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・ みちのくヒッチ紀行
部活の関係で、東北大学へ遠征にいったときの話です。台風にやられました。


みちのくヒッチ紀行
〜台風15号との戦い〜
・はじめに
 今回の旅行記は、私が所属している部(合気会合気道部)の行事である、東北大遠
征の帰路の様子をメインに記したものである。したがって厳密には「みちのく+道央
ヒッチ紀行」というべきであるが、ここは旅情を演出するためのご愛敬として勘弁い
ただきたい…。

10月15日(木) 札幌〜苫小牧

 「苫小牧までのJR運賃高すぎ。」そう感じた私は、苫小牧までヒッチでいくこと
に決めた。木曜は出席を取る授業がないため、その日の朝から荷物を担いで家を出
た。ちなみにそのときの姿が、うちの部の某2年目Mに目撃されている。

 とりあえず私は、自宅のアパートの北にある、札幌新道で車を捕まえることにし
た。9月の北海道一周のときにやったように、交差点近くの道端に立ち、「苫小牧」
と大きく書かれたスケッチブックを高々と掲げ、もう片方の手で、おなじみのサイ
ン。小雨の降るなか1時間ぐらい粘ったが、結局捕まらなかった。やはり車線の多い
道路はヒッチには不向きか。そこで私は止む無く場所をすすきの近辺の道に変更し
た。繁華街のめ、タクシーが多くて苦労したが、1時間程して、ようやく1台の車が止
まった。思わず通り掛かりの姉ちゃん2人も歓声をあげた。
「どこまで?」
止まってくれたのは、20代の会社員の人だった。
「苫小牧のフェリーターミナルまでお願いします。」
「途中までしか行かないけどいい?」
「はい!ありがとうございます!」

 この人はちょっとした用事で北広島までいくそうだ。社内でお互いの身の上話を少
し話した後、この人の提案で、大谷地の高速の高架下で降ろしてもらった。「ここな
ら苫小牧行きの車がすぐ見つかるよ。」
そうアドバイスをもらったあと、この人と別れた。感謝。
579非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:34

 高架下でヒッチを始めてたった20分、すぐに1台の車が止まった。さっきあんだ
けてこずったのが嘘のようだ。
「苫小牧まで?」
止まってくれたのは、またもや20代の会社員の人だった。
「はい!」
「どうぞ、丁度仕事で苫小牧まで行くんで。」
「ありがとうございます!」

 車内の中の会話のなかで、この人は妙に機嫌がいいように思えた。
「いやあ、ヒッチハイカーを乗せるの初めてなんで、感激してるんですよ。」
「どうも、一人乗りのドライバーの人が、よく乗せてくれるみたいですね。」
「やっぱり1人で運転してても、寂しいし眠くなるし、話し相手が欲しいんじゃない
ですかね。実は私もその口です。」
なるほど、これはいいアドバイスを聞いた。ドライバーの人とのコミュニケーション
からいろいろなことを教わるのもまた、ヒッチハイクの醍醐味である。

 思ったより早く着いたので、私は苫小牧駅で降ろしてもらい、昼飯を食った後、市
内で時間をつぶしながら、フェリーターミナルまで歩くことにした。2,3時間か
かったが、なんとか集合時間の2時間前に着いた。フェリーターミナルの周囲は埋め
立て地で何もないので、私はロビーでボーッとしながら、他のメンバーが来るのを
待った。

 ところが乗船手続き締め切り5分前になっても誰も来ない。来る日にちを間違えた
のかと不安に感じ、私は窓口で確認を取ってみた。
「北大生協北部店で本日の予約を取った、Hさん(うちの部の3年目)は、こちらで
受け付けを済ませましたか?」
すると、窓口のお姉さん曰く、
「いえ、まだ手続きはお済みになってません…。」
「げっ、やべぇ!電車組がヒッチより遅れたら洒落にならんぞ。もしかしてこのまま
俺1人で行かないかんとか…。そして1人で稽古に参加して、1人で飲み会に参加し
て、1人で飲まされて…。」
といった不吉な予感が頭をよぎる。
580非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:34


 受付締め切り後30分経って、ようやく他のメンバーが到着した。玄関で待ってい
た私は、他のメンバーを急き立てて、なんとか全員手続きが済んだ。
「ふう…。助かった。」
そのときの私の頭の中は、安堵感と、1人だけ間に合ったというほんの少しの優越感
で占められていた。

