【ネタバレ】コリアン・ミステリ【上等】

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599スピノザ ◆ehSfEQPchg
おはようございます。今日の分を投下します。

妻を守るために          李原斗(イ・ウォンズ)

 あらすじ

 ヒョンナムの妻、ミスクはここ二ヶ月ほど、毎朝ジョギングを
するようになった。
 そのジョギング後、ミスクはなぜか長時間シャワーを浴び、丁寧
に体を洗う。
 ヒョンナムには、射撃の趣味がある。
 ヒョンナムは、ここ四ヶ月ほどインポになっている。健康の悪化
のせいだ。
 ミスクは、
「セックスが夫婦関係の全部じゃないじゃない……」
 とは言うが、四十代でこういう次第になったことは、ヒョンナム
にとってはショックだった。
 さらに、ヒョンナムは激しく吐血し、病院に運ばれた。そのまま
一ヶ月も入院したのだ。
600スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/07/31(火) 12:20:43.21 ID:xx/pixvx
 その入院期間の間、ミスクは急変した。ヒョンナムの会社も手中
に治め、ジョギングまで始めたのだ。それも、一時間半のハードな
ジョギングだ。
 ヒョンナムは、ミスクの行動を疑い、お手伝いセンターの便利屋に
ミスクの行動を探るように依頼する。
 今朝も、ミスクはジョギングをし、シャワーを浴びた。浴室から
出てきたミスクを、ヒョンナムはじっと見つめ、ミスクは恥ずかしがる。
「お前、ずいぶんいい体になったね。生き生きしているよ……」
 そんなヒョンナムの言葉に、ミスクは目を伏せる。
 ミスクは、ヒョンナムの頭を胸で包み込む。
 そのボリュームのある胸に、ヒョンナムは泣きたくなる。
 その妻の感触を、守らなければならない。
 ヒョンナムは決意する。
 ヒョンナムは、お手伝いセンターのパクに電話し、これ以上
ミスクを見張らなくてもいいと告げる。そして、今回の依頼の
ことを口外しないように言いつける。
601スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/07/31(火) 12:21:23.48 ID:xx/pixvx
 ヒョンナムは、ふと電話機の下に本が二、三冊積んであるのを
目にする。それは不思議なことだった。ミスクには、読書の習慣が
ないのだから。
 ヒョンナムは、好奇心からそのほんの一冊を取り上げ、読んだ。
 本の題名は、
「癌、私はこうして克服した」
「癌と漢方」
「癌の食事療法」
 といったものだった。
 そこに、友人で、医師であるソン博士から電話が来る。
 ヒョンナムとソン博士は、大学病院で待ち合わせる。
「癌の食事療法」という本で勧めているメニューは、ここ二ヶ月
ミスクが作ってくれたものと同じメニューだった。
 射撃仲間でもあるソン博士に、ヒョンナムは自分の主治医から
自分の病名を聞き出してもらう。
 そして、ヒョンナムは意外な事実を知る。
 自分は癌であること。
 そして、血液型がRh因子のために輸血できず、手術も不可能
であることを。
 しかも、妻のミスクは、ユン博士の特効薬を自分に飲ませて
いなかったのだ。
602スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/07/31(火) 12:27:22.59 ID:xx/pixvx
 夕方六時、ミスクは帰ってきた。(いきなりミスク視点)。
 ミスクは、銃の手入れをしているヒョンナムを見いだす。
 ヒョンナムは、優しく、
「お茶を入れてやろう」
 と言う。
 そして、睡眠薬入りのお茶で、ミスクを眠らせる。
 ヒョンナムは、拳銃を取り出し、白い手袋をはめ、サイレンサー
を付け、弾丸を三発入れ、トレンチコートを着て外出する。
 二日後の朝、ミスクは、いつもと違い二十分ほどでジョギング
から帰ってくる。
 その日は、ミスクは会社に行かなかった。
 二日目の朝、ジョギングもしなかった。(三行前も、二日後と
なっているのは、作者か訳者の勘違いか?)
603スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/07/31(火) 12:28:03.06 ID:xx/pixvx
 ヒョンナムは朝刊を広げる。
〈独身青年実業家殺害の容疑者として明け方愛人£ヌ跡〉
 ミスクは、午後三時に外出した。
 彼女は、四時半にパクと腕を組んでマンションに現れた。
 パクは言うのだった。
 ミスクが、毎朝ジョギングを装って訪ねていた相手はパクだった。と。
 パクは、ヒョンナムが自分に私立探偵役を頼んできたのを幸いと、
青年実業家を不倫の相手として嘘の報告をしていたのだ。
 それに騙されて、ヒョンナムは青年実業家を殺してしまったのだ。
 癌ノイローゼに追い込まなくても、ヒョンナムの弱みを、ミスクと
パクは握ったことになる。
 ミスクは、トレンチコート姿のヒョンナムの写真を差し出し、
財産を分けろと要求するのだった。