定義 [ I ] 自然数aとbが次をみたすとき、a*→bと表す。 2^a+1≡0 mod p をみたす素数p、またはp=1に対して、b=ap [ II ] 自然数aとbが次をみたすとき、a→bと表す。 自然数列c(1), c(2),..,c(K)が存在して、 c(1)=a, c(K)=b, k=1,2,..,K-1に対してc(k)*→c(k+1)
とくに、a→aと、a→b,b→cならばa→c、が成り立つ。
定理 自然数nに対して、つぎの[A],[B]は同値である。 [A] 1→n [B] 2^n+1≡0 mod n
命題1 自然数m,nが、2^m+1 mod m かつ m→n をみたすなら、 2^n+1 mod n
命題1の証明 pを奇素数として、m*→n=mp ; 2^m+1≡0 mod p の場合について示せばよい。 f(a)=2^a+1とおく。 f(mp)={f(m)-1}^p+1=/k=1..p/C[p,k]*{f(m)^k}*{(-1)^(p-k)} =f(m)/k=1..p/C[p,k]*{f(m)^(k-1)}*{(-1)^(p-k)} =f(m)[ p+f(m)/k=2..p/C[p,k]*{f(m)^(k-2)}*{(-1)^(p-k)}] f(m)≡0 mod p であるので、[ p+f(m)/k=2..p/C[p,k]*{f(m)^(k-2)}*{(-1)^(p-k)}]/p 自然数になる。したがって、これをg(m,p)とおくと、f(mp)=pf(m)g(m,p)≡0 mod mp []
補題 (1) mを自然数とする。2^a≡1 mod m をみたす自然数aのなかで最小のものをnとおく。 このとき、自然数Nに関して次の[A], [B]は同値。 [A] nはNの約数。 [B] 2^N≡1 mod m (2) a,b,nを自然数、pを素数とすると、 (a+b)^(p^n)≡a^(p^n)+b^(p^n) mod p
補題の証明 (1) [A]⇒[B] N=nbとすると2^N=2^(nb)=(2^n)^b≡1^b=1 mod m [B]⇒[A] N=bn+c, (0≦c≦n-1) とおくと、 2^N=2^(bn+c)≡1 mod m {2^(bn)}(2^c)≡1 mod m 2^c≡1 mod m であるから、nの最小性により、c=0 [] (2) nに関する帰納法。 ( i ) n=0のときは成立。 ( ii ) n=kのとき成立を仮定する。n=k+1のとき 二項係数C[p,k]=p(p-1)...(p-k+1)/k(k-1)...1は分子のpが約分されないので、 k=1,..,p-1にたいして、C[p,k]≡0 mod p 帰納法の仮定により(a+b)^(p^(k+1))={(a+b)^(p^k)}^k≡{a^(p^k)+b^(p^k)}^p mod p =任[p,i]{a^(p^k)}^i{b^(p^k)}^(p-i)≡a^(p^(k+1))+b^(p^(k+1)) mod p 従って成立。 []
命題2 e,mを自然数、pをmのどの素因数よりも大きな素数とする。 2^(mp^e)+1≡0 mod mp^e が成り立つとき、つぎの(1)、(2)が成立する。 (1)2^m+1≡0 mod m (2)m→mp^e かつ 2^m(p^k)+1 mod m ; k=1,2,..,e
命題2(1)の証明 2^(mp^e)+1≡0 mod mp^e であるので、 2^(mp^e)+1≡0 mod m 2^(mp^e)≡-1 mod m ...(*) 2^(2mp^e)≡1 mod m ...(**) ここで、2^a≡1 mod m みたすaのなかで最小のものをnとおく。 2^n ≡1 mod m 補題(1)と(*), (**)により、nは2mp^eの約数であるが、mp^eの約数ではない。 したがって、nは2を素因数にもつ。
pがnの約数であると仮定する。オイラーの定理により、2^φ(m)≡1 mod m であるので、 補題(1)により、pはφ(m)の素因数である。ところが、φ(m)の素因数は全てmの素因数以下であるから、 pの最大性に反する。したがって、nはpを素因数にもたない。
n=2μ, m=μα(μ、αは自然数)とおく。 2^(2m)=2^(2μα)≡1 mod m であるから (2^m-1)(2^m+1)≡0 mod m となり、 mの素因数は、2^m-1、2^m+1のどちらかを割り切る。
mのある素因数qが2^m-1を割り切る、と仮定する。 2^m≡1 mod m なので、2^(mp^e)≡1 mod q 一方、(*)により2^(mp^e)≡-1 mod q であるので、 2≡0 mod q, q=2となり矛盾。
命題2(2)の証明 kに関する帰納法で、次の命題を証明する。 k=0,1,..,e-1に対して、mp^k*→mp^(k+1), 2^(mp^k)+1≡0 mod mp^k
(i) k=0 のとき 補題(2)より、(2^m+1)^(p^e)≡2^(m(p^e))+1≡0 mod p したがって、2^m+1≡0 mod pであるから、m→mp また、命題2(1)により2^m+1≡0 mod m (ii) k=j についての成立を仮定する。k=j+1 のとき、 帰納法の仮定から、2^(mp^j)+1≡0 mod mp^j、mp^j→mp^(j+1)であるから、 命題1により、2^mp^(j+1)+1 mod mp^(j+1), さらに、2^mp^(j+1)+1 mod p であるから、mp^(j+1)→mp^(j+2) []
定理[B]⇒[A]の証明。 nの相異なる素因数の数をNとし、Nに関する帰納法で証明する。 (i) N=0のとき、n=1であるので、成立。 (ii) N=kのときの成立を仮定する。 nの素因数の中で最大のものをpとする。n=mp^e (pはmのどの素因数よりも大きい)としたとき、 命題2(1)により、2^m+1 mod mであるので、帰納法の仮定により、1→m. また、命題2(2)によりm→n であるから、1→n []