都教育委員会が都立盲・ろう・養護学校全校を調査したところ、
以下のような性教育の現状と課題が明らかになった。
(1) 組織的に行われていた不適切な性教育
性教育は、人格の完成を目指す「人間教育」の一環として行われる教育であり、
学習指導要領の各教科等のねらいや内容に基づき、児童・生徒の
発達段階を踏まえ、段階的・個別的に実施する必要がある。しかしながら、
七生養護学校においては、以下のような教材を選択・作製・使用され、
校長としての責任ある指導を欠いた全校的な取組として組織的に行っていた。
ア 男女の性器の名称の入った「からだのうた」を児童の障害の程度や発達
段階を踏まえず、小学部1年から、全員に(一律に)歌わせていた。
イ 実際の出産場面が撮られたビデオを小学部の児童に視聴させていた。
ウ 生徒の障害の程度や発達段階を踏まえず、家族の温かい信頼関係を損な
わせるような家族や近親者からの性的虐待を扱ったビデオを視聴させて
いた。
エ 生徒の障害の程度や発達段階、性別を踏まえず、高等部において性器の
付いた人形を使って性交の仕方を指導していた。
オ 内容や表現が不適切な性器の付いた人形(11体)、膣付きの子宮内体
験袋、男性器付き股引、男性器模型、男性器から注射器で白い液体を噴
射する射精キット等を使用していた。
また、都立七生養護学校に関しては、調査により不適正な実態が明らかになる前に、
現校長が平成15年4月に着任後、同校の服務、学級編制に
係る不適正な状況について、教育庁に相談していた。その際、教育庁の初動対応は
不十分、不適切であり、実態の確認、調査など講じるべき具体的な方策がとられなかった。