293 :
テンシュ:
「かほうといえば」
「なあ、アーリア」
「なに、兄さん」
「エリザベスの所のウィンザー、前はハノーヴァーといって、うちからもらわれていったんだ。
知っていたか」
「いや……知らなかった」
「まあ、EU街の家宝は、みんな親戚というか、行ったり来たりというか……」
「ニホンのトコのミカドはどうなんだ?」
「いまや町内で一番古い家宝だ。凄い数の古代の儀式を今に伝えている。無形町内遺産にして
もいいほどだ」
「そんなにすごいのか?」
「……ミカドといえば、昔はうちにも同等のカイゼルがあったのを知っているか」
「いや……」
「いまやニホンちゃんの所だけだが、160年ほど前は、町内にはまだ9ツのカイゼルがあった
と、ものの本に有る」
「へえ……」
「チューゴのところのアイシンチュエロ、ニホンちゃんのミカド、うちのカイゼル、もう別れた
オストリー&ハンガーのカイゼル、ロシアノビッチのロマノフ」
「それから?」
「エリザベスのは、当時部下だったイン堂のバドシャーを兼ねていた。あと、マイナーだがエチ
オッピにもあった。あとアラ武のなんとかと、カンコの……」
「ちょっとまて」
「どうした?」
「なんでカンコが出てくるんだ?」
「チューゴの所から、ニッテイ祖父が独立させたら、勝手に名乗ったらしい」
「ほう……あいつらしいな」
「その後、ニッテイ祖父の会社に合併されて、ケーニヒに戻った」
つづく