
参考書(いくつかありますが)にも載っていると思います。河合塾からも『精説』というのが出て
いますが,分厚さからして載っているのではないでしょうか。参考書を選ぶのは難しい作業ですが,
品揃えの良い書店にアクセスできるのなら直接手にとって自分で選ぶのが一番です。
化学に関しては,「化学的総合スレpH13」と「[生物化学物理地学]質問スレ5」がこの板にはあり
ます。前者は勉強法スレでしたが質問もされているようです。後者は他科目の質問もありますが
化学は比較的回答が得られやすいと思います。
>>379 気にしないでください。急いてなくて申し訳ないぐらいです。
381 :
化学初心者:04/09/24 17:33:38 ID:GOQWA7P6
>>380 有用な情報、助かりました。有難うございます。
382 :
大学への名無しさん:04/09/26 12:26:55 ID:fl8XdEO5
liy,h
383 :
大学への名無しさん:04/09/26 14:02:51 ID:AYFH7cY7
良age
384 :
大学への名無しさん:04/09/26 19:31:08 ID:tmkc3THa
だぶん小二でも糞だとわかるよ。
下手したらバーブ赤ちゃんでもわかる。
●●●テーマ32の解答●●● 酸素を含む鎖式化合物
(1) @ 縮合 A 脱離 B 脂肪酸 C ヒドロキシ酸
D アミノ酸 E 酸無水物
用語の確認です。@とAにおいてとれる分子を水に限定した場合,それぞれ脱水縮合,
脱水とよばれます。エタノールと濃硫酸を混合して加熱する反応では温度によって生じる
化合物が異なりますが,その違いをわかりやすく表現するのに「分子間脱水」や「分子内
脱水」という語が使われることもありますが,反応の名称としては前者が縮合(脱水縮合)
で,後者が脱離(脱水)となります。
カルボン酸の細区分も確認しておきましょう。脂肪酸は鎖式1価カルボン酸ですから,
ギ酸や酢酸も脂肪酸です。ヒドロキシ酸の代表は乳酸です。ヒドロキソ酸という誤りを
しないようにしましょう。アミノ酸はアミノ基をもつカルボン酸ですが,アミノ基と
カルボキシル基が同一炭素原子に結合したα-アミノ酸を単にアミノ酸ということも
ありますから文脈から判断することになります。酸無水物は無水カルボン酸という間違い
をしないようにしましょう。
(2) CH3COCH3 + 4NaOH + 3I2 → CH3COONa + CHI3 + 3NaI + 3H2O
-COCH3(アセチル基)または-CH(OH)CH3を有し,これらの原子団が炭化水素基または水素
原子と結合している化合物を,I2およびNaOH水溶液とともに温めるとヨードホルムCHI3の
黄色沈殿が生じ,これをヨードホルム反応といいます。最初に書いたように,エタノール,
アセトアルデヒド,2-プロパノール,アセトンなどは反応しますが,酢酸は反応しません。
反応式を書く助けになると思いますので,反応をいくつかの段階に分けて考えます。まず
-CH(OH)CH3を有する場合はハロゲン単体の酸化作用により-COCH3となります。-COCH3に
対して初めに起こることはI2による置換反応です。
RCOCH3 + 3I2 → RCOCI3 + 3HI <1>
次に-CO-と-CI3の間がNaOHによって分解されます。-CO-側に-ONaが,-CH3側に-Hがつくと
考えてください。
RCOCI3 + NaOH → RCOONa + CHI3 <2>
ヨードホルムに炭素原子1個が行くためにもとの化合物は炭素数が1少ないカルボン酸の
塩になります。NaOHによるアルカリ性下の反応ですからカルボン酸ではなくて塩です。
ここで忘れてはいけないのが<1>式で生じたHIも酸であるということです。これもやはり
NaOHによって中和を受けるはずです。
3HI + 3NaOH → 3NaI + 3H2O <3>
以上の<1>〜<3>を足し合わせると解答の化学反応式が得られます(RをCH3としたものです)。
(3) @ 酢酸に対してエタノールの割合を大きくする。
A 無水酢酸とエタノール, 酢酸とエチレン
B 水酸化ナトリウム水溶液とともに加熱してけん化する。
通常,エステル化やエステルの加水分解には酸触媒が用いられます。エステル化は平衡に
達する反応です。酢酸の量をそのままでエタノールを多くすると,平衡が右に移動する
ためエステルの収量が増えます。このようにして収率を増やすのは,酢酸が高価で
エタノールが安価であるというような組み合わせの場合に有効です。
エステルを合成する反応として酸とアルコールを用いる方法以外に2通りの反応を覚えて
おきます。水がとれる反応ならあらかじめ水をとっておけばよいという発想で,酸から
水をとったもの,すなわち酸無水物とアルコールを反応させるのが一つです。もう一つは
アルコールから水をとったもの,すなわちアルケンと酸を反応させるというものです。
(CH3CO)2O + C2H5OH → CH3COOC2H5 + CH3COOH
CH3COOH + CH2=CH2 → CH3COOC2H5
前者では,エステルとともにカルボン酸が生じます。後者はエチレンに対する酢酸の付加
が起こっています。
エステルの分解には酸触媒による通常の加水分解とアルカリによるけん化があります。
前者は問題文の通り平衡に達して完全に分解することはできません。後者はこの平衡に
おいて生成するカルボン酸をアルカリで中和することにより平衡をエステル分解の方向に
移動させることにより,完全に反応を進めることができます。
CH3COOC2H5 + H2O ⇔ CH3COOH + C2H5OH
CH3COOH + NaOH → CH3COONa + H2O
(足して) CH3COOC2H5 + NaOH → CH3COONa + C2H5OH
必要ならカルボン酸の塩は弱酸の遊離によってカルボン酸にできます。
◆◆◆テーマ33◆◆◆ 芳香族化合物1
(1) ベンゼンの炭素原子間の結合が交互に単結合と二重結合が固定されたものではないという
ことを示す事実を,次の@〜Bの項目についてそれぞれ記せ。
@ 結合の長さ A 反応性 B オルト異性体
(2) 次の文に誤りがある場合には指摘して訂正せよ。
@ ナフタレンはベンゼン環2つが辺を共有した構造をもち,C10H10の分子式で表される。
A キシレンにはオルト,メタ,パラの3つの立体異性体が存在する。
B ベンゼンのブロモ化の触媒には鉄粉の代わりに臭化鉄(V)を用いることができる。
C ベンゼンスルホン酸はかなりの強酸で,水に溶ける。
D 紫外線を照射しながらベンゼンに塩素を反応させると置換反応が起こる。
E トルエンとエチルベンゼンはともに過マンガン酸カリウムで酸化すると安息香酸になる。
F 酸化バナジウム(X)を触媒としてナフタレンを高温で空気酸化すると無水フタル酸が
得られる。
(3) @ 下記のA〜Gのうち,フェノールにあてはまるものを全て選び,記号を記せ。
A 下記のA〜Gのうち,エタノールにあてはまるものを全て選び,記号を記せ。
A 金属ナトリウムと反応し,水素を発生する。
B 塩化鉄(V)水溶液を加えると呈色する。
C おだやかに酸化するとアルデヒドを生じる。
D 水酸化ナトリウム水溶液と反応して塩を生じる。
E 水によく溶ける。
F 水溶液がリトマス紙を赤変する。
G 無水酢酸と反応しエステルを生じる。
(4) ベンゼンからフェノールを合成する方法を4つ挙げ,その経路を芳香族化合物の名称を
並べることによってそれぞれ記せ。 (例 トルエン→ベンズアルデヒド→安息香酸)
質問なんだけど
エタノールのヨードホルム反応式の係数ってどうやって合わせるの?
