連続ドラマ小説「ニホンちゃん」 4クール目

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家宝 その1

「ウリウリウリーッ!!ニダーッ!ウリの勝利ニダ。全く相手にならんニダ。」
「あーあ、また負けちゃった。強いわねカンコ君。」
ニホンちゃんの家でTVゲームをして遊んでる、タイワンちゃん、カンコ君、チューゴ君、エリザベスちゃん。
「ゲームだけは強いアルな。」
「ほんとねー、役にたたないのに。」
イヤな毒舌連携プレーを見せるチューゴくんとタイワンちゃん。
「ふ、負け惜しみニダね。」
「ふんっ!」
珍しく冷静に反応するカンコくん。
一人だけズバ抜けないでレベルの低いチューゴ君は不快感をあらわにしただけでした。
「おい、ニホン。喉が渇いたニダ。ジュースでももってきて、勝利者をもてなすがいいニダ。」
「ああ、そうね。ちょっと待っててねみんな。」
カンコ君の無礼な態度にもにこやかに反応するニホンちゃんですが、内心ムカついてます。
「お気遣いなさらないよう。」
「ありがとうニホンちゃん。」
「悪いアルねー。」
残りの三人はちゃんと感謝してくれたので、多少怒りも収まるというもの。

さて、ニホンちゃんが台所に行っている間。
「あれは何ニダ?」
部屋の隅に祭ってある神棚に気づいたカンコくん。
「さあ?何かしら。」
「ニホンちゃんが戻ってきたら聞いてみたらいいアル。」
14echo:2001/07/31(火) 02:57 ID:oVLAAa5s
家宝 その2

「聞きたい?」
びくっ!
「な、なんだアサヒか…、急にびっくりするニダ。」
神出鬼没のアサヒちゃん、いつのまにかカンコの耳元まで接近していました。
「知ってるならさっさと教えるニダ。」
「ふふふ、あれはね”ミカド”といって、宗教的意味もあるけどニホン家の家宝みたいなもんね。」
何故かニヤニヤしながら喋るアサヒちゃん。
「しかも相当古くて高価。つくられたのは公称で2600年前。でも、まぁ実際は1500年といったところでしょうね。」
「ウチにも”ウィンザー”という家宝がありますわ。まあ家宝がある家なんて町内にも少ないですわね。」
さりげなく自慢しつつ、歴史に関してはミカドとウィンザーでは、全く勝負にならないのであえて言わないエリザベスちゃん。
「へー、ニホンちゃんの家にはすごい物があるわねー。」
感心するタイワンちゃん。
「そんなもの別に役に立たないアルよ、くだらん。」
憮然とするチューゴくん。
「そうよね、私もチューゴ君の意見に賛成だわ。こんなもの時代錯誤よ。」
沈黙してるカンコくん、よくみると顔がキムチ色に染まって、プルプル震えています。
汁が飛び出しそうです。
「ニダーっ!ウリの家にも昔あったニダ。今無いのはニホンのせいだってパパが言ってたニダ!。
これがミカド ニダか!聞いたことあるニダ!!家宝なんて生意気ニダ!」
叫ぶカンコ君。
「まったく扱いやすいわね。せいぜい謝罪と賠償を要求してあのコを困らせてあげなさい。ふふふ。」
予定通りの展開になり、満足そうにつぶやくアサヒちゃん。

しかし、カンコくんのとった行動は謝罪と賠償ではなく…。
「こんなものブっ壊してやるニダッ!!」
突如神棚に向かって走り出すカンコくん。
15echo:2001/07/31(火) 02:57 ID:oVLAAa5s
家宝 その3

がしっ!
「な、邪魔するなニダ!!」
カンコ君を止めたのは意外にも煽った本人のアサヒちゃんでした。
「おまえも、こんなものいらんと言ったじゃないニダか!?」
「い、いや。それはそうだけど…。その、壊すのはちょっと…。」
目をそらせつつボソボソ言うアサヒちゃん。顔色が悪くなってます。
「うるさいニダ。ぶっ壊さないと気がすまんニダ。離すニダ゙」
激昂しまくっているカンコくん。今にもアサヒちゃんの手をふりほどきそうです。

「ちょっといいかしらカンコ君?」
カンコ君の前に出て見下すように話し出したのはエリザベスちゃんでした。
「な、何ニダ!?フーッ!」
「あなた、あれを壊したらここから生きて帰れませんわよ。確実にニホンちゃんに殺されますわ。」
冷静に物騒なことを言うエリザベスちゃん。目が本気です。
「ニ、ニダ…。」
殺されるという言葉にカンコくんは多少頭が冷えたのでしょうか、振り返ってアサヒちゃんの顔をみました。
ぶんぶんぶん。アサヒちゃんは必死に頭を上下させてうなずいています。汗たらたら。
「例えばもし、うちのウィンザーに手をだしたら、
我が家の財力を全て使ってでも、家族もろともやった方の家をサラ地にしますわね。」
さらに物騒なことを言うエリザベスちゃんに完全に正気になったカンコくん。

「今日のところはこれくらいにしてやるニダ!!。も、もう帰るニダ!!。」
そう言い残すと、カンコくんは走ってニホン家から出て行きました。
「ア、アイゴーッ!」
遠くの叫びが微かに聞こえると…
「相変わらず、馬鹿アルな。」
「ほーんと。」
窓の外に見える夕焼けを眺めながら今回の感想をつぶやくアジアの二人。
「よ、予想外の展開だわ。取材のやりなおしね。」
アサヒちゃんの方はそう言い残して自室に帰投。


「おまたせー。あれ、カンコ君は?」
やっと戻ってきたニホンちゃん。
「いつものアレですわ。お気になさらずに。」
「そ、そう。」

後日、ニホン家には、粉トウガラシと味噌玉、短刀、垢すりタオルが匿名で送られてきましたが、
気持ち悪いのですぐに捨てたという事です。

おしまい。