連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 4クール目

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45ポキ蔵
キューバちゃん危機一髪 1

「ねえねえ、キューバちゃん何見てるの?」
ニホンちゃんは休み時間、教室の隅でひとり窓の外を見ていたキューバちゃんに話し掛けました。
学校ではいつも一人ぼっちのキューバちゃんが寂しそうだったからです。
「・・・・・空を見てるの。」
キューバちゃんは外を見ながら答えました。

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 昔、地球町には二つの大きなお家がありました。アメリー君家とロシアノビッチ君家です。
今は没落し、貧乏なロシアノビッチ君家ですが、昔はすごかったのです。
 この両家は喧嘩をしていました。喧嘩の理由は家訓の違いでした。
アメリ−君家の家訓は「資本」、ロシアノビッチ君家は「社会」だったのです。
 両家は自分では殴りあわず、カンコ君家とキッチョム君家などの他の家を代わりにを喧嘩させたり、花火をいっぱい作って相手を牽制したりという喧嘩でした。
地球町のみんなはこれを冷たい喧嘩と呼んでいました。
 そして冷たい喧嘩がいつ殴りあいの喧嘩になるかとびくびくしてました。
この両家が喧嘩すると、花火を使った喧嘩になり、花火の火の粉が地球町全域に降り注ぐからです。
 そんな冷たい喧嘩の続く中、ロシアノビッチ君家でペットボトルロケットが発明されました。
「スプーンと肉」を積んで、ものすごく空高く上がることの出来るすごいものでした。
 これに花火を乗っけたら家にまで届いてしまう、怖くなったアメリー君は、ロシアノビッチ家の近所のトルコちゃん家とマカロニーノ君家の庭に、ロケット花火を突き刺しました。
これでロシアノビッチ君の家に花火が届くことになりました。
46ポキ蔵:2001/07/31(火) 08:44 ID:56V6DAjU
キューバちゃん危機一髪 2

こんな冷たい喧嘩が行われている頃、キューバちゃん家は貧乏でした。
キューバちゃんのバチスタ父さんが、自分とアメリー家が儲かればいい、という考えだったからです。
 キューバちゃん家はとても貧乏で生活は酷いものでした。
そんなキューバちゃんを助けようと立ち上がったのが、今のキューバちゃんのお義父さんのカストロおじさんでした。
カストロおじさんは苦労してバチスタ父さんを追い出しました。
それでもキューバちゃん家は貧しいままです。
 そこでカストロ義父さんはお隣のアメリー君家に助けを求めました。
しかしその時のアメリー家当主のアイゼン波輪おじさんは、カストロおじさんに会ってもくれませんでした。
金づるのバチスタ父さんを追い出したことが気に入らなかったのです。
アメリー家に失望したカストロおじさんは、ロシアのビッチ君家に助けを求めました。
 これに怒ったアイゼンおじさんは、キューバちゃん家に近所付き合いを止めると一方的に言い放ちました。
そしてアメリー家のキューバちゃんに対する陰湿ないじめが始まりました。
それはキューバちゃん家の中に爆竹を仕掛けたりする酷いものでした。
 そんな酷い目にばかりあっているキューバちゃんですがようやく幸せが訪れました。
カストロおじさんの願いが通じ、ロシアノビッチ君と仲良くなったのです。
ロシアノビッチ家の援助で生活は少しずつ楽になっていきました。
ロシアノビッチ君はキューバちゃんを守ってくれるといいました。
 相変わらずキューバちゃんへのアメリー家のいじめは続いてましたが、
ロシアノビッチ君がいるので平気でした。
 あるときロシアノビッチ君がキューバちゃんに、庭にロケット花火を挿していいか?と聞いてきました。
ロシアノビッチ君は自分の近所にアメリー君のロケット花火が刺さっているのを、不公平だと思っていたのです。
ロシアノビッチ君の頼みだし、アメリー君がいついじめに来るかと怯えていたキューバちゃんは
一も二もなく承諾しました。 
47ポキ蔵:2001/07/31(火) 08:47 ID:56V6DAjU
 キューバちゃん危機一髪 3