アセトンの方は分かるんだけど
>>390 アルコールの場合は最初にI2によって酸化されて-CH(OH)CH3が-COCH3に変わると考えるのがわかり
やすいと思います。酸化還元反応ですから半反応式をつくります。
RCH(OH)CH3 → RCOCH3 + 2H+ + 2e-
I2 + 2e- → 2I-
これらを足すと同時に,溶液がアルカリ性であることを考慮して,
RCH(OH)CH3 + I2 + 2OH- → RCOCH3 + 2I- + 2H2O
というイオン反応式ができます。アルカリはNaOHによるものですから,両辺に2Na+を加えておきます。
これと,
>>386で示した反応式
RCOCH3 + 4NaOH + 3I2 → RCOONa + CHI3 + 3NaI + 3H2O
を足すと,アルコールのヨードホルム反応の式が得られます。
RCH(OH)CH3 + 6NaOH + 4I2 → RCOONa + CHI3 + 5NaI + 5H2O
エタノールはRをHとした場合になります。
●●●テーマ33の解答●●● 芳香族化合物1
(1) @ ベンゼンの6本の炭素原子間の結合の長さは二重結合と単結合の中間にあり,すべて
等しい。
A ベンゼンでは炭素間二重結合に対して起こりやすい付加反応を受けにくく,置換反応を
受けやすい。
B 単結合と二重結合が固定されているなら置換基がつくオルトの2つの炭素原子が単結合
をはさむ異性体と二重結合をはさむ異性体の2種あるはずだが,実際は1種しかない。
高校の化学では分子において電子がどのように存在するかということは扱いませんから,
ベンゼンの6本の炭素間結合および6個の炭素原子の化学的性質が等しいという事実のみ
を習い,特に理屈付けはされません。
粗く言うと学問の進歩には,事実の積み重ねから背景にある理論を構築する場合と,理論
を予測してから支持する事実を見つけて証明する場合があります(実際には両方一緒に
行われます)。前者のパターンが多いと思われますが,後者の例には,ドルトンの原子説
(原子説から予想される倍数比例の法則をあとから確かめた)やメンデレーエフの周期律
(予想した未知の元素があとから発見された)があります。私たちはそういった先人の
成果を享受しているわけですが,学習の方法もやはり2パターン,すなわち事実から入る
方法と理屈から入る方法があると思います。理屈というのは多くの事実を凝縮したもの
ですから,少ない理屈を覚えて多くの事実を説明できるようにすると効率の良い学習が
できます。しかし高校で習う事実はそれほど多くないため,理屈から入っても効果的で
ないということもしばしばあります。
話が逸れましたが言いたかったことは,有機の反応のパターンを覚える際,その背景に
ある電子のふるまいを学ぶことは,興味をそそることではあるが学習の効率を高めること
にはならないということです。ただ,頭の柔軟な時期に興味を満たすことは良いことです。
興味があるなら勉強すればよいが,そこまですべきかどうかと考えているならしなくても
よいと思います。
(2) @ ナフタレンの分子式はC10H8である。 A 立体異性体ではなく構造異性体である。
B ○ C ○ D 置換反応ではなく付加反応である。 E ○
F 無水フマル酸ではなく無水マレイン酸である。
ナフタレンとアントラセンの分子式と構造式は少し注意してください。六角形がくっつ
いた形の頂点の数だけ炭素原子はありますが,六角形の継ぎ目にあたる炭素原子は炭素
間結合に4本の手を使うため水素原子は結合していません。その分だけ水素原子の数は
炭素原子より少なくなり,ナフタレンでC10H8,アントラセンでC14H10となります。
多くの試験ではベンゼン環の表記に正六角形に3本の線を足したものを使いますが,
ナフタレンの構造式を書くとき六角形の継ぎ目の頂点から線を5本出さないようにして
ください。うっかり2つのベンゼン環をそのまま左右から合体させるとそのような誤りを
犯してしまいます。二重結合が局在していないといえども,この表記上は炭素の手が
4本だという原則に従う必要があります。アントラセンも同様です。
オルト,メタ,パラ異性体は原子の結合順序が異なるので構造異性体です。
ベンゼンのハロゲン化の触媒はハロゲン化鉄(V)です。鉄粉を用いた場合も鉄とハロゲン
単体が反応してハロゲン化鉄(V)を生じ,これが触媒として作用します。よって,鉄は
反応の前後で変化を受けていますが,触媒という表現が用いられます。
ベンゼンスルホン酸は硫酸と同様の構造をもっているので強酸です。芳香族化合物は
分子の状態では水に溶けにくいですが,ベンゼンスルホン酸は電離しやすくイオンの
状態になれるので水によく溶けます。初学者はニトロベンゼンが酸であるように錯覚する
ことがあるので注意が必要です。
ベンゼンは置換反応を受けやすく,加熱するといっても数十℃程度でわざわざ書いてない
こともあります。それに対し付加反応は,水素なら触媒,高温,高圧,塩素なら紫外線
(光)という条件が必要で,置換反応よりずっと大きいエネルギーを外部から与える必要
があります。付加反応ではベンゼン1分子に対して水素または塩素3分子が付加します。
芳香族炭化水素の反応は,置換,付加,酸化の3つに大別し,置換はハロゲン化,ニトロ化,
スルホン化,(アルキル化)の4つ,付加は水素と塩素の2つを覚えます。そして酸化は
置換基である炭化水素基の酸化とベンゼン環の酸化に分けます。トルエンやエチルベンゼン
のようにベンゼン環に炭化水素基がついている場合,KMnO4で酸化するとベンゼン環に
直結する炭素原子が酸化されてカルボキシル基になります。これは炭化水素基の炭素原子
数がいくつでも必ず根元の(ベンゼン環の隣の)炭素原子の酸化です。
ベンゼン環はV2O5触媒により空気酸化されます。ベンゼンは無水マレイン酸になります。
これはベンゼンのC=Cが1組残り,その隣の2つのCがカルボキシル基になり,あと2つの
Cはとれてしまったと考えればよいです。これをナフタレンにもあてはめると,ベンゼンの
C=C1組が残る代わりにベンゼン環1個が残ったと見ることができます。問題自体は
シスのマレイン酸とトランスのフマル酸による単なるひっかけです。
(3) @ A, B, D, G A A, C, E, G
フェノール性ヒドロキシル基とアルコール性ヒドロキシル基の性質に関する問題です。
-OHのみが関与して,-OHがついているCまでは関与しない反応は両者共通の反応です。
