【ネタバレ】コリアン・ミステリ【上等】

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645スピノザ ◆ehSfEQPchg
 さて、それでは、今日は、「ジャーロ」2001年の夏号に収録された、二編の
韓国ミステリから、巨匠°熕ケ鐘の作品をお届けします。

 帰ってきた死者              金聖鐘(キム・ソンジョン)

 あらすじ

 私は、冷酷な殺し屋である。
 手持ちの金が、底をついた頃に、ちょうど殺しの依頼があった。
 代金は二億ウォン(当時のレートで二千万円)だったので、私は
その仕事を引き受けた。
 殺す相手は、金輝一(キム・ヒイル)という男。頼んできた組織に
ついては、バラすことはできない。(ディテールの作り込みが甘い)。
 私は、仕事の準備に一ヶ月をかけた。注意に注意を重ねた。
(具体的な記述が全くない。やはりディテールが甘い)。
 旅慣れた私は、軽装で金浦国際空港に行った。そう、相手は外国
にいるのだ。
 妻子が、空港まで見送りにきてくれた。
646スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/01(水) 11:17:19.43 ID:6SC47ECj
 この当時、韓国から外国に行くのは困難だった。(こう書きながら、
当時、とは何年頃のことか明示されていない。唐突に、「当時」と出て
きます)。
 金輝一は現在ローマにいる。
 資料に目を通してみる。写真が四枚あった。
 最初から感じていたのだが、その金輝一の顔は、私の顔とよく似て
いるので、なんだか気分が良くなかった。
 私は、無機質で冷酷な男である。
 ローマまで二十時間ほどかかったので退屈し、機内で私はずっと
眠りこけていた。(ゴルゴ134みたいな描写と矛盾しないか?)
 ローマに着くと、組織が教えてくれた電話番号に電話した。
 若くて、爽やかな声が聞こえてきた。意外にも韓国語だった。
 私は、
「こちらモジリアーニ」
 と名乗った。
 先方は、
「チェロを弾く女性です」
 と名乗った。
647スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/01(水) 11:17:54.20 ID:6SC47ECj
コロセウムホテルの四〇五号室に行ってください」
 彼女の声が冷たく感じられ、私は、二言三言話したいと思った。
(無機質で冷酷な、男、じゃなかったのかな?)
 世間話をしようとしたが、電話は切れてしまった。
 ホテルに行った。立派で大きかった。
 私は、ミスター・パクという偽造パスロートで、チェックインした。
 四〇五号室に入ると、女から電話が来た。
 四〇九号室に、ターゲットがいるとのことだった。
 私は、金輝一の姿を求めてロビーに行った。
 しかし、自然に出会うチャンスを、漠然と待っているのは苦痛だった。
 午後三時頃、いたたまれなくなり市中をぶらついた。そして、
ナイフを一つ買った。(無計画性!)
648スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/01(水) 11:18:26.47 ID:6SC47ECj
金輝一は、夜九時頃に姿を現した。
 彼は、私の側に空席を見つけて、座り込んだ。
 私は、胸がドキドキしだした。(冷酷性は?)
 金輝一は、キャメルを取り出して咥えたが、火がないらしい。
 彼は、日本語で
「タバコの火を貸していただけませんか」
 と声をかけてきた。
 私は、ライターを差し出した。
 金輝一は、山田、という日本人であると名乗った。
 私は、ミスター・パクであると告げた。
 私は、タバコとライターをわざと忘れて立ち去った。
649スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/01(水) 12:04:17.15 ID:6SC47ECj

 翌日の朝食時、金輝一は、私のライターとタバコを返してくれた。
 そのライターは、妻が誕生日にプレゼントしてくれたものなのだ。
 それをきっかけに、会話が弾んだ。
 金輝一は、スイスに行くつもりであると言った。
 二人でスイスに行くことに決めた。
 列車は、一等車でコンパートメントになっていた。
 二人のアメリカ人老夫婦が先客としていた。
 私は、慌ててトイレに行った。
 私は、ワインの小瓶を五本用意していた。そのうちの三本に睡眠薬
を入れ、私は、ただのワインの瓶をラッパ飲みした。
 アメリカの老夫婦がボローニャで降りた。
 金輝一はすやすやと眠っていた。
 パスポートで身元を確かめ、ナイフを振り上げ、心臓を突いた。
 それから、ナイフに付いていた指紋をきれいに拭き取った。
 金輝一の身元を証明するものは、すべて細かくちぎってトイレに流した。
650スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/08/01(水) 12:04:56.84 ID:6SC47ECj
 私は、ミラノで降り、気紛れで何日か滞在しようと、ドルをリラに
換えようとした。しかし、パスポートを紛失していて、両替ができない。
 パスポートをどこで紛失したのか、分からない。
 犯人は、恐らく金輝一か、アメリカ人老夫婦だろう。
 仕方がないので、ミスター・パクの偽造パスポートを使った。
 私は、パリの韓国大使館に行き、パスポートの再発行を申請した。
 一週間ほどかかると言われた。
 チェロを弾く女性に連絡を取り、仕事が終わったことを告げた。
 一週間の間、パリでナンパした韓国人女学生とセックスに明け暮れた。
 こうして、ソウルの我が家に帰ると、妻は、私の姿を見るなり、
「ゆ……ゆ……ゆうれい」
 と悲鳴を上げた。
 私が、奥の部屋に入ると、そこには私の遺影が飾られ、棺が置かれていた。
 棺を開けると、見分けも付かないほど腐乱した死体があり、その胸の上には、
私が紛失したパスポートが置かれていたのだった。