連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 4クール目

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284裸足
「クラス内対抗歌合戦」
休み時間,キューバちゃんはいつもぽつんと一人で座っています.
たまさかアメリー君がちょっかいをかけたり,マル教関連の集まりがあるとき以外
あまり他の人が話し掛けることはありません.
ニホンちゃんがそんな彼女を心配そうに見ているとキューバちゃんはウィンクを一つして
歌を歌い始めました.
♪ねぇ 誤解しないで 私あなたの事嫌いじゃないわ
♪だってあいつにあなた 一泡吹かせたことがあるんでしょう?
♪いらないものだけくれて 欲しいものはくれなかったあいつ 襟足をひっぱったあいつ
♪あいつに 一泡吹かせたんだもの
♪だから ねぇ 誤解しないで私あなたの事結構好きよ
(作者注,オリジナルソングです)
アメリー君ががたん,と音をたてて立ち上がりました.「うるさいよ」
「おや,いい曲じゃないか,さすがキューバちゃんだな,歌がうまいのはあいかわらずだ」
ロシアノビッチ君がアメリー君にちゃちゃを入れました.
アメリー君のほおがびくびくとしましたが,すぐににやりと笑って歌い始めました.
♪ヘイ 柔道〜
こんどはロシアノビッチ君のほほがぴくりとしました.この歌はマル教反対に
歌われていたことがあるからです.ロシアノビッチ君の家ではこの歌は厳禁でした.
するとロイクー君が歌い始めました.「すべての人が川に〜」アメリー君,顔が真っ赤になりました.
教室のあっちこっちで歌が聞こえます.「船を待っている〜」とフランソワーズちゃんが
小声で歌うとゲルマッハ兄妹がむっとした顔をしています.
みんな,歌を歌っているのにちっとも楽しくなさそうです.
285裸足:2001/08/02(木) 17:17 ID:6mHrJib.
がたん!と大きな音を立ててニホンちゃんが立ち上がりました.涙目でみんなを
見渡して,大きな深呼吸を一つすると大きな声で歌い始めました.
♪しらかば〜 あおぞぉら みぃな〜みぃか〜ぜ〜
すると,驚いたことにチューゴ君がそれにあわせ始めました.
♪こぶしさく あの丘 北国の〜 ああ北国のぉはぁる〜
そうするとイン堂君やイン堂君と普段けんかばかりしているパキ君も一緒に歌い始めた
ではありませんか!
♪あのふ〜るさとへ かえろかな〜 かぁえろぉかな〜
パチパチパチパチ・・・・拍手をしながらフラメンコ先生が入ってきました.
ちょっと泣いているようです.
「みなさん,歌は心を映すものです」先生が普段と違って静かに話し掛けました.
「心のほとばしりを歌にするのですから,人によって捉え方が違うのはしかたありません.
でも,みんなが勝手に歌う歌より,みんなが心を一つに出来る歌のほうが楽しい.
みなさん,そうでしょう?」
みんな下を向いて黙っています.すると,キューバちゃんが歌い始めました.
♪しらかば〜 あおぞぉら みぃな〜みぃか〜ぜ〜
そのうちみんなが一緒に歌い始めました.フラメンコ先生も.
ちょっと横目でキューバちゃんがニホンちゃんを見ました.ニホンちゃんはにこっと
笑ってうなずきました.
♪あのふ〜るさとへ かえろかな〜 かぁえろぉかな〜〜〜
<終わり>

え〜,準主役が出ていませんがご勘弁を.
ネタ元は,デキゴトロジーでインドのバスの中でインドとパキスタンと中国の
音楽かけ合戦があったとき,日本人がかけたこれで全員納得した,という奴です.
キューバちゃんの音楽性が出なかったのはご容赦ください.