東京都内の、行旅死亡人がやたらと多い某区の戸籍係OBです。
あまりにもコロンコロン死んでいるので、警察も福祉事務所も戸籍係も、行旅死亡人
関係の仕事はすっかり手慣れてしまいました。
必要書類の雛型などが書かれた係内マニュアルがあって、新人でも本籍判明報告等
の事務はひととおり処理できるようになっています。
あるとき、京都市内の某区から、当区本籍人の死亡報告が送られてきたのですが、
書類の書き方はメチャクチャ、添付書類は足りない、まるでベテランの点検を受けてい
ない新人作成の書類のようでした。
受理地に電話して小一時間問い詰めたのですが、要するに「行旅死亡人関係の事務
など扱った経験がないので、やり方を誰も知らない」様子でした。
仕方が無いので、警察扱いの段階から書類の書き方を教えてあげる羽目になりました。
少しあきれてしまったのですが、先輩に「うちが行旅死亡の件数多すぎるんだよ。そんな
のは滅多に無いのが普通だよ。京都市内じゃ、着倒れはあっても行き倒れは無いよ。」と
言われました。
真面目に考えれば笑える話ではないのですが、これには思わず笑ってしまいました。
あるとき、隣の区の戸籍係の人に会ったとき、「おたくに住んで(?)いるホームレスが、フ
ラフラ越境してきて、うちの区内で死んだ。仕事の進め方が分からず、本当に困った。大迷
惑だ。」と言われました。
そこで、「そういうのは区境までズルズル引きずってこっちに置いといてください。うちなら
手続きはバッチリですから。」と言い返してやりました。
戸籍係にいた頃は、こんな笑えない話で笑ってしまい、冗談じゃない話が冗談になるという、
何とも罪深い日々でしたが、行旅死亡人が多い自治体の戸籍係の実情なんて、こんなもんで
す。