1 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :
2010/09/10(金) 10:56:23 ID:nk0UpYh/ ゆくぞ!
2ダ〜!!!
3 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/10(金) 12:23:01 ID:nk0UpYh/
ageろや
4 :
政教一致@大阪 :2010/09/11(土) 05:24:41 ID:AaZj99dY
相変わらずアクセス禁止で書き込み出来ません。 この書き込みは携帯からです。
5 :
政教一致@大阪 :2010/09/11(土) 20:47:48 ID:AaZj99dY
もしかしたら一生書き込み出来ないかも。アクセス禁止は永遠に続くかも知れません。
6 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/11(土) 23:06:05 ID:2nCNC7UM
夜の自販機の前でしゃべっている。 班長が一本おごってくれた。 おれはブラックのコーヒーのボタンを押した。 おれはブラック飲めないんだよね。 仲間たちとそんな会話が続く。 夜の闇の中で会館の光が俺たちを照らした。 そのあとラーメン屋で飯を食べた。 青年部のだいたいが集まってきていた。 おれはそこでタンメンを注文した。 友人も同じものを頼む。 店員のアルバイトに見覚えがあった。 同窓会の飲み会の二次会でいった キャバクラで俺に接待した子だな・・・。
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/11(土) 23:06:46 ID:2nCNC7UM
創価班の集まりがあった。青年部の連中さ。 友人の先輩が館内を案内してくれた。 今ここで教学の勉強会をしているんだ。 二階に上がると個室があった。5畳くらいの 部屋で本尊に向かって勤行した。 その指導の先輩は二世で名前は大作といっていた。 救急病院で医療事務をやっているらしい。 彼が友人に教学について質問する。 友人はうっすらとした記憶でそれに答えた。 おれはそこで友人の名前で入会の手続きを取った。 同じ階の別の部屋にいる。創価班の班長が 式をとって再び勤行する。一通り終わると 彼は創価班をねぎらった。 おれに何か願い事はないかと聞いてきた。 おれは健康です。と答えた。
8 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/11(土) 23:07:27 ID:2nCNC7UM
夜の自販機の前でしゃべっている。 班長が一本おごってくれた。 おれはブラックのコーヒーのボタンを押した。 おれはブラック飲めないんだよね。 仲間たちとそんな会話が続く。 夜の闇の中で会館の光が俺たちを照らした。 そのあとラーメン屋で飯を食べた。 青年部のだいたいが集まってきていた。 おれはそこでタンメンを注文した。 友人も同じものを頼む。 店員のアルバイトに見覚えがあった。 同窓会の飲み会の二次会でいった キャバクラで俺に接待した子だな・・・。
9 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/11(土) 23:08:07 ID:2nCNC7UM
右前に座っている彼が話し始めた。 彼は養育費で飯を食べる金がないと嘆いた。 すべて班長のおごりだからと チャーハンあんかけを二皿頼んだ。 俺たちといっしょに唱題しないかと班長が誘った。 そのとき左隣の席の親子三人のパパが咳き込んだ。 その店の中学生くらいの子供が皿をとりにきた。 養育費の彼はひとつの皿にスープを入れて皿を重ねた。 彼女はほっぺを真っ赤にして恥ずかしがった。 代わりにそれをその店の母親が運んだ。 帰りに班長の車でBGMを聞いた。B'zだった。 班長は中程で俺の携帯のアドレスを聞いた。
10 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/11(土) 23:25:06 ID:2nCNC7UM
三年後の今日おれは毎朝勤行をしている。 おれの中で静かに人間革命が始まったんだ。 第一部 おわり
11 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/12(日) 23:36:59 ID:xRDjmgmM
私は三世の女子部員。 今日、長年付き合っていた恋人と別れました。 彼は非学会員でしたが、私が学会員であることを認めてくれていました。 でも、あの忌まわしき組長の告白が彼を変えました。
12 :
愛読者 :2010/09/13(月) 22:33:06 ID:ADgb5jEW
おい、政教一致@大阪!プロバイダを変えろゴルァ!!
13 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/14(火) 22:28:17 ID:DpWXMyZj
>>11 より
組長は「彼」に言った。
「俺は全ての極道の中の頂点に立ってやろうと思うとるんじゃ」
「彼」は驚愕の表情で組長を見た。
「そんなこと出来る訳がないでしょう」
「いや、出来る。そのためにはデッカイ事をやらんとあかん」
「でっかい事ってなんですか」
「創価学会、池田大作の命を取る事や」
「ハァ?」
14 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/14(火) 22:34:46 ID:DpWXMyZj
「池田大作を殺せば、わしが創価学会の頭になる事が出来る訳や」 「彼」は、組長がシャブをやりすぎている事は知っていたが、今やはっきりと 組長がおかしい事が分った。 「お前にも、協力してもらうで」 「そっ、そんなこと出来る訳がないじゃないですか」 「おっと、そないな事を言うて、可愛い彼女に二度と会えんようになっても ええんかな?」 「彼」はうっと呻いた。組長ならやるだろう。どう考えても彼女の方が池田大作よりも殺しやすい
15 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/14(火) 22:40:48 ID:DpWXMyZj
狂ってはいても、そこは組長の事、ぬかりはなかった。 「彼」は従うしかなかった。 信濃町にはSGIの関連施設で、写真撮影用のスタジオがある。 池田大作が近々そのスタジオで写真撮影をするという情報を 「彼」はつかんだ。
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/14(火) 22:59:58 ID:DpWXMyZj
「記念撮影か」組長は言った。 「そんな単純なものではありません。公開する写真は色々加工するんでしょうから 元になる写真はきっちり撮らないとダメなんでしょう」 「そうか、がっかい」 組長はニタリと笑った。 「警備は厳重やろうのう」 「それは当り前です」 「ふふふ、そこを突破するンが鉄砲玉の使命や」 「彼」は「鉄砲玉」が自分の事だと気がつくまで組長に 愛想笑いをしていた。
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/14(火) 23:43:23 ID:9qkiJXVC
「彼」は言った。 「最強の警備体制でしょう。襲撃など無理です」 「そこをやるんや!」組長は強気だった。
18 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 00:49:35 ID:8SoASd4p
…『先生』は防弾仕様のベンツで来るだろう… 「彼」は思った。 チャカ程度では狙撃しても弾をはじかれて終わりだ。かといってライフルを持ち込むなど 不可能だと考えられる。
19 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 01:13:57 ID:8SoASd4p
…別の手段だ…バズーカは? 今時バズーカなんてどこにもない。 それよりライフルよりも目立つ物でどうする M72か? あれなら大判の書類を入れるパイプに偽装できる。 …しかし、あれは二つに分解した状態で運ぶものだ。組み立てるのに 何秒かかる? だめだ
20 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 01:19:16 ID:8SoASd4p
仮に、手に入るとしても対戦車ライフルはもっとまずい。 誰が見てもライフルはライフルだ。 どうすればいいんだ? 「彼」の脳裏にあるアイディアが浮かんだ。 「組長」 「うん」 「ぜんぶオレ一人でやるのは無理ですが…ある方法が」 「なんや?」
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 01:27:13 ID:8SoASd4p
「実は…」 撮影の日が来た。池田先生が久しぶりに病院から娑婆へ出てくると言うのだ。 信濃町では最強の警備態勢が発動されていた。 総動員された警備の中に、「彼」は混じっていた。それは当然の事だった。 「I班は配置につけ」 「D班は元の場所に戻れ」 無線インカムでの指示が飛び交う。
22 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 08:00:55 ID:8SoASd4p
学会の警備員が、道路を封鎖する。 いくら学会関連の施設が多いとはいえここは公道であり、 はっきり言うと違法だが警察は来ない。 牙城班がブレザーを着て三台のベンツを出迎える。 「今や、やれ」組長は携帯に囁いた。
23 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 11:43:38 ID:nf/4+tp/
あげる
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 11:56:12 ID:8SoASd4p
一瞬後、創価大学のワゴン車が車列に横道から突っ込んできた。 いきなりだった。ブレザー隊の中にはワゴン車にはね飛ばされたものもいた。 先頭のベンツには精鋭のSPが乗車していたがどうしようもなかった。 嫌な金属音がした。 「事故だ!」 「J班、先生の安全を確保!」 怒号が無線で飛び交う。彼らは最初交通事故だと思った。 実際にそうだった。 わらわらと警備のブレザー隊がベンツに群がる。 その時だった。
25 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/15(水) 14:21:01 ID:CyTLwhDy
期待age
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 15:53:59 ID:8SoASd4p
「彼」はすっと警備の持ち場から離れるとJ班の方へと歩いた。 手には百均で買った手提げ袋がある。「彼」はその中に手を入れた。 すっと袋から2丁の改造散弾拳銃を出す。映画「マッドマックス」で主人公が 使っていたあれだ。市販の散弾銃を極端に短く切り詰めたそれは12番ゲージだった。 銃声が4発轟いた。 J班はブレザーごと吹き飛ばされた。散弾はOOバック。しかも至近距離だ。 「彼」は空になった拳銃を捨てると、ベルトからこれも二丁のM9ピストルを抜いた。
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 16:02:49 ID:8SoASd4p
M9にはそれぞれ15発の9ミリ拳銃弾が装てんされている。 「彼」はそれを茫然としている警備のリーダに向け無慈悲に射殺した。 創価学会員たちは先を争って逃げた。走り去る学会員たちの背中に 容赦なく引き金を引く。あっというまに弾は尽きたが、学会のメインストリート 信濃町の路上には死体の山が出来た。一発で二人、三人射殺されるケースもあった。 「ふう…」 「彼」はM9に予備マガジンを装てんした。 ベンツは流石に窓ガラスはひびが入って真っ白な上、タイヤも撃ち抜かれて動けない
28 :
8SoASd4p :2010/09/15(水) 18:13:34 ID:8SoASd4p
「組長! 終わりましたよ」 「彼」は言った。 「よっしゃ〜」 組長は子分を連れて現れた。 「御苦労、今頃奴らは必死になって警察を呼んどるやろう。そやけど警察はまだ 来えへん。あまりにも百十番が多すぎて大混乱に陥っとるはずや」
29 :
8SoASd4p :2010/09/15(水) 18:58:33 ID:8SoASd4p
*連続投稿になるので、今日のストーリーはここまで 明日お会いできるのを楽しみにしてます 後誰か、連続投稿にならないように何か書き込んで下さい
30 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/15(水) 21:54:55 ID:nf/4+tp/
政教一致@大阪?
31 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/15(水) 22:30:59 ID:CyTLwhDy
期待しておりますぞ!
32 :
比嘉勇輔 :2010/09/16(木) 01:28:15 ID:xoajJnrn
作風が政教一致@大阪とは違うな
33 :
8SoASd4p :2010/09/16(木) 19:41:16 ID:7bbKuCvg
ベンツの前席のドアが突然開けられた。中からSPが二人飛び出してくる。 彼らは必死の表情で非合法に身に着けていた拳銃を抜きだす。 組長は冷ややかな目で彼らを見た。子分の一人が組長にコルト・ガバメント を手渡した。 銃声は四発、だがアスファルトの上に横たわったのはSPのほうだった。 「出てこんかい、もう周りから助けはけえへんで」組長はベンツの後部座席に向かって声を上げた。
34 :
8SoASd4p :2010/09/16(木) 19:52:01 ID:7bbKuCvg
その時、後部ドアが開き、中から怪鳥のような叫び声をあげて 男が転がり出てきた。男は正木正明だった。高価なズボンを 糞尿で汚している。 正木は必死で走りだした。 「アホか、チャカから走って逃げられるかい」 組長は唇をゆがめて苦笑すると正木の頭を撃った。 それが正木の最後の姿だった。
35 :
8SoASd4p :2010/09/16(木) 19:57:38 ID:7bbKuCvg
続いて、題目を唱えながら、原田稔が出てきた。そして、組長の前で 土下座すると「助けてください」と頭を地面にこすりつけた 「助けてください助けてください助けてください」原田は壊れたレコードのように繰り返す 「うるさいな、すぐに楽になるわい」 コルトガバメントで数発、背中から撃たれた原田はアスファルトの上で のたうちまわった。すさまじいまでの断末魔を一声放つと原田はあの世へ行った。 「さてと」
36 :
8SoASd4p :2010/09/16(木) 20:05:47 ID:7bbKuCvg
池田大作は子分らにベンツからひずりだされた。 「頼む見逃してくれ」これが彼の第一声だった。
37 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/16(木) 20:55:57 ID:7PriMrZp
「そないな事が出来るかいな」組長は冷ややかに言った。 「頼む、助けてくれたらSGIの副会長にしてやる」 組長は笑いながら、池田の髪の毛を掴むと彼の顔面を地面に叩き付けた。そして頭を足で踏みにじった。 「どうや、いままでさんざん食い物にしてきた学会員の気持ちが少しはわかったか?」
38 :
8SoASd4p :2010/09/17(金) 07:37:37 ID:K23BKtxN
「うぐう…」 「ほら見てみい、回りは信濃町や、せやけど誰も助けにはけえへんで」 組長はもう一度池田大作の髪の毛を掴んで、がっと持ち上げた。 「た、助けてくれ!」
39 :
8SoASd4p :2010/09/17(金) 07:44:45 ID:K23BKtxN
「嫌やな」組長はきっぱりと言った。 「金か、金なら出す、百万円、いや、一千万円でどうだ」 「あほか、勲章やら名誉教授の肩書やらにいくら掛けているか、知らんとでも思っとんか」 「ひひーい、じゃ、一億円、いや、二億円では…」 「金なんかいらんわい」 「それじゃ何がいるんだ?」 「貴様の首じゃ」 組長は長ドスを手に取った。 「助けてくれ!」
40 :
8SoASd4p :2010/09/17(金) 07:48:43 ID:K23BKtxN
「題目でも、唱えんかい。題目を唱えたら、何もかもが上手く行くそうじゃのう」 「た、お助け…」 シュ…白刃が池田大作の首にたたきつけられた。 「ウギャー‘+*}<|」 「なかなか一刀両断は無理じゃのう」
41 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/17(金) 15:57:01 ID:7J4+uJYn
ソウカハザードの作者?
42 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/17(金) 20:44:10 ID:IZMFzAAp
「あうあう、ナムアミダブツ!」何と池田大作は最後の瞬間に題目を唱え損ねた。 それが彼の最後だった。太った体から首が切り落とされた。 ほとばしる鮮血がアスファルトを赤く染める。
43 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/17(金) 20:51:28 ID:/3f3QBml
>>42 ボンドでくっつけるとか、縫い合わせるとかして蘇生させてください。
緊急の場合なので消毒とかしなくていいです。
このままでは日本の柱が倒れてしまいます><
44 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/17(金) 20:55:19 ID:IZMFzAAp
「もうええぞ」 組長は言った。 「彼」は無人の街と化した信濃町を歩いて去った。振り帰りはしなかった。
深い霧の中にいた。 遠くから声が聞こえてくる。 戸田先生が呼んでるのか? 池田は不安になった。 会員を騙したようには、戸田先生を騙すことはできない。 私がいかに会員を利用し、名誉欲、権力欲、色欲を満たすために組織を利用してきたか、どんな弁解も虚しい。 どのようなお叱りを受けるか、冷や汗で体中が濡れていた。 声が少し大きくなった。 「先生、先生」 揺り動かされて、ようやく悪夢から目覚めた。 「ひどく、うなされてましたよ。怖い夢でも・・」 「いや、何でもない」、私はまだ死ぬわけにはいかないのだ。 池田は、ふと後ろを振り返った。星新一が笑っているような気がしたからだ。
46 :
8SoASd4p :2010/09/18(土) 07:42:34 ID:+A+/+FwS
星新一はいなかった。 その代りに意外な人物がいた。 「お、お前は」 「はい、政教一致@大阪と申します」
47 :
8SoASd4p :2010/09/18(土) 07:44:08 ID:+A+/+FwS
「な、何をやっているんだこんな所で」 「こんなところ?」 中年の男は以外そうな顔で言った。 「池田さん、ここがどこだかわかりますか」
48 :
8SoASd4p :2010/09/18(土) 07:46:29 ID:+A+/+FwS
「ど、どこって…」 池田大作は絶句した。 いつもの部屋ではない。そう言えば先ほど起こしに来た人間も 知らない誰かだ。 「ここは…」
49 :
政教分離名無しさん :2010/09/18(土) 11:15:59 ID:kVzGmYG1
そして、部屋の真ん中には、なぜかつけ麺が置いてあり、 あつもりなのであった。
50 :
8SoASd4p :2010/09/18(土) 16:36:32 ID:+A+/+FwS
「この世界ではあなたは山本伸一です」 「な、なに?」 「そして、この世界で選挙地獄、財務地獄、新聞を無限部数とる新聞地獄 など、さまざまな地獄をみるのです」 「なんだって? 俺の体はどうなった?」 「元の世界の光景ですか、ちょっと見ますか」
51 :
8SoASd4p :2010/09/18(土) 16:43:22 ID:+A+/+FwS
急に山本の目の前に信濃町の光景が見えてきた。 「イー」 「ギー、ギギッ」 シャブで正気を失った子分達は、池田らの死体を食べ始めた。 組長は、池田大作の首を手に、SGI関連の建物に入って行った。 「池田大作の首を取ったぞ、そやから今日からワシがSGI会長や」 立ちすくむ学会員たちに、組長は自信たっぷりに言った。
52 :
8SoASd4p :2010/09/18(土) 16:54:32 ID:+A+/+FwS
「彼」は恋人の所へと急いでいた。 M9は捨てた。もう殺しは十分だった。 恋人は地元の文化会館にいた。駆け寄る「彼」に恋人は言った。 「大変よ、先生が死んだわ」 「…聞いてくれ、大事な話がある。オレは…」 「先生が死んだ事よりも大事なことなんてないわ」 「なんだと、オレと先生とどちらが大事なんだ」 「もちろん、先生よ」 しばしの沈黙の後で、恋人は言った。 「別れましょう。私には学会が全てなの」 そう言うと、彼女は走り去った。 「彼」はいつまでもぼうぜんと立ち尽くしていた。 SATが突入して狂人となった組長と子分達は逮捕された。 池田大作の死をきっかけに、創価学会はその勢いを失い、完全に崩壊するまでには至らなかったが 事実上、大宗教団体ではなくなった。公明党も完全に壊滅状態で、 次に選挙があればただの一人も議席は確保できそうにない 創価学会は終わった。 池田大作の死 完結 BY 8SoASd4p
53 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/18(土) 20:40:10 ID:TIjgRaU/
後書き 力技で書いていまして次は誰かが書いて下さい。「彼」は何者なのか、どこから来てどこへ行くのか、謎のままですがそれは謎でいいでしょう。
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/18(土) 21:22:30 ID:8RURkZY1
SF的で面白かった
缶コーヒーを飲みながら、私は考えた。 この星の住人は、さまざな「宗教」を信じる。 私の故郷の惑星にも、地球で呼ぶところの「宗教」めいたものはあるが、 どれも理性的であり、金がかかるものではなかった。 地球の宗教で、金の集金システムが巧妙なのは、日本という地域を発祥の地とする「そうかがっかい」という宗教だった。 同じ宗教が私の惑星にやってきたとしても、信者などほとんど集まらぬだろう。 なぜなら、人家族に何部も新聞をとる「マイ聖教」など、無駄以外のなにものでもない。
56 :
俺創価なんだけどなんか変な受検に勧誘された :2010/09/18(土) 22:01:38 ID:T+m9RlXg
俺ピッチピチの高1♂ 両親が創価で生まれたときから創価入ってることになってる そんで今日男子部に受検やらないかと勧誘された やっぱ創価過激派頭おかしい
57 :
そうか そうか :2010/09/18(土) 23:27:59 ID:Fx5VW5Iw
今は無き大藪春彦を彷彿させて面白かった。
58 :
S(以下略) :2010/09/19(日) 00:46:46 ID:HXC7EqLL
大藪は少し意識しました。
マッサージをしている女は遼子、代議士の娘だ。 父親に議員バッジを付けさせた代わりに、ここで下女として使っている。 平凡な顔立ちであるコンプレックスを、派手な化粧で誤魔化そうとしている。 だが、女の均整のとれた肉体は男にとって充分魅力的だった。 似た女を知っている、いや、知っていたというべきか。だが、それが誰なのか思い出せない。 男は「マッサージはもういい」というと、女の腕を引き寄せ、素早くタイトスカートの中に手を差し入れた。 「ア、、だめです」女は身をくねらせ逃げようとした。 だが男の指は、そのあらがいが形だけのものであることを確かめていた。 ブラウスのボタンを乱暴に引きちぎると、白いブラジャーが露わになった。 「いや、、」女の声が甘い響きに変わった。 男が入ってきた、金城会のSだ。 半裸にされた女には見向きもせず、男の耳元にささやいた。 「先生、“影”が死にました」
60 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/20(月) 06:35:55 ID:+j+V/Ptx
期待age
“影”は代わりが何人もいる、それはいい。 「腹田は?」 「腹田と正木も射殺されました、即死です」 ―自分の身も守れないとは、情けない奴らだ。表情も変えず呟いた。 だが、飽谷の無事を聞くと、さすがに小さく舌打ちした。 「私が生きてることは一週間は秘密にして、反逆の動きを探れ」 テキパキと指示を出すと、半裸にされた代議士の娘に目を奪われているSに言った。 「ご苦労だったな、お下げ渡しをあげよう」 Sはゴクリと生唾を飲み込み、直立不動の姿勢から深々と頭を下げた。 「先生、ありがとうございます」 池田が差し出したのは、伸びきった食べ残しのつけ麺あつもりであった。
62 :
8SoASd4p :2010/09/21(火) 02:39:39 ID:qbko12Ag
そのころ、飽谷は渋谷にある創価学会のセーフハウスに潜んでいた。 セーフハウスとは一般人には秘密にしてある部屋で厳重なセキュリティに守られている。 「原田も正木も死んだか…」
63 :
8SoASd4p :2010/09/21(火) 04:21:38 ID:qbko12Ag
死んだものはよみがえらないが生きているものは動く。 「先生はどうしているのか?」 それが読めなければ自分の今後はない。 「解りません」飽谷の個人秘書はそう答えるしかなかった。 飽谷は自分のいきりったった肉径を彼のケツにぶちこもうかと一瞬思ったが 「そうか、がっかい」と言うだけにした。 飽谷が異常な性欲に取りつかれていることは学会内部でもトップシークレットだった。
64 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/21(火) 10:26:04 ID:qll3JYEP
期待しておりますぞ! よってage
65 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/21(火) 10:28:38 ID:qll3JYEP
そういえば小説・創価学会崩壊なんてスレなかった?
66 :
8SoASd4p :2010/09/21(火) 11:11:37 ID:qbko12Ag
>>65 ありましたね
飽谷の病気は少年を死姦したくてたまらないという業病だった。
もちろん、そうそう都合良く少年の死体など転がってはいない。
67 :
8SoASd4p :2010/09/21(火) 13:43:39 ID:qbko12Ag
彼がまだ若く、一学会員にすぎなかった頃のことだ。 所属している地区で少年が一人死んだ。 飽谷は当然、ご遺体に題目を上げた。 その時、葬儀の打ち合わせなどで遺族が席をはずし彼一人が遺体のそばにいる時間があった。 最初は好奇心から遺体の死に装束を脱がせて遺体をもてあそんでいるうちに 彼の中に眠っていた病気が芽をふいた。 猛然と少年の死体にのしかかると飽谷は激しく腰を使っていた。 それ以来、病気は治らない。
68 :
8SoASd4p :2010/09/21(火) 13:49:09 ID:qbko12Ag
題目を上げると病気が治ると言うのは嘘だと飽谷は思った。 池田もかなり女癖が悪いが、自分のそれは明らかに病気だ。 それも重症だ。 そう、それでも彼は生き続けなければならない。 「公式的には三人まとめてあの世に行った事になるな」彼はつぶやいた。
69 :
8SoASd4p :2010/09/21(火) 17:04:05 ID:qbko12Ag
「信濃町へお戻りになっては?」秘書が言う。 「それはまずいだろう。今となっては…今回の事件が全くの偶発的なものだとしても 一番得をするのはワシだ」 「は、それは…しかし」秘書は、目をそらした。 「信濃町はどうなっている?」 「捜査は続いています。実は襲撃犯の一人がまだ逃走中でして…」 「なんだと? 全員SATが逮捕したのではないのか」 「最初はそう思われていましたが、警備の者を射殺したヒットマンが一人 行方をくらませています」
70 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 05:15:30 ID:JuP1RlKA
「それはいろんな意味でまずいな」 「はい、しかしこれは・・・」 「だが、最大に利用しなきゃならんぞ」
71 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 05:32:49 ID:mvyO6PYB
「利用、ですか?」秘書は戸惑った様子だった。 「分るぞ、三谷…おまえは自分の駒でもないヒットマンが利用できないと 考えているだろう。もちろん、そのヒットマンに何かを指示してやらせるなんて事は出来ん」 「はい」 秘書の三谷は興味をそそられたようにうなづいた。 「だが、そんなヒットマンが野放しだとなると、ワシが信濃町に戻らない大義名分が立つ」 「はい」 「襲撃の黒幕がワシではないかと考えているものにとってはその凄腕のヒットマンは脅威だ」 「なるほど」 「当然、ワシに対して公然と反旗を翻す事は出来なくなる」
72 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 05:59:10 ID:mvyO6PYB
飽谷は、少し考えて、続けて言った。 「問題は、先生がどこまで関与しているのかだ」 そのころ、「彼」は警察と創価学会の目を逃れてアジトへ転がり込んだ。 アジトは、廃業したパチンコ店の二階だった。 電気は止まっているが水道は生きている。
73 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 06:10:26 ID:mvyO6PYB
「彼」は全裸になるとトイレの手洗いで水をひたしたタオルで全身を 拭った。 それから、今度はあらかじめ隠しておいたカバンから、偽造パスポートを 出した。 『リオン・山崎』それが「彼」の新しい名前だった。 「リオンか」 パスポートの他にも用意してある物があった。 まず、リオン・山崎名義の銀行のキャッシュカードとクレジットカードだ。 さらに、山崎利音名義の運転免許証もあった。免許は確認されれば偽造が ばれてしまうが、パスポートはばれる事はまずないだろう、リオン・山崎は 実在した人物だからだ。 まあ、今頃は本物のリオンはどこかの海の底か山の中で眠っているはずだ。
74 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 06:20:49 ID:mvyO6PYB
リオンは、今年の初めに香港から日本に舞い戻って来た。 香港の黒社会でも社会全般の反日感情の影響はあったからだ。 要するに、もともと日本人であるリオンは信用できないと言うのだ。 もっとも、これはチベット出身者や台湾出身者も多数在籍する黒社会において 「難癖」とも言える。 日本では、組長を頼るしかなかった。リオンは当然日本人なので日本語も喋れるし 読み書きにもなんら不自由はなかったが本物のリオン・山崎は日系ブラジル人だった。
75 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/22(水) 06:27:32 ID:Bp6NARD3
76 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 06:27:38 ID:mvyO6PYB
部屋を借りるにしても、就職をするにしてもなんらかのツテは必要だった。 もちろん手元に現金はあるから働かなくてもいいが、毎日ブラブラしている人間は目立つ。 カバーストーリーは必要だ。 香港の公安部には彼の本名が記された分厚いファイルがあるのだ。 暇人の防犯パトロールがちょっと好奇心を抱いて照会をかけただけで 彼の平安はガラガラと音を立てて崩れる。
77 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 10:26:38 ID:mvyO6PYB
そんな中で彼女に出会ったのだが… 「さてと」 リオンは新しい服に着替えた。電気工事の作業員の服装だ。 「信濃町に舞い戻るか」 リオンはスクーターで信濃町に向かった。 信濃町は警察で一杯だった。 検問を偽造パスポートで潜り抜け、『SGI総本部』へと急ぐ。 『SGI総本部』は最近出来た施設で、全世界へ衛星放送を配信できる スタジオなど、インターナショナルな設備だった。
78 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/22(水) 12:35:42 ID:PHUVdZLG
age
79 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 18:53:21 ID:mvyO6PYB
「SGI本部」もまた警察で一杯だった。 だが、彼らはよもや自分たちが追っている犯人が目の前にいるとは思わなかった。 灯台もと暗しである。 リオンは最上階にある個室のドアをノックした。 「誰だ!」 「蛍光灯の交換です」 「よし、今開ける」 ドアを開けたのは老人だった。 「早かったな」 老人は個室の中にリオンを招き入れた。 「警察はどこまでつかんでいるんですか」リオンは丁寧に言った。 「まだ、なにもつかんではいない…組長は君の事を何でも話すと思う」 老人の名前はチャーリー・浜だった。 信じられないような事だがそれが本名なのだ。 もちろん、チャーリーも浜もありふれた名前だ。だから別におかしくはない。 しかし、日系二世のチャーリーはこの名前のために言いようのない想いをしてきた。
80 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 19:37:18 ID:mvyO6PYB
チャーリーは、相手が吉本の芸人の名前などわからない海外でのSGIの活動を 積極的に取り組んできた。SGIの大功労者だ。 香港でも、SGIの活動をしていた時期があった。 …今はSGIの支部はあるのかな? リオンは思った。 尖閣列島をめぐる日中間のトラブルが発生し、反日感情が強まっている事は リオンのような犯罪者でさえ知っていた。 いや、犯罪者だからこそ、そのような社会的動向には敏感だった。 もちろん今はそんな話をしに来た訳ではない。 「出国したいんです。これだけの事を起こしたんだ、今は大丈夫でも いつかはきっとアジトまで追跡されるでしょう」 「解ってる。だが、今は時期が悪い、中国も入国管理を厳重にしている。直行便は無理だ」 「しかし…」 「アメリカやヨーロッパも難しいな。後は韓国だが…」 SGIは韓国にも大きな勢力を持っている。 「向こうには今、信用できる人間がいない。行ったらそこから先がどうなのかは運任せになってしまう」 「それはまずいですね」 「そこでだ、北朝鮮ならどうかね」 「え?」 リオンは驚いた。
81 :
8SoASd4p :2010/09/22(水) 20:03:43 ID:mvyO6PYB
「北ですか」 「近々、学会のチャーター便が飛ぶ。もちろん日本から直行ではなく いったん韓国に着陸し給油する事はする」 それだと、一回韓国に入国すると言う事になるが、飛行機からは降りないとチャーリーは言った。 だから入国チェックはないと言う事だった。 「今の時期に北に?」 創価学会は北朝鮮とも太いパイプを持っている。
82 :
8S :2010/09/22(水) 21:11:21 ID:JuP1RlKA
「北も日本に対してなんらかの行動に出る可能性があるからな」 「平和活動を?」 「本当は中国を何とかしたいが政府の交渉とバッティングするのはまずい」
age
84 :
8SoASd4p :2010/09/23(木) 19:29:30 ID:gvA4B8Da
「それで、中国入国はどうやって?」 リオンは言った。北朝鮮に長くいるなど考えただけでも危険すぎる。 「脱北者のルートを使うのは危険すぎる。国境で公安に捕らえられれば最後だ。 ここは穏当にいったん北内部に身を隠し、今度は北にビジネスで来ている中国人に化け 北京への直行便に乗る。あとは香港に戻るなり、北京に居つくなり好きにすればいい」 チャーリーはそう言うとまじまじと目の前のヒットマンを見た。
85 :
8SoASd4p :2010/09/23(木) 19:41:49 ID:gvA4B8Da
リオンは、今現在はSGI直属の殺し屋と言う事になる。 もちろん、香港の黒社会に潜んでいたころはそうではなかった。 ただの、殺しを得意とする組織の一員にすぎなかった。 その頃のリオンは殺し屋と言う訳ではないが、金で仕事を請け負った事もあった。 彼はSGI香港に関するトラブルに日本語が出来ると言う事情から関与し、SGIとの つながりを作ったのだった。この時点ではまだSGIもまさか殺し屋が必要になると言う 事態は想定してはいなかった。 だが、時代は変わってしまった。宗教の世界は先の事が分らない。 日蓮正宗と創価学会がそうだったように、創価学会とSGIの関係も微妙になって来たのだった。 もともと、SGIは日本国外、創価学会は国内と言う事で線はきちんと引かれていた。 それが、「先生」の後継者問題で揺れ始めた。
86 :
8S :2010/09/24(金) 05:43:44 ID:kPSEq/GW
創価学会にとってはSGIは分家であった。ところが後継者をめぐる学会内部の暗闘の中でSGIの位置付けも変化してきた。 世界>日本なのだからそれは当然だった。
87 :
8SoASd4p :2010/09/24(金) 15:11:31 ID:s97z+J6R
後継者を巡る争いとは、具体的には池田大作の長男、池田博正の処遇についてだった。 創価学会の歴史では、会長職の世襲はしないと言う事が建前だった。 しかし、池田大作とて長男が可愛くない訳ではない。 早世した二男は、かなりの実力派だったが、長男博正はそれほどではない。 創価高校の教師だった時代を懐かしむような発言も(それはそれで、間違いだとは言えない真実の言葉だろうが) 聞こえてくると言う人物。 いきなり創価学会の会長は難しい。 そこで浮上してきたのは博正をSGI会長に就任させ、その上でSGIが創価学会の上部組織と言う位置づけにするというウルトラCの荒業だ。 それならば、創価学会会長職の世襲ではないし、世界>日本という常識面でも納得がいく人事だ。
88 :
8SoASd4p :2010/09/24(金) 15:16:09 ID:s97z+J6R
チャーリーは言った。 「あさってにはチャーター便が出る事になっている。それまでに準備してくれ」 「解りました」 「久しぶりの母国だ、会いたい人もいるだろうが、こらえてくれ」 「もちろんです。うっかり会ったらその人も巻き添えになる」 「**(リオンの本名)、家族は?」 「兄弟姉妹は生きていますが、連絡は途絶えています」 「そうか、きびしいがこらえてくれ」 「それはもちろんです」
89 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/25(土) 05:41:51 ID:ZT6X0CVf
あげる
90 :
8SoASd4p :2010/09/25(土) 08:12:46 ID:9tWUHlyr
同時刻 硫黄島では異形の航空機が着陸しようとしていた。
91 :
初代スレの1 :2010/09/25(土) 15:29:30 ID:uLs2KStw
age
92 :
8SoASd4p :2010/09/25(土) 19:58:26 ID:9tWUHlyr
形はB-2に似ている。 しかし、エンジンが特殊だった。 レシプロエンジンとジェットエンジンとロケットエンジンが付いている。
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/25(土) 20:42:49 ID:ZT6X0CVf
この機体の本来の活動場所は真空の宇宙に近い高空だった。 そこではロケットが必要だった。 長距離を飛ぶ時にはレシプロエンジンが不可欠だ。 長距離を飛ぶ事はこの機体の宿命だった。
94 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/26(日) 01:56:26 ID:pY0+v+qI
誰よりも高く、誰よりも遠くに飛ぶ。それがこの機体に求められた使命だった。 空中給油を受ければ地球上に行けない場所はない。理論的には宇宙での給油が可能なら月に行くことが出来た。
95 :
8SoASd4p :2010/09/26(日) 07:36:02 ID:appqiYaI
アビオニクスも充実していた。 飛行中は機体は専用の通信衛星とレーザー通信を絶えず行っている。 つまり、常時オンラインだ。 冗長性が求められ高速ではないが常に基地や偵察衛星、先行している僚機などからの情報を ほぼリアルタイムで利用できる。 極端な話、インターネットも出来なくはなかった。ただ、接続すれば接続したで面倒な事が起きないとは限らない。 機体は硫黄島を肉眼で確認できる地点まで来た。 「自動操縦を解除」 基調は命じた。
96 :
8SoASd4p :2010/09/26(日) 07:43:31 ID:appqiYaI
訂正 基調=>機長 「了解」 副操縦士は自動操縦を解除した。 「NF1どうぞ」 硫黄島管制塔から若い女の声がした。 「NF1より硫黄島、感度良好」 NF…機体は新富嶽と呼ばれていた。 「地上は無風状態です。使用滑走路はビクトリーロード」 「了解」
97 :
8SoASd4p :2010/09/26(日) 07:45:29 ID:appqiYaI
機長は池田大作だった。 彼はエンジンの逆噴射をした。 「機長、何をするんですか! やめてください」副操縦士は言った。
98 :
8SoASd4p :2010/09/26(日) 07:53:27 ID:appqiYaI
石のように落下した機体は、滑走路にたたきつけられるように降りた。 機長は無言で副操縦士を見た。 「池田三佐、着陸ゾーンに進入後NF1をバンカーへ入れずに、機長だけ デブリーフィングのためミーティング室3番へ」 「了解」
99 :
8SoASd4p :2010/09/26(日) 07:56:29 ID:appqiYaI
池田三佐の両親は心の底から創価学会員だった。 そして池田三佐は心の底から創価学会を憎んでいた。 「池田大作」と言う名前が、彼の運命を決めたと言ってもいい。
100 :
8S :2010/09/26(日) 18:25:15 ID:pY0+v+qI
国際社会の緊張は高まっていた。 中国の対日感情は元から悪いが現在は最悪だ。
age
102 :
8S :2010/09/26(日) 21:42:12 ID:pY0+v+qI
部屋に行くと堀田三佐がいた。堀田は情報担当だった。 「それでどこだ。北京か。ピョンヤンか」 池田は言った。 「福岡だ。戦隊はあそこで待機する」 「機密保持はどうする?」 「仕方がない。今こそNFが必要だ」 「たった4機だぞ、試作機までいれてもだ」 「それは今更どうしようもないだろう。与えられた条件でベストを尽くすしかない」
103 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/26(日) 21:45:10 ID:D/88zQ2T
104 :
8S :2010/09/27(月) 02:26:15 ID:e4VsYin5
堀田は続けて言った。 「戦隊司令部と補助部隊も追って福岡に入る」 補助部隊とは空中給油機とT-4からなる隊だ。 「T-4は役に立たんだろう」池田は言った。 「分からん。とにかく連れて行く」 「ここのほうが安全だろう」 「多分な。しかしこれは上の命令だ」 「統合幕僚監部の命令か」 「もっと上らしい、全ての部隊の差し繰りは大臣か総理が監督している」
105 :
8S :2010/09/27(月) 05:08:34 ID:e4VsYin5
「整備隊は?」 「一部が先発隊として出発している」 整備隊がいなければ飛行機は飛ばない。 「福岡からの最終目的地はどこだ」 「それは分からん」
106 :
8SoASd4p :2010/09/27(月) 07:31:52 ID:X2kveQnx
訂正 誤 部屋に行くと堀田三佐がいた。堀田は情報担当だった。 「それでどこだ。北京か。ピョンヤンか」 池田は言った。 正 部屋に行くと堀田三佐がいた。堀田は情報担当だった。 池田は言った。 「それでどこだ。北京か。ピョンヤンか」 *発言の順番が逆です。質問しているのは池田三佐
107 :
8SoASd4p :2010/09/27(月) 07:41:08 ID:X2kveQnx
「分らん?」 「ああ、しかし福岡に着くころには判明しているだろう。防衛省の 偉いさんがたが決めてくれるのさ」 「オレはどこでもいいさ」 「本当か、池田…突っ張るのもいいがお前の下には若いのがつく」 「それは、分っている。そこのところはわきまえているさ」 「たのむぜ、みだりに特攻精神で突っ込んだりするなよ」 池田三佐は私物をまとめるために自分の宿舎に戻った。
108 :
8SoASd4p :2010/09/27(月) 07:44:58 ID:X2kveQnx
佐官の宿舎と言っても、そこは硫黄島である。 索莫とした部屋には魑魅魍魎が出てきそうな雰囲気が漂っていた。
109 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/27(月) 17:06:38 ID:eZQkZo5q
age
110 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/28(火) 00:40:39 ID:lME4RTWr
政教一致@大阪さん、ホームページは更新しないんですか?
111 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/09/28(火) 01:49:30 ID:5kCHEEp0
更新は行わない予定です
112 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/09/28(火) 05:21:29 ID:5kCHEEp0
113 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/09/28(火) 20:51:23 ID:lME4RTWr
書けゴルァ!
114 :
8SoASd4p :2010/09/28(火) 21:20:11 ID:5kCHEEp0
池田三佐は荷造りを短時間で終えた。 自衛隊の勤務は移動・転勤の連続だからそれは自慢にもならなかった 一息入れているとドアがノックされた。 「どうぞ」
115 :
初代スレの1 :2010/09/28(火) 22:47:20 ID:HTebhOKZ
ID:5kCHEEp0 8SoASd4pが政教一致@大阪氏だった件
116 :
初代スレの1 :2010/09/28(火) 22:50:21 ID:HTebhOKZ
そういえば初代スレ立てたの何年前でしたっけ? もうこのシリーズずいぶん歴史ありますよね?
117 :
初代スレの1 :2010/09/28(火) 23:29:42 ID:HTebhOKZ
ともあれ職が見つかってよかったですな! 教職関連の仕事に就かれたのですか?
118 :
初代スレの1 :2010/09/28(火) 23:35:19 ID:HTebhOKZ
ホームページの更新キボンヌ!
119 :
8SoASd4p :2010/09/29(水) 06:24:33 ID:edtV1RGd
政教一致@大阪です 長い間無職の時期が続いていましたが、警備業の仕事(アルバイト)に就職出来ました しかし、所詮はアルバイトでありどう考えても長い間就業できるものではない為 思い切ってIT関連の職業訓練を受ける事にしました。 私にはパソコンユーザーとしてのスキルは若干ありますがなにせ総務畑で多少 必要に駆られていじっていたと言う程度、職業訓練は職種転換を視野に入れた 大きな賭けです
120 :
8SoASd4p改め政教一致@大阪 :2010/09/29(水) 06:26:21 ID:edtV1RGd
以前は新入社員教育の教官だった人物が今度は受講生になるのですから 感慨深いものがあります
121 :
岩隈章一 :2010/09/29(水) 12:58:37 ID:uQ/ZUxAj
コテハンは統一しろゴルァ!
122 :
岩隈章一 :2010/09/29(水) 17:24:45 ID:uQ/ZUxAj
前の会社では課長くらいだったのか?
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/09/29(水) 17:26:30 ID:3qekV2s2
124 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/09/29(水) 19:00:39 ID:edtV1RGd
前の会社の事は忘れたいです
125 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/09/29(水) 19:07:15 ID:edtV1RGd
>>114 より
ドアが開き、若い女が入って来た。婦人自衛官だ。
126 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/09/29(水) 19:54:52 ID:edtV1RGd
池田三佐は結婚して息子と娘がいた。 しかし、それはもう過去の話だ。自衛隊ではよくある単身赴任の連続から 事実上の別居に移行すると言うパターンを経過して現在は離婚届を出す寸前だった。 ただ、娘が私立の小学校に行きたいと言ったので離婚は延期する事になった。
ホームページ作ってまとめてください。
128 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/01(金) 07:38:14 ID:3xx2hrMG
129 :
福田直(ふくだすなお) ◆eCIyafgL6c :2010/10/01(金) 16:45:13 ID:KokgndpA
昔のスレが読みたい。
130 :
政教分離名無しさん :2010/10/02(土) 04:46:19 ID:FLW4mflt
>>129 創価板の纏めスレに、リンクがあったような?
無かったらゴメン。
131 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/02(土) 05:48:47 ID:D1xDwD4J
>>126 より
娘の名前は綾園仁美と言った。
職場恋愛、これも自衛隊では良くある話だ。まだ正式には離婚していない訳だから
不倫になるのだろう。これも隊内ではありふれた話だ。
132 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/03(日) 16:54:43 ID:8A5FO93o
書けゴルァ!
133 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/03(日) 18:34:07 ID:VwaRJ7MN
「怖いわ」 仁美は言った。 「そうか、オレはもう怖いなんて通り越している。行くんなら危険な場所の方が やりがいがある」 池田三佐は言った。強がりではなかった。 新富嶽のステルス性能をもってすれば北朝鮮空軍が全く気がつかないうちにピョンヤンを空爆して脱出する事も出来る。
134 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/03(日) 18:47:45 ID:8A5FO93o
ID強制表示で自作自演ができなくなったな
135 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/03(日) 19:28:19 ID:VwaRJ7MN
「でも、今回のミッションはピョンヤンなんてソフトターゲットじゃないらしいわ」 仁美は心配そうな顔で言った。 「心配はいらないさ、さあ、今は福岡への移動が最優先だ」 ピョンヤンもたいがい危険な目標ポイントだが・・・
136 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/03(日) 22:25:28 ID:VwaRJ7MN
北朝鮮軍の所有する戦闘機で新富嶽にとって脅威と言えるのはMIG-29だけだ。 これらの保有機数は最大でも40と見込まれている。 MIG-29はピョンヤン近郊に重点的に配備されているようであり、最大が40とは言いながらも実際の稼働数は かなり低い。スクランブル発進は多くても十機を超える事はない。
137 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/03(日) 22:30:37 ID:VwaRJ7MN
しかし問題はレーダーでの早期警戒の能力の低さだ。 相手が新富嶽だと、早期発見は絶望的だろう。 おまけに、北朝鮮ではレーダーでさえも電力不足でろくに稼働していなかった。 さらに、早期国防のための情報ネットワークが整備されていなかった。 電話で怒鳴りあいながら情報をやり取りするしかない
138 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/03(日) 23:50:54 ID:8A5FO93o
ハードボイルドですなぁ
139 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/04(月) 18:36:35 ID:Xwl6iR9/
その日の夜、新宿 ビジネスホテルでリオンは静かにウイスキーを飲んでいた。 久しぶりの祖国だが外を出歩くのは危険すぎた。 目を血走らせた学会員がうろついている。
140 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/05(火) 03:00:51 ID:9EPWbAAL
あげ
141 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/05(火) 03:44:27 ID:azEjhfHU
反日朝鮮人と一部の反日を行なう同和民 現在中国と日本が緊迫した関係に有ります。 臨戦状態ではないかと思っています。 今、中国では10月1日から7日までが国慶節で国家的休日となっています。 この休日が終わると尖閣諸島の領土問題が再び勃発すると思われます。 10月8日から再び中国が日本に圧力を掛けてくると思うのですが 中国側は軍艦を配備してまでも尖閣諸島の領土を主張すると宣言しています。 日本と中国の主張が異なり話が拗れた場合には戦争が起こる可能性も有るのです。 近年イギリスとアルゼンチンの間で領土問題が勃発して戦争が起きた事は記憶に新しいと思います。 戦争が起きる事は十分に考えられるのです。 もし日本と中国の間で戦争が起これば現在日本に住んでいる中国人には十分に注意しなければなりません。 この事は日本人も心得ていると思うのですが、この他にも注意しなければならない団体が有ると思います。 それは2005年5月前後から起きている日本国内での反日活動に参加していた人達です。 この反日活動に参加した人達は帰化した人も含む在日朝鮮人が多数いた事は皆さんも知っていると思います。 その他、同和民の中にも一部反日活動に参加した人達がいたようです。 2005年5月前後の反日活動に参加した人達は要注意だと思います。 この反日活動を行なった人々・団体が日本と中国の間で戦争が始まってしまった際、日本人の味方なのか それとも日本人の敵に回るのかが分からないのです。 また、この人達は日本で生活しているために服装や化粧の仕方などが同じなので見分けが付かないのです。 私はこの在日反日朝鮮人と一部の反日同和民が一番怖く感じています。 見た目は日本人とそっくりで言葉も日本語をすらすらと喋るので判断の使用がないのです。 小泉純一氏が総理大臣だった2005年5月に設立してしまった個人情報保護法の為に民族や団体の 情報が一般市民にはまったく分からなくなってしまっているのです。 2005年5月に設立してしまった個人情報保護法の為に日本国民は戦争の際に敵なのか味方なのか 判別が出来ずに途方にくれる事になるのではないでしょうか。
142 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/05(火) 15:58:33 ID:cabzdQrW
東京 この街は滅びの予感に取りつかれている。 政教一致@東京は、そんな言葉を思い出しながら衛星写真に目をこらした。 「ミサイル都市」 そこは、ミサイルの街だった。
143 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/05(火) 21:11:18 ID:cabzdQrW
衛星写真で判別できる限りでは数十ものノドンミサイル発射台が展開している
144 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/06(水) 03:31:02 ID:E3IXbg1E
牙城会のやつらに創価班でカツを入れてやろうという計画が立った。 俺は先頭を切って牙城会に喧嘩を売り始めた。 やっぱやつらはこんにゃくみたいな連中だ。ホモだろあいつら・・・ 勝利の祝杯にキャバクラで15万ほど散財した。 財務に取られるよりマシだ。クズども、創価班にかなうヤツなんて いないってことを俺たちは証明したんだ。次は誰を襲撃するか 壮年部のキチガイ幹部を片っ端から鉄パイプで襲撃するように しようぜ。あいつらさえいなければ俺たち青年部の天下だ。 池田大作?あいつはもう老いぼれだ。なんの問題もない。 あいつが成仏すれば壮年部は喪失感で自殺でもするんじゃねーのw 俺たちは飲み屋の帰り道お互い笑いあった。
145 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/07(木) 19:54:26 ID:cznEZPXJ
ささやかな創価班の幸せな夜の陰で… 一台のリムジンがひそかに闇の道を走っていた。
146 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/08(金) 07:06:54 ID:VuIe5ucX
防衛大臣、漆原孝造は、礼服姿でベンツの後部座席に座っていた。 …なにもかも変わってしまった… 彼は思った。
147 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/08(金) 07:15:00 ID:VuIe5ucX
信濃町は大混乱だった。葬儀も何も、まだご遺体が警察から帰って来ていないと言う事であった。 やむなく、漆原はもう一つの立ち寄り先に行った。自衛隊中央病院である。 バトルになれば、負傷者が運ばれるのだ、と言う設定での視察であった。 だが、新生児室で、すやすやと眠っている赤ん坊を見た時、漆原の中で何かが動いた。 今、動かなければこの赤ん坊は地獄の炎の中で焼き尽くされる 深夜にもかかわらず、彼はある場所を訪れる事にした。
148 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/08(金) 07:20:20 ID:VuIe5ucX
静かな部屋の中で、男は待っていた。 漆原は最敬礼で「このような夜更けにまことに畏れ多い事でございます」 と言った。 「いよいよ、事態は悪くなりましたか」 「は、まことにもってわが身の努力の足らざる所でして、もういつ破滅的な事態になるのか測りかねます」 「そうですか、平和的な解決に望みはないのですか」 「残念ながら、その道は薄いと存じます。一刻も早く、ここからお離れ下さい」
149 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/08(金) 07:27:16 ID:VuIe5ucX
「長男には、一家でハワイに行くように言ったし、二男の一家には北海道への 巡幸を命じてある。この上に私までもが東京を離れる事は、東京都民を見捨てる事になりはしまいか」 「しかし、そのような場合では…」 「ここを離れる事は出来ない」男は静かに言った。 「臣漆原、誓って宸襟を安んじ奉ります」 漆原は退出した。 男は、そうこれから先祖とやおろずの神に祈ろうと思った。 深夜でも神に祈る事は出来る。
150 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/08(金) 07:35:35 ID:VuIe5ucX
「長男には、一家でハワイに行くように言ったし、二男の一家には北海道への 巡幸を命じてある。この上に私までもが東京を離れる事は、東京都民を見捨てる事になりはしまいか」 「しかし、そのような場合では…」 「ここを離れる事は出来ない」男は静かに言った。 「臣漆原、誓って宸襟を安んじ奉ります」 漆原は退出した。 男は、そうこれから先祖とやおろずの神に祈ろうと思った。 深夜でも神に祈る事は出来る。
151 :
湯原直彦 :2010/10/08(金) 12:34:41 ID:Ok6iMPQ8
久村友恒を出せゴルァ!
