日韓宇宙開発事情Part43

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288マンセー名無しさん
−アリラン3号打上げの優先交渉権を獲得した。勝因は?
 「JAXA衛星との相乗りというコスト優位性と、韓国が今後の宇宙開発のパートナーとして日本を重視しているという姿勢が、交渉権獲得に繋がった。
韓国の国策が大きく関与しているため、国会議員の先生方や、外務省、経済産業省、文部科学省などの応援があって実現した。この場を借りて感謝を申し
上げたい」
−交渉権獲得に対する市場の評価は?
 「商用としての市場の評価はまだ勝ち得ていないと思う。打ち上げる軌道が商用衛星の軌道とは異なるし、『所詮、政府衛星ではないか』との指摘もある
からだ。それに、衛星1基で打ち上げる値段では未だ秀でた競争力があるわけではなく、打上げ期間の保証もない。そのため、商用衛星打上げとしての信頼
を得られるよう努力している最中だ。交渉案件は複数ある」
−今後は打上げサービスを提供するため、顧客の様々な要望に応えなければならない。
 「『日本の圧力容器の安全審査基準が世界標準とかけ離れ、実績のある商業衛星に馴染まない』、『日本の資格を持っていないとクレーン操作できない』
など、解決しなければならない課題が幾つかある。内閣官房に設置された宇宙開発戦略本部に訴えるなどして問題を解決していきたい。問題解決には具体的
な案件が必要で、幸いにして、韓国の案件があり、打上げまで時間もある。今回の実績は、数々の問題を解決に向かわせる大きなトリガーになると思う」
289マンセー名無しさん:2008/12/01(月) 23:33:54 ID:uZIJ/0hD
−H-?�Bロケットの打上げが来年に迫った。
 「最も大きな開発事項だった第1段エンジンのクラスター化は、無事、地上燃焼試験を終え、課題をクリアできた。ただし問題なのは、われわれが気づい
ていない諸問題であり、これをいかに“見える化”するかがカギとなる。H-?�Aロケット6号機の打上げ失敗の後、われわれは設計者をヒアリングし、
*気になる点、*解決があやふやになっている点−などを徹底的に調べ上げ、隠れた問題を顕在化してきた。その数は約800件に及び、その改善がその後
の成功に繋がっている。こうした視点・姿勢・経験が、今回のH-?�Bの開発にも大いに役立っていると思う。また、H-?�Bの開発を通じて、問題に気づけ
る人材を育成することもできた」
−今後の人材育成はどうする? H-?�Bの次に大きな開発プロジェクトがない。
 「H-?�A、H-?�Bを段階的に改良し、技術者を継続して育成できるよう国に依頼している。改良の方向性は『堅牢性』だ。というのは、H-?�Aロケッ
トは最高性能を求めた“芸術品”のようなもので、手がかかりすぎる。輸送サービスでは、F1カーで宅配しているようなものだ。市場で求められているの
は堅牢なトラックなので、こうした設計思想を持ったロケットに改良していきたい。具体的には1段エンジンや2段機体を堅牢性、信頼性あるものに改良し
たい。
 例えば、1段エンジン『LE−7A』はデリケートすぎ、不具合が起きた際は、発散に向かう傾向がある。そこで、不具合発生時に収束に向かうような、
より安全で信頼性の高いものに変更する。具体的には、こうした特徴を持った『LE−X』エンジンへの変更を期待している。また、2段機体の能力を引き
上げることができれば、衛星を直接、静止軌道に投入することができ、衛星は静止軌道に移動するまでに余分な燃料を使う必要がなくなり、軌道上での運用
寿命を伸ばすことができる。これは、H-?�Aロケットの商業打上げで大きな競争力となる。長時間に亘って推進薬を管理できるよう、2段機体の改良を進
めたい。このほか、技術の陳腐化を防ぐため、様々な衛星需要に対応できるロケットをシリーズとして開発することも必要だ」