【鼓動】韓国は「生き地獄」か “脱南”する脱北者たち
2013.10.26 12:00
韓国に定住していた脱北者が再び第三国や北朝鮮に向かう“脱南者”が多発している。最近では、
北に逆戻りした住民が韓国での生活を「生き地獄」だったと非難。以前ならば、こうした言動は
「北朝鮮体制の政治宣伝」と切り捨てられてきた。だが一方で、韓国社会の差別や就職・生活難に苦しむ
脱北者が増加し社会問題化しているのも事実。「同胞」であるはずの脱北者すら逃げ出していく現状に、
韓国政府は頭を抱えている。(ソウル 加藤達也)
今月15日付の東亜日報社説はこの問題に言及。これまで韓国に亡命し定住を決めた
累計2万5560人の脱北者のうち、「689人は第三国に滞在している」と把握されていると
指摘した。経済的困難や韓国生活への不適応で自殺した脱北者も26人に上るという。
さらに、過去5年間に韓国籍者の難民申請を受け付けた国から韓国政府への指紋照会155件のうち、
81・3%の126件は韓国に定住していた脱北者だったとも指摘している。
韓国政府は現在、定着準備金や住宅支援金、職業訓練費用といった社会福祉から教育支援まで、
脱北者に対し1人当たり2千万(約185万円)〜4800万ウォン(約443万円)を支給している。
同じ言語圏で言葉の問題は基本的になく、手厚い支援制度も用意している韓国から、こんなにも多くの
人々が逃げ出している事実に、韓国政府や脱北者の支援活動に当たる関係者らはショックを受けている。
◆「悪夢の日々」
韓国政府にとって、さらに頭の痛い問題が北へ帰還する脱北者の続出だ。
北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)体制以降、12人が戻ったと宣伝している。
北朝鮮の官製メディア、朝鮮中央通信によると、9月30日には平壌で、韓国から北に戻った
元脱北者たちの「座談会」が開かれたという。参加したチャン・グァンチョルという男性(33)は
「韓国では仕事探しが大変だ。就職できたとしても給料は韓国人の半分以下で、悪夢の日々だった」
と話した−と同通信は伝えた。