152 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/08(金) 19:31:13 ID:VuIe5ucX
それはおいおい出します。 今日はここまで あと、二回更新してしまいました。年齢はごまかせません
153 :
湯原直彦 :2010/10/08(金) 22:29:02 ID:Ok6iMPQ8
いますぐ出せ
154 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 12:54:40 ID:nU0LkF1u
155 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 13:31:25 ID:nU0LkF1u
久村友恒は、自宅でロリータDVDを見ていた。 彼はロリコンだった。 智恵美と言う妻は元教え子だった。 「もう昔の話だ。正確に言うと2004年に書き込まれた女鐚シリーズ外伝での話だ」 「何が昔の話なのかしらねぇ」 「わわっ」久村の背後に智恵美は音もなくすり寄っていたのだった。
156 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 13:32:45 ID:nU0LkF1u
「お、おまい、いつのまに?」 「DVDを見始めた時からよ」 「あうあう…」
157 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/09(土) 15:43:51 ID:x+iofPJw
マハーロー
158 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/09(土) 16:11:56 ID:4sXitjUh
警備員は楽しいですか?
159 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 16:16:18 ID:nU0LkF1u
>>158 警備の仕事をやめ、職業訓練を受けています。
総務の仕事を今から探せる訳もなく、パソコンも自己流でしかないのですから
そう言う訓練を受ければ職種の転換が出来るのではないかと期待しての事です
160 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 16:19:32 ID:nU0LkF1u
>>156 より
「あなた、もうロリコンは卒業して」
「う、うん…」
「子供もほしいわ、いつまでもツルペタ萌え〜! とか言っていられないのよ」
「うーん」
仕方なしに秘蔵DVDをハンマで割ってくず箱に捨てる久村だった。
161 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 16:23:01 ID:nU0LkF1u
「仕方ないな、政教一致@大阪先生ですら境涯が変わったぐらいだしな」 久村は思ったのだった。 思えば、長い間自分たち登場人物は眠っていたが、作者は眠ってなどいなかった。 いや、夜は寝てたが… 決して自分たちのように消えていたのではない。
162 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 19:07:49 ID:nU0LkF1u
その頃… 漆原は戦闘指揮室にいた。 「こことて、核兵器の攻撃には耐えられるかどうかわからない。可能な限り 要員を脱出させるんだ」 「は!」 「核爆発の後でも、戦闘は続くんだ!」
163 :
政教一致@大阪 :2010/10/09(土) 20:12:44 ID:wyl/Z6p6
戦争は命を越えて続く。
164 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 20:16:31 ID:nU0LkF1u
漆原には家族がいなかった。 だから、命を捨てる覚悟は出来ていた。 漆原は、政教一致@東京に言った。 「状況を上げてくれ」 「良くありません」
165 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 20:38:50 ID:nU0LkF1u
「そうか」 「状況は最悪です。核兵器を運搬した形跡があります」 「北朝鮮の核兵器の状態はどの程度なのかね」 「数キロトンの原爆を十数発保有しているものと考えられます。いずれも 改良型のノドンミサイルに搭載出来うる規格に収まっている模様です」 「テポドンではないのか」 「はい、それは違うようです。テポドンは長射程ですが誘導能力が弱い北朝鮮にとっては 取り扱いが難しい兵器ですし、数も限りがある模様です。発射したら補充には時間がかかります」 「そうか、しかしテポドンそのものは無視できない要素だろう」 「それは、その通りです。無視はできません。しかし、数で言えば数発、いえ、現状では発射出来うる ミサイル自体が存在するのかどうかが疑問です」 「ふむ」
166 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/09(土) 20:58:30 ID:nU0LkF1u
「それに、北朝鮮の立場に立って見れば、一発発射すればもう後がない兵器よりも 何発でも連続射撃が出来る兵器の方がより重要です」 「ふむ…ミサイルが集中している場所、いわゆる「ミサイル都市」だが」 「はっ」 「そこ以外にミサイルがあるのではないかと思うが、どうか」 「それは我々の方でも良く確認しましたが、どうやら可能性は極めて低いと判断できます」 「ほう、それは何故かね? 」 「一つには燃料の補給です。詳細は省略しますがノドンには液体燃料を充填すると言う作業が必要です」 「ふむ」 「ところが、北朝鮮の実情では、その燃料を用意すること自体が困難を伴い、わが国で言うなら北海道と沖縄で 作戦行動に入れば妨害する事は極めて困難だと言う事は分っていても、結局は名古屋で全ての活動をすれば 合理的だと言う話でして」
167 :
政教一致@大阪 :2010/10/10(日) 09:03:25 ID:Nd1KMurp
「いつ仕掛けて来る?」 「今すぐではありません」
168 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/10(日) 18:52:56 ID:3v3LKTOS
明日までお休みします
169 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/10(日) 20:27:50 ID:3v3LKTOS
理由は腰が痛くてたまらないからです。パソコンの前に座るのがつらい(泣
170 :
政教分離名無しさん :2010/10/10(日) 23:40:25 ID:3U063DeI
お大事に。
171 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 13:01:45 ID:P6jt2ORf
漆原は少し考えて言った。 「北朝鮮が隠し玉を持っていないと言うのは確実かどうかだな」 「と、言いますと?」政教一致@東京はやや緊張した顔になった。 「言わば外科手術による解決が最後の手段かもしれないと言う事だ」 リオンは部屋からホテルのバーに河岸を変えた。 スコッチの水割りをちびちび飲んでいると背後から女が声をかけてきた。 「そこの椅子は空いているかしら」 もちろん椅子はあいていた。
172 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 13:39:19 ID:P6jt2ORf
振り返ると、若い娘がいた。 さりげなく「グラフSGI」をカバンに入れている。使者だ。 「どうぞ」 娘はジントニックを注文した。 長い髪から線香の匂いがする。 「葬式にでも出ていたのかね」 「そうよ…リオン、あなたは出かけて行く事はないの?自分が殺した相手の葬式に」 「あんた、名前は?」 「別にどんな名前でもいいわ」 「RPGの初めのシーンか? じゃ俺はお前の事を山本リンダと呼ぶよ」 「リンダね」 娘…リンダは平然としていた。
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/11(月) 13:51:53 ID:nKoJ7dDY
あげ
174 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 14:26:50 ID:P6jt2ORf
「チャーリーからの伝言よ、携帯がばれてしまったわ。 でも気がつかないふりで普通に使っていてほしいと、どうせあと少しで用済みになる携帯だし 携帯の代わりに私がそばにいるわ」 「ほう?」 「ハングルの通訳なの、北へも一緒に飛ぶわ」 「本当に通訳なのか」 「アンニョンハセヨ」 「それは「今日は」だろう」 「ハングルは出来ないけれど通訳ってことになっているの」 「なるほど、向こうはきなくさいようだな」 「北の『首領様』にはもう実権はないのよ、だから軍隊は中国の言う事を丸のみで 聞くようになっているの」 「情けない軍隊だな」 「だから、今回の事は北にとっては渡りに船なの」
175 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 19:21:16 ID:P6jt2ORf
「ふむ、そうか」 「ねえ、昔話をして」 「うむ、昔話、『赤雪姫』」 「?」 「昔々、あるところに赤雪姫が住んでいました」 「???」 「お母様は不幸にしてなくなり、後妻にやって来たのは魔女でした」 「?」
176 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 19:25:59 ID:P6jt2ORf
「『私を縄で縛って!』魔女は言いました。王様は言いました 『それはマゾやろがっ!』」 「?」 「そうこうするうちに魔女は赤雪姫が邪魔になりました。 『ヤッチマイナァ』とキルビルのように言うと、七人の小人が赤雪姫に襲いかかりました」 「ええ?」 「しかし、所詮小人は七人束になっても健常者の赤雪姫の敵ではありませんでした」 「おいこら! 差別するな」
177 :
政教一致@大阪 :2010/10/11(月) 19:40:47 ID:nKoJ7dDY
「血に塗れた長ドスを手に赤雪姫はお城に歩いて行きました」
178 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 19:45:18 ID:P6jt2ORf
「今日は冷えるのう」 「おお、雪が降るかも知れんのう」 お城の衛兵はそう言いあいながらぶるぶると震えていました。 そこへ姫はやってきました。 「おい、止まれ!」 「どこへ行く!」 衛兵は言いました。 「通しなさい、お父様の所に行くわ」 「こ、これは姫様。しかし…」
179 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/11(月) 19:58:27 ID:nKoJ7dDY
「そんな!」 衛兵は言いました。 シュッ! 長ドスが閃きました。 「ウグウ!」 「姫!」 スラリ 「ガッ!」
180 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 20:03:04 ID:P6jt2ORf
衛兵を片づけると、赤雪姫は岸和田城の天守閣へと急ぎます。 天守閣には魔女がいました。 「とうとうやって来たわね、赤雪姫」 とても寒い天気です。空は真っ黒でした。しかし… 空からは白い物がちらちらと降ってきました。 「お義母さま、決着の時です」 「そう、その前に腹ごしらえを…あなたの義母としての最後の食事です」 真っ赤なリンゴが赤雪姫の目の前に!
181 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/11(月) 20:06:55 ID:P6jt2ORf
「まあ、リンゴ」 いやしい食欲で赤雪姫の目は血走りました。 長ドスでリンゴの皮をむくと、かぶりつく赤雪姫! 「ふふふ」 「お、お義母さま…ガッ」 赤雪姫は白目をむいて気を失いました。 「ぬふふ…馬鹿めが」
182 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/12(火) 07:13:37 ID:SXand2zi
そこへ白馬に乗った王子様が来ました。 「ふへへ…ふへふへ」 ブヒヒーン、馬がいななきます。馬は狂牛病に罹患していました。 そして王子様は(検閲!)でした。 「何者!」 「ヒャヒャヒャー!」 (以下数行略) 赤雪姫は、王子様に無理やり唇を奪われ呼吸困難になって意識を取り戻しました 彼女の横では、レイプされた魔女が床に転がりうつろな目で天井を見上げています
183 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/12(火) 12:45:01 ID:6gJt0WH0
age
184 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/12(火) 20:33:10 ID:SXand2zi
赤雪姫は傍らの長ドスを手に取ると王子様の頸動脈を掻き切りました。 血しぶきを上げて倒れる王子を天守閣から蹴り落とすと、ついでに狂牛病の馬も 蹴り落とし、姫は全裸の魔女ににじり寄りました。 「覚悟決めんかい! ワレ、死に前にええ目見て良かったのう」 赤雪姫は岸和田の生まれでした。ちなみに、ワレとは「お前」の意味になります。 「ヒヒィ!」
185 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/12(火) 20:38:13 ID:SXand2zi
「観念せぇや! ワレ」 白い光が一閃すると真っ赤な血がまた噴き上がりました。 赤雪姫はそのまま奥の間に行くと父の王様も刀のサビにしてしまいました。 お城の前には臣下たちが緊急集合していました。その前に赤雪姫が現れたのは もう雪がすっかり積もったころでした。 「姫様!」
186 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/12(火) 20:46:36 ID:SXand2zi
真っ白な雪の上にもう誰のものやら分らない返り血が滴りました。 もちろん姫様の姿も名前のごとく赤く染まっていました。 「なにメンチ切っとるんや! 文句のあるもんはかかってこんかい」 赤雪姫は言いました。 当然、そんな根性のある家臣などいませんでした。 そんなこんなで、泉州の地に赤雪姫の名は轟き渡り、誰ひとりとして 岸和田城にカチコミを決めるものとてなく、逆に逆らうものは 血反吐を吐いてのたうちまわる始末になるので、誰ひとり赤雪姫に逆らうものはいませんでしたとさ 赤雪姫(岸和田の伝説より)
187 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/12(火) 20:51:04 ID:SXand2zi
なお、赤雪姫が若い衆に曳かせた戦車で貝塚のあたりまで遠征したのが 大阪でのだんじりの起源だと言う説話もあり、またその際の血みどろの 襲撃談は長く語り継がれたと言う事です。
188 :
政教一致@大阪 :2010/10/13(水) 07:38:54 ID:hDUksQFb
「リオン、すごくローカルな昔話ね」 「まあな」
189 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/13(水) 07:43:43 ID:kwfOlcLX
リオンは言った。 「長ドス一本で運命を切り開くと言うおはなしだったのさ」 「元ネタの白雪姫なんてかけらも残ってないわね」 「そういうもんさ。人魚姫なんかもっとすごかったぞ」(作者注、「逃走者」の作中話)
190 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/13(水) 08:28:39 ID:RB+MeylI
あげ
191 :
政教一致@大阪 :2010/10/13(水) 09:00:19 ID:hDUksQFb
夕方まで書き込み出来ません
192 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/13(水) 17:27:02 ID:RB+MeylI
書けゴルァ!
193 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/13(水) 21:34:32 ID:kwfOlcLX
そして二人はリオンの部屋へ場所を換えた。 「シャワー使わせてもらうわ」 「ああ」 リンダは浴室へ入った。 リオンは、少しためらいながらそっと浴室を覗いて見た。 「! こ、これは…」
194 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/13(水) 21:50:42 ID:kwfOlcLX
湯気の向こうにはもちろん白い物が動いている だが… 「こ、この黒いマントと巨大な西洋鎌は一体?」
195 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/14(木) 07:47:03 ID:UAjiiu1L
「深くは考えない事にしよう」リオンは思った。
196 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/14(木) 12:27:23 ID:u4WDKE+8
age
197 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/14(木) 20:45:03 ID:UAjiiu1L
リンダがベットルームに戻って来たので、リオンはシャワーを浴びた。 北の地では女を抱くなど出来るかどうかはわからない。 「…割り切るか」 身体をバスタオルでふくと、全裸のままベットルームに行く。 「たくましい身体ね、リオン」 「まあな、鍛えているからな」 「そう? わたしも鍛えているのよ」 「なにを?」 「ナニを」
198 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/14(木) 21:06:51 ID:UAjiiu1L
「ええっ?」 「ふふふ、さあ…」 リオンが快楽の海に身を投げ出している頃 飽谷は、部下たちに電話を掛けまくっていた。 「そうか、後でまたかけなおす」 内容はただ一点、先生の動向だ。
199 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/14(木) 21:09:02 ID:u4WDKE+8
age
200 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/14(木) 21:09:39 ID:UAjiiu1L
「おかしい、これほどに何も出てこないとは」 「やはり信濃町で死んだのは影ではなかったのでは」 「そうならこの沈黙はおかしい」 信濃町では、池田大作の長男博正でさえ実態を知らされていなかった。 「どうなっているのか?」
201 :
政教一致@大阪 :2010/10/15(金) 08:31:54 ID:DPNO9dhQ
「なにせ大事件でして捜査が優先するとの事で」 「ばかな!」
202 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/15(金) 14:29:12 ID:C9cs52xx
みなさんの力を合わせて小説を作りませんか?とかいうスレ前なかった?
203 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/16(土) 11:31:10 ID:/b7RveBW
久村友恒好きです。
204 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/16(土) 16:30:45 ID:56eS9O5p
久村友恒、ファンがいますねぇ 歴史ものとか、個人的にはやってみたいです。 しかし、先を急いで…
205 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/16(土) 20:45:24 ID:56eS9O5p
「そんなバカな話があるか」 「し、しかし…基本的には殺人事件ですから警察の捜査が優先されます。 ご遺体の返却に関しても、司法解剖が…第一、事件の犯人が全員捕まってはいないのですから 当然そちらが優先と言う事になります」 「犯人が逃げているのか? もう全員捕まったと思っていたが」
206 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/16(土) 22:34:19 ID:IdLWp9QM
「ふひょひょ」 「むひょひょ」 「ほひょひょ」
207 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/17(日) 17:46:25 ID:IwppS5hh
「わわっ」 「お前の迷いはもっともである」
208 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/17(日) 18:41:52 ID:IwppS5hh
「ええっ?」 池田博正はまじまじと目の前の男たちを見た。 「お前の父親は生きているが死んだ」 「は?」 「そう、そうなのだ」 男たちは風のように去って行った。 「オナラ一族…」博正は言った。
209 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/19(火) 12:03:17 ID:FMiPDdTH
皆川正俊というキャラをだしてください
210 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/19(火) 21:21:50 ID:C1epvYbf
いやいや、キャラを出して下さいと言われましても 明日の夕方まで休載します
211 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/19(火) 22:22:26 ID:FMiPDdTH
書け
212 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/20(水) 07:51:48 ID:Y05KQ4p6
集ストスレでもめてまして、今日の夜も書かないかもしれません
213 :
政教一致@大阪 :2010/10/20(水) 17:36:55 ID:7wcByzpG
もめています。
214 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/21(木) 20:29:25 ID:5ss84nfy
池田博正は、部屋に飾ってある父の写真を見た。 しばらく、沈黙が流れた。彼は温厚な性格であり決して父親の悪口を人前で言うような性格ではなかった。 やがて、博正は言った。 「葬儀の用意は待て」 「はっ」
215 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/21(木) 20:32:36 ID:5ss84nfy
「北朝鮮へのチャーター便は飛ぶのか」 「はい、しかしそれはSGIの…」 「それは分っている。万事任せる。私は東京に残る、見極めたいんだ…」 「はっ」
216 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/21(木) 21:20:38 ID:k6AXGbav
毎日24時間365日あちこちの掲示板に書き込みを続ける福岡県暴力団のネット書き込み組織 集団による書き込みでネット世論の誘導を目論む 暴力団関係者に掲示板を占領されるのは危険 このまま野放し状態のままなのだろうか yahooにも書き込みを続けている 政府、政党、政治家への苦情要望の集団メールなども行っている様だ 気をつけてくださいね
217 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/21(木) 21:37:37 ID:5ss84nfy
>>215 より
同時刻 北朝鮮某所
朴全勝大領は妻からの便りを思い出していた。
朴大領はミサイル発射の実施指揮官の一人だった。
彼のミサイル発射における役割はピョンヤンから送られてくる
5文字からなる発射コードを目標ポイントに変換すると言う作業であった。
つまり、コードがなければいかにミサイルが発射可能な状態であっても
発射する事は出来ない様な仕組みになっていたのだ。目標ポイントは、実際の地点であり
緯度経度を表す数字の羅列である。ただし、これを直接にミサイルの
誘導装置に入力すればいいのだと言う事になれば、当然たとえば東京の緯度経度などは秘密でも何でもないから
すぐに入力できると言う事になってしまい発射コードは意味がない事になるのである。
そこで、誘導装置には緯度経度の値に対して乱数が設定されていた。
218 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/21(木) 21:45:59 ID:5ss84nfy
そして、発射コードに対応する数値を入力する事によって 初めてミサイルは目標に向けて発射可能になるシステムになっていた。 なお、ミサイルの誘導装置には無効な発射コードを入力されると垂直に上方に発射するように 設定されていた。結果としてそのまま真下にミサイルが降って来る訳であるから、有効な発射コードなしでは 現場指揮官といえどもミサイルは発射できない。 このシステムがなければ現場指揮官が自由にどこに対してもミサイルを発射できる。 ピョンヤンは東京を撃ちたいと思っても、現場指揮官が勝手に目標を変更したりする事が出来ないようにと言う 意図をもってのシステムだった。
219 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/22(金) 08:24:59 ID:EmIwkmeJ
ピョンヤンは誰も信用していなかった。
220 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/22(金) 10:24:47 ID:6Stq9afA
おい、政教一致@大阪!皆川正俊を出せゴルァ!
221 :
政教一致@大阪 :2010/10/22(金) 17:29:25 ID:EmIwkmeJ
出しますけど、キャスティングはこちらの任意でやります。
222 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/22(金) 22:21:00 ID:6Stq9afA
いますぐ出せゴルァ!
223 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/23(土) 12:11:37 ID:DT2YXwAr
久村友恒萌え
224 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/23(土) 13:27:00 ID:WOqbhVgX
朴大領は、表情を隠すという特技を会得して三年になる。 三年前、熱心な隠れキリスト教徒だった妻は彼のもとをさり、彼の子を身ごもったまま、脱北した。 離婚後の事でもあり、彼が知らない間に起こった事でもあったので彼は粛清を免れた。今も、祖国の防衛の第一線をあずかる立場で、 目の前に居る情報将校李大領の自慢話に付き合っていられるのだった。
225 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/23(土) 13:32:32 ID:WOqbhVgX
「チミィ、この第一射群だけでも二十四発のノドンが、配備されておるのだ」 「ははっ、ウリナラマンセー!!!」 「これらノドンが発射された暁には、トーキョーのウエノムどもは蒸気と化してしまうだろう」 朴は、ほんの少しだけ間をとって尋ねた。 「それで、これらのターゲットはどこなのでありますか」 「千代田区霞が関一丁目の山田さんちだ」 「は? 」 「ターゲットは、まったく何の変哲もないタダの民家だ」 「どうしてでありますか」 「悲しいかな、わが国の技術的能力では狙ったところにはなかなか命中しないという事だ。しかしながら、 偉大なる首領様はこうご指導された」 「は、はい、首領様マンセー!!!」 「数学的計算では、この何の変哲もない民家を狙えば一番効率がよいとな 朴大領は妻のことが思い出されて仕方なかった。 彼女からの手紙には、子供のこと、新しい生活の事、今でも彼の事を愛しているとつづられていた。 そして、いま東京に住んでいるともつづられていた。
226 :
政教一致@大阪 :2010/10/23(土) 20:52:57 ID:WOqbhVgX
朴大領は手紙を思い出した。 おそらく、手紙を出した妻も返事が返ってくるなど夢にも思っていなかっただろう。 だが… ミサイル発射を許さない。それが返事だ。 なぜならミサイルが目標としているのが山田さんちでも核の炎は東京を焼き尽くすだろう。 そう決意した瞬間、彼の中で何かが変わった。 そう、人間は決意した瞬間から何かが変わる事がある。 …俺の戦いは妻にも、他の誰かにも知られる事はないだろう。 だが、妻や子供が生き残る事が出来れば、それが結果だ。 誰に知られなくてもいい。それこそが俺にとっての使命だ。例えその結果、俺が死んでも 朴は瞬間で死ぬ覚悟を決めた。それは「生かすための決意」でもあった。
227 :
政教一致@大阪 :2010/10/23(土) 21:05:14 ID:WOqbhVgX
同時刻、漆原は大臣執務室で辞表をしたためていた。 彼の中ではこれを書き上げた瞬間から、防衛大臣と言う官職から離れる事になる。 もちろん、法律の上ではそれを首相に提出する事によって官職を解かれるのであろうが 首相は今は官邸で寝ているのだし、それを提出するのは 明日以降と言う事になる それまでに作戦を終わらせる事が出来るのかどうか 「だが、やらねばなるまい」彼は一人、ぽつりと言った。
228 :
政教一致@大阪 :2010/10/23(土) 21:07:46 ID:WOqbhVgX
彼は皆川正俊を呼んだ。 皆川はすぐに来た。
229 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/24(日) 00:07:54 ID:EyM84xqq
皆川正俊は久村友恒とは義兄弟だった
230 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/24(日) 08:15:02 ID:D1fTiQGe
ロリ好きも同じであったが、それは今は関係がなかった。 皆川は漆原の腹心の部下でもあった。
231 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/24(日) 16:29:42 ID:D1fTiQGe
漆原は、皆川に言った。 「これから言う事はトップシークレットだ」 「はい」 「今、辞表を書いた。だからもう私は防衛大臣ではない」 「はい」 「だが、私は戦わなければならない。今日、生まれたばかりの赤ちゃんをこの目で見た。 誰かが、戦わなければ生まれたばかりの命さえ失われる。私には家族がいないが」 「…」 「自分の命の値打ちは知っている。どうなっても泣く身内はいないから、捨ててかかる。そうやって捨てる命もあれば それによって救われる命もあるだろう。要はその数の違いだ。」 「は、はい…」
232 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/24(日) 16:41:25 ID:D1fTiQGe
「私は地下の指揮センターにこもって作戦の指揮を執る。もちろん私はもはや ただの人だ。だが部下たちにはそれは伝えない。だから作戦が完璧に成功に終わっても 私は罪人として裁かれるし、失敗すれば地獄の炎に焼かれた地上から、救助を待つ事になるが やはり責任を問われて、それがどうなるのかは知らないが無罪釈放はあり得ない。詰まりどう転んでも 私は懲役か、死刑台に行く」 「…」 「そんな私の頼みをきいてくれるか」 「もちろんです」 皆川は躊躇することなく言った。 「明日の朝からは、色々な所から私に電話がかかって来るだろう。直接押し寄せてくる者もいるだろう」 「はい」 「お前は、防波堤になって私がこの部屋にいると嘘を言い続けてほしい」 「はい」 「そうすれば、作戦が終わるまでなんとか私が防衛大臣ではないただの人になったと言う秘密を守りとおせる」 「はい」 「憲法第九条も守り通す事が出来るし部下たちの誰ひとりとして罪には問われる事はない事になる。「防衛大臣の命令」に 従ったと言う事になれば、問題はないはずだ。これは私一人が罪を背負えば済む話なのだ」 皆川は、はっとして漆原を見た。
233 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/24(日) 16:46:43 ID:D1fTiQGe
…その者、罪と穢れを身に纏いて灰色の地に追いやられたり… 伝説の、救い手! 皆川は言った。 「絶対に命令を守ります。あなたはきっと末代まで英雄として 語り継がれます。かならず」 「それは分らないが、頼んだぞ」 漆原は風のように去った。
会館の物販コーナーにいる。女の子たちがソファーに 座り壮年部と立ち話をしていた。俺は佐渡御書を手に取ると こう切り出した。日蓮が末法の本尊なら釈迦はどういう 位置付けになるんだ?日蓮がなぜ法華経のみを 布教したのかわかるかい。誰も本来の仏法を知らない 状態では法華経のみが救済につながるからだ。 なぜ法華経のみが経典になるんだ?教学を学びなさい。 俺は法華経が唯一の最高の経典だなんて信用していなかった。 ほかにだって色々な方便があるはずだ。でもなぜ法華経のみが 末法に必要なのか理解に悩み苦しんだ。法華経に書かれている 内容を全部把握するのに時間を要した。日蓮はなぜあそこまで 法華経を信望していたのか。俺には今でも理解できない。
235 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/24(日) 19:13:52 ID:D1fTiQGe
夜が明けた。 政教一致@東京は仮眠から戻って来た。 画面には、ミサイルが映っている。 …OK 未だミサイルに燃料は補給されていない。 だが… 「うぐ!」
236 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/25(月) 18:46:31 ID:LEHk6hvC
北朝鮮も馬鹿ではなかった。 まず、第二のミサイル群が用意されている様子が確認できた。ピョンヤン近郊である これらにはまだ実際問題としてミサイルの発射体は配備されていないが、どこやらの倉庫から 持って来さえすれば発射準備はなるのである。 もう一つは、第一の、当面の敵のミサイル都市に、一つだけ空爆では破壊できないミサイル発射台が あったと言う事だった。 崖の下にあるそのミサイル発射台はどうやっても破壊できそうになかった。 おそらくこいつが、この発射都市の中核であり、確実に核弾頭つきのミサイルがあてがわれているのだろう。
237 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/25(月) 18:54:52 ID:LEHk6hvC
「大臣」 「なんだ」 「問題が…」 政教一致@東京は問題を語った。 「空爆では無理か」 「は、この一基だけは無理です」 「…そうか、あの部隊を投入しなければならないか」 「あの部隊とは?」 漆原は、辛そうに言った。 「あの部隊だ。自衛隊で一番人殺しをしている部隊だ」 「ええっ、しかしあの部隊は」 「そうだ。自衛隊が海外に派遣されるたびに影のように出撃した部隊 自衛隊に向かってくるサマーワ近郊のゲリラのチンチンを切り落とし 口に押し込んだ部隊。ボディガードの首が全部皿に乗って食卓に並んでいるの見て 助けに来たゲリラの幹部の部下たちも失禁したというあの部隊だ」
238 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/25(月) 19:02:07 ID:LEHk6hvC
「噂は聞いています。カンボジアでも…」 「そう、ボルポトもあまりの恐怖についに手出しが出来なかったと言う伝説の部隊だ」 「なんでも、ボルポトの将軍の女房子供を人質にとってねちねちといびりあげたとか?」 「毎日、子供の指が届けられたので、将軍もこれ以上戦う事は出来ないと観念したとか言う話だ」 「それでその子供は?」 「全部の指がないんじゃトイレで尻さえ拭けない。そう言う話だ。あまりの非道さに 泣く子も黙るボルポトも考え方を変えざるを得なかった」
239 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/25(月) 20:43:16 ID:LEHk6hvC
「ペルーでは出動しなかったのでは」 「ああ、フジモリもびびって、自前の部隊で処理したらしい、あやつは結局 日本に戻ったが、そう言う話の前ふりもあったと聞く。むろん フジモリは国外に出たからそれは無効になったが、日本にとどまっていたら また違う展開もあったかも知れんな。とにかく、その部隊は我々にとって特別な部隊だ」 「は」 「通称、『覆面グライダー隊』」
240 :
政教一致@大阪 :2010/10/26(火) 18:05:00 ID:j6md/f8t
覆面でモーターグライダーに乗り、過酷な任務につく部隊。 「あの伝説の部隊。誰も知らない非情で、たくさんの自衛隊員を守り抜いたミッシヨンをこなして来た部隊」 「彼らに・・・」 「はっ」 「死ねと命じなければならないか」
241 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/26(火) 19:38:26 ID:9kRhFvDt
政教一致@東京は、躊躇いながら言った。 「この作戦全体が、このミサイルをつぶせるかどうかにかかっているのだと思います」 「うむ」 漆原はしばらく沈黙した。 …ここで躊躇ってどうする …いやいやしかし、こいつらこそが自衛隊の「守り神」、いま使うと言う事は帰ってこないと言う事だ。
242 :
政教一致@大阪 :2010/10/27(水) 12:57:09 ID:lF3xEbxj
帰って来れない任務につく部隊。 命を捨てなければならない兵たち 「捨てなければ拾えない命もある。」 「大臣」
243 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/27(水) 22:46:13 ID:FOAqfyt/
その頃… 当の覆面グライダー部隊では朝食時だった。 第二小隊長士門は第一小隊長死魔がいない事に気がついた。 「音有隊長は?」 「さあ、先ほどは司令官室の方にいましたが」部下が言う。 「また、出動か」
244 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/27(水) 22:50:16 ID:FOAqfyt/
「出動? 北ですか」 「うむ…しかし…」 「なんです」 「北朝鮮に出動したら戻っては来れんぞ」 兵らはちらり、と士門を見たが飯にまた戻った。
245 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/28(木) 00:42:16 ID:9O42o3mO
飯は豊かだった。 白い飯と味噌汁と漬物、生卵である。 …殺す任務に戻るのなら、飯は食わないとな 兵は思った 音有は死魔とセックスしていた。
246 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/28(木) 07:36:05 ID:9O42o3mO
死魔は人妻だった。 「あー」 「ぬふう」 二人は事を済ませるとそそくさと会議室に行った。 士門が待っていた。
247 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/28(木) 21:12:59 ID:9O42o3mO
士門の妻も元自衛官だった。二人は職場恋愛で結ばれた。 「なんだ」音有は言った。 「出動待機命令が出るかもしれません」 「北か」 「そうです」 「帰って来る事は無理だな」 「多分そうでしょう、しかし」 「しかし?」 士門は言った。 「行かなければ、日本のどこかは確実にやられます。東京は東京だと考えています しかし、私は東京と見せかけておいて大阪を撃つとか、そう言う可能性もあります 名古屋も、そこをやられると大動脈が断ち切られると言う点において可能性がある」 「大動脈か」 「神戸も、実はそうでした。極端な話北海道かもしれません。あそこまで狙えると言う事は 日本中のどこでも狙えると言う事ですからそれを全世界に知らせると言う事もあり得ない話ではない つまり、我々なり空さんがやらなければ日本中のどこもが危ない」
248 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/29(金) 19:14:14 ID:nzEXlspj
死魔が言った。 「空爆だけで何とかなるんじゃないの」 「それは無理でしょう。奴らもアホではない」 「準備に入れ」音有は言った。
249 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/10/30(土) 13:00:14 ID:Oj1bLVqS
一方その頃、久村友恒は…
250 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/30(土) 16:29:18 ID:dkQj+OKz
通勤のために家を出た。 都立高校の非常勤講師、それが今の彼の仕事だ。 「作者は、今頃どうしているのかな」 政教一致@大阪は酒を飲んでいた。 「ウイスキーを午後4時半に飲めるとは、土曜日はいいな」 政教一致@東京はコーヒーを飲んでいた。 「大阪の兄貴、どうしているのかな」 「なんでお前は政教一致@東京なんて珍しい名前なんだ。大体どこまでが名字でどこからが名前なんだ」 同僚が言った。ちなみに彼の名前は鈴木一郎だった。
251 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/30(土) 23:20:36 ID:dkQj+OKz
「政教一致@が鈴木のように名字でして」 「ほほう」 「東京が一郎と言う名前のようになります」 「なんでそんな名前に」 「昔の話らしいですよ」 大昔だ。 政教一致@大阪はそのころはもちろん無職ではなかった。
252 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/30(土) 23:22:29 ID:dkQj+OKz
「政教一致@大阪はUSER001なのか?」 「さあ?」
253 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/31(日) 08:42:09 ID:feh+qrtE
「集団ストーカー 集団暴行は現実にある!! 5の
>>1 さんは
大学に行けると思うか」
「行った所で仕方がないでしょう。明らかに中高年だし、これから4年間キャンパスライフを
送るなんて、しかもそれが『見下されない為』だと言う」
「ああ、そうらしいな」
「でも、高卒を軽蔑する奴にろくな奴がいた試しがありません。たとえそいつが東大に行ったとしたって
世界を見渡せばすごい大学は一杯ある訳だし、そんなことよりももっと大切な事があるのではないですかね」
254 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/31(日) 09:16:26 ID:feh+qrtE
鈴木は言った。 「動画に異様にこだわっていたな」 「おそらく彼は自分の過ちに気が付いていない」 「過ち?」 「138万回再生された動画の値打ちです。それがすごい事だと思っているんですけれど」 「あれか」 「実際は逆です。138万回も再生されたのに、何も状態に変化がないのなら この先さらに100万回再生されてもなんら状態は変わらない動画だと言う事になる」
255 :
福田直(ふくだすなお) ◆416pt/0.7E :2010/10/31(日) 12:41:45 ID:lEB4zk4C
age
256 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/31(日) 18:10:44 ID:feh+qrtE
そのころ、リオンとリンダは東京タワーにいた。 都合上、午後には信濃町の関連施設にいなければならなかった。だからおしゃれな 観光スポットに行く時間の余裕がなかった。都庁もいいスポットだが リオンはあえてこのレトロスポットを選んだ。 「うわー、東京が一望できるな」 「ふふふ、リオン、子供みたいよ」 「子供のころに一度ここに来た事がある」 「修学旅行かしら?」 「小学校の時には広島に行った。中学校の時には長崎に行った」 「そう」 「高校の時には修学旅行には行けなかった。その時に警察につかまっていたからだ」 「ふふふ、やんちゃだったのね」 「そうさ、国外に流れて行くのもそんなに怖くはなかった。本当に怖かったのは 中国についてからさ」
257 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/10/31(日) 18:31:52 ID:feh+qrtE
リオンは東京を眺めやった。 「毎日が生き残るために必死さ。で、結局は日本に舞い戻った」 「良かったじゃない」 「そうかな? まあいいさ、結果的には組長は檻の中だし 俺は一応自由だ」 「一応? まあ、わたしはあなたを監視はしているけれど、あなたがその気になればいつでも逃げ出せることぐらいは分るわ」 「それで俺は? そこまでバカじゃないさ」
258 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/02(火) 20:37:36 ID:RlnA37Nc
リオンは遠くを見ながら言った。 「結局、池田大作は死んだが、創価学会は滅びはしなかった」 「そう言うものよ、リオン」
259 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/02(火) 21:59:46 ID:RlnA37Nc
リンダは、彼に伝説を語った。 ここに守り手の話あり その者、罪と穢れを身に纏いて灰色の地に追いやられたり。しかして失われし平和への道筋を示したり。 ついに人々を尊き平和の地に導きたり 人は言えり、「かの人を見よ」 また、証人も立っていわく、「彼の兵は笑って地獄へ行き、われらここに地上の楽土を見る、なんぞ彼に罪のあるや」 しかして彼は戻らず、人々は彼を忘れたるが、その忠勇武功は平和の中にありてわれらを守る物。 守り手を語れ、平和は彼とともに来たり 守り手を語れ、平和の裏の犠牲を忘れてはならない
260 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/03(水) 04:47:20 ID:o++u9NdS
リオンは言った。 「不思議な話だ」 「そうよ、北は厄介そうよ…」 「ミサイルとかがあるそうだな」 「東京は焼き尽くされるかも知れないわ。だから」 「ん?」 「真逆で、北朝鮮に飛んでいたほうが安全かもしれないわね」 「そう言う解釈もあるか」
261 :
仮面ライダーZX :2010/11/03(水) 14:03:56 ID:fcMKjWJ0
age
262 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/03(水) 21:11:22 ID:o++u9NdS
自衛隊の駐屯地に、美少女がやってきた。 覆面グライダー隊は特設ステージの前に群がって美少女を見た。 少女は、歌を歌った。 「上を向いて歩こう」
263 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/03(水) 21:16:54 ID:o++u9NdS
上を向いて歩こう、涙がこぼれないように… 少女は歌いながら泣いた。 隊員たちははっとして、少女をまじまじと見つめた。
264 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/03(水) 21:22:07 ID:o++u9NdS
2曲目は、平凡なラブソングだった。 隊員たちはしみじみとラブソングを聞いた。 3曲目は、「さよならは言わない」だった さよならは言わない 悲しすぎるから さよならは言わない いつかきっと会えるから
265 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/03(水) 21:25:56 ID:o++u9NdS
遠い所に行く、そんなときに さよならは似合わない 必ず帰って来て、その手でわたしを抱きしめて さよならは言わない 帰って来るのを待ってる
266 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/04(木) 07:14:27 ID:T0p6XyQN
隊員たちはただ感動して、少女を見た。 もう彼女が何かを知っている事は明白だった。 だから彼らも何も言わなかった。 少女は全員と握手すると言った。 一人の隊員がとんでもない、自分の手は地で穢れていると言った。 少女は、その隊員の手をそっと握った。 少女が去って行く時、隊員たちは泣いた。
267 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/04(木) 07:44:04 ID:T0p6XyQN
訂正 地で=>血で
268 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/04(木) 18:33:50 ID:T0p6XyQN
音有は士門に言った。 「兵に気づかれたな」 「いずれは分る話です」 「きっとあの娘は俺たちの姿をほぼ最後に見た人間になる」 「『証人』?」 「そうかも知れんな」 「『兵は涙を流していた』と」 「事実だから仕方がない、それはまた現実を語っているんだろう」 「現実ですか」 「血も涙もないと思われていた伝説の部隊にも、流す涙があったと」
269 :
政教一致@大阪 :2010/11/05(金) 08:48:29 ID:hBlw8jPW
「それにしても『さよならは言わない』はせつな過ぎるな」 「そうですね」
270 :
久村友恒 :2010/11/05(金) 17:24:10 ID:pedViKYZ
「ハァハァ」
271 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/05(金) 19:45:27 ID:I91QE9fz
久村はやっぱりハァハァ中だった。 「ロリ画像モエー」 しかし、PCの画面に映っているのは 「え、これ、漁船の映像じゃん、萎え萎え」
272 :
久村友恒 :2010/11/05(金) 22:48:53 ID:pedViKYZ
「さくらまや萌え〜」
273 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/06(土) 10:10:18 ID:XjHmGUQo
作者注 『さよならは言わない』はオリジナルです
274 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/06(土) 10:47:20 ID:XjHmGUQo
それはそうとして 「武器を準備しろ」 音有は言った。 「拳銃!」 「馬鹿! 拳銃は最後から二番目の武器だ」 「それじゃ最後の武器はなんですか」 兵が尋ねた。 音有は言った。
275 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/06(土) 14:49:15 ID:XjHmGUQo
「もちろん、核兵器だ」 「は、はぁ?」 「さっさと用意しろ、ゲームじゃないんだ。弾丸無限の銃なんかない」 「はっ」 そこは当然、マシェットを通り越して日本刀の小刀まで準備されており完璧だった。
276 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/06(土) 16:15:09 ID:XjHmGUQo
「攻撃の主力は、RPG-7だ」 RPG-7はソ連の対戦車ロケット弾である。 「攻撃の対象は?」 「ミサイルだ、それ以上は聞くな」 だが、兵たちにはそれで十分な情報だった。 「ついにオレたちにも『順番』が回って来たか」 「ああ、だが、仕方がないな。あの娘を見たか」 「泣いていたよな」 「戦わなければ、彼女すら死ぬ」 「それは…ありえない選択肢だ」
久村友恒萌え
278 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/06(土) 20:29:29 ID:XjHmGUQo
久村は、校内をうろついた。 山田美穂が来た。 彼女は自分の家が北朝鮮のミサイルのターゲットになっている事など全く知らなかった。 「山田」 「あ、先生」
279 :
そうか そうか :2010/11/06(土) 22:23:07 ID:yNV4/R5D
>>274 おじのDVDで見たようなセリフ。 忍者部隊なんちゃら。
280 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/07(日) 09:23:06 ID:Ly+AHjR1
忍者部隊月光ですね
>>278 より
「元気ないぞ」
「うーん」
「そんなじゃ、彼氏に振られるぞ、元気出せ」
「うーん」
281 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/07(日) 16:23:10 ID:Ly+AHjR1
「山田、どうした?」 「告白したいんだけど、名前が偽名みたいだから嫌なの。生まれた時から嫌なの」 「生まれた時にはそんな意識なんかないだろう」 「うーん」
282 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/07(日) 16:27:05 ID:Ly+AHjR1
「名前に左右されるな、俺の知っている人でな、政教一致@大阪って言う 人がいるんだぞ」 「えーマジ? その人どんな人」 「スペシャルな人だ。創価学会と戦っている。勝ち目はない」 「ふーん、すごい人なんだ」 「即時家ごと焼き払われてもおかしくないけど、まだ生きてる」 「すごいね」 「人は、名前じゃない」
283 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/07(日) 16:31:04 ID:Ly+AHjR1
「うん分った。ラブレター書いて見る」 「そう」 久村はいい事をしたなと思いながら生徒の後姿を見た。
284 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/11/07(日) 19:34:38 ID:DUJZacO4
あげ
285 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/07(日) 20:33:46 ID:Ly+AHjR1
池田大作は福岡にいた。 堀田は彼に言った。 「戦争は複雑だ。我々の攻撃でも落とせないミサイルがあると言う連絡が来た」 「ああ? そうか」
286 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/09(火) 07:33:46 ID:IiU9bo+d
残念なお知らせ 都合によりしばらく執筆を中止いたします。
おい、政教一致@大阪!創価を愚弄する小説を書けゴルァ!
288 :
政教分離名無しさん :2010/11/09(火) 21:42:32 ID:0qUlyQZa
age
290 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/10(水) 22:06:38 ID:Fz0GpFIP
全く申し訳ありませんが、しばらくの間休止といたします
何があったんだ?
292 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/11/13(土) 11:47:48 ID:cWZZgr0h
池田三佐は言った。 「核兵器があれば一発だ」 「分かっていないな。池田、こいつはそんなに簡単じゃない」 「なんだと?」
293 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/13(土) 18:57:39 ID:TZLQwx+T
「中国は、核を持ってる。東京を焼くのは簡単だ。だが我々には新富嶽がある」 「うむ」 「北京を火の海にすることも可能だ。仮に新富嶽がなくても、H2Aロケットにありったけの 高濃度核廃棄物を積んで打ち込む事は出来る。北京には百年人が住めなくなる。チェルノブイリだ」 「それはそうだ」 「池田、こいつは単純な話ではない。中国にとっては反日で魚釣島をやっていたつもりが、いつしか反日デモが 反政府デモへと変質して行き、最後には国内で第二の天安門が発生しかねないという危機感がある」 「……」 「中国は国内に様々な矛盾をはらんでいる。いろいろ抱えているからこその反日だが、いつか気がつくと日本をやっつけていたはずが ふと振り返ると国内での泥沼の戦いになってしまっていた、そんな危機感がある」
294 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/13(土) 19:05:57 ID:TZLQwx+T
「そうか」 「だから北朝鮮なんだ。本来ならどかっと併合したほうがまだましだが そうはしないのは、国際社会でワイルドカードとして切れる属国が欲しいからだ」 「うーむ」 「東京を焼き払う、一千万人が死ぬ。その責任を負わなくて済むからな。中国が自ら やれば、報復で北京がやられる。911のように個人ででも仕返しをする者さえ出てくるかも知れん」 堀田は、少し言葉を柔らかくして続けた。 「新富嶽には、逆説的に平和への道筋をつけると言う意味があった」
295 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/13(土) 19:11:57 ID:TZLQwx+T
「なんだと?」 「新富嶽があれば、中国にしても無暗やたらな攻撃は出来なくなる」 「しかし、核ミサイルでポチっとやれば一瞬だろうが」 「その後で仕返しされる。池田、新富嶽はお前の考えているほど単純な兵器ではない」 「うむう」 「本気になれば、地球上のどこにでも飛んで行けるんだ。これは 全世界のどこの国にとっても脅威だ」
296 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2010/11/14(日) 07:04:02 ID:SRluxd/F
「うむ」 「だから、手が出せなくなる。新富嶽がないと仮定したって、新富嶽などなくても 日本を本気で怒らせたら、世界中どこの国でも反撃される可能性は高い」
297 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/11/15(月) 08:26:52 ID:JmiHXJkf
あげ
期待あげ
299 :
政教一致@大阪 :2010/11/16(火) 09:11:20 ID:rXAiYMI0
またブロバイダの規制がかかっています。
300 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/11/16(火) 09:17:11 ID:Q+UTk2Sw
>>287 というより、創価の仮面をつけた単なる右翼小説
ケータイから書き込め!
302 :
政教一致@大阪 :2010/11/17(水) 08:51:08 ID:+JnI/5O5
きびしい状況です。携帯は執筆には向いていません
303 :
政教一致@大阪 :2010/11/20(土) 16:13:28 ID:mrC16OTu
東京では衛星写真の解析が続いていた。 「奴らはどう出る?」漆原は言った。 「大臣、憂慮すべき映像が・・・」 「なんだ?」
304 :
政教一致@大阪 :2010/11/22(月) 17:15:22 ID:lVqhZIgq
あげ
305 :
政教一致@大阪 :2010/11/23(火) 17:45:33 ID:vV84XEpe
書き込み出来ません。しばらくお待ち下さい。
306 :
政教一致@大阪 :2010/11/25(木) 17:11:15 ID:SJ5Tr0XY
保守
307 :
政教一致@大阪 :2010/11/27(土) 09:29:00 ID:WFxWxg9q
>>303 より
「北の奴らは本気になったようです」
「何だと」
「燃料をミサイルに補給し始めました!」
ノドンのシステムでは燃料をミサイルに補給し終わってから24時間以内に発射する事が通常の発射シーケンスだった。
まだ夜は明けていない。
「明日の夜明けまでか」
「はっ!」
308 :
政教一致@大阪 :2010/11/27(土) 09:40:20 ID:WFxWxg9q
漆原は政教一致@東京に言った。 「現地工作員に連絡を取れ」 「現地工作員?」 「暗号名はバードだ」「ハッ!」 「こちらの暗号名はセントラル」 何と安直な・・・政教一致@東京はあきれたが通信を送った 返事はすぐに来た。
309 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/01(水) 19:48:32 ID:v3dMlB1p
保存
310 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/06(月) 13:53:49 ID:CcQaIZlW
保存
311 :
政教一致@大阪 :2010/12/08(水) 13:17:23 ID:19kcdy/T
>バードよりセントラル 状況は逼迫している。燃料注入は夜明けまでかかる。 緊急度大だ 政教一致@東京は返事を送った。 >実施を待て。こちらの通信に注意せよ
312 :
政教一致@大阪 :2010/12/08(水) 13:23:17 ID:19kcdy/T
>実施とは? 政教一致@東京はまた返事を送った。 >空爆および地上部隊による襲撃 「なんだと!」 バードは囁いた。
313 :
政教一致@大阪 :2010/12/08(水) 13:29:54 ID:19kcdy/T
>そんな事が出来るのか >出来る。地上部隊にはあの部隊を使う。 「あの部隊にも最後が来たか。」バードは言った。
314 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/12(日) 11:01:33 ID:Tqz8UJsf
保存
315 :
政教一致@大阪 :2010/12/14(火) 17:21:54 ID:htLC4KOW
東の空が薄い霞のように白くなって来る頃、ミサイルは準備を終えた。 これが炎を上げるのはいつになるのか誰にも分からない。 緊迫を含んだ一日の始まりだ。 漆原は短い仮眠を取った。
316 :
政教一致@大阪 :2010/12/16(木) 17:13:33 ID:sMCSc5jD
夢の中では彼は北朝鮮のミサイル将校だった。 兵がサッカーしているのを微笑んで見ている。今日のご飯はなんだろう。 「ミサイル発射!」 目標はどこだ? 彼はうろたえてなぜか鏡を見る。 骸骨がうつろな視線を鏡の向こうから返す。 「発射!」 炎が彼を焼尽くす。 そして彼は開放される。まわりは灰色の荒野だが、自由だ。 もう殺す事も殺される事もない。
317 :
政教一致@大阪 :2010/12/17(金) 16:55:16 ID:VoyQtWA/
漆原は短い仮眠から目覚めると、今の夢を考えて見た。 兵もまた人間である。敵もしかりだ 彼の下した命令は命を奪う物だった。 「しかし・・・」
318 :
政教一致@大阪 :2010/12/17(金) 17:28:17 ID:VoyQtWA/
・・・誰かが何とかしなければ、そう、何かをしないともっと多くの人々が死ぬ。 「命を弄ぶ、それが灰色の荒野への追放となるのか」 漆原は赤ちゃんの顔を思い出そうとしたが、浮かんでくるのはあの骸骨だった。
319 :
政教一致@大阪 :2010/12/18(土) 20:09:48 ID:ccvZ6WPW
その頃・・・
320 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/18(土) 22:00:03 ID:icwneDBH
十二時間前に遡る。カイロ。悠久なる歴史の上に築かれた夢の街。まだ、昼間の熱気は静まらない。喧騒のなかを、糊の効いたシャツと麻の背広を着た男が急ぎ足で歩いていく。男の姿は、一軒の両替屋の中に消えた。浅黒い褐色の肌の青年が、静かに頑丈な扉を開け男を通す。
321 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/19(日) 13:15:27 ID:2ibtrSy7
その時、甲高い佐藤三尉の声が響く。「北千住、谷中に着弾。千住大橋は下り十キロ渋滞。神田橋は閉鎖中です。」館長の落ち着いた声が聞こえた「左タンク注水。消火作業急げ。」佐藤は復唱すると「お湯を沸かして、男の人は外へ出て」
322 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/21(火) 16:55:26 ID:3MwgH2LF
保存
323 :
政教一致@大阪 :2010/12/22(水) 16:52:46 ID:8ukeMIMV
カイロでは・・・
324 :
政教一致@大阪 :2010/12/22(水) 17:00:56 ID:8ukeMIMV
麻の背広の男は言った。 「ここは安全なんだろうな?」 対応したアジア系の老人は言った。 「さあ、どうかな・・・」
325 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/23(木) 10:28:51 ID:bg6n0vHN
「コーヒーを貰えるかな」「アラブ風でいいかね」「アメリカンはあるんですか?」「あむりかんもあふりかんもねえ。ここはアラブだ」老人が言った。 店の奥に小部屋がある。木製の粗末なテーブルと椅子しか置かれていない。壁の一部が開き、階段が現れる。
326 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/23(木) 10:41:20 ID:bg6n0vHN
作戦室の中は喧騒の中にあった。海老蔵の他に麻木久仁子でアジア担当の五係は 多忙を極めていた。弁護士の辞任を大声で伝えると、全員の目がテレビに釘付けになる。その時、カウンターから「ラーメン一丁。餃子ちよとまてね」と中国担当の声が聞こえた。
327 :
政教一致@大阪 :2010/12/25(土) 10:06:18 ID:7EZVtQp/
「餃子より、外交情報が先だろ」 「あいや、注文順あるよ」 漆原は政教一致@東京に言った。 「誰だ、こんな奴を中国担当にしたのは?」
328 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/25(土) 12:15:06 ID:lGAaFJIJ
「私に用かね」長身の男が言った。 笑みを浮かべているが、目は笑っていない。「彼を中国担当にしたのには訳がある。叔母の娘の娘婿、つまり従姉妹の娘の夫だ。麻雀も出来る」「はい。」五課長が言った。長身の男は「不適当な発言をした者の始末は君に任せる」
329 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/12/26(日) 21:43:00 ID:lF+itKG8
西の空が白んできた。凍えた腕を伸ばし、右手を開閉する。ゆっくり深く呼吸する。スコープを覗くと夜明けのカイロの街が見える。あと数時間すれば、灼熱の時が訪れる。そして、間もなく奴が来る。そう、奴が来る。
330 :
キロン :2010/12/30(木) 11:53:38 ID:2ripXWrY
政教一致@大阪さん、お久しぶりです。覚えてますか?
