大河ドラマ「ニホンちゃん」

このエントリーをはてなブックマークに追加
248U
逃げてきた犬その1

もう何年も前の話になります。
その頃まだ景気が良かったロシアノビッチ君の家では、たくさんの犬を飼っていました。
その犬たちは「ミグ」「スホイ」「ツポレフ」「ヤコブレフ」などと呼ばれていました。

犬の飼い主のソビエトフスキーおじいさんは、犬を訓練してよその家の庭に入り込ませていました。
「さあミグ、今日はニホンの庭を偵察してこい!見つかるんじゃないぞ」
「わん!」
ミグはおじいさんの言うとおり、ニホンちゃん家の庭に侵入します。
いつも通り、庭をぐるっと回ってすばやく帰ろうとしましたが、ちょっと気になるものを見つけてしまいました。
家の中に犬がいたのです。
それまでミグは、よその犬をよく見た事がありませんでした。
「いい子ねファントム、お腹いっぱい食べるのよ」
女の子が、小さな犬に餌をやりながら撫でています。
ミグは知りませんでしたが、ファントムはアメリー君がニホンちゃんにくれた犬だったのです。
(後にイーグルをもらうことになります)
ミグはファントムが食べているようなおいしそうな餌は見た事がありませんでした。
それにソビエトフスキーおじいさんは厳しくて、穴掘りをさせられたり偵察をさせられたりで、撫でてもらった事など
数えるほどしかありません。
「おーい、ミグ〜! 早く戻ってこんかぁ!」
おっと、帰らないと・・・
ミグは餌が気になっていたのですが、早く戻らないとおじいさんが怒るので帰ることにしました。
249U :2001/07/17(火) 23:58 ID:To0A6HfM
逃げてきた犬その2

それから何日かたちましたが、ミグは相変わらず少ない餌しかもらえず、穴掘りや偵察で忙しい日々を送っていました。
「ミグ、またニホンの様子をみてくるんじゃ!」
またもおじいさんの命令です。
逆らうわけにもいかず、ニホンちゃん家の庭に潜入しました。
「あっ!犬だ〜」
「!!」
不覚にもニホンちゃんに発見されてしまいました!
ミグは急いで逃げようとしましたが・・・貧相な餌のせいでふらついてしまいます。
「お腹すいてる?これ食べる?」
ニホンちゃんが差し出したのはドッグフード
「・・・・」
(わし以外の人間から餌をもらってはいかんぞ!)
おじいさんの言葉が頭に浮かびます。
「ねえ、食べる?」
犬なりに葛藤してみましたが、目の前の食べ物の誘惑には勝てません。
「くうーん、むしゃむしゃ」
あっという間に全部平らげてしまいました。その時・・・
「ミグ〜!! 戻ってこーい!」
おじいさんの声がします。
戻らないと・・・でも餌をもらった事がばれたらどうなるか・・・
「どうしたの?」
どうしよう・・・どうしよう・・・
「きゅうん、きゅうん」
咄嗟にニホンちゃんの影に隠れてしまいました。

その後、しばらくニホンちゃんの家にいたミグでしたが、ソビエトフスキーさんに見つかっては大変だということで
アメリー君の家にもらわれていきました。

もとネタは1976年に函館空港にミグ25で亡命してきたベレンコ中尉の事件です。
「穴掘り」は、ウラジボストクのパイロットたちが木の植え替え作業をやらされていたという話からです。
書いてから気づいたんですが、カンコ君出てないですね・・・