433 :
スピノザ ◆ehSfEQPchg :
ミステリマガジン」2000年10月号、コリアン・ミステリ・
ナウに掲載された、韓国推理作家協会が自ら翻訳した短編4作品
からです。
その夜は長かった 李秀光(イ・スゴァン)
あらすじ
私、キム・ソクミン(金石民)は霊魂である。
銀行の支店長代理をしていた。
妻は、私の死で悲しんでいるふりをしながら、
一方ではアルバムから私の写真をはがしている。
さっさと、私のことは忘れたいのだ。
私は、美貌の妻が真夜中に外出するために、化粧
しているのを惨めな気分で見ている。
こういうことは、以前もあったであろう。(時
制が分からない。最近霊魂になったのだから、妻
が浮気に出かける場面は見ていないはず)。
中学二年生の娘が、「どこに行くの」と尋ねる。
しかし、妻は無視して出かける支度をする。
私は、妻の首を絞める。苦しそうに喘いでいる
ように見えるのに、妻は平気である。霊魂には、
人を絞殺するのは無理なのだ。
434 :
スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/07/27(金) 13:20:56.15 ID:a+azI/LR
私は、飲み屋街に出かける妻の後を追う。妻は、
横町の喫茶店に入り、男と逢い引きを始める。
人混みの人々は、私が近づくと、何とはなしに、
ゾッとするようだ。
妻と男は、私がいたたまれなくなるほどの、仲の
良さである。
私は惨めな気分になる。
男は、妻がお茶代を払おうとすると、素早くハンド
バッグの中を見る。金が欲しいのだ。
「以前に妻と男について行って、日本料理店に入り、
見るべきでない光景を見たことがあった」(謎の一行。
時制が混乱しているのか?もっとずっと昔から、霊魂
のままなのか? 意味不明)。
妻と男は、酔いながらその店を出る。
繁華街を歩く二人は、仲の良い恋人のように見える。
435 :
スピノザ ◆ehSfEQPchg :2012/07/27(金) 13:21:34.99 ID:a+azI/LR
妻が浮気し始めたのは、二、三年前だった。私たち
夫婦は一見仲が良さそうで、テニスなどもしていた。
しかし、妻が入った水泳教室のコーチと、妻は深い
仲になった。
「お茶でも一杯いかがですか」
「いいわ」
水泳コーチの誘惑に、すぐさま妻は応じた。(視点
が分からない。まだ霊魂になっていない石民には、こ
の場面を目撃することは出来なかったはず)。
妻の不貞を知った私は、妻の後を追ったりする。
こうしてある日、私は、逢い引きの現場をとらえよ
うと、宿直だと嘘をつき、家を出て、その後外出して
くる妻をつける。
しかし、それは、おびき出しだった。
妻を追って、路地に誘い込まれた私は、何かで頭に
打撃を受け、殺されてしまう。
これが、一年前のことであった。