つまり,金属Naとの反応とエステル化はフェノールでもエタノールでも起こります(ただ
起こりやすさに違いはありますが)。
それに対し,フェノールでは-OHがベンゼン環に直結していることにより-OHが電離
しやすいことに特徴があります。よって酸の性質としてNaOHと中和反応を起こしますが,
その酸性はリトマス紙を赤変しない程度に弱いものです。また,電離して生じたイオンが
Fe3+と錯イオンを形成することでフェノール類は紫系の色を呈します。
酸化については,アルコール性OH基は第何級かによって反応が決まっていて,エタノール
のような第一級アルコールはアルデヒドに酸化されます。フェノールは実は酸化され
やすいのですが,その変化が複雑なため教科書では触れられていません。フェノールは
空気中でも徐々に酸化され,生じた物質により赤みを帯びてきます。
水溶性は主に炭素原子数とヒドロキシル基の数の関係で決まります。だいたいは-OH1個
に対して炭素3個までは溶けやすく,炭素がそれ以上多いと溶けにくいと言えます。
フェノール類でも-OHを複数もつものは水に溶けやすくなります。
(4) ・ ベンゼン→クロロベンゼン→ナトリウムフェノキシド→フェノール
・ ベンゼン→ベンゼンスルホン酸→ベンゼンスルホン酸ナトリウム→ナトリウムフェノキシド
→フェノール
・ ベンゼン→クメン→クメンヒドロペルオキシド→フェノール
・ ベンゼン→ニトロベンゼン→アニリン塩酸塩→アニリン→塩化ベンゼンジアゾニウム
→フェノール
上3つは工業的製法です。下1つは実験室で可能な反応ですが,わざわざこの方法で
フェノールをつくることはないでしょう。塩化ベンゼンジアゾニウムの分解によって
フェノールが生じることを思い出せるようにしておく意味で4つ目にとりあげました。
もちろん,この流れに構造式,試薬,条件を加えて覚える必要があります。
◆◆◆テーマ34◆◆◆ 芳香族化合物2
(1) つぎの操作による変化を化学反応式でそれぞれ記せ。
@ ナトリウムフェノキシド水溶液に二酸化炭素を吹き込む。
A 加圧下でナトリウムフェノキシドと二酸化炭素とを加熱する。
(2) 分子式C8H6O4で表される芳香族ジカルボン酸A,B,Cがある。Aは加熱で容易に脱水する。
Bは合成繊維の製造に用いられる。A,B,Cの名称をそれぞれ記せ。
(3) サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸のうち,一方は常温で固体,他方は液体である。
常温で固体であるのはどちらか。
(4) つぎの操作による変化を化学反応式でそれぞれ記せ。
@ ニトロベンゼンをスズと濃塩酸で還元する。
A アニリンと無水酢酸を反応させる。
B アニリン塩酸塩水溶液に5℃以下で亜硝酸ナトリウム水溶液を加える。
C 塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液を温める。
D 冷却した塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液にナトリウムフェノキシドを反応させる。
(5) つぎの文の中から誤ったものを1つ選べ。
@ トルエンに濃硝酸と濃硫酸を反応させると黄色の固体を得る。
A ベンズアルデヒドとフェーリング液を加熱すると赤色沈殿を生じる。
B 2-ナフトールに塩化鉄(V)水溶液を加えると緑色を呈する。
C アニリンにさらし粉を加えると赤紫色を呈する。
D アニリンと硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液を加熱すると黒色の物質を得る。
保守
399 :
大学への名無しさん:04/10/04 05:15:42 ID:7YDBzgDA
ルートヴィヒさんへ質問状
突然ですが、あなたのような知識人にどうしても聞きたいことあるんよ。
ルートヴィヒさんは化学に自信を持っていそうだし、私はあなたの大ファンだからどうしても聞きたい。
それは…
化学の問題集ってのはあれこれ、いろいろと手を出すべきなのか?ということです。
しっかりと何度も繰り返しやるべきか、手当たり次第いろいろな問題集をこなすべきか…
そしてルートヴィヒさんオススメ問題集を教えて下さい。
あれこれすいませんでした
>>399 受験勉強の計画を立てるには次のことを考えます。
@現在の化学の力 ──────────────────→ C受験に必要な化学の力
A自分の潜在能力,B使える時間
BCでは必ず他の教科・科目とのバランスを考えてください。化学は伸ばしやすい科目ですが,当然
完成に近づくほど効率よく伸ばすのは難しくなります。化学が最も苦手という人はあまり聞きません。
しっかり化学以外を伸ばすことが大切です。
そう考えると「何度も」繰り返すことも「いろいろと」手をつけることも,非効率的であるおそれが
あります。理想は「1〜2冊」を「必要なだけ」繰り返すことです。ポイントは,
・ 初習分野でなければ,問題数を絞ってでもテンポ良く進める。
・ 不正解の問題は3日〜1週間後に解きなおし,解けるようになるまで繰り返す。
・ 正解したが自信がなかった問題もできればもう1度解く。
ということです。一度見た問題が解けないのに初見の問題は解けません。消化不良のままいろいろと
手を出すのは無意味です。逆に余裕で解けるものを繰り返しても面白くありません(何もしないより
はずっといいですが)。モチベーションを保つためにも次に進んだほうがよいでしょう。
通常は基礎固めの問題集と入試標準レベルまでの問題集の2冊で十分で,あとは過去問に進みます。
ごく一部の大学・学部ではもう一つ上の問題集をやってもいいでしょう。具体的には
>>101で
紹介した問題集が私のお勧めです。化学に費やせる時間が十分あれば,駿台文庫の『原点からの化学
シリーズ』がお勧めです。
●●●テーマ34の解答●●● 芳香族化合物2
(1) @ C6H5ONa + H2O + CO2 → C6H5OH + NaHCO3
A C6H5ONa + CO2 → o-C6H4(OH)(COONa)
(構造式を書けないので「o-」のような表現をここでは用います。)
試薬が共通でも条件によって反応が異なる一例を取り上げました。@では弱酸の遊離が
起こります。酸の強弱については,
カルボキシル基>炭酸(第1電離)>フェノール性ヒドロキシル基
という関係があるため,フェノールの塩に炭酸を加えるとフェノールが遊離します。