 こうして一行はフェリーに乗り、1晩の船旅の後、無事仙台に到着した。その後東
北大の人たちには一緒に稽古に参加させていただいたりレセプションで酔いがまわっ
た私達を家に泊めていただいたりもした。特にうちの2年目を泊めてくれた2年目の
矢板君にはいろいろ迷惑をかけたが、この場を借りて厚くお礼を申し上げたい。
581非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:35
10月17日(土) 仙台〜青森

 1日目のレセプション、2日目の芋煮会と、東北大の人たちの手厚い歓迎を受けた
私達は、東北大の人たちの車で仙台駅まで送っていただいた。そして主将の服部さん
たちと記念撮影した後、私はしばらくして他のメンバーと別れ、腹ごしらえをしてか
ら1人ヒッチ
の現場に向かった。

 私は高速のインターに続く市内の幹線道路の脇で「青森方面」と書かれたスケッチ
ブックを掲げてヒッを開始した。相変わらずの小雨模様だったので正直不安だった
が、その不安とは裏腹に、開始後わずか15分で車が捕まった。運転手らしき人がこ
ちらに寄ってきて、
「こんな暗い中、可哀相だから乗せてやるよ。」
と、私を車に案内してくれた。

 この人たちは家族連れで、今から秋田に向かうそうだ。ご主人も昔ヒッチハイクを
やったことがあるそうで、今回もそのよしみで乗せてくれたそうだ。

 道路は、ほぼ貸し切り状態に近く、想像以上に早く着きそうであった。私は、ジャ
ンクション手前の前沢S.Aで降ろしてもらい、その人の子供に持っていた飴をプレ
ゼントしたあと、その人たちと別れた。

 物資をひととおり揃えたあと、私は駐車場の何台かの車に交渉して歩いた。そのう
ち1台の仕事関係らしきワゴンがOKを出してくれた。
「ボロなのでゆっくりと参ります。」
その車のドライバーは、こんな冗談を飛ばした。

 この人はカメラマンで、結婚式会場の撮影を専門にやっている人らしい。仙台から
の仕事帰りで、宮城県立美術館を見物した後、青森の自宅に帰るところだそうだ。車
の中では、そのときの作品の話や、その人の実家の津軽のほうの話、昔はキセルが学
生の主流だったという話、はてはカメラ撮影のコツのことなど、いろいろためになる
話を聞かせていただいた。
「楽しいドライブをどうもありがとう。」
津軽S.Aで降ろしてもらい、その人と別れた。いい人だった。
582非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:35
すげースレだな。ほんとに。
こんなに荒れてるスレ始めて見た。
これが2ちゃんか〜。
583非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:35
10月18日(日) 青森〜函館〜札幌

 津軽S.Aは静かだった。1台も車が止まってない。時刻が真夜中の0時というこ
ともあるだろうし、なにより東北道を通る車自体が少ない。時期が時期なせい(10
月中旬)もあるだろうが、名神高速の混み具合を知る私にとっては初めての体験であ
る。

 やむを得ず、S.Aに入ってくる車を待って、片っ端から交渉しして回った。1台
目は、ここで仮眠をとるのでペケ、2台目も行き先が違うのでペケ、3台目のトラッ
クでようやく交渉に成功した。

 この人は、東京から青森へ荷物を運ぶ途中らしい。
「大抵、東京から青森へ行くトラックっていうのは時間が詰まってるから、ノンス
トップで行く場合が多いよ。」
なるほど、これはまたいいことを聞きました。こういったドライバーからの生の情報
は貴重である。その他にも様々な小話をした後、青森市郊外の幹線道路で降ろしても
らった。

 ここでは場所が悪いと考えた私は、コンビニで買い物をしたあと15分ほど歩いた
所でヒッチを開始した。しかし、車そのものが通らないので止めた。途中1台の車が
声を掛けてきたが、曇りガラスのガラの悪そうな車だったので、適当に断った。そし
て私は、なるべく明るい道を選んで、夜中の青森市内を2時間ほど歩いて、フェリー
ターミナルに向かった。なんでフェリーターミナルはこうも不便なところにあるんだ
ろうか…。

