57 :
大学への名無しさん:
「自分はなんて物覚えが悪いんだろう」と悩む人が多いと思います。
脳というのは覚えるより忘れる方が得意、そして、忘れる速度は皆
同じなんだそうです。先ずは一安心。
それでは記憶力の差はどこから生まれるのでしょうか。人間の文
明の進歩、これは人間の歴史からホンの少ない期間。現在のような
飽食の時代になったのはもっと少ない期間。大分長い間、生きるか
死ぬかの厳しい世界を過ごしてきた動物や人間は、生き延びると言
うことに直結した情報を最重要情報として来ました。学問の知識が
無くても生きることには事欠きません。脳の中で記憶を司っている
のが海馬。この海馬に、この情報は生き延びるのに不可欠であるこ
とをアピールするのが上手になると、記憶が上手になってきます。
その方法の一つ目は、繰り返すこと。復習です。何度も同じ情報
がやってくると、その情報は大切な情報だと海馬が勘違いして、記
憶します。海馬は、入ってきた情報を約一ヶ月間かけて、必要な情
報か否か判断しています。ですから、その一ヶ月間が勝負です。で
も、筋肉を鍛えるのも、毎日やっても効果が上がらないように、記
憶にも効果的な期間と回数があります。それは、
覚えたら次の日に復習。
それから1週間後に復習。
更にその2週間後に復習。
その4週間後に復習。
のように、一つのことを覚えるのに1ヶ月間に3回、その後の一ヶ
月間に1回と次第に間隔を開けていき合計2ヶ月間で4回の復習を
するのがベストだそうです。学生時代の試験前の詰め込みの勉強が、
記憶に残らないのは当然ですね。
58 :
大学への名無しさん:03/06/12 17:06 ID:X/w3swSV
「子供の頃は、暗記が得意だったのに、今ではできない」と嘆く
方もいるでしょう。記憶の方法は年齢によって変遷があるそうです。
記憶には、「方法記憶」「知識記憶」「経験記憶」と言うのがあるそ
うです。「方法記憶」は「体で覚える」と言うヤツで、何度も繰り
返して体を動かしているうちに無意識的に覚えてしまうと言うと言
うようなスポーツ等のワザ的なものです。これは一度覚えるとなか
なか忘れません。スポーツのフォームを自己流で間違って覚えてし
まうとその矯正が大変と言うのは、誰もが経験したことがあると思
いますが、それほど強力な記憶方法なのです。生まれた時から備わ
っています。
小学生くらいの頃には「知識記憶」が盛んになってきます。これ
は、無意味なものでも、覚えようとするとスッと入ってきます。中
学校くらいまでは丸暗記でどうにか学校の成績を保ってきたが、高
校になって勉強ができなくなってきたと言う体験をされた方もいる
ことでしょう。中学生くらいまでは「知識記憶」が良く発達してい
ますが、それ以降は「経験記憶」が盛んになってくるからです。
自分の過去の経験が絡んだ自由に思い出せる記憶が「経験記憶」
場所や名前や公式など、何かきっかけが十分でないと思い出せない
知識のような記憶を「知識記憶」と呼びます。
「経験記憶」は自分の過去の経験を絡ませ、物事を「論理的に」
筋道を追っていったり、様々なことに「関連づけ」たり、「整理」
したりすると、良く覚えることができます。語呂合わせも関連づけ
ですから「経験記憶」の観点からは良い方法で脳にとって負担の少
ない記憶方法なのです。
59 :
大学への名無しさん:03/06/12 17:06 ID:X/w3swSV
一度で覚えようって言うのはやっぱり無理なようで、「経験記憶」
や「方法記憶」を活用して、何度も反復した結果覚えられるわけで
すね。
また、通常の意識状態で幼児期を振り返っても、あまり記憶がない
のは、3歳頃は「方法記憶」は発達しているのですが、「経験記憶」
が未発達だからなのです。
「方法記憶」「知識記憶」「経験記憶」の順に年齢を追って発達し
ていったということは、そう、加齢により「経験記憶」から衰えて
いくのだそうです。
そこで、更に記憶力を良くする方法を紹介しましょう。
先ず、良質の睡眠を取りましょう。
脳は、睡眠中に様々な形で過去の記憶や情報の組み合わせの整合性
を検討し、整理しています。その行為が「夢」です。海馬の情報や
大脳皮質の記憶が夢の中で再現されるのです。人は一晩のうちに大
量の夢を見ます。起床してから思い出す夢は、一晩に見る夢の全体
の1%以下だろうと言われています。睡眠が十分でないと言うこと
は、この整理整頓ができないのです。眠ることは、記憶の上でとて
も大切な行為です。また、一日で詰め込もうと思わず何日もかけた
ほうが無理なく頭に入っていきます。
次に、五感をフル活用して記憶しましょう。
耳も使った学習は、目だけを使った学習よりも効果が高いと言われ
ています。生物の発達過程で、目の情報が豊かになったのは一番新
しいことです。原始的な方法が記憶に深く残ります。目で本を読ん
だりしているだけでなく、触覚、味覚、嗅覚、聴覚も参加させてあ
げましょう。口に出してぶつぶつ言うのを聞きながら、紙に書いて
、おいしく香り高いお茶を飲みながら、なんてのは如何でしょうか。
歌にあわせて語呂合わせをしてしまうと、更に良いですね。
60 :
大学への名無しさん:03/06/12 17:08 ID:X/w3swSV
感情を絡ませて記憶しましょう。
動物は生存のために、体験した恐怖をきちんと脳に記憶して、次
に同じような状況が巡ってきた時は、効率よく危険を回避する必要
があります。生き残るための作戦です。動物は危険な思いをした経
験をしっかりと覚えていられるのです。また、水や食べ物を見つけ
た場所もしっかり記憶する必要があります。そこで、感情の起伏を
しっかり感じたことは覚えやすいのです。そのときは、海馬のすぐ
近くにある扁桃体が刺激されているそうです。
そこで、歴史などを覚えるときは、教科書の事実だけでなく、た
とえば、「本能寺の変」などは、織田信長が家臣の明智光秀に裏切
られて無念そうな顔をしているところをイメージし、さらに、織田
信長のそのときの気持ちを推し量って、自分が彼になったつもりで
悔しがると良く覚えられると言う訳です。
生体の危機感を利用しましょう。
生体の危機と言ってもストレスは記憶の敵です。大きなストレスが
ない環境を作りましょう。
どのような危機感がよいかというと、先ずは「空腹」。お腹が空
いている時の方が記憶力は上昇しているそうです。食事前のひとと
きが有効です。次に、「室温」動物は寒さに危機感を感じます。室
温は少し低めの方が学習効率が高まります。
感情を絡ませる、生体の危機感を利用することは、生物の長い進
化の過程で培われた方法ですから、とっても強力です。
61 :
大学への名無しさん:03/06/12 17:09 ID:X/w3swSV
覚えようとする対象に興味を持ちましょう。
シーター波は新しいものに出会ったり、初めての場所に行ったり
して、あれこれと探索しているときにも生じます。反対に、飽きた
りマンネリ化して気持ちが散漫になったときには生じません。この
シーター波で海馬が刺激されているときが記憶が増進されます。現
在、学会でもシータ波と記憶メカニズムとの関係に関心が高まって
いるそうです。
一つのものを極めましょう。
「累乗の効果」と言って、一つのことを極めることによって、得
られた経験や知識が他の事柄の理解を深めることに繋がります。