Aでは置換反応が起こります。-ONaに対してオルトの位置にある-HがCO2によって置換
されるのですが,−H + CO2 → −COO- + H+ により結局は-COOHが生じます。ところが,
C6H4(ONa)(COOH)は最終生成物ではありません。ここでも-ONaは-COOHの存在によって弱酸
の遊離を起こし,C6H4(OH)(COONa)となります。
(3) アセチルサリチル酸
サリチル酸はしばしば「医薬品の原料」と表現されます。サリチル酸を無水酢酸でアセチル
化する(エステル化によりアセチル基を導入する)とアセチルサリチル酸が生じます。これ
はアスピリンとして知られる解熱鎮痛薬です。また,サリチル酸をメタノールでエステル化
するとサリチル酸メチルが生じます。これは消炎鎮痛薬として外用塗布に用いられます。
さてこのような問題が出されるとすると,答えは十分予測可能なものであるということです。
アセチルサリチル酸にはカルボキシル基が残っており,サリチル酸メチルにはヒドロキシル
基が残っています。カルボキシル基は水素結合により二量体をつくるので融点や沸点が高く
なる傾向にあります。(分子間力については
>>84付近を参照)
(4) @ 2C6H5NO2 + 3Sn + 14HCl → 2C6H5NH3Cl + 3SnCl4 + 4H2O
酸化還元反応ですから,C6H5NO2→C6H5NH3+とSn→Sn4+より半反応式をつくるところから
始めればつくれます。塩酸酸性下なので,アニリンはアニリン塩酸塩の形になります。
Snは+2より+4が安定であったことを思い出してください(
>>324)。
A C6H5NH2 + (CH3CO)2O → C6H5NHCOCH3 + CH3COOH
アミド生成反応によりアセチル基が導入されるのでアセチル化とよぶことができます。
生成物はアセトアニリドと酢酸です。無水酢酸を用いたアセチル化では酢酸が生じます。
B C6H5NH2 + NaNO2 + 2HCl → C6H5N2Cl + NaCl + 2H2O
ジアゾ化が起こります。生成する塩化ベンゼンジアゾニウムが熱に不安定であるため冷却
して反応させます。係数が単純なので,物質を並べて係数合わせをすればよいでしょう。
C C6H5N2Cl + H2O → C6H5OH + HCl + N2
塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液の温度が上がると,窒素を発生し,フェノールが生じます。
このことを覚えていれば反応式自体は難しくありません。
D C6H5N2Cl + C6H5ONa → C6H5−N=N−C6H4−OH + NaCl
カップリングが起こり,アゾ化合物の一種p-ヒドロキシアゾベンゼン(p-フェニルアゾ
フェノール)が生じます。多くの試験では反応式中でも芳香族化合物を構造式(ベンゼン環
だけでも)で表記するようになっていますので,その目で以上の解答を見てください。
(5) A
ニトロ化合物には淡黄色から黄色のものが多いです。トルエンを十分ニトロ化すると,
2,4,6-トリニトロトルエンが生じます。ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド
はフェーリング反応を起こしません。フェノール類のFeCl3aqによる呈色は紫系ですが,
2-ナフトールでは緑色を呈します。アニリンの呈色反応は問題の通りです。この問題自体は
悪問ですが,丁寧に勉強している人には少し刺激を与えるものとして出しました。
◆◆◆テーマ35◆◆◆ 油脂
(1) 次の語句をそれぞれ説明せよ。
@ 油脂 A 脂肪 B 脂肪油 C 硬化油 D 乾性油 E セッケン
(2) 次の空欄に適切な語句を入れよ。
油脂の性質は油脂を構成するステアリン酸やオレイン酸など[ イ ]の種類によって決まる。
具体的には油脂の性質は1分子中の[ ロ ]の数と[ ハ ]の数に左右される。[ ロ ]
の数は分子量に反映されるので,それが多いほど融点が[ ニ ]なる。[ ハ ]は炭素鎖
を曲げるので,それが多いほど融点が[ ホ ]なる。また[ ハ ]は反応性に富み,空気
中の[ ヘ ]と反応するので,[ ハ ]が多いほど油脂は[ ト ]しやすくなる。
(3) ステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)のみからなる油脂を水酸化ナトリウムでけん化する
ときの変化を化学反応式で記せ。
(4) セッケンの作用を2つ挙げ,それぞれ説明せよ。
(5) 硫酸ドデシルナトリウムの示性式を記せ。
(6) 合成洗剤と比較したときのセッケンの短所2つと長所1つをそれぞれ説明せよ。
■追加■ テーマ34の解答で(2)が飛んでしまいましたのでここに追加します。
(2) A フタル酸 B テレフタル酸 C イソフタル酸
ジカルボン酸ですからC8H6O4は示性式C6H4(COOH)2に書き換えられます。そして芳香族です
からC6H4はベンゼン環に決まります。ベンゼンの二置換体ですから,異性体はオルト,
メタ,パラの3種です。「加熱で容易に脱水」できるカルボン酸は,分子内の近い位置に
2つのカルボキシル基をもつものです(さらに言うと脱水により五員環か六員環をつくれる
ものです)。教科書ではマレイン酸とフタル酸o-C6H4(COOH)2が紹介されています。テレ
フタル酸p-C6H4(COOH)2を導くための手掛かりとして「合成繊維の原料」であることが
書かれていることがあります。
sage保守
408 :
大学への名無しさん:04/10/09 01:22:03 ID:q9OLXhG6
ルートヴィヒさんお返事ありがとうございました。理系標準問題集を私はやってますからそれを適度にやりたっていきたいと思います
ルート(以下省略)さんのアドバイスはかなりためになりました。
もう時間はありませんがまた悩んだ時は相談に乗って下さい。
ってか失礼かもしれないけど2ちゃんねるなんかでやるよりルートさんがホームページを作られた方がいいのではないでしょうか(笑)
絶対に良いホームページになると思いますよ
409 :
大学への名無しさん:04/10/12 00:09:18 ID:HdHdM53I
糞つきパンツ
ここまで内容詰まり過ぎなスレも珍しいな
2chのこと貶す奴もいるが、情報の取捨とかうまくやれば
これほど使えるツールはないのにな
>>408 アドバイスがお役に立ったようなら幸いです。ホームページにするほどの余力はありません。
