受験数学論
受験数学について、よく
「数学は運だ」
といういわれ方をされます。しかし
それは違います。
数学が得意でない人、もしくは得意だと思い込んでる人のいいわけです。
受験数学は、得意になれば必ずコンスタントに高得点が取れるおいしい科目です。
そのためにはかなり時間をかける必要があるかもしれませんが・・・
ということで、まず僕の数学偏差値の見て下さい。
高2秋 38 校内実力テスト(県立普通高校)
高3春 44 代ゼミ記述模試
高3秋 65 河合全統記述模試、代ゼミ記述模試
高3冬 65 代ゼミ慶應プレ
浪人春 67 河合全統記述模試、代ゼミ記述模試
浪人秋 78 駿台全国模試、河合東工大オープン
という感じです。
模試は沢山受けましたが、だいたいこんな感じです。
2こ書いてあるのは大体2個ともそのくらいってことです。
特に、最後のほうに受けた色々な数学の試験の成績、
入試本番の実績を挙げてみます。
東大理類数学対策(@河合横浜) 88/120 72/120
大学への数学・学コン 最後5ヶ月くらい連続で名前載
慶應理工 3完2半
早稲田理工 全完
東大 5完1半
とこんな感じです。
僕の数学力がガンガン上がってきたのが秋〜冬でしたのでこんな感じです。
得意になれば問答無用で大きな武器になります。
しかして高2の頃超DQNだった私が如何にして数学が出来るようになったか、
そのための私なりの方法を書きます。
・思想編
・理論編
・実戦編
の3点から私見を述べていきたいくつもりです。
★思想編★
まず、勉強するときに大事にして欲しいのが
「向上心」
です。例えば受験範囲は高校の範囲と限られています。
それゆえ、
「必要以上のことをやる必要はない。」
「ここまでやれば大丈夫」
等の考え方が大多数を占めています。
しかしこれでは絶対にある程度以上は伸びません。
できるものなら大学範囲までやるべきです。
僕が皆さんに実践して欲しいのは、あえて大学範囲にも取り組むということです。
といっても積極的に専門書を読む必要はありません。
もしも範囲外のことが出てきた時に
「範囲外か、なら大学でやればいいや。ほっておこう」ではなく
「範囲外か、どうせ大学でやるんだから今やっておこう」
と思って欲しいわけです。
具体的には、テイラー展開、偏微分、空間図形の扱い方、一次変換、などなど、色々あります。
聞けば逃げ出す、いやいやそんなことは絶対に止めてください。
なんで僕がやろう、といってるかというとこれらの背景を知ってると、
ほんとに受験に役立つし「使える」
からです。
そしてそういうのが沢山でてくる、詳しく解説してある参考書は実践編で紹介します。
僕が他の参考書ではなくこれらの参考書を薦める理由の一つがここにあります。
「余裕が無い」という人も多いと思います。無理にやれとはいいません。
あくまで出てきたことだけでイイです。
私の偏差値を見れば分かると思いますが、はじめは全然得意じゃありませんでした。
でもこう考えてたから、今まで伸びたんだと思います。
自分の可能性を制限するのはほかならぬ
「志望校がここなら、ここまでで大丈夫」
という受験生自信の考え方なのです。
次に、数学を好きになって欲しい、ということです。
「すきこそものの上手なれ」
これは真実です。
僕は英語が全然出来ませんでした。
なぜなら英語が嫌いだったからです。
例えば私は「Z会の英文法語法のトレーニング(基礎編)」3周以上しました。
でも最後の最後までlayやらlainやらが覚えられませんでした。
嫌いだったから覚えられなかったんです。
数学も解法パターンが覚えられないという人、結構いると思います。
しかし好きにならない限りずっと覚えないかもしれません(多少極論ですが)。
だから好きになってください。
努力してください。
こればかりはどうやったら良いのか分かりません。
しかし、何とかして自分なりの数学の面白さを発見してください。
私の考える、受験数学の大きな柱はこんな感じです。
これを参考にして他の2項目を読んで見て下さい。
★理論編★
ここで扱うのは
「数学は暗記か否か?」
ということです。これについて私の考えを述べたいと思います。
まず、何より最初に