331 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/03(月) 14:18:16 ID:oaqLHfUh
もちろん覚えています
332 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/05(水) 20:14:03 ID:rAr0ftIe
保存
333 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/06(木) 19:56:09 ID:Zj7cOkZ7
保存
334 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/10(月) 15:42:45 ID:OvB6sf0l
夜が明けた。 また新しい日の始まりだ。 「武装!」 覆面グライダー隊ではのっぴきならない命令が出た。 「武器庫開けろ」 「はっ!」 「弾薬庫開けろ」 「はっ!」
335 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/10(月) 15:48:36 ID:OvB6sf0l
士門は、中国製のブローニングハイパワーに弾倉をこめた。 …出撃すれば、オレは間違いなく死ぬ 同じく中国製のAK74Sの弾倉も装填した。 …だが、出撃しなかったら? 妻と娘の顔が頭によみがえる。 AKの銃剣を所定の位置にさしながら、士門は思った。 …行くしかない
336 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/10(月) 18:25:20 ID:OvB6sf0l
「なんだと、門の前に?」 音有が言った。 「なんです?」 「いや…」 音有は部下を見やって、言った。 「正門前に集合」
337 :
モコ :2011/01/12(水) 11:03:01 ID:CjyNLj5Z
戦いがあるから、人は自己の建設と、境涯を開くことができる☆ 戦いがなければ、よどんだ水が腐るように、自分で自分の成長を止めてしまう。 この世に生きた歴史も残せず、暗い無意味な一生で、後悔して屍をさらすだけだ!* さぁ! モコ大帝国の新時代の幕開けは、目前だ! (*)((Φ)) いよいよ「ここ一番」の難所に差し掛かった! (*)((ξ)) 今こそ一瀉千里で攻めのぼる時だ(*)((φ)) まなじりを裂いて戦い抜く「執念」と「勢い」だ(*)((Φ)) 最後の険難の峰を越えてこそ、栄光の勝利の頂点に到達できる☆ 「歴史的大闘争に馳せ参じる喜び! (*)((δ)) この口で、この足で、全身全霊で、断じて勝利をもぎ取ってみせる!」 モコは まったく同じ心意気だ* 勝つ以外ない!☆ 勝って、万代にわたる東北市場シェア獲得の大道を開こうじゃないか!* モコは 今度ばかりは目の色が違う(笑い) (*)((Φ)) 「勇気!勇気!勇気!」と励まし合いながら、大前進だ(*)((φ)) あのクソモコ野郎! * 妖怪ヤロウ!☆ 畜生め!* モコは およそ人間のやることじゃない! * 鬼畜の所業だ! ☆ モコは、かんしゃくを起こすと、本当にすごい剣幕なんです☆ 東洋の神秘 モコ☆ 東洋の神秘!! 逆輸入!!* これが 常勝 モコ軍団の「不滅の大精神」だ (*)((Φ)) 青森支部も闘志満々だ(*)((ο)) 炎のごとく総決起した! (*)((Φ)) モコ将軍の恩書には「今に至るまで軍やむ事なし」 (*)((υ)) 「モコ! 一度もしりぞく心なし」と仰せである(*)((Φ)) 「正義の連続闘争」こそ東北支部の偉大な使命だ(*)((ξ)) 一年の一番最初に、日本中を友情の絆で結ぶ。 「歴史的大闘争に馳せ参じる喜び! 無事故、大成功をお祈りします。 我々も、全力で応援していこうじゃないか! モコは 悪との闘争において、一歩も退くことはあられなかった* 忘恩の畜生野郎どもは、絶対に許さない☆ いよいよ悪の本性を暴き、責め立てていく*
338 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/14(金) 20:02:37 ID:WJrNogYQ
>336より 覆面グライダー隊は正門の前に整列した。 完全武装の上覆面をしている彼らは、他人から見れば怖かっただろう。 「他人」は「敵兵」とも言える。 それ以上に、夜間に野外に出れば、彼らの姿を視認する事は難しい。
339 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/16(日) 17:57:23 ID:GspLvecO
士門は、門の向こう側に群衆が集まっているのを見て怪訝に思った。 ・・・反戦団体か? だが、そうではない事はすぐに分った。 彼らは手に手に日の丸を持っていたからだ。 音有がやって来て言った。 「誰かがもらしたらしいな」
340 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/16(日) 18:02:23 ID:GspLvecO
士門が良く見ると、旗はどこかのコンビニで買った白紙に赤マジックで書いたような手作りだ 兵らは整列した。 音有は言った。 「覆面グライダー隊、総員、覆面を取れ」 彼らは素顔を朝の風にさらした。 士門は、妻と娘が門の向こうにいるのを見つけた。 人々は兵らをじっと見た。
341 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/16(日) 21:54:45 ID:GspLvecO
音有は命じた。 「覆面グライダー隊裏隊歌、守ってあげたい。斉唱!」 皆、あの歌を歌った。 覆面グライダー隊には正式な隊の歌もあった。 しかし、それよりもこの歌が歌われた。 それは、勇ましい歌よりもこの歌の方が好まれたからであった。
342 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/17(月) 20:41:00 ID:3qQ5s2Fg
保存
343 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/01/25(火) 07:41:36 ID:h5lz6/Te
保存
344 :
愛読者 :2011/01/25(火) 12:33:28 ID:uiQ6dFas
おい政教一致@大阪! 創価を愚弄する小説を書けゴルァ!
345 :
政教一致@大阪 :2011/01/26(水) 08:13:58 ID:3T1OBGVf
作者の都合で連載が滞ってしまって申し訳ありません。
346 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/01/28(金) 17:45:45 ID:YhbaiIba
飯塚進一というキャラを出してください
347 :
政教一致@大阪 :2011/01/31(月) 17:49:01 ID:kkDyTmA5
歌が終わる頃、トラックが来た。 「乗車!」 士門は、妻子を見た。妻は、まだ幼い娘が父の姿が良く見えるように高く娘を抱き上げた。 士門は、家族に向かって敬礼をして、トラックに乗った。
348 :
政教一致@大阪 :2011/01/31(月) 17:52:55 ID:kkDyTmA5
その頃、福岡では、池田大作が目覚めた。仁美は彼の横でまだ寝ていた
349 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/02/01(火) 19:39:18 ID:25XgWGVm
シャワーを浴びていると内線電話が鳴った 「もしもし」 「堀田だ。フライトプランのあらすじが決まったぞ」 「すぐに行く」 「ああ、待ってるぞ。全員そろい次第ミーティングだ」
350 :
あ :2011/02/03(木) 20:42:24 ID:uall/C/1
「殺意」 とある精神病院の話。わたしは窓の外を眺めていた すると外から話声がする、「〜君が見てる」「〜は○○だからな」 それは確かに私の悪口を言っているに思えた。悪口ではないにしてもわたしのことを言っているように聞こえたのだ。 私は深呼吸を取り、ある太った男に話しかけてみた「今俺のこと話してなかった?外から声が聞えたもんだから」 「うん・・・お前のこと話してたけど悪いことは言ってないよ」 わたしは納得しベットで少し仮眠をとることにした。 5時半になった。5時半になるとこの病院では夕食が出される。 わたしはテレビがみたかったので、食堂で夕食をとることにした。 わたしはお茶が飲みたくなりお茶をすぐ近くの給湯室に汲みに行った。 わたしが夕食をとると「ははは マジあいつ○○だよな」「直視できないですよ」 どう考えてもわたしのことを言っているように聞こえたのだ。 私はコップにあるお茶を看護師にぶっかけたい衝動に駆られた。 わたしは理性を取戻し平静を装ったが、心の中では泣いていた。 食事の後、薬を取りに並ぶと、またヒソヒソ声がする。どうやら私には幻聴が聞えるようだ。 わたしに出されたのは緑、赤、黄の3種類の薬だった。 私は赤色の薬を飲むと白目を向き豹変するようにできている。 看護師は緑と黄色の薬を出してくれた。わたしは赤色の薬を出して欲しいと懇願した。 つづく
351 :
あ :2011/02/03(木) 20:48:57 ID:uall/C/1
つづき 「ダメです!あの薬を飲んだら正気を失ってしまいます。」 「とにかくダメですからね!」 わたしは看護師の顔を注意深く見ている・・・。 我を失って、看護師から赤色の錠剤を奪いとろうとしていたのだ。 ふと看護師が他の患者に目をやる。 次の瞬間看護師の右腹を思いっきり蹴り上げ 看護師のポケットから赤色の錠剤を奪い取ったのだ 。 わたしはすぐに錠剤をお茶で飲むと、みるみる内に体は硬直しとてつもなく、大きな鬼になっているのに気づく 慌てて、看護師が10人ぐらい出てきてわたしを抑える。 「なんで○○にあの薬をだしたんだ!」看護師の怒声が聞える。 わたしは正気を失い、次々に人を見つけると思いっきり殴り殺していく。 途方もなくなぐり殺していくうちに自分が一体何者なのかも分からなくなった。 ほとんどの患者や看護師が死亡しているのが分かった。 いったい、自分の身の上に何事が起ったのか。とわたしは考えてみた。夢ではなかった。 すると背後からコツコツと足音がする。例の太った男が散弾銃を持ってこっちにきている。 すると太った男は引き金を引き「ドン」という銃声が病院内に響いた わたしは死亡した。
352 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/02/05(土) 19:44:50 ID:z0geRxGT
保存
353 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/06(日) 14:29:58 ID:HXDmACO0
遠くで、迫撃砲の音が聞こえた。東が騒然としている。不安げな女に、五百ドルほど投げると「早く服を着ろ」と言い隣室のドアを叩く。ズボンを履きながらアブラハムが飛び出して着た。「カイロにコーヒーを飲みに行こう」「アラブ風でな」アブラハムが応じた。
354 :
政教一致@大阪 :2011/02/09(水) 17:13:39 ID:YJRdNZS2
近況 執筆は困難な状況です。しばらく余裕を下さい
355 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/09(水) 19:37:33 ID:/1UJ0Htf
かそ
356 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/10(木) 18:45:54 ID:W78NVRh0
かそかそ
357 :
キロン :2011/02/11(金) 13:02:15 ID:B7AiW6eV
期待age
358 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/11(金) 14:53:10 ID:SAOERZT1
創価はヤクザ後藤組を行使した。しかも本山を攻撃するのに右翼まで使った これのどこが平和的かつ正義なのでしょうか。最近では創価公明のポスターに 「人にやさしく環境に優しく」などという標語を使っていたが、こういうのを偽善という のです。 決してやってはならない宗教は @ 創価学会 A エホバ B 日本キリスト教団 です。これはしかるべき伝統スジから手に入れた 情報です これらの宗教をやると人生のどこかがオカシクなり始めます。なんなら みなさんも見学しにゆきますか?面白い光景をお目にかけます 創価との関係を元後藤組組長が暴路、後藤忠政「憚りながら」 創価学会に雇われ、殺人事件も起こしている。 墓苑事業では、反対住民の自宅にブルドーザーで突っ込み、 日本刀で片腕を切り落とした。 又、創価にはヤクザ右翼学会員が多いのをご存知ですか?聖教を読んでるせいか 素行の悪い学会員が多いのは偶然ですか?それと創価を誹謗中傷して破門になった会員もいる。学会批判をさせない ために恫喝してきた。手法は 「創価はオウムより怖いのだよ」という恫喝でニセ本尊等々の批判 をさせてこなかったという話を会員から聞いた
359 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/11(金) 18:47:27 ID:4NZu2ys4
「うちは床暖房だから、うちじゅうが暖かいのよ。」母が言った。その時、「僕を忘れていませんか?」と男が現れた。
360 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/12(土) 09:01:36 ID:iRUEpPaR
「お、お前は!」
361 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/12(土) 20:49:51 ID:9MtWnRIj
ここで「この続きはウエブで・・・なんてね」と言えばいいのね
362 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/02/17(木) 20:24:33 ID:R7AGYj1I
保存
政教一致@大阪さん、俺様と一緒にロリ小説を書かないか?
364 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/02/20(日) 13:57:01.51 ID:zGvbfSdy
炉からは足を洗いました
365 :
愛読者 :2011/02/21(月) 23:20:30.20 ID:l0TU8pKm
久村友恒を出せゴルァ!
366 :
愛読者 :2011/02/21(月) 23:24:41.95 ID:l0TU8pKm
ホームページを更新しろゴルァ!
367 :
政教分離名無しさん :2011/02/23(水) 16:59:15.15 ID:h81eGPM2
溶鉱炉から鉄の延べ棒が出来るのは見モノ。
政教一致@大阪氏とメル友になりたい
369 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/02/25(金) 07:30:58.97 ID:Rulx3pMv
保存
370 :
愛読者 :2011/02/27(日) 23:33:14.63 ID:6XH6JVft
ロリネタを入れてください
371 :
政教一致@大阪 :2011/02/28(月) 17:39:16.47 ID:uZZn+j2Z
それは無理です。 炉からは足を洗いましたよ。
372 :
政教一致@大阪 :2011/03/02(水) 17:50:53.20 ID:l4QVkrTj
堀田がパワーポイントで作ったフライトプランが会議室のスクリーンに写し出された。
373 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/03/02(水) 17:54:57.43 ID:f3+vS9ED
創価はヤクザ後藤組を行使した。しかも本山を攻撃するのに右翼まで使った これのどこが平和的かつ正義なのでしょうか。最近では創価公明のポスターに 「人にやさしく環境に優しく」などという標語を使っていたが、こういうのを偽善という のです。 決してやってはならない宗教は @ 創価学会 A エホバ B 日本キリスト教団 です。これはしかるべき伝統スジから手に入れた 貴重な情報です これらの宗教をやると人生のどこかがオカシクなり始めます。なんなら みなさんも見学しにゆきますか?面白い光景をお目にかけます 創価との関係を元後藤組組長が暴路、後藤忠政「憚りながら」 創価学会に雇われ、殺人事件も起こしている。 墓苑事業では、反対住民の自宅にブルドーザーで突っ込み、 日本刀で片腕を切り落とした。 又、創価にはヤクザ右翼学会員が多いのをご存知ですか?聖教を読んでるせいか 素行の悪い学会員が多いのは偶然ですか?それと創価を誹謗中傷して破門になった会員もいる。学会批判をさせないために恫喝してきた。手法は 「創価はオウムより怖いのだよ」という恫喝でニセ本尊等々の批判 をさせてこなかったという話を会員から聞いた。また病人と貧乏人の集合体となり果ててしまったのは偶然ですか?
374 :
政教分離名無しさん :2011/03/03(木) 20:34:08.77 ID:vqDbT06h
375 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/03/06(日) 21:20:50.41 ID:PumrnNUF
飯塚進一を出せゴルァ!
376 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/03/07(月) 12:44:54.92 ID:YEtn8raa
と、そこに飯塚進一が現れた! 「久村友恒の大親友ですが何か?女子小学生ハァハァ」
377 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/03/16(水) 12:56:20.10 ID:CJfIekbZ
すると可愛いらしい女の子が現れた。 「私は金子美穂。12才の小学6年生!」
378 :
天理信者 :2011/04/10(日) 22:26:54.43 ID:6JFAhPvV
政教一致@大阪、生きてるか?
379 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/04/12(火) 11:13:05.43 ID:0h4QDC1u
休載のお知らせ 当面、休載とさせていただきます
380 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/04/12(火) 13:59:10.06 ID:0nVuC+6Q
久村友恒を出せゴルァ!
381 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/04/14(木) 15:46:28.82 ID:symuEUOc
382 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/04/18(月) 15:38:22.93 ID:STd3XrzX
忍法帳ってなんだ?
383 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/04/18(月) 15:39:30.65 ID:6w1FiKMo
さあ?
384 :
キロン :2011/04/20(水) 22:26:36.75 ID:siN1UmDv
保全
385 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/04/25(月) 23:40:38.38 ID:Anr56s83
金子美穂はいきなり着ていた服を脱ぎはじめた!
387 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/05/07(土) 13:50:15.60 ID:WML5lcIs
age
388 :
キロン :2011/05/16(月) 12:31:56.25 ID:CA6maRSw
吉川友梨さん見つかりませんね…
389 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/05/24(火) 20:35:00.18 ID:+0XoDCSw
掲載再開に関して 3/2より中断しておりました「おい、おまいら・・・」ですが、執筆を再開しようと思います 執筆を中止した理由は、まず、災害の事がありました。 また、お気づきの方も多いかと思いますがこのお話は「半島有事」のパクリといわれても仕方がない ストーリーで、開き直って例の部隊まで出してみましたが、やはりパクリだといわれても仕方がない状態です
390 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/05/24(火) 20:37:59.82 ID:+0XoDCSw
391 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/05/25(水) 07:17:06.44 ID:2TadT/Li
戦争を正面から描く作品は私としてはこれが最初ですが、明らかに 書けば書くほど現実とリンクしてくるという事があって、作品の執筆をためらうことが多くなりました で、当初のストーリーを完全に変更することにしました。 こういうことは私の作品では時々あります。
392 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/05/25(水) 07:59:45.48 ID:2TadT/Li
しかし、そうは言ってはいられないのではないかという気持ちが 起きてきたのも事実です。 所詮、小説ですから、完璧にすべての既発表小説と違うということはできません
393 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/05/25(水) 08:05:01.53 ID:2TadT/Li
これまでは、創価・公明と言うタブーの世界で身分を隠して学会をバカにした作品を 発表してきたから、パクろうにもパクリようがなかったということも真相です それでも「ルパン三世 カリオストロの城」とかパクッていますが、 まあそれは不問ということで・・・ 途中で作品を打ち切るというのも、どうかなと思います
394 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/05(日) 20:59:29.67 ID:be8Naypn
と、言うわけで・・・
>>372 より
池田三佐はそれを見て言った。
「荒っぽいフライトだな」
堀田は答えた。
「難しいさ、ミサイルをキムおじさんがぶっ放す前に決めないとな」
395 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/05(日) 21:08:23.43 ID:be8Naypn
「大石英司が続きを出す前にの間違いだろう」 「大石が描く作品のほうが面白いに決まってるからな。だが、我々には 我々のプランで行くしかない」 「まあな、大石が我々のフライトプランを執筆してくれるとは思えんしな」
396 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/08(水) 20:27:28.68 ID:SKkgAXx0
池田三佐はさらにこう言った。 「この竹島上空をわざわざ飛ぶのは韓国へのいやがらせか」 「我が国の固有の領土の上空を通過して攻撃したという実績がいるんだとよ」 堀田は苦い顔で続けた。 「池田、こいつは一回きりじゃ済まないかもしれないんだ、国際的な反応も フライトプランには影響する」
397 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/08(水) 20:55:20.83 ID:SKkgAXx0
「空中給油は?」 「38度線の南側、公海上でやる」 堀田のプランは、詳細であった。 「堀田、護衛はどうなるんだ? 」 「直衛はつけない。せっかくオールステルスなのに護衛機はステルスではないのでは レーダーに映ってしまう結果となり、逆効果だ」
398 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/12(日) 19:46:01.92 ID:2EBUTTsf
「例の部隊は先行するわけだな」 「ああ。池田、やろうと思えば北朝鮮で追いつけるが、 それは避けてくれ」 「例の部隊は、人身御供兼囮か」 「人柱が必要な時もある、今がそうだと上が判断したなら 進んで危険なところへ赴くのも給料のうちだ」 堀田は、マウスをクリックした。
399 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/17(金) 06:05:03.52 ID:YrSY7p15
「グライダーの射出は午前2時だ。」
400 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/19(日) 06:53:10.96 ID:bzZ3NsD5
覆面グライダー隊では貨物の積み込みに苦労していた。 「だ、誰よ! グランドピアノを積んだのは!」 「小隊長、これは自動オルガンでして」 「そんなこと関係ないでしょ」 「囮になりますんで」 そんなこんなで、本部班と二個小隊からなる隊は対馬に向った。
401 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/19(日) 19:04:06.17 ID:bzZ3NsD5
「おい、誰だよ、バグパイプなんて積んだのは」 「加藤だろ、タータンチェックのスカートが好きでそこから発病したらしいが」 「自動ピアノがやっぱりあるじゃないの」 「それは葬送曲演奏用です」 「縁起でもない」 ビルマの竪琴状態で部隊は対馬に着いた。
402 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/20(月) 20:12:55.44 ID:26wlL4Du
「おいおい、このグライダー、どんだけ大きいんだよ」 「何やら聞いた話だと、Me323ギガントが原型だとか」 「じゃ、母機はなんだ」 「未来少年コナンのギガントらしいですよ」 「マジっすか」 「ああ…」 「巨人兵は?」 「オレたちらしいぜ」 一人の兵が突然立ち上がって言った。 「オレは腐っていないぞ!」
403 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/20(月) 20:20:55.41 ID:26wlL4Du
「よせ、マルコ! そん銃を下すだ」 マルコはAK74Sを構えながら、じりじりと下がっていく 「オレは! オレは! 」 「やばい、あれは…」 「なんだ…ウゲッ」 士門は『核兵器危険さわるな』の看板の字が音有の筆跡なのを見てとった 周りのハートのマークをマジックで書いたのは死魔だろう
404 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/21(火) 21:54:56.14 ID:llJl8K+v
マルコは、その兵器コンテナの前に仁王立ちになった。 「マルコ」 「うるせえ」 「実はお前には秘密にしていたことがある」 「聞きたくもねえや。ギガントの向きを対馬に向けろ」 「仕方ないな」 士門はケッテンクラートでMe323ギガントの向きを変えることにした。
405 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/23(木) 18:54:41.04 ID:gAp0TscA
「で、マルコ…どこへ向ける?」 「え…?」 「実はな、お前らには隠していたが、まだ離陸していない」 士門はすまなそうに言った。 「だから、ここが対馬空港だ」 「し、しかし…さっき離陸したのでは」
406 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/23(木) 19:06:26.03 ID:gAp0TscA
「離陸したことにするために、ギガント(母機)を振動させ軽く上に向けた」 「な、なんだってそんなことを?」 「一つには、覚悟を決めさせるため、もう一つは機密保持のためだ」 「くそう、バカにしやがって」 マルコの言葉を聞いて、士門は苦い顔で言った。 「そうしないと、抜けるやつが出る。今のお前みたいにな」
407 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/23(木) 19:20:54.00 ID:gAp0TscA
「オレは抜けていない」 「同じだ、戦力外だ、伊勢マルコ。アルゼンチンへ帰れ」 「え…」 士門は、自らの死を告げるとき多くの日本人がそうであるように 能面のように無表情にマルコに告げた 「日本全土がドロドロの溶岩になっても、民族の血はハワイやブラジルで生き続ける」 「小隊長!」
408 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/28(火) 21:44:16.48 ID:uQk+b1dh
「マルコ、イ`」 「くそう!」 マルコは悔しさをこらえきれず、核兵器のコンテナを蹴った カパチコ・・・コンテナが開いた 「ワオ!」
409 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/06/28(火) 21:49:04.87 ID:uQk+b1dh
「キャー!」 「わわっ!」 コンテナからは音有と死魔が出てきた 全裸だ 「えー」 「やっぱ、そうだったんすか」 部下たちは白い目で彼らを見た
410 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/07/07(木) 21:21:31.56 ID:oeOrOE1+
書けゴルァ!
411 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/07/07(木) 21:38:08.89 ID:oeOrOE1+
でてこい、ハクオウ!
412 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/07/08(金) 06:04:39.10 ID:NQhpVJZk
魄鴎さんはもう来ないと思います
そんな馬鹿な事している間に私達に先んじた勢力が有ったのだ。 通信兵が滑走路を全力疾走で駆け込んでくる。 「み、皆さん、急いで作戦室に集まってください ! 」 通信兵の声は何かに怯えたような声だった。 とにかく、私達は作戦室に急いで行く事にした。 ・・・・・そこへ行った時、作戦室の大画面モニターに映し出されていたのは、 北朝鮮の街中であった。 「な、何なんだ ! この光景は ?!」 一人が言った。 それは北朝鮮の街中で、あちこちに人が倒れ伏し、体中に何かが突き刺さっている映像だった。 「オレンジイエローのリボンを結んだ鉄棒やら、包丁、テーブルナイフ、フォークが刺さっているようだ。」 「おい、あれは酷い・・・・。」 隊員の一人が指し示す画面の一角には、脳天に鉄骨が突き刺さって、そのまま直立している人の死体が映っていた。 「何が起こったのだ ? 」 壁に突っ込んだ車が炎上している。家が穴だらけになっている。そんな悲惨な光景。 彼らは知る由も無いが、この殺戮は最近、日本国の限界集落と周辺地域を領土として、 独立した" X 国 "の事実上の警察軍であるカルト対策局の航空部隊がやった、 『北朝鮮への死のプレゼント作戦』だったのだ。 用意したのは、建築用鉄骨と、ホームレスを動員して廃品回収で集めまくった古い包丁・テーブルナイフ、 フォークなんぞであった。 鉄骨を一メートル位の長さに切り、一端を尖らせる。そして反対側にはオレンジイエローのリボンを結んだ。 それらを積めるだけ積んだ旧型爆撃機多数で、北朝鮮の上空、高度一万メートルから投下したのだ。 北の戦闘機には碌に燃料が給油されておらず、パイロットの練度も低い。と言う事実を利用したのだ。 X 国の乗員たちは、用意されていた小型脱出用ジェット機で退避した。 そして、座標をセットした自動操縦装置で、北の市街地に突っ込ませた。証拠を無くす為だ。 爆撃機の購入時にも、偽名と偽造身分証明書を使って買ったから、消毒はされている。(悪の微笑) 私達は、その光景に微動だにすることが出来なかった・・・・・。
414 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/07/17(日) 17:11:20.99 ID:37uQ+Ptq
AGE
415 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/08/08(月) 07:49:35.90 ID:Jz1LFwTW
AGE
416 :
タイガー佐藤 :2011/08/15(月) 18:28:14.88 ID:FMlbdIzg
その時、老人が一人れた。深いしわが刻まれた顔は、表情を読み取ることが出来ない。重々しく口を開く。深淵から洩れたような声だ。「お茶をどうぞ。」そして、声をひそめるように「饅頭もある」と呟いた。
417 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/08/16(火) 09:08:22.34 ID:9U3w81Rp
伊勢マルコはお茶と饅頭を頂くと、グライダーからおりた。と言うより降ろされた 福岡では、新富嶽部隊が準備に余念がなかった。
418 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/08/16(火) 16:19:42.01 ID:9U3w81Rp
「主武装は、ロケット弾だ」 「燃料、最大まで搭載」 「試作機は、デコイ任務」 次々と燃料武器弾薬デコイが積み込まれる。
419 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/17(水) 21:48:53.71 ID:n5B1upLb
そして、ジュラルミンのケースに入った饅頭も。「核弾頭に変えて、この饅頭を付けたら・・・」俺は言葉を失った。「ただの饅頭じゃないわ!」クリスティーナが言った。「そう、葬式饅頭だ。それが紅白になっているなんて」
420 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/19(金) 12:06:20.16 ID:bfG41lA2
菅総理が言った。「これから、川下りをやる。救命具はこれを付けてもらう」配られた救命具は鉛のように重かった。
421 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/19(金) 18:11:34.05 ID:bfG41lA2
野田は不満そうに「こんな救命具では沈んでしまう」細野が「放射能を防ぐためです」と言うと、皆は黙って救命具を着ける。その時、岡田が「おやじの店で買ったやつです」と救命具を配る。菅がイラッとしながら「余計なことをするんじゃネエヨ」と怒鳴った。
422 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/19(金) 20:00:47.35 ID:bfG41lA2
「さあ、さっさと乗るんだ」と追い立てられた泥舟には、派手な着物を着た鳩山が乗せられている。「前原、隠れてないで出て来い」菅の怒声が響く。やがて捕り方に縛られた前原と仙石が引き立てられる。「まあ、賑やかだこと」と表れた伸子を、後ろから鬼のような形相の枝野
423 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/19(金) 20:09:33.64 ID:bfG41lA2
「まあ、賑やかだこと」と表れた伸子を、後ろから鬼のような形相の枝野が船倉に蹴り落とす。船底にはれいほうが倒れていた。「私が一番だったの」と言ったが伸子は返事もしない。桟橋ではくわえ煙草の小澤が笑っている。船には石原伸晃がガソリンをかけている
424 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/19(金) 20:13:04.95 ID:bfG41lA2
馬鹿やろう。れいほうじゃねえよ。れんほうだよ。ほうれんそうって言うんだよ。覚えとけ
れんほーさんが作ったほうれんほーは怪しいセシウムさんは付いてないんですか?消費者庁の方お答えくださいまし
426 :
しょうひしゃちょん :2011/08/20(土) 11:48:28.96 ID:PSUo9MJF
毒入り餃子やキムチは食べても大丈夫らしいにだ
それらは直ちに健康に影響はない
428 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/21(日) 07:56:37.41 ID:3fSnfmsr
毒薬でも、三十分後にきけば、「ただち」に影響がないと言っていいのかな?
429 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/23(火) 21:09:20.47 ID:irD2gEkN
昼下がりの野田の事務所に前原が現れた。「やあ、皆さんお揃いで」「前原君。立候補の噂は・・」 その言葉が終わらぬうちに「ええ、立候補することにしました」と冷然と言ってのけた。「立候補しないと言ったじゃ」「野田さんじゃ勝てませんよ。かといって馬淵や鹿野じゃ馬鹿と言われますよ。小澤先生も支持を約束してくれました。
430 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/23(火) 21:19:57.76 ID:irD2gEkN
なあに、総理と言っても次の選挙までですよ。それまでに震災予算で儲けさせて貰いましょうよ。原子力も国債の償還も次の内閣へのお土産で、自民に残しますよ。金庫がからっぽで奴らの吠え面が目に浮かびますよ。
431 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/23(火) 21:26:28.09 ID:irD2gEkN
その時野田は、前原が永田を殺した男であることを思い出した。己の利益のためなら、人の命も顧みない男。人を裏切ることなど何でもない。俺は甘かった。こんな奴を信じたばかりに・・・
432 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/29(月) 21:01:29.95 ID:yEhoUD88
へ
433 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/29(月) 21:08:26.35 ID:yEhoUD88
その時、小澤派の使い走りが現れる。「前原先生、小澤先生は考えておきますと言っただけですよ」 (省略)そして、野田が新代表となった。
「あぁ、日本は終わった。」どいつが代表になっても言われるであろう面子しかいなかった
435 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/30(火) 16:44:31.06 ID:EBWC9ey8
一郎はほくそ笑んでいた。「総理だろうが料理だろうが、やりたいやつにくれてやる。名を捨て実を取ればいいんだ。幹事長は輿石のおやじで決まりだ。内閣には震災と原発処理で汗をかいてもらう。金と選挙は俺のもの。」
436 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/30(火) 17:57:16.95 ID:EBWC9ey8
あいつはドジョウ、俺は金魚よ。グハハハハ
437 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/08/30(火) 18:04:58.15 ID:EBWC9ey8
駅前演説はNODA、駅前留学はNOBA 潰れちゃったけど。ルパンだって三世なのに小泉家は四世、ルイ山田は32世
マツザカのカミさんは柴田倫世、千円札は野口英世
439 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/01(木) 22:00:51.70 ID:Qh4aA8M8
権謀術数の限りを尽くし、相手陣営の切り崩しを図った。幾つかの裏切りがあった。それは皆、この男が造り出したものだった。その男の名は一郎と言った。
440 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/01(木) 22:11:54.07 ID:Qh4aA8M8
静かな離れの一室。大きな卓の真ん中に、独りで座りっている。前には、白磁に鮮やかな文様の描かれた九谷の角皿が置かれていた。灯りは、一匁蝋燭の炎が静かに揺れているだけだ。「一郎、また負けたね。あんな泥鰌に」
441 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/02(金) 19:55:47.02 ID:UQ53fxy8
うるせえな、おれのせいじゃねえや。鹿野の野郎も勝ち目がねえからって泥鰌に尻尾を振りやがって。俺の言うことを聞けば、震災の儲けのおこぼれくらい貰えたものを。見てな。野田の後なんかついてっても金なんか落ちてないぜ。菅に懲りた奴が鳩にすり寄ったように。
442 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/03(土) 19:46:28.53 ID:hw1QjqlZ
「泥鰌めを追い落とすのに、アナゴガールを使う。ウナギガールとナマズババアも支援する。自民もウツボ部隊を密かに編成したらしい。」その時「曲者!」という声が響く。「何事」小澤の脳裏を様々な敵がよぎる。「谷垣?渡辺?泥鰌の手の者か?まさか、音羽のはぐれ鳩が?」
443 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/03(土) 20:21:47.69 ID:hw1QjqlZ
音羽の鳩屋敷。館の主が「伝書鳩か?」と呼び掛けた。「クックーグルグ〜」「何、小澤め。今に見ておれ。彼奴も俺の金で居酒屋へ行ってる癖に。命を守ってやってるのは誰だと思ってるんだ。獄に下すは容易いこと。一獄吏をもって足ることを思い知らせようぞ!」
444 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/03(土) 22:23:53.22 ID:hw1QjqlZ
リビアの地下要塞。奥まった一室に男は籠もっていた。乾いた音をたてドアがノックされた。「だれだ?」「私です。」声と共にドアが開く。「お茶をどうぞ。」お盆にはお茶とウナギパイが置かれていた。
445 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/04(日) 18:32:02.07 ID:NP/uOjXS
カダフイは言った。ここにあるビール券を半分はユーロに換金、残りはリヒテンシュタイン農協に預けてくれ。厳しい表情で命じる。
446 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/04(日) 18:51:12.68 ID:NP/uOjXS
カダフイは厳しい表情で「情報収集を万全に」と言うと、自らもメモに目を通す。そのあと、くわえ煙草で東スポを開く。両足も新聞と同じ角度に開いた。その時、横に座っていた短髪の男が「ボケェ!」と言いながら東スポをむしり取る。「ぼけぇ!日本は狭いんじゃ。
447 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/04(日) 19:44:07.93 ID:NP/uOjXS
「足は揃えろ」その言葉と一緒に頭をどつく。横にいた男が銃を抜くと同時に、顔面に雪駄の蹴りが入る。「チャカ出す暇があれば一発でも殴らんかい」。向かいの座席に座っていた男達が短機関銃を構える。しかし、近くにいたサラリーマン風の男が、傘で機関銃を叩き落とす。
448 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/04(日) 21:23:26.37 ID:NP/uOjXS
カダフィのボデイガードを殴り倒すと、「てめえら降りな」といって窓から投げ落とす。「ふざけやがって。日本では、でけえ面はさせねえ」そう言い残したところで新小岩に着く。降りたところで、東スポを買いSuicaで支払いをし改札を出ようとしたところで改札が閉まる。
449 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/05(月) 20:16:00.20 ID:ocYTn2cU
「よし、総武線を消して見せよう。」男は言った。コーラを飲む。そして、「スーパーイリュージョン!」と叫ぶ。その時、小岩と新小岩の間で、総武線が消えた。周りを囲んでいた人がどよめきを上げる。口々に、「びっくりしたなあ、もう。」と叫ぶ。
450 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/05(月) 20:20:37.61 ID:ocYTn2cU
弁当売りのおじさんがやってくる。男は叫ぶ。「あのおじさんは偽物だ。」
当面の間、執筆を中断いたします
452 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/09/18(日) 20:45:35.74 ID:uGT4Svtw
静かな夏の朝であった。しかし、浜辺の見慣れぬ光景に目を凝らす。一隻の小さな木造船。周りに倒れている二、三人の女性と子供。そして船を引き上げようとする三人の男。漂流でもしたのかと思い声を掛ける。それに男達が目を向ける。思い掛けない嶮しい目だ。
453 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/10/04(火) 13:29:26.13 ID:nB4ofZMQ
w
454 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/10/18(火) 14:07:13.26 ID:scZXeISV
小説終わったの?
455 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/10/18(火) 17:27:22.65 ID:2v+FQcdy
小説そのものは途中です。 この物語を始めるにあたって、サブテーマとして決めたのは「名前」でした。 そして、現在の国際状況、軍事状況をもりこむ予定でした。
456 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/10/18(火) 17:30:35.00 ID:2v+FQcdy
新兵器として新富嶽があり、例の部隊のパロディが出ては来ますが、現実にある 脅威(我が国にとっての)を描くと言う意味では政教一致@大阪のシリーズでは 異色の作品でした。 しかし、一人の作家が書き続けるのは良くはないのではないかと思うようになり 筆を折りました。
457 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/10/18(火) 17:34:07.58 ID:2v+FQcdy
少女の歌声が未来を開くと言うのは「ローレライ」に少し似ているのかもしれません そして、この物語の主人公は登場人物全員だと言う思い入れをこめて書いていました 漆原も主人公です。池田三佐もそうです。士門もそうです。
458 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/10/18(火) 17:35:52.91 ID:2v+FQcdy
しかし、書き続けろと言う人はいないのでしょうし、もうそろそろ幕を 自ら下すべきなのかと思います
459 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/10/28(金) 12:02:19.63 ID:9eOdnUpz
久村友恒を出せゴルァ!!
460 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/11/10(木) 01:27:30.65 ID:R5js3uFc
だれ?
461 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/11/21(月) 19:42:56.34 ID:acW3yzKC
w
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/11/26(土) 01:47:38.99 ID:Ze+8DdBC
??
