改善勧告の児童養護施設 入所少年と性的関係の保育士 県「告発は慎重対応」
県内の民間児童養護施設の女性保育士(29)が入所少年と性的関係を持ったなどとして、施設を運営する社会福祉法人に県が改善勧告した問題で、県は女性保育士の行為は児童福祉法と県青少年健全育成条例に違反すると認識しており、
刑事訴訟法に基づく刑事告発については慎重に対応する方針だ。
七月二十七日付の改善勧告で県は、少年と関係を持った女性保育士や、過去十数年間で男児六人、女児二人に対して顔を平手でたたく、髪の毛を引っ張る、布団に投げ飛ばす―などの暴力を振るった男性一人、女性七人の職員の行為を、
養護児童に対する最低限の処遇水準を定めた厚生労働省令(児童福祉施設最低基準)が禁じている「虐待」と認定。女性保育士と少年の関係を黙認し、継続させるような便宜を図った男女二人の職員の行為も省令違反とした。
改善勧告とは別に県は、女性保育士の行為は「児童に淫行させる行為」を禁じた児童福祉法三四条と、「みだらな性行為・わいせつな行為」を禁じた県青少年健全育成条例一九条などに抵触すると認識している。
少年を施設から女性保育士の自宅まで送った男女職員二人については該当しないとみている。
関係者によると、これまでに同施設の男性心理士と担当児童相談所の児童福祉司らが少年と複数回面接。女性保育士について少年は「顔も見たくない。これ以上、思い出すのも嫌」などと話し、刑事告訴に踏み込むことは拒んでいるという。
県は「省令違反かどうかを判断するための調査は行うが、捜査権のない県の事実認定には法的限界がある。十分でないことは認めるが、告発すれば少年が詳細を聴取される可能性があり、極度の心的負担を強いる。少年はそれを望んでいない。
告発は少年の監護者である施設長判断を超えるため、慎重に対応したい」としている。
同施設では、別の男性職員が入所少女と性的関係を持ち懲戒解雇されたことも発覚したが、昨年春の対応時点で、県は告発を見送っている。
http://www.saitama-np.co.jp/news08/22/22x.html