「基礎が出来てなければ始まらない」
ということです。これを第0段階とします。
教科書レベルの基本的なことが理解できてる、
公式がスラスラでてくる、というのがこの段階です。
教科書章末問題ができるくらいのレベルと考えてください。
次に、ある程度の段階までは、
「パターン暗記をしなければならない」
と思っています。これを第1段階とします。
この問題ならこれをああしてこうして・・・
というのが多少なりともパッと手がつかなければいけないのが多数あります。
それと同時に、「範囲外」というものもここらへんから出てきます。
この「範囲外」の知識をいかに上手く吸収し、アウトプットできるか、ということも
これからの伸びに多大な影響を与えます。
そして次の段階は、
「問題の暗記ではなく発想法の暗記に切り替える」
「その発想法をいろんな問題に適用できる応用力を鍛える」
ということをする必要があります。これを第2段階とします。
例えば「x,yが単位円上を動く時、3x+4y の最大、最小を求めよ」という問題。
これは第1段階の多くの人が、「3x+4y=k とおき・・・」とやると思いますが、
第?段階にいくためには、そのやり方だけでなく
「積の和はベクトルの内積と考えれるんだ」という発想が出来なければなりません
つまりベクトルをこの問題に適用するわけです。
これが「発想の暗記」です。
しかし、内積を知ってても、ここで内積を使うとは普通は考えつきませんよね。
一度こういう別解、あるいは方針を習わなければ(よほどの天才でない限りは)思いつきません。
そういう意味で僕は「暗記」と呼びます。
それと同時にこのような考え方を他の問題に如何に適用できるか、
これが数学力の向上にかかわってきます。
でも英単語覚えるみたいに「激しい」意味での「暗記」でないことに注意してください。
こういう発想法ができることが第?段階には必要なのです。
そして、第2段階で暗に意味しているもう一つの目標が、
「別解のバリエーションを増やす」
ということです。僕はこのことを友人と「ボキャブラリーを増やす」といっていました。
一つの問題に対し、いくつの別解を与えられるかは数学力の重要な指標です。
そして一つの別解を他の問題に適応できることが「発想力の上達」なのです。
第2段階までほぼ完璧になれば偏差値コンスタントに70は行きます。
(といっても実際にやることは尽きませんが・・・)
東大模試でも2完3半は固いでしょう。
しかし、最も厚いのが「第1段階」→「第2段階」の壁です。
これのクリアに関する参考書は後述します。頑張ってください。
ここまで暗記暗記と結構書いてますが、特に第2段階の「発想の暗記」は、
実際に「覚えよう」とおもって覚えるものではありません。
問題を解いて、解説を読んでるうちに「自然と覚える」というのがベストです。
感情的な話として、僕自身も
「数学は暗記だ、なんて絶対言いたくありません。」
そして、知識の応用だから「暗記ではない」といえば暗記ではありませんし、
そういうことも出来ます。
しかし、認めるしかない部分もあります。
そうアドバイスすることが受験生にとって役に立つと思うから、僕は正直に書きます。
但し誤解しないでください!
何度も言いますが、僕のいう暗記とはいわゆる「和田式」みたいに
解法パターンを暗記すれば高得点をとれる、といってるのではありません。
暗記するのはあくまで「発想法」でその「発想」をどの問題に生かせるか、
これは君たち自身の努力で見つけ、実力をつけるものです。
そして最後。第3段階
「手のつかないような問題を、突飛な発想で解決出来るようにする」
ということです。
これは一朝一夕にできることではありません。
具体的にどうすればいい、とも言いづらいです。
いままで培った能力を総合的に発揮できなければなりません。
それと同時に論理的思考力も必要とされます。
この段階まで到達する必要はありません。
いわゆる数学ヲタがここにあたります。
ただ、第2段階と第3段階のラインはかなりグレーなので、
東大クラスで数学を得点源にしたいと思ってるなら、
多少なりともここに踏み込んでほしいところです。
★実践編★
基礎を固めよ!