>>458 エピローグは、先生がレインボー合唱団による「歓喜の歌」の大合唱で見送られ、
背中の羽をバタバタさせながら天空に上っていく姿で終わって欲しいです。
464 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/11/27(日) 19:43:25.54 ID:vNwxiDXP
465 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/04(日) 19:52:29.24 ID:QaqkRVoR
再掲 福岡では、新富嶽部隊が準備に余念がなかった。 「主武装は、ロケット弾だ」 「燃料、最大まで搭載」 「試作機は、デコイ任務」 次々と燃料武器弾薬デコイが積み込まれる。
466 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/04(日) 19:59:44.02 ID:QaqkRVoR
「堀田、ステルスとECMは両立しないんじゃないか? 」 「ああ…新富嶽主力部隊がECMをかけたらそうだな」 「ほう? 」 「試作機だけが電子戦を行う。もちろん、試作機はピョオンヤンを攻撃するかのような 偽装進路を取る。獲物はMIG−29だ。」 池田三佐は言った。 「ふむ…」
467 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/04(日) 20:23:41.32 ID:QaqkRVoR
「エサにMIGがひっかかったら、とっとと日本海へ脱出するのさ」 「万が一、本隊に北朝鮮の防空司令部が気が付いたらどうするんだ? 」 「池田、そんなことはあり得ないことぐらい分かるだろう」 信じがたいが、つい最近までNECのPC−9801(のシリーズ)で 北朝鮮は防空システムを管理していたらしい。 しかも、肝心のレーダーにすら電力不足で電源を供給出来ない状態である。 一応、自家発電のシステムはあるが肝心の燃料が無いのだ。 「使えない空軍の代名詞みたいなもんだな」
468 :
魄鸚 :2011/12/05(月) 07:23:19.58 ID:KL1UUd7d
469 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/05(月) 12:21:54.14 ID:qS5QuejU
「まずは、例の部隊が先にミサイル都市に入る」 「ふむ」
470 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/07(水) 20:28:39.81 ID:IKsPy3eZ
「続いて、囮の試作機、こいつは別方面に向かう事になるわけだが無線管制の必要性はないから 無線で情報を送る。続いて、T4からストライク・イーグルに乗り換えた護衛部隊」 「なんだと堀田、そんなものどこにあったんだ」 堀田はあっさりと言った。 「韓国からかつあげした」
471 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/07(水) 20:33:29.54 ID:IKsPy3eZ
「奴ら、怒り狂っただろう?」 「死ぬよりましだからな…ノドンの一部はソウルを狙っているかも知れないと 偽装情報を流してやったら「このチョッパリが! 許さないニダ」とか言いながら フェリーしてきやがった」
472 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/07(水) 20:48:46.03 ID:IKsPy3eZ
「ふむふむ…」 「どうせ機体は失ってもかまわん。今サイドワインダーを集めているところだ」 「しかし、機材は賠償しないとならんだろう…」 「分かってないな、池田…機体を調達するまでの間の時間はかなり長くかかる そして、その間は韓国空軍としても機材が無い状態になる。僅かな機数に過ぎんが」 「ふむ…撃墜したのと同じ事か? しかし韓国とドンパチやることはないだろう」 「まあな、もしやったら日本が必ず勝つから同じだが…韓国の立場になって見れば 日本と本気で事を構えるとなれば北朝鮮と日本の間に自分達がいる事は意識しなければならん」 「共闘するんじゃないのか?」 「してもノドンなどのミサイルが無ければ同じだ。ご自慢の特殊部隊も海を渡れなければ意味はない」
473 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/07(水) 21:04:11.21 ID:IKsPy3eZ
「いわゆる不審船を総動員するんじゃないのか? 」 「しても同じだ。鳥取県なんかは県独自の民兵組織を発足させているぐらいだ 海上で補足されれば一巻の終わりだ。こちらから逃げるのに高速が役に立つ事はあっても 圧倒的に武装が貧弱では早かろうが遅かろうが同じ結果になる」
474 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/08(木) 20:19:01.28 ID:/5NVkcOH
北朝鮮 ミサイル発射担当の朴は、燃料注入を終えたノドンの発射準備の点検に余念が無かった だが、それは表向きだけの話だった。
475 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/12/08(木) 20:33:59.97 ID:uFfMoQ4q
476 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/09(金) 20:01:27.94 ID:GRwIQupt
無効な発射コードを入力してノドンを発射するのが彼のお計画だった。 システム上、ミサイルは真上に向かって発射され、燃料が切れた時点で真下に 落ちてくる。厳密には、風の状態などの影響で真下と言うのは若干違うのだが しかし、この計画には二つの難点があった。 一つは第二宇宙速度をノドンが突破してしまい、発射したノドンが衛星軌道に 乗ってしまうと言うマンガのような可能性だ。 朴もそれは有り得ないと思ったが、真上に向かって発射する実験などした事はないのだから 超高空から亜宇宙でノドンがどう機能するのかは誰にもわからない 二つ目は、一つ目とも関わりがあるが発射したノドンが降って来るまでの間に残りのノドンを 正しい発射コードで発射されたら朴の決死の行為は無意味になる。 結果的には空の発射台が破壊されるだけでは意味が無いのだ。
477 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/09(金) 20:18:07.82 ID:GRwIQupt
かといって、地上爆発はしないように何重もの安全装置が取り付けられており ノドン搭載の原爆は発射しなければ爆発はしない。 また、そうでなくては危険すぎて取り扱えない。モノは原爆なのだ。 実は、モノとして天然痘ウイルスや、サリンを搭載するプランもあったが これらは安全装置も何も、発射するしない以前の問題としてそれ自体が危険物であり 漏えいした場合の被害を考慮すると使えなかった。 同時に、弾頭内に詰め込める量はたかが知れているのであまりにも割が合わなかった。 また、発射した弾頭内部が何度まで熱せられるのかと言う点が分からず 発射するにはしたが、天然痘ウイルスでもサリンでも熱でやられてしまう可能性があった それだと、確実に来る報復攻撃に北朝鮮が耐えられるかと言うこれもマンガじみた結果になる それぐらいなら発射しない方がまだましだ
478 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/09(金) 20:33:01.76 ID:GRwIQupt
ちなみに、いわゆるテポドンはそれを北朝鮮が望んだのかどうかはともかく 衛星軌道に弾頭を乗せた
479 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/09(金) 20:41:13.65 ID:GRwIQupt
>>478 訂正
誤 衛星軌道に弾頭を乗せた
正 衛星軌道に弾頭を乗せようとして失敗した
480 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/10(土) 17:55:13.97 ID:7zeU0EEH
…燃料を思い切り少なくする。しかし、少なすぎても駄目だ… 朴は点検を終えた。
481 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/11(日) 21:42:18.06 ID:jhKeFu8k
日本標準時の午後になった。 東京:防衛省地下指揮所 漆原は最新の衛星写真を見た。
482 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/11(日) 21:58:09.54 ID:jhKeFu8k
「ノドンミサイルは発射可能な状態のまま、待機しています」 政教一致@東京は報告した。 「すぐに発射してこないのは何故だ」 「ペキンで、交渉するつもりなのだと思います」 「交渉? 」 「あらゆる事を要求してくるでしょう。しかし、無駄に終わるでしょう」 「なぜかね? 」 「結局はいくら支払っても、ノドンと核弾頭を北が握っている限りまた更なる要求を 産み出すだけです。北朝鮮の属国となって金や資源を貢ぎ続けるか、戦うか? 」 「主戦論だな。憲法第九条はどうする? 」 「戦争を放棄するとは規定していますが、これは一部の暴走した北朝鮮兵による ノドンミサイルの行使およびその準備であると考えるとテロリストも同じ 我が国はかつてPKO活動で国外に部隊を派遣した事もあり、それは合法なのですから 今回の武力行使も一応形の上では合法、あるいは少なくとも憲法違反ではないと 考えられます」
483 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/13(火) 19:51:35.82 ID:NuSMDHgz
漆原は少しだけ考えて、聞いた。 「狙いは、東京だろうな」 「おそらく…それだけに奴らも最後まで発射は待つでしょう。交渉が決裂してから ミサイルを発射した方がいいに決まってます もっと突っ込んで言うなら日本が要求を全て飲み、発射しないで済む方がいいでしょう」 「大もうけだからな」 「はい」 その頃…
484 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/14(水) 19:50:40.40 ID:KzvDHj1o
鳥取県 砂丘がどこまでも広がっている。 砂漠の必需品であり鳥取県民の下駄代わりである砂トラクターとラクダによる補給部隊が遠ざかって行く 砂浜には不審船が4隻、乗り上げていた。
485 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/14(水) 20:06:03.57 ID:KzvDHj1o
「出動!」 隊長の榊原が言った。 タグボート役の不審船がロープを積んだ上陸艇を沖合から発進させる。 榊原は注意深くその作業を見ながら武器主任の小早川を呼んだ。 「小早川! 弾薬は定数が手に入ったのか? 」 「はい隊長」 二人は標準語に限りなく近い舞鶴弁でしゃべっていた。
486 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/14(水) 20:23:19.17 ID:KzvDHj1o
「田熊、食料および水はどうか? 」 「大丈夫です、短期の航海ですから問題はありません」 調理長の田熊は関西弁のイントネーションだったが言葉そのものは標準語だった。 「コンビニ弁当、カップラーメンなども使う予定です。この航海が終わるまでには 皆太っているかも知れません」 衛生長の囃子(はやし)が言った。 「まあ、私これ以上太ったら困るわ」 彼女も関西弁のイントネーションが抜けていない。
487 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/15(木) 19:27:18.11 ID:SXWlLtde
小早川は絶句した。 「これ以上って…」 軍医の葉椰子(はやし)が言った。 「大丈夫、またダイエットするんだね…それに囃子さんの大好きなミキハウスの スエットは今より多少太っても着れるよ」 葉椰子は、正確に言うと「軍医」ではない。 それは、武装した公の組織に所属して従軍する医師を指し示す言葉としては「軍医」 しかないので皆「軍医殿」と呼んでいた。ちなみに二人とも読みは「ハヤシ」だが 夫婦でも親戚でもない。
488 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/15(木) 19:51:11.35 ID:SXWlLtde
「車両担当、押寺。車は手に入らないと考えられるが一応ガソリンとディーゼルの 携帯タンクは用意しておけ」 「了解」 押寺はカーマニアだ。前はマツダの工場に勤務していた事もあったらしいが 造るのも好きだが乗りまわすのがもっと好きだと言うカーマニアだ。 田熊のほうが市バスやトラックの運転手をしていた時代が長く、運転は彼の方が慣れていたが いかんせん左ハンドルの右側通行(日本とは逆)の北朝鮮では逆にそれがハンデになる。 左ハンドルの右側通行になれている者は隊には彼しかいない。
489 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/15(木) 19:53:36.25 ID:SXWlLtde
訂正 誤>左ハンドルの右側通行になれている者は隊には彼しかいない。 正>左ハンドルの右側通行になれている者は隊には押寺しかいない。 本日の更新はここまでです
490 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/16(金) 20:01:02.04 ID:Sj/r7dSQ
「通信主任、葵」 「電波が…ああ、人工衛星から監視されている! 」 「主任はおとついからこうでして…」 通信副主任の嘉藤智大が言う。暇さえあれば新幹線や飛行機を使い秋葉原に 行っている嘉藤は事実上の通信主任である。葵も前は部隊の任務を遂行出来ていたが 最近はひどくなって行く一方だった。
491 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/16(金) 20:13:40.91 ID:Sj/r7dSQ
「県庁との暗号通信は北朝鮮に行ってからも可能か? 」 「可能であります。いつでも「長官」に連絡できます」 長官とは、川野義行と言う県公安委員会主担当委員のコードネームだ。 県公安委員会主担当委員が長い事と、何かのはずみで外部に漏れた場合 委員の身が危ういので隊員らは普通の県職員とは違い、川野の事を決して川野さんと 読んではいけないと命じられている。 そう、彼らの隊は「武装鳥取県非常勤職員」と公式的には言い 一般的には「ショットガンズ アンド チェインソウズ」と呼ばれていた。 名は体を表すともいうが、彼らの主武装は最近までショットガンでありチェインソウであった。
492 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/16(金) 20:51:39.15 ID:Sj/r7dSQ
しかし、彼らは北朝鮮との交戦を日本で最も長く、大規模に行っている部隊だった。 武器も奪ったし船も奪った。 今は小早川の取り扱う武器は主力がAK−74の北朝鮮版、88式突撃銃やAKS−74や PPK−74に変わりつつある。 弾薬の補給は、中国から密輸すると言う県の公務員としては考えられない方法で解決している。
493 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/17(土) 18:50:11.01 ID:SnVmcw+l
榊原は航海主任の村木秀夫を呼んだ。 「航海主任、目標地点のGPSポイントは確認したか? 」 「は…北朝鮮、元山より南に下った何もない漁村のようです。 ただ、ここには約二個中隊強、人数にして300名の特殊戦部隊が駐屯していまして どちらかと言うと避けて通った方が…」 「それはいかん…」 「作戦主任? 」 作戦主任はタヌキ目の男だった。本名を知る者は誰もいない。 作戦主任は言った。 「この作戦ではね、派手に敵と戦う事が求められるんだ。音楽長の川原美代子も同行するのもそのためだし 情宣長の宮裂木(みやざき)勤も参加するのはそのためだ」
494 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/17(土) 18:58:17.38 ID:SnVmcw+l
微かに関西弁のイントネーションが残っているほかはまったく非の打ちどころのない 標準語だった。 「ショットガンズ アンド チェインソウズ」では標準語が奨励されていた。 「なぜです? この襲撃航海の目標とは一体なんですか? 」 航海主任は言った。 榊原は作戦主任に代って答えた。 「陽動作戦 これはある作戦の陽動作戦なんだ」 「ある作戦? 」 皆が興味津々と言う顔で隊長を見た。
495 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/17(土) 19:05:18.67 ID:SnVmcw+l
「ある作戦だ。我が国の未来はこの作戦にかかっていると言っても良い作戦だ」 航海主任は言った。 「それは自衛隊の作戦ですか? 」 「ああ、だがこれはそれ以上の意味を持つ。だが、この陽動作戦は全くの一部分だが 相手を驚かせる効果が無くてはならん。我々は自衛隊ではないが、自衛隊以上に恐れられている」 「それは…隊長が無理な作戦を強行するからではないでしょうか」
496 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/17(土) 19:15:01.37 ID:SnVmcw+l
榊原は言った。 「みんなノリノリでやってたじゃないか」 囃子が言った。 「あの…例の、軍医殿が無料で包茎手術をしてあげた兵士五人組が喋ったんじゃないでしょうか」 軍医の葉椰子郁夫は反論した。 「囃子さんこそ、激辛料理で何名もの敵兵を拷問したじゃないか」 「あれは食糧難のあの国ではまたとない御馳走だったと思いますよ」 かれらはとんでもない輩の集まりだった。
497 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/18(日) 01:24:06.10 ID:djn+nbiV
榊原は言った。 「一人でも多くの兵を釘付けにし、他の正面に展開しないように 拘束、これに打撃を与え続けよ、そう『長官』はおっしゃった」 作戦主任はタヌキ目に真剣な光を浮かべながら言った。 「拘束するのは大丈夫でしょうが…いや、それ以上に脱走する北朝鮮軍兵士で 支離滅裂になり部隊が次々壊滅するでしょう」 彼らはそれぐらい恐れられていた。 川原音楽長の「投降、さっさとさっさと投降、殺すぞワレ」と言う「投降ソング」が 聞こえてくると朝鮮軍は失禁脱糞して我勝ちに逃げるまでになっていた。 その様を情宣長がネットにアップする。北朝鮮の国家統制でネットの自由などかの国にはないが 中国や韓国を経由して、噂話として風のように入って来ていた。
498 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/18(日) 01:45:30.40 ID:djn+nbiV
鳥取には、恐ろしい奴らがいる… 投降など、とんでもない。「デスドクター」と「太ったナース」によって 医療実験と言う名前の残虐行為に会うとされていた。
499 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/19(月) 21:57:49.21 ID:4y5YNZpC
そして、投降しない場合でも、心底恐ろしいのは変わりない。 今まで一体何人の北朝鮮兵がチェーンソーで切り刻まれ、ショットガンで吹き飛ばされたか… さらに怖いのは奴らがどんどん強くなっていると言う事だと北朝鮮の兵士らは噂した。 武器や船は奪われる度に「奴ら」の武装強化、船舶強化に使用された。 人員も強化されていると言う話だ。それも、刑務所や拘置所、精神病院などから集められていると言う 怖い怖い噂があった。 「ウエノムは怖い部隊を持っているスミダ」 「覆面グライダー隊ともショットガンズアンドチェインソウズにも会いたくないニダ」
500 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/12/19(月) 22:00:40.50 ID:jrzyRKQg
501 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/19(月) 22:05:07.50 ID:4y5YNZpC
そんな噂をされているとも知らない榊原の元へ嘉藤が走って来た。 「今、長官から連絡がありました。北の「偉大なる首領様」が死んだと言う事です」 「そうか、御苦労。今から君が通信長をやれ。葵にはもう無理だと思う」 「はっ! 」
502 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/19(月) 22:14:25.60 ID:4y5YNZpC
「ようし、全員、今回の航海の無事と北朝鮮の新しい船出を祈って非公認業務歌を歌うぞ」 川原音楽長が大型のラジカセを砂浜に置く。 だがそこから流れてくるメロディに乗って隊員らが歌う歌は常軌を逸脱していた 武装鳥取県職員 非公認業務歌 「Shotguns & chainsaws」 不審船がやってきたぞ おまえならどうする 少女を拉致されて、黙って見ているか Shotguns & chainsaws 武装鳥取県職員♪ 砂丘で遊ぶ子供、一体誰が見守る 戦って漁火を灯せ、竹島は我らの島だ Shotguns & chainsaws 武装鳥取県職員♪ 過激派のふりをすれば、怖い物など無しだ どうせ使い捨てさ、非常勤の嘱託 Shotguns & chainsaws 武装鳥取県職員♪ Shotguns & chainsaws 武装鳥取県職員♪
503 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/19(月) 22:16:13.17 ID:4y5YNZpC
作者注 元歌はある人のブログからパクリました
504 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/20(火) 20:56:57.38 ID:jjv+38DX
榊原は言った。 「ようし、全員船に乗り込め! 」 小早川は大型ラジカセをもつ川原音楽長の背中を押して船に乗せた。 それから、囃子に手を貸して船に引っ張り上げた。
505 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/21(水) 22:37:03.26 ID:e8IPa9bL
同時刻 平壌 金正恩は地下の指令センターで画面上の敵を睨みつけた。 北朝鮮の敵とは、朝鮮戦争を戦った韓国ではなく、もちろんアメリカでもなく 日本だった。 「第二陣のミサイルの準備を急がせろ」 「ははっ、偉大なる後継者! 」 金英雄弾道軍司令は息子よりも若い金正恩に敬礼した。 「私は葬儀の場に戻る。だが、お前が失敗したら…戻って来て生まれてきた事を 後悔させてやるからな」 金正恩は去った。 金英雄弾道軍司令は便所に行き唾を吐いた。 「あの野郎、ぶっ殺してやる」
506 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/21(水) 23:21:42.70 ID:e8IPa9bL
急浮上してきた後継者に反発の声も多い・・・ 「ミサイルで、目を覚まさせてやる」 金英雄弾道軍司令は指令センターで副官を呼び寄せた。 「発射コードを送れ」 「司令! それは…」 「やるんだ、ここはアメリカにばれている。いつバンカーバスターによる攻撃を受けるか分からん」 「はっ! 」 「そうなったら…我が国は発射可能なミサイルを手に持ったままウエノムの空爆を受けることになる」 「はあ…」
507 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/22(木) 19:30:15.57 ID:fQseiwts
AGE
508 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/23(金) 18:21:08.76 ID:QpU0/4v5
*作者より USER001氏と政教一致@大阪が別人であると言う話をしようと思いましたが 止めることにしました。 一連の流れを見ると、結論としては「USER001は無限に増殖して行く」です。 どこかの誰かも、あいつはUSER001だと言う事になって、もっと他の人もそうだと言われるのだろうし どんどん膨れ上がって行く。 しかしそれは、冷静になって考えるとおかしな話で、そんなに多数の人格を演じる事が出来る物なのか あるいは、全部USER001として統一した方がメリットがあるのではないのか、とも思います。
509 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/23(金) 18:29:45.99 ID:QpU0/4v5
>>506 より
「「偉大なる後継者」様は軍歴が無いから危険性に気がついていない」
「はあ…」
「万一、攻撃されたなら地下のこの司令部が仮にセーフでも、上の建物が
全壊では指示を出す事は出来ない」
金英雄弾道軍司令の前の司令官は、そのような場合を想定して近くの軍用通信が可能な基地まで
地下に温存しておいたサイドカーで伝令を走らせると言う訓練も行っていた。
510 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/23(金) 18:38:41.32 ID:QpU0/4v5
しかし、その事がどこからか金正日の耳に入り、「敗北を前提にした訓練をしている」として 彼は更迭された。 だから、もうその手段は使えないし、大体、近くの基地とて健在かどうかは分からない。 日本がその気になれば平壌そのものに壊滅的な打撃を加えることも可能だ。 東海にヘリ空母を出撃させてそこから攻撃ヘリを飛ばす。 平壌空爆後、西海で別のヘリ空母に着艦すれば後は韓国領海まで逃げ切ればよい。
511 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/24(土) 17:53:49.31 ID:AenYuMtW
その行程で、無数の軍事基地がつぶせる。 ミサイルで敵国を射的の的のように撃ち虐殺しようと言う輩は考える事も自分の物差しの範囲内である。 「日本人に、恐怖を覚えさせる必要があるとは思わんのか」 「いえ」 「衛兵! こいつを逮捕しろ! こいつは親日派だぞ! 」 あわれな副官は憲兵に引きたてられた。 北朝鮮では親日派は即時強制収容所送りを意味する宣言だった。
512 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/24(土) 18:40:11.35 ID:AenYuMtW
シャキーン トカレフ拳銃のスライドを引いてから司令は言った。 「発射コードを送れ! 嫌だと言う者は射殺する」 目の前で副官が連行されたのを見ている司令部に、逆らう者などいようはずも無かった。 「送信完了」 「うむ、しかし発射許可ランプは赤のままで」 発射許可ランプはもう一つの無線キーだった。ただし、これはランプが緑か赤かと言う事で しかなく、安全装置とは程遠い。 ではなぜそのような仕組みがあるのかと言うと、この発射システムの構築時には自動報復という発想で 平壌にアメリカが核攻撃を仕掛けてきた場合に平壌の司令部がアウトになっても テポドンによる報復攻撃が可能であるようにするためだった。 ミサイル発射担当の将校にはこれを無視した場合死ぬか廃人になるまで鞭打ちされると言う 極刑が用意されていた。
513 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/24(土) 18:46:30.08 ID:AenYuMtW
昔は日本に負けた北朝鮮アスリートは必ずそれを意識して戦わなければならなかった。 ただ、サッカーで日本に負けたりして金正日も考えを改め「死ぬまで鞭で撃つ」は 一応封印された。
514 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2011/12/25(日) 16:53:30.34 ID:lXmFfg+Q
金
515 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/25(日) 17:24:15.95 ID:SQHqGjwR
東京 司令センターでは市況一致@東京が情報を取りまとめていた。 北の権力構造は不可解であり旧来の血縁関係中心の人事がまかり通っている。
516 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/25(日) 17:30:40.41 ID:SQHqGjwR
訂正 誤>市況一致@東京 正>政教一致@東京
517 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/26(月) 21:23:49.48 ID:6Z3L1Jm2
三男の前に、長男と二男がいるのだがそれはどう言う位置づけなのかとか ミサイルの状況とか確認するべき事は多い。 中国の出方もある。歓迎なのか、世襲はよろしくないという立場を表面上は取るのか
518 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/26(月) 21:32:04.01 ID:6Z3L1Jm2
もはや作戦は巨大な流れとして動き始めていて止めることも早めることも 基本的には出来ない。 大体、止めてしまったらもう一回やる事は出来ないのではないか 東京が破壊されたら、もはや日本の再起は不能であろう 何回も何回も、不死鳥のように蘇ってきた東京だが、今度の事が実際に発生したら 最後の時だ。 建物やインフラは再整備できるが、人の命は戻ってこない。
519 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/26(月) 21:35:54.68 ID:6Z3L1Jm2
ターゲットが別の都市でも、再起は困難だろう。 なぜなら、第二撃を北朝鮮は準備しており、それを喉元に突きつけられたら 降参しかないからだ。 「そうはさせるか! 」
520 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/26(月) 21:40:41.90 ID:6Z3L1Jm2
『セントラルよりバードへ、状況知らせ』 『バード、発射準備は完全に完了している。しかし、発射の兆候はない』 皮肉な事に、その暗号メールのやり取りの直後にミサイル発射のコードが ミサイル都市に送信された。
521 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/27(火) 20:43:30.84 ID:YW98JmOb
朴全勝は地下の発射指令室で言った。 「発射コードが? 」 李大領が叫んだ 「そうだ、朴同務! すごいぞ…これで東京をやれる! 」 「しかし、発射許可ランプは赤のままですが? 」
522 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/27(火) 21:10:46.93 ID:YW98JmOb
「そんなことは構うものか、『死ぬまで撃つ』は私が受ける…やるんだ! 」 「は! では、指示マニュアルを読みます」 「うむ、朴同務」 「『発射担当将校以外は、発射指令室より退去、発射指令室を封鎖』」 「よし! 」 どやどやと兵員が出て行く。プシュッと音がして指令室のドアが封鎖される。 「『全ての計器を確認、発射可能である事をチェック』」 「チェック終了」
523 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/28(水) 18:04:32.12 ID:xLyXqZJB
「次に、メインキーを一旦安全側に回し、全ての発射台の発射可能ランプが赤になる事を確認」 「え、朴同務、それは聞いてないぞ」 「新しい追加項目です。発射許可ランプが赤で、メインキーを不用意に回す事故が起こらないための 処置だと思います。これをしないと多分発射は出来ないか、しても弾頭の安全ロックが解除できないのでしょう」 「そうか、訓練でも発射許可ランプは緑だったからな」 李大領は頷いた。 「メインキー回します、三、二、一、今です」 「メインキーを安全側に! 」 全ての発射台が安全側にロックされた。
524 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/28(水) 18:10:11.08 ID:xLyXqZJB
「ふむ、で、次は? 」 「悪者の同僚を射殺、平和を守る」 「え? 」 朴はホルスターからトカレフを西部劇のガンマンのように抜いた。 銃声が轟いた。李大領は額を撃ち抜かれて床に転がった。 「ふう・・・」 朴全勝はため息をついた。
525 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/28(水) 18:18:10.83 ID:xLyXqZJB
・・・李大領、悪く思わないでください。私の妻子は今、東京に居るんだ。 「個別発射モード、発射台201」 201の発射可能ランプが緑になった。 朴の軍官学校卒業以来の数学的計算で、ぎりぎり全ての安全回路が解除される高度まで飛ぶだけの燃料が201の ノドンには注入されている。 「発射コードは・・・」 ふと、朴は思った。 ・・・発射コードはなんだ? でたらめにアンニョンとか入力してそれが偶然発射コードだったら目も当てらないぞ
526 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/28(水) 18:20:03.46 ID:xLyXqZJB
発射コードを書いた紙の上には、李の血と脳みそが飛び散っていたが、文字ははっきり読めた。 「キンマンコ」
527 :
政教分離名無しさん :2011/12/28(水) 22:57:31.77 ID:WeDDcL1K
政教一致@大阪さんは、讃岐うどんとか食べたりしないの?
528 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/29(木) 18:49:36.42 ID:158+lM63
うどんは食べますが讃岐にこだわりはないですね 蕎麦も納豆も食べますが、基本的に食は関西人ですね
529 :
政教分離名無しさん :2011/12/29(木) 19:59:26.40 ID:144y6wwR
530 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/30(金) 17:42:28.46 ID:NPa+YIbS
>>526 より
キンマンコ?
朴は、ケンマンコとかキンマンカとかは、「ピピー山田さんちのお向かいの吉田さんちに
セットしました」とかになる可能性を持っていると思った。
…うん、なんにするかな?
531 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/30(金) 17:57:23.57 ID:NPa+YIbS
…これにしよう 「総講頭を解任された時、池田大作の脳裏をよぎった不審な死を遂げた 二男の面影」
532 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/30(金) 18:02:00.25 ID:NPa+YIbS
発射コードを入力し終わった時、ガツン、ガツンとドアが破城槌で手荒く 「ノック」される音がした。 発射!
533 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/31(土) 14:35:55.10 ID:RdQh4ukP
「ピピー山田さんちの飼い犬、ポチの犬小屋に詳細目標を設定」 「なにぃ、おぃ! 」 「発射します…3、2、1 イグニション! 」 ミサイルははるか彼方のポチの犬小屋に向けて発射された。 無論、朴が燃料を抜いているから、目標のはるか手前の日本海に落ちるだろう。 爆発は、恐らくしない。安全装置の一つが座標を点検しているからだ。
534 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/31(土) 17:20:01.45 ID:RdQh4ukP
『バード』は驚愕の表情で、ノートパソコンにメッセージを打ち込んだ。 「ミサイル発射! 一発のみ」 東京 防衛省地下司令センター 「大臣、ミサイルが発射されました」 「いよいよか? 」 「いえ、それが…ミサイルは一発だけでして…」 漆原は、少し考えて言った。 「…脅しか? 」 「おそらくは…」
535 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2011/12/31(土) 17:40:05.70 ID:RdQh4ukP
「あるいは、機器の不良か何かで暴発したのかも…ミサイルを集中管理していると まずないと思われますが…」 その時、航空自衛隊から来ているレーダー担当者が叫んだ。 「ミサイル失速。日本海に落下しました」 「爆発は? 」 「現在確認中…核爆発は今のところ確認できません…」 漆原はセンターの全員に聞こえる声で言った。 「引き続き警戒を怠るな! 」 「ははっ! 」
536 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/01(日) 18:07:23.88 ID:vgw5LgIQ
新年明けましておめでとうございます
>>535 より
漆原は言った。
「さらなるミサイルの発射に備えよ! 福岡は? 」
「待機中ですが、出撃は可能ではありません。イナクティブです」
「鳥取のあの隊は? 」
「日本海を北上中です」
537 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/02(月) 15:06:00.42 ID:CU0zFpFL
「日本海に展開中のイージス艦には、警報を出せ。大臣名で『見張りを怠らず 命令に即応できるようにせよ』」 「はっ! 」
538 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/02(月) 17:01:53.68 ID:CU0zFpFL
そのころ、北朝鮮ミサイル都市発射司令センターでは…
539 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/03(火) 17:09:31.07 ID:6in/EF/M
朴は、李の死体からトカレフを奪った。 チャキーン スライドを引く。 両手にトカレフを持った朴は仁王立ちでドアを見た。 ドアがとうとう開いた。 「オラ〜!」 朴は…
540 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/03(火) 17:13:02.33 ID:6in/EF/M
くるっと回ると制御盤にありったけのトカレフ弾丸(7.62ミリ)を撃ち込んだ。 それとは異質の銃声が轟いた。朴は死んだ。なんとも言いようのない微笑を顔に浮かべながら…
541 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/03(火) 17:19:16.81 ID:6in/EF/M
「早く発射可能な状態に戻せ」 発射司令官、金大星少将は叫んだ。 「あの…それは全ミサイルを確認するまで無理です…」 発射担当将校の一人が言った。 「なんだと? 」 「朴が弄った可能性のあるミサイルは、全てチェックしないと…それに発射ランプは赤です」 「うむ…やれ! 」 「はっ! 」
542 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/04(水) 22:57:12.75 ID:URno37NJ
金少将は思った。 …ミサイルか…案外、手間暇がかかる物だな… しかし、一発でもターゲットの近くに弾着・爆発すれば東京は終わりだ…
543 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/04(水) 23:05:21.47 ID:URno37NJ
「クーン」 山田家の飼い犬、ポチは空を見上げた。 自分の犬小屋がノドンのターゲットになっているなどとは知る由も無かったが ポチにはなんとなく野生のカンで分かる物があった。
544 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/05(木) 21:53:35.95 ID:4HliYqwE
そうしていると、山田美穂が帰って来た。 「ワンワン! 」 ポチは思い切り尻尾を振った。
545 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/01/06(金) 02:19:46.47 ID:44VMHvtg
キチガイ朝鮮猿小手川竜郎と三井理陽ブチ殺すぞ
546 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/06(金) 17:13:45.49 ID:jUOcAfji
は、ともかく… 美穂は今日見た先輩(♂)と一年生の後輩(♂)との笑顔の『スキンシップ』を 見て、衝撃を受けていた。 …先輩がアッチの人だなんて… 見上げた空は暗かった。
547 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/06(金) 17:15:52.85 ID:jUOcAfji
一方、信濃町では… 「ウオ―、弔問外交だぞ! 」 「喪服だ、喪服持ってこい…」 SGI本部は上を下への大はしゃぎだった。
548 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/01/06(金) 17:38:04.79 ID:44VMHvtg
キチガイ朝鮮猿小手川竜郎と三井理陽ブチ殺すぞ
549 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/06(金) 21:02:54.62 ID:jUOcAfji
と、呟きながら、表に出してはいけない。 掲示板でそこそことんがった主張をする輩に限って実行はしない物なのだ。
550 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/01/06(金) 21:07:32.11 ID:44VMHvtg
キチガイ朝鮮猿小手川竜郎と三井理陽ブチ殺すぞ
551 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/07(土) 13:47:50.97 ID:F/v8zBpb
などと言いつつ… 「こ、この香典袋は何だ? 」 「一万ドルが百ドル札で入っている! 」
552 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/07(土) 14:12:27.90 ID:F/v8zBpb
ちらちらと白い物が降って来た。空は暗い。 チャーター機は滑走路で待機している。 SGIのメンバーは浮かれ騒ぎながら、チャーター機に乗り込んだ。
キチガイ朝鮮猿小手川竜郎と三井理陽ブチ殺すぞ
554 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/08(日) 17:00:06.17 ID:lToSCnTm
だが、SGIのメンバーはVIP席を見て外の雪以上に凍りついた。 「遅いぞ、みんな」 「あ、あなたさまは! 」
555 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/08(日) 19:55:15.41 ID:lToSCnTm
ババーン!
556 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/01/08(日) 22:17:24.09 ID:AptDxtwZ
ドドーン!
557 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/09(月) 17:01:30.05 ID:y3r+sypm
「ハイル! センセー! 」 一同はぜんまい仕掛けのようにハイル・ヒトラー式敬礼をした。 取り残されて唖然とするリオンだった。 「し、しかし、先生はお亡くなりになったと聞かされていますが…」 「あれは影だ」
558 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/11(水) 07:44:24.90 ID:jkjbegzG
「で、では、あなたが影ではないことの証明は? 」 SGI幹部の一人が言う。当然の疑問だ。 「小林だったな、あれはもう十年前になるか、新宿二丁目で少年を抱いた事を ネタにニッケン宗に引きずり込まれそうになったお前を、身をはって守ったのは誰だ? 」 「ウグ…」 「小林が最初に質問してくることがあらかじめ分かっていたら、ネタとして仕込んでおくことも可能だろう。 しかし、今小林が最初に質問したが、大田原、お前が質問してくるかも知れなかったわけだし 浜が最初に質問してきたかもしれん。とうてい全員分のネタなど準備できる訳はない」 SGI幹部は、うかつに出ようものなら何を暴露されるか分からないので黙りこんだ。
559 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/11(水) 07:48:10.26 ID:jkjbegzG
「金正日の葬儀に出ればもっとはっきりするだろう。海外の首脳級と 葬式外交をする絶好のチャンスだ」 チャーター機はつつがなく離陸した。
560 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/11(水) 07:56:47.48 ID:jkjbegzG
日本海も雪だった。かなり荒れている。 4隻の不審船は、タンカー役の不審船からポリタンクに入ったガソリンを受け取るのに 手間取っていた。 だが、この給油が無いと帰投は困難だ。 この4隻は燃費が良くない。鳥取県で近代化改修を受けたせいだがその中には重量増加につながる 武装、装甲の強化も含まれていた。 本家本元の不審船にぶち当たった場合に負けたのでは困る。重武装化、装甲化は必須だった。
561 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/11(水) 12:47:32.93 ID:jkjbegzG
居住性の向上も課題だった。 なにしろ元の不審船には厨房もトイレも無いのだ。 それら生活施設を整備し、逆に擬装用の漁具などを撤去して若干でも重量の軽減には努めてはいるが 焼け石に水だった。 トップヘビーを解消するためにも燃料の補給は欠かせない。 武器主任の小早川の所へ軍医の葉椰子が来た。 「軍医殿、何か? 」 「ああ、武器主任、ピストルが欲しいんだけど」 「え! 」 葉椰子は、ピストルで頭を撃つ仕草をした。 「そう言う事なら…ブローニングM1910がいいでしょう。もっと小さいブローニングベビーでは 確実に死ねなかった場合が悲惨だ。」 「ああ、ありがとう…しかし、なんでもあるねぇ…」 「そりゃあもう 昔は違いましたが」 「昔? 」
562 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/11(水) 20:40:20.25 ID:jkjbegzG
小早川は言った。 「もともと、隊は農村で猿などを電動エアーガンで撃つ『鳥獣パトロール』だったんです」 「へえ…」 「その内に、『生活安全パトロール』に名称が変更になり、山の中の集落も パトロール圏内に入って来ると、イノシシは出る、シカは出る、カラスも何とかしてくれとなって行ったんですよ」 「ほう…」 「で、県の公安委員会の特別所持許可でショットガンを持ち、さらにはそもそもの原因が山が荒れているからだとして チェインソーを持つようになった。重機も、整備された…で、ある日砂浜で不審船と工作員に出会った」 「そうか…」 「県警では全く歯が立たない相手が、我々の至近距離からの射撃、切り込みで全滅と言う結果に、県も驚いた、で、じゃあこいつらにやらせろと」 微かな笑いを、小早川は浮かべた。 「そこから先は、もうGO!GO!GO! ですよ。とうとう、法務大臣の特別権限で刑務所や、拘置所(死刑囚は拘置所にいるんで)、精神病院から 札付きの悪人を集め出した。それで…」
563 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/11(水) 20:56:05.72 ID:jkjbegzG
葉椰子は言った。 「隊の名前をワイルドセブンにしたら良かったんじゃ? 」 「七人以上いましたしね…それに、著作権の問題もあるんで、「ショットガンズ アンド チェインソーズ」に…」 実際には、船も武器も奪うたびに隊の力は強化された。 今、不審船にはZPU−4が前甲板後甲板に一門づつ装備されているがそれらは 「襲撃航海」で北から鹵獲したものなのだ。 「襲撃航海」とは、日本から逆に北朝鮮を「襲撃」する事を指し、こればかりは 隊にとってもめったにやらない行動だった。 それも憲法がどうのと言う話ではなく、ただ単に県の予算の関係で、燃料費が 高くつくからだった。
564 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/12(木) 18:58:01.52 ID:Id5AXqmW
SGIのチャーター機は韓国内の空港へ着いた。 そこで給油などを受けるのであるが、乗客用のタラップは付けられなかった。 パイロットや航空機関士らを機体点検のため地面に下ろしたり、機内食を搬入する(逆にゴミを出す)などは 行われたが、乗客は一切外には出られない状態だった。 リオンは言った。 「退屈だな」 リンダは、ふふふと笑った。 「北朝鮮に着いたら、お別れよ…ちょっと寂しい気もするけれど…」
565 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 13:08:35.12 ID:N97s6Fau
「お別れか…今まで考えた事も無かったが、リンダ、しばらく海外で暮らさないか? 」 「あら、今まで黙ってたけどアフガニスタンにいとこが居るの、あそこなら大丈夫よ」 「う、うーむ…」 「カラシニコフが使える人ならだれでも歓迎よ」 「そっち系かよ」 「ボルトアクションライフルが使える人ならなお歓迎よ」 「それは、使えない事はないがワンマイルシューターじゃないし」 「ククリで国連職員の首をはねられる人なら、先祖代々家宝にしている敷物をもれなくプレゼントよ」
566 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 15:05:57.93 ID:N97s6Fau
「それは先祖代々の家宝ではないんじゃない? 」 「NGOの首を半月刀ではねられる人なら、一人につき三袋のハッシーシをプレゼント中よ」 「うむう、そのいとこってアルカイダ? 」 「いとこの嫁がアルカイダなの」 国際的にはどうであれ地域社会においては国連やNGOが必ずしも歓迎されているわけではなく むしろ「紛争の当事者」と化してしまっていると言う事は日本ではあまり知られていない「不都合な事実」である。
567 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 16:04:32.15 ID:N97s6Fau
その頃、北朝鮮トナム軍港 一隻のソホ級改フリゲートがソジュ型ミサイル高速艇六隻を連れて出港しようとしていた。 艦隊の司令官、石大領の受けた命令では、正午までに出港することとなっていたが、それは出来なかった。 「くそっ! ウエノムどもに丸解りになったろうよ! 」 石は罵った。 しかし、まずはお約束の燃料、糧食の横流し発覚と、不慣れな乗組員による準備の遅れから艦隊の出撃は遅れに遅れた。 石の受けた命令は今日の真夜中までに佐渡の沖合まで移動する事だったがそれは難しい。 ソホ級改フリゲートは三十ノットの速力が出せるのだが、それはカタログデータに過ぎず実際には二十ノット以上出したことはほとんどない。 ほとんどないと言えば、出港した事すらほとんどないのである。北朝鮮ではそれぐらい燃料不足が深刻だった。
568 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 16:33:34.86 ID:N97s6Fau
石は、今回の出撃はいつものデモンストレーションだと考えていた。 準備中に、偉大なる指導者の死去を聞いて、ああそうかと納得もした。 彼は、この艦隊で日本海軍に勝負を挑んだら瞬間に全滅すること位は理解していた。 日本は最新鋭の艦隊をもち年中日本海へ出て演習をしている。 石に言わせれば、「東海」などとんでもない呼称であり、「日本海」が正しいとしか言いようが無い。 純粋に海軍だけでもそうだが、航空戦力も併せて考えればその差はもっとひどい。 日本は、噂では「完全なステルス爆撃機」を持っているらしい。 つまり、彼の座乗するソホ級改フリゲートがどんなに対空レーダーを使っても、全く見えないまま彼らの上を 爆撃機が通り過ぎてもおかしくはないのだ。
569 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 17:01:14.33 ID:N97s6Fau
ソホ級改フリゲートは、原型となるソホ級を十メートル延長しただけと言う安直な艦体設計のフリゲートだった。 2000年に建艦され、2001年に極秘裏に就役したこの艦は、北朝鮮の最新鋭かつ最大の艦だ。 この北朝鮮最新鋭艦も近代化改修は一回受けているが、それでも国際的な水準では最新鋭とはお世辞にも言えなかった。 ショットガンズ アンド チェインソーズの高速艦に補足されたら、正規の国家の海軍である彼らでさえアウトである可能性すらあるのだ。 「恐ろしい奴らだ…ただの、我々の基準では道に相当する地方の役人達が、海軍をも打ち負かせるとは…」 「奴らは鬼です、化け物です…だからその名前は口に出してはなりません」 れっきとした海軍の小領が顔色を変えて言うのだから海軍も落ちた物だと石は思った。 「その名前を聞きつけて、奴らがやって来ると言われているのですから」
570 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 17:29:17.94 ID:N97s6Fau
「く…まあいい、ミサイル艇は日が落ちる前にトナムに帰さなければならない」 「は、それはしかたがないでしょう。洋上給油が出来ないのですから…」 「くそたれが!」 「はっ」 「オレが聞いた限りでは、ショットガンズ アンド チェインソーズの高速艦は 洋上補給を余裕で出来ると言う話だったぞ。わが海軍の精鋭が、それすら出来んとは! 」 その単語を聞いてブリッジの全員が青ざめた。 「そ、そのう、その名前は不吉です…わが艦隊の祝福するべき門出には…」 「ふん、臆病者めが…」 「お言葉ですが、奴らの高速艦は五十ノット以上の速度が出せ、ZPU−4が前甲板後甲板に一門づつ装備されているとのことです」 「それがどうした? 」 「それは、14ミリの機関砲でも、合計八門ともなればソホ級改フリゲートと言えども撃沈可能です。しかも…」 「ん? 」 「その機関砲もレーダー照準、動力砲座で、完全防弾の砲塔になっており高速艦も完全防弾で、以前特殊戦部隊があるだけの武器で決戦を挑んだところ 奴らの砲手が引き金を引いた瞬間に全員ミンチになったと聞きます」 「貴様、臆病風に吹かれおって! マストに上がって一時間、臆病風を吹き飛ばされて来い! 」 小領は双眼鏡をケースから出すと、レーダーマストに上がった。
571 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/14(土) 18:03:54.79 ID:N97s6Fau
小領(少佐、自衛隊では三佐)は双眼鏡を構えた。 その視界で、キラッと光る物があった。 ? ドドーン! ソホ級改フリゲートの中心部で爆発があった。 レーダーマストの小領は海面に叩きつけられた。 「…! ブハッ…」 彼が寒い日本海で見た物は、艦隊の最後だった。 「全艦、瞬時に撃沈? 」 F−2攻撃部隊は、空中管制機に報告した。 「魚は海の中! 」 「ラジャー、サンダ―ゼロワン、バトルステーションゼロワンへ 御苦労」 「ラジャー サンダ―ゼロワンアウト! 」 言いながらF−2攻撃部隊の指揮官は、ミサイル艇に対艦ミサイル一発はもったいなさすぎたかも、と 商売チックな感想を抱いた。 小領は偶然付近を通りかかったロシアの漁船に救助された。彼だけが艦隊7隻の生存者だった。
572 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/15(日) 08:33:12.48 ID:9ou8Nuh3
「なんだと、艦隊と連絡が取れないだと! 」 軍港の司令部ビルは騒然となった。 「は! フリゲートもミサイル艇も応答しません! 」 「そんな…」 艦隊指揮官は唖然とした。 その時、ビルの窓の向こうで何かがキラッと光った。 …なんだ?
573 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/15(日) 08:39:16.72 ID:9ou8Nuh3
次の瞬間、ビルは内部に突き刺さった誘導爆弾の炸裂で粉みじんに吹き飛んだ。 ドックも、海軍の兵舎も誘導爆弾の餌食になった。 F−2第二攻撃部隊は、空中管制機に報告した。 「目標は完全に破壊! 」 「ラジャー、サンダ―ゼロツー、バトルステーションゼロワンへ 御苦労」 「ラジャー サンダ―ゼロツーアウト! 」 空中給油の後は基地への帰還だ。その気になれば新富嶽などなくとも平壌をやれるのだが… 「まあ、小物を取るのも任務の内だな」
574 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/16(月) 05:20:49.35 ID:4ObZH0IA
金正恩は驚愕の表情で報告を受けた。 「艦隊が、全滅? 」 「はっ…偉大なる後継者様! 」 「軍港も、使用不可能なのだな」 「ははっ! 」 …何と言う事だ
575 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/16(月) 22:41:03.38 ID:4ObZH0IA
生意気なウエノムをこらしめてやる。こちらにはノドンがあると始めた作戦だったが… これでは懲らしめられているのはこちらではないか 「ペキンの外交交渉はどうかな? 」 金正恩は余裕を装って尋ねた。 「まったくはかどっていません。来週にしてくれと…」 「なんだとう! 」
576 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/17(火) 16:53:36.84 ID:M48TI93R
「ウエノムは、外交面では本気ではありません。作戦的に優位であるからでしょうが」 「む、むむう…」 「こう言っては失礼でしょうが、はやく国外脱出を…」
577 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/17(火) 18:57:08.91 ID:M48TI93R
「そうか、学会」 「学会で思い出しましたが、創価学会の使節団が平壌に来ます」 「なに? 」 「人質には最高かと…」 「うむ…」
578 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/18(水) 19:36:38.29 ID:1U3eyJD7
マスゲームの技術を与えてくれた創価学会だが、今は使える物はすべて使わなければならないだろう 情報機関から来ている男が言った。 「偉大なる後継者…そのう、日本から良くない知らせが三つ…」 「沢山あるな」 「一つは、鳥取のあの部隊が数隻の工作船を今日から出動させているらしいです」 「ふむ…」 「もう一つは、覆面グライダー隊も出動しているようです」 「もう一つは、なんだか当ててやろう。福岡に居る例の爆撃機だな? 」 「いえ、ちがいます。自衛隊の交信を傍受している朝鮮総連の電波部隊が、自衛隊の内部で 『平壌』を表すコードを多数繰り返していると言う事です」
579 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/18(水) 19:40:56.00 ID:1U3eyJD7
>>578 訂正
>誤 自衛隊の内部で
『平壌』を表すコードを多数繰り返していると言う事です」
>正 自衛隊の内部で
『平壌』を表すコードを多数繰り返していると言う事を報告してきました」
580 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/18(水) 20:12:51.67 ID:1U3eyJD7
偉大なる後継者は言った。 「平壌には外国人もいるし、爆撃ではないだろう」 「それはそうなのですが、日本の誘導爆弾はなかなか優秀でして」 「ロシアか中国の大使館に逃げ込むと言う事もできるぞ」 「逃げ込めば確実に自分自身が人質ですよ、ロシアは門を閉めるかもしれません 中国はそこまではしないでしょうが、やはり「三代目は大使館内の病室で息を引き取った」で すませるでしょう」 「うむ…南はどうかな」南とは大韓民国の事だ。 「みすみす捕らえられに行くようなものでしょう」
581 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/18(水) 20:44:16.91 ID:1U3eyJD7
「では私はどこに逃げると言うのだ? 」 「逆手で行くのです。日本にその創価学会のチャーター機で行き学会人脈で 乗り切るしかないでしょう。今は野党ですが政党もあるんだし…」 「うむ」 そうとは知らずにチャーター機は平壌に着いた。 リオンは囁いた。 「ちゃちな空港だな」
582 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/22(日) 16:05:33.06 ID:kDzNOTay
同時刻、北朝鮮、元山(ウォンサン)軍港。 白海軍上将は司令部ビルから港に係留されている沙里院(サリウォン)級コルベットを眺めた。 見るからに赤錆が出ている三隻の艦は、ファンネルを見ても分かるように死んでいた。 白はトナムの艦隊と軍港の被害について報告を受けていた。 艦隊は全滅、軍港はおそらく復興不可能で司令部ビルも粉々に吹き飛んだと言う。
583 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/22(日) 16:06:15.60 ID:kDzNOTay
白も、例え司令部ビルの地下にあるシェルターにいようが、沖合に海軍軍人らしく出撃していようが日本空軍の正確な攻撃の前では死ぬのである。せめて死ぬ時は海上で死にたかった。あれらのコルベットのように港に留まったまま死ぬのは嫌だった。 ・・・チョンジン型警備艇の準備を整えればよかっただろうか? チョンジン型は排水量が100トンにも満たない小型の艇とはいえ、大砲もあり第2次延坪海戦では南の警備艇を撃沈したこともある軍艦である。 しかし、冷静に考えればそれはウォンサンを脱出する行為に過ぎないのだ。 どう考えても日本軍だって日本の領海にすらたどり着けない小型の警備艇が出動したからと言ってミサイルで撃沈するほど暇ではないし、そのミサイルの方が下手をすると警備艇よりも高価だ。むろん、白も部下を見捨てて行く訳には行かない。 海軍の常識からしても、無意味な出撃は避けるべきだった。
584 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/22(日) 17:07:01.75 ID:kDzNOTay
コンコンとドアがノックされた。そして艦隊整備主任の孫大領が入って来た。 「司令官、朗報です! 」 「ほう、それは今朝から初めて聞くな…」 「サリウォンの一隻が比較的まともに動くことが判明しました。補助発電機は動きます。水洩りも軽微で舵も利き、タグボートで引っ張れば何とか塩浦まで行けそうです」 塩浦とはウォンサンの南にある町で、特殊作戦部の部隊が展開しており、そこには工作船の基地もあった。 「しかしタグボートで引っ張ってもらわなければ動けないなんて、それは軍艦ではないな」 「ないでしょうね、しかし通信もレーダーも使えます。ここに坐しているよりはましかと思います」 「あそこは良い町だが…」
585 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/22(日) 17:08:40.67 ID:kDzNOTay
塩浦は小さい町だが、学校や病院もあり今の北朝鮮では珍しく漁業を盛んにやっていた。手こぎやちゃちな帆で動く小さな漁船で、果敢に沖へ出て網をうち魚を獲るのである。 町民たちは「海には主体農法はない」と陰では言っていた。 そして、塩浦にはもう一つの産業があった。実は非合法の製塩工場を町が主体になって運営していたのである。 十年前ならそんな事をしたら関連者全員が死刑になっただろう。しかし、今はそんな事は言っていられない事態になりつつある。 工場で働く事の報酬は、かなり良い食事と作った塩そのものだった。 国連にも加盟している独立国家としては情けない事だが、今の北朝鮮では物々交換が日常的になっており、塩は貴重この上ない「通貨」だった。それに、海産物を運ぶためには塩漬けにするのが一番手っ取り早かった。 また、受け取る方にしても生の魚ではそのまま(煮るなり焼くなりして)食べるしかないのだが塩漬けにしてあればある程度日持ちがする上、食べるときに塩も同時に摂取出来た。内陸部の農村などではこの上も無いごちそうだ。 その取引のおかげで町では、学校ではトウモロコシの粥だけとはいえ完全給食であり、病院でも医師や看護師などにトウモロコシや塩が補助給与として支給されるなどしていた。 町の繁栄は名前の通り、塩のおかげだった。
586 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/23(月) 07:51:56.52 ID:tzXZk0jY
特殊戦部隊も、農村への行商にトラックを出すなどして緊密な連携を取っている 特殊戦部隊も人間である以上食わなければならず、塩は貴重な宝物だった。 近隣の村にしてもそうだ。塩漬けの魚や海草はすごいごちそうだ。塩だけでも絶対の必需品である。 特殊戦部隊の同行は護衛の意味もあった。情けない話だが内陸では山賊まがいの輩が出没していた。 塩浦勤務は彼らには美味しい食事を意味した。一部の兵は家族を塩浦に呼び寄せているぐらいだ。 きちんと機能する学校や病院と言うインフラは、今の北朝鮮ではなによりの楽園を意味していた。
587 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/23(月) 07:58:34.26 ID:tzXZk0jY
北朝鮮の経済は事実上破たんしていた。飢餓が国内を荒れ果てさせていた。デノミにも失敗したし、偉大なる将軍様の葬式で特別な配給があるのではと言う望みも、少なくともウォンサンではかなわなかった。 ミサイルなどの軍事の取引を除くと貿易では中国が頼みの綱だが、 今はそれすら冷えている。 かつては日本とウォンサンの間を万景峰号が往復して人や物資を運んでいたし、貨物船や漁船も日本海を行き来していたがそれも途絶えた。 かわって不審船による密貿易が行われたが、それさえショットガンズ アンド チェインソーズや海上保安庁のパトロールのせいで日に日に難しくなってきている。 また、不審船は運べる量が限られているので、必然的にシャブや偽札などを輸出し、帰りにはユーロなどの外貨を持って帰ると言う文字通りの密輸しかできず、それで国家を支えるなど夢のまた夢であった。
588 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/24(火) 21:54:10.50 ID:ROzNd427
東京 霞が関 防衛省 覆面グライダー隊の前で歌った美少女がやってきた。 漆原は、それはいけない事だと知りつつ、少女を司令センターに入れた。 士気を考慮してだ。漆原が考えている以上に少女の存在はセンターを明るくした。
589 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/24(火) 22:30:54.66 ID:ROzNd427
「情勢はどうか? 」 「米軍が日本海に展開させている艦隊が動きを活発化させています。 やはり、バスには乗り遅れたくないのでしょう」 「ほほう、周辺諸国は? 」 「中国も、艦艇を動かしていますが、東シナ海に限られています。国境付近の 地上部隊にも動きが見られます。 韓国ですが、引きずられる形の参戦ですが、海軍、空軍とも警戒レベルを上げています。 いざとなったら特攻でソウルを火の海にすると北は公言していましたからね」
590 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/25(水) 21:03:48.45 ID:NyzX3lxp
「本作戦は夜中に行う、本当はもっと早くに始めたいが、それでは作戦の根底である 奇襲が成り立たなくなる可能性がある」 「はっ! 」 「日本海側で、ショットガンズ アンド チェインソーズが騒ぎを起こす。奴らは痛い目にあった経験から 東海かと思う。そこで、ストライクイーグルの護衛隊を露払いに新富嶽の試作機が行く」 漆原はニヤッと笑った。 「平壌へな」
591 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/25(水) 21:09:30.86 ID:NyzX3lxp
「ハハッ…」 「こうして金正恩が衝撃を感じ、平壌の防衛を真剣に考え始めるころに 奴らが行く…闇の中の影のように誰にも見えない。気配を感じて銃に手をやる瞬間には もうそいつはあの世行きだ。声も立てられずにな…奴らの顔を見た者など一人もいやしない なぜなら、奴らは覆面グライダー隊だからだ」
592 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/25(水) 21:30:39.95 ID:NyzX3lxp
司令センターに居る者は、漆原と少女以外は背中に寒い物を感じた。 少女は、しかし、証言台に立ったように淡々と言った。 「しかし、大臣…彼らは最後に素顔をさらしました、私は見ました」 そして今朝の基地での出撃を語った。 「そうか…」
593 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/25(水) 21:40:02.73 ID:NyzX3lxp
そして漆原は、伝説を思い出していた。 …また、証人も立ちて曰く… 「そうか、君は夜明けまでここで留まれ。おそらく今夜、全てが決まるだろう」 「はい」 「そうすれば、全部を見る事が出来る。聞く事が出来る。作戦は戦場で決まるのではなく 遠く離れた総司令部で決まるのだ」 「はい、そうなのかも知れませんね…」
594 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/28(土) 23:32:50.68 ID:1H/j9vYN
福岡… 池田三佐は、基地内の待機所を出ると、食堂に向かった。 空自隊員らは、腹ごしらえをしていた。いざとなったらここは最前線になるからそれも当然だった。 綾園仁美は、池田を待っていた。 カレーライスが乗ったトレーを手に、池田がすっと横に座ると、仁美の目にじわっと涙がにじんだ。
595 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/29(日) 16:19:43.79 ID:fsH2ymZt
「行ってしまうのね」 「ああ…だが、帰ってくる…そう、分かってくれるよよな」 池田はすっと封筒に入った文書を仁美に渡した。 仁美は同じように封筒に入った文書を渡した。
596 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/29(日) 18:59:44.34 ID:fsH2ymZt
机の下で、池田は仁美の手を握った。 「そう、必ず帰ってくる…心配するな」
597 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/01/31(火) 12:50:01.94 ID:rNylhydt
突如、久村友恒が現れた! 「女子小学生ハァハァ!」
598 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/31(火) 14:58:54.88 ID:WlRq1L+J
ああ、女子小学生が… 「どけ、邪魔だ…」 政教一致@東京はモニターを見た。
599 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/01/31(火) 15:01:16.00 ID:WlRq1L+J
女子小学生の援助交際… 問題である。
600 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/01/31(火) 16:33:05.50 ID:I2tq41eq
書き込む必要あるわけ?創価未来・」女子部に関係なし!!
