連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 4クール目

第一部　独立への道

ベトナ家はアジア町の東南地区に古くからある家の一つでした。けして大きな家
ではありませんでしたが、それなりに幸せに暮らしていました。そんなベトナ家
に最初の不幸が襲ってきたのは、ベトナ家が新興のフランソワーズ家に乗っ取ら
れた時です。いまでは格調高いフランソワーズ家ですが、当時は強盗一家だった
のです。でも、それはフランソワーズ家だけではありませんでした。当時のユー
ロ町の各家やアメーリー家、ロシアノビッチ家は強盗一家だったのです。ちなみ
にチューゴ家は、この町の歴史はじまって以来、現在に至るまで強盗一家です。

そんなベトナ家でしたが、一時期は、町内に平和と秩序を取り戻そうとした日之
本テイコクさん指揮するニホン家の保護下に入っていたこともありました。その
後、日之本家がアメーリー家との喧嘩に負けると、再びフランソワーズ強盗一家
がベトナ家を荒らしにきたのですが、日之本家によって勇気を覚えたベトナ家の
人々は一致団結してがんばりました。喧嘩に負けたあとの日之本家の人々の中で
何人かは一緒に戦ってくれました。そんなこんなで、ついにフランソワーズ強盗
一家を撃退することに成功したのです。でも、その事がかえって仇になったのか
も知れません。ベトナ家の悲劇はさらに続くのでした。

第二部　お家騒動

フランソワーズ強盗一家を追い出す事に成功したベトナ家でしたが、今度はベトナ
家の実権をめぐってのお家騒動が勃発しました。チューゴ家やロシアノビッチ家と
仲良くやっていこうとするホーおじさんとアメリー家と仲良くやっていこうとする
ロンノルおじさんとが対立したのです。ここまではよくあるお家騒動だったのです
が、問題は、このお家騒動にロシアノビッチ家、チューゴ家、アメリー家、そして
我らがカンコ家が介入してきたことです。お家騒動は泥沼化し、ベトナ家の屋敷や
敷地はメチャメチャになってしまったのです。
そんなお家騒動がはじまる少し前に生まれたのがベトナちゃんでした。ベトナちゃ
んの幼い頃の思い出といえば、お家騒動によって家人がいがみあい、アメリー家や
カンコ家によって家がめちゃめちゃにされたり、火をつけられ焼けだされたりとい
ったことしか浮かびません。
そんな中、忌まわしい記憶が脳裏に焼きついてはなれません。いつもいつもフラッ
シュバックとして襲ってきます。
それは騒動からのがれようとしたベトナちゃんにアメリー君やカンコ君が暴行を加
えたことでした。ベトナちゃんは少女にとって、いや、大人にとってもあまりにも
過酷な経験をしたのでした。だから、ベトナちゃんは今でも絶対にカンコ君やアメ
リー君を許しはしません。でも、カンコ君やチューゴ君のように、ありもしない作
り話までして騒ぎ立てようとは思いませんでした。静かに怒りの炎を心の中に燃や
しつづけるのでした。

おわり