>>98 社債や株式は民間の信用リスクを肩代わりしている。社債のなかには、韓国の民間銀行が発行した
債券(キムチ・ボンド)を外貨準備で購入し、資金繰りを助けている分も含まれていよう。
こうした運用構成では、国全体が資金繰りに窮する事態に直面しても、保有資産を売るに売れまい。
韓国経済が海外からの短期資金に頼る体質は変わらない。
国際金融危機を迎えるたびに、韓国の外貨事情はひっ迫してきた。
08年のリーマン・ショックや11年の欧州金融危機に際して日本の当局に駆け込み、
日韓の通貨スワップ(融通)が拡大されてきたのだが、それも今は昔。
日韓の政治的な緊張が高まり、期限の到来したスワップは更新されず消滅している。
手元不如意な韓国が駆け込んだのは中国の懐だ。中韓は3600億元規模のスワップを結んでいる。
中国にすり寄るかのように、韓国の外貨準備で中国の国債や人民銀行(中央銀行)債を最大200億元、
中国株を3億ドル相当の投資限度内で購入することにした。
中韓スワップも一皮むけば、韓国にとって肝心のドルの資金繰りには役立たない。
スワップが人民元と韓国ウォンの融通だからだ。
人民元は純然たるハードカレンシー(交換可能通貨)ではない。
元を中国から融通してもらったところで、いざという際にドルが手に入るはずもない。
そうした事態は韓国のためにもなるまいと、日本の通貨当局者は気をもんでいる。
でも今の韓国内では、日本と冷静な話し合いの場を設けようなどと言い出せるべくもない。
幸い韓国は経常収支が黒字なので、国際金融市場で標的になる事態は免れている。
それにしても韓国の新興国危機の波及には、今から身構えておくべきだろう。
http://www.nikkei.com/markets/column/globaloutlook.aspx?g=DGXNASDF3000J_30082013000000&dg=1