このようにあまり期待をもたれずに,好き勝手なペースで更新するには2chぐらいが丁度です。
>>410 私も「情報の取捨」が非常に大切だと思います。高等学校まで検定教科書とそれに準ずる参考書類
を使っているせいか,情報を取捨選択する能力というか習慣が育っていない気がします。
●●●テーマ35の解答●●● 油脂
(1) @ 高級脂肪酸とグリセリンのトリエステル。
A 常温で固体の油脂。 B 常温で液体の油脂。
C 脂肪油に触媒を用いて水素を付加させて得られる固体の油脂。
D 空気中に放置したとき固化しやすい脂肪油。
E 高級脂肪酸のナトリウム塩。
語句の確認です。グリセリンC3H5(OH)3は3価アルコールで3個の炭素原子に1個ずつ
ヒドロキシル基がついています。高級脂肪酸は炭素数の多い脂肪酸(
>>385)です。グリセリン
1分子と高級脂肪酸3分子がエステル結合を形成したものが油脂です。高級脂肪酸3分子は
同一とは限りません。
高級脂肪酸としてはパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸が
よく出てきますが示性式を覚えている必要はまずないでしょう。念のため覚えるとすれば,
炭素数とC=Cの数を覚えておきます。これらは(2)で説明するように油脂の性質に影響します。
パルミチン酸のみ炭素数16で,他は18です。パルミチン酸とステアリン酸は飽和脂肪酸
(C=C数が0)で,他は不飽和脂肪酸(C=C数は上記の順に1,2,3)です。
(2) イ…(高級)脂肪酸 ロ…炭素原子 ハ…炭素間二重結合 ニ…高く ホ…低く
ヘ…酸素 ト…固化
問題文の説明の通り,油脂の融点は炭素原子数(分子量)とC=C数(分子の形)に影響され
ます。天然の油脂に含まれるC=Cはシス型ですが,炭素鎖をできるだけ真っ直ぐ伸ばそうと
してもそこで必ず折れ曲がりができます。分子の形が整っているほうが規則正しく並び
やすいですから,結晶が安定となり,融点が高くなります。よって,C=C数が多いほど融点
が低くなります。
脂肪油の融点が低い理由は炭素数が少ないか,C=C数が多いか,またはその両方です。
そこでC=C数が多い脂肪油ではそれを減らせば融点が高くなるはずです。具体的にはNi触媒
を用いて水素付加を行います。そうしてできた融点が高い固体の油脂を硬化油とよびます。
身近な例では,植物油からつくられるマーガリンが硬化油です。
油脂にC=Cがあるとその部分が反応性に富むため,空気中の酸素と反応が起こります。酸素
との反応ですから酸化ということができますが,さらにこのとき油脂の分子と分子が新たな
結合によりつながってしまいます。この反応を重合とよびます。分子どうしがつながると
互いに位置を換えられないので脂肪油は流動性を失います。見た目にはカピカピに乾いた
ような感じになり,「固化した」と表現されます。C=C数の多い脂肪油ではこの現象が
起こりやすいため乾性油とよばれます。逆にC=Cに乏しい脂肪油は不乾性油,そして中間的
な脂肪油を半乾性油とよびます。
(3) C3H5(OCOC17H35)3 + 3NaOH → C3H5(OH)3 + 3C17H35COONa
ステアリン酸は炭素数18の飽和脂肪酸ですから,炭素数17のアルキル基(鎖式飽和炭化水素
基)とカルボキシル基からなります。アルキル基は一般にC(n)H(2n+1)で表現されますから,
ステアリン酸はC17H35COOHという示性式をもちます。グリセリンは示性式C3H5(OH)3をもち
ますから,ステアリン酸とエステルをつくると-OHが-OCOC17H35に変化して,
C3H5(OCOC17H35)3という式で油脂が表されます。けん化の化学反応式ですから,エステル+
塩基→アルコール+カルボン酸塩という形で係数に注意して完成させます。
(4) 界面活性作用:水の表面張力を低下させるはたらき。
乳化作用:油を取り囲んで小さい粒にし,水に混じり合うようにするはたらき。
水分子どうしは水素結合で強く引き合っていますから,お互いできるだけかたまって存在
しようとします。表面にある水分子は外側に水素結合をつくることができませんから,同量
の水であれば表面積が小さいほど多くの水素結合をつくることができます。そこで水は
できるだけ表面積の小さい形,すなわち球形になろうとします。この表面を縮めようとする
力を表面張力といいます。セッケン分子は水分子間の水素結合を断ち切ることにより,この
性質を弱めます。このように少量でも表面張力を低下させるはたらきをもつ物質を界面活性
剤,その作用を界面活性作用といいます。洗濯ではこれにより繊維の間に水がしみこみ
やすくなります。
セッケン水溶液においてセッケン分子(正確には高級脂肪酸イオン)は,疎水性の炭化水素
基を内側に,親水性のカルボキシル基のイオンの部分を外側に向けて,球形の粒子をつくっ
ています。これは分子が集合してコロイドの大きさになったものですから,会合コロイド
(ミセル)です。セッケン水溶液に少量の油を入れて振ると,疎水性の部分で油を取り囲み,
親水性の部分を水側に向けることによって,油を小さな粒子にして水に混ざり合うように
します。この現象を乳化,このはたらきを乳化作用,得られた液を乳濁液といいます。洗濯
ではこれにより油汚れを落とします。
(5) CH3(CH2)11OSO3Na
1-ドデカノールは炭素数12で直鎖状の1価アルコールです。カルボン酸とアルコールが縮合
したものをエステルといいますが,一般にオキソ酸とアルコールが縮合したものも広義に
エステルといいます。1-ドデカノールと硫酸が縮合すると硫酸ドデシルというエステルが
生じます(カルボン酸のエステルと同様,アルコールのHと硫酸のOHがとれます)。
CH3(CH2)11-OH + HO-SO3H → CH3(CH2)11OSO3H
これのナトリウム塩が硫酸ドデシルナトリウムです。これはセッケンと同様に,アルキル基
による疎水性の部分と,−OSO3-という親水性の部分からなるので,セッケンと同様に
界面活性作用および乳化作用を示します。よってセッケンに対しこのような物質を合成洗剤
とよびます。代表例として硫酸ドデシルナトリウムのほかにドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムCH3(CH2)11C6H4SO3Naがあります。ドデシル基は他のアルキル基でもかまいません。
