【新局長】名古屋市交通局Part15【あんた誰?】
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2008年(平成20年)6月24日(火曜日)
朝日新聞夕刊10面
「風に吹かれて」 〜ありがとう(2)〜
◆心優しき「くそまじめ」◆
長谷川吉孝さんは77年4月生まれ。
保育園に入るまで、家業だった家具店の配達や集金にあたる母千恵子さんについて、トラックに滞られて育った。
小学5年の組み体操では中心で仲間を支えた。
漢字テストで間違えた字を10回書く宿題が出ると、深夜までノートに向かった。
釣った魚をポケットに入れて持ち帰ってきた6歳上の兄とは違い、「くそまじめ」(父博己さん)な性格だった。
90年。愛知県春日井市内の中高一貴校に進む。
6年間で欠席は1日だけ。
数学が得意で、三重大学に現役で合格した。
このころから、千恵子さんは「人の役に立つ仕事がしたい」という言葉を聞くようになる。
ところが志望していた警察官試験に失敗。
1年弱の就職浪人を経て01年4月、名古屋市交通局の正職員に採用された。
今池駅で社会人としての一歩を麟み出す。
吉孝さんの死後、亡くなる前日にあしなが育英会に100万円を募金していたことがわかる。
一番の相談相手だった祖母は、こんな心優しかった吉孝さんとのやりとりや思い出を「29年間を語る」と題した手書きのメモにまとめた。
そこには、月末「こんなに給料もらった」と明細書を見せ、小遣いを3万円くれたことなどに交じって、市交通局に入った年の9月の欄には、早くも「勤務中でも平気でマンガを読んでいる」と同僚の勤務態度への吉孝さんの嘆きが現れる。
それは時を追うごとに増え、02年に入ると「仕事は好きだけど、同僚にいじめられるのがつらいよ」。
=つづく