 フェリーターミナルに着いた私は、早速乗船手続きを済ませた。東日本フェリーは
学生証だけでも学割が利くのには少し驚いたが、次の便から台風で欠航になっている
のにはもっと驚いた。つまり1便差のギリギリセーフだったわけだ。それから私は
フェリーに乗り、ドライバーのおじさんたちが騒いでうるさい2等室で、3時間ほど
仮眠をとった。
584非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:36
 朝の6時半すぎ、函館のフェリーターミナルに着いた私は面食らった。台風15号
が北海道を直撃し、外は暴風雨である。やむを得ず私は「札幌まで乗せて下さい」と
書いたスケッチブックを抱え、ターミナルの待合室で1時間ほど待った…が、失敗
だった。このまま天気にスケジュールを狂わされるのは癪なので、私は強引に嵐の中
を突っ切って、とりあえず幹線道路のガソリンスタンドまで進んだ。ここで情報を聞
くためだ。

 店員さんの話によると、どうも、七重浜駅から電車で五稜郭駅までいったん移動し
たほうがいいとのことだ。ちょうど五稜郭駅前には国道5号線が走っているらしい。
そこで私は七重浜駅まで20分ほどかけて歩き、そこから電車で五稜郭駅に向かっ
た。

 五稜郭駅に着いた私は、早速駅前の国道5号線でヒッチを開始した。天気は相変わ
らずのどしゃ降りだったので、30分おきに休みながらのヒッチとなった。駅で休ん
でいると、全身ずぶ濡れの私を見て気の毒に思ったのか、おばさんたちが声をかけて
きた。
「うわあ…、こんなにずぶ濡れになってかわいそうだわ、お兄ちゃん風邪引くよ。」

こんなみずぼらしい格好の学生のことを心配してくださるとはなんといい人たちなの
だろう。感慨深しである。

 少したって、再びヒッチを開始したが、どうも捕まらない。止まる車といえば、私
のまわりで出迎えを待っていた人たちを迎えに来た車ばかりである。どうも、雨で視
界が悪い中では、びしょ濡れになったスケッチブックは見づらいようだ。そこで私
は、駅の売店で余ったダンボールをいただいて、そこにでっかく「札幌」と書くこと
にした。するとなんと、売店のおばさんは、ダンボールに加えて要らないものだから
とタオルや傘までくださった!これには感謝感激雨あられである。私はそのおばさん
に厚く礼を言うと、気を改めて再び道端でヒッチを開始した。

 ダンボールを掲げてから1時間、五稜郭駅に着いてから数えると2時間たって、よ
うやく一台の車、それもクラウンが止まった。
「ちょっと寄り道するけどいいか?」
50代半ばぐらいのおじさんが窓から顔を出した。
「はい!よろしいんですか?」
「いいよ、乗りな。」
「ありがとうございます!」

 ちょっと高級車なのでびっくりしたが、この人たち(2人乗りだった)は、なんと
小樽の運送会社の社長さん親子だった。お得意先に寄りながら小樽のほうに帰るとこ
ろらしい。
「若いうちだからな、ヒッチハイクなんてできるのは。こういう経
験を積むなんてえらいな。」
この社長さんはヒッチハイクの若者が好きらしくて、私はえらく気に入られてしまっ
たようだ。こうしてこれから後、りんご、缶コーヒー、ジュース、はては昼食まで、
色々なものをおごっていただくことになる。
585死ね ◆l0DtPXyM :01/11/17 23:36
…。
586非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:36
ふーん
587非公開@個人情報保護のため:01/11/17 23:36
 この人はとても多弁な人で、車内での6時間の間、いろいろな話を聞くことにな
る、自分は商売をやっている関係上先祖は大切に祭っているとか、トラックからみれ
ば、自転車旅行者よりもヒッチ旅行者の方が邪魔にならなくていいとか、凄惨な交通
事故現場の事、景気の事、ニシン御殿の事など、実に色々なことを聞かせてもらっ
た。やっぱり自分で商売を興すような人は只者ではない。そう実感した。

 余市で息子さんを降ろしたあと、私は小樽駅で降ろしてもらうことになった。
「これから暗くなると、ヒッチもやりずらいだろう。」
社長さんはそういうと、なんと2個のリンゴとともに、札幌までの電車賃として10
00円をくださった。太っ腹な人であった。もちろんいつものように何度も深々と頭
を下げたことは言うまでもない。

 札幌駅に着いて、それから歩いて家に着くころには5時を回っていた。みんなとっ
くに着いてるだろうなと思っていたが、なんと私の方が1時間も早く着いていたらし
い。台風でフェリーが遅れたとのことだが、場合によってはこういうこともあるとい
うことを初めて知った。荷物もびしょ濡れになり、風邪を引きかけて頭がガンガン痛
かったが、交通費も往復で7,8000円で安上がりですんで、しかも楽しい旅で
あった。

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