【ノーベル賞への】韓国ミステリ等【どこでもドア】

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226スピノザ ◆ehSfEQPchg
おはようございます。
昨日は、たくさんレスを頂いたのに、レスをお返しすることが出来ず、
申し訳ございませんでした。
伏してお詫びを申し上げます。今日の分の、ネタを投下させて頂きます。

 あらすじ4(機会・チャンス)

 一週間の間、太五は否認し続けた。
 しかし、一週間後、朦朧としたまま罪状を認めた。
「なに、殺人とは言っても、不貞をはたらいたかみさん相手だから情状酌量
されるだろう」
 刑事が言うが、太五はとにかく眠たかった。
 みんながそう言うのだから、本当におれが犯人かも知れない。太五は思った。
 現場検証に赴いた。
 野次馬の中から、何かが飛んできて、顔に当たった。
 生卵だった。
「こんちくしょう! 娘を返しなさい」
 義母だった。
 その後、陳述した通りに、犯行を再現させられた。
 その際、太五はにやっと笑みを浮かべた。
 太五は起訴された。起訴内容は完璧だった。(血の付いてない軍手!)
 太五は、孤独を覚え、かつ妻の英ヘを殺した真犯人に憎しみを覚えた。
 逮捕されて一ヶ月、太五は法廷に立たされた。
 なんだか可笑しくなってくる。
 太五がからからと笑うと、弁護士が精神鑑定を要求する。
 しかし、却下される。
227スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/10(金) 12:40:50.59 ID:8jHaCFuP
 法廷では、陳述した内容は嘘だった、と言い出す。
 裁判長は、いささか怒りを含んだ顔をする。
 太五が起訴事実を否認していると、承認として羅寄留が姿を現す。
 そして、妻とほとんど毎日肉体関係にあったことを証言する。
 そして、その原因が、太五の性的不能にあると告げる。
 この点、裁判長は異様なまでにしつこく、具体的に話せと要求する。
 結局、検事は太五に死刑を求刑する。
「違う! 犯人は別にいるんだ! おれじゃない! 何で死ななきゃ
ならねえんだ!」
 判決は、情状酌量の余地ありで、無期懲役となった。
 その後、太五は三日間何も食べなかった。
 素直に刑務所で一生を過ごすなど、できることではない。
 そこで、健康のために進んで食べるようになった。(唐突)
 太五は、夜ごと声を出さずに涙を流した。(笑っていたのに?)
 (刑務所の中で)太五は模範囚として振る舞った。
228スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/10(金) 12:41:24.87 ID:8jHaCFuP
 春、夏、秋が過ぎ、冬となった。
 脱獄の計画を持ち、機会を待つ太五。
 クリスマスイブに、その機会はやってきた。
 教会信徒の一団、五十人あまりがやってきた。慰問のためである。
 太五は、注意深く彼らを観察した。二十代から四十代までいた。
 講堂に受刑者を集めて、礼拝を行った。
 騒々しい礼拝で、信徒のほとんどが激情に駆られ、むせび泣く。
 今度は、遊戯が始まった。
 太五は、自分と背格好の似た男を注視する。
 赤い毛糸の帽子をかぶり、黒縁の眼鏡をかけ、やはり赤い登山用のパーカー
を着ている。
 フォークダンスが始まった。
 太五は、こっそりと(!)講堂を抜け出した。(!!)
 廊下の端に、大型のゴミバケツがある。
 それを見ると、ちょうど中身を取り出したところで、空になっていた。
 講堂に戻る。
 フォークダンスの輪に入り、さっきの赤い男に、プレゼントをしたいと話しかける。
 男は、のこのことついてくる。(!)
 太五は、(いつの間にか持っていた!)木槌で男を殴る。
 気絶した男から、衣服をはぎ取り、着替え、男をゴミバケツに隠す。
229スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/10(金) 12:50:32.66 ID:8jHaCFuP
 講堂に戻った太五は、信徒に混じって講堂から出る。
 二人の刑務官が、軽微の目を光らせている!
 しかし、呆気なく見逃され、太五は鉄門から外に出る。
 二つ目の鉄門の前に来た。
 最後の難関である。
 刑務官が二人立っている。
 信徒達が入るときに預けた住民登録証の写真と、一人一人を照合しながら
確認しているのだ。
 太五の番が来た。
 息詰まる太五。
 しかし、証明が暗いことが幸いしたのだろう。
 またもや、太五は見逃された。
 太五は、壁と見張り台を見上げる。
 壁には、その下を真昼のように(!)照らす電灯が点けられ、見張り台には
銃を持った刑務官が立っている。
 脱獄など考えられない!!!
 信徒一同と一緒にバスに乗る。出口の近くに座る。
 ふと、眠ってしまったようだ。
 若い娘の信徒に起こされる。
「バスを停めろ!」
 叫んで、停まったバスから、太五は逃げ出すのだった。
 こうして、太五の完璧な脱走計画が、完遂された。