連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 4クール目

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493みんなの家 その一
夏休みが終わり、5年地球組では、早速夏休みの課題の研究発表です。
テーマは「私の家のつくり」です。
フラメンコ先生「はーい、みんな宿題をやってきたかしら?すぐに発表したいって人がいたら手をあげてね。」
ハーイ ハーイ ハーイ・・・
みんないっせいに手をあげました。なかなか元気なクラスのようですね。
そんな中でいちはやく手をあげたのが、なんでも一番が大好きなアメリー君でした。
フラメンコ「はい、じゃあ、アメリーくんから発表して下さい。」

アメリー「よーっし、みんな俺の発表を聞いておどろくなよ〜」
と、やる気マンマンです。みんなも町一の大金持ちのアメリー君の家がどーなっているのか興味深々です。
アメリー「えー、うちは新しい家なので、敷地内にある建物のほとんどが鉄筋コンクリートでできています。
とっても頑丈なんだぜ!でも、コンクリだから空調がないとちょっとキツイけどね。それで、それぞれに完
全に独立した建物で、全部で51個あります。あ、でも、オヤジが書斎としてつくっている「白い家」を入れ
ると全部で52個になります。建物にはそれぞれサウスダコタとかミズーリとか名前がついていて、僕が普段
生活している建物はニューヨークと言います。ニューヨークは一番立派な建物ですが、僕はうちの屋敷の中
で鉄筋コンクリートでできていない建物のひとつのハワイが一番好きです。とっても快適で、友達もよくハ
ワイに来ます。でも僕よりハワイが好きなのはニホンちゃんかもね。」
と言ってニホンちゃんにウインクを送るとクラスじゅうからどっと笑いがおきました。ニホンちゃんがハワイ
好きなのは、クラスで有名な話だからです。ニホンちゃんは思わぬところで自分に注目がむけられ、ちょっと
恥ずかしそうです。
アメリー「というわけで、僕の研究発表を終わります。ご静聴ありがとうございました。」
一斉に拍手がおこりました。みんなアメリー家の建物の数の多さに圧倒されているようです。
チューゴ君とロシアノビッチ君は、ちょっと面白くないようですが・・・。
フラメンコ「建物だけではなく、お庭の様子なんかも入れてもらえるともっと良かったと思いますよ。でも、
大変よく出来ました。じゃあ、次は・・・」
494みんなの家 その二:2001/08/05(日) 19:24 ID:RCYSnx0Y
ハーイハーイハーイ・・・
またまた挙手の嵐です。
フラメンコ「じゃあ、次はタイワンちゃん。」
タイワン「はい。私の家はアメリー君家みたいに建物がいっぱいあるわけじゃなくって、一つしか建物がない
んですけど、木造で、とっても穏やかなつくりになっています。また、うちの特徴としては、部屋でしきられ
ていません。でも、プライバシーを守るために、ついたててしきって、いくつかの部屋にわかれているという
ことにしてあります。家の中はコクミン父さんがチューゴ君家から持ってきた調度品やニホンちゃんのお祖父
さんがうちに置いていった実用品とかがたくさんありますが、最近ではうちでつくった物なんかもたくさんあ
ります。ちょっとせまくてゴチャゴチャしてるし、ちゃんとした壁でしきられている部屋もないけど、こんな
我が家が私は大好きです。」
またまたクラスじゅうから拍手喝采です。チューゴ君は面白くないようですが・・・。
フラメンコ「はい、よくできました。タイワンちゃん家の居心地のよさが良く伝わってくる発表でしたね。じ
ゃあ次は・・・エリザベスちゃん、行きましょうか。」
エリザベス「はい。私の家はアメリー君家ほどじゃありませんが、敷地内に複数の建物がありますわ。イング
ラン堂、スコットラン堂、ウェールズ館、北アイルラン堂の4っつのたてものですの。北アイルラン堂以外は
それぞれが石畳の通路でつながっていますけど、北アイルラン堂だけは邸内の池を隔ててありますので、船で
いきますのよ。建物のつくりとしては、イングラン堂が赤レンガとスレートで作られている以外はすべて石造
りですが、全部とっても風格のある建物ですの。しかも、それぞれに様式が違うんですのよ。我が家は新しく
もないし、居心地もけっして良いわけではありませんが、とっても風格があり、わたくしは我が家の屋敷を愛
しております。というわけで、私の研究発表は終わりますわ。」
みんな拍手こそおこりませんでしたが、エリザベスちゃん家の威風堂々としたたたずまいに、思わず「おー」と
唸っていました。もっとも、フランソワちゃんだけは「北アイルラン堂は、所有権をめぐってもめてるじゃない
の」とボソっとつぶやきましたが・・・。
495みんなの家 その三:2001/08/05(日) 19:26 ID:RCYSnx0Y
フラメンコ先生「うーん、なかなかみんな真面目に調べてるわね。関心関心。じゃあ、次はニホンちゃん、お願
いします。」
ニホンちゃん「はい。えーっと、私の家は、古いし、建物の数もたいしたことないんですけど・・・。」
と顔を赤くして謙遜しています。
ニホンちゃん「うちは主に四つの建物で構成されています。それぞれ、北海堂、本館、四刻館、旧館と名前がつけ
られていて、敷地の中を流れる川によって隔てられてはいますが、本館を軸にすべての建物は渡り廊下によってつ
ながっています。複数の建物というよりも、四つで一つの建物といった感じです。あ、あと、本館と四刻館の間に
は淡路庵という草庵づくりの小さな建物があって、このたてものも渡り廊下でつながっています。他にはリューく
んの住んでいる沖縄荘や、小笠原荘などの渡り廊下でつながっていない建物もあります。これらはすべて、敷地内
の川や池によって隔てられています。川の一部は本館の下を流れていて、夏はとっても涼しいんですよ。お母さん
の話だと、こういう造りの屋敷のことを寝殿造りというそうですが、私には詳しい事はわかりません。建物はすべ
て木造で、それぞれの建物の中には全部で47の部屋にわかれています。もっとも、部屋といっても壁でしきられて
いるものもあれば、フスマだけで仕切られている部屋もあって、まちまちですね。ちなみに北海堂は、建物の中に
まったく仕切りがなく、タイワンちゃん家と同じく一つの部屋でもあります。あと、うちで一番にぎやかな部屋は
トウキョウの間で、シンタローおじさんが管理してるんですけど、家族会議が開かれたり、主な応接間としてつか
われたりしています。以上が我が家のつくりです。」
と、いつものように詳細なレポートを披露しましたが、ニホンちゃんの予想に反して、クラスのみんなから絶賛さ
れました。
496みんなの家 その四:2001/08/05(日) 19:28 ID:RCYSnx0Y
「ワンダフール!!」「ビューティフール」「エレガント!!」とベタ誉めです。みんなニホン家の優雅なつくり
にうっとりしたのです。ただの古いお屋敷だと思っていたニホンちゃんは、みんなの反応にビックリしてしまいま
したが、まんざらでもないようです。でも、ちらっとカンコ君の方をみた時、紅潮していた顔色が
さっと薄くなりました。カンコ君だけは、恨のこもった目でニホンちゃんを睨み付けていたからです。
ニホンちゃん「やだなー、また何か言われるわ・・・。」