(6) 短所1:合成洗剤の水溶液は中性であるが,セッケンの水溶液は弱塩基性であるため動物性繊維
をいためる。
短所2:合成洗剤は硬水でも使えるが,セッケンを硬水に溶かすとMg2+やCa2+の脂肪酸塩が
沈殿してしまい,洗浄能力を失う。
長所 :合成洗剤と比べて,セッケンは微生物によって分解されやすく,環境への負荷が少ない。
セッケンの短所はカルボン酸の塩であるところに由来します。まず弱酸の塩であるために
水溶液がアルカリ性を示します。動物からとれる繊維はタンパク質が主成分ですが,タンパク
質はpHの変化により変性します。二番目は沈殿の話ですから理屈抜きに違いを覚えてください。
Mg2+やCa2+を含む水を硬水といいますが,これらの陽イオンをセッケンの陰イオンは沈殿を
つくりますが,合成洗剤の陰イオンは沈殿をつくりません。
セッケンの長所は原料に由来します。油脂および高級脂肪酸はもともと天然に存在する物質
ですから,微生物はこれを容易に分解します。それに対して合成洗剤は天然にはなかった
化学構造をもっていますから,微生物にとってこれを分解するのは困難なことです。
◆◆◆テーマ36◆◆◆ 糖類
(1) 次の文に誤りがある場合には指摘して訂正せよ。ただし,単糖類の6個の炭素原子に
カルボニル基に近い方の末端から1〜6の番号をつけて「1位」のように表すものとする。
@ 鎖状構造においてグルコースとフルクトースは互いに立体異性体である。
A 鎖状構造においてグルコースとガラクトースは互いに立体異性体である。
B グルコースは水溶液中で3種の異性体の平衡混合物となる。
C グルコースが六員環構造をとる場合,1位と5位の炭素がエーテル結合をつくる。
D フルクトースが六員環構造をとる場合,1位と5位の炭素がエーテル結合をつくる。
E α-グルコースの1位のヒドロキシル基は鎖状構造に変化するために不可欠である。
F グルコースはアルデヒド基をもつので還元性を示す。
G フルクトースは通常のケトンより反応性の高いケトン基をもつので還元性を示す。
H 糖類の2つのヒドロキシル基から生じたエーテル結合をグリコシド結合という。
I 同じ物質量のマルトースとグルコースでそれぞれフェーリング反応を行うと,マルトース
ではグルコースから得られる量の2倍の酸化銅(T)が沈殿する。
J グルコースと同様にマルトースにもα型とβ型がある。
K スクロースには還元性がない。
(2) デンプンはアミロースとアミロペクチンの混合物である。アミロースはα-グルコースが1位
と4位でグリコシド結合してできた鎖がらせん構造をとる。ヨウ素デンプン反応はこのらせん
構造にヨウ素分子が入り込むことにより起こる。ヨウ素デンプン反応によりアミロースは濃青
色を呈するが,希塩酸で加水分解していくと,順に,紫色,赤色,褐色,無色へと変化する。
@ ヨウ素デンプン反応によりアミロペクチンは赤紫色を呈する。このことと上記の文より
アミロースとアミロペクチンのらせん構造についてわかることを説明せよ。
A アミロースの分子量は4万から5万であるが,アミロペクチンの分子量は数十万に達する。
このことと@の解答の関係を,アミロースとアミロペクチンの分子構造の違いから説明
せよ。
(3) セルロース[C6H7O2(OH)3]に無水酢酸を反応させるとアセチルセルロースが得られる。
@ 生成物がトリアセチルセルロースである場合の変化を化学反応式で記せ。
A セルロース1.00×10^2gからアセチルセルロース1.50×10^2gが得られた場合,グルコース
単位1個あたりアセチル化されたヒドロキシル基は何個か。有効数字2桁で求めよ。
原子量は,H=1.0,C=12,O=16とする。
■訂正■
テーマ36の(3)で,セルロースの示性式にnが抜けていました。
誤 [C6H7O2(OH)3] → 正 [C6H7O2(OH)3]n
(1) 次の文に誤りがある場合には指摘して訂正せよ。ただし,単糖類の6個の炭素原子に
カルボニル基に近い方の末端から1〜6の番号をつけて「1位」のように表すものとする。
×@ 鎖状構造においてグルコースとフルクトースは互いに 構造 異性体である。
○A 鎖状構造においてグルコースとガラクトースは互いに立体異性体である。
○B グルコースは水溶液中で3種の異性体の平衡混合物となる。
○C グルコースが六員環構造をとる場合,1位と5位の炭素がエーテル結合をつくる。
×D フルクトースが六員環構造をとる場合, 2 位と 6 位の炭素がエーテル結合をつくる。
○E α-グルコースの1位のヒドロキシル基は鎖状構造に変化するために不可欠である。
○F グルコースはアルデヒド基をもつので還元性を示す。
○G フルクトースは通常のケトンより反応性の高いケトン基をもつので還元性を示す。(結局はアルデヒドになる。)
○H 糖類の2つのヒドロキシル基から生じたエーテル結合をグリコシド結合という。
×I 同じ物質量のマルトースとグルコースでそれぞれフェーリング反応を行うと,マルトース
ではグルコースから得られる量の 1 倍の酸化銅(T)が沈殿する。
○J グルコースと同様にマルトースにもα型とβ型がある。
○K スクロースには還元性がない。
422 :
大学への名無しさん:04/10/16 21:47:39 ID:jYtk4IGt
age
>>419 (2)
@ アミロペクチン分子のらせん構造の部分は
アミロース分子のらせん構造の長さに比べるとより格段に短いことがわかる。
A アミロース分子は、一本のらせん構造を持った分子である。一方、
アミロースの数倍の分子量あるいは構成単位を持つにもかかわらず、
アミロペクチン分子はその分子の中のらせん構造の部分はアミロース分子に比べ
格段に短い。ということは、アミロペクチン分子は短いらせん構造部分が、
アミロースのように一本ではなく、木の枝のような形状で、いくつも組み合わさって
できていることがわかる。
(3)
@ [C6H7O2(OH)3]n+3nCH3COOH→[C6H7O2(OCOCH3)3]n+3nH2O
A グルコース単位1個当たりアセチル化されたヒドロキシル基をm(0≦m≦3)個とする。
分子量は、
[C6H7O2(OH)3]n=162n
[C6H7O2(OCOCH3)m]n=(59m+111)n
[C6H7O2(OH)3]n+mnCH3COOH→[C6H7O2(OCOCH3)m]n+mnH2O
1.00×10^2 g 1.50×10^2 g
――――――――― ――――――――――――
