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13平朝臣時盛
さて、日寛上人が「此の本尊」と仰せられた御本尊とは、別して、大聖人が弘安二年十月十二日に御図顕あそばされた「本門戒壇の大御本尊」の御事である。
この大御本尊は、日本および世界の全人類に総じて授与された御本尊で、広宣流布の暁には本門戒壇に安置さるべき御本尊なるゆえに、「本門戒壇の大御本尊」と申し上げる。
大聖人が御在世に書き顕わされた御本尊は数多にのぼるが、それらの悉くは「一機一縁」といって、信心強盛の個人に授与された御本尊である。ここに、全世界の人々に総じて授与された御本尊は、ただこの弘安二年の戒壇の大御本尊一幅である。この大御本尊こそ三大秘法の随一、大聖人出世の本懐であられる。
ゆえに大聖人滅後においては、この戒壇の大御本尊を御本仏日蓮大聖人の御当体、唯一の帰命依止の法体と仰ぎまいらせねばならない。
この戒壇の大御本尊は弘安五年に大聖人より日興上人に御付嘱され、以来日目上人・日道上人・日行上人と次第に相伝護持され、いま広宣流布の時を待って冨士大石寺にまします。
私達が勤行の時、信じ唱えまいらせるところの対境・法体とは、実にこの戒壇の大御本尊にてましますのである。
冨士大石寺門流においては、入信者の信行が進んで不退の金剛信が確認された時、日興上人以来嫡々付法の大石寺歴代上人が、この戒壇の大御本尊を書写して授与して下さる。授与された弟子・信徒は、その書写された本尊を即戒壇の大御本尊と拝して、日夜勤行に励むのである。
ただし、本宗における御本尊の授与は極めて厳格で、入信早々に授与されるということは絶対になく、身命も惜しまぬ信心が確立してのち、始めて授与されるのである。したがって、御本尊を頂戴するまでは、すべての人が、我が家より遠く戒壇の大御本尊を遥拝し奉って勤行申し上げる、いわゆる「遥拝勤行」がまず信心の出発となる。これが本宗伝統の厳格なる風儀である。