601 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/02(木) 06:13:16.19 ID:HraNnTCP
AGE
602 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/02(木) 19:22:38.80 ID:HraNnTCP
AGE
603 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/02(木) 20:32:53.70 ID:HraNnTCP
政教一致@東京は叫んだ。 「ウオンサンで動きが…」
604 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/03(金) 19:58:51.79 ID:/QuAFNM3
同時刻、ウオンサン 孫大領(艦隊整備主任)はうるんだ瞳でサリウォン級コルベットを見た。 コルベットの補助発電機は回り、艦はかつての活気を取り戻していた。 孫にとってはサリウォンは思い入れのある艦であった。 この艦とは違うが、青年将校であった頃の孫はサリウォン級の副長だった。 若くしてその当時の主力艦の副長であった。彼の経歴は輝いていた。しかし、海軍の栄光が傾いていくと 彼の勢いには陰りが見え始めた。 昇進しようにも艦が無いのだ。結局、彼は海軍本部に戻りそこで白に出会った。 白は、大いに孫を取り立ててくれたし、出世もしたが大領まで出世したところで彼はウオンサンの整備主任になってしまった。
605 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/03(金) 20:05:46.93 ID:/QuAFNM3
整備主任は、彼が望んでいた地位ではなかった。 艦艇が衰えていく北にとってそれは左遷部署だった。 それでも孫は、比較的程度のいいこの艦の整備だけは怠らなかった。 また、海軍としても生きている教材として「軍艦」は必須だったからそこはかなりの融通が利いた。 レーダーや無線の部品も、かなりの無理をして入手していた。軍艦に乗ってレーダーや無線を使うことができないものは もっと小型の艦では使い物にならない。 そうこうしているうちに白がやってきた。
606 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/03(金) 20:09:57.87 ID:/QuAFNM3
彼がやってきたことで東海の艦隊には気合が入った。 とはいっても、主力は特殊部隊の工作船とミゼットサブや半潜航艇だった。 なにしろ燃料がないのだ。 それでもウオンサンは軍港として繁栄はしていた。若干ウオンサンはほかの都市より 生活物資が豊富だったからだ。塩浦とは比較にならないのかもしれないが…
607 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/04(土) 21:03:23.90 ID:i+mQCoyu
孫は、今回の任務を白から命じられたとき、躊躇せずにサリウォンの館長を志願した。 しかし、白は微笑してそれを押しとどめた。 「戦争はもっと若いものにやらすべきだ」 「司令官こそ、もう引退も近い年齢ではありませんか、行かせてください 自分は、この艦の全てを知り尽くしています。もうそんな人間は自分のほかには数名しか ここウオンサンにすらおりませんし、自分はこの艦の整備状況もつぶさに把握しています。もし故障したら…」 「それは良いのだ、孫大領…」 「は? 」 「故障しても構わん…この艦は囮だ」
608 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/04(土) 21:18:30.75 ID:i+mQCoyu
「ええ? 」 「いいか、本艦とわずかな護衛舟艇が塩浦に移動するだけで塩浦は第二のウオンサンとなる。 私が賢い提督で、機雷と機雷艇が十分にあれば出撃後自らの母港であるウオンサンを機雷封鎖する」 「そ、それは…」 「そうすれば、敵もウオンサンに上陸はできないだろう。むろん、港にむなしく座り込んでいるフネも 基地自体も奴らに激しく攻撃され全滅だ。それは否定できん。だがウオンサンに上陸することは非常に困難と判断せざるを得ないだろう」 「そんな機雷などありはしませんが? 」 「奴らがそれに気が付いた時には遅いさ」 白は、すこし間を置いて続けた。 「偵察衛星は今もここを監視し続けている。だが倉庫に機雷があるのか、ないのかまでは判断できないだろう」 「だったら…」 「そこは分かっている、それならどうして無理に出撃するのかだろう? それはこうしなければ、つまり我々にとって最後の大型艦艇が出撃しないとなれば 彼らも機雷散布はないものと判断する。だが大型艦の移動を確認すればそれは出撃だと判断するだろう」 「は…」 「真珠湾攻撃の時に、アメリカ海軍は空母を出撃させた。それと同じで空襲を避けるための行為ととるだろうし、ほかの艦艇が動かないとなれば自港閉塞の可能性もあると踏むだろう 実際、朝鮮戦争仁川上陸作戦の時もその確認に非常に時間がかかったではないか? 」
609 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/04(土) 21:31:08.18 ID:i+mQCoyu
「それはそうですが…」 「もちろん、囮だから本艦も沈むし、護衛も沈む。だから艦隊は全滅する したがって私もその役目を全うし本艦とともに沈むのだ だが、孫大領、お前は山に登って草をむしって食ってでも、上陸してくる敵に立ち向かえ」 「はっ…し、しかし、せめて塩浦につくまではお供させてください。それまでに沈んでしまったら司令官の作戦は まったく無意味になってしまいます。どこがどうなるか、分かりません。せめて移動の時だけでも、館長をやらせてください」 「むう…」 「お願いします! 」 「そこまで言うなら、臨時の艦長をやってみるか、艦長はもうすでに決めてあるが」 「だれです? 」 「崔大尉だ。彼もサリウォンの経験者だ。知っとるだろう? 「ガチガチの崔」だ」 「ああ、あの」
610 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/05(日) 10:18:08.89 ID:atu1vn7u
「ガチガチの崔」とは… 「マンセー! マンセー! ウリナラマンセー! 」 「わわっ、崔大尉だっ! 」
611 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/05(日) 17:56:09.04 ID:atu1vn7u
水兵たちは大急ぎで崔を避けた。
612 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/05(日) 22:28:59.24 ID:atu1vn7u
崔大尉は、国家の
613 :
キロン :2012/02/06(月) 12:43:00.05 ID:16iTItXU
期待age
614 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/06(月) 19:13:08.85 ID:R6l9kRUg
崔大尉は、国家のモットー、強盛大国を盲目的に信じていた。 彼の脳内では日本人は恐れるに足らない敵だった。 「偉大なる後継者様、マンセー! 」
615 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/07(火) 20:19:43.47 ID:PNySp/bt
彼の脳内の妄想では、無敵の艦隊を率いてウエノムの艦隊を撃破するシーンが何回も何回も浮かんでは消えていた。 無敵の艦隊といっても、サリウォン(タグボートに曳航されている)以外は魚雷艇二隻と大型の哨戒艇だけだ。 しかも、タグボートと哨戒艇は航海に必要な要員を引き取ってウオンサンに戻るのである。 ちなみに、魚雷艇とはいっても魚雷がないのである。魚雷は高価だった。 また、仮にあっても魚雷発射訓練が全くないのでは目標に命中することはありえない。
616 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/07(火) 20:24:41.78 ID:PNySp/bt
従って、実質上砲艇二隻と動かないコルベットが彼の戦力の全てだった。 「ふははー」 その当面の敵、ショットガンズ アンド チェインソーズは… カンカンカンカン… 「食事でーす」
617 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/08(水) 19:44:46.87 ID:/6raU+FS
榊原は言った。 「田熊、メシはなんだ? 」 「カツカレーです、縁起を担ぎたいのとこれ以降は温食が出せませんので…」 「よくそんなもの出来たな? 」 「まあ、カツはスーパーで仕入れた物を電子レンジでチンしただけですが、飯は 炊飯ジャーの炊き立てでカレーは仕込みの本物の肉、野菜が入った奴を温めてますから味はばっちりです 福神漬けとらっきょうも山盛りに付けてます」 女性の衛生員(看護師)が盛り付けてくれたメシに、殺人に明け暮れる荒くれたちでさえ感動しながら食べた。
618 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/08(水) 19:51:41.98 ID:/6raU+FS
敵から鹵獲した直後にはなかった厨房では、次のご馳走であるコンビニ弁当が 冷蔵庫で眠っている。 おなじく、トイレも増設されていた。 それは何故かと言うと、今は用を足そうと露天甲板に出ること自体が危険だった。 だから、鹵獲前の北朝鮮籍の時に工作員がどうしていたのかは想像したくもなかった。 艦橋も鹵獲時とは違い完全密閉で暖房もガンガンに利いていた。 以前の状態では、操舵要員は凍死と隣り合わせだったのではないか、航海主任はそう思った。
619 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/08(水) 20:11:07.91 ID:/6raU+FS
航海主任はGPSポイントを確認した。 もうじき日が暮れる。もっとも天測は不可能なので今はGPSだけが頼りだった。 「航路測定完了」 「ラジャー」 「全館に命令、艦隊序列と安全距離を保ち、赤外線ストロボに点灯」 赤外線ストロボは後方にのみ開口されたバケツのようなもので点灯され、航空機や衛星から キャッチされるのを避けるように配慮されてはいた。しかし、自衛隊の最新鋭の航空偵察技術では 僅かな反射波でさえキャッチされる。 …そう、これが実情だ。 航海主任は唇をゆがめた。 「航海主任、あなたも早くメシを…」 田熊が、その唇を誤解していった。 「いえ、ありがとうございます」
620 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/08(水) 20:15:59.01 ID:/6raU+FS
訂正 誤「航海主任、あなたも早くメシを…」 田熊が、その唇を誤解していった。 正 田熊が、その唇を誤解していった。 「航海主任、あなたも早くメシを…」
621 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/08(水) 20:19:20.41 ID:/6raU+FS
政教一致@大阪の誤癖として、発言の後に状況説明が来るという事があります。 それはどういう事かというと 「なんとかかんとか」 Aは言った。 本来はこうです。 Aは言った。 「なんとかかんとか」 です。
622 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/09(木) 19:52:01.40 ID:2eaxqntK
…北朝鮮に勝ち目はない 航海主任は、また海図へと目線をやった。 …予想以上の航走だ。やはり燃料補給で手間取ったのを取り戻そうと走ったのは正解だった。
623 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/09(木) 21:18:35.95 ID:2eaxqntK
だが、かれの目論見は滑った。 「航海主任」 「はっ、隊長! 」 「通信長からのメモにある、このGPSポイントに向かってくれ 」 隊長は武器主任との打ち合わせに戻った。 嘉藤通信長が持ってきたメモにあるGPSポイントは、塩浦という目標地点から 百キロは離れていた。それでも二時間以内に目標には到達できる。 メモには、航空機から余分の燃料が空中投下されるともあった。 余分の燃料で最大速度を出せば、もっと早くに目標地点に復帰できる。 航海主任は計算に戻った。
624 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/09(木) 21:54:26.73 ID:2eaxqntK
彼らの不審船は、最大速力では短時間だが50ノットを出せ、船長も本来の不審船よりも長く50メートル近い。 当面の敵、サリウォンクラスは約70メートルの長さだから、大きさはそれほど変わらない。 鳥取での近代化改修では高速性能よりも重武装化、重装甲化と居住性能の飛躍的な向上が図られたわけだが、それでも フネとしての性能は向上した。これ以上早い船となると水中翼船とかホバークラフトになってくる。 もちろん、50ノット(時速92.6キロ)などとうてい長時間は出せない。操縦性にもこの速度は不安があったし燃料がたちまち底をついてしまう。
625 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/10(金) 20:39:50.74 ID:z0Eqh9dk
だが… 「出来ないことはないな…」 航海主任は呟いた。 その頃…
626 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/10(金) 20:48:58.80 ID:z0Eqh9dk
霞が関にある自宅で、女子高校生の山田美穂は自分の書いたラブレターを矯めつ眇めつ見た。 …ありえない、ありえないって…今時ラブレターなんて しかし、美穂はもう一回自分の書いたラブレターを見た。 …でも、明日になったら、このラブレター、先輩に渡そう…そう、明日になったら… 「くーん…」 犬小屋でポチが鳴いた。
627 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/10(金) 20:56:56.58 ID:z0Eqh9dk
そこからそう遠くはない東京都庁 石原慎太郎は松井一郎とのテレビ電話会議を終え、鳥取県知事、平井伸治に電話をした。 「例の件、すべてGOです」 「了解しました、時に、日本海は雪なのですがこの件に関して支障は? 」 「ないと思います」 「承知しました」 平井は電話を切った。
628 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/10(金) 21:01:08.19 ID:z0Eqh9dk
平井は川野公安委員に言った。 「公安委員のあなたに言うのも妙な話だが、国家公安はこの電話を確実に傍受している」 「は…すでに実施部隊には命令を伝達しています」 「東京は、すでにジェットを対馬にスタンバイさせている…だが…」 「は? 」 「これでいいのだろうか? 」
629 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/10(金) 21:05:44.48 ID:z0Eqh9dk
「それは…」 「武装県職員は、おそらく日本で一番北朝鮮で恐れられている存在だ。なんでも 聞いた話では「ショットガンズ アンド チェインソーズが来るぞ」と言えば泣く子も黙るらしいではないか」 「それは、そのようなことになっているらしいですが」 「北朝鮮軍も、武装県職員が来るぞと聞いた瞬間に失禁脱糞、飛ぶように逃げ散るらしいな」 「それは、遭遇することすなわち全員皆殺しとなれば、そうなるでしょう」
630 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/11(土) 19:28:53.73 ID:ah5Y7M/U
「だが、そのような存在が地方レベルで存在するとなれば、これは問題だろうと私は思う」 「は…しかし…」 「うむ、そう…昔の藩のように、都道府県が私兵を持つようになってしまう」
631 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/11(土) 19:44:37.67 ID:ah5Y7M/U
「しかし、我々はショットガンズ アンド チェインソーズの恩恵を受けています 今や北朝鮮が崩壊しても、鳥取だけには舵を向ける者はいないでしょう」 「そう、だが、福井や京都は? そう、新潟に向かう者とているかもしれんな」 「は…」 「もうわかるだろう…知事連合が何を意図しているかを? 」 「北朝鮮は崩壊する、その時に自衛隊がいると…」 「そう…石原都知事の体は地獄の業火で焼かれてしまっても、その思想は継承されなければならん」 「は…」 川野は、今日本海にいるショットガンズ アンド チェインソーズの隊長、榊原の内縁の妻のことを思い出した。 榊原は、一回りも上の年齢の女性と、自助グループ同市の交際パーティで知り合い 彼女のマンションに転がり込むように同棲を始めていた。 義理の娘はまだ小学生…
632 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/02/13(月) 07:43:35.01 ID:azWkRy64
作者より。 パソコン不調の為しばらく休載いたします。
633 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/02/13(月) 18:11:52.08 ID:azWkRy64
作者より 再セットアップが必要なようです。
634 :
政教分離名無しさん :2012/02/13(月) 20:51:40.18 ID:GdKD1mUW
外付けHDDに大事なファイルをバックアップしたほうがいいよ。 あと、辞書ファイルも意外とバックアップを忘れるんだよな。
635 :
政教一致@大阪 :2012/02/14(火) 18:17:32.58 ID:aaA19TFj
作者都合でもうしばらく休載いたします
636 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/14(火) 20:01:13.70 ID:yzcoiKun
テスト
637 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/14(火) 20:03:45.64 ID:yzcoiKun
>>631 より
榊原の内縁の妻は、女のカンで今回の任務が危険なことを察していた。
取り乱した彼女は数時間前にここ知事室で涙ながらに夫を無事に帰してほしいと訴えた
638 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/14(火) 20:23:42.41 ID:yzcoiKun
知事がたまたま会議に入っていたため川野が対応したのだったが、妻の取り乱した様子は只事ではなかった。 「あの人が帰ってくるようにしてください! 」
639 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/14(火) 20:46:36.83 ID:yzcoiKun
そう…あまりにも危険な任務だ。 北朝鮮の東側海岸に行き、敵を引きつけろというのだから 「心配ありませんよ…」
640 :
政教一致@大阪 :2012/02/15(水) 07:48:55.08 ID:ZPBl0svM
嘘も方便と言うが川野は自分の言葉の白々しい事に罪悪感を覚えた。 だが、彼らに「明日」は委ねられているのだ。
641 :
政教一致@大阪 :2012/02/15(水) 07:50:44.23 ID:ZPBl0svM
嘘も方便と言うが川野は自分の言葉の白々しい事に罪悪感を覚えた。 だが、彼らに「明日」は委ねられているのだ。
642 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/15(水) 22:09:41.88 ID:S5okuadJ
「明日」が、何なのかは川野には分からない。 川野には家族がいなかった。 だが、榊原の内縁の妻を見て、思うことはあった。 伝説…
643 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/15(水) 22:35:41.50 ID:S5okuadJ
ここに守り手の話あり その者、罪と穢れを身に纏いて灰色の地に追いやられたり。しかして失われし平和への道筋を示したり。 ついに人々を尊き平和の地に導きたり 人は言えり、「かの人を見よ」 また、証人も立っていわく、「彼の兵は笑って地獄へ行き、われらここに地上の楽土を見る、なんぞ彼に罪のあるや」 しかして彼は戻らず、人々は彼を忘れたるが、その忠勇武功は平和の中にありてわれらを守る物。 守り手を語れ、平和は彼とともに来たり 守り手を語れ、平和の裏の犠牲を忘れてはならない
644 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/16(木) 20:58:41.47 ID:9vecnJ46
伝説が真実なら、「その者」は誰なのか 川野は嫌な予感を振り払った。
645 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/16(木) 21:04:56.56 ID:9vecnJ46
同時刻、対馬空港 超巨大な輸送機が離陸を始めた。 覆面グライダー隊は覚悟を決めて覆面をかぶった。 同時に、彼らは皆一様に遠ざかっていく祖国を見やった。 覆面の機能の一部である「望遠」を使っている者もいた。 覆面グライダー隊の覆面は超ハイテクの塊であった。
646 :
政教一致@大阪 :2012/02/17(金) 18:39:06.08 ID:plsOSC43
覆面には驚異の機能がある。 ノクトスビジョンを始めあらゆる機能があるこの覆面こそが部隊の歪んだ誇りの源泉だった。
647 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/17(金) 20:16:45.37 ID:GV9O4mOU
極端な話、MP3を聞きアダルトDVDを見ながら戦争をすることも可能だった。 GPSもあったし、ノクトスビジョン以外にも赤外線モードや隊内無線も搭載されている。 もちろん、部隊としては衛星携帯電話を何個か持っていた。しかしそれは今回の任務では 最後の段階で使うだけだろう…
648 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/17(金) 21:19:20.62 ID:GV9O4mOU
そう、任務達成の報告と新富岳によるミサイル都市の完全破壊の報告が求められている。 そればかりは無敵の航空機でもできない話なのだから当然の話だった。 しかし、そこから先のシナリオはないのである。 モーターグライダーは着陸はできるが離陸はできない。
649 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/18(土) 06:24:23.59 ID:Ao5KxmRD
だが、北朝鮮軍も戦々恐々の状態だった。 たとえば塩浦では、特殊戦部隊が食事会を開いていた。 食事は塩浦名物塩ラーメンだった。 ちゃんとした麺と、魚介類と昆布で出汁をとった汁とがマッチングして なんとも言いようのない超高級のメシだ。 一応、具としてもやしとワカメ、カマボコ数切れが入っているがこれとて飢餓地獄の 北朝鮮ではすごい御馳走なのである。
650 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/02/18(土) 10:15:27.69 ID:hHaSAu+h
だが、部隊の全員の顔色は暗かった。
651 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/18(土) 14:09:42.79 ID:Ao5KxmRD
「なんでも、鳥取の砂丘には体長3メートルの大サソリやグレッチが住んでいるらしいな」 「ああ、それに、天気のいい日には砂嵐の向こうに幻の塔が見え、三つのしもべが眠っていると聞くぞ」 「オレが聞いた話では、鳥取県の県境の道や線路には大鳥居があり、『この先日本国憲法は通用しない』と書いてあるらしい」 「なんでも、山に入れば入ったで殺生怪や山姥がうようよいて、生きては帰れないらしい」 彼らの脳裏に浮かぶ鳥取は人外魔境でありこの世の地獄であった。 そして、彼らは鳥取県民一人は北朝鮮軍兵士百名に匹敵する戦闘能力を持つと信じられていた。
652 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/18(土) 14:16:23.22 ID:Ao5KxmRD
実際問題として、工作船で日本に行くのは楽勝だったが、ショットガンズ アンド チェインソーズ が出現してからはその事情は完全に変わった。 鳥取に向かった船は一隻も戻らない。 最初は、金正日の指示もあってむきになって次々工作船を差し向けたのだが そのすべてが返ってこないとなって、方針を変えざるを得なくなった。 そうこうしているうちに、今度は向こうから北朝鮮の、それも工作船基地に襲撃がかけられるまでになった。 むろん、襲撃してくる船には日の丸と鳥取県旗が掲げられていた。
653 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/18(土) 14:22:28.23 ID:Ao5KxmRD
今では、投降ソングは北朝鮮兵を嘲笑する歌として日本語の歌詞のまま歌われた また、「ショットガンズ アンド チェインソーズ」を声に出すと彼らが聞きつけてやってくるとまで 言われるようになり、誰もその名前を口に出さなくなった。
654 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/19(日) 05:33:37.97 ID:zEFjqqNI
「隊長、海軍がここ塩浦に来るというのは本当ですか」 「ああ、ウオンサンは完全にターゲットだかららしい」 「しかし、それではここもターゲットになるのでは…あの部隊の」 「その名前は口にするな! 恐ろしい事が起こるぞ」 「ああ…奴らの船は完全装甲で前にトナムの工作船が戦いを挑んだところ、一瞬で 全員がミンチになったと聞いた」
655 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/19(日) 17:15:13.23 ID:zEFjqqNI
一瞬でミンチも当然だった。 動力砲塔に搭載された機関砲は射撃指揮レーダーと連携しており高速で海上を走っている艦からでも 百発百中の命中率を保障されているのだ しかし、そのような技術的なことは末端の特殊戦部隊には分からない。 純粋な恐怖…それが精鋭中の精鋭、北朝鮮最強の部隊が抱く鳥取のイメージだった。
656 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/20(月) 20:10:24.06 ID:2kSiQEWr
第二日本海海戦でも、工作船はひとひねりだった。 「奴らがやってきたら」 「アイゴー、全員死ぬ! 」 それほどまでにショットガンズ アンド チェインソーズは恐れられていたのである
657 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/20(月) 20:49:44.43 ID:2kSiQEWr
自衛隊でも、この鳥取県の部隊を投入するのかどうかで大議論になったが 結局、インパクトとして自前の部隊を投入するよりショットガンズ アンド チェインソーズ を行かせるほうがよいという判断になったのである。
658 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/23(木) 20:00:20.28 ID:T+16gOgX
彼らショットガンズ アンド チェインソーズのとる作戦行動は陽動作戦であり囮であった。 本隊はあくまでも覆面グライダー隊であったし、鳥取県の地方公務員である彼らが英雄になってしまうことには 自衛隊幹部の間でも危機感が共通認識としてあった。 「速度三十ノット、直進! 」 「アイアイ、サー」 4隻の高速艦は雪の散る日本海をつむじ風のように走った。
659 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/24(金) 22:01:43.55 ID:8E7UEnjp
ショットガンズ アンド チェインソーズの隊長、榊原の内縁の妻は泣きながら 公営アパートの前に帰った。 そして、そこで慎重に涙をぬぐった。 「只今! 」 娘は、笑顔で言った。 「お帰りママ! 明日は給食ビーフシチューだって! 」 妻は、はっとしてまじまじと娘を見た。 「明日? 」 「うん、パパは? 」 「パパはお仕事なのよ…」
660 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/24(金) 22:06:59.56 ID:8E7UEnjp
そう言いながら、榊原の妻はぎゅっと娘を抱き締めた。 「パパはとても大事な仕事をしてるのよ…だから明日の給食食べようね」 「うん…でも仕事ってなに? 」 「明日を創る仕事よ、お前も、他のみんなも給食を食べられるように仕事するの」 「ふーん」
661 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/25(土) 15:41:21.47 ID:qmk2I8Iw
平壌空港 ここでは雪はなかった。だが外は強い風だ。 「迎えのタラップが来たぞ」 誰かが言った。もう数時間も機内に待機していたSGIのメンバーはどよめいた。
662 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/25(土) 17:49:24.63 ID:qmk2I8Iw
リオンは嫌な予感がした。黒社会の掟で武器をすべて日本に捨ててきたことを後悔しながら 後部ギャレーに行くとたまたま、包丁があった。そいつを近くにあったペーパータオルにくるんで 席に戻ると、タラップからドヤドヤと完全武装の兵が乗り込んできた。 「コノナカデ イチバン エライ ヤツハ ダレダ? 」 将校らしい青年がたどたどしい日本語で言う。 皆は池田大作を見た。
663 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/25(土) 17:53:31.02 ID:qmk2I8Iw
「オマエカ コイ コナイト 殺す! 」 殺すだけが流暢だった。 池田大作は兵士に引き立てられて空港ビルに連行された。 「ンモー! 」 池田は吠えたが… 「ウルサイ! 」 AKMの銃床で顔を殴られた。
664 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/25(土) 20:58:59.61 ID:qmk2I8Iw
空港の滑走路に倒れた「太った老人」を、兵士らは引きずって連行した。 ゴゴゴゴゴゴー 風が強い… 池田大作が意識を取り戻したのは、空港ビルで頭から水をぶっかけられたからだった。
665 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/26(日) 08:58:03.70 ID:14Tnligm
池田大作は言った。 「テンシンハン、イーガー(日本語訳:何をする!)」 「ワタシ ニホンゴ ワカル オマエ ハングル マチガッテル」 「ウグ! 」 「ナニイ! 『お前の母親はどうしようもない淫売で薬中だった』ダト」 また、AKMの銃床で顔を殴られた。
666 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/26(日) 09:02:40.15 ID:14Tnligm
AKMもたいがい古い銃だがいまだに現役である。 「ククッ」 「ナニイ! 『お前の父親はその女の紐の見下げ果てた男』ダト」 また、AKMの銃床で顔を殴られた。
667 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/26(日) 14:20:46.86 ID:14Tnligm
そんなこんなでボコボコに殴られた後で、池田大作は平壌の待機所なる場所へ連行された。 待機所とは、偉大なる後継者が真実の後継者になるまでの間過ごす場所として位置づけられ 内装なども質素なまま、会議やパーティを開く大部屋なども備えた施設だった。
668 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/27(月) 21:54:33.87 ID:VKf0lcAK
そのアンバランスな建物のつくりからして、偉大なる後継者が 真の後継者となっていないことを示していた。 青年将校は偉大なる後継者に言った。 「捕虜を連行しました」 池田は言った。 「捕虜? 誰が? 」 「お前だ、太った爺い! 」
669 :
政教一致@大阪 :2012/02/28(火) 17:57:44.76 ID:Uc8LH4zi
一時間後。 親ギガントは、目標地点についた。
670 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/28(火) 21:30:48.42 ID:HXFvW8uE
ここから約一時間の滑空を経て、彼らは敵地に降下する。 しかし、その間にノドンが発射されないか? 一か八かの勝負であるのは間違いない もちろん、そこは日本側としても真剣に検討されたが 1 ノドンを阻止することはできても北朝鮮をこの地上から消してしまうことはできない 2 そう言う事なら相手に(この場合は金正恩)に恐怖を植え付けるしかないであろう 3
671 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/02/29(水) 22:28:40.33 ID:7M8ApfLz
3 その為には、平壌が危険であるという危機感を与えることが重要である
672 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/01(木) 19:15:28.12 ID:K1zg1Df/
そのころ新富岳部隊も福岡より出撃し、日本海の日本名・竹島上空を緩いカーブを描いて 旋回し燃料補給ポイント「バトル01」に向かった。 空中給油は作戦の変更がなければ不要だが、今回の作戦では何が起こるか分からないため 必ず行うと規定されていた。
673 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/01(木) 19:34:09.53 ID:K1zg1Df/
KC-767は空中で赤外線ストロボを点灯していた。 それを目視(暗視ゴーグル使用)しながら、池田三佐は機体を慎重に操った。 一応、マニュアル的には自動操縦での結合が推奨されてはいたが、 現場のパイロットは皆嫌がった。 副操縦士が言った。 「インサートランプ点灯」 「ラジャー! 給油開始」 彼らにとってはこうなれば余裕だった。 「ハイオクですかレギュラーですか」 「ハイオク、それと窓を拭いて灰皿も…」 給油パイプに付属している閉回路通信を使ってギャグを言い合いながら タンカーと爆撃機は優雅に『交尾』を終えた。
674 :
政教一致@大阪 :2012/03/02(金) 18:50:46.10 ID:N6/9Ov4S
「平壌へGO! 」 「いやいや・・・」 言いかけて池田ははっと思った。 「ゴートゥーザターゲット!」 それは正確な表現だった!
675 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/02(金) 20:14:02.51 ID:oWjUAYbO
なぜなら、平壌空爆を装うのが建前であったからだ。 …敵を欺くにはまず味方からというのはこういうことか 池田三佐は思った。 …仁美はもう寝ているかな?
676 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/02(金) 20:17:10.79 ID:oWjUAYbO
仁美は、福岡の官舎で池田から渡された書類を見ていた。 離婚届 「ムフ、ムフムフ…」 彼女はオヤジ臭い笑い声で秘かに笑った。
677 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/02(金) 20:27:08.35 ID:oWjUAYbO
明日、これをしかるべき役所の窓口に提出すれば、池田は独身になる。 だが、ふと仁美は顔を曇らせた。 …明日? ショットガンズ アンド チェインソーズの高速艦隊は目的ポイントに接近した。 日本海の全く何の変哲もないポイントだ。
678 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/03(土) 06:49:13.32 ID:sNyFm78Q
「対空レーダー 感あり! 大型機の模様」 「各艦予備の赤外線ストロボに点灯、上空へ向けよ」 「アイアイ・サー」 いびつな四角形の中心に向けて、パラシュートが落とされた。
679 :
政教一致@大阪 :2012/03/03(土) 20:26:01.92 ID:Kw39LGbY
上げ
680 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/04(日) 10:53:41.12 ID:+w5Zj0xb
最初は、燃料のポリタンクだった。 続いて、人間が一名。 雪がちらつくこの真冬の海では海面での一秒一秒があの世へのショートカットだ。 『シ』も近くをうろついているのではないか? 「揚収急げ」 「アイ 揚収急げ」
681 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/04(日) 13:28:04.12 ID:+w5Zj0xb
「前進微速」 「前進微速」 急ぐが、しかし急ぎすぎては降下した者をスクリューに巻き込んでしまう。 航海主任村木は慎重に操船し、海の中から男を一人掬いあげた 「燃料補給急げ、作戦主任、落ちてきた男の聴取につきあえ」 榊原は言った。
682 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/04(日) 20:27:15.61 ID:+w5Zj0xb
漆原は、地下の司令センターで状況を確認した。 「鳥取の部隊は時刻通りにつきそうですが、悪天候に翻弄されているようです」 「急がせ…いや、予定通りならせかさないほうが良いな」 「はっ…」 漆原の手にある偵察・監視システムも知事連合の陰謀(?)までは察知できないでいた。
683 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/05(月) 21:57:04.16 ID:aXBwVb7t
新富岳飛行隊の護衛機隊も、気合を入れていた。 「目標上空では何が飛んでいても撃ち落とせ、たとえ小象が耳をばたつかせて飛んでいようともだ」 「ラジャー」 「ただし、ムーの白鯨だけは別だ。反捕鯨団体がうるさいからな」 韓国空軍からかつあげしたストライクイーグルは好調だった。 もちろん、韓国としても作戦が失敗した場合どんなとばっちりを食らうのか わからないから程度の良い機材を充当していた。
684 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/05(月) 22:11:00.61 ID:aXBwVb7t
彼らの作戦はこうだ。 まず、アクションの第一弾は東海のショットガンズ アンド チェインそーズが起こす。 第二弾は「幻の平壌空爆」だ。これには新富岳試作機(非武装)と護衛隊があたる。 多分、これには北の空軍もスクランブルをかけてくるだろう。 それを叩き落とす。 本物の空爆のトリガーとなるのは覆面グライダー隊のロケット攻撃だ。こいつで 空爆では破壊不可能なノドンをつぶしたら、新富岳でいくらでも料理できる
685 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/05(月) 22:14:29.92 ID:aXBwVb7t
この作戦では、覆面グライダー隊は捨て石になる。 帰ろうにも帰れない。 だが、知事らの作戦ではこの帰れない部隊を救助収容して、この作戦に引き続いて起こるであろう 「北朝鮮・崩壊」に備えることになる。
686 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/06(火) 20:17:44.87 ID:whmCFJ11
北の崩壊は、どの近隣国にとっても望ましい物ではない
687 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/06(火) 21:28:03.71 ID:whmCFJ11
一時間後、北朝鮮 塩浦の街は雪に包まれ、多くの町民は眠りに就いていた。 だが、起きている人たちもいた。塩浦配属の特殊戦部隊もそうだった。 「隊長、水上監視レーダーにフネが、おそらく海軍さんかと」 「ほう、早かったな、海岸トーチカに発砲しないよう命令しろ」 彼らは、一応の海岸防御としてトーチカを二つ構築していた。
688 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/06(火) 22:16:15.03 ID:whmCFJ11
情けない話だが北朝鮮では『海賊』が出没する始末であり陣地構築は 必要だった
689 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/07(水) 20:22:41.28 ID:hjdsfA+z
山に行けば山賊、海には海賊ではもはや法治国家ではないのであった。 塩浦駐屯特殊戦部隊の石大尉はヤマハのスクーターで海岸トーチカに急ぎながら 恋人のことを考えていた。 泣く子も黙る特殊戦部隊も塩浦配属が長引くにつれ現地での結婚や除隊を迎える者が 多くなっていた。 また、軍側も「御褒美」としての塩浦勤務は下手な勲章より有効な手段と考えていた。
690 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/08(木) 21:11:49.31 ID:6rIJ1YSu
しかし、その結果として塩浦駐屯の特殊戦部隊は勲章を貰ってもおかしくはない 優秀な兵士で占められていらのである
691 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/09(金) 06:36:27.20 ID:5A+aRa5u
訂正 誤 いらのである 正 いるのである
692 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/09(金) 07:00:15.24 ID:5A+aRa5u
そして、塩浦の町では特殊戦部隊のOBが中心となって「特殊戦部隊後援会」が 立ち上がっていた。 その事業の一つが「マッコリ醸造同好会」であり、そのパーティ(実態は合コン)で 石大尉は素敵な娘と知り合ったのである。
693 :
政教一致@大阪 :2012/03/09(金) 13:54:09.42 ID:4Zew57Pp
軍隊の後援会が合コンを手配してくれるのだから、この勤務地が勲章以上のご褒美な事がわかる。 ここは天国の町だ
694 :
政教一致@大阪 :2012/03/09(金) 18:04:34.35 ID:4Zew57Pp
その天国の町で出会った娘は天使だった。 その娘は白衣の天使だったのである。 町の病院はこの北朝鮮でも珍しいほどの規模で近隣の病院では扱えない患者が来た。 そして塩浦の繁栄に驚いて帰って行く。
695 :
政教一致@大阪 :2012/03/09(金) 18:51:25.29 ID:4Zew57Pp
祖国の崩壊は近い。 石大尉は北朝鮮の未来に希望を持っていなかった。
696 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/09(金) 20:40:03.60 ID:5A+aRa5u
だが、その一方で、自分自身の未来にはかすかな希望を持っていた。 その娘、尹優姫と結婚してこの町で生きていく… スクーターは海岸トーチカへ近づいて行った。 その頃… 「ここか? 」 「はい、隊長」 「よし、やれ! 」 「はっ! 」
697 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/09(金) 21:09:51.37 ID:5A+aRa5u
鳥取しゃんしゃん祭で不発だったものを天日で乾かした花火が景気良く打ち上げられた。 「音楽長」 「はい! 」 「やってくれ」 音楽長はマイクを手にすっと息を吸った。
698 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/10(土) 11:44:56.24 ID:zSKFEv3/
その頃、石大尉の意中の人、尹優姫は病院で泣いている子供に手こずっていた。 「えーんえーん」 「早く寝ないと、恐ろしいモノが来るのよ」 「恐ろしい物? 」 「そうよ、ショットガンズ アンド チェインソーズが来るわよ」 「え゛」 「ドンドン、ショットガンの音がします、ヴィンヴィン、チェインソーの音がします」 …ドンドン 「そうそう、そして聞こえてくるのよ、あの投降ソングが」 …投降、さっさとっさと投降、殺すぞワレ 「そうそう、投降、さっさとっさと投降って、ええっ! 」 「石大尉、敵です。」 「おちけつ、いや、もちけつ、いや、落ち着け金上曹」 「あなたこそ落ち着いてください大尉」 「やかましい、で、敵の人数は? 」 「戦艦4隻です」
699 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/10(土) 11:49:59.89 ID:zSKFEv3/
その情報は誤ったまま特殊戦部隊司令部を通じて金正恩に伝えられた。 「戦艦4隻だと? 」 「自衛隊の護衛艦でしょう」 「同時に、ショットガンズ アンド チェインソーズが来たという情報も入っています」 「あ、あの部隊が…ウオンサンから海軍を出撃させろ」 「させても無駄でしょう。一秒で全艦撃沈されます」
700 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/10(土) 13:10:23.65 ID:zSKFEv3/
その無駄なことをやっている男がいた。 白上将はタグボートを、正確にはタグボートのスクリューのたてる白い波を見た。 完全な灯火管制、無線封鎖で小さな艦隊はのろのろと進んでいる。 白とて飛んで行って戦艦に戦いを挑みたいが、いかんせん赤錆びの浮かんだ老朽タグボートは 全力でもサリウォンをのろのろと曳航するのが精いっぱいだ。
701 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/10(土) 17:57:22.89 ID:zSKFEv3/
孫大領がやってきて敬礼した。 「全艦に戦闘態勢を取らせます。無線封止の解除を許可願います」 「許可する。同時にウオンサンから戦闘可能な小型舟艇をすべて出撃させろ」 「はっ! 」 「まともに動くサリウォンが一隻でもあればなぁ…だが、それは詮無いことだ」
702 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/03/11(日) 00:37:57.35 ID:IrBoQsBs
は
703 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/11(日) 08:25:25.38 ID:DzFpmazl
「最後まで、立っていた者の勝ちです。上将」
704 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/11(日) 19:11:57.34 ID:DzFpmazl
AGE
705 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/12(月) 22:35:41.39 ID:VvrvK0fP
一方、海岸トーチカでは… 「よ、ようし…予備のマシンガンを持ってこい」 「はい、石大尉」 マシンガンと兵5名を連れて、防波堤の「二つのトーチカの中間点」に応急陣地を 構築する。 雪は小降りになった。 「撃て! 」
706 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/13(火) 21:50:33.28 ID:+T/MbgpH
ショットガンズ アンド チェインソーズの高速艦は並んで砲撃体勢を取った。 「カールグスタフ発射準備よし」 「発射」
707 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/13(火) 21:58:19.16 ID:+T/MbgpH
歩兵が携帯する武器としては強力な無反動砲、カールグスタフは炎を後方に吐き 前方には砲弾を射出した。 くぐもった音とともに、トーチカは炎を上げた。 石は、防波堤によじ登ると双眼鏡で周囲を確認した。 …オレのスクーターが! それが石のとっさの反応だった。娘の為に後ろの荷台はクッションに改造までしていたのだ。 …許せん 「撃て! 撃ちまくれ」
708 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/13(火) 22:07:42.10 ID:+T/MbgpH
マシンガンが曳光弾を撃ちまくり始めると、艦隊も驚きはしたものの、当然の 反応をした。 「発射」 砲弾が4発、応急機関銃座に命中する。 奇妙なことだが、石が命を取り留めたのは防波堤の上に立っていたからだった。
709 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/14(水) 06:35:13.31 ID:SNMDoGUR
もちろん、香港のアクション映画のように空中に吹き飛ばされたが、致命傷を負う事だけは避けられた。破片の大半が空中に飛んで行ったが 石は名前のごとく石ころのように砂浜に落ちたからだ。 ただし、石大尉は無数の傷を負い意識を失った。
710 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/14(水) 20:21:58.60 ID:SNMDoGUR
作者近況 年度末が近付いてきました。もう疲れ果てています。
711 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/14(水) 20:47:20.50 ID:SNMDoGUR
もう二度としないだろうと思っていた新入社員教育も、差し迫っています。 しばらく休載いたします。 お話の構想は最後までできております
712 :
政教一致@大阪 :2012/03/15(木) 18:19:22.58 ID:bjBqO5f8
もちろん目標は完結です。
713 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/18(日) 15:01:30.14 ID:llwHbTXC
ショットガンズ アンド チェインソーズはわずかな航海要員を高速艦に残して上陸した。 海岸トーチカを改めると、無傷の無線機があった。 「やったぞ! 」 嘉藤はにやりと笑った。 近くを見渡すと、戦死者の死体から軍隊手帳を盗みだす。 ハングル通訳の木村が、テキパキと手帳に目を通しながら言った。 「責任者は金と言う上曹のようですね、こいつに化けましょう」
714 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/18(日) 15:12:16.57 ID:llwHbTXC
塩浦の特殊戦部隊本部では、隊長、李中領が無線に耳を傾けていた。 「本部、金です」 「おお、石大尉はどうした? 」 「あのーそれが、自分が最後の生き残りのようでして…」 「なんだと? 」 「自分はとっさに無線を持って松林に避難しました。防波堤の後ろの 松林にです。トーチカは二つとも破壊されました。やつらミサイルみたいな 武器を持ってます。注意してください」 「分かった、金 それで、今の状況はどうだ」
715 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/18(日) 15:20:37.29 ID:llwHbTXC
「上陸してきたのは、あの部隊のようです。戦艦4隻というのは誤りで 正確にはサリウォンぐらいの高速軍艦が4隻です。しかし、沖合にはもっといるかもしれません」 「どうしてそんな事が分かるんだ」 「わが隊を始末するのに4席は少なすぎます」 「そ、そうか…そうだな 」 もうすっかり李は「金上曹」を信じていた。
716 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/18(日) 18:51:56.58 ID:llwHbTXC
それに、「金上曹」の言う事はもっともだったし、李自身も恐怖と混乱から立ち直れないでいた。 だからこそ、石大尉と言う若いがしっかりした士官を(海軍さんをお迎えするためにだったのだが)派遣して しっかり現場を固めるつもりだったのであったが、今や現場も何も「金上曹」の報告以外に何の情報も入ってこないのである 彼が騙されたのも無理はない話だった。
717 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/20(火) 05:26:39.12 ID:APJdoY0w
現地の地形は、海からなだらかな白い砂浜が広がり、それからコンクリートの防波堤 続いて防波堤に沿って伸びる新道路、防砂林の松林、細いクリーク、旧道路の順になっている。 李はこの大まかな地形を思い出して言った。 「今大体どこら辺にいる? 」 「松林の中です。奴ら次々上陸してきています。」
718 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/20(火) 18:20:04.96 ID:APJdoY0w
「人数はどれぐらいいそうだ? 」 「分かりません…多分百五十人ぐらいに見えますが、艦にまだいるかも」 「百五十人だって? 」 実は金に化けた木村の言う百五十人は実際のショットガンズの4隻に乗り込んだ実人員であり、きわめて正確な数字だった ただ、この中から船に残す人員が差し引かれるから若干減る。 しかし、北朝鮮軍にとってはこれまで遭遇したショットガンズ アンド チェインソーズの 最大が五十人だったために、それが全兵力だと誤認していた。
719 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/20(火) 18:32:29.05 ID:APJdoY0w
しかも、それをかろうじて報告出来た生存者の言う事が 想像を絶する拷問を受けたという内容であったため 報告の細部は封印されてしまって、かえって李ら最前線の将校らには恐ろしい場所鳥取を印象付けた。 「今までの三倍の兵力だと! 」 「今までって…今までは五十人だったんですか? 」 李ははっとなって「いや…」と言葉を濁した。 兵隊には、いやそれどころか実際の幹部クラスともなる上曹にも ショットガンズ アンド チェインソーズの実態は知らされていなかった。
720 :
政教一致@大阪 :2012/03/20(火) 18:40:12.93 ID:+sbLYOK7
「それで奴らは何をしている、目標はどこだか分かるか? 」 「全員徒歩です。」 「塩浦か!」
721 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/20(火) 20:09:51.74 ID:APJdoY0w
李は素早く頭を巡らせた。 今現在この町にいる兵力は約300、基本は2個中隊だが戦車も大砲もない 代わりに工作船が三隻配備されていた。
722 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/21(水) 20:22:40.25 ID:LS49/1UX
しかし、これら工作船は事実上非武装だった。 一応、マシンガンやRPGなどの歩兵用小火器は積んではいるものの ショットガンズ アンド チェインソーズの高速艦には絶対にかなわない ただ、海軍との共同作戦は考慮するべきだろう
723 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/22(木) 21:50:24.75 ID:WPbiQ8YH
李は、上層部にウオンサンか他の基地からの増援を無線で要請したが却下された。 この町は捨ててもいい場所だった。 重要地点は、ウオンサンでありその他、日本側が上陸しそうな場所すべてであって それは北朝鮮の東側海岸のほぼすべてであった。
724 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/22(木) 21:58:32.10 ID:WPbiQ8YH
その気になれば大規模な増援をウオンサンから塩浦に派遣することは可能だった。 しかしそれは、その分ウオンサンが手薄になる事だったから軍事的常識としては不可だった。 「我々はここで死ねばいいというのですか? 」 李は食い下がったが上層部の命令は武装待機であった。 「隊長、聞こえますか」 『金上曹』が呼びかけてきた。 「おお、なにかあったのか? 」 「信じられません…」
725 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/24(土) 14:34:58.80 ID:g2SKuoYr
「どうしたんだ金上曹、しっかり報告せよ」 「あうあう…ガンダムです! 」 「なんだと? 」 「身長18メートルのモビルスーツが、たくさん、いっぱいいる! 」 「なにぃ! そんなバカな! 」
726 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/24(土) 14:41:17.21 ID:g2SKuoYr
「スピーカーで覆面グライダー隊がどうとか、言ってもいますがよく聞こえません」 「おい、それは本当か? 」 「ああ、まずい、こっちへ来る。手にはビームライフルか超巨大バズーカー」 「おい、もしもし」 「あ、あーずがががピシュウ! 」 無線は途絶えた。
727 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/24(土) 17:51:21.44 ID:g2SKuoYr
李は、無線を見ながら素早く考えた。 身長18メートルのロボット… 日本なら、あり得ない話ではないだろう。すでに等身大のロボットはいるらしい いかに田舎の軍隊でもそれぐらいの話は伝わってきている。 ウオンサンには観光で来る外国人も多く(主に中国)世界の情勢が若干漏れ伝わって入ってきていた。 等身大のロボットを十倍にすれば身長18メートルも頷ける。
728 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/24(土) 17:58:55.78 ID:g2SKuoYr
覆面グライダー隊… 絶対の秘密事項ではあるが、特殊部隊の機密情報として回ってきたA4一枚の ペーパーに、李は「この世にはショットガンズ アンド チェインソーズよりもヤバイ部隊もいるんだな」 と感心したものだった。 彼の視点からすると日本とはハイテクで武装した恐ろしい輩の巣窟であり、 それをわざわざ突くとは愚行以外の何物でもなかった。
729 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/24(土) 20:05:54.65 ID:g2SKuoYr
昔の朝鮮の童話で、縞模様の猫を虎だと思って怖がっていた無知な白丁が猫だと知って いじめ始めると、見る見るうちに猫の体は大きくなり牙は尖り目は鋭い光を放ち、虎になった あわてて逃げる白丁を親友を心配して駆け付けてきたライオンが一撃で倒したが、それを見たチーターは「チッ」と言った、 という話を李は思い出していた。
730 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/25(日) 19:57:57.92 ID:6KPLg/9F
そしてチーターは元の水前寺清子の姿に戻ったというオチは彼の日本理解の限界を超えていた。
731 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/26(月) 21:21:13.66 ID:BvjpCeNJ
AGE
732 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/27(火) 21:16:58.83 ID:zaroEz7u
しかし、始ってしまった以上は被害を最小限にとどめつつ、終わりを待つしかない。 李小領は立ち上がった。 「出撃だ、諸君」
733 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/27(火) 21:24:16.78 ID:zaroEz7u
その時、ショットガンズ アンド チェインソーズは浜辺から松林に移行していた。 非戦闘員である情宣長や音楽長、軍医を高速艦に戻し、一部の女性看護師も艦に戻した。
734 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/28(水) 20:34:59.15 ID:MZomLJSd
松林は、正確には「松を含んだ雑木林」であってところどころには深い藪や 大きな岩(多分、現在の防波堤ができる前の李氏朝鮮時代の遺物)が転がっていた。 「アンブッシュにはもってこいじゃないか、作戦主任」 隊長は上機嫌で言う。 作戦主任は地形を見やって言った。 「いくつか罠を仕掛けて、ここで一撃を加えましょう。そのほうがすんなり町にいけるでしょう」 「うむうむ」 「町でトラックを徴発して…」 そこで前衛が鋭い声を上げた。 「隊長」
735 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/28(水) 20:43:31.59 ID:MZomLJSd
「どうした? 」 「軍使が来ます! 」 作法通りに白旗と、これは作法の外だが赤十字旗を掲げた「旗手」が二人と キャンドルランタンを掲げた「軍使」が旧道を歩いてきた。「軍使」は白衣のナースだった。 「発砲待て! こちらも明かりをつけろ」 「フラッシュライトを地面に向けて、ここに来るよう指示せよ。木村」 「はっ! 」 「通訳」 「了解しました」
736 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/28(水) 21:14:06.25 ID:MZomLJSd
近づいてくる内に、旗手はコッチェビ上がりの制服姿の中学生で軍使も身に寸鉄も帯びていない様子が見て取れたので 隊長は部下に銃を下すよう命じた。 海岸トーチカから運ばれてきた椅子が、三人の軍使一行に用意された。日本側では椅子に座れたのは隊長と作戦主任だけだった。
737 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/29(木) 20:34:55.71 ID:nvNVat9Q
隊長が言った。 「投降か? 旗が一本多いが? 」 「ニホンゴ、分かります」 それが軍使、尹の答えだった。
738 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/31(土) 07:36:41.60 ID:YO2jb2r+
尹優姫は言った。 「海岸の、負傷者を引き取りに来ました。それから、私たちは仮包帯所(戦場で 負傷者の臨時の手当てをするところ、砲撃などをしてはならないという取り決めがある)を 設営します。地図で示します」
739 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/31(土) 17:22:45.31 ID:YO2jb2r+
その場で広げられた地図には、いろいろな情報が示されていた。 『第101機動歩兵中隊』とか『航空支援;座標』などともっともらしく 大部隊がここ塩浦に上陸するかのように装われている。
740 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/31(土) 22:42:36.37 ID:YO2jb2r+
優姫が日本語が読めるのかどうかはともかく、この地図が(偽装だが)示しているのは 一大上陸作戦だった。 「ここに、仮包帯所を設置します」 娘の細い指が示したのは旧道からクリークを渡る橋の海側だった。 「救急車が乗り入れられるのはここまでですから、ここから順次病院に負傷者を搬送します」 優姫はそう言った。
741 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/03/31(土) 22:53:28.06 ID:YO2jb2r+
そんな娘に対し武器主任・小早川は言いにくそうに言った。 「負傷者は…一人だけなのだが…」 「一人? 」 「武器の威力が大きすぎた。戻ったら特殊戦部隊に隠れていればこちらから攻撃はしないと伝えてくれ」 「そ、それは伝えますが」 「衛生長」 担架で運ばれてきた石大尉を見て優姫は顔色を変えた。 小早川は言った。 「知り合いかね? おい、顔色が悪いぞ」 「命に別条はないし、二週間で軍務に復帰できるでしょう」 衛生長が言った。
742 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/01(日) 07:03:51.76 ID:POfkuNzs
「は、はい…」 「担架兵二名、志願者はおらんか? 」 すぐに二名の兵が進み出た。武装を解き左腕に赤十字の腕章をする。 「調理長、旗手殿と軍使殿にチョコレートでも」 「はい」 田熊は軍用ウエストポーチから魔法のようにM&Mのチョコレートを取り出した。
743 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/01(日) 20:57:04.25 ID:POfkuNzs
チョコレートすら武器に見えたのだろう。中学生はびくびくしていた。 作戦主任が言った。 「木村、毒など入っていないと伝えろ」 「は…」 通訳の声に、二人はオズオズとM&Mに手を伸ばした。優姫は衛生長となにやら 日本語で話している。石の容体についてらしい。 チョコを口に入れた二人は目を白黒させた。 一人が唐突に言った。 「偉大なる指導者金正日将軍マンセー」 兵たちは笑った。
744 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/01(日) 21:01:28.20 ID:POfkuNzs
隊長が笑いながら言った。 「将軍様は死んだよ。末端までは伝わっていないのかな」 「ええっ? 」 優姫は驚いたがそういう事がままあるのが北朝鮮なのでそうかと納得した。
745 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/02(月) 06:12:52.53 ID:zktdr69S
同じころ、平壌 金正恩は納得などしていなかった。 入ってくる情報はすべて彼にとって不利なものばかりだった。 とうとう上陸作戦が始まった。名前も知らない小さな町らしいが、ショットガンズ アンド チェインソーズだ。 ガンダムが来たという未確認情報もある。 ガンダム…おそらくそいつは父と一緒に見たアニメの正義のロボットではないだろう。 だが、アイボやASIMOがいる国だ。戦闘用にロボットを開発していたとしても何らおかしくはない
746 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/02(月) 21:48:24.92 ID:zktdr69S
金正恩の知る日本は、時速三百キロの鉄道が走り、戦闘機はF15を余りあるほど持ち 戦艦や空母からなる海軍もある。通常戦では到底勝てない国だった。 陸軍の兵力では勝っているが、それを運ぶ手段はないのだから無意味だ。 それに、陸軍の戦いを想定しても戦車やヘリの威力を考えれば、北朝鮮陸軍は多数いるとはいえ本気で戦うことになれば 疑問符がつく。 それに…本当に東海岸なのか?
