地裁書記官が書類偽造…札幌
札幌地裁は12日、民事訴訟の関係書類を紛失した上、紛失を隠蔽する目的で架空の書類を偽造したとして、
30歳代の男性書記官を戒告の懲戒処分とした。書記官は辞職した。同地裁の書記官が懲戒処分を受けるのは、
記録に残っている限り初めてだという。
発表によると、書記官は今年1月下旬、札幌地裁に提訴された民事訴訟が札幌簡裁に移送されたことを示す「決定書」と、
決定正本の「送達報告書」をなくした。さらに書記官は4月上旬、同地裁のシステムから「移送」のデータを削除し、
架空の口頭弁論期日などの情報を数回入力した。
6月下旬、実際には期日指定がされていないのに、同地裁で7月に第1回口頭弁論が行われるとする架空の
呼び出し状を作成し、被告側に送った。
裁判官が架空の期日指定に気付き、書記官に指摘したが、書記官はこの裁判官に対しても、札幌簡裁に訴訟が
移送されていることを隠した。このため、裁判官は7月に同地裁で第1回口頭弁論期日を指定し、審理は開かれたが、
無効になったという。
札幌地裁によると、書記官による一連の行為の影響で、札幌簡裁への訴訟記録の送付が8月下旬頃まで遅れた。
書記官は「紛失がばれないようにやった」などと説明している。同地裁は公文書偽造・同行使などには当たらないとして、
刑事告発はしない方針だという。
同地裁の佐久間邦夫所長は「適正迅速に職務を遂行すべき裁判所職員としてあるまじき行為。誠に遺憾で、
再発防止に努めたい」とするコメントを出した。
(2012年10月12日 読売新聞)
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