162n g/mol (59m+111)n g/mol
ゆえに、
1.00×10^2 g 1.50×10^2 g
―――――――――=――――――――――――
162n g/mol (59m+111)n g/mol
⇔ m=2.23
=2.2 (確かに、0≦m≦3 を満たす。)
したがって、グルコース単位1個当たりアセチル化されたヒドロキシル基は2.2個である。…(答)
>>421 正解です。
>>423 減点なく○になるでしょう。
>>424 @は本文に「無水酢酸」を用いたとありますから注意してください。
Aは方針としては正しいですが,最初の示性式の段階で誤りがあります。アセチル化された
ヒドロキシル基がm個あるなら,されていないヒドロキシル基が(3-m)個残っているので,
[C6H7O2(OH)(3-m)(OCOCH3)m]nとして分子量は(162+42m)nとしなければなりません。これを
用いてあとは同様に計算すれば,mの値は解答に一致します。
●●●テーマ36の解答●●● 糖類
(1) @ 立体異性体を構造異性体に訂正する。 A ○
高校で扱う単糖類はグルコース,フルクトース,ガラクトースの3種で,いずれもC6H12O6の
分子式をもちます(炭素原子を6個もつ単糖類をヘキソース(六炭糖)といいますが,新課程
ではリボースのようなペントース(五炭糖)も扱うのかもしれません)。鎖状構造において,
グルコースとガラクトースはアルデヒド基をもち,このような単糖類をアルドースといいます。
フルクトースはケトン基をもち,ケトースに分類されます。このことから,フルクトースは
グルコースやガラクトースに対して構造異性体の関係にあることがわかります。グルコースと
ガラクトースは直鎖状の炭素鎖の末端がアルデヒド基で,残りの5個の炭素原子に1個ずつの
ヒドロキシル基をもっているので,構造異性体の関係にはありません。この分子は2位から
5位の4個の炭素原子が不斉炭素原子になりますから,2^4=16個の立体異性体が存在します。
グルコースとガラクトースは4位の炭素原子につく-Hと-OHの向きが異なる立体異性体です。
グルコースとフルクトースの構造は覚えなければなりませんが,このことを知っていれば
ガラクトースもついでに覚えられます(不要ですが)。
B ○ C ○ D 「1位と5位」を「2位と6位」に訂正する。 E ○
グルコースは鎖状構造以外に2種の環状構造をとります。そして水溶液中ではこれら3種の
異性体が平衡状態にあります。鎖状構造と環状構造との変化には4つの原子が関与します。
| |
−C−O−H −C−O H
/ ⇔ / | |
C=O C−O
/ \ / \ ←☆と-OHの立体配置は逆にもなる
☆ ☆
グルコースでは1位のカルボニル基と5位のヒドロキシル基の間で変化が起こり,エーテル
結合を含む環をつくります。この図からわかるように,環をつくるためには必ずカルボニル
基が必要で,ヒドロキシル基はいくつかあるうちのどれかでよいはずです。どのヒドロキシル
基を使うかは生じる構造の安定性で決まり,通常六員環か五員環構造となります。グルコース
の場合は,もっぱら六員環構造です。逆に環を開いて鎖状構造にするためにも,図において
変化に関わる4つの原子が揃っていなくてはなりません。グルコースでは1位の-OHがその
ままの形で残っていないと開環できません。
フルクトースの場合,五員環,六員環ともに安定です。どちらも必ず2位のカルボニル基が
反応します。五員環をつくるには5位,六員環をつくるには6位のヒドロキシル基と反応
すればよいわけです。
F ○ G ○
アルドースであるグルコースはもちろん,ケトースであるフルクトースも還元性を示します。
フルクトースのケトン基が還元性をもつのは隣のヒドロキシル基の影響だとかいうのは高校
の段階ではさておき,フルクトースではケトン基を含む-CO-CH2OHの構造によって還元性を
示すということが大切です。つまり,アルドースと同様に,鎖状構造においてのみ還元性を
示すということです。つまり,
環状のグルコース(ガラクトース)1位,フルクトース2位の-OHが残っている
⇔ 鎖状構造に変化(開環)できる
⇔ 還元性を示す構造(アルデヒド基,-CO-CH2OH)に変化できる
という関係が成り立ちます。還元性に関する記述問題はこれを意識して答えをつくります。
H ○ I 「得られる量の2倍」を「得られる量と等量」に訂正する。 J ○ K ○
単糖類2分子が縮合した構造をもつ物質を二糖類といいます。この縮合により生じるエーテル
結合はグリコシド結合とよばれます。単糖類は環状構造においても5つのヒドロキシル基を
もちますが,この中でも環とともに生じたヒドロキシル基(グルコースの1位,フルクトース
の2位)は他より反応性に富みます。そこで通常のグリコシド結合はこのヒドロキシル基を
少なくとも1つ利用してつくられます。
マルトース α-グルコース 1位 − 4位 (α-)グルコース
セロビオース β-グルコース 1位 − 4位 (β-)グルコース
ラクトース β-ガラクトース 1位 − 4位 (α-)グルコース
スクロース α-グルコース 1位 − 2位 β-フルクトース(五員環構造)
まずマルトースに注目します。「2つのα-グルコースからなる」とされますが,ここでは
右のグルコースのαには括弧をつけています。もうおわかりのように,右側のグルコースは
4位の-OHに変化を受けていますが,1位の-OHはそのまま残っています。ということは,
鎖状構造に変化することが可能ですから,水溶液中ではαとβと鎖状構造の平衡混合物に
なるはずです。この意味においては右側のグルコースはαに限定できません(覚え方として
αと覚えるのは勧められます)。一方,左側のグルコースは1位の-OHがグリコシド結合に
使われているため開環できません。よって,マルトースはグルコースと同様に1分子中に
1か所だけ還元性を示す構造(アルデヒド基)をもつことになります。
次にスクロースを見ましょう。グルコースもフルクトースも開環するのに必要な-OHを
グリコシド結合に使っています。よって,どちらも開環できないので,α,βは固定されて
います。当然,鎖状構造になって還元性を示すこともできません。
(2) @ ヨウ素デンプン反応でアミロペクチンが呈する赤紫色は,いくらか加水分解されてらせん
構造が短くなったアミロースが呈する色と同じである。よって,アミロペクチンのらせん
構造の長さはアミロースのそれより短いことがわかる。