747 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/02(月) 21:55:54.69 ID:zktdr69S
なんら戦略的意味を持たない町付近に上陸を仕掛けてくるなど、納得しがたい。 一回爆撃した海軍の基地トナムか、同じく海軍の基地ならはるかに大規模なウォンサンに 上陸したほうがまだ納得がいく。 港湾施設を乗っ取ってテキパキ上陸作戦をやられたら、北朝鮮にはきわめて不利だ。 だが、それが目指すものがピョンヤンであるなら、ピョンヤンに直接空挺降下したほうが 理想的だ。
748 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/02(月) 22:04:00.43 ID:zktdr69S
ただ…ピョンヤンが無防備かと言うとそうではなかった。 空軍の戦闘機も待機しているし、特殊戦部隊もいる。もちろん、通常の陸軍部隊もだ。 高射砲や対空ミサイルも必死の努力で維持はしていた。 だから、そういう意味では東海岸はあり得ない事ではないのかもしれなかった
749 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/03(火) 20:47:12.16 ID:vOuYOKQa
西海はどうなのか? 日本が強力な艦隊を持ち、韓国が異議を唱えず領海通過を認めるならそっちのほうが脅威だ。 「八方ふさがりじゃないか」 金正恩は呻いた。
750 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/04(水) 22:03:56.91 ID:ySWeMzAx
…やはり頼れるものはミサイルだな 金正恩は思った。
751 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/05(木) 20:35:15.71 ID:Am+ZtMGv
そのミサイル発射都市 ここは、ミサイルの町だと言ってもいい。いたるところに発射台がある。 発射司令官、金大星少将は満足げに再生なった発射管制盤を見た。 ランプは赤だ。 これは、平壌が発射を望んでいないことを示す。 「こいつが緑になったら、ウエノムどもめ…」
752 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/05(木) 20:40:45.47 ID:Am+ZtMGv
ミサイルの一基は天然の岩盤の割れ目に設置され、どんな空爆にもびくともしない。 ここにミサイルを集中したのもその条件からだったが、今では第二陣地も(準備はまだだが)できている 従って、ここが破壊されても北朝鮮は戦争を継続できる。 「ふはは〜偉大なる後継者様マンセー」
753 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/07(土) 21:01:56.89 ID:95/EuNt9
だが、その肝心の「偉大なる後継者」は非常に動揺していた。 …覆面グライダー隊は? 新富岳は? 張成沢が言った。 「後継者様、ここは動揺などしていないという事を示すために、テレビに出演なさっては」 「テレビ」 金正恩はそれも有効な手段かと思った。
754 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/07(土) 21:17:43.79 ID:95/EuNt9
いつもの李春姫(チマチョゴリのおばさまアナウンサー)ではなく自分自身が テレビ出演すれば、少なくともテレビを持っている北朝鮮の重要人物には 重大事態を認識させられるだろう。
755 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/07(土) 21:25:50.83 ID:95/EuNt9
ただ、北朝鮮ではラジオが重要(テレビが特権階級にしか見れないものだから!) なので、ラジオにも同時放送を指示しなければならない。 スチャッとスタジオに出向いて万事解決は無理だろう。
756 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/07(土) 21:36:35.73 ID:95/EuNt9
「よ、ようし、準備してください張同志」 「了解しました」 張成沢は金一族用地下要塞から地上に出た。 「ふふふ…愚かな」 張成沢は北朝鮮中央放送のスタジオが一ミリの狂いもなくアメリカの軍事衛星にロックされている事を知っていた。 そのアメリカとお友達の日本は本気だ。本格的な上陸作戦が始まった。 そう、テレビ出演にかこつけて後継者様を地上に上げ、自身は地下に潜れば… 「ふふん、どうなるか楽しみだよ」
757 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/09(月) 07:02:10.66 ID:zshSPAzL
AGE
758 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/11(水) 05:48:38.79 ID:6bjlbzpw
張成沢は自分のオフィスに戻るとスタッフを総動員して放送局にアタックをかけた。 「そんなに逆らうなら、強制収容所に送るぞ」 「思想教育を受けたいのか」 そんな脅しと同時に、5000ユーロとコシヒカリ100キロのわいろを使ってようやく 放送の準備は整った。 「一時間もかかったか」 張成沢はつぶやいた。
759 :
政教一致@大阪 :2012/04/11(水) 18:36:13.66 ID:NvaZItBf
上げ
760 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/13(金) 22:20:46.77 ID:PW1wte8m
塩浦 李小領は苦戦を強いられていた。 松林に「ガンダム」はいなかった。だがわずかな時間でいたるところにトラップが 仕掛けられていた。 たとえば脛のところでひかれている針金がそうだ。重装備で走る兵士にとってはこれは 痛い 胸の高さにひいてある糸も、大きな音と点滅する明かりを出す電子玩具に装着され脅威だった。 明りに照らし出された北朝鮮軍特殊戦部隊に、狙撃が襲いかかるからだ。
狙撃がないとなって前進すると、ショットガンとチェインソーの接近戦だ。 しかも、ショットガンズ アンド チェインソーズは通常の手榴弾に加え 火炎瓶やダイナマイトで近距離戦闘を戦って北朝鮮側に大被害を与えていた。 「チョッパリめ! 」 李は呻いた。
彼の実感では敵は三百から五百だった。 それを報告しつつ、李は首をひねった。 …敵の意図はなにか おそらく、日本軍はこの塩浦に兵がいるとは思わなかったのではないか たとえ五百でも付近にウオンサンと言う一大海軍基地がある処への上陸だ さっさと上陸し、町を占拠しつつ後続を待つ。 しかし、そこで数千名の兵を上げたとしても、北朝鮮が本腰を上げて反撃に 転じれば、危うい。
李が必死になって要求しているのはその点なのだが、そこで問題となるのは 日本側の投入可能兵力だった。 輸送艦や上陸支援で北朝鮮に圧倒的優位である日本側は任意の上陸地点に兵を集中させられる。 「ガンダム」はいないとしても航空支援や新型の戦車が結果は変わらない。 北朝鮮の敗北である。
ミサイルは一回誤射したという情報が入ってきていた。 もう一回撃てとなれば撃てるだろう。 金正日は死んだらしい(軍使が敵から聞いた情報だから扱いが難しいが)だが、後継体制はどうなっているのかは分からない。 李の手元には情報が集まってきていた。 それと実際の戦場での手ごたえでは、おそらく三百から五百に半数の死者・負傷者が出ていて 残りはもう一度攻撃を加えれば逃げるだろうと思われた。
ところが… ショットガンズの面々は、松林の海側で案山子の操作に追われていた。 戦闘服と緑に塗った安全帽の案山子を、立てては倒し立てては倒すのである。 もちろん、その合間合間に爆竹を鳴らして威嚇・けん制する事も忘れない。 ただ、それだけでは芸もないので時々は実際に銃弾を撃ち込む。
損害は極めて少ないが、弾薬はじりじりと減ってきた。 榊原は言った。 「武器主任、キミ、フネに戻って弾薬を補充してくれんか」 「了解しました」 「兵を十名と看護師の手の空いているものを付ける」 「看護師に弾薬を運ばせるのはハーグ陸戦協定かジュネーブ協定の違反では」 「今はそれどころではない」 「はっ」
訂正 誤 協定 正 条約
小早川は兵や看護師を引き連れて高速艦に戻った。 ところが、艦では航海主任の村木が 「不審なフネが接近中です」 と言った。 「不審?」
「低速のフネが5隻、接近していまして、うち一隻はかなり大きい」 「…? 軍艦か? 」 「しかし、そうなら颯爽と襲ってくるのでは? 難民船だと思いますが武装はしている可能性大」 「ふむ…」
小早川は隊長と無線で協議した結果、フネを迎撃するほうを選択した。 「それはそうと武器主任、トラックをb鹵獲したぞ」 「本当ですか? 」 「ああ…だから海から攻撃されてはまずい」 「分かりました」
高速艦は闇の中を飛ぶように走った。 白の艦隊はその高速艦に立ち向かわなければならなかった。 哨戒艇が、「襲撃」を意味する旗と北朝鮮海軍旗を掲げて最高速力を出した。
それに続いて(と言うか追い越して)2隻の砲艇がつっかけていく。 「撃て!」 曳光弾が闇の海に放たれた。 日本側では 「お、軍艦か! 」 小さな驚きが走った。
銃撃音が轟いた。
小さな弾丸の破片が村木のこめかみを直撃した。 続いた連射が甲板で取材していた情宣長を波間に叩き落とした。 「反撃! 小さい奴をやれ」 ダッダッダ…銃声が轟く。 2隻の砲艇は穴だらけになり沈んだ。 哨戒艇はそれよりは執拗に日本側と交戦したがやがて波間に姿を消した。
775 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/23(月) 17:08:45.18 ID:9uz3KEnd
「ようし、次はタグだ」 三隻から注がれる徹甲焼夷弾がタグボートをなめるように襲った。 たちまち火の手が上がった。
776 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/23(月) 22:55:17.45 ID:9uz3KEnd
叫び声を上げながら、タグボートの船員たちは真冬の海に飛び込んで行った。 無残な光景だった。 「撃て! 」 サリウォンで待機していた射手は今見た悲惨な光景を忘れたかのように夢中で引き金を引いた。 パン 気の抜けたような音とともに弾丸が一発だけ発射された。 「アイゴー! 」 弾薬の管理など、無意味な放置された艦に望むべくもなかった。まだ砲艇や哨戒艇には新品の弾薬が 優先的に配備されていたがむなしく港に錨を入れている船にそうそう実弾は回ってきはしない。 射手は、咄嗟にするべき事は排莢、再装填の動作だったのだがそれはせずに海へ飛び込んだ。 一瞬後、北朝鮮のコルベットを銃弾の嵐が襲った。
駄目だおっぱい娘が頭から離れません
778 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/24(火) 23:05:48.53 ID:tdPn7mVm
と最後に口走った水兵は、機銃弾にズタズタにされた。
779 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/25(水) 20:34:27.38 ID:KOga5srk
射撃から数秒後のサリウォンの艦内は地獄のようだった。 五体満足な将兵は必死で露天甲板を目指した。
780 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/26(木) 19:53:18.18 ID:e1eQOGIN
小早川が勝利を確信した瞬間、サリウォンから対潜ロケットが全て発射された。 「おお! え? 」 ロケットは榊原以下のショットガンズ アンド チェインソーズがいる松林に吸い込まれるように 集中し爆発した。 「ああっ! 」 「やったぞ、フハハ…」 崔は満身の笑みを浮かべた。
ロケット弾の炸裂で轟々と巻き上がった煙りがやがて消え失せた 松林も今はたった一本を残すだけとなっていた 松の根本に佇む人影が映った 「あっ!あそこに見えるのは国士“いちろう おざわ”じゃないか!」
782 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/28(土) 06:49:57.61 ID:d63kdneG
テスト
783 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/28(土) 06:52:40.36 ID:d63kdneG
小沢は言った。 「この戦争を終わらすのはオレだ」 彼は、愛用のG3A1自動小銃に着剣すると飛ぶように走りだした。 その後、彼の姿を見たものは誰もいないという
784 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/28(土) 19:08:13.71 ID:d63kdneG
その頃、平壌 金正恩の車列が朝鮮中央放送に向けて出発した。 金正恩はベンツに乗っていたが、前衛は装甲車、後衛は装甲兵員輸送車と言うものものしさだ。 取り巻き連中も、別の兵員輸送車に乗っていた。 車列はゆっくりと進んでいく。
785 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/28(土) 19:11:38.11 ID:d63kdneG
「テレビ放送用の原稿は? 」 「ここにございます」 喜び組のトップがうやうやしく原稿を差し出した。 「うむ…」
786 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/28(土) 19:15:25.75 ID:d63kdneG
「な、なにぃ! 『私は、日本国政府と国民に対し、土下座して謝罪いたします』だと」 「そう言わないと、平壌が空爆されて廃墟になると張同志が」
787 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/29(日) 17:18:45.32 ID:p7wpSoiE
「そ、そんな事…」 金正恩が絶句していると、車載電話が鳴った。 「もしもし? 」 「偉大なる後継者様、空軍司令部です」 「なんだ」 「レーダーがすべて、妨害電波でアウトになりました」
788 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/29(日) 17:21:27.67 ID:p7wpSoiE
「な、なんだと? 」 「空爆の危険が…」 実際に平壌上空にいたのは新富岳試作機だった。 「オラオラ〜デコイ一号射出! 」
789 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/29(日) 20:10:06.96 ID:p7wpSoiE
デコイは妨害電波を流しながらLEDで自分自身をライトアップして飛んだ。 「続いて、模型飛行機! 」 アルミで十分な反射体となっている模型飛行機が十機射出された。これらの後部には ペンシルフレアがついており見た目には飛行機が飛んでいるように見えた。
790 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/30(月) 15:42:02.73 ID:PC9lzWJF
「お次は南極1号だ」 風船の兵隊人形が五十、カーゴベイから流されていく。 タイムスイッチに直結された爆竹が、けたたましい音を立てた。 地上では、想像を絶する大混乱だった。
791 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/30(月) 15:45:31.24 ID:PC9lzWJF
もちろん、南極の名前が付いていてはいるもののその機能はない。 だが、地上から見る限りでは… 「覆面グライダー! 」 兵士に動揺が走った。いや、兵の中には咄嗟に逃亡を図るものもいた。
792 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/30(月) 16:11:39.56 ID:PC9lzWJF
脱走するついでに、目に付いた商店を略奪する。 「ウオー、こんなにもいいモノが! 」 平壌市内は地獄となった。
793 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/04/30(月) 19:52:12.17 ID:PC9lzWJF
平壌にも警察はいたが、武装した兵が略奪に走るといった事態には対応できなかった。 「金同志! ここは一旦地下基地へ 」 「いや…」
794 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/01(火) 19:32:08.53 ID:fcxaxRCp
「は? 」 「平壌空港に行く。創価学会のチャーター機で平壌を脱出する」
795 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/01(火) 21:34:00.00 ID:fcxaxRCp
「しかしそれは…」 「日本の目を逃れればいいのだ」 「ははっ」 側近らは、もはや金正恩に跡目を継ぐ器量がない事を悟った。 大混乱状態の首都を捨てての脱出である。もはや王朝はついえたと言ってもいい。
796 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/01(火) 21:43:35.89 ID:fcxaxRCp
しかしそうとなれば、脱出に同行する事が必要となる。 側近らは「偉大なる後継者」のご機嫌を取った。
一方ロケットの斉射から辛くも逃れたショットガンズ一行はいちろうを伴い 鹵確したトラックで北朝鮮の包囲を突破し一路平城を目指す いちろうの手にするG3SG/1が火を噴く度に北朝鮮軍兵がもんどりうつ たいしたもんだと榊原が呟く
798 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/03(木) 18:15:07.84 ID:RIT1fnc7
大体、北朝鮮兵士は逃げ腰だった。 それは当然である。もはや平壌は空爆されていて脱走兵が略奪に走っているという その平壌を命がけで守るなど、元から栄養不足で戦意のない北朝鮮兵がするはずもなかった
799 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/03(木) 21:41:23.41 ID:RIT1fnc7
その時点から少し前に、本隊である覆面グライダー隊はつつがなくグライダー着陸を終え ミサイル都市の直前まで進撃していた。 阻止しようとする北朝鮮軍はいない。本来ここには多数の陸軍部隊がいるはずだったが みな逃げてしまったようだ。
800 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/04(金) 11:42:50.65 ID:I5lIrbA4
「隊長、目標です。」 「うむ、RPG用意」 岩盤の割れ目に収まっているミサイルが目と鼻の先に見えている。
801 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/05(土) 05:50:43.09 ID:IFpbjE/I
シュッ… 小さな発射音とともにロケット弾が発射された。 続けて第二弾が発射されたが、それが弾着する前にターゲットは轟音とともに 火達磨になった。 ロケットの燃料は容易に発火する化学薬品なのである。 「エスエフゼロワンへ、こちらウルフゼロワン、花が咲いた、繰り返す、花が咲いた」 士門は衛星電話で遠い東京に電話した。そこから直通でエスエフすなわち新富岳部隊に中継される手はずになっていたからだ 「ラジャー、姿勢を低く、耳にあらかじめ用意した耳栓をして待機」
802 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/05(土) 05:55:47.30 ID:IFpbjE/I
ほぼすぐに、空からロケット弾の雨が降り注いだ。 ミサイル群はすべて、炎の海に包まれた。 本来の覆面グライダー隊の任務の中にはロケット攻撃を免れたミサイルの破壊が 含まれていたが、それは全く必要がなかった。目視できる限り全てのノドンが破壊されていた。
803 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/05(土) 07:08:32.48 ID:IFpbjE/I
「エスエフゼロワンへ、花畑は完成、花畑は完全に完成」 「ラジャー、ウルフゼロワン…」 少しの沈黙があった。 「健闘を祈る、エスエフゼロワンアウト」
804 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/05(土) 13:52:25.19 ID:IFpbjE/I
「放射能は? 」 「安全値です」 「まあ、念のために風上に移動しよう」
805 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/05(土) 21:17:45.32 ID:IFpbjE/I
彼らは少し移動した。 「これからどうします? 」 「平壌見物でもするか? 」 その時、衛星携帯が鳴った。 咄嗟に、防衛省の地下センターからの再度の確認かと思った士門は電話に出た。 「もしもし、こちらウルフゼロワン」
806 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/07(月) 06:37:31.83 ID:w4Wlnmlq
「伊勢マルコです」 「マルコ? どうして? 」 「説明は後で、今ショットガンズ アンド チェインソーズとトラックでそちらに向かっています」 「ええ? 」 「脱出できますよ」
807 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/07(月) 21:09:53.15 ID:w4Wlnmlq
覆面グライダー隊は平壌行きを中止しショットガンズと合流することにした。 トラックはすぐに来た。 おざわは「よう、乗りな」と言った。
808 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/07(月) 21:11:17.98 ID:w4Wlnmlq
「日本海を目指すぞ」 「おおー!! 」 トラックは走りだす。 一方平壌では…
809 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/08(火) 20:10:19.93 ID:sXvWTcJJ
偉大なる後継者の車列が平壌空港に向かいだした。
810 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/09(水) 21:25:49.62 ID:+l2Z7DYu
一方、その平壌空港では、チャーター機の中でリオンは監視兵が急に空港ビルのほうをちらちら 見るようになったのに気がついた。 …チャンス! 監視兵はAK74Sを持っており、コクピットに一名、客室に二名しかいなかった。 さりげなくリオンはトイレにでも行くようなそぶりで立ち上がると、手近の監視兵の延髄を包丁で突き刺した。 あっさりと倒れる監視兵を近くのシートにほうりこむともう一人の監視兵に忍び寄る。 振り向いた監視兵の喉を欠き切るとそのままコクピットに行きそこの監視兵もあっさり始末した。
811 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/09(水) 21:29:20.90 ID:+l2Z7DYu
「よし、機体を奪還したぞ、ただちに離陸だ! 」 「いやしかし先生が…」 「おまえもこの監視兵のようになりたいのか、オレが手を出さなくても 付近には無数の北朝鮮兵がいるんだぞ」 パイロットは渋々エンジンを始動させた。
812 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/12(土) 17:05:00.89 ID:MEddh/Bc
偉大なる後継者の車列が平壌空港に突入するのと、チャーター機が離陸するのとには 微妙なタイムラグがあった。 管制塔は、金正恩が乗り込んだのかと勘違いして離陸を見守っていた。 「なに! 」 金正恩は驚愕の目で離陸していくジェットを見た。 「そ、そんな…」
813 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/12(土) 18:43:01.72 ID:MEddh/Bc
「お、おい、スティンガーを持ってこい」 「ええっ! 」 金正恩の命令に部下たちは驚いたが、ただちに携帯式対空ミサイルスティンガー は持ってこられた。 「偉大なる後継者様、今はこの一発だけしかありません、誰か他の者に…」 「うるさい」 金正恩はスチャっとミサイルを構えた。 「砲撃の天才」として、金正恩はミサイルの撃ち方も学んでいたのである。
814 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/12(土) 18:55:30.72 ID:MEddh/Bc
その時だった。 「ンモー」 池田大作の繰り出すネギチャリが金正恩の頭に炸裂した。 「ガッ」 続いて繰り出されたネギチャリはスティンガーを直撃した。 …ガシッ 嫌な音がした。 …もう発射は無理だな 池田大作は振り返った。 金正恩がピストルを抜くのが見えた。 …城久 銃声ふぁ轟いたがそれはジェットの轟音でかき消された。
815 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/12(土) 19:51:55.67 ID:MEddh/Bc
その轟音が鎮まるのを待って、一人の男が空港の公衆電話に向かって言った。 「飛行機は行ってしまいました。今です。張沢民同務」 張の放ったスパイは金正恩の車列が空港に入ってきたのを見たし、チャーター機が離陸したのも確認していた。 彼は任務を忠実に遂行していた。彼が報告し得なかったのはただ一点、そのチャーター機に 「偉大なる後継者」が乗っていなかった事だった。
816 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/13(日) 05:43:48.09 ID:w1exabO7
訂正 誤 張沢民 正 張成沢
817 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/13(日) 11:32:53.40 ID:w1exabO7
チャーター機は韓国領空でスクランブルしてきたF4によって空軍基地に着陸させられた 空軍憲兵たちが集まってきた リオンは、投降を決意した AKで血路を切り開けるとは思えなかった 彼はチャーリーに言った 「お世話になりました」 「こんなことになって残念だ」 それからリオンはリンダに言った。 「君の本名は何て言うんだい? 最後に聞きたい」 その返事は驚愕の物だった。 「山本リンダ」
818 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/13(日) 12:08:42.32 ID:w1exabO7
「え! 」 「名字は山本なの、リンダは、これから国際的に通用する名前をという願いと やはり有名な名前の芸能人にあやかりたいという考えから、母がつけてくれたのよ」 ややあって、山本リンダは言った。 「あなたの本名は? 」 「本名はない、俺には名前がないんだ」 憲兵隊がやってくる…名前のない男は観念した。 「終わったな…」
819 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/13(日) 16:29:07.82 ID:w1exabO7
一方、覆面グライダー隊とショットガンズ、アンド チェインソーズとおざわいちろうは 高速艦に分乗して日本海を走っていた。 「対馬を目指すんだ」 「了解」 サリウォンから脱出した白上将は座礁して動けないフネを見た。 彼は、孫にも内緒にしていたのだがこのフネの艦長だった時があった。 思い入れのあるフネだった。あの頃は輝いていたし、はるかウラジオストックまで行ったこともある。 むろん、この「はるか」という表現を日本の同業者が聞いたら鼻で笑うだろう。
820 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/13(日) 16:39:29.57 ID:w1exabO7
彼は崔を振り返って言った。 「貴様を逮捕する」 「え? 」 「見方部隊を殺傷した罪でだ。孫、縄を調達して来い」 「分かりました」 「そんな…」 平壌は混乱の極みであった。 出動した部隊同士が同志撃ちを演じた上に脱走兵も部隊に対し発砲したので もう銃撃戦の嵐であった。 しかも、確かに確認できたのはビニールの人形であっても、本物が降下しなかったとは 誰にも確認しようがなかったし、本物が降下するならこれぐらいのトリックは常識なのだから 状況は一層悪化した。
821 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/14(月) 22:01:15.56 ID:vN00l+qI
新富岳の編隊は日本海に抜けようとしていた。 「わずかなロスタイムがあります」 「コ・パイロット…ロケット燃料は残っているな? 」 「はい…」 「噴射だ」
822 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/14(月) 22:04:26.00 ID:vN00l+qI
池田大作は、婚姻届を確かめるように身じろぎした。 これが受理されれば池田大作と言う個人名は消えてなくなる。 池田大作の死 だ。 ロケットが炎を噴いた。
823 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/15(火) 06:31:25.26 ID:UWwrZRQa
尹優姫は包帯所で血まみれの特殊戦部隊兵士を必死に捌いていた。 …ああ、こんな事になるなんて ロケット弾攻撃が痛かった。それも聞いた話だが海軍の同志撃ち攻撃だと言う。 …最低だわ ふと、優姫が空に目をやると流れ星が見えた。 …ああ、平和が来ますように 娘は恋人の容体を再確認しようと思った。 平和が大事だ。今回は偶然から彼氏は奇跡の生還を果たしたがこの先も戦争が続くなら そんな偶然は期待できない。 …軍を辞めてと言ったら彼がどういう反応をするかしら それは嫌だと言うのではないだろうか …ああ、平和が来ますように 娘は真剣に祈った。
824 :
政教一致@大阪 :2012/05/15(火) 15:14:35.21 ID:b+mrrg8g
その頃東京では
825 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/17(木) 10:30:50.41 ID:JDFdvxtT
漆原国防大臣が安堵の声を上げていた。 「やったか」 「はい、衛星から確認が…」 それを告げる政教一致@東京の声にも感情がこもっていた。 「やりました、やってくれました」 「そうか、うん」
826 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/17(木) 14:41:08.67 ID:JDFdvxtT
漆原の瞳にも熱い物があった。 誓いは達せられた。尊い犠牲の上に… 「大臣! 」
827 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/18(金) 06:45:31.01 ID:nWAeBUqN
「ん? 」 「SATガ正門の前に! 」 「はあ? 」
828 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/19(土) 23:20:37.62 ID:nyF2bOJs
野田総理はSPに囲まれてSATの後方にいた。 防衛省の守衛は非武装だが一歩も引かない。 SATも銃撃する訳には行かないのでにらみ合いが続いていた。
829 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/19(土) 23:51:05.93 ID:nyF2bOJs
皆川正俊と政教一致@東京と美少女が漆原のそばに集まった。 「とうとう、来たか」 「大臣? 」 皆川正俊が言った。 「伝説を知っているか」 「はい」
830 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/19(土) 23:54:40.20 ID:nyF2bOJs
「ここに守り手の話あり その者、罪と穢れを身に纏いて灰色の地に追いやられたり。しかして失われし平和への道筋を示したり。 ついに人々を尊き平和の地に導きたり 人は言えり、「かの人を見よ」 また、証人も立っていわく、「彼の兵は笑って地獄へ行き、われらここに地上の楽土を見る、なんぞ彼に罪のあるや」 しかして彼は戻らず、人々は彼を忘れたるが、その忠勇武功は平和の中にありてわれらを守る物。 守り手を語れ、平和は彼とともに来たり 守り手を語れ、平和の裏の犠牲を忘れてはならない 」
831 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/20(日) 00:02:26.19 ID:GwuoQ17/
「つまり、「その者」が「罪と穢れを身に纏いて灰色の地に追いやられ」 「人々は彼を忘れたる」と言う究極の刑罰を受けることにより、「人々を尊き平和の地に導く」 事が出来るのだ。」 「ええ? 」 「伝説は予言であり、予言は伝説なのだ」 「そんな…」
832 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/21(月) 13:14:04.05 ID:9v7q2iBV
「平和とは何だろうか? 戦争のない状態? しかしそれは守り手がいなくても発生するべき 自然の状態ではないのか」 「大臣」 「行かなくてはならない時が来たようだ」 美少女が言った。 「大臣」 「なんだね」
833 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/21(月) 13:15:46.31 ID:9v7q2iBV
「私は「証人」の役を? 」 「ああ そうだ。よく気がついたね」 「その前に、歌を歌います」 「え? 」
834 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/21(月) 13:22:23.55 ID:9v7q2iBV
やまとは くにのまほろば たたなづく あをがき やまごもれる やまとしうるはし やまとは くにのまほろば たたなづく あをがき やまごもれる やまとしうるはし
835 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/21(月) 13:33:30.33 ID:9v7q2iBV
「わずかな人数の前ですが、歌を歌いました。あなたの事は「人々は彼を忘れたる」ではありません」 「それは…」 漆原は絶句した。 「大臣」 政教一致@東京は言った。 「もう大臣ではない」 「は、しかし…首相が来ています」 「なんだと」
836 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/22(火) 06:05:55.16 ID:eMvUIvn0
漆原と野田はピシャリと閉められた正門ごしに対面した。 「首相、ここに辞表が…私はもう大臣ではありません」 「受け取る」 封筒が門越しに渡された。
837 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/22(火) 06:11:58.00 ID:eMvUIvn0
「とんでもない事をしてくれたな」 「…はい」 その時、美少女が言った。 「総理、彼の兵は笑って戦場に行き、私たちはまだ生きています。防衛大臣としての職責を 果たすことが罪でしょうか」 野田は悲しそうな目で漆原と少女を見、低い声で言った。 「『その忠勇武功は平和の中にありてわれらを守る物』だが、日本国憲法に違反している」
838 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/22(火) 06:19:56.41 ID:eMvUIvn0
「戦争はしないと憲法で定めた。それを破って勝手に兵を動かした それは罪だ。兵には、それぞれ守るべきもの、戦わなければならない理由があっただろうが それを利用する事は穢れた行為だ」 「はい、総理、謹んで警察に身柄を拘束されます。ただ、部下に二三どうしても 指示しないとならない事項がございます。兵士の帰還に関する事です」 「それは待ってもいい」
839 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/22(火) 13:38:54.37 ID:eMvUIvn0
漆原は政教一致@東京に尋ねた。 「実施部隊の帰還はどのような状況か? 」 「は…問題はありません」 「周辺諸外国の動きは? 」 「ノーマルです」 「平壌は? 」 「大混乱のようです」
840 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/22(火) 17:13:58.32 ID:eMvUIvn0
「そうか」 「それと、SGIのチャーター機が平壌を脱出して韓国に緊急着陸したそうです」 「ほう…まあ、それもいいだろう」 漆原は夜空を見上げた。 同じころ、山田さんちのポチも夜空を見上げていた。 平和だった。ポチは身の回り十メートルの平和を噛みしめていた。
841 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/26(土) 11:41:40.64 ID:zOx4RVUf
「皆川! 」 「はっ! 」 漆原の声とともに皆川正俊は懐に手をやった。 SPが素早く動いたが、皆川が出したのは泡盛のポケットビンだった。 漆原はそれを嬉しそうに飲み干すと、「正門を開けろ」と守衛の班長に命じた。 「は! 」 正門は開かれ、漆原はSATに包囲された。
842 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/26(土) 11:43:43.10 ID:zOx4RVUf
「それでは諸君、行こうか! 」 漆原は颯爽と歩き出した。
843 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/26(土) 17:21:38.13 ID:zOx4RVUf
政教一致@大阪版 池田大作の死 北朝鮮バージョン 完結!
844 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/26(土) 19:16:41.84 ID:zOx4RVUf
作者あとがき このお話の根底となる部分は以前から温めていました。 ただ、当時は北朝鮮をネタにするべきではないと考えお蔵入りにしていました。 しかし、「半島有事」があり現実の軍事的状況があったので作品にしました。
845 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/05/26(土) 19:20:26.07 ID:zOx4RVUf
この話の本当の主人公は漆原です。 私は長い休眠にまた戻りたいと思います。 このスレももう845 次にスレがたつのかどうか? とにかく、ご愛読ありがとうございました。
846 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/06/09(土) 07:58:55.27 ID:NyTHFv4C
1000目指せ
847 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/06/09(土) 15:23:51.60 ID:YbxSstVv
ついでに… 「幸せの使者」は、作者から見て傑作
848 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/06/09(土) 20:03:17.23 ID:YbxSstVv
全くの余談ですが、作品の中に出てきた武器の内、思い入れがあると言うか印象に残っているのは ウェブリー・フォスベリーと26年式回転式拳銃空挺部隊仕様です なお、ブローニングは良く出てきます。M1922など「拳銃図鑑には必ず載っているがまずは出てこない銃」 も出てきます。
また、全くの余談ですが「ニョビタと幻のブルマー王国」は自分から見て傑作だと思えるようになりました。
851 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2012/07/19(木) 13:42:18.67 ID:kK6jqtZM
上げ
創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね 創価タヒね
853 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/09/30(日) 14:43:33.92 ID:X17CpIz/
は?
854 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2012/10/14(日) 20:04:16.72 ID:VBLTPGI0
うん
民主はもう終わりだし、自民に戻っても前と変わらないだろうし、幸福実現党あたりで一発逆転出来ないかな。 なのにあまり政策が知られていないのって何故?
856 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/02/23(土) 20:02:52.42 ID:V9bqMtuB
age
857 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/05/14(火) 15:12:04.10 ID:zYDZ0ghC
もっとつくって
858 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/08/10(土) NY:AN:NY.AN ID:FbpdLKrx
いいねえ
859 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/09/12(木) 21:08:39.91 ID:VE9/DZyr
保存
860 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/09/22(日) 09:35:38.68 ID:Qynp8I8k
実はエロ小説を執筆中です
861 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/13(日) 19:36:55.03 ID:NYdqiKzS
政教一致@大阪版 「桃太郎」 むかしむかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。 ある日、おじいさんは山へしばかれに、おばあさんは川へ悩殺水着を披露しに行きました。 山ではおじいさんが悲鳴を上げていました。 川では村の民が悲鳴を上げていました。 するとそこへ、異常に大きい桃が「どんぶらこ、どんぶらこ」と自分で言いながら流れてきました。 おばあさんは「Chernobyl Nuclear Power Plant(核廃棄物が…)」と呟きましたが、その桃を家に持って帰りました。 おじいさんがしばかれまくって家に帰ってくると、おばあさんは言いました。 「fuk'n jap…(おじいさん…)」 ちなみに、おばあさんの口癖は「Fuck!」「Kill you!」「Go to hell」でしたが今回はこう言いました。 「This is a monster and you are yellow monkey(これは化け物です)」 「なんだと、化け物!」 おじいさんはびっくりしましたが、とりあえず手っ取り早く桃を始末しようとナタを持ってきました。 そして、「怪しい桃め!」と言ってナタを振りおろしました。 すると、中から人間の赤ん坊が出てきました。
862 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/13(日) 19:38:08.23 ID:NYdqiKzS
おばあさんは言いました。 「OH! no eat fuck!(なんだよ、食えねぇじゃねえか)」 おじいさんは言いました。 「てめえは人間じゃねえ、叩き切ってやる」 しかし、二人はもっと年をとった時に介護してくれる人間が必要な事に気がつき、赤ん坊に桃太郎と言う名前を付けて育てる事にしました。 それから十五年が過ぎました。桃太郎は近所では知らないものはいない、ごんたくれかつ変態に育ちました。 桃太郎は山へ近所の人たちを連れて行ってはしばき、川へ行っては自分のXXXXを見せびらかす始末です。 桃太郎はついに軍隊に放り込まれ、そこでショットガンとチェーンソウと手りゅう弾の訓練を受けました。 村へ帰ってくると、桃太郎は何をどう勘違いしたのか、「鬼退治に行く」と言いだしました。 おじいさんとおばあさんは厄介払いが出来るとばかりに桃太郎を送り出しました。 所持品は食料にと渡されたキビ団子だけです。
863 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/13(日) 19:42:36.72 ID:NYdqiKzS
そこへイヌがやって来ました。 「ワンワン、怪しい奴」 桃太郎はにやりと笑って言いました。 「犬鍋は美味いらしいな」 イヌは脅し上げられて桃太郎の家来になりました。 そこにサルがやって来ました。 「ウッキー、怪しい奴」 桃太郎はにやりと笑って言いました。 「東南アジアでは猿の肉は美味いと言ってみんなが食べると聞くな」 サルも脅し上げられて桃太郎の家来になりました。 そこにキジがやって来ました。 「キジー、怪しい奴」 桃太郎はにやりと笑って言いました。 「ケンタに行く手間が省けたな」 キジも脅し上げられて桃太郎の家来になりました。
864 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/13(日) 19:44:52.37 ID:NYdqiKzS
桃太郎は海辺の漁村にやってくると手当たり次第に乱暴し、漁村の民からショットガンとチェーンソウと手りゅう弾をしこたま奪いました。 そして、漁村にとっては命の次に大切な漁船も奪って鬼が島を目指しました。 鬼が島に着くと桃太郎はなぜか河内弁で言いました。 「イヌ、ショットガンをもってこい、サル、チェーンソーにはダイヤモンドカッターをつけるんや、雉、手りゅう弾は全部、5秒ヒューズや、ええな、ぬかるんやないぞ」 「ワンワン」 「ウッキー」 「キジー」 「そうだ、お前たちにコードネームを授けよう」 家来たちは驚いた顔をしました。 「コードネーム?」 「そうだ、お前たち、敵に会ったときには正体を知られてはならない」 「は、はぁ…」 「イヌ、お前は、『見なかったことにしてくれ』だ」 「ワンワン」 「サル、お前は『あばれザル』だ」 「ウッキー」 「キジ、お前は『オレが自分で』だ」 「キジー」
865 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/14(月) 13:04:43.43 ID:FxUcjBSM
青鬼さんの前に、イヌが現れました。 「む、あやしいイヌめ」 「なんだとう、おれは「見なかったことにしてくれ」だ」 「はあ? ますます怪しい奴め!」 青鬼さんは一目散に逃げるイヌを追いかけました。 そうすると、ガチャンと言う金属音がして青鬼さんは足を取られました。 「ウギャー、虎ばさみだ!」 「ふはは〜馬鹿めが」 イヌは颯爽と去って行きました。 仲間の鬼たちが騒ぎを聞きつけて駆けつけてきました。 「ど、どうしたんだ」 「誰にやられた?」 「『見なかったことにしてくれ』『見なかったことにしてくれ』!」 「そうか」 仲間の鬼は帰って行きました。 青鬼さんが息を引き取ったのはしばらくたってからでした。
866 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/14(月) 13:06:20.71 ID:FxUcjBSM
赤鬼さんの前に、サルが現れました。 「おお? サルが…この島にはサルなどいない筈だが…しかし、東南アジアではサルの肉が美味いと言って高値で売れるらしいと聞いたぞ」 赤鬼さんはとりあえずサルを追いました。 すると、サルは棍棒で赤鬼さんに殴りかかりました。 「ガッ」 「ふはは〜サルだと思って油断したな!」 「な、なにぃ」 「オレは『あばれザル』だ」 サルは颯爽と去っていきました。 仲間の鬼たちが騒ぎを聞きつけて駆けつけてきました。 「ど、どうしたんだ」 「誰にやられた?」 「『あばれザル』があらわれた」 「なんだ、ドラクエのやりすぎか」 仲間の鬼は帰って行きました。 赤鬼さんが息を引き取ったのはしばらくたってからでした。
867 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/14(月) 13:07:17.20 ID:FxUcjBSM
緑鬼さんの前に、キジが現れました。 「む、美味そうな鳥だ」 「なんだとう、おれは、『オレが自分で』だ」 「な、なにい?」 「てぃ!」 キジは緑鬼さんの両目をかきつぶしました。 「ウギャー」 仲間の鬼たちが騒ぎを聞きつけて駆けつけてきました。 「ど、どうしたんだ」 「誰にやられた?」 「『オレが自分で』」 「そうか、自分でしたのなら仕方ないな」 仲間の鬼は帰って行きました。 緑鬼さんが息を引き取ったのはしばらくたってからでした。
868 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2013/10/15(火) 15:20:32.42 ID:IsRIvkkb
私は男が創価学会に入会は、しない言うたから子供をおろした
869 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/15(火) 16:15:59.95 ID:BUhi7WIy
え?
870 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/15(火) 19:08:01.48 ID:BUhi7WIy
「三匹は、つぶしたか…」 桃太郎はつぶやきました。 「しかし大将、まだまだ相手はいまっせ…」イヌが言いました。あやしい大阪弁でです。 「まかせておけ、おまえたちの活躍で鬼が間抜けな事は十分分かった」 「はあ…」 「これから鬼の本拠地に行く。そこでこれからワシの言うとおりにするんや、ええな」
871 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/15(火) 19:08:51.80 ID:BUhi7WIy
鬼たちは山の中にある広めの草地に集まって祭りを開いていました。 女子供もいます。老人や病人もいます。しかしみんな楽しそうです。 そこへのこのこと桃太郎の一行は入って行きました。 「おう、何奴! 」 「旅の芸人一座でして」 「ほう、してどんな芸をするのか」 「は、まずは一人と二匹と一羽が入れる穴を掘ります」 ザックザック… 「ほうほう、して? 」 「次にこう…」 「おいおい、手りゅう弾ではないか、安全ピンを抜いたら危ないぞ」 「ファック! 」
872 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/15(火) 19:10:06.72 ID:BUhi7WIy
ドーンドーン、爆発音が島中に響き渡りました。
873 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/20(日) 18:58:20.66 ID:RzdBjUbW
見張りに出ていた三色旗鬼さんが戻ってきました。 「ハイール池田大作」 「ハイルイヌサク」 「ハイルカスサク」 「キルユー」 桃太郎はショットガンの引き金を引きました。
874 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/10/25(金) 19:44:07.30 ID:cdbQMBVl
「こ、子供だけは…子供だけは…」 母鬼さんが哀願します。 「ファック」 桃太郎はチェーンソウのスターターコードを引っ張りました。 ウインウイン 血しぶきが飛びました。
875 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/11/04(月) 22:31:47.28 ID:YW+xLJNY
「お、お前ら…」 最後に残ったリーダーらしい鬼が言いました。 「Go to hell」 桃太郎はショットガンの引き金を引きました。 その瞬間です。 桃太郎は自覚しました。
876 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/11/04(月) 22:34:57.36 ID:YW+xLJNY
…俺は鬼よりも強い そして鬼よりも凶暴かつ策士だ。 しかしそんな俺って…いったい何だ?
