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フェイク:
この説に異を唱える人もいるが、日開の死に際しては遊郭で遊び、急いで駆けつけようともしな
かったが、日深の葬儀の時には位牌を抱いて哀しげにしていた姿から、本人も父親のことを
母のスマに聞いていたというのが古老の話である。
出生の秘密を持っているからといって、その人を差別するつもりなど毛頭ないが、信夫は幼い
頃から我がままで、直ぐに怒り、執念深く、凶暴だったという。
信夫は昭和三年八月に得度させられたが、師僧は戸籍上の父・日開でも、実父の日深でも
なく、日開と同郷の桜井仁道であった。
得度した後も素行は悪く、所化の頃から塔中坊の娘に手を付け、学徒出陣で出征しては旅館
の娘と懇ろになり、住職になると大っぴらに芸者やホステスと遊興に耽り、役僧として初の出張
御授戒でアメリカへ行っては売春婦とトラブルを起こした。こんな女癖の悪さは終生、治らない。