A アミロペクチンがアミロースより大きい分子量をもつにもかかわらずアミロースより短い
らせん構造をもつのは,α-グルコースが直鎖状に縮合した構造をもつアミロースと異なり
枝分かれ構造をもつアミロペクチンが数多くのらせん構造をもつためである。
デンプンはα-グルコースがグリコシド結合によって多数つながった構造をもちます。
アミロースは1位と4位で結合してグルコース単位が直鎖状につながりますが,
アミロペクチンは1,4-グリコシド結合以外に1,6-グリコシド結合を含みます。つまり,1位,
4位,6位の3か所で他のグルコース単位と結合するグルコース単位があるということです。
このように3方向につながっていくということは,そこで枝分かれが生じているということ
になります。1,4-結合によってできる鎖はアミロースと同様にらせん構造をつくります。
6位のCはグルコースの環より上に突き出ていますが,らせん構造ではこの6位のCがらせん
の外側に突き出るようになっています。よって,1,6-結合によってらせんの途中から別の
らせんが伸びていくような立体構造になります。
(3) @ [C6H7O2(OH)3]n + 3n(CH3CO)2O → [C6H7O2(OCOCH3)3]n + 3nCH3COOH
A 1.9個
無水酢酸によるアセチル化をアルコール一般について考えると,
ROH + (CH3CO)2O → ROCOCH3 + CH3COOH
のような変化になりますから,セルロースのグルコース単位に存在する3個のヒドロキシル基
も同様の変化を受けます。セルロースの示性式中に-OHが3n個あることに注意すると解答の
ような化学反応式が書けます。
グルコース単位[C6H7O2(OH)3](=162)が完全にアセチル化されると[C6H7O2(OCOCH3)3]
(=288)になり,式量は126増加します。よって,100gのセルロースを完全にアセチル化
すると,
100 × (126/162) = 700/9 (g)
増加するはずです。しかし,問題では50gの質量増加ですから,アセチル化された割合は,
50 ÷ (700/9) = 45/70
です。これをヒドロキシル基に換算すると,100%アセチル化された場合が3個のヒドロキシル
基がアセチル化されることに相当しますから,
3 × (45/70) = 135/70 = 1.92… ≒ 1.9
より1.9個と求まります。
◆◆◆テーマ37◆◆◆ アミノ酸とタンパク質
(1) グルタミン酸,グリシン,リシンについてグリシンの等電点において電気泳動を行うことに
ついて考える。次の問いに答えよ。
@ 等電点とは何か説明せよ。
A グルタミン酸,グリシン,リシンの分子構造上の相違点を簡単に説明せよ。
B グルタミン酸,グリシン,リシンの等電点を比較せよ。
C グリシンの等電点においてグルタミン酸,グリシン,リシンそれぞれの帯びる電荷について
説明せよ。
D 予想される電気泳動の結果を簡単に説明せよ。
(2) 次の文を読み,あとの問いに答えよ。
タンパク質が本来の機能を示すには,アミノ酸の配列順序だけでなく,立体構造が重要である。
この立体構造を維持するために,ポリペプチド鎖の離れた位置にあるアミノ酸残基を結びつける
水素結合やジスルフィド結合が重要なはたらきをする。この立体構造を破壊するとポリペプチド
鎖が切断されなくてもタンパク質の性質が変化する。これをタンパク質の変性という。
@ タンパク質の立体構造のうち,規則正しいらせん構造を特に何というか。
A 離れた位置にあるペプチド結合間に生じる水素結合の様子を図示せよ。水素結合は…で表す
ものとする。
B ジスルフィド結合とは何か,この結合に関与するアミノ酸を含めて説明せよ。
C タンパク質の変性の原因を4つ挙げよ(対立する原因は1つに数えるものとする)。
D Cの原因を取り除いた場合,タンパク質の性質は回復するかどうか答えよ。
(3) 次の文に誤りがある場合には,その理由とともに訂正せよ。
@ ビウレット反応によってペプチドとアミノ酸は区別できる。
A ニンヒドリン反応によってペプチドとアミノ酸は区別できる。
B キサントプロテイン反応によってペプチドとアミノ酸は区別できる。
C キサントプロテイン反応において塩基を加える操作は呈色を濃くするという意義がある。
D 硫黄を含むタンパク質の検出には通常酢酸ナトリウムと硫酸鉛(U)が用いられる。
(4) 酵素の触媒作用の特徴を表す語を3つ挙げ,それぞれについて説明せよ。
435 :
大学への名無しさん:04/10/21 01:23:57 ID:npewPnqE
(1) @ 水にアミノ酸が溶けている時、アミノ酸全体の電荷が0である状態のpH
A グリシン → 光学異性体を有しない。
グルタミン酸 → カルボキシル基を2つ、アミノ基を1つ有するため、水溶液は酸性。
リシン → カルボキシル基を1つ、アミノ基を2つ有するため、水溶液は塩基性。
B 等電点はグルタミン酸、グリシン、リシンの順に高くなる。
C グルタミン酸 → -
グリシン → 0(定義そのもの)
リシン → +
D 陽極にリシン、陰極にグルタミン酸が集まる。
(2)@ α-ヘリックス
| |
A N-H …O=C
| |
B タンパク質の構成にシステインなど成分に硫黄が含まれるアミノ酸が
複数存在するときに見られる硫黄同士の結合で、立体構造を支える。
C アルコール、熱、酸(塩基)、重金属イオン
D しない。
(3) 次の文に誤りがある場合には,その理由とともに訂正せよ。
@ ○
A ペプチドとアミノ酸は両方ともニンヒドリン反応を起こす。
B ○
C ○
D 硫酸鉛(U)だけで判別が可能。
(4) 酵素の種類によって作用させる物質が限定される。
酵素の種類によってそれぞれ作用に最適なpH,温度の値域を持ち、その範囲外では働きが鈍る。
極端な酸性,.塩基,高温条件では酵素が変性する。
436 :
453:04/10/21 01:25:40 ID:npewPnqE
む、(2)Aの図がズレてる orz
437 :
大学への名無しさん:04/10/22 22:40:17 ID:OZjx2uNl
はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ
神すれ
>>435 (3)
Bベンゼン環の検出反応なのでペプチドとアミノ酸の区別は出来ない。
D水酸化ナトリウムの固体を加えSをイオン化後、酢酸鉛(II)にて検出可能。
じゃないか?