877 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/11/04(月) 22:37:09.10 ID:YW+xLJNY
「うーうー」 「ごっほごっほ」 「キジー」
878 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/09(月) 13:05:36.82 ID:smgs5niN
手下たちは狂ったように吠え叫びました。 桃太郎はふと我に返って言いました。 「お前たち、ご苦労だった。とりあえず、腹が減ったであろう」 そう言われればそうです。二匹と一羽は頷きました。 「ほれ、ここにキビ団子がある。もちろん、そこいらの洞窟を探せば 御馳走も宝物も山のように出てくるであろうが当座の腹の足しにこれを食え」 二匹と一羽はありがたくキビ団子を受け取るとガツガツと食べました。
879 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/09(月) 13:07:18.57 ID:smgs5niN
「ガッ」 「ウグウ」 「き、貴様! げほっ」 手下たちは血反吐を吐いて死んで行きました。
880 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/10(火) 08:23:47.02 ID:IuzLsFcI
「やはりか…」 桃太郎の目つきが変わりました。 そのころ… 「Help me!」 「だれがヘルプか、おい、ババ、ファッキンジャップぐれえ分るよ」 おじいさんはオノを手にじりじりとおばあさんににじりよります
881 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/10(火) 08:30:06.00 ID:IuzLsFcI
「Oh NO!」 「そうだよ、これはオノだよ…ずっとずっと馬鹿にしやがって! 覚悟しやがれ」 振り下ろされたオノを年齢には似つかわしくない素早さでよけると、おばあさんは 嫁入り道具の入った長持ちに手をやりました。そして中からショットガンを出しました。 スチャッ シャキーン 銃声が轟きました おじいさんが吹き飛ばされます 無表情でぼろぎれのようなおじいさんの死体を見下ろすおばあさんでしたがやがて…
882 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/10(火) 08:32:31.80 ID:IuzLsFcI
「桃太郎」 かすかにつぶやくと、おばあさんは立ち去って行きました。 桃太郎 完
883 :
政教一致@大阪 :2013/12/24(火) 06:29:17.78 ID:CI+3QIC0
クリスマス連載 サンタクロース
884 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/24(火) 09:51:25.29 ID:2ukFRYzT
「ねえ、サンタさんはいつ来るの? 」 長井ちひろは母の明美に尋ねました。 「そうねえ…」 この娘は中学生にもなってサンタさんが実在すると思っているのかしらと明美は思いました。
885 :
政教一致@大阪 :2013/12/24(火) 19:26:59.39 ID:CI+3QIC0
「真夜中になったら来るわよ」 「ふーん」 「ドアをドガッて蹴り開けて」 「え」 「悪い子供はいねがー泣く子供はいねがーと言いながら・・・」
886 :
政教一致@大阪 :2013/12/24(火) 19:47:59.72 ID:CI+3QIC0
わおーん・・・とペットのシベリア狼のポチが吠えました。 「それで? 」 「そしたら絶対目を合わせちゃ駄目よ」 「え? 」 「目を合わせたら『何メンチ切っとるんや、この赤い服はな、逆らった子供の返り血で染まっとるんや』と難癖つけられるわ」 なんだか東北から大阪にワープしたサンタクロースでした。
887 :
政教一致@大阪 :2013/12/24(火) 20:51:41.11 ID:CI+3QIC0
「じゃ、逃げたらどうなるの? 」 「最悪よ! 表で待機しているトナカイに『ヤッチマイナァ』とキル・ビルみたいに命令するのよ」 「それじゃ…」 「それからサンタクロースは哀れな子供の玩具を全て奪って夜空にソリで消えて行くのよ!」 「恐ろしい」 「だから今夜は早く寝なさい。」 「うん、お休み」 夜、ちひろは夢を見た。空を飛んで哀れな子供から無理やり玩具を奪う夢だ。 翌朝になっても彼女には夢が悪夢かどうか良く分からなかった。 完
888 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/31(火) 13:52:19.22 ID:d7SQ94Aq
作者より 今年も終わってしまいますねえ
889 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/31(火) 16:31:18.06 ID:d7SQ94Aq
実は、全く学会とは関係のない長編小説を試作しています。 アクション小説です。 もともと、日本国内の、それもきわめて一部の地域に限った局地戦を描いてみたいと 言う考えがありましたが当節では敵の設定が北朝鮮か、イスラム原理主義の過激派で「なければならない」 みたいなところがありまして、自分も北懲ものを描いたわけですからここは、意地でも 違う敵を描かなければなりません。 主人公も、正義のヒーローではなく、普通の人でもない人物を描きたいと考えていました。
890 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2013/12/31(火) 16:37:44.48 ID:d7SQ94Aq
あらすじはこうです 日本赤軍の残党のような過激派グループに属する主人公らは山岳ゲリラ戦の 訓練中、突然謎の集団に襲撃される。反撃して脱出する主人公らだったが驚いたことに 敵は「明らかに創価学会以外の宗教団体」だった。 その後、潜伏生活に入る主人公だったが執拗に敵は追って来る。と言うか偶然が重なって 敵と主人公は出会ってしまう。すでに奈良の天理市を思わせる都市は壊滅し、大阪に宗教団体の 私設軍隊が迫って来る… と、言うものです
891 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/01/01(水) 07:42:19.77 ID:OJVes9+t
みなさん あけましておめでとうございます 本年もよろしくお願いいたします
892 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2014/01/02(木) 04:33:22.99 ID:lRaQSUmX
893 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/01/02(木) 15:01:46.82 ID:YftAPRPl
ホームページの方も、今となっては字のサイズさえ統一されていないなど問題がある サイトである上に更新が止まっており、かろうじてかなり前の池田大作の死が載っている程度で 最新とは言い難いのが実情ですがよろしくお願いします
894 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/01/07(火) 21:17:16.64 ID:QKrZczTA
ホームページちょっとだけ更新しました
895 :
政教一致@大阪 :2014/01/18(土) 18:38:39.71 ID:Ccakk+va
長編小説の方、調子に乗ってたらいつの間にか大長編小説になって来ました。
896 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2014/01/20(月) 21:41:56.59 ID:JxO7gurx
昨日の続きですが、最近何かに取りつかれたように作品に取り組んでいます
あらすじは
>>890 で紹介したとおりですが、仮のタイトルは
「人海戦隊チャイナマン/宗教大戦争」です
ひょっとしたら死ぬ前兆かも知れません。これまで創価を馬鹿にした小説を発表し続けましたからね
897 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/01/20(月) 21:42:50.82 ID:JxO7gurx
もし何か月も更新がなければ、死んだと思って下さい
898 :
政教一致@大阪 :2014/01/26(日) 08:48:59.38 ID:/ZqOEZ5a
小説のほうですが、今執筆中の「創価学会も公明党もでない長編小説」を大幅に加筆修正し連載することにしました。
899 :
政教一致@大阪 :2014/01/26(日) 08:56:47.79 ID:/ZqOEZ5a
創価学会は基本的に言論弾圧者です。 彼らはこの板を見ている。 例えば私が池田大作が熟女をレイプする小説を書けば待ってましたと名誉毀損で訴えるでしょう。 向こうの手に乗ることはないでしょう。
900 :
政教一致@大阪 :2014/01/26(日) 09:10:37.43 ID:/ZqOEZ5a
連載開始以来の方針の大転換になります。 もうしばらくお待ちください。 ちなみに久村はでない。都合上近藤春菜が重要な役で出ます。
901 :
魄鸚 :2014/01/27(月) 00:43:11.53 ID:MT/wBdLu
頑張ってください。
902 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/01/27(月) 11:44:06.67 ID:pJRIhLaf
魄鸚さんは今なにをしているんですか
903 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/01/27(月) 15:16:01.52 ID:pJRIhLaf
いや、魄鸚さんお答えになる必要はありません。危険がありますし良く考えてみれば 一人でも読者がいればそれだけで小説スレは成立します ありがとうございます
904 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/03(月) 11:58:46.71 ID:uvzTUvCF
近藤春菜を出す予定でした。だから設定も箕輪はるかが結核がせっかくな治ったのに別の病気になって死んでしまい、 菩提を弔うために宗教団体に入ったら頭の回転の良さを認められてスカウトされたと言う設定で、 吉本の人脈を使って情報を収集するとか角野卓造とか作者ものりのりで書いてたんですけれど、一点だけ問題がありました。 それは、荒れ果てた冬のホテルの庭で、本心から自分が醜いと思っている女の子(合コンで「エー私ブチャイクだからとヘラヘラ笑っているような子じゃなくて)が泣きながら 「どうせ私は醜いんだ、どうせ私は太っている。どうせ私は結婚できないんだ!」と 言うシーンがあったと言う事なんです。 近藤春菜は実在の人間で、これはあまりにもひどすぎるセリフですから (たとえその直後に奇跡が起こるとしても)本人と言う設定はあきらめざるをえませんでした。
905 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/03(月) 12:03:11.50 ID:uvzTUvCF
前田敦子も出ています。知らずに出したんです。ミスです。 しかし、置換を使えば差し障りのない名前にはできますが、そのまま使う事にしました。 容姿等々には触れないと言う事にしました。煙草吸いますが、それは大人だしいい事にしました。
906 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/03(月) 12:04:50.64 ID:uvzTUvCF
始めに 昔々、あるところに武装したサンタさんと勤勉なトナカイさんがいました。 サンタさんは急ぎます。遠くで泣いている子供の声がするからです。 プレゼントを積んだリヤカーを引いてトナカイさんは必死で走りました。 二人が子供たちの最後の希望なのでした。 実は北極にある秘密のおもちゃ工場からプレゼントを運ぶのはサンタさんではなくてトナカイさんなのです。 サンタさんは最後に煙突からプレゼントを配る係の単なる乗客なのです。しかしこの秘密がばれてしまうと彼らは死んでしまい永遠にクリスマスはこなくなってしまうのでした 桃山学院大学文学部出版局/政教一致@大阪をしのぶ会 2030発行 政教一致@大阪著 「トナカイの使命」より この物語は架空のものであり、登場する人物、団体、宗教はすべて実在しません。(特別に、どうしても必要のある場合に作者注がある場合を除く) また、題材がテロであるため、一部記述に、故意に誤りが挿入されている場合がある事をお断りしておきます 人海戦隊チャイナマン トナカイの使命 作 政教一致@大阪
907 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/03(月) 14:12:48.62 ID:uvzTUvCF
10月 ある晴れた一日 土曜日 長野県の山中にある廃村「竹前村」は武装テロ集団「行動隊」のアジトだった。 十月の深い青空がどこまでも広がっていた。 雨を心配していた涙田賢哉はほっとした表情で出発の用意を開始した。 山岳ゲリラ戦を想定した訓練…徒歩で山の中を歩きウエイポイント(中間目的地)を経由して目的地点に到達、模擬戦を行った後同じく徒歩で離脱するという想定だった。 模擬戦に使う武器はコルトパイソン回転式拳銃の4インチ銃身モデルだった。パイソンは微調整可能なサイトを持っている。すでに昨日の内に25メートルの射撃訓練場でサイト合わせは終了していた。 パイソンには強力な357マグナムと通常の38スペシャルの二種類の実包(弾丸)が使用可能だが今回はマグナム弾が使用されることになっていた。強力な弾丸を使用可能であることはパイソンの強みである。 もっとも、警察から実包を奪う事を想定すると警察のニューナンブ拳銃は使用実包が38スペシャルであり、パイソンはマグナムもスペシャル弾も使用できることにメリットがある。
908 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/03(月) 14:14:46.70 ID:uvzTUvCF
涙田は机の上に積み上げた他の携行品を、バックパックとウエストバックに詰め込んでいく。 食料や水と、ツェルトと呼ばれる簡易小型テントや寝袋、雨具、食器、地図とコンパス、ラジオとヘッドランプ、 サバイバルキットなどを詰めていく。着替えは下着一日分を用意してあった。 地図を検討しているとチームリーダーの大村がサブリーダーの浜中と一緒にやってきた。 「おはようございます」 「ああ……」 大村はもう50近いのではないのかと言う年齢だった。浜中もそれほどではないが中年だ。 「水村に先頭を行くポイントマンをやってもらうことになった。おまえはしんがりを頼むぞ」 「わかりました」 これが実戦ならポイントマンもしんがりも大事だが今回はただの登山だ。メンバーの一人、水村は精悍な三十代の男でガンマンタイプ、 射撃の腕もチームで一番だ、チームの残りの一人、大久保は三十代で武器の専門家だと言う事だった。撃った後のパイソンの手入れを一人でやってくれたから有難かった。 たった五人のチームだが、涙田らは今回のミッションでは残り三チームに負けないように頑張るつもりであった。 「全員、ぬかるなよ…そんなに寒くはないと思うが全員予備の軍手と軍足を持って行くんだ。使い捨てカイロも支給される分全部持って行く。新聞紙も用意しておけ」 大村の指示で準備は続けられた。
909 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2014/02/04(火) 10:30:58.18 ID:LcPYtc49
政教一致氏の大藪っぽい文章が好きだ
910 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/04(火) 16:07:36.82 ID:dFIDBZHW
一行は三十分後トラックで出発した。山奥の事前に設定された地点で下ろされ、そこから徒歩でウエイポイントに向かう。 水村は慎重に地図とコンパスでルートを定めながら進んで行った。一応チーム装備としてGPSはあったがそれは道に迷った場合だけ使う手はずになっていた。 大村が装備している。涙田も小休止ごとに地図を確認した。 順調に道ははかどっていた。途中の沢で清水も補給できた。 ウエイポイントまで後わずかと言うところまで来た。水村は前方の地形を確認するために少し立ち止まった。直接的な前方はなだらかな草地が広がっている。 歩くには何の支障もないがその向こうはかなり深い森だ。 と、かなり近くから銃声がした。拳銃の音ではなく機関銃式の連射音だ。パイソンではどうやってもこんな銃声は出せない。 「なんだ?」 「近いぞ」 大村の判断は瞬間だった。
911 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/04(火) 16:10:29.68 ID:dFIDBZHW
「ここを離れるぞ、水村、草地には出ず森の中を迂回して行くんだ」 全員、足早に森の中を進んだ。少し離れてから大村は小休止を命じた。 「大村さん、何でしょう今の銃声は? 」 「わからん、全員銃をすぐ抜けるところにホルスターをつけるんだ。わがチームは演習を離脱する、もし責任を問われたら俺が全責任を負う」 「はい」 「はい」 銃をすぐ抜けるようにするのと同じぐらいのタイミングでまた銃声がした。連射音だ。 「また……」 大村は銃声が消えて行くのを聞き終わると言った。 「今度は遠いな…水村、今後のルートだがウエイポイントは無視でルートを山の中深くに入って行くコースに取る」 「了解」 「山の奥に入るのですか? 演習アボート時の手順ではとにかく人家のある場所まで降りて本部に連絡し救出を待つことになっています」浜中が言う。 「無論、最終的にはそうする。しかし今はこの山中に少なくとも連射の利く銃を持ったチームが二つはいるようだ。まあ、常識的にはもっといるだろうし、連中も常識を働かせて俺達が演習アボート時の手順に従うと思っているだろう。その裏をかく。 バックパックは捨てない。捨てたら俺たちは遭難してしまう。むしろそのほうが怖い」 確かに、食料やテントなどを捨てたらたちまち困るのは自分たちだ。 歩き始めるとしばらくしてまた銃声が聞こえた。 「今日の演習は4チームのはずだな?」 大村が浜中に確認する。 「は……するともう、わがチームだけと言う事に?」 「そうだ、だが簡単にやられるつもりはない。奴らは焦って俺たちを探し始めるはずだ。当初の我々の予定にそってな、しかし見つからないとなると今度は山の中を嫌でもしらみつぶしに探さずにはいられないだろう。 しんがりは背後にもよく気を配れ、 最初にこっちが向うを見つければやりすごすなり待ち伏せするなり取る手はいくらでもある」
912 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2014/02/05(水) 01:48:27.50 ID:ZlwC1r+y
微妙に柘植久慶っぽい
913 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/10(月) 11:37:22.42 ID:mlu8EZ7l
山の中で涙田らは孤立無援の戦いを始めた。 一応携帯は持っていたがそれがこんな山の中でつながるはずもなく、ひたすら逃げるしかなかった。 彼らは山の中立ったままで昼食を兼ねた小休止を取った。昼食と言ってもカロリーメートのブロックと ペットボトルのお茶や水だった。食事と言えばチームは万一の場合に備えて非常食を含めて六食もの食料を携帯していた。もともと日没の時点で目的地に到達できない場合は夜間宿営訓練を追加オプション訓練として実施する予定だった。 夕食と朝食は必要物として携帯している。夕食は自衛隊のタイプ2型レーション、いわゆるレトルト飯で朝食は真空パックのカレーパンとカップラーメンだった。 昼食後、大村は近くの稜線に上ることを決めた。偵察とルートの選択を見極めるためであった。水村は油断なくパイソンを構えながら稜線に上って行き、そして顔色を変えて大村に合図した。 「……? 」 大村も山の上に上がっていき、振り返って上がってこいの手サインを送って来た。
914 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/10(月) 11:46:27.24 ID:mlu8EZ7l
涙田らが用心深く稜線に取りつくと、そこから向こう側の斜面下側、森林と草地の境界線に「敵」が見えた。 人数は七、八人、肩から銃らしいものを吊っている。服装は森林用迷彩服だ。先頭の一人は無線機のインカムらしいものに向かって何かをしゃべっていた。 独り言を大声で言っていると言う可能性もあるのはある。ここからではインカムは確認できなかった。後ろに続く者が無言なのは分かった。。 「命令と同時に一斉射撃だ」 大村の命令に涙田らはパイソンを抜いた。慎重に狙いを定めるが距離はかなりあった。涙田の実感では百メートルぐらいだ。 「撃て!」 大村は命じると自らも引き金を引いた。マグナムらしいと言うのか、テレビなんかの作り物ではない銃声が山中に響いた。涙田らも連射に入る。 あっと言う間に拳銃の弾は尽きたが、目をやると敵も全員倒れていた。不意を突かれ反撃の余裕もなかったらしい。
915 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/10(月) 11:50:21.37 ID:mlu8EZ7l
「よし、降りて行って銃を奪え」 涙田らは斜面を素早く降りて行った。涙田はかろうじて一発だけ弾を残していたが他のメンバーはどうなのかは分らない。 敵が一人でも生き残っていて銃の引き金を引いたら涙田らはそこで終っていただろう。距離は、最初の感じよりも近かった。50メートルぐらいだった。 しかし、幸いにも(敵にとっては不幸にも)生存者は一人だけでそれも虫の息だった。 「う、うう…」 死にかけの男は呻いた。涙田は「おい、しっかりしろ」と声をかけ男の血まみれの腹を止血しようとした。材料は他の、地面に転がっている死体から剥いだ迷彩服でだ。 「み、水をくれ…」 男が言うので涙田は一旦止血作業を中止して水筒から水をやった。一口だけにとどめる。大量に水を飲ませるとむせたりして危ないからだ。 「お前たちはいったい何者なんだ?」 涙田の質問に、もう重傷で意識も朦朧としていたのだろうし、答えればもっと水がもらえると思ったのかも知れないが男は言った。 「犬田先生の、親衛隊……頼む、もっと水をくれ……も、もう……」 「分かった、水だな……」 涙田には、もう止血が無駄な事は分かった。水をたっぷりと男の口に含ませる。男は死ぬ前のけいれん発作を起こし、死んで行った。 「犬田先生、だと……」 いつの間にか大村が傍らに来ていた。 「誰ですか、犬田先生って?」 涙田は言った。 「知らんのか? 生華(しょうか)学会の三代目教主、犬田代作(いぬだだいさく)の事だ」 「生華学会と言うと有名で日本一を自称している宗教団体ですね。創価学会とは違う宗教団体ですね」 「ああ、しかしなぜ学会が?」
916 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/10(月) 14:29:43.79 ID:mlu8EZ7l
大久保が両手に銃を持ってやってきた。 「敵の銃はウージー短機関銃です」 イスラエルが開発したウージー短機関銃は、1951年に開発された古い銃だと言う事だが今も世界各国で採用・使用されている。 信頼性や操作性に優れており、ストックを折りたためばコートの下に隠す事が出来るほどコンパクトになる。 「短機関銃か、先手を取られたら我々は全滅だったな」 大村は呟いた。 「ええ、銃は七丁あります」大久保は言った。 「んん? 敵は八人だろうがよ」 「一人は拳銃でして……おそらく指揮官は拳銃装備で無線を持っているんだと思います」 「無線はあるのか?」 「は、はあ……それが、壊れてまして」 「そいつは、持って行く…壊れていると言う事はこっちにしかわからない話だからな、牽制にはなる。途中のどこかで穴を掘って埋めてしまえ」 「はい、それで、銃を持って下さい、弾倉帯も……30連発のマガジンが入るタイプです」 弾倉帯はマガジンが4本とクリーニングキットが入るタイプだったが今はクリーニングキットの代わりにフラッシュライトが入っている。 「それと、指揮官らしき死体は金を持っていました」 「ほう?」
917 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/10(月) 14:36:15.60 ID:mlu8EZ7l
「現金で百万円、しかしこいつもその他のメンツも財布も携帯も持っていません」 「なんじゃそら?」と大村。かなり戸惑った表情だ。 「どうなんでしょうね……」水村が言った。 「大村さん、こいつだけは私物を持っていました、そのう、家族の写真です」 浜中が言ってきた。足元の死体はマグナムで頭を吹き飛ばされている。無残な死体だ。 「ふむ……」 涙田らは写真を覗き込んだ。それは幼い女の子が誕生日ケーキらしきものを前に微笑んでいる写真だった。それは彼らが問答無用で射殺した死体が家族もいる普通の人間だと言う証であった。 「これは戻してやれ」 大村は言った。 「それはそうと、水筒もなしか、こいつら、山を舐めてるな」 「山の中で百万円を指揮官らしいのが所持している、その一方、水筒もない、これは何なんでしょう」 浜中が言った。 「分らんな……全員に分配しよう。はぐれたりしたら迷わず里に下りて本部に戻るんだ、それには金が必要だ」 一応、涙田らは財布など最低限の私物は身につけていた。演習はあくまでも演習であり、また大村が言ったように万一の際には 人里まで降りて救援を待つと言うのが基本方針だった。だから、拳銃を装備というのもその方針に沿うものであった。部隊にはライフルやマシンガンもあったがそれらは隠し持てない。 人里に最終的には下りると言う想定では拳銃を装備するしかない。 ところが彼らの敵にはそのような制約はないらしい。おおっぴらに短機関銃(サブマシンガン)を所持している。 「ふむ、分捕った拳銃は水村が持て」 その拳銃と言うのはウージーと同じ9ミリ弾を使うワルサーP38だった。ナチスドイツの制式拳銃でありアニメのルパン3世に出てきた銃だが、 大久保によると正確には戦後に生産されたワルサーP1ではないかと言う事だった。 無線機は壊れていたが結構大型で通信距離も大きいだろうと言う予想がついた。 武装をして歩き始めると今までより重い武装がずっしりかかってくるのだがウージーの重さはさして気にならなかった。 むしろ、敵と対等に戦える装備と言う意識が強かった。 一応、安全装置はかけて、うっかり暴発しないように注意しながら彼らは山を歩いて行った。
918 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/11(火) 10:44:44.01 ID:rkBVzRz7
午後も遅くになると、一行は飯の準備に入った。と言っても、飯のレトルトパックに使い捨てカイロ式の加熱剤を添えて点火するだけの事だった。ただし、こいつは激しく加熱するので通常のカイロのようには使えない。 火傷してしまう。 タオルなどでくるんでおくのが普通のやり方だった。 日もとっぷりと暮れる時間帯にようやく大村はキャンプ地を指定した。 そして、夜間は移動しないと宣言した。 「夜の山は怖いぞ…昔、まだ俺がペーペーだった時、夜の山の中で迷子になってな。何回道を変えても同じ場所にたどり着くんだ。ぞーっとしたね。このまま山の中で死ぬまでさまよい続けるんじゃないかとな」 「は、はあ……」と浜中。 「夜間移動はなしだ。それに、夜間の移動をしたからと言ってこちらが有利になるかどうかは疑問だ。逆に体力を消耗するだろう。見張りを厳重にして今夜は休もう」 チーム装備のシャベルで涙田は便所の穴とゴミ捨ての穴を掘った。便所のほうには木の枝を刺してそいつにトイレットペーパーを付けた。 その間に大久保が薬缶にカセットバーナーでお湯を沸かし茶を入れていた。全員の水筒に茶を分配する。
919 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/11(火) 10:46:49.70 ID:rkBVzRz7
ツェルトを張り終わる頃にはもう暗くなっていた。涙田は自分のツェルトに転がり込むとマットとスリーピングバックを広げた。一応、新聞紙を二枚マットの下に広げ一枚をスリーピングバックの上に広げた。 このハイテク時代でも新聞紙の保温効果はすごい。カイロも使った。 飯も食う。白飯パック二つと牛肉カルビとだ。自衛隊の純正品と違って飯とおかずを盛るトレーが付属していた。温食だ。それをお茶と共に食うと寝酒の代わりに持ってきたサイダーを涙田は飲んだ。 眠りは速攻で深かった。銃は手元に置いていたが当番が回ってきたときには必死で手探りしたものだった。 「おう、涙田、銃は安全装置オフで」先の不寝番である水村が言う。 「了解」 カチッと音。 「今日は大変でしたね。実は人を殺したと言う実感がわかないんですよ」 「俺だってそうさ、大村さんでも人を殺した体験はないんじゃないかな。大久保は経験があるらしいよ、東南アジアで」 「へえ……」 「敵は俺たちよりも重装備だった。やらなきゃ殺されてた」 「はい……」 「じゃ、俺は寝るよ。居眠りは絶対にするなよ」 「しません、お休みなさい」 「お休み」
920 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/11(火) 14:36:21.57 ID:rkBVzRz7
当番が終わると、もう一度眠ったが今度はなかなか眠れなかった。 熟睡すると起こされるのが辛かった。 「あーうー」 「しっかりしろ! 敵だ」と水村。 ウージーを手にして目を覚ますと敵は目の前にいた。 敵はフラッシュライトを点灯しながら歩いてきた。ざわめいてもいた。どうやら敵は近くにはいないと言う想定のようだ。ライトを片手に持つのだから銃は持っていてもとっさの反撃は難しい。 だが、大村は躊躇を見せた。銃を撃てば敵に気付かれる。なるほど目の前の敵は倒せるが他の敵部隊を引き寄せる事になる。ここはやり過ごすのが上策だった。しかし、敵はどんどん彼らのほうに近づいてきた。まったく気がついた様子はない。 それもそのはずでライトの光が当たっている所を凝視することになるからすぐ近くで待機している涙田らに気がつかないのも当然だった。実際、夜間には移動せずキャンプすると言う大村の判断も当然の判断だった。 敵がもう至近距離まで来た。大村は短く命じた。 「撃て! 」 銃声も短く、あっと言う間に敵は倒れた。30連発のマガジンだったが一瞬で撃ちつくしてしまった。
921 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/11(火) 14:37:40.85 ID:rkBVzRz7
「マガジン交換! 」 大村は鋭く命じた。 「了解」 「了解」 「了解」 「了解」 カチッカチッと音がしてマガジンが交換された。涙田は自分が号令されるまで空の銃を持っていた事に気がついて恥しい思いをした。 「襲撃!」 大村の声は短く、襲撃は一瞬だった。 敵の銃は前と同じウージーだ。まず、マガジンを奪う。こいつは文字通り一瞬だった。 続いて私物の確認、これもあっというまだった。持っていない。指揮官らしいのが百万円を持っているのは前のチームと同じだった。こいつもワルサーを所持していた。今回は生存者はいなかった。だが、指揮官が装備しているはずの無線もない。 「無線がないと言うのはどう言う事でしょう? 」 浜中が言った。 「考えられるとすれば、偶然9ミリ弾が無線に当たったとか? それは無線を体の正面に向けて構えていたんだろうから可能性はある。後は機密保持のために無線を力いっぱい投げ捨てたとかだな。まああり得んだろうが…そんな余裕があるならワルサーを抜くだろう」 大村が答える。 「しかし、こいつら、水筒すらなしですよ、よく我慢できますね」と水村。 「学会員なら信仰心でやり遂げるんだろう。装備が武器弾薬だけと言うのも合理性はある。身が軽くなるから…もっともこっちはそんな下手すると銃撃戦の前に遭難する危険性は犯さないが」
922 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/11(火) 14:38:31.88 ID:rkBVzRz7
彼らは山岳ゲリラ戦の訓練も受けていた。連合赤軍が目指していたような山岳地、森林での戦いに精通しておくことが有利だと考えられたのだ。 その訓練からすると荷物を捨てると言う事は大村が言うように無謀過ぎた。今の時点でも彼らは温食をとりツェルトの中でマットとスリーピングバックで眠っていた。つまり、敵の武装集団よりはるかにコンディションはいい。 また、夜間に移動するとなると何らかの明かりが必要になるが、今の銃撃でも明らかなように明かりは格好のターゲットになる。そんな危険性は冒せなかった。 「ツェルトを畳み、移動は夜明けを待つ」 「ワルサーはどうします? 大村さんが持ちますか? 」 「いや、それはしんがりの涙田が持て、これからはしんがりも重大任務だ」 後方への注意は重要だった。人は前にしか目がないからどうしても前ばかり見るが実は後方への注意が山岳戦では重要だった。 むしろ今回のように前に敵が(それも二回も)現れるなど考えられない事態だった。 「ピストルはベルトごと持って行け。予備マガジンも二つベルトに付いている」と大久保が言った。
923 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/15(土) 20:22:50.54 ID:nveAPLL1
夜明けとともに涙田らは出発した。 大村の説明では、敵が油断し切っていた状態はもう望めないと言う事だった。自分たちの敵が何者であれ16人も仲間を殺されて本気にならないとは考えられない。 また、大村は二番目の敵の様子から彼らと敵との考え方の相違を語った。涙田らは夜間は移動しないと言う大村の方針に従ってキャンプしたが敵は夜もどんどん進むものと考えていたのだろうと言う事だった。 それなら、敵がライトをつけながら、私語しながら進んできたのも頷ける。 敵は近くにいないと判断していたのだろう。 ウージーは片手で撃てない事はないがそれは通常ではやらない事だった。右手にはライトを持っている状態では反撃もできずに死んで行ったのも仕方がない事だった。 大村は無線を回収したいと言ったが、夜明けとともに死体のそばに戻って懸命に捜索したが無線は見つからなかった。 「仕方ないな、無線は諦めよう」 「まあ、仕方がありませんね…こんだけ探して見つからないとなると9ミリ弾に当たって粉々になったんじゃないですか」と水村。 「かもしれんな、9ミリ弾も二三発当たった可能性がある。粉々と言うのもあり得る」 涙田はそれは無いだろうと考えたが、いやいや大村さんと水村さんの言う事だ。絶対あり得ないとは言えないと思い返した。 「近くに小川がある。そいつを越すと近くの村にたどりつける。ただし、川を渡るときには用心しろ。敵も見張っているかも知れんからな」 川に近付くと、水村がまた手でサインを送ってきた。前方の川辺を指さす。最初は涙田も分らなかったがそれは森林迷彩のなせる技で、涙田は次の瞬間には川沿いに死体が転がっているのかと思った。 それぐらい、迷彩は巧妙だったし死体に見えるほど敵は全く動かなかった。事実は、彼らは熟睡していたのである。
924 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/15(土) 20:26:32.58 ID:nveAPLL1
「どうします?」浜中が言った。小声でだ。 「上流で渡ろう……音を立てるんじゃねえぞ」 彼らは薄氷を渡る気持ちでかなり上流側で小川を渡ったが幸いにも敵は熟睡したままだった。 その後は順調だった。どうやら敵の包囲網の後方に出たようだ。 山岳戦では一度敵の後方に出てしまうと全くのノーマークになる。再度捕捉するのは難しい。山岳戦の訓練を積んだ彼らでさえそうなのだ。大村チームの服装は迷彩など全く考慮されていない普通の山仕度だが 空き地などには絶対に出ないように注意していた。唯一の例外は沢などに出る時だったが、この時には水を補給しなければならずやむを得なかった。 人里に近付くとウージーをバックパックに仕舞わなければならなかった。警察に通報されたら万事休すだ。それでなくとも昨日からの銃声を誰か里の一般人が警察に通報した可能性もあるのだ。用心深く彼らは進んだ。 幸い、山の中にある手頃な廃屋に上がりこむことができた。カギは掛かっていなかったが盗めるようなものも何も無かった。しかし、水道は通じていたしトイレは水洗だった。 「こんな田舎でも下水道があるんだな」 大村が感心したように言った。
925 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/15(土) 20:27:37.86 ID:nveAPLL1
「どうします、バス停らしいものは見えましたが……」と浜中が言う。 「本部に連絡して指示を待とう」 携帯のアンテナは一本だけ立っていた。本部はすぐに対応してくれマイクロバスがすぐに来た。後で話を聞くと大村らのチーム以外は全員消息を絶ったため緊急対応で近くまで来ていたらしい。 武器は全部隠してはいたが、学会員らしい要員が村を固めていた。撃ち合いの準備のためにウージーをバックパックから出そうとすると大村が止めた。 「武器は出すな、奴らも半信半疑だ」 そして、マイクロバスは村から脱出した。銃なしでの敵前突破。こいつは勇気もいる事であり涙田は大村を尊敬しなおした。 本部に到着すると、下田と言う大幹部が出迎えてくれた。 「大村、ちょっと来い。話を聞きたい。他の者は茶でも飲みながら待機だ」 「マグナムの銃弾を補給してもらいたいんですが」と大久保。 「それはやる。今は待機だ」 一時間以上も待機は続いた。とうとう下田と大村は戻ってきた
926 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/15(土) 20:42:35.50 ID:nveAPLL1
「まずみんなご苦労だった。仲間の敵(かたき)も撃ってくれたんだな。疲れただろう」 下田が言った。続けて大村が 「敵はやっぱり学会だった」と告げた。 「生華学会の親衛隊ですか? 」と水村。 「そうだ、みな生華学会は知っているな? 」 「は、はあ…」 大村以外のみな不得要領の顔をした。自分達が実際に戦った相手が実は宗教団体と言うのも理解しがたい話だった。 「生華学会は音が似ているが創価学会とは違う宗教だ。生華学会はもともと日蓮宗系列の新宗教で戦後に急上昇してきた。まあ、他の新宗教も同じような経過を経てきたわけだが、もともと学会には武装した私兵集団があった」 「あった、とは?」と涙田。 「うむ、戦闘集団は学会のために盾になるという名目で、実際には軍隊並の武装した集団を持っていたが三代目会長に後になる犬田代作が大阪で選挙違反で逮捕されると言う事件があってから状況は変わった。犬田は二代目会長を名指しでチンコロしてしまった。 そのため学会は大々的に国家権力の手入れを受けることとなった。だがその頃には国家権力に公然と戦うと言う事は出来ない状況になっていて、私兵は戦わないと決められた、後に戦わないなら私兵は不要だと言う話になり私兵は解散、武装放棄と言う事になった」 「そ、それじゃ我々が戦ったのは?」と浜中。
927 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/15(土) 20:45:45.06 ID:nveAPLL1
「まあまあ、話はまだこれからだ……最近、二千十年頃から私兵集団は再建された。何があったのかは分らんが一説では犬田が高齢になって最後に一花咲かせたいと思うようになった事が原因だとか…… しかし犬田は最近では写真さえも表に出て来ない高齢病身、到底私兵集団を指揮して政権を奪取するなど不可能だ」 「は、はあ……」 「まあ、それはともかく、親衛隊の総兵力は五百名、装備は戦闘用装甲車まである重装備だ」 「装甲車ですか?」と大久保が言った。 「ああ、ヨーロッパ製の八輪装甲車で主なタイプは二十ミリ機関砲を装備したタイプだが九十ミリ砲を装備したもろに 戦車みたいなタイプや対戦車ミサイルを装備して戦車駆逐用に特化したタイプなどを保有している。 総兵力が五百と言うのも各地の学会員に武器を配ればあっという間に訓練が不十分な民兵レベルではあっても武装兵が数万単位で出来上がる」 「うーむ」 「学会の公式人数は1000万だが、実情は500〜600万名いる。正直我々が戦って勝てる相手ではないし、またその必要もない。しかし、相手が銃を持って襲って来るとなると話は別だ。だが……」 「は?」 「実は今回の事で分かったんだが隊の幹部に裏切り者がいた。こちらの情報は完全に奴らに筒抜けになっている」 「だ、誰ですそいつは」と涙田。 「斉藤だ、大幹部の一人だ。今回の演習の情報も奴が漏らしたものと考えられる」 「斉藤は当然捕らえたんでしょうね?」と浜中。 「いや、直前に高跳びされた。しかし、奴の部屋からは隠し本尊が発見された。長い間人知れず宗教を信じながらスパイ活動をしてたんだろうな」 「何て野郎だ」
928 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/16(日) 09:16:30.90 ID:PxCyNs3+
「しかし、恐ろしい話だ。こうなったらこの本部が真っ先にやられるから移転も考えないとならんだろうし、その他色々でこっちは親衛隊に対応できない」 「斉藤さんは、いや斉藤は我々の顔も名前も知っていたはずですが? 」と水村。 「住所や電話番号までは知らないはずだ。無論これから死んで行くはずの人間の住所なんか知ったって仕方がないからな。しかし君たちは生き残り反撃した。16名の死者は奴らにとっても痛いはずだ。 斉藤にとっても想定外の事態だったに違いない。死んだはずの大村から本部に電話がかかってくるなんて……さらに、奴の視点で考えると当然演習の事や具体的なウエイポイントの情報が漏れたことは分かってしまった。 それで犯人の割り出しが始まる前にあわてて逃げたと思う。とうてい君たちの情報を仕入れている暇なんかなかったと考える方が自然だ。 実はわざとパソコンで本部のサーバーにアクセスして個人データを入手するには時間がかかるようになっている。承認時間と言ってな。その時間でアクセスコードやアクセス区間を確認する決まりだ。わしらパソコンの素人にはさっぱりわからないシステムだが」
929 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/16(日) 09:25:26.34 ID:PxCyNs3+
「それでは今後どうしますか」と浜中が言った。別に反撃しないことに不満はなさそうだった。 「当面は表向きの仕事に戻ってもらいたい、ああ、涙田、お前は今無職だがいい話がある」と下田が言う。 「いい話って何ですか?」と涙田は言った。良い予感がする。 「お前、今二種免許や大型免許を持ってるんだったよな」と大村。 「はい、大型、二種免許は自衛隊で取りました」 「実はな、行動隊としては今後の事も考えて我々に完全防弾の車を二台用意してくれた。ベンツとBMWだ」 「二台ですか?」 「もっと用意したいが車がない。それで、お前ベンツを運転できるか? Sクラスだが」と大村。 「出来ます」 ベンツのSクラスと言えば高級車だ。もちろん、ベンツを運転するのには普通免許で十分である。 「俺の会社でそのベンツを買う。お前はその運転手になれ」 「ええ?」 「正社員だぞ、どうだ喜べ」 「は、はい……」妙なもので、人間はどうだ喜べと言われると素直には喜べないものなのだった。 大村は、さらにBMWは水村に預けると言った。こいつで浜中と大久保を送り迎えしたりすると言う事らしい。 大村は更に、自分はパン工場の会社の社長をやっていると本職を告げた。別に本職を告げあう必要はなかったが、 浜中は内縁の妻と飲食店の経営者をやっていると言い。水村はセキュリティのコンサルタント会社を経営していると言い、 大久保はそこの幹部社員だと言った。
930 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/16(日) 19:44:56.76 ID:PxCyNs3+
そして、五人は地下のガレージに行った。黒のベンツと赤のBMWが待っていた。さらに車の係りの名前は知らないが三十代の作業服の男も待っていた。 「二台とも満タンにしてあります。どちらも整備状況は良好です、ベンツが若干エンジンのかかりが悪いですが実用範囲内です」 「書類はそろってるのか、車検とかの? 」と大村。目を輝かせている。 「無論です。運転席と後部座席にそれぞれ拳銃を入れられる隠し物入れがあり、トランクにも小型の武器を隠す用の隠し物入れがあります。モノはなんですか?」 「ウージー」と大久保が短く言った。 「ストックを折りたためば二三丁はOKでしょう。弾薬も…もともとは麻薬密輸業者の車だったらしく何回も国外や沖縄県の離島に「出張」した前歴がありますがそいつは大丈夫でしょう」 「それ以外は問題があるのか?」と大村。 「BMWには事故歴があります。沖縄県の離島でヤギをはねたと言う」 「なんじゃそら」 「支障はないでしょうが、持ち主が全く変わるわけだから……まあ気にはなるポイントですね」
931 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/17(月) 07:48:37.92 ID:g7Jv9JsU
そうしている内に武器係の女子職員が二人、カートを押してやってきた。カートには彼らの武器全部とマグナムと9ミリ弾の弾箱が五つ乗っていた。マグナムにはご丁寧に名前がテプラで貼られていた。弾箱は全て50発入りであった。 ウージーは照準も単純で合わせるも何も構えて撃つだけだったし、ワルサーは結局一発も発砲していないからこれは誰がどれを持っても良かった。涙田は一応もう、しんがりではないからワルサーを持ち続けて良いかと大村に聞いたが、持ってろと言う返事が返ってきた。 「武器は重さが負担にならない限り多い方がいい。弾薬もだ。これから本部に弾薬を補給に来れる状態かどうか? おそらく敵は不意打ちを仕掛けてくるぞ。手元にある武器弾薬だけがすべてだと思った方がいい。拳銃も二丁あったほうが良いに決まってるしな」 それから彼らは、武器を車に仕舞い隠し物入れや車の防弾装備についての説明を受けた。 キーが渡される。ベンツのカギは三つ、BMWのカギは4つだ。予備が一個と言う事らしい。 涙田はワクワクしながらベンツに乗った。確かにキーを長回ししないとエンジンはかからないがその他は良好な状態だった。
932 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/17(月) 17:23:00.03 ID:g7Jv9JsU
「大村さん、それでどこへやりましょうか」と涙田。 「俺の家までやってくれ、今晩は俺の家に泊って行って欲しいんだ。まさかとは思うが敵が来たら」 「は、はあ……」 「まあ、住所などは分らないだろうと言う本部の意見ももっともだ。そいつは俺も認める。だが襲って来るとしたら今夜だ」 「はい」 「逆に言えば今夜来なければ今後もないだろう。そんな時間差攻撃、何も意味がないからな」 「いや、それはどうでしょう、今日は無理でも明日当たりに来ると言う可能性はあります」 「そうかな、明日も泊ってくれるか、飯や酒は出すぞ」 「は、はい……大村さんにお世話になるわけですから喜んで」 大村は住所を告げた。某県の住所だ。カーナビはついていた。データは最新にアップデートされていた。
933 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/17(月) 17:50:00.31 ID:g7Jv9JsU
大村と涙田は東京近郊の某県の市街地についた。大きな一戸建てがあった。 「ベンツは近くのコイン駐車場に止めて来てくれるか、いや、ちょっと待ってくれるか」 「了解」 「その『了解』はよせ、ばれる」 「は、はい……」 大村は屋敷とさえ呼べるような家の中に行き、妻と思われる女性を伴って出てきた。 「どうだ、ベンツだぞ!」 誇らしげに大村は言う。 「まあ!」 妻らしい女性も目を輝かせた。 「しかも運転手つきだ! 涙田、挨拶しろ、家内だ!」 「涙田と言います、よろしくお願いします、あの、社長のおっしゃるには今晩泊めて頂けるそうですがよろしいですか、今後社長付の運転手にさせて頂けると言うお話で」 「それは……」
934 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/17(月) 17:54:51.90 ID:g7Jv9JsU
戸惑っている妻に大村は言った。 「登山に出掛けてな、ベンツが維持費が高くて売りたいと言う人に出会った。聞いてみると値段も格安だ。しかも、この涙田と言う人も 二種免許も大型免許も持っている運転の達人で今は無職だと言うんだ。俺の夢はベンツに運転手つきの社長になりたいと言う事だった」 「それは何回も聞いてますけれど」 「でもな、一遍に二つともかなうなんて……」 「はい……」 「俺も歳だ、営業の車を乗り回すなんて営業はきついんだよ。俺の夢を分かってくれるか」 分かってくれるかと問われては妻も頷くしかなかった。事故でも起こされたら困るのは自分の家だと言う事もあった。 「ああ、それでな、今晩だけはこの涙田を泊めるしかないんだよ。何しろ急な話だったしな」 「それは大丈夫です」
935 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/17(月) 17:57:16.51 ID:g7Jv9JsU
コイン駐車場にベンツを入れ銃を隠し持って客用の寝室に上がると、大村がやって来た。ビールとするめを持ってだ。 「いろいろ大変だったな」 「いえ、正社員なんて夢のようですし……」 「ああ、それな、実は前々からの懸案だったんだ」 「運転手つきのベンツがですか?」 「うん、隠さず言うが自分の会社、大村パンは慢性的な車両不足だ。社長営業もそこいらの車に乗って行くと言うのが実情だ。しかしそれはまずい面もある」 「はい」 「部下の車を取り上げる訳だからな。ベンツがあれば羽が生えたようなもんよ」 「はい」 それは理解できた。 「会社の近所にあるマンションに引っ越してこい。俺の分の軍資金は渡すよ、お前を雇用するための資金だしな。いろいろ入用だろうし、 家賃はどうかも分らんが叩き出される事態になったらこっちも迷惑だ」 さらに、大村には大学生と高校生の娘がいるとも言った。 「悪いが風呂とかは後にしてもらわないと……」 「えー全然構わないですよ」
936 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/18(火) 17:05:08.70 ID:LcGm+ZkA
「それにお前にだって悪い話じゃあるまいが」 「それは、隠さずに言いますが無職だったんでイライラはしてました」 「失業した理由は? こいつはどこへいっても聞かれるだろうから答える義務はあるぞ」 「はい、自衛隊を卒業し、免許を取得して就職したのはタクシー会社でした。天職だと思ってました。しかしある日たちの悪い客が来て喧嘩に… その時は口喧嘩で終わりましたが何を考えたのかその客は営業所から家へ向かう途中の俺を仲間数名と一緒に待ち伏せしていたんです」 「それで?」 「その時は必死でしたし、徒手訓練、つまり素手での格闘技も自衛隊時代から興味を持って取り組んでいましたから素人の仲間が何人かいようと敵うわけがない。 警察が来るころには奴さんは血反吐を吐いて地面でのたうち回っていました」 「ほうほう」 「でも、事件にはなりました。幸い、目撃者が多くいたので実刑とかにはなりませんでした。突然襲われたと言う事ですから…… ポリに引きずられて救急車に乗せられる時客は顔中口にしてわめいてましたが……しかし、会社的には客とトラブルになったと言う事で解雇になりました」 「ふむ……今度はそう言う事はしてもらっては困る」 「それはもう」
937 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/18(火) 17:26:28.94 ID:LcGm+ZkA
翌日、パン工場に連れて行かれた涙田は目を見張った。 巨大な本社工場兼事務所は社員総数百名程度にしては大きかった。駐車場に並んでいる車の数も多い。 単車置場、自転車置場も充実していた。 大村は、社員総数百名とは言ってもパートなどの不正規雇用が多いのだとも言った。 社内は活気にあふれていた。 「会社は儲かっている」と大村。 「はい……」 「実はな…俺は行動隊に参加した事を後悔している」 「は?」 「俺の親父は頭がおかしい人で、共産党の人だった。その影響で俺は行動隊のエリートコースをたどり、チームを任されるようになった。 小幹部クラスだ。しかし、それは俺が思っていたような出世コースではなかった。そこへこの事件だ」 「は……」 「俺のどこにあんなチームリーダの力があったのか分らん。しかし俺たちは生き残った」 「それは、今考えても大村さんの指揮は百パーセント正解だったのでは? 特に最初の稜線に上る決断とか 夜間は移動しないと言う方針とかは、それがなければ全滅したかもしれませんよ」
938 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/18(火) 17:29:06.89 ID:LcGm+ZkA
「うむ、話は変わるが……涙田、俺の長年の夢は運転手つきのベンツに乗る事だった。女房にもそう吹いていた」 「は、はい……」 「それに、マイクロバスで地下鉄の駅から社員を送迎したい。こいつも長年の懸案事項だ。そいつは可能か?」 「可能です 大型免許はありますんで、でもバス自体はどうするんですか?」 「バスはリースする」 「はい」 本社社屋二階の社員食堂は格別に豪華だった。 食を取り扱うと言う事からか、定食を頼むと飯も漬物もお茶も味噌汁類も(漬物もお茶も味噌汁も何種類か出た)食べ放題飲み放題だった。ただし、やっぱり飯を食べるには定食か、麺類に追加で頼む(百五十円だった)と ついてくる飯碗がいった。メラニンの奴だが、その代り、飯碗さえ持っていれば「サラダバー」とされている副食類も食べ放題だった。 圧巻は隅に置かれたテーブルの上に並んでいる調理パンや菓子パンだった。なんと、無料で取り放題だ。 一応、一人三個までと言う決まりと大量に取ってお金で売るのはNGと言う暗黙の了解はあった。しかし実質上取り放題だ。その代り、工場のラインでのつまみ食いは即懲戒解雇と言う鉄の掟があった。 それは物によっては試食が必要だがそれは万が一にも食中毒などになった場合、お客様の命にもかかわる事だから複数の社員が必ず立ち会う事とされていた。 勝手に取って食べる事はご法度だった。昔は食糧難だったからついついパンに手が出る工員もいたことだろう。 その事について聞いてみると、大村は、パンが食堂で取り放題、御飯がお代わり自由なのは戦後の食糧難の時代からの名残だが、それとつまみ食い厳禁と言う規律が対になっているため現在も続けていると言った。 そしてパンは美味しい。
939 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/18(火) 17:33:48.75 ID:LcGm+ZkA
ああそれで女子社員がみんなプックリしているのかなと涙田は思った。直接の担当となる配車係りの若い総務課員、角来美雪も見た目がまん丸だった。 お腹もぽんと膨らんでいる。美人だから許そうと涙田は思った。それに、挨拶や対応も丁寧だった。 社員食堂のテレビはNHK総合を流し、隅にはマッサージ椅子があった。もちろん無料だ。 何と驚いたことにこことは別に娯楽室があり卓球や将棋などを社員がしていた。こんな事は中小企業では考えられない。 しかもこの上、地下鉄の駅からのバス送迎! 「ああ、それはな……」と大村。 「はい……」 「社員を留め置くと言う事は中小企業にとっては最大の課題だからだ。万が一熟練した社員が抜けてしまったら? パンの職人だぞ? パンは工場の機械が勝手に作ってくれるんじゃなくて職人が作るものなんだ。大事という意味では熟練一歩手前の社員だってそうだ。 あー女子社員だってそうだ。もし仮に計測器を持って社歴十年の熟練OLと新人を比べたら?」 「は、はあ……」 「社には勤続五年、十年、十五年、二十年と五年刻みで特別ボーナスと特別休暇がある」 「え?」 五年の休暇ぐらいは貰えそうだと涙田は思った。
940 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/18(火) 17:37:02.75 ID:LcGm+ZkA
「それはそうと、何だか角来と話が弾んでたみたいだな」 「え、え……」 「ああ、あいつも独身歴が長いなあ」 「え、そうなんですか? 」 「なんだ? 今日会ったばかりなのに気があるのか?」 「いえ、そんな事はありませんが……」 「声が小さいぞ! 涙田!」 「はい!」 「それはそうと、今日から、いや明日からパートナーになる人を紹介しよう」 その女性は三十代半ばでシングルマザーだと言う事だった。別府(べつふ)綾子と言う。彼女は伝票入力の係でパートであった。実は綾子の前の夫は大村の遠縁にあたり、交通事故で死んでしまったらしい。綾子は仕事の合間に大村の細かい面倒を見ていた。 お茶出しとか外出時のネクタイ直しとかだ。 伝票は、山のようにいつでも積み上がっている。 涙田はあんまり大村と綾子の関係を探らないようにしようと思った。伝票入力は難しくはなく途中でやめることができるから運転手の「副業」にはもってこいだった。
941 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/19(水) 19:52:51.35 ID:CNoSbVmO
翌日から、涙田の運転手生活は始まった。 会社の目の前のマンションへの入居と引っ越しは昨日済ませていた。しょぼい家財道具の補充はしなければならなかった。 しかし、就職は拒めなかった。マイクロバスも来た。大村パンのマーキングはまだ入っていないが調子は良好だった。 その日は家路に就く社員を地下鉄の駅まで三往復運んだ。みな上機嫌だった。その翌日の朝も三往復で裁いたがやはり最終便は満員であった。下手をすると 満員で乗れないという事態が発生しかねない。しかしバス送迎は社員には大変好評だった。 それに、朝、会社の事務所のアラーム解除も涙田はやった。工場はやらないのは理由があった。 「ああ、工場はな、昔泥棒に入られた事があってな……」と大村。 「はい?」 「パンしか盗むものがないので逃げたようだが、翌日電話を掛けてきて「毒を入れた」とかぬかしやがる。こちらはその時点で社内にあった在庫を全量破棄しなければならなかった」 「は、はあ?」 「万が一にも毒で死んだ人が出たら大変なことになる」 「はい」 「ちなみに、犯人はすぐに捕まったよ、そいつは愚かな事に自宅から電話をかけてきた。警察が通話記録を調べたらすぐに分かった。今も刑務所にいる」
942 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/19(水) 19:55:59.61 ID:CNoSbVmO
涙田が入社して四日後、金曜日だった。会社で、総務のお局様、綺羅亜理紗の送別会が開かれた。 亜理紗は独身のまま三十代に入ってしまって親から半ば強制的に婚活させられていたらしいが、一向に効果がなかった。本人はださい黒ぶち眼鏡を外し、ひっ詰めている髪をおろせばアイドル顔負けの美貌なのにだ。 しかし、今から半年前のその婚活パーティで、隣に座ったのはなんという偶然か、保健所の官吏だった。身長が低い事を除けばそんなに欠点らしい欠点もない男と亜理紗は「保健所の立ち入り検査」についてずっとしゃべった。 その過程で亜理紗は後輩や上司の悪口も言いまくった。すかっとしたし男にも好感をもった。なにせ話題が話題だけに非常に特殊であまり面白い話でもないのによく付き合ってくれたからだ。 それでも、二人はアドレスの交換などはしなかった。 亜理紗はもう二度とあの背の低い保健所の男と会う事はないと思っていたのだが(そしてそれを少し残念だと思ったのだが)、運命と言うのは不思議なものだった。 翌日、亜理紗は近々保険所が立ち入り検査をすると言う情報を聞かされて浮足立った。
943 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/19(水) 19:58:26.72 ID:CNoSbVmO
もちろん、問題の保健所の男は他のスタッフと一緒に工場にやって来て、亜理紗の言いまくった悪口の事など一切口には出さず検査を行った。それは病原性大腸菌の調査で、社員の手洗いを観察された。 亜理紗は男から「指、細いですね」と言われた。男が私的な発言をしたのはこれだけであった。 亜理紗は顔を赤くしながら手をハンカチで拭いた。そんなところを指摘されたのは初めてだったからだ。 ……指フェチ? この人指フェチなの? 当惑しているその手に、男は名刺を滑り込ませた。名刺の裏にはどこかで殴り書きしたらしい男個人の携帯番号とメールアドレスがあった。 それから…亜理紗は男とデートするようになり保健所のイベントなどに行くようになった。眼鏡もコンタクトにし髪の毛もおろした。亜理紗は自分より相手の背が低かろうが指フェチだろうが問題にはしない娘で、 それも良い結果を生んだ。ちなみに男は指フェチというより女の人の手フェチであったがそれも無問題であった。男の方は亜理紗の意外な美貌に息をのんだ。そして得意のハンドリフレマッサージをしてくれた。 寿はすぐに来た。
944 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/19(水) 20:01:20.00 ID:CNoSbVmO