しかしロシアノビッチ君がキュ−バちゃん家にロケット花火を挿しているのを、
アメリー君家の犬が嗅ぎつけたのです。これにはアメリー君家の新当主JFKおじさん、とてもびっくりしました。
そしてこわくなりました。キューバちゃん家からだとロケット花火がリビングルームや書斎、そして寝室
にまで届いてしまうのです。
 アメリー君はこれ以上ロケット花火をキューバちゃん家に持ち込ませないために、
飼い犬たちでロシアノビッチ君家とキューバちゃん家を結ぶ道路をふさぎました。
その中には大型犬の「園タ亜プライズ」や「印でペン伝ス」もいました。
 そしてロシアノビッチ君家に「ロケット花火を持って帰れ!!さもないと無理やり引っこ抜きに行くぞ」
と言いました。
 しかしロシアノビッチ君家の当主、古しチョフおじさんも負けてはいません。
「トルコちゃん家にロケット花火があるのだから、キューバちゃん家にあってもいいだろう」
と全く引きません。まさに一触即発の状態でした。
アメリー家は家に代々伝わる格闘技の奥義、デフコン2という防御の構えまで発動させました。
(ちなみに5つあり、デフコン1は攻撃)
このときキューバちゃんは覚悟を決めました。
庭にアメリー君家の犬たちがロケット花火を引き抜きに来たら戦おう!!
どんな大怪我をしても最後まで戦おう、ロシアノビッチ君と一緒に!!!と。

 地球町のみんなは固唾を飲んでこの様子を見守っていました。喧嘩が始まると、
ロシアノビッチ君家の仲間とアメリー君家の仲間が加わり、
地球町全てを巻き込んだ大喧嘩になるのです。花火も使われ、火の粉が町に降り注ぐでしょう。
 
48ポキ蔵:2001/07/31(火) 08:48 ID:56V6DAjU
キューバちゃん危機一髪 4

・・・しかし喧嘩は起こりませんでした。
喧嘩を避けるためロシアノビッチ家は、花火を持って帰ることにしたのです。
地球町のみんなは大喜びしました。
 しかしそんな大事なことを決めた時にも、キューバちゃんとカストロ義父さんには何の相談もありませんでした。
この裏切り行為にカストロ義父さんは激怒しました。キューバちゃんは大変なショックを受けました。
花火はアメリー君家からキューバちゃんを守ってくれる壁で、ロシアノビッチ君と絆だったのです。
キューバちゃんは信じていた大切な人に裏切られました。
 それでも他に頼る人のいないキューバちゃんはロシアノビッチ君との付き合いをその後も続けました。
しかし最近ロシアノビッチ君家が没落し、とうとうキューバちゃんを助けてくれる人はいなくなりました。
ロシアノビッチ君に頼り切っていたため、キューバちゃん家ではいろいろなものが不足しました。
電気がつかなくなったり、歯磨き粉までなくなるありさまでした。
キューバちゃんは前にも増して貧乏になりました。でもキューバちゃんはがんばりました。
アメリー君のいじめに耐えながら、他の国と一所懸命仲良くしようとしたのです。
そのかいもあってキューバちゃんの友達は増えてきました。
その友達と物を交換することで、少しずつ本当に少しずつですが生活がよくなっていきました。
 それにともないキューバちゃんへのアメリー君にいじめを非難する声があがってきました。
みんなはコクレン先生のところにみんなで集まり、
アメリー君のキューバちゃんへのいじめをどうするかを話し合いました。
圧倒的多数でいじめを止めさせることになりました。
いつもはアメリー君に逆らえない、優柔不断なニホンちゃんもこの時ばかりは
アメリー君にいじめを止めるように言いました。
 しかしアメリー君は聞きませんでした。
そしていじめは今も続いているのです。

