300kmまではナロ号1段の助けを受けるがこれで衛星にはならない。 300kmには大気が殆どな
くて衛星が位置するのに最低の高さということが言えるが、ここにも重力は存在するので重力に
勝つほどの速度に至っていなければ再び墜落してしまう。 ナロ号1次発射が失敗した理由がま
さにこのためだ。
300kmでは最低速度 7.7km/sはならなければならないが、ナロ号1段で足りない速度は2段キッ
クモーターが提供することになる。
キックモーターは軌道であたかもボールを蹴るように衛星をけって (キック)いれる固体推進剤ロ
ケット(モーター)を言う。 高度ではない速度だけ増加させるためのロケットなので特別な名前が
ついたのだ。 重さは1,800kgでナロ号1段重さに2%も達し得ない小型ロケットだが、ナロ科学衛
星が軌道に進入するための軌道速度の50%程度の責任を負っている。
ナロ号1段は大気中を上昇して重力と空気抵抗などで速度を失うが2段は宇宙で作動するので
このような損失が殆どなく見えて効果的に衛星に速度を付与する。
2段キックモーターが作動する間、姿勢制御は電子搭載部にある小型ガス噴射型推進器の助
けを受けて成り立つ。 発射540秒後燃焼が終わった2段キックモーターからナロ科学衛星は分
離するがナロ号の任務は終わるのではない。
2段キックモーターが軌道速度に到達したとしても最後まで安心してはいけない。 抜け殻である
2段がナロ科学衛星と衝突するくらっとした事故が発生することがあるためだ。 これに対し電子
搭載部にある推進器で衝突および衛星汚染回避起動をすることになる。 これでナロ号の任務
は終わることになる。
ナロ号の3回目挑戦、今回は必ず発射に成功して韓国型宇宙発射体が誕生することを期待し
てみる。
文: チョン・ホンチョル科学コラムニスト (スペーススクール代表)
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