さて、いよいよ我らがカンコ君の番です。
カンコ「ウリノ家をみんなに紹介するニダ。ウリの家はオンドルといって、厨房で煮炊きした熱を居間の床下に送
りこむことで、冬でもあったかい床暖房になる構造ニダ。」
おやおや、みんなの予想に反してまともな研究をしているのでしょうか?ところが、もちろん我らがカンコ君は期
待を裏切るような真似はしません。
カンコ「ウリの家は38度壁によって二つに仕切られているにだ。しかも、ひとひとりが匍匐全身しないと通れない
ようなパンムンジョム穴でした行き来できないニダ。とっても不便ニダ。これは全てニッテイの陰謀ニダ!!ニホ
ンは、謝罪と賠償を・・・」
と言いかけた時でした。アメリー君が、
アメリー「あれ?カンコ君の話は変だなあ。この前のカンコ家のお家騒動の時にお前とキッチョムが大喧嘩して、
俺がお前に、チューゴとロシアノビッチがキッチョムと一緒になって喧嘩した時に、これ以上喧嘩が酷くならない
ように俺達でつくった壁じゃなかったけ?」
タイワン「そーよ、そーよ、なんでもニホンちゃんのくせにする、そのくせなんとかしなさいよ!!」
と、いつものようにカンコ君の旗色は悪くなってきます。チューゴ君とロシアノビッチ君は下手に介入すると自分達
も都合が悪くなる危険性があるので、ダンマリを決め込んでいます。
ニホンちゃんはというと、いつものようにオロオロするばかり・・・
カンコ「くっそー、と、とにかく、ウリのいうことの方が正しいニダ。訴えてやるニダ〜アイグォーーーーーー」
と叫ぶと、いつものように逃げ出してしまうのでした。

終わり