675 :
スピノザ ◆ehSfEQPchg :
今日は、色々立て込んでしまいまして、遅い時間のうpです。
おまけに、レスを頂いたみなさまに、レスをお返ししている余裕がございません。
大変失礼をいたしてしまういますが、なにとぞご寛恕を賜りますよう
お願い申し上げます。
さて、今日の分のネタの投下に参ります。
あらすじ6a
オ記者は、チョンノ美術館の学芸研究室に入った。
ビョン室長が立ち上がった。カン・ユニ、ヤン・ヌリの姿もあった。
四人は、テーブルについた。
「お三方の姿を見ると、美術館の雰囲気が分かる気がします。大変でしょう」
オ記者が言った。
「一息つけるのは、二週間後ぐらいでしょうか」
ビョン室長が答えた。
ヌリを退出させ、オ記者は贋作絵画に関する記事の書類を取り出した。
それは、チ・マンギョ、イム・ヨンスクの作品の贋作の管理目録だった。
「これからの話はチョンノ美術館の皆さんにだけ話しているということを分かって
下さい」
オ記者はこう言って、さらに続けた。
「私は、模写の専門家たちと知り合って、いくつかの偽造団の実態も分かって
きました」
「じゃ警察には知らせたんですか?」
カン主任がやや興奮気味に聞いた。
676 :
スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/09/03(月) 18:24:09.86 ID:K4e3JAUg
「私がしていることは捜査ではなく取材です」
オは首を横に振った。
「驚かないでください。今回の贋作制作に、亡くなったパク館長が深く関わって
いることが分かりました」
ビョンが言った。
「オ記者……あなたが腕利きの記者であることは分かっていますが、これは
度が過ぎていませんか?」
ビョンが強ばった顔でさらに言った。
「今、オ記者が言っているのは、会社の社長が自社の機密を他の会社に売り
込んだという話と同じですよ」
カンが相変わらず興奮気味に言った。
「いったい何を根拠にこの文書にパク館長が関わっていると決めていらっしゃるん
ですか?」
「一ヶ月ほど前、この文書を持っていた模写の専門家から直接聞きました」
「その模写の専門家だという人が、他に何を言っていたか話してください」
ビョンが聞いた。
「パク館長は、流通に関わっていたそうです。贋作は闇市場だけでなく表に
流さなければならないでしょう。パク館長はその過程に関わっていたようです。
その背後には三合会という暴力団が関わっているという話もしています」
「信じられません」
「ところが不思議なのは、彼らがこの文書を『美術館の鼠』と呼んでいたことです」
677 :
スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/09/03(月) 18:24:43.32 ID:K4e3JAUg
「『美術館の鼠』というと……」
「パク館長の最後のコラムのタイトルです」
「私にはどうしても理解できません」
ビョンが言った。
「私も困惑のあまり、何日も眠ることができなかったのです。パク館長とは
何者なんです! いったいどんな人物だったというんですか?」
「どうするか、何かお考えでもあるのですか」
ビョン室長が聞いた。
「警察に届けるつもりです」
オ記者が言った。
「美術界全体のことを考えると、取材を止めようとも思いました。韓国の美術界
全体が騒然となります」
「そうですね」
カンが相づちを打った。
「悩んでいるときに、パク館長が自殺したのです。私に届けられるはずだった
原稿のタイトルが『美術館の鼠』だということも。私は、パク館長の自殺は
他殺を意味すると思うようになりました」
「そうですね。それが自然な結論でしょう」
「これまで集めた資料を整理して、キム刑事に会うつもりです。正式に捜査を
依頼します」