おはようございます。
昨日は、たくさんレスを頂いたのに、レスをお返しすることが出来ず、
申し訳ございませんでした。
伏してお詫びを申し上げます。今日の分の、ネタを投下させて頂きます。
あらすじ4(機会・チャンス)
一週間の間、太五は否認し続けた。
しかし、一週間後、朦朧としたまま罪状を認めた。
「なに、殺人とは言っても、不貞をはたらいたかみさん相手だから情状酌量
されるだろう」
刑事が言うが、太五はとにかく眠たかった。
みんながそう言うのだから、本当におれが犯人かも知れない。太五は思った。
現場検証に赴いた。
野次馬の中から、何かが飛んできて、顔に当たった。
生卵だった。
「こんちくしょう! 娘を返しなさい」
義母だった。
その後、陳述した通りに、犯行を再現させられた。
その際、太五はにやっと笑みを浮かべた。
太五は起訴された。起訴内容は完璧だった。(血の付いてない軍手!)
太五は、孤独を覚え、かつ妻の英ヘを殺した真犯人に憎しみを覚えた。
逮捕されて一ヶ月、太五は法廷に立たされた。
なんだか可笑しくなってくる。
太五がからからと笑うと、弁護士が精神鑑定を要求する。
しかし、却下される。
法廷では、陳述した内容は嘘だった、と言い出す。
裁判長は、いささか怒りを含んだ顔をする。
太五が起訴事実を否認していると、承認として羅寄留が姿を現す。
そして、妻とほとんど毎日肉体関係にあったことを証言する。
そして、その原因が、太五の性的不能にあると告げる。
この点、裁判長は異様なまでにしつこく、具体的に話せと要求する。
結局、検事は太五に死刑を求刑する。
「違う! 犯人は別にいるんだ! おれじゃない! 何で死ななきゃ
ならねえんだ!」
判決は、情状酌量の余地ありで、無期懲役となった。
その後、太五は三日間何も食べなかった。
素直に刑務所で一生を過ごすなど、できることではない。
そこで、健康のために進んで食べるようになった。(唐突)
太五は、夜ごと声を出さずに涙を流した。(笑っていたのに?)
(刑務所の中で)太五は模範囚として振る舞った。
春、夏、秋が過ぎ、冬となった。
脱獄の計画を持ち、機会を待つ太五。
クリスマスイブに、その機会はやってきた。
教会信徒の一団、五十人あまりがやってきた。慰問のためである。
太五は、注意深く彼らを観察した。二十代から四十代までいた。
講堂に受刑者を集めて、礼拝を行った。
騒々しい礼拝で、信徒のほとんどが激情に駆られ、むせび泣く。
今度は、遊戯が始まった。
太五は、自分と背格好の似た男を注視する。
赤い毛糸の帽子をかぶり、黒縁の眼鏡をかけ、やはり赤い登山用のパーカー
を着ている。
フォークダンスが始まった。
太五は、こっそりと(!)講堂を抜け出した。(!!)
廊下の端に、大型のゴミバケツがある。
それを見ると、ちょうど中身を取り出したところで、空になっていた。
講堂に戻る。
フォークダンスの輪に入り、さっきの赤い男に、プレゼントをしたいと話しかける。
男は、のこのことついてくる。(!)
太五は、(いつの間にか持っていた!)木槌で男を殴る。
気絶した男から、衣服をはぎ取り、着替え、男をゴミバケツに隠す。
講堂に戻った太五は、信徒に混じって講堂から出る。
二人の刑務官が、軽微の目を光らせている!
しかし、呆気なく見逃され、太五は鉄門から外に出る。
二つ目の鉄門の前に来た。
最後の難関である。
刑務官が二人立っている。
信徒達が入るときに預けた住民登録証の写真と、一人一人を照合しながら
確認しているのだ。
太五の番が来た。
息詰まる太五。
しかし、証明が暗いことが幸いしたのだろう。
またもや、太五は見逃された。
太五は、壁と見張り台を見上げる。
壁には、その下を真昼のように(!)照らす電灯が点けられ、見張り台には
銃を持った刑務官が立っている。
脱獄など考えられない!!!
信徒一同と一緒にバスに乗る。出口の近くに座る。
ふと、眠ってしまったようだ。
若い娘の信徒に起こされる。
「バスを停めろ!」
叫んで、停まったバスから、太五は逃げ出すのだった。
こうして、太五の完璧な脱走計画が、完遂された。