「下着泥?」
昼中、誰もいないカンコ君の家です。
そこに回りを見渡しつつこっそり侵入する影がありました。
泥棒です。
盗むような財産など無いのに、一体何が目的なのでしょうか。
散らかった部屋を眺めて溜息を付いたのはウヨ君でした。
彼は昔(9話)カンコ君に取られた二ホンちゃんのパンツを取り戻すために潜入したのです。
ウヨ君の愛する姉さんの二ホンちゃんのパンツがカンコ君の淫らな情欲の捌け口として汚されてしまうのは我慢ならないことでした。
目的の物はあっさり見つかりました。
カンコ君には奪い取ったという感覚はなく、自分の物として無造作に机の上に放り出して有ったのです。
ほっと一息付いてウヨ君はそれに手を伸ばしました。もとは自分の家の物とはいえ、こっそりと忍び込んでいる後ろめたさがあります。そうそうに回収して家に帰って知らん顔を決め込みたいところです。
しかし、その滑らかで柔らかな布きれの感触が、理性を狂わせるのでした。
「ハァハァ…」
愛しい、可憐な二ホンちゃんの表情が浮かびます。この布きれはその二ホンちゃんの物なのです。
おそらく何度もカンコ君によって汚されているのでしょう。ですが、猛り狂った情欲の前にはそんなことは関係有りませんでした。
▼我慢しない
我慢する
選択肢が脳裏で点滅し、究極の二択を迫ります。
▼我慢しない
もう我慢は出来ませんでした。
愛しい二ホンちゃんの顔を思い浮かべながら、熱い怒張を解放させます。そして二ホンちゃんのしなやかな指先を見立てて、その布きれを巻き付けました。
そのままゆっくりと前後に動かします。
すべすべとした布が擦れてとても気持ちがいいのです。
ウヨ君が我を忘れた瞬間、その声が響きました。
「貴様、何をしてるニダ」
最悪です。カンコ君に見つかってしまったのでした。
「人の家に勝手に上がり込んで、これは侵略ニダ」
むんずと急所をつかみあげます。
「しかもここをこんなにして…」
しかし、どうしたことでしょうか。それでもウヨ君のそれは萎える事無くそそり立っているのです。
実はウヨ君は昔、知り合いのおにーさんのユキヲ君に開発されていたのでした。
「そういえば、お前は二ホンちゃんに似ているニダ…」
一方カンコ君も、かつてやってきた宣教師にあまりの同性愛者の多さに驚かれたこともあります。
「ハァハァ…」
指は堅く閉ざされた裏の門へと誘い、そこは既に蜜で溢れ綻び(以下略)
こうして二人は結ばれたのでした。
HAPPY END
「うあわぁああぁ―――っ!!」
余りおぞましい想像にウヨ君は絶叫をあげました。
「貴様、何をしているニダ!」
おかげで最悪なことにカンコ君に見つかってしまったのです。
「その手に持っている物は… ウリの物ニダ!
返すニダ!
国際社会に訴えるニダ! 侵略ニダ!」
「元々はこっちの物だ!」
激昂したカンコ君が飛びかかり、負けじとウヨ君もとっくみあいを始めます。
しかし―――
びりりりぃ
繊細なそれは破れてしまいただの布きれになってしまいました。
もう台無しです。
意気も忘れしょんぼりとする二人を眺め笑みを浮かべる者が居ました。
チューゴ君です。
「やれやれ、下着泥の風情も判らぬ無粋者が」
鼻で笑います。チューゴ君のコレクションは世界でも有数なのですから。
二人のやり方がとっても間抜けに見えたのでしょうね。