連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 5クール目

このエントリーをはてなブックマークに追加
201【番外編】帰り道で…
おや? 珍しくニホンちゃんとカンコ君が一緒に歩いています。
一体どうしたのでしょうか?
ニホンちゃんは不安そうな表情のカンコ君に尋ねます。
「カンコ君、元気ないね…?」
いつもならば、うるさいニダ!と返すはずのカンコ君も、今日は
ため息をついています。
「…キッチョムの事ニダ」
「キッチョム君?」
「そうニダ」
カンコ君の話ではヒッキ―のキッチョム君は、今まで離れに住
んでいて、カンコ君ですら滅多に会う事が無いという程でした。
ところが、もうすぐ離れを壊すかも知れないという事を聞き、カン
コ君は少し複雑な気分のようです。
「一緒に暮らすのは楽しいニダ…でも…」
「でも?」
「ウリのアポジやオモニが、キッチョムに優しくしすぎるニダ」
いつもは強がっているカンコ君も、やはり小学生。両親の愛情を
独占していたいようですね。
「きっと…うまくいくよ…」
確信があったわけではありませんが、ニホンちゃんはそう呟きま
した。
「ふ、ふん!…当たり前ニダ…ウリは子供じゃないニダよ…」
カンコ君は、なぜか微笑むニホンちゃんを見ることが出来ず、
反対の方を向いたままで、そう言いました。
「うふふ…」
「あっ、何が可笑しいニダ!」
「…何でもないよ」
「あ! ま、待つニダ!! 絶対にウリを馬鹿にしたニダ!」
あらあら、いつもの二人に戻ってしまったようですね。でも、
カンコ君の顔がいつものように真っ赤になっていないのは
本当はニホンちゃんに感謝しているのでしょうか?

その真相はカンコ君だけが知っています。