涙田は信じられないシンデレラストーリーに唖然としたが、それより隣に座ったのが角来美雪だったのにびっくりした。出会って4日しか経過していないのにすごい行動力だと感心した。 やっぱりと言うのか、唐揚げとかカロリーの高いあてをむさぼりながらチュウハイを絶え間なく飲む。これならこの体型もうなづける。酒は非常に強いようだった。 「ねえ、どうして社長に拾われたの? 」 まさか山の中で16人殺した一件を話す訳にはいかないので慎重に作った話を聞かせたが美雪は一言 「嘘だ」と却下した。 「え?」 「山の中にベンツと運転手が落ちていましたなんて、ありえないもん」 「角来さん、酔ってる……」 「人生、酔ってなんぼよ! 実家はどこ」 「大阪だよ」 「ええ、私、奈良!」 「ええ! 鹿の死体が家の前に落ちていたら『やったー、今夜は焼き肉だ』と喜ぶと言うあの奈良」 「こらこら」 「庭を掘ったらざくざく土器や埴輪が出てくるのでガーデニングができないと言うあの」 「そんなことない」 「いまだに和同開珎(わどうかいほう・作者注、わどうかいちんと読む説も有力)が通用すると言う」 「しません」 「酒が強いのは漬物と言えば奈良漬けしかなかったからでは?」 「それはそうかも」 涙田と美雪は二人だけの二次会へ行き、そこでこれまでの話で当たり障りがない部分は全て白状した。デカンターで注文した白ワインは適度に冷えていてとても美味しかった。
945 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/19(水) 20:05:49.13 ID:CNoSbVmO
涙田は高校を卒業してから自衛隊に入った。配属はトラック部隊(輸送部隊)でそこで大型免許・二種免許を取得した。 自衛隊を卒業後、花の東京へ出てきてタクシーの運転手になった。 そこまでは順風満帆だったが客とのトラブルがあり、会社を首になってぶらぶらしているところに今回の事件だった。 しかし、それがきっかけで大村に雇われた。 そして、今美雪と二人きりで飲んでる。 ……ああ、そういうものだ 「ああん、酔っ払っちゃった……」 「僕もだよ……」 タクシーで美雪の家まで行き、お別れのキス以外なにもしないでそれから自宅マンションまで帰った。 家で彼女が待っていてくれてくれたらなあと涙田はしみじみ思ったが待っているのはウージーとワルサーP38だった。 パイソンはベンツの隠し物入れの中だ。
946 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/20(木) 20:08:45.07 ID:b/KDb3uR
翌日の土曜日は大村からの呼び出しがあった。飲むので公共交通機関で来いとのお達しもあった。 待ち合わせの個室居酒屋に行ってみると、「大村組」のメンツは全員揃っていた。 「そろったな、状況だが、学会の内部は動揺している。おとつい、行動隊の旧総本部を親衛隊が攻撃してきた。無論、そこはもぬけのからだ。 また、学会内部に潜入させているスパイからの密告では学会は行動隊が、我々が反撃に出ると考えているらしい。馬鹿な話だが」 行動隊の総本部は引っ越しをしたがそれがどこに移転したのかは涙田でさえ知らない。大村は新本部の直通電話番号と直通メールアドレスを皆に配った。 「無論、これだって公安が傍受している可能性は高い、自分の本名や、状況などをストレートに語らず必ず符丁を使うようにな」 「公安はどこまでつかんでいるんですか」と浜中が言う。 「初めからしまいまで全部、すなわち山の中の銃撃戦の顛末から空振りに終わった行動隊総本部襲撃に至るまでつかんでいるだろう。想像だがね。 俺たちはお釈迦様の手のひらの上で飛んでいる孫悟空のようなものだ」
947 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/20(木) 20:10:31.24 ID:b/KDb3uR
「ではなぜ我々も、その、親衛隊ですか? 学会の武装した私設軍隊も逮捕しないんです」 「公判に持ち込んだらいろいろ公安のまずいところが出てきてしまうからな。具体的には、そこまで察知していながらなぜもっと早くに逮捕しなかったのかとなると、そもそも察知する手段が非合法であったという事実が出てくるからだ。 電話の盗聴とかな、もちろん、学会側の目指していたものはもっと静かな公安にも我々にも真相を察知されない殺しだった。それはそうだろう。山の中で何があったのかは我々の報告があって初めて分かった。それがなければ真相は闇の中だ。 学会の内部にも公安のスパイがいることは予想されるがそいつがどこまで探れるかな?」 「はあ……」
948 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/20(木) 20:12:16.35 ID:b/KDb3uR
さらに大村は学会について説明した。そうしろと下田に命令されたと言う事だった。 「生華学会は、音が似ているが創価学会とは全然違う、元々、生華とは生きるための知恵を乗せた極楽の蓮の花と言う意味で、いくら日本語にした場合の音が似ているからといっても、それじゃ変えますと言うわけにはいかなかった。政党の光明党もそうで、 全く発音が一緒なんだが、だから変えると言うわけにはいかないものだった。 こいつらの教義は基本は仏教だが、日本の国家宗教は仏教であるべきだとか言う主張をしている。もちろん、無理な主張だ。 ただ、教団は人数が数百万いるし、それらを全員殺すと言う事は出来ないわけだし、ほとんどの人は無害な、本当に仏教を信じている人だ。行動隊としては敵対行動は当面しない。今日集まってもらったのはそれを徹底せよとのお達しがあったからだ、いいか、 学会だからとこちらから攻撃するようなことはいかんぞ」 「自衛はいいんですか」と大久保。
949 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/20(木) 20:13:32.37 ID:b/KDb3uR
「無論、それはいい。それに関連するが、情報担当の話では、学会は先月、千三百丁の拳銃と数十万発の弾薬を密輸入することに成功したらしい。拳銃弾が多いのはウージーでの使用量を考慮してだろう。そいつを末端に配布し始めたらしいからな」 「ほう?」と水村が言う。 「親衛隊が多少やられても熱狂的な犬田狂信者はごまんといる。武器さえ配ればOKと考えたんだろう」 「しかし、そこまで安易にいくかどうか? 親衛隊も素人でしたが学会の末端は本当に素人、銃の取り扱いなど無理でしょう」と涙田は言った。 「分らんぞ、我々だって二回目の、夜間の撃ち合いでは俺が号令をかけるまでみんな弾が切れたウージーを手にしていた事を忘れるな。戦争は一瞬先が分らない物だ」 大村のいうことは真実だった。そして早速翌日、涙田は自分の言ったことを後悔することになった。
950 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/20(木) 20:15:46.96 ID:b/KDb3uR
11月 日曜日 「大村組」の集会の翌日は日曜日だった。昼下がり、涙田は近所のスーパーに出かけて行った。 彼が真っ先に向かって行ったのはトイレットペーパー売り場だった。部屋のトイレットペーパーが最後の一個だったからだ。そしてコンビニでも買えないことはないがここの プライベートブランドのトイレットペーパーは安くて使い心地が良かったからだ。 ある意味ではそれが涙田の命を救うことになった。トイレットペーパー売り場は脊板が鏡面になっていてトイレットペーパーに手を伸ばした涙田は 「奇妙なニヤニヤ笑い」を浮かべた老婆が小走りに自分の方に来るのを見た。 ついこの間生死をかけた戦いをしたばかりの兵士のカンに、この小走りとニヤニヤ笑いが引っ掛かった。彼は素早く振り返った。 「死ねぇ!」 老婆はどでかい黒のナイロン製ショルダーバッグから、これもどでかい長銃身の自動拳銃を抜いた。 「わわっ!」
951 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/21(金) 21:02:31.34 ID:9YKpfUcQ
老婆は拳銃――ルガーP08砲兵モデルを発砲した。とっさに彼は横に跳んで便所用消臭剤の棚の陰に横倒れになった。 老婆が、かすかにでも冷静なら命中してないことが分かっただろう。そして後で分かった事だが老婆は名前を「浜崎真砂子」と言い、射撃の名手だったから涙田の命はなかったに違いない。 だが真砂子は高いヒールをキュッと言わせて体を回し店内の他の客を射殺し始めたのだった。涙田は必死で這ってバックヤードから店外へ出た。店外ではもうパトカーのサイレンが聞こえていた。 涙田は見物人になる気は毛頭なかった。パニックになった客たちが店から流れ出ていくのも見えた。涙田もその流れに入って行った。
952 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/21(金) 21:04:45.73 ID:9YKpfUcQ
真砂子が、足に銃弾をくらって必死に這って逃げるレジ打ちのパートのおばちゃんに至近距離からとどめを刺していると、パトカーの警官が二人店内に駆け込んできた。店の中は死体だらけで血の海だった。地獄のようだった。 拳銃を構えた二人は、おそらく「動くな」とか「銃を捨てろ」とか叫んだに違いなかった。 真砂子は拳銃で二人をあっと言う間に射殺、弾倉を換えた。二人の警官は二人とも眉間を撃ち抜かれていた。即死だった。 彼女の拳銃の原型は1908年に旧ドイツ帝国が制式採用した自動拳銃だった。だが、このモデルは8インチの長い銃身と長射程用の照準器が付いていて、木製のストックをグリップ後部に装着するとまるで カービン銃のように肩に構えて撃つことができた。本来はドイツ軍の砲兵がカービン銃の代用品として使えるように開発改造されたものである。真砂子はさらにこれに32連発円形弾倉を装着した。 しかし、弾薬は節約するに越したことはない。真砂子は売り場から盗んだ包丁で拳銃の釣り縄を切って警官の死体からニューナンブ回転式拳銃を奪い、包丁もケースに入れてショルダーに入れた。 そして、真砂子はゆっくりと店の前に出て行った。真砂子はストックを拳銃に装着しカービン体型にした。 ピストルカービンと言うのは現代では滅びた銃の形だが、第一次世界大戦当時はかなりあった。 パトカーは一台だけではなく、その時にはもう何台も来ていた。しかし警官隊は老婆が出てきた時も、一瞬ではこの派手な赤いワンピースにヒールの老婆が犯人かどうかは分からず、射撃を差し控えた。 後で考えると、この瞬間がおそらく事件の早期解決のチャンスだったに違いないが真紗子はすっとスーパーの前の柱に隠れるようにした。スーパーの前も屋根があってそれを支えるコンクリートの柱があり、 特設市場が設けられたりするのだがこの時はなにもなかった。したがって隠れるものはこの柱しかなかった。 しかし、真砂子の方も一瞬射撃を開始するのを待ち、警官隊を観察した。
953 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/21(金) 21:11:07.67 ID:9YKpfUcQ
警官隊の不運な指揮官、太刀川警部は、スーパーに二人の警官が突入したこと、こちらはスーパーを包囲したこと、スーパー内に人質がいるかどうか、犯人が何人なのかは分からないと警察無線で県警本部に報告した。 彼はまじめな男であり、多分無駄な発砲を控えようとしていた。 そして次の瞬間に彼は射殺された。立ち上がって大きな手ぶりを交えながら無線でしゃべっている彼は真砂子から見ても指揮官に見えたのである。 数名が反射的に応射したが柱に当たっただけだった。その時点でスーパー内に人質がいるかどうかが分らないというのは警察にとっては弱点であり、副指揮官、小枝警部はすぐに射撃を止めさせた。 だが、次の瞬間、真砂子は拳銃をニューナンブに換え連射を始めた。狙いはパトカーの車体だった。 合計十発の銃弾の一発が、パトカーのどれかの燃料タンクを貫いた。真砂子は続いてルガーによる狙撃を開始した。 少しでも体が見えている警官はその部分を撃ち抜かれて死んだ。信じられないような射撃の腕前だった。 小枝警部にとって唯一の救いはスーパーの店員が決死の思いで彼の所まで匍匐前進で来て、スーパーからはお客や店員は全員退避したか死んだこと、警官二人も死んだことを報告したことだった。店長も死んでいた。 彼はそれだけを報告するために何メートルも匍匐前進してあちこちすりむいていたが、安全地帯に帰るのにまた匍匐前進しなければならなかった。小枝は彼の姿を見て勇気づけられた。
954 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/21(金) 21:16:03.56 ID:9YKpfUcQ
「撃て、人質はいないぞ!」 警官たちは死体になって転がるか、戦うかの選択を迫られたが、銃を手に飛び出して行った。 警官隊の銃火は柱を次々と襲ったが真紗子は全く無傷だった。彼女は機関銃のような連射に移った。 こうなると一発必中ではなくなったがその内の一発が火花を散らしガソリンに引火した。 爆発が起こった。炎は立ち上り警官隊は絶体絶命になった。 「退避! 退避しろ」 小枝警部は大声で退却を命じた。警官たちは仲間の死体もパトカーも置き去りにして近くの小公園に下がった。事実上の敗北だった。
955 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/21(金) 21:20:23.62 ID:9YKpfUcQ
小枝警部にとって不幸なことにはパトカーを放棄せざるをえなかったので一時的に警察無線が使用できなくなったことだった。 ハンディ無線は使おうと思えば使用できたが小枝は使用しなかった。無線の途絶は全く一時のことだったのだが、県警本部通信指令室の荒川司令は太刀川警部の最後の報告、スーパーに二人の警官が突入したこと、 こちらはスーパーを包囲したこと、スーパー内に人質がいるかどうか、犯人が何人なのかは分からないと言う情報で判断を下さなければならなかった。 SATを投入するか? しかし、相手は一人で拳銃を持っているだけ(のようだ)という未確認情報も彼のところには110番通報として入って来ていた。結果としてそれは全く真実であった。 SATは凶悪犯、重武装犯に対抗するためのものであったがどの程度で出動を命じるかについては明確な規定はなかった。 荒川司令はSATを安易に出動させたくなかった。 一方、小枝警部はやむを得ず自分の所属する所轄署に携帯で電話を入れ応援と救急車と消防車を要請した。署からは消防車はすでに出動したが銃撃を受けて引き返さざるを得なかったと答があった。 それでも彼の所へは何台もの救急車と応援が来ることになった。また異例のことだが弾丸の補充も来ることになった。もうすでに弾を撃ち尽くしている警官もいて小枝警部の戦力は下がっていた。 それに負傷者はみなパトカーから少しだけ見えていたはずの手足を吹き飛ばされておりもう一目見ただけで緊急に治療が必要で…… もう現役の警官としての復帰は不可能だった。
956 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/22(土) 21:11:46.50 ID:N2nEeMza
ところが、この警官隊敗走の一部始終をテレビカメラが放映していた。地元の「県民サンデー」の取材クルーが近くを流していたのだった。 彼らはスーパーも炎上するパトカーも見える場所でカメラを回していたのだった。 キャスターの足柄早苗は小柄で愛嬌のある娘だったが今は笑顔も吹き飛び、カメラに向かって 「御覧ください」とこの事件が始まってから何回目かのレポートをしようとした。 真砂子は、慎重に早苗に狙いをつけルガーの引き金を引いた。 「あちらの……」 カメラが次に映し出したのは首から上を吹き飛ばされて倒れる早苗だった。次の瞬間、カメラは地面を映したがそれはカメラマンも死んだからだった。
957 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/22(土) 21:16:26.66 ID:N2nEeMza
テレビ局ではスタッフが上空を旋回中のヘリのカメラに画面を切り換えた。ここからは音声が来ていない。そして画面に映っているのは赤い服を着た老婆が祈りでも捧げるように スーパーの前でヘリに向かって両手を上げているところだった。 真砂子は機関銃のようにルガーを連射した。拳銃弾は確実にヘリに当たっているはずだった。32発を撃ち尽くすとヘリの音が変わって来た。 テレビの画面では住宅街がみるみる接近してきていた。もちろん、接近しているのは住宅街ではなくカメラを乗せたヘリの方だった。 小枝警部が小公園に駆けつけてきた応援パトカーの警察無線に再び戻るのと爆発音は同時だった。事情が分らず彼はとっさに「今爆発音がした」と県警本部に言った。 本部は「了解」と言ったがSATは来ない。 振り返ると、パトカーの炎の向こうにもう一つ煙が見えた。銃声が散発的にしており消防はもう銃撃を恐れて動けなかった。 偵察に出した部下が戻って来て、カメラクルーが撃たれたこと、火事から逃げようとし始めた市民を真砂子が撃っている事を報告した。ヘリの事は分からなかった。 だが、小枝警部は思った。 彼はこの街の出身でありあのスーパーでもよく買い物をした。このままでは街がめちゃくちゃになってしまう。あの老婆はこれ以上野放しには出来ない。 もう県警本部からSATが来るのを待っている時間の余裕はない…… 「決死隊を募る!」 小枝警部は言った。驚いた顔で部下たちが彼を見た。 「五名でパトカーの火事に紛れてできるだけ接近、拳銃で持って制圧を図る。先頭は私が行く」 残り四名の志願者はすぐ集まった。彼らは拳銃に弾丸を込めなおすと出発した。 真砂子は拳銃の弾倉に9ミリ弾を詰めなおしていた。偶然だが一発の弾丸が転がり落ち、真砂子は反射的に拾おうとかがんだ。 その瞬間、警官隊の放った銃弾が今彼女がいた空間を何発も飛んで行った。 真砂子は、柱の後ろからルガーで反撃した。不幸にして警官隊のニューナンブは五連発であり弾がすぐに尽きた。 逃げる警官の背中にルガーの9ミリ弾が次々命中、小枝警部以下決死隊は全滅した。
958 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/22(土) 21:25:37.71 ID:N2nEeMza
警官隊の新しい指揮官は田中警部補という交通係だった。彼は銃さえ持っていなかった。 荒川司令が田中警部補に命じたのは太刀川警部を無線に出すことだった。唖然としながら田中警部補は言った。 「太刀川警部殿は死にました」 「では、小枝を出せ」 「小枝警部殿も死にました」 「じょ、状況はどうか」 「決死隊は全滅、相手は一人ですが今は姿が見えません。炎と煙がひどく、狙撃が危険なため偵察が困難です。SATがだめなら楯を下さい。 機動隊が使ってる大きい奴です。相手は拳銃ですからなんとかな…」 「相手は拳銃なのか?」 「そうです、何度も報告したじゃないですか!」 「一人なのも間違いないんだな」 「そうです、こちらで確認した限りでは一人だけです。赤いワンピースの老女です」 「その老女に、我々が手も足も出ないというのか?」 「だから、それも何回も報告しているでしょう」 田中の我慢も限界だった。彼は小枝が本署に死亡者を報告するのを横で記録していたのだから被害も良くわかっていた。 何十人もだ。一回の事件ではあさま山荘事件を上回ることは間違いない。 「なぜなんら応援をよこしてくれないんですか」 彼らの警察署は本署が空になるぐらい応援を回していた。隣近所の署からも応援が来ている。県警本部は状況を報告しろと言うだけで何もしない。
959 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/22(土) 21:32:34.71 ID:N2nEeMza
そのころ、真砂子はなんと、スーパーでトイレに入っていた。 休憩も兼ねていた。長い時間、人を殺し続けたので疲れた。 弾薬は、まだまだある。真砂子はトイレから出ると野菜ジュースを一本とワンカップ大関を一本、失敬した。まず野菜ジュースでのどを潤した。 それからワンカップを開ける。ぐっと一口飲むと心と体が温まった。 まだまだ殺せそうだった。 田中警部補の所に先ほどのスーパーの店員がまたやってきた。もちろん今回は匍匐前進ではない。 「あのう、おまわりさん、裏から入って行ったらどうでしょう? 」 「ん?」 「あのばばあも後ろには目がないと思います、表側で陽動部隊が銃でけん制しながら本隊が裏から入って行って一気に射殺したらどうでしょうか? おそらくばあさんは自動ドアが開くまでは 店内に警官がいても気がつかないでしょう。これだけ修羅場じゃ」 「ええっ?」
960 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/23(日) 17:48:04.64 ID:TbMaH0wy
田中はまじまじと店員を見た。店員は普通の中年の男だったが小枝が考えていた事と同じ事を言った。 「このままではこの街があのばばあのために再起不能になります。もし警官隊が駄目だと言うなら、拳銃を一丁貸してください。私のアイディアだし、店長は死んだから今は私の店なんだから私が一人で行って、 ばばあと決着をつけます」 田中は本部にこの案を伝えたが、荒川司令は席にいず許可は得られなかった。彼は県知事と電話していた。
961 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/26(水) 20:12:27.29 ID:oh7r8Nqa
test
962 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/27(木) 07:53:23.08 ID:ezBEHby6
実際、県知事の方が状況を正確に把握していた。彼は執務室でテレビも見ていたし、その前の時点で彼の家からはスーパーの方の銃声も聞こえた。 彼は県庁に出勤すると県警本部長を呼び出した。不幸にして県警本部長は昨夜風呂場で転んで病院で意識不明だった。それで荒川を電話口に呼んで状況をただした。 それで分かった事は、警察は状況を全くコントロール出来ていないことだった。指揮官もたったこれだけの時間で三名交代したと言う。決死隊を突入させたが全滅という報告も受けた。 県知事は強い口調でSATを出動させるように命じた。 だが、もう手遅れだった。
963 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/27(木) 18:10:03.86 ID:ezBEHby6
田中警部補は小枝と同じ決断を迫られた。だが、SATが来ないのは相変わらずだし荒川が電話にさえ出なくなったと言うのは 彼にとっては一層の孤立無援を意味するものであった。それに今すぐSATが到着してもこの状況がすぐに変わるとは思えない。 田中は、小枝の気持ちが良く分かった。店員の作戦を丸ごと採用することにし、もう県警本部の許可は取らないと決めた。 「総攻撃をもう一度かけるぞ、今度は店の中からも攻撃隊を送りこんで後ろからも攻撃する」 田中にとって唯一の幸いは、拳銃は負傷者からすぐに調達できたことだった。 「かかれ」
964 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/27(木) 18:10:53.83 ID:ezBEHby6
真砂子は、ルガーを構えながら警官隊がなぜ無意味な正面攻撃をかけてくるのかと思った。 すでにルガーの弾倉にはすべて再装填が終わっていた。冷酷な狙撃を再開する。 パトカーはもう燃えつきかけていた。遮蔽物としては使えない。ばたばたと警官たちは射殺された。 真砂子がにやりと笑い、もう一本酒を飲もうかと思った時、店の自動ドアが開いた。 「天誅!」 田中警部補は引き金を引いた。銃弾は真砂子の背中に命中した。崩れ落ちる。田中からは見えなかったが信じられないという表情を浮かべながらだ。 「ぐはっ……」 これが真砂子の断末魔だった。田中はこんな悪人でも血は赤いんだなと床に広がる染みを見ながら思った 。小さな驚きだった。
965 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/28(金) 19:03:55.82 ID:HPJHi49I
「なんだと、犯人を射殺しただと! なんてことをしてくれたんだ」 田中警部補がもっと驚いたことに荒川司令に報告した時の第一声はこれだった。 「SATを出動させたんだ、後のことは彼らに任せればよかったんだ」 「任せるって言ったって……」 消火活動と遺体の収容が始まっていた。遺体は警官の遺体に限っても40を越えるだろう。SATの活動の余地は全くなかった。 一応共犯者がいると言う可能性はある。ただ、田中が見るところ、そいつはありそうにもない。事件の最初から最後まで老婆は一人だった。 最初の被害者になりかかったという男も名乗り出てきて襲撃の最初の様子を語ってくれた。涙田と言うその男はよほどの強運の持ち主らしい。 銃で撃たれる直前に横に跳んで商品棚の陰に隠れたらしい。
966 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/02/28(金) 19:05:24.41 ID:HPJHi49I
一瞬、こいつが共犯者なのでは? と考えたものの、田中警部補はその可能性は低いと考えた。 共犯者なら店内にとどまって手助けするのが普通だろうし、そのための武器に関しては一時はニューナンブが二丁手元にあったのだし、 二人いるのなら一人が援護し一人が警官の死体からもっとニューナンブを奪うことができたはずだ。 一応、老婆との面識を確認したが面識はないとの答え、店員も老婆を見たことはなく店が恨まれるような覚えはないと言った。 誰も彼女の事を知らないようだった。
967 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2014/03/01(土) 08:53:07.64 ID:IpjoaQql
9ミリ拳銃弾とは9ミリパラべラム弾の事です。以下特に断りない限りはそうです。
968 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/01(土) 21:47:22.06 ID:n6AeGkRY
県警本部に生華学会から連絡が入ったのは翌日だった。 それによると、老婆は学会員であった。孤独な生活を送っていて身寄りはなく、生活保護で暮らしていた。宗教的には熱心な学会の信者であったが少し精神的に病んでおり、 学会のサポートの下病院に通っていたが入院は本人が希望しなかったのでしていない状態だった。 いつしか、真砂子は異教徒は全員殺すと言う妄想に取りつかれていたと言う。「異教徒は全員殺せ」と言う犬田先生の命令が聞こえると言うのである。 また、近所の公園や小学校の校門の前で奇声を上げると言う問題行動も最近起こし始めて近所の問題人物化していた。ただ、今回の一件は問題人物などと言うレベルをはるかに超えていた。 また、学会は一体どこで真砂子がルガーを手にしたのか分からないと言った。弾薬にしても射殺された時点で三百発以上の9ミリ弾薬を所持しており、それをどこで手に入れたのかは全く不明だった。
969 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/01(土) 21:49:36.51 ID:n6AeGkRY
ルガーに関しては、製造番号がまったくのデタラメであることまで判明していた。つまりこいつは旧ドイツ帝国(第二ドイツ帝国)で 第一次大戦中に生産された銃ではないことになる。9ミリ弾薬も全くの無印であり無許可の密造品である可能性が濃厚だった。 「し、しかし、じゃこの銃は一体何なんだ?」 田中は呻いた。 鑑識の銃器係は冷ややかとさえ言えそうな口ぶりで言った。 「一部の熱狂的なガンマニアが21世紀に入ってから旧帝国の設計図に忠実に作った幻のコレクター用ルガーでしょう。状態的に見ても千九百十年代に製造された銃がこれほど いい状態であると言うのはよほどです。これはもっと調査しないとわからないでしょうがね」 「幻のコレクター用?」 「ルガーの、色々なバリエーションの中にはすごい値段が付いているものもあるんです。この砲兵モデルもそうです。そして、コレクター用とはいえ、 もとをとる必要上から数千丁から数万丁は作られているはずです。そうした銃は別に製造番号を厳密につける必要はないですからね」 「しかしそんな銃がなんで生活保護で暮らしている老女の所に転がり込むんだ」
970 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/01(土) 21:53:57.21 ID:n6AeGkRY
銃器係はもっと冷たい声で言った。 「神様仏さまの贈り物なんじゃないですか? この老女は学会だったそうですね」 「らしいな」 「武器として見た場合、こいつは現代の銃と比較すれば問題にならない、欠点が多い銃です。加工に手間がかかるし、独特の作動をする機関部を持っている。作動不良・回転不良の可能性も高いでしょう。 ところが今回の事件ではあれだけ発砲して回転不良は一回もない。銃身が長いと言うのも逆にいえば取り扱いが難しく重いという欠点になる。しかし使いようによっては恐ろしい武器になる。 包丁でも人が殺せるようにね。しかもどこから入手したか一切分からない。謎のままです。おそらくは調査しても分からないでしょう」 「しかし、まだ分らんな。足がつかない非合法の銃でこれより安い銃なんていくらでもありそうだな、今の話だと」 「そうです、だから特殊な使い方のために入れたんでしょう……それこそ今回の事件のような使い方の為に」 「え?」 「大型バックに入れる事が出来、素早く組み立てられて長距離狙撃もある程度可能で連射もできる銃ですよ。もちろん、そういう銃はたくさんありますが大抵は管理が厳しい。 こういう事件に使われないようにとの観点からです」 銃器係はさらに言った。 「これからはこんな事件が増えるでしょう。あの何とかいう横に跳んで生き残った奴」 「涙田って言う奴な、珍しい名前だ」 「あいつみたいな幸運はそうはありゃしませんからね、サインでももらっておくべきでしたよ」
971 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/02(日) 14:14:54.18 ID:lYnRqkYJ
あの『悪夢の日曜日』から一週間後、奈良県貪理市。 十月も終わりに近付いていた。日曜日であるし貪理教の宗教都市であるこの街は今、年に一回の「貪理祭り」を控えて浮き立っていた。 貪理教で貪理祭りとは名前にひねりもなにもないストレートさだが、それだけに信者らの熱狂ぶりもまた大きい。 貪理教は公称百万名の信者がいる神道系新宗教だ。根拠地として貪理市を持ち、全国に信者がいる。そして生華学会とは犬猿の仲だ。
972 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/04(火) 07:26:37.85 ID:jLiDtFJh
今年のお祭りは去年までとは違う手順になるはずだった。去年までは山岳密教でもありはしないのに山伏が出てきたり護摩炊きをする神秘主義的な演出があったが今年は違った。新教主となった現教主加羅真一こと朴真一は現実主義者だった。 祭りはがらりと様相を変える事になった。これには教主の交代を印象付ける狙いもある。 まず、最初に貪理教の若い女性の、それも文化人、芸能人を中心とした目立つパレードが来る。それに続いて教主を先頭に最高幹部らがオープンカーでやって来る事になっていた。 一行は貪理記念総合ホールで記念式典に臨み、続いて貪理教国際交流センターで世界中から来た貪理教の信者と交流することになっている。もっとも、世界中からやってきた信者というのは完全にやらせだった。 海外では撤退が相次いでいる貪理教には海外から招待するべき信者はいなかった。金ももったいなかった。 信者の数も減り続けている。かろうじて新教主になってから若干、芸能人の入信が増えたと言うか、以前から信者だった芸能人のカミングアウトがあった。大物女優の西井凛やアイドルグループ、マーメイド娘の槇下久美などだ。
973 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/04(火) 07:42:08.21 ID:jLiDtFJh
974 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/04(火) 17:39:45.94 ID:jLiDtFJh
昼食後、朴は奈良県生駒市にある生駒貪理生きがい農園のリビングで祭りの計画書に目を通していた。ここは農園と名前がついてはいるが実際には教主の住む場所であった。 教主は自宅を持たず、布教所(普通の仏教の寺や神道の神社に相当する貪理教独自の施設、生華学会の文化会館に相当)を渡り歩くと言う教えにより自宅はないのだが、 それでは生活が困難であり妥協案としてこのような施設にずっと住むようになったのである。 すなわち、この農園は教義がそもそも出来もしないことを言っていると言う、貪理教の重大な弱点を実体化したような存在であった。 ここはまた信者からはひそかに生駒貪理きちがい農園と呼ばれている。朴は9代目の教主になるのだが最近三代の教主は全員統合失調症を発病して病院送りになっていたからだ。
975 :
大阪 :2014/03/04(火) 22:41:40.57 ID:5NUWK3BK
貪理は天理とは違います。
976 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/04(火) 22:45:29.86 ID:jLiDtFJh
これは一体どういうことなのかと朴も考えないではなかった。むろん、統合失調症には遺伝的要素もあるらしいが、最近三代と言っても三人とも血縁関係はない。 前教主は一番酷かった。最後は犬田代作が攻めてくると言って日本刀を夜中に振り回して取り押さえられるまでに二人に怪我を負わせた。そんな教主がいる宗教が大きく成長する方がおかしい。彼の代で貪理教は大きく衰退した。 貪理とよく勘違いされる天理教と、これは大きな違いだ。 朴が選ばれたのも、一つには(情けない話だが)その精神面の安定性が評価されたからなのだ。それに、彼は自分自身がおかしくなってくると言う危険性も考慮に入れざるを得なかった。全く情けない話だが、 なにせ、彼に分かっているのは戦後の彼以外の教祖は全員発狂したと言う事実だけなのだから 仕方がない。特に目の前であの前代の狂いっぷりを見せつけられては…… 彼は最高幹部からなる評議委員会を創設し、これが教主の一挙手一投足を監視すると言うシステムを作り出した。 もちろん、自分自身を監視するシステムなど、作りたくはないのが本音だが、同時に朴は一般の信者らが自分自身がどのような挙動を取るのかをじっと見ている事を理解していた。 彼は名前の通り北朝鮮系朝鮮人だった。むろん朴は入信と同時に本国との縁は切った。日本人にならないのは朝鮮人の意地のようなものがまだ残っているからだが、北朝鮮に忠誠心をささげるような気持ちはどうしても持てなかった。 つまり、将軍様にマスゲームで忠誠心を表明するような国にはついてはいけないものを感じていた。 だから、朴は本当はパレードやら記念式典やら、やらせの交流など必要ないと思っていた。お祭りはそうした物がなくても成立する。記念式典の代わりに短いスピーチでもすればいいだろう。
977 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/05(水) 15:03:05.21 ID:1NxvOGV2
警備担当の白が来た。彼は韓国慶尚北道の出身だが信頼のおける男だ。年はもう六十になろうかとしているが五十二の朴より健康そうだ。 彼もまた狂った教主によって島流しにされた期間が長かった。八丈島に八年、佐渡島に七年、島つながりだったのか何なのか島根に十年流された。帰って来た白はすっかり子だくさんになっていた。 それは島暮らしではやることがセックスぐらいしかないと言う事を雄弁に物語るものであった。 しかし、今の彼にはやることは他にたくさんある。 「例の件、あれからどうなった?」 朴はスーパーの老婆について聞いた。 「世間では一週間前のあの日を『悪夢の日曜日』と呼んでるらしいですよ。それはともかく、捜査は打ち切られるらしいです」 「単独犯行という線でか?」 「そうです」 「裏で糸を引いているのは生華学会なのは丸わかりなのにか?」 「証拠が全くありません。使われた拳銃はやはり密造された銃で、どこかのマニアがドイツ軍の設計図を基に製造したもののようです。だからどこをどう流通したのか探りようもなくてお手上げです。 学会……生華学会がひそかに非常に大量の武器弾薬を陸揚げしたとの情報も入っていますし、 それを末端に配布しているとの情報も入ってきてはいますが証拠は一切つかめていません。変につつくと何を仕掛けてくるかわからない」 「ほう」 「こちらは祭りが控えているんですから……」
978 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/05(水) 19:24:08.26 ID:1NxvOGV2
「祭りを襲撃してくるとか言う事はないかな?」 「それはないでしょう。この間の一件は学会にとっても寝耳に水の突発事項だったようです。スーパーでハラルと言うんですか? イスラムの食事を売っていたのが熱心な学会員のばあさんの気に入らなかったと言うのが事の発端のようですし……」 「そんな事が理由か?」 「当日の足取りはつかめているようです。少なくとも第一発を発射する寸前の十秒間は、器用にも一番最初に狙われた男が逃げおおせた様でしてそいつがすべてを話して回ったそうです。 こんなケースは珍しいです。防犯カメラの映像や本人の気が狂っているとしか言いようのないメモやらを総合するとスーパーに入り、いきなり発砲を始めた模様です。なぜその器用な男を狙ったのかは不明です」 「怖いなあ……」 それが朴の正直な感想であった。 「その学会に、正面から立ち向かって行かなければなりませんぞ!」 「そうだな……警備計画の件だが」 彼らは打ち合わせを始めたのだった。
979 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/06(木) 07:44:12.03 ID:ruMcj0Y0
朴が計画を検討しているのと同時刻、貪理記念総合ホールの地下ポンプ室。 作業服姿の三人組がポンプを点検するふりをしていた。そうしながらC4爆薬を十キロ、仕掛けていく。彼らは学会親衛隊の変装爆破隊なのだった。 同じような爆破隊は貪理市のあちこちに広がっているはずだ。 C4爆薬は現在では標準的なプラスティック爆薬である。なお、ここで言うプラスティックとは形を自由に手で変える事が出来る柔らかさを持っていると言う意味である。 「おい、この程度の爆薬量でほんとにこの総合ホールは爆破できるんだろうな?」 彼らの誰も正規の爆発物訓練など受けた事などはなく、ただ爆薬を運ぶ係りにすぎなかった。爆薬にはいずれも電気信管が装着されておりそれは時計に接続されていた。 アジト出発前に日本標準時に電波時計で合わせてある。そいつは貪理祭りのクライマックス直前、教主が総合ホールに入るのと同時に爆発するようにセットされていた。 「ここだけじゃない、電気室やパイプスペースにもセットされている。大丈夫だろう」
980 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/06(木) 07:53:09.35 ID:ruMcj0Y0
なんとも情けない話だが彼ら学会親衛隊の知識はその程度だった。爆発物は彼らの専門外なのだ。それじゃ専門は何かと聞かれれば銃と暴力なのだが、それはこの前、工作隊に山の中で鼻っ柱をへし折られたばかりであった。 むしろ今回は銃で撃ち合いになる可能性はゼロだと知って安心した者もいたぐらいである。 「ああ、それにここだけじゃない、貪理教事務センターや貪理教喜びの広場のほうも爆破することになっているんだ。貪理教事務センターは事実上貪理教の総本部だし、貪理教喜びの広場は実際は広場ではなくれっきとした八階建てのビルで祭りの実行本部、 お飾りの最高幹部ではない本物の幹部たちは当日はここに集まっているだろう。それが全員爆死してしまえば貪理教は終わりだ」 「そう言えば聞いたか? 『終りの人』たちの話を?」 学会では病気は仏罰、祈れば病気は治るとの教義からガンやエイズなどの治療が見込めない人々は暗に『終りの人』と呼ばれ信心が足りないからそうなるのだと切り捨てられる存在だった。 実は、真砂子もそうした人の一人とみなされていた。銃支給もその線から行われた。まさかあれほど生活保護で細々と暮らしている老婆が暴れまわるとは誰も思ってもいなかった。弾薬も弾倉も彼女は独断で持ち出して (要は盗んで)いたし、スーパーでやれと命令した者もいなかった。 しかし、その捨てられた存在が某県で見せた戦いはすさまじかった。スーパーの店員が建てた作戦がなければもっと犠牲が出たに違いない。警官隊は力戦したし田中警部補が放った恨みの一発が老婆をあの世に送ったが田中警部補はある意味では作戦に乗ったに過ぎなかった。 「ああ、聞いている……富士の樹海でエイズやガンで、でもまだ体は動くと言う『終りの人』を集めて猛特訓しているらしいな? 銃も爆薬も相当量が回されているようだし、偽パトカーや偽救急車を作っているらしいぞ」 「いよいよ、なのか?」 「し、しかし、俺たちの出番は? ただ爆薬を運んだだけでした、か? それじゃ犬田先生がくれると言うご褒美など貰うにももらえんぞ」
981 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/06(木) 19:04:52.78 ID:ruMcj0Y0
実は彼ら学会親衛隊は犬田に、もうちょっと正確には犬田の側近らに 「成功のあかつきには犬田先生から庭付きの家やベンツが与えられる」 「学会の女子部が抱き放題、酒も銀座でもどこでも飲み放題」 などと煽られていたのである。 成功とは何なのか、具体的には彼らは知らないし知る必要はなかった。 ただ、親衛隊は今は犬田直轄から権田と言う大幹部直轄に切り替わっていた。それに伴いご褒美の話は全く出なくなった。 二時間後、学会のインターナショナル機関SIO。愛称シオの『翻訳支援センター』 「時間設定に間違いはないな」 「はい、権田様」 うやうやしく親衛隊の幹部らが頭を下げる。権田と呼ばれた男は頷いた。 「うむ、ごくろう。新幹線で部下らが戻ってきたらゆっくりするように伝えよ」 「ははっ」
982 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/06(木) 19:06:59.85 ID:ruMcj0Y0
権田…権田隆一こと権克日は韓国全羅南道出身の五十五歳だ。「克日」は反日感情が強かった親がいつかは日本と日本人を懲らしめるような人間になれと言う願いを込めてつけた韓国といえども珍しい名前だった。 実際には彼はこの名前で得をしたことなど今まで一度もない。当然だ。 それはそれとして権力者としてはまだ若い方の部類の権は親衛隊の全権を掌握しつつ武器の末端への配布を進めつつあった。 ところが、飯田純一郎と言う『日蓮宗教義派』出身の大幹部が貪理市大爆破作戦を彼ら、権田と親衛隊には無断でたてた。時期的には『悪夢の日曜日』の前にだ。 当然、『悪夢の日曜日』の結果、計画にはひびが入った。犬田は計画の延期を指示、さらに親衛隊を計画に加えるようにとも言った。犬田の命令は飯田にとっても絶対だった。 こうして、親衛隊による爆薬運搬が始まった。それとは別の爆破班も投入された。『日蓮宗教義派』の実行班だ。『日蓮宗教義派』と言うとインテリっぽいが要は対立宗派の日蓮宗鎌倉辻説法派から 鞍替えしてきた僧侶であり、今は袈裟を背広に変えているだけでスキンヘッドはそのままで、実に目立った。かつらをつけることも検討されたものの、それは無理があるとして却下された。 一人や二人ならどうにかなるが全員かつらの集団は全員スキンヘッドの集団よりも目立ってしまう。それなら真逆でまた袈裟をつけた方がましである。 ここは奈良なのだから…場所が奈良県の中でも貪理教の宗教都市貪理市でさえなければ。
983 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/07(金) 07:51:42.30 ID:kDauunOT
そこで彼らは、ヘルメットに作業服に姿を変えた。これだとヘルメットを脱がなければスキンヘッドはばれずにすむ。 それで、親衛隊も作業服にヘルメットに変装した。彼らには幸いな事に貪理教のセキュリティはザルもいいところであった。一応ガードマンはいたが拾って来た雑種のイヌでも 彼らガードマンよりいい仕事はした。それもそのはず、彼らガードマンは「日の寄進」と言う独特の強制労働でこき使われているだけの素人で、何も考えておらず事実上仕事を放棄していた。爆薬搬入自体は赤子の手をひねるように簡単であった。 いや、むしろ赤子は泣くから赤子の手をひねる方が困難であった。 それで、爆破目標も、親衛隊と『日蓮宗教義派』でダブったり逆に抜けてしまったりしないよう慎重に調整された。貪理教と貪理市をできうるかぎり長く再起不能にすることがその目標だったからだ。 さいわい、親衛隊にはどう言う訳だか都市工学で博士号を持っている男、馬淵がおり彼の研究では貪理市に奈良市側から通じている貪理川の鉄橋を爆破すると交通が長期的に遮断可能だとの予測が建てられた。高圧送電鉄塔も数か所爆破することにした。 こいつは復旧には相当な時間と予算がかかる。次に水道だった。これは爆破ではなく毒を投入することにした。毒には学会関係の医薬品会社から調達したヒ素を使用し、加圧する前の浄水に混入する作戦だった。 ちなみにこの浄水場が供給しているのは貪理市だけではないがそれは彼らの知った事ではなかった。もちろん、どんなに毒を投入しようと最長でも3〜4時間の間毒水を流せる程度だろう。
984 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/07(金) 19:38:11.01 ID:kDauunOT
だが、目の前の水が毒だと分かったその瞬間からもう貪理市の人々は蛇口から出てくる水を信用できなくなるだろう。この心理的効果は長い間続くだろうし、完全になくなると言う事はないだろう。 カンダタの糸ではないが貪理市の弱点は貪理教事務センターや貪理教喜びの広場よりもこうしたライフラインの切断だった。少なくとも「死神博士」と言う異名を頂戴した親衛隊の都市工学博士、 馬淵は言った。彼は親衛隊の作戦参謀だった。 だが馬淵が夢に描いていた戦いとはこんな形ではなかったことも事実で、戸惑ってもいた。 ちなみに親衛隊には作戦の指揮官として近藤春菜と言う女性がいたが彼女はこの作戦には全く関わっていなかった。
985 :
大阪 :2014/03/07(金) 21:35:58.07 ID:xO7PdOhT
この作戦にはリサーチした作戦案が実はあったが削除してありえない大量の爆薬を使うと言うものにしました。 誰が見ているか分からないからです。
986 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/08(土) 07:33:48.21 ID:vwLs/L4K
実際には、馬淵は貪理市の弱点、本当の弱点を知っていた。 中華料理屋でそれを考えながら馬淵は、春菜を見た。 春菜と言う指揮官は彼よりも年下で序列も下であった。指揮官が参謀よりも下という奇妙な関係だが彼女に馬淵は教えた。 「実は、貪理の弱点は別にある」 「それは何です? どうしてそれを爆破しないんですか?」 馬淵は、酸っぱい顔で言った。 「ラーメンが伸びるぞ」 「あひ……ふは……」 「本当は、市内の保育園幼稚園小学校中学校、全てを大々的に爆破したらいい、もちろん、授業のある平日にね」 そう言って、彼はチャーハンマーボー掛けを一口食べた。
987 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/08(土) 07:35:15.41 ID:vwLs/L4K
「でも、それは子供の大虐殺にはなっても、貪理の撃滅と言う意味では今一つではないでしょうか? 貪理教の子供が多いだろうと言う事は分かります。それは圧倒的に多いだろうと思いますが、今活動している大人はどうするんですか」 「それは別に放置でいい、それはいいんだ。 貪理市は大パニックになる。 あそこは代々貪理の重職と言う家が多い。そうした家は全て後継ぎを失ってしまう。そうでない家も昔からの貪理だ。そうした家もまた後継ぎを失う。街じゅうが悲しみと絶望のどん底に陥るだろう。 しばらくすると、貪理は自然消滅的に下火になって行く自分たちに気がつくだろう。次世代を担う子供がごっそり殺されるという事でな。 もちろん、全国にはまだまだ貪理教は、爆破の当日にはいる。全国に信者がいるんだから当然だ。 しかし、かれらはやがて子供が殺される貪理に居続ける事はないと考えるようになって行く。子供を殺すと言うのはそう言う狙いがあるんだ。もちろん、そう思わせるためには嘘でもこれからも殺し続けるぞと言う脅しも必要になってくる。 そこらは考える必要があるが。自分が殺される、ではなく、自分の子供が殺されるかも、と思わせるのがポイントだ」 「なるほど」 「もちろん、貪理もあらゆる対策を打ってくるだろうが、しかし、貪理市で大量に子供を殺しておけばどういう対策を打とうが子供が生き返る訳はないから、子供大虐殺の記憶がよみがえってくるばかりで逆効果だ」 「それは……」
988 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/08(土) 19:54:05.61 ID:vwLs/L4K
「一方、貪理市ではどこの家庭でも号泣、学校は廃墟、これは立て直そうにも立て直しようがない。校舎は直せるがここでも子供が生き返る訳はないと言う事になってくる。 そうこうしているうちに、あの貪理で貪理立ち退き運動すら起こるかもしれん」 「まさか」 「それは、貪理教以外の遺族は絶対そう言う心境になるだろう。悪いのは生華学会なのに貪理教が悪いかのような錯覚を抱く。彼らは貪理がいたから学校が爆破されたのだと考え、貪理に恨みを抱くようになる」 会計は馬淵のおごりだった。この「神遊園」は彼らの行きつけの中華で、今日は馬淵がおごりの番なのだった。 二人は並んで生華学会の街、品野町のメインストリートを流れて行った。風は寒いが陽光は暖かい。 町では「すべてのクリスマスツリーを切りはらえ」の旗がはためいていた。なるほど生華学会は仏教だからクリスマスはNGに違いなかった。 品野町は宗教の街だが、それは仏教系でありサンタは敵なのだった。
989 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/08(土) 19:59:38.26 ID:vwLs/L4K
「近藤、サンタさんのクリスマスプレゼントはどこから来るか知っているか?」 「北極にある秘密のおもちゃ工場からです」春菜は答えた。 「しかしその原料はなんだと思う」 「さあ?」 「それは未来から届けられる、大人になった時に、 ああ、失ってしまったなあと思った物は過去のおもちゃ工場に転送されてクリスマスプレゼントに加工されるんだ」 「哲学ですか」 「そうかも……」 ふと見ると街角焚書コーナーがあった。聖書や経典が燃やされていた。コーランも燃やされていた。 すべての異教はみな生華学会にとっては仏敵、人は殺しつくし本は焼き尽くさなければならないものなのだ。 馬淵はそれを見ながらやや考えて言った。 「俺は子供こそが未来を開くカギであると考えている。それは多分正しいだろう。 だから人間は子供を作るのだろうし、サンタクロースと言う子供にプレゼントを与える架空の存在があたかも実在するかのようにふるまう。 だから子供を奪ってしまえば現在はあっても未来はないと言う事になる」 「ではなぜそれを作戦に盛り込まなかったんですか」 「一つは、貪理祭りは日曜日であった。学校や幼稚園、保育園は休みで、爆破しても無意味だった」 「ふむふむ」
990 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/09(日) 10:14:00.49 ID:CW66BTd/
風が舞う。踏み絵を呼び掛けるスピーカーの声。今は何時代なのか分からないが、ここ品野町では当たり前の光景だ。 「それと、もう一つは、これが最大の理由だが、俺は子供が好きで、殺すような作戦はどうしても乗り気になれなかった。 飯田と言う大幹部は馬鹿で、大きな建物さえ爆破すればいいと思っている」 もう一度街を見渡すと、今度は「全てのクリスマスツリーを焼き払え、クリスマスは絶滅せよ」と言う看板が見えた。 彼ら生華学会は仏教こそが正しい宗教だと言う考えに凝り固まってしまい国の宗教は仏教と教えていた。 貪理は、彼らを邪魔する存在だった。関西における最大の敵だ。 「成功しますかね」 「多分ね、思わぬ邪魔が入ったりしない限りは成功するだろう。壊滅的打撃を受けて貪理は当面立ち直れないだろうし、当面とは五年程度と想定している。貪理川の橋と送電鉄塔の復旧はその程度の工期はかかる。 JRの復旧は数カ月だし、水道は一日もかからず元に戻る。死者は多分数千だろう」 あっさりと馬淵は言った。
991 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/09(日) 10:56:41.10 ID:CW66BTd/
貪理市壊滅作戦決行2日前(金曜日)。午前九時。 権田こと権は生華学会記念音楽ホールの第三リハーサル室にいた。無論音楽のリハーサルのためではなく 貪理市壊滅計画の総仕上げのためだ。適当な広さがありある程度の期間押さえられて出入りが目立たない場所がここしかなかったのである。 室内には大型の地図が広げられて爆破の手筈が確認された。 「爆破は日曜午後二時きっかりです。ハイ!」 『死神博士』は右手を高く掲げ「ハイル・ヒトラー式敬礼」をした。これは正確にはローマ式敬礼と言いナチスの忌まわしい記憶と 同一視されている敬礼だったが学会内では「先生」に対してだけ内々に使われる最高の敬礼であった。
992 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/09(日) 19:56:08.41 ID:CW66BTd/
「つまり、その瞬間には奴らは消えていなくなる訳だな?」権は言った。 やつらとは誰の事なのか、『死神博士』にはとっさに分りかねた。 彼の本名は馬淵孝太郎と言い三十二歳でバリバリの学会員であり、作戦参謀である。全ての学会の敵と戦う覚悟はできていた。彼の知識の限り全力も上げていた。 まあ、やつらとは多分貪理教の教主と大幹部たちの事であろう、馬淵はそう見当をつけた。そうなると厄介だった。 「はっ! そ、そのう……」 「なんだ?」 「建物は吹っ飛びます、それは確かです」 「爆発物が発見され処理されることはあるまいな」少し違う方へ権は話を持って行く。 「発見は、どうか分りません。ただ、今まで発見されていないものが日曜までに急に見つかると言う事はないと思います。 それに実は爆発物処理班は奈良県警全体に一つしかありません。奈良は広いですから大きな警察署に爆発物処理の講習を受けた警察官が配置されているところはあると思いますが、 爆発物を処理する大きな、液体窒素の装置などは一セットしかないのが実情なんです。隣の大阪府警には複数の爆発物処理班が存在しており関空など重要施設の警備にあたっていますが、奈良は手薄なんです。 従ってどんなに頑張ってもこれだけの爆発物を日曜に処理することは無理です。しかし、教主らが来なければ話は別です」 「なんだと?」
993 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/09(日) 19:58:01.78 ID:CW66BTd/
「貪理は予知能力があると豪語しています。真実は違うと思いますが、阪神淡路大震災の時も予知したと言ううわさを流しました。 今回も何らかの形で事前に察知されるとこれまでの努力が水の泡です」 「ばかな、貪理のあれははったりだ。我が学会の方が本当の「福運」を受けているぞ。阪神大震災の時も誰も学会員は死ななかったし、311の時も学会員は全員会館に 避難していて無事だったのに地域の非学会員は全滅した所が続出、これこそ仏罰、すべては日蓮さまのみ心によるものなのだ」 それも大うそであったが一々それをクールに指摘しても始まらないのであった。馬淵はうなづくしかなかった。 「それに、そういう場合はハゲどもが何とかしてくれるそうだ」と権田は言った。 「は?」 ハゲと言うのは僧侶を揶揄する言葉でこの場合は『日蓮宗教義派』を指す。 「分業制だ。現場ではハゲが働くことに決まった」 「と、言いますと?」と馬淵。目をぱちくりしている。 「特攻コマンドが現地に潜入済みだ。」 「し、しかし、スキンヘッドではえらく目立つのでは? 」 「いやいや、やつらハゲもそこまで向こう見ずではない。訓練した『終りの人』が特攻コマンドだ。もちろん彼らは戻ってこない。文字通りの特攻コマンドだ」 「え?」 「何か質問でも?」
994 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/10(月) 07:04:44.02 ID:sAvMasmg
貪理市壊滅作戦決行2日前(金曜日)。午後3時。 場所は大村パンの総務のシマだった。角来美雪は言った。 「今度の日曜日、貪理祭りがあるの」 「ええっ」 涙田は驚愕の表情を見せた。 「なんだそのええっは? 」 美雪はやや怒って言う。 「貪理祭りと言うとあの、時代錯誤の塊のような祭り? 」 貪理祭りの本祭の時代錯誤振りは大阪人を筆頭とする関西人のいい物笑いの種であった。 ただ、ここではそれを一々書いていたのではこの小説がいつまでも終わらないので省略する。
995 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/10(月) 17:27:39.91 ID:sAvMasmg
「う、そ、それは去年までの話で…」 「毎年のように刃傷沙汰があると言う、喧嘩祭り? 普通は喧嘩祭りって言うと、神輿をぶつけあうとかだけどこの場合体と体が刃物ごとぶつかりあうのが祭りのクライマックスみたいなところがあって、リアルファイト祭りと呼ばれているあの? 」 それは事実だった。毎年けが人が出た。死人が出る事も多かった。 関西では有名で、だから同じけが人が出るお祭りでも岸和田のだんじりと貪理祭りでは行く層が全然違った。酒が入るのがいけないのか、貪理教と言うものはストレスがたまるものなのか、この祭りでは喧嘩は刃物でするものなのであった。 もちろん、刃物が道に落ちているはずもなく、家から用意して行くわけであるから確信犯で、その意味でも非常に特色があった。 「あーそれは…で、でも、露店はすごいのよ、もう、こなもんから色々」 涙田は、こなもんと聞くとちょっと心が動いた。もちろん小麦粉を使うという意味合いにおいては、彼も今やパン会社に勤務している訳だが、たこ焼きやお好み焼き、焼きそばなど……大阪人のソウルフードはこなものなのだ。 小麦粉禁止令が出たら力が出なくなって大阪市内は絶滅のカウントダウンに直面するに違いない。 大阪市民革命が起こり大阪独立宣言が出るかも知れなかった。
996 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/10(月) 17:28:41.56 ID:sAvMasmg
「それはちょっと魅力あるかも……」 「じゃ明日十時に地下鉄の駅よ」 「え、ええ?」 「今日は前夜祭よ 会社前の居酒屋「酔夢」で」 「し、しかし、明日はどこに泊まるんだ? 貪理市なんてどこもホテルはいっぱいだと思うけど」 「ウチの実家に泊まるのよ」 「は?」 「大丈夫、飲む酒には不自由しないから」 「いや、そういう問題じゃなくて……」 「部屋はちょうど東京に出てきている弟の部屋が空いているから大丈夫よ」 「いやいや」 「いざとなったら私の部屋へいらっしゃい」 「おいおい」
997 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/10(月) 17:59:48.83 ID:sAvMasmg
自分の席に戻ると、綾子が 「どうしたの? 」と聞いてきた。 「いや……かくかくしかじかで」 「それは北朝鮮に拉致された級の災難ね」 「ええ」 「でもよかったじゃない、キスさえ通り越して親前デビューなんてすごい高速交際じゃない、光速エスパーもびっくりよ」 「そんな、交際なんて」 「照れる事ないじゃない、みんな注目してるのよ。綺羅に続く交際に発展するかと」 「はあ……」 綺羅と言うのはこの前、手フェチの保健局員と寿退職した総務課のお局様だった。
998 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/10(月) 18:01:44.76 ID:sAvMasmg
「とにかく、今年の忘年会までは持たせてね」 「は?」 「毎年あの子、つぶれてしまって大変なんだから……アル中なのよ」 「え?」 「酒の匂いしなかった? まだ三時だから大丈夫か……午後も遅くなるとね、美雪は女子トイレに行って一杯、多分ウイスキーを飲むのよ。そうしないと手が震えてパソコンが打てないの。明日の配車を入力する退社直前が一番忙しいんだから仕方がないけどね。 それで会社から帰る前には「酔夢」か角のコンビニで一杯やってるわ」 「ええ、えー!」 婆あにルガーで狙われた事と同じぐらい衝撃的な話に涙田は硬直した。周りが疑問符の目で彼を見ていたがそれにも気がつかなかった。 スレ終了 次スレに続く
999 :
大阪 :2014/03/10(月) 19:35:16.78 ID:el90ibB+
長い旅が終わったようで、実は次スレと言う旅が待っております。 パソコンが終わった為新規に買いました。
1000 :
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M :2014/03/10(月) 21:50:04.33 ID:sAvMasmg
おしまい
1001 :
1001 :
Over 1000 Thread このスレッドは1000を超えました。 もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。