とは理論編で言いました。ので基礎を固めることからはじめましょう。
固まってると思う人は飛ばしてくださいね。
さて僕が「基礎を固める」ということに関して思っている一番大きなことは
「教科書&教科書汎用問題集を馬鹿にするな」
ということです。
受験となると、教科書ではまずく、何か受験対策用の参考書をやらなければまずいのでは、
と思う人が多くいます。
例えば。某巨大掲示板群の某板ではよく、
「数学が未習で全然できないので黄チャ例題からやろうとおもいます」
などのレスが多くあります。
しかし、僕はあまりそれには賛同しないのです。代わりに、
「まず教科書と教科書汎用問題集をしっかりやる」
ということを勧めます。
これは次の理由からです。
まず1つは、こなす問題数によって、定着力が圧倒的に違うからです。
基礎の段階では、基本的な公式がぱっと使えることが主な目標になります。
そのためには学んだことが確実に定着してなければなりません。
そして定着させるためには問題数をこなすことが必要不可欠だからです。とくに
「黄チャ例題だけで十分ですか?」
などという質問をみると、私は「ほんとに大丈夫かな?」と思ってしまいます。
黄チャレベルの受験生が、問題数をこなさずやり方だけを学んでもすぐに忘れてしまいます。
そういう人達は相当「焦っている」わけですよね。
「早くレベルの高い問題集をやりたい」
「「これじゃ間に合わない」
だけど、実際そんな焦ることはないんです。
「「慌てる乞食はもらいが少ない」
まさにぴったりの言葉です。焦っても定着しません。
(あまりのんびりするのも考えものですが・・・)
教科書汎用問題集のA問題。
「ルーチン」と呼ぶにふさわしいほどの単純な問題ばかり。
しかし、それをしっかり嫌になるほどやることが定着への第一歩です。
手を動かさなきゃ絶対定着しません。
小学校の頃、掛け算の九九をひたすら紙に書いた記憶はありませんか?
「何事も理窟を読むだけじゃ覚えません。手を動かさなくては!
もちろんもう絶対大丈夫とおもったらやる必要はないですよ。
そして慣れてきたらB問題。
実はもうB問題から、いわゆる「解法パターン暗記」の問題に入っていけてるのです。
そしてB問題はもう「青チャ例題」と同程度の難易度(orやや低め)なのです。
これが僕が教科書系統を勧める2つ目の理由です。
ですからB問題も解けるかな、と思ったら、B問題の代わりとして
他の参考書にどんどん手を出していけるでしょう。
さて次は基礎ができて、教科書汎用問題集B問題は大体こなせる、という人についてです。
新たにどんどん参考書をやっていくわけですが、よく
「問題といて解説を読む時ってどうすればいいんですか?」
という質問があります。要するに参考書の進め方ですね。
これについては参考書について全然コンセプトが違うので一概には言えません。
一言いえるのはかならず参考書に書いてある「前書き」みたいなのを読みましょう、ということです。
「『一対一』例題だけでいいですかね?」
こんな質問は言語道断です。なんで「一対一」という名前をつけてるか全く理解してませんね。
やはり「焦っている」ようです。しかし『慌てる・・・』(略)
参考書の使い方云々にしろ、とりあえずこのレベルの問題集に挑戦するときは
解説をすぐ読むのはオススメしません。
ひとつの問題について最低5〜10分は考えて みましょう。
基本ができてるなら何かしら手は動かせるはずです。
最初は軽く流してとりあえず解説を読んで、2回目にちゃんと考える、というのは意味無い です。
それこそ「パターン暗記」と同じになってしまいます。
ここではそういうのを大体マスター人ですよね。
大事なのは「考えること」です。
そして解説を読む。
このとき一番大事にして欲しいのが---これが私の一番やって欲しいことですが---
「なるど、こうやって解けば解けるのか、うんうん」ではなく
「どうしてこんな解き方したんだろう、うーむ」
ということを考えて欲しいのです。
文字のおき方、式変形、着想ポイントなどについてです。
解説のもっと深くにある「思想」を何とか自力で探し出して欲しいのです。
いいですか?
よく問題の解説のポイントに「この問題はこう考えよう」とか書いてありますが、
僕の言ってることはそういうことではなく
「こう考えればいいのは何故なんだろう?」 と思って欲しいということです。
これを常に考えることにより思考力、発想力が格段に上がります。
それは即ち 他の様々な問題に、その発想を応用できるようになる ことを意味します。
練習問題を、その場限りのもので終わらせないためにこれは必要不可欠なことです。
一対一対応の演習やるくらいから、これを意識していきましょう。
ほとんどの人はここまでで終わりです。
あとは色んな問題集をやってみてください。
ここから先はほとんどの人にとって未知の領域です。
ここまできたらもう言うこと無しです。
範囲外の知識を多量に吸収していきましょうか。
レッツゴー、大学範囲!