コラム】朝鮮日報の名誉と道徳性の問題
ttp://www.chosunonline.com/news/20090413000064 ttp://www.chosunonline.com/news/20090413000065 ある分野で社会的な責任を遂行する地位にある人物が、その職責と影響力を利用し、無力な人をもてあそんだとしたら、
それは容赦できないことだ。厳しい罰を受けたり、事と次第によってはその社会から葬り去られたりすることもある。
しかし反対に、そうした地位にいることが利用され、全く根拠のない謀略や策略に陥れられたとすれば、それは許しがたいことだ。
3月7日に自殺した女優チャン・ジャヨンさんが残したと言われる「文書」がこれに当てはまる。この文書には、何の状況も
具体性もなしに、朝鮮日報の上層部の人物が事件にかかわっていたかのように記されているという。これは深刻な事態だ。
それは、単にその特定の人物の問題で終わることではない。それは、その人物と共に社会的責任を遂行する朝鮮日報の記者・
社員全員の道徳性や名誉にかかわる問題であり、さらには朝鮮日報という新聞自体の存在価値にかかわる問題にならざるを得ない。
だからこそ、大韓民国の有能な警察なら、早い時期に証拠を収集し事実かどうかを明らかにしてくれるだろうと期待していた。
社会的責任があるだけに、問題の人物の名誉を守る責任も当局にあるためだ。これまで、朝鮮日報に悪意を持つ一部のインターネット
メディアがバッシングの材料としてあれこれとあら探しに熱中しても、朝鮮日報は「真実は必ず明らかになる」と信じ、一つ一つ
反応しなかった。チャンさんの自殺をめぐっては依然として多くの疑問が残っている。その文書が果たしてチャンさん自身の意志により
書かれたものなのか、それとも誰かにそそのかされて作成し、それが流出して大きな波紋を呼ぶのを恐れて自殺したのか、その背後には
誰がいるのかなど、疑問は一つや二つではない。
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ところが、1カ月が過ぎた今も警察は何一つ解明していない。テレビでは、ほぼ毎日のように警察の強力(凶悪犯罪担当)係長と名乗る
人物が同じ言葉を繰り返し、各メディアは「当てっこ」でもしているかのように「朝鮮日報の人物」の周辺に関する記事を書き続けている。
一方これに耐えかねたのか、野党議員らが一人、また一人と「免責特権」の背後に隠れ、根拠のない言葉を口にし、各メディアは
こうした発言を待っていましたとばかりに紙面や放送で報じるという、口裏を合わせたかのようなゲームが演出されている。朝鮮日報の
立場からすれば、警察も、ある意味では政権もこの「チャン・ジャヨンさん事件」の成り行きを楽しんでいるかのように見える。そのため、
当局の無能さ・無力さが事件の「主演」で、一部の「アンチ朝鮮日報」の焦りが「助演」であるかのようにも思える。
そうするうちに、いわゆる「チャン・ジャヨン・リスト」と「朝鮮日報の人物」に関するうわさは収拾がつかないほどに広まった。さらには米国
在住韓国人系の放送でも報じられ、米国から「本当なのか」と問い合わせの電話まで寄せられた。朝鮮日報の記者同士もバツが悪く、
友人・親族にまで事件について聞かれる。本当に心配する人もいれば、喜ぶ人、面白がる人もいる。
そうして1カ月が過ぎたのだから、朝鮮日報の人々の忍耐も限界に達したのだろう。問題の人物だけでなく、朝鮮日報の記者全員に、
「その謀略の相手が誰であれ、容赦なく闘ってやる」という覚悟が芽生えつつある。政策や理念に関する問題ならば、朝鮮日報が絶対に
正しいと自身の主張に執着しないためにも、互いに違いを認める姿勢が必要だが、「朝鮮日報と記者・社員全員の人格を冒涜(ぼうとく)し、
名誉を踏みにじる低俗な謀略を前に退くことはできない」という認識だ。朝鮮日報の誰であれ、チャン・ジャヨンさん事件にかかわったことが
事実だと証明されれば、朝鮮日報としても一罰百戒に処されるべきで、そうなれば朝鮮日報側の潔白を信じてきた役員らも退くしかないだろう。
だが、これが根拠のない謀略や策略、そしてそれに便乗したパワーゲームの所産だということが明らかになれば、それを主導または裏で
操った側も、それ相応の罰を受けるべきだ。そうでなければフェアではない。
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メディアはこの事件から重要な教訓を得るべきだ。それは根拠のない「リスト」に基づき、裏付けのない「主張」だけで多くの人々を苦しめて
こなかったかどうか、メディアに携わってきた人々が自ら反省し、これ以上そうした憶測のわなにはまらないよう、努力しなければならないと
いうことだ。そうした意味で、民主党の李鍾杰(イ・ジョンゴル)議員と民主労働党の李正姫(イ・ジョンヒ)議員は、巧妙な言葉遊びで
朝鮮日報と実名を挙げ縛りつけようとしたが、万一、彼らがある文書で、またはあるメディアにより、誰とどこでどんなことをしたと言われても、
その事実がはっきり解明されるまで、われわれ全員は実名報道を自制するメディア文化を築いていく努力をすべきだろう。
金大中(キム・デジュン)顧問