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49ポキ蔵:2001/07/31(火) 08:50 ID:56V6DAjU
キューバちゃん危機一髪 5

「うわぁはすごくいいお天気ね♪」
ニホンちゃんは空を見上げ言いました。
「そうだ!お昼ご飯はみんなでお外で食べましょ!!」
ポンッと手を打つとクラスのみんなに話かけました。
「お外でキューバちゃんとおべんと食べよ〜。いいお天気よ〜♪」
「ちょっとニホンちゃん」
キューバちゃんはニホンちゃんの服を引っ張りました。
キューバちゃんはアメリー君に嫌われているので、学校の中ではあまりみんなと仲良く出来ないのです。
実際いまもアメリー君はいやな顔してこちらを見ています。
 それでも何人かはニホンちゃんの呼びかけにこたえ、こちらに歩いてきます。
「いや〜こんな可憐なレディ達からランチのお誘いを受けるなんて身に余る光栄だよ。
お礼に今夜はボクの家のディナーにご招待するよ。もちろんデザートは君たちさ(はぁと)」
マカロニーノ君がむやみやたらとフェロモンを撒き散らしながらやってきました。
「マカロニーノく〜ん、それってセクハラだよ〜。」
いつのまにかニホンちゃんの隣に立っていたカナディアン君が言いました。
「「ひゃっ」」
突然現れた(ように見えた)カナディアン君にびっくりした二人の悲鳴は完全にハモってました。
「かっカナディアン君いつのまに・・・」
たずねるニホンちゃんに。
「ニホンちゃんが〜、お昼ご飯に誘ってくれたすぐ後からいたよ〜。」
「ごっごめんなさい気づかなかったの・・・。」
「いいよ気にしないで〜、慣れてるから〜(涙)」
今までにも増してテンションが下がるカナディアン君。
「男ならそんなにめそめそするんじゃないですわよ。まったく。」
カナディアン君の側に来るとエリザベスちゃんは落ち込んでいるカナディアン君に、
容赦なく追い討ちをかけました。
「エリザベスちゃん言い過ぎ・・・。」
エリザベスちゃんと一緒に歩いてきたべトナちゃんが、エリザベスちゃんに遠慮がちに言いました。
「カナディアン君にはこのぐらいがちょうどいいんですのよ。ふふっ」
エリザベスちゃんサドっ気全開です。
50ポキ蔵:2001/07/31(火) 08:52 ID:56V6DAjU
キューバちゃん危機一髪 6

「っ!さあさあおべんと食べに行きましょ、早くしないと休み時間が終わっちゃうわ。」
漂い始めた変な空気を振り払うようにしてニホンちゃんが言いました。
みんなはニホンちゃんに従い教室を出始めました。
カナディアン君の顔に浮かんだ残念そうな表情は多分ニホンちゃんの見間違いでしょう。
「さあ、キューバちゃんも」
ニホンちゃんはキューバちゃんに手を差し伸べました。
「ホントにいいの?」
「もちろん!」
ニホンちゃんは満面の笑みを浮かべながら答えました。
「・・・・・・・うんっ」
キューバちゃんは本当にうれしそうにニホンちゃんの手を握りました。
ニホンちゃんはその手を引いて走り出しました。

 校庭の隅の芝生の上には、みんながお弁当を広げて待っていました。
「レディ達こっちだよ」
マカロニーノ君がニホンちゃんたちに向けて手を振りました。
白い歯が無意味に光るのでとても目立ちます。
二人はみんなの笑顔に向けて走りました。
ニホンちゃんはみんなの笑顔に未来が見えた気がしました。
クラスメートの中で笑うキューバちゃん。そのクラスメートの中には笑顔のアメリー君もいました。
ニホンちゃんは今見えた未来が本当になればいいなぁと思いました。

fin