おや? 珍しくニホンちゃんとカンコ君が一緒に歩いています。
一体どうしたのでしょうか?
ニホンちゃんは不安そうな表情のカンコ君に尋ねます。
「カンコ君、元気ないね…?」
いつもならば、うるさいニダ!と返すはずのカンコ君も、今日は
ため息をついています。
「…キッチョムの事ニダ」
「キッチョム君?」
「そうニダ」
カンコ君の話ではヒッキ―のキッチョム君は、今まで離れに住
んでいて、カンコ君ですら滅多に会う事が無いという程でした。
ところが、もうすぐ離れを壊すかも知れないという事を聞き、カン
コ君は少し複雑な気分のようです。
「一緒に暮らすのは楽しいニダ…でも…」
「でも?」
「ウリのアポジやオモニが、キッチョムに優しくしすぎるニダ」
いつもは強がっているカンコ君も、やはり小学生。両親の愛情を
独占していたいようですね。
「きっと…うまくいくよ…」
確信があったわけではありませんが、ニホンちゃんはそう呟きま
した。
「ふ、ふん!…当たり前ニダ…ウリは子供じゃないニダよ…」
カンコ君は、なぜか微笑むニホンちゃんを見ることが出来ず、
反対の方を向いたままで、そう言いました。
「うふふ…」
「あっ、何が可笑しいニダ!」
「…何でもないよ」
「あ! ま、待つニダ!! 絶対にウリを馬鹿にしたニダ!」
あらあら、いつもの二人に戻ってしまったようですね。でも、
カンコ君の顔がいつものように真っ赤になっていないのは
本当はニホンちゃんに感謝しているのでしょうか?
その真相はカンコ君だけが知っています。