過疎スレ再利用。スレタイと一切の関係は無し。レス無し。
【続・発障の森で小人と暮らすお姫様】
南の小屋から戻ってきたけど、たぁ〜いくつっ!ひまっ!
「鏡よ鏡。なんか面白いスクープを映してちょうだいな」
無数のたいまつが照らす広間が写った。ここはどこ?
重々しい扉が、ギィィィ…とじれったい音を立てて開いた。あ〜遅い動きは腹立つ。
埃っぽいじゅうたんに足を踏み入れてきたのは、黒づくめのマント。
持つのはほうき。なんか見たことある…どこかで見た…人の顔は覚えられないのよね。
でも顔じゃなくてほうき。あ、もしかしてもしかして。
マントがフードをあげて顔を出した。あのりんごの魔女だww
「…王様、御呼びでございましょうか」相変わらず会話おせぇ〜のw
あらら、見ない間に年くったわね!
暗闇の奥から、相当な重力に押しつぶされながら出していそうな、くそ勿体つけたダミ声が響いてきた。
「…ノ…ヴァ…」「…はっ。ここに」「…野…婆…来たか…」
暗闇に目が慣れてきた。マントの魔女の向こうには、視界に入りきらないような肉の塊が鎮座していたのだ。
声はその肉のどこかから発されていた。
カナーリあとからわかったんだけど、あのりんごの魔女は「野婆」とゆった。
しかも隣国の“カツラ王国”にいた。
「…野婆…ひさかたぶりよのう。それでもむかしの面影が、わしにはいくらか見てとれる…」
「王様、この婆は年を取りました。もうお役にたてることは…」
なんかつまんなさそうなシーンの気がしたので、リモコンで早送りをした。
りんごの魔女「野婆」はかつらの国王と昔馴染みだったんだって。
むかしは美人で、若者が賢くなりかけたら政治をやりやすいようにちょっとおかしくして働かないヒッピーにしたり
魔法で小細工していたけど途中から人の役に立つ魔法に方向転換した。
そしてこっちの国へきて病院で細々商売していたらしい。
突然野婆が居なくなった後、カツラの王様は経営がうまくいって儲かり過ぎて
広間の横幅を占めてしまうくらい太った。なぜか思い立って、最近になって野婆をもう一回呼び寄せた。
それからしばらくたち、なにをしたかったのかがわかった。
カツラの王様は戦争を始めた。
こっちの王様は少々髪が薄かった。
しかし海を越えた向こうの国から嫁いできた王妃は、ありのままの頭を気に入っていたのだ。
ところがカツラの国の王が、自分の国で作っているかつらを勧め、断ると逆切れしたのだ。
王様は妥協して、国事用にかつらを買おうとした。そしたら値段を10倍にあげた。
ここで王様もブチ切れた。
街はすぐに景気が悪くなっていったわ。
しかしきっかけがチョーくだらないので、街の住人はあまり悩んでいなかった。
誇りとかも痛くもかゆくもなく、いつしか戦争そのものを忘れていったわ。
その裏の理由がわかりかけてきた。
カツラのやつらは一枚上手で、こっちの国の人がものを深く考えなくなるように、野婆を使ってこっちの国へこっそり魔法をかけていたらしい。
そのことには誰も気がつかない。ここ、森のある国の王様も王妃様も街の人たちも気がつかない。
ふつうに、でもキリキリと生活していた。
街に住むコヒ族だけが生活できなくなっていた。
ただの背が小さい人と分けられるために、いつしか森の小人達はコヒ族と呼ばれていた。
わたしはどっちでもいいんだけどね。