文化財 柏市に無断で工事
松ヶ崎城跡の土地所有者
柏市松ヶ崎に残る中世の城館跡で、市指定文化財の「松ヶ崎城跡」の土地所有者が、市の許可なく城跡内の土地を農地に転用する工事を進めていることが分かり、
同城跡の保存に取り組む市民団体「手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会」(鈴木英夫会長)は20日、市と土地所有者に対し、工事の中止と、城跡を永久保存する
ための協議を行うよう要望したことを明らかにした。
同会によると、城跡は、住宅地に隣接する丘陵地にあり、広さ約1・5ヘクタール。戦国時代の城館跡と見られる土塁や堀をはじめ、古墳時代の円墳、縄文時代
の土器片などが出土する複合遺跡。
先月中旬から城跡内で土地所有者による樹木の伐採や掘削作業が始まったことから、「このままでは貴重な歴史資料が破壊される」として、18日に土地所有者
に工事中止を申し入れ、19日に市に対し、城跡を保存するための協議を土地所有者と行うよう要望した。
一方、土地所有者の同市増尾、土木建設業増田富夫さん(69)は、「文化財に指定された後、個人負担で、城跡の維持管理に努めてきたが、市は、城跡につな
がる市道の整備など再三、保全策を申し入れても何もしてくれない。個人の負担が増すばかりなので、土地利用をはかることにした」と話している。
市の文化財保護条例では市指定文化財の土地を無断で開発し遺物などを損壊した場合、3万円以下の罰金が課されるが、増田さんは、「昨年9月の市の文化財保
護委員会で文化財指定解除を申し入れ、半年経過しても返答がないので認められたと判断した」と説明。これに対して市教委文化課は「市ではまだ解除の決定をし
ていないので、工事は条例違反になる。市も城跡を保存する必要があるという認識」として、増田さんに早急に工事の中止を求めると同時に、「有償で土地を借り
上げることを含めて、城跡の保存について増田さんと協議したい」としている。
(2008年5月21日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